オーディオ実験室収載 MYTEK DIGITAL 192- DSD の活用 (15) ―DA-3000 からの S/PDIF 入力(2)― 1. 始めに 前報(14)では DA-3000 と MYTEK DIGITAL 192DSD をディジタルケーブルで接続 し、SD メモリーの 192KHz,24bitWEV 音源を再生する場合のいろいろなクロックの 取り方について検討しましたが、今回は CCV-5 から 96KHz でディジタル入力し、 INPUT MONITOR の設定で 96KHzPCM で再生しながら、いろいろなクロックの取 り方について検討することにしました。 2.MYTEK DIGITAL 192DSD の S/PDIF 入力の試聴方法 試聴のルートは単純に DA-3000 と MYTEK DIGITAL 192DSD をディジタルケーブ ルで接続する下記のみとします。 BZT9000→CCV-5→TASCAM DA-3000→MYTEK DIGITAL 192-DSD DA-3000 には CCV-5 から S/PDIF 端子でディジタル入力し、CCV-5 には GPS-777 から 96KHz のクロックを入力しています。DA-3000 は CCV-5 から供給されるクロ ックに周波数に合わせて、96KHz,24bitWAV の録音の設定をしておいて INPUT MINITOR で再生し、S/PDIF ディジタル OUTPUT 端子から MYTEK DIGITAL 192DSD の S/PDIF ディジタル INPUT 端子に送り出します。 DA-3000 では内部クロックと MYTEK DIGITAL 192DSD と同期させる外部クロッ クと GPS-777 からの外部クロックの他に S/PDIF 入力のクロックに同期する DIN (ディジタルインプット)を選択でき、MYTEK DIGITAL 192DSD では内部クロッ クと DA-3000 と同期させる外部クロックと GPS-777 からの外部クロックの他に S/PDIF 入力のクロックに同期する Input Sync を選択出来ます。 GPS-777 からの外部クロックは録音条件に合わせて 96KHz を入力し、MYTEK DIGITAL 192DSD から DA-3000 にクロックを戻すときも MYTEK DIGITAL 192DSD は 96KHz の内部クロックか、GPS-777 から 96KHz が供給されている必要 があります。 それ故、次のような選択が可能となります。 ①DA-3000 (内部クロック)/MYTEK DIGITAL 192DSD(内部クロック) 同期なし ②DA-3000 (内部クロック)/MYTEK DIGITAL 192DSD(Input Sync) S/PDIF クロックに同期あり ③DA-3000 (内部クロック)/MYTEK DIGITAL 192DSD(外部クロック) DA-3000→MYTEK DIGITAL 192DSD 外部クロック同期あり ④DA-3000 (外部クロック)/MYTEK DIGITAL 192DSD(内部クロック) MYTEK DIGITAL 192DSD→DA-3000 外部クロック同期あり ⑤DA-3000 (外部クロック)/MYTEK DIGITAL 192DSD(外部クロック) GPS-777→DA-3000→MYTEK DIGITAL 192DSD 同期あり ⑥DA-3000 (外部クロック)/MYTEK DIGITAL 192DSD(Input Sync) GPS-777→DA-3000→MYTEK DIGITAL 192DSD S/PDIF クロックに同期あり ⑦DA-3000 (外部クロック)/MYTEK DIGITAL 192DSD(外部クロック) GPS-777→MYTEK DIGITAL 192DSD→DA-3000 同期あり ⑧DA-3000 (外部クロック)/MYTEK DIGITAL 192DSD(外部クロック) GPS-777→CCD-6→DA-3000 GPS-777→CCD-6→MYTEK DIGITAL 192DSD DA-3000/MYTEK DIGITAL 192DSD 同期なし ⑨DA-3000 (DIN)/MYTEK DIGITAL 192DSD(外部クロック) CCV-5→DA-3000→MYTEK DIGITAL 192DSD 同期あり ⑩DA-3000 (DIN)/MYTEK DIGITAL 192DSD(Input Sync) CCV-5→DA-3000→MYTEK DIGITAL 192DSD S/PDIF 同期あり ⑪DA-3000 (DIN)/MYTEK DIGITAL 192DSD(外部クロック) CCV-5→DA-3000 S /PDIF 同期あり GPS-777→MYTEK DIGITAL 192DSD DA-3000/MYTEK DIGITAL 192DSD 同期なし ⑫DA-3000(DIN)/MYTEK DIGITAL 192DSD(内部クロック) CCV-5→DA-3000 S /PDIF 同期あり 3.MYTEK DIGITAL 192-DSD の S/PDIF 入力の試聴結果 ①から④は DA-3000 か、MYTEK DIGITAL 192DSD かいずれかの内部クロックで 同期させる方法で、音質的には似たりよったりで、いかにも PCM の音という印象で す。 ⑤から⑦は GPS-777 からの外部クロックを基に相互に同期を取る方法で、GPS-777 の良質のクロックが供給されたことで、①から④に比べがらりと音質が変りました。 ⑧は DA-3000 と MYTEK DIGITAL 192DSD 相互の同期を取らず、ともにクロック ディストリビューターの CCD-6 経由で同期を取る方法で、これも⑤から⑦と同様、 GPS-777 の良質のクロックが供給されたことで、①から④に比べがらりと音質が変 りました。 ⑨から⑩は DA-3000 は、DA-3000 は CCV-5 からの S/PDIF 入力でクロック同期を 取り、それを MYTEK DIGITAL 192DSD に伝える方法で、音質的には、①から④と ⑤から⑧の中間になりました。 これは、CCV-5 に GPS-777 のクロックが入っており、 CCV-5 からの S/PDIF を通じてのクロック同期があるためと思われます。 ⑪から⑫では DA-3000 は、DA-3000 は CCV-5 からの S/PDIF 入力で同期を取りま すが、MYTEK DIGITAL 192DSD はそれぞれ GPS-777 からの外部クロックもしく は内部クロックを使う方法で、⑫では DA コンバーターの MYTEK DIGITAL 192DSD の内部クロックを使いますので一挙に音質が劣化しますが、⑪では DA コ ンバーターの MYTEK DIGITAL 192DSD に GPS-777 からの良質のクロックが入り ますので、①から④や⑫に比べると音質向上がはっきり認められます。 4.まとめ 以上の結果から DA-3000 と MYTEK DIGITAL 192DSD との間に何らかの同期を取 る方法で、GPS-777 からの良質のクロックが供給されることで明確に音質向上が認 められました。それに引き替え、DA-3000 と MYTEK DIGITAL 192DSD の間でい ずれかの方法で同期を取ったとは言え、それぞれの内部クロックが基になっていると、 顕著な違いがあるとは言えません。 前報(14)の結果も含めて、クロックの IN/OUT のある DA-3000 と MYTEK DIGITAL 192DSD との組み合わせで、いろいろなクロック同期のパターンを試すことができ ましたが、 さらなる音質向上を期待するためには、何らかの方法で同期を取りながら、 基になるクロック品質を向上させる必要があることが分かりました。 以上
© Copyright 2024 ExpyDoc