第3次神戸市人権教育・啓発に関する基本計画(案)〔概要版〕 ~ともに築く人間尊重のまち~ 平成 16 年 1 月「人権教育・啓発に関する基本計画(目標年次:平成 22 年度)」 (以下、第 1 次計 画という。)を策定し、平成 23 年 3 月には、 「第2次人権教育・啓発に関する基本計画」 (以下, 「第 2 次計画」という。 )を策定し、人権教育・啓発に努めてきました。 第 2 次計画の目標年次としていた平成 27 年度を迎え、その成果と課題を検証し、時代に即した新た な神戸市人権教育・啓発に関する基本計画を作成するため、学識経験者等で構成される「神戸市人権教 育・啓発に関する基本計画有識者検討会」を開催し、そこでの検討を経てこの第 3 次計画を策定いたし ました。 1 第3次神戸市人権教育・啓発に関する基本 計画の考え方 (1)めざす姿と 4 つの視点 「ともに築く人間尊重のまち」をめざす 姿として位置づけ、人権問題をとらえてい く手がかりとして、神戸市の施策の中にも 反映されている次の 4 つの視点を掲げ、こ れらを通じて、 「人間尊重のまち」を築いて いきます。 ≪ユニバーサルデザイン≫ ハード・ソフト両面から、誰もが暮らし やすい社会をつくる ≪ソーシャル・インクルージョン≫ 誰も孤立したり排除されたりすることな く、社会に参加することを推進する ≪ダイバーシティの尊重≫ 一人ひとりのさまざまな違いを認め、多 様性を尊重する ≪協働と参画≫ すべての人が主体的に意思決定に参加し、 問題解決に取り組む (3)第 2 次計画の検証を踏まえた協働の指 標と目標値の設定 第 2 次計画の目標の達成状況の検証を踏 まえて、市民・事業者・神戸市が協働して 取り組む際の目標を共有するとともに、取 り組みの成果を評価する際の参考とするた め9項目の協働の指標と目標値を設定して います。 (4)位置づけ 本計画は市の最高理念である「新・神戸 市基本構想」の中で、2025 年に向けた都市 像の一つとして示された「ともに築く人間 尊重のまち」を実現するために、人権教育・ 啓発に関する中・長期的な考え方を明らか にする部門別計画であり、「市民福祉総合計 画」などの各部門別計画と連携・補完を図 りながら推進します。 (5)計画期間 本計画の計画期間は、平成 28 年度から平 成 32 年度までの 5 年間とします。 (2)めざす姿と3つの方策 「ともに築く人間尊重のまち」の実現を めざすために、①人権教育・啓発、②人権 救済のための相談制度、③地域での人権の 尊重されるまちづくり、の 3 つの方策を活 用していきます。 - 1 - 重の実現と、従業員の人権への理 解を深めることが求められます。 神戸市:国や県との連携を図りつつ,地 域の実情を踏まえ,人権教育・ 啓発に関する施策を策定し,実 施します。 エ 市民の自主性の尊重と教育・啓発におけ る中立性の確保 行政の行う人権教育・啓発活動は強制的 なものにならないよう努める必要があり ます。また,その実施方法等においても, 主体性や中立性を確保しなければなりま せん。 ハード・ソフト両面から誰も が 暮らしやすい社会をつくる (ユニバーサルデザイン) 誰も孤立したり排除されたり することなく,社会に参加する ことを推進する (ソーシャル・インクルージョ ン) ともに築く人間尊重の まち すべての人が主体的に意思決定 に 参加し,問題解決に取り組む (協働と参画) 一人ひとりのさまざまな違い を 認め,多様性を尊重する (ダイバーシティの尊重) 地域での人権が 尊重される まちづくり 人権教育・啓発 2 人権救済の ための 相談制度 人権教育・啓発について (1)人権教育・啓発の基本的あり方 ア 人権を身近なものとしてとらえ,主体 的な行動へと結びつく教育・啓発 差別的言動に対しては、傍観者的な態度 をとり自分には関係がないと思考を停止 させるのではなく、その不合理を是正して いく行動がとれるように、粘り強く啓発・ 教育をおこなっていく必要があります。 イ 発達段階を踏まえた効果的な教育・啓 発 教育・啓発の対象者の発達段階を踏ま え、多様な内容と方法で実施していく必 要があります。 ウ 協働の理念に基づく教育・啓発 市民 :人権をより身近なものとしてとら え,一人ひとりが関わる問題とし て人権感覚を身につけるととも に,傍観者的な姿勢ではなく,主 体的に行動していくことが求め られます。 事業者:社会へ貢献するとともに,社会を 構成する市民としてその社会的 責任を自覚し,事業所内の人権尊 (2)人権一般の普遍的な視点からの取り組み ア人権教育 (ア)学校教育 [現状と課題] 子どもの発達段階に対応して、指導方法の 工夫や教材の開発に努め、すべての教育活動 の中で人権教育に取り組む必要があります。 また、社会の変化に伴って新たに対応すべ き課題もあり、これらに対応するため教職員 の研修と研究活動の充実に努めると共に、保 護者や地域との連携・協働をより強化する必 要があります。 [今後の方向性] ○自己実現のための基礎的な力を育みます。 ○共に生きることへの理解と他者を思いや る心を育てます。 ○人権感覚が豊かな学習環境を創造します。 ○家庭や地域との連携強化に努めます。 (イ)社会教育 [現状と課題] 人口減少社会と少子・超高齢化の進展,価 値観や生き方の多様化,家庭・地域社会の変 化など,変化のスピードはこれまで以上に急 速なものになると予測されています。 市民・事業者・行政が連携を進め,多様な学 習機会や場を提供し,市民の生涯学習を総合 的に支援する機能を高め,市民の人権学習の 機会を充実させていきます。 - 2 - また,人権教育の学習成果が地域社会に還 元され,人権尊重の意識が育まれる環境づく りを推進します。 さらに,保護者世代への人権啓発や学習機 会の提供に取り組み,教育力の向上に向けた 支援を行います。 ○一人ひとりの職員が、この計画を推進する 神戸市の職員の一員であることを自覚し て職務を遂行します。 ○人権意識の高揚を図り、人権に配慮した行 政を実現するため、引き続き職員研修を実 施します。特に人権に関わりの深い職務に 従事する職員については、研修を充実して いきます。 ○課長級・係長級職員については、広範・多 岐にわたる人権知識の習得と人権意識の 高揚を図ります。 〇人権啓発ビデオ・DVD等の充実を図りま す。 [今後の方向性] ○生涯を通じて市民が自ら「学ぶ」 「活かす」 「つながる」学習環境づくりを進めます。 ○家庭や地域の教育力の向上をめざします。 ○家庭、地域、学校園等との連携強化を図り ます。 イ 人権啓発 [現状と課題] 人権啓発は、命の尊さ、共に生きることの 素晴らしさという震災で得た貴重な教訓を 生かしてねばり強く実施するとともに、日常 生活の中で人権尊重の主体的な行動へ結び 付けるため創意工夫が求められます。 また、人々がその個性を活かして能力を発 揮できること(ダイバーシティの尊重)や、 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バラン ス)の推進も重要な課題です。 [今後の方向性] ○効果的な啓発手法を活用します。 ○対象者の年齢層にあわせた啓発媒体を幅広 く選択します。 ○民間団体・NPO と連携して啓発を推進します。 ○企業・事業所での人権の尊重された職場づく りを推進します。 ウ 職員研修 [現状と課題] 市民・事業者に働きかけ、人権教育・啓発 の取り組みについて理解を得るためには、職 員一人ひとりが人権についての正しい理解 を深め、人権尊重の視点にたってそれぞれの 職務を遂行することが必要であり、研修等を 行って職員の資質向上を図ってきました。 3 人権救済のための相談制度 [現状と課題] 虐待などの深刻化する人権侵害に対応する ための法制度の整備等により、人権救済制度 の充実が図られつつあります。 相談は、専門的な救済手続きや他の適切な 窓口に結びつける機能だけではなく、適切な 助言を通じて、人権侵害に関する紛争の自主 的解決を促進するなど、それ自体が人権を保 障するための有効な方法であり、市民の抱え ている問題を把握する貴重な機会でもあり ます。 また、市民が相談機関を利用する際の相談 窓口は多様化しているため、適切な情報が必 要です。 [今後の方向性] ○市民に対し、人権救済制度や相談機関とその 役割についての情報を、さまざまな手段や機 会を利用して周知します。 ○複雑化多様化している人権問題について、途 切れのない支援を行うため、庁内相談ネット ワークの機能を充実するとともに、国や民間 支援団体との連携を深めます。 [今後の方向性] - 3 - 成員とする部会を設置し,情報共有や施策 の推進に関する協議を行い,人権教育・啓 発に関する施策を総合的かつ効果的に推進 します。 イ 関係機関との連携・協力 国、県等の関係機関とのネットワークを 強化し、効率的な啓発を推進します。 ウ 民間団体等との連携・協力 複雑・多様化する課題に対応していくた め,民間団体等と神戸市が相互の独立性に 留意しながら,連携と協力を図り,人権教 育・啓発に対する社会全体での取り組みを 推進していきます。 4 地域での人権が尊重されるまちづくり への取り組み [現状と課題] 日常生活において、差別的な言動やいじめ などの人権に関わる問題が起きており、家庭 内での暴力や虐待その他生命に関わる問題 も深刻化しています。 地域での人間関係の希薄化や相互扶助機 能が低下し、“無縁社会”といわれる状況が 生まれることにより、身近なところで起こっ ている人権問題の発見が妨げられ、解決をよ り困難にする要因ともなっています。 このような問題に対応するため、地域を構 成するすべての人たちが、身近な人権問題を 自分のこととして考え、解決に参画し、協働 して取り組み、市民が相互に支えあうような 社会共同の責任を自覚したまちづくりを進 めることが必要です。 [今後の方向性] ○震災の教訓―命の大切さ、助け合い、共に 生きることの素晴らしさ―を継承していく とともに、さまざまな課題を抱える支援を 要する人たちを地域で支えるための住民組 織や NPO などの活動を支援します。 〇既存の制度では解決に結びつかない課題に ついて,多様な関係者,関係機関とのネッ トワークを重層的に構築し,地域で支えあ う仕組みづくりを行います。 〇誰もが孤立したり排除されたりすることな く社会に参画できる社会(ソーシャル・イ ンクルージョン)や,さまざまな違いを超 えて,すべての人が持てる力を発揮し支え あうユニバーサルな社会の実現をめざして いきます。 。 5 総合的かつ効果的な推進 (1)推進体制 ア 庁内推進体制 市長を本部長とする「人権教育・啓発推 進本部」のもとに,関係する各課長等を構 (2)第3次計画の検証と見直し 人権教育・啓発推進本部の部会で進行管理 を行います。毎年それぞれの課題ごとの施策 の進捗状況を把握するとともに,協働の指標 の達成度や客観的データーを参考にしなが ら検証・評価を行い,施策・事業の見直しや 改善を行います。 また、必要に応じて第3次計画の見直しを 行います。見直しにあたっては,市民の意識 調査をはじめ,市民の意見の反映に努めます。 6 具体的な人権課題への取り組み (1)女性 [現状と課題] 性別に関わらず、互いを尊重し合い、責任 を分かち合いながら、社会でその能力と個性 を十分に発揮できる男女共同参画社会の実 現は、社会の最重要課題の一つです。 しかし、現在なお女性の政策・方針決定へ の参画が少なく、家事・育児・介護の多くを 女性が負担していることや、セクシュアル・ ハラスメントやDV、性犯罪、性の商品化な ど女性の人権に関わる問題があります。 [今後の方向性] ○性別によって活動を制限されることなく、 個人として尊重され、自分らしい生き方を 選択できる男女共同参画社会をめざします。 - 4 - ○男女共同参画社会の実現に向けて啓発・教 育を推進し、女性が政策・方針決定過程に 参加できるための取り組みを実施します。 ○ワーク・ライフ・バランスを推進します。 ○DVをはじめとするさまざまな人権侵害 行為の根絶に向けた取り組みを進めます。 (2)子ども [現状と課題] 家庭の教育機能の低下や地域社会のつな がりの希薄化、ネット中心のコミュニケーシ ョン等、子どもの心の成長や発達にとっては 厳しい環境になっており、児童虐待やいじめ、 携帯電話を媒介としたさまざまな事件等、子 どもの人権を侵害する深刻な問題が発生して います。 特に、近年では、保護者の雇用状況の悪化 や経済的格差の拡大を反映して,「子どもの 貧困の連鎖」という問題が生じています。子 ども期におけるこのような状況は,将来の就 職や生活にも大きな影響を及ぼし,世代間に 渡って負の連鎖が続くことも危惧されるこ とから,早急に対応を検討すべき課題です。 [今後の方向性] 子どもの生命と心を守ること、子どもが自 主性をもって成長していくよう促すこと、保 護者の子育てを支えることが、子どもや保護 者の幸せ、社会の担い手の育成につながりま す。 子どもの利益が最大限尊重され、子どもが 健やかに育まれるとともに、すべての人が安 心してゆとりを持って子どもを産み育てる ことができるよう、子育てを社会全体で支え るまちを基本理念に、児童虐待防止対策の充 実、青少年の健全育成、貧困の連鎖防止に向 けた施策の充実、などの子育て支援施策をす すめていきます。 (3)高齢者 [現状と課題] 急速な高齢化の中、介護や支援を必要とす る人や認知症高齢者が増加し、高齢者への虐 待や、悪徳商法や振り込め詐欺の被害など、 深刻な問題が生じています。 また、家族形態や地域社会が大きく変容し, 住民相互の見守りが困難な状況となってい ます。 [今後の方向性] ○自己決定尊重 ・あんしんすこやかセンター(地域包括支援 センター)の総合相談窓口としての機能を 強化し,ワンストップサービス機能を構築 します。 ・権利擁護対策を充実し、高齢者虐待の予防 や早期発見、虐待対応システムの充実に努 めます。 ○安心してサービスを利用できるために ・認知症の早期診断、早期対応のための地域 住民等による支援体制を構築し、本人の意 思が尊重され、できる限り住み慣れた地域 で安心して生活できる社会の実現をめざ します。 ・地域の支え合いと介護保険の安定的な運営 のため、市民・事業者・ボランティア・NPO 等と連携・協働していきます。 (4)障がい者 [現状と課題] 障がいのある人の人権を尊重し,社会の一 人として社会参加するさまざまな機会や手 段を保障していかなければなりません。 障がいや障がい者への理解を深める取り 組みを推進し,障がい者が地域で安心して暮 らしていけるよう取り組みを進めていく必要 があります。 [今後の方向性] ○障がいを理由とする差別を受けない社会づ くりに取り組みます。 ・区役所や障害者地域生活支援センターで, 障がい者本人や養護者に対する支援を行 ないます。 ・施設従事者等や使用者による虐待防止のた め,指導・研修や啓発に努めます。 ○施設や病院から地域への移行と定着を図る 施策を推進します。 - 5 - ○障がいのある人が、一人の住民として、生き がいをもって暮らしていくための場の提供 や社会参加の推進を図るためのサービスの 提供に努めます。 は,差別は許されないという基本的な姿勢を 堅持する必要があります。 [今後の方向性] ○多文化共生の基礎となる人権啓発や児童・生 徒への人権教育、国際理解教育を推進します。 〇多言語による情報提供や相談窓口を充実す るほか、日本語学習に対する支援を行います。 〇外国人市民が暮らしやすいまちづくりのた めの外国人コミュニティ等との連携を強化 します。 (5)同和問題 [現状と課題] 同和問題は、日本の歴史の中でつくられた 身分差別により、一部の人たちが長い間経済 的・社会的・文化的に低い状態におかれ、生 活の上で差別されることを強いられてきた わが国固有の人権問題です。 生活環境の改善をはじめとする物的な基 (7)感染症患者・元患者、難病患者等 盤整備等の特別対策は終了し、さまざまな面 [現状と課題] で存在していた格差は大きく改善されまし 結核、エイズ、ウイルス性肝炎、ハンセン た。差別意識も着実に解消されつつあります 病等の感染症に対する正確な知識と理解が が、インターネットの差別書き込み等に見ら 十分に普及していないことから、これらの感 れるように、差別意識はなお残存しています。 染者や患者や元患者が、周囲の人たちの誤っ 同和問題に対する市民の理解を妨げる「え た知識や偏見等により、職場や医療現場で、 せ同和行為」等の問題もあります。 差別やプライバシーの侵害などを受けるこ とが問題となっています。 [今後の方向性] 感染症全般に関して、不正確な情報から生 ○これまで積み上げてきた成果を踏まえ、人権 じる過度の危機意識から、新型インフルエン 教育・啓発に積極的に取り組みます。 ザの流行時のように、患者への理由のない非 ○地域社会の中で交流や相互理解が進んでい 難など人権上の問題が常に起こりえます。 くための環境づくりを進めます。 難病も、患者や家族の経済的負担や精神 ○「えせ同和行為」等を排除します。 的・肉体的負担が大きく、偏見や就職・結婚 などにおける差別も問題となっています。 (6)外国人 [現状と課題] [今後の方向性] 神戸市には約 4 万3千人の外国人市民が居 ○正確な知識の普及を図るための教育・啓発を 住しており、神戸市の国際性を示す一つの象 推進し、偏見や差別の解消を図ります。 徴ともいえます。約7割が韓国・朝鮮籍、中 ○感染症流行の際は、必要で正確な情報を公表 国籍ですが、近年いわゆる「ニューカマー」 するとともに患者のプライバシーなどの人 の外国人が増加しています。 権に配慮します。 在日韓国・朝鮮人の市民については、歴史 ○難病患者への社会や職場での理解を深める 的経緯に対する理解不足から差別意識は依 ための教育・啓発を行います。 然として残っています。ニューカマーの外国 人市民については、言葉や生活習慣の違い等 (8)犯罪被害者等の人権 により、就職差別や入居差別、医療、教育、 [現状と課題] 地域社会との交流などさまざまな課題があ 犯罪被害者やその家族は、犯罪による生 ります。 命・身体や財産への被害や精神的なショック また,昨今特定の民族や国籍の人々を排斥 に加えて、捜査や裁判の過程での精神的・時 する差別的言動(ヘイトスピーチ)について 間的負担や周囲の人やインターネット上の - 6 - 無責任な言動やうわさ話、マスコミ取材や報 道による精神的被害といった二次的被害を 受けることがあります。 こうした犯罪被害者等の権利利益保護を はかるため、平成 16 年に「犯罪被害者等基 本法」が制定され、犯罪被害者等に対する支 援に関し、国・地方公共団体及び国民の責務 が明記されました。神戸市においても平成 25 年に「神戸市犯罪被害者等支援条例」を施行 し、犯罪被害者等が受けた被害の回復及び軽 減に向けた施策の総合的な推進に取り組ん でいます。 また、兵庫県警の被害者支援室や公益社団 法人ひょうご被害者支援センターをはじめ、 さまざまな機関が連携しながら支援に取り 組んでいます。 た啓発を推進します。 ○トラブル対処の方法や相談窓口の周知を図 ります。 ○青少年がメディアリテラシー(情報を主体 的・合理的に選択・判断する能力)を身に付 けられるよう、情報モラル教育の充実ととも に、周囲の大人への啓発に努めます。 ○親子や家庭のつながりを見つめ直し、絆を深 めることの大切さを訴えるとともに、社会全 体で、命の大切さや規範意識、思いやりの心 などを共有する取り組みを推進します。 ○青少年がコミュニケーション能力の活性化 や社会生活を営む上で必要な規範を学ぶ機 会を作っていきます。 (10)性的マイノリティの人権 [現状と課題] [今後の方向性] 性については多様なあり方があります。性 ○「総合相談窓口」を設置するとともに、犯罪 的マイノリティとは、同性愛や両性愛、性同 被害者等支援ハンドブックの発行等によっ 一性障がい、インターセクシュアル(性分化 て、情報提供をしていきます。 疾患)等、さまざまな性を生きる人がいます。 ○講演会,シンポジウム等の開催、地域活動者 最近では各頭文字をとり,LGBT という言葉で 向け研修の実施、中学校等での「命の大切さ 知られるようになってきました。 を学ぶ授業」の実施等によって、広報・啓発 性的マイノリティの人たちは、差別や偏見 を行っていきます。 の対象になる事をおそれ,周囲に自分の性の ○民間支援団体に対する支援を行うとともに、 あり方を知らせられなかったり,多数者の性 関係機関との連携を図っていきます。 のあり方のみを前提とした価値観を押し付 けられて苦しんできました。性の区分を前提 (9)インターネットによる人権侵害 とする社会生活上の不利益もあります。 [現状と課題] 性同一性障がいについては、「性同一性障 インターネットの匿名性や情報発信の容 害者の性別の取扱いに関する法律」 (平成 16 易さなどを悪用して、他人を誹謗中傷したり、 年 7 月施行)により、一定の条件を満たす場 プライバシーに関わる情報の無断掲示、差別 合について、戸籍上の性別記載の変更が認め 的な書き込みなどの人権侵害が発生してい られていますが、性別の移行過程にある人の ます。いったんネット上に掲載されると、被 処遇などなお残された問題もあります。 害は急速に拡大し、これを削除することは極 めて困難です。 [今後の方向性] 子どもたちの間でのネットいじめやプロ ○性についての多様なあり方を理解し、それぞ フの公開などによる個人情報の流出、有害サ れの人の生き方を尊重する教育・啓発を推進 イトを通じて事件や犯罪に巻き込まれるこ します。 とも多くなっています。 〇多様な性のあり方を理解するための講演会 の開催や,リーフレット配布等を行います。 [今後の方向性] ○性が多様であることを念頭においた対応を ○ルールやモラルを守った正しい利用に向け 行うため,教員、職員への研修を行います。 - 7 - ○当事者や家族からの相談に適切に対応でき る仕組みをつくります。 (11)社会・経済情勢の変化に伴って生じて いる課題 ア ホームレス さまざまな事情で自立の意思がありな がら路上生活などを余儀なくされている ホームレスの中には、健康で文化的な生活 を送れない人がいます。いやがらせや暴行 などの人権侵害の問題も発生しています。 ホームレスを社会全体の問題として捉え、 偏見や差別意識の解消に向けた人権教 育・啓発を推進する必要があります。 ョン)社会をつくることが重要であるとい う視点で、教育・啓発を進めていきます。 (12)さまざまな人権課題 ア 北朝鮮による日本人拉致問題 拉致問題の一刻も早い解決が必要です。 神戸市では、毎年 12 月の北朝鮮人権侵害 問題啓発週間などの機会を利用し,パネル 展や講演会などを実施しており,今後も, 国・県・警察など,関係機関とも連携しな がら,啓発を進めていきます。 イ 生活困窮者 非正規労働者の増加等によって、雇用や 経済基盤の不安定な人が増加しています。 また,少子高齢化や家族構造の変化により, 一人親家庭やニート、ひきこもりが増加し ています。 生活困窮者の多くはさまざまな課題を 抱え,その課題が複雑に絡みあっているう えに,失業や人間関係の希薄化によって地 域で孤立していることが大きな問題とな っています。 生活困窮者の課題が複雑化・深刻化する 前に,住居の確保やそれぞれの状況に応じ た就労の機会の提供等,自立に向けた支援 が必要です。また、貧困の連鎖を防止する 観点から、学習の機会の提供等が必要です。 ウ 社会から孤立したり疎外されやすい人 たち 長期の無業者や単身世帯、ひとり親世帯 なども、社会から孤立したり疎外されたり する可能性が高いといわれています。ひき こもりの人の問題もあります。 このような人たちを含め、社会・経済情 勢の変化等により新たに生じる課題を的 確に認識し、具体的に対応すると共に、市 民一人ひとりが、すべての人を個人として 尊重し、ひいては、社会の構成員として包 み、支え合う(ソーシャル・インクルージ - 8 - イ 刑を終えて出所した人 刑を終えて出所した人は、さまざまな差 別的取り扱いを受けることがあり、偏見や 差別意識の解消に向けた取り組みが必要 です。刑を終えて出所した高齢者や障がい 者の社会復帰への支援も必要です。 ウ 個人情報の保護 高度情報化社会の進展に伴い,企業や行 政機関等が保有する個人情報が不当に流 出することにより,プライバシーなどの個 人の権利や利益が侵害される問題が起き ています。個人情報の取扱いにあたっては, その重要性を十分認識するとともに,プラ イバシー保護に留意し,適正な管理を行っ ていかねばなりません。 エ いのちの大切さ 自らの命を絶つ自殺者が平成 10 年には 全国で 3 万人を超えました。神戸市では平 成 23 年に「神戸いのち大切プラン」を策 定して総合的な自殺対策に取り組んでき ました。 神戸市では,相談機関の充実や地域連携 体制の強化,自殺未遂者へのケアや,遺族 の支援にも力を入れて取り組んでいます。 また、子どものいじめによる自殺を防止 するため、中学校区ごとに教員,児童・生 徒,PTA代表者,地域・関係機関代表者 等が参加する「いじめ防止小中地域会議」 を開催し,地域ぐるみでいじめ防止対策を 行っています。
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