内田 英樹 「重さについて考えよう」

重さについて考えよう
西宮市立用海小学校 内田
1.単元について
3 年生の「重さ」の学習である。子どもたちは、重
さをくらべるようなことって日常でしているのだろ
英樹
③3つの物の重さくらべ
○どれが重いかな?
A スティックのり B 水のり C スポンジ
うか?身の周りには、すぐに重さを量れるはかりや体
重計などがあり、計器ですぐに量ってしまっているの
ではないだろうか。そこで、計器がなかったら「重さ
くらべ」はどのようにするのか児童に活動させた。
さらに、教科書では、てんびんのような簡易な計
器を与えて「重さくらべ」を行っているが、自分た
ちで実際に計器をつくってみるという経験をさせる
ことで、重さをくらべるためには、計器の正確性が
提示するとすぐに子どもたちから質問があり 、
絶対不可欠であることや、
「つりあう」という状態を
C:水のりは使ってるの?T:使いさしです
どうすれば自分たちで作れるのかを考えさせた。
C:スティックのりは? T:新品です
2.授業の流れ
C:スポンジは水にぬれているの?T:かわいてます
①見た目の大きさと重さのちがい
というやりとりをした後に予想をしてみると
児童の重さについての考えを知るために、ドッジボ
A スティックのり(12 人)
ールとソフトボールを見せ、どちらが重いと思うかた
B 水のり(14人)
ずねると、
C スポンジ(2 人) 同じ(2 人) だった。
ドッジボールが重いは 2 人で、理由はドッジボール
の方が大きいからという大きさを基に重さを考えて
いる。ソフトボールが思いは28人で、理由はドッジ
○はかる道具を使わなくても重さをくらべる方法を
考えようと課題を出し、解決までの手順を
自分で調べる方法を考える
ボールは中が空気で軽いからやソフトボールの中は
る方法を考える
空気じゃない物がつまっているからという物の素材
を確認した。
に着目していることがわかった。
→
→
グループで調べ
実際に重さくらべをすること
○授業で子どもたちがした方法
②形が変わると重さはかわるか
・手で持ってくらべる
次に、同じ量の粘土を使い、作る前の粘土の重さと
・シーソーのようなものに乗せて、下にしずんで
全ての粘土を使って作った物の重さをくらべてみた。
作る前のねんどが3人で理由は、作ったの物には空
いる方が重い
・同じ高さから落として早く落ちた方
気が入るから軽くなるや作った物(ゾウ)の足の間に
・風を送ってあおぐ
空洞があるから軽いのではという考えや作る前は固
・体操帽でてんびんのような物をつくる
まっているから重いとう考え方があった。全部使って
○全体で調べた方法の交流と結果の吟味
作った物は1人で理由は、物をつくるときに粘土をぐ
C:結果がちがうので重さくらべが正確でない
っと固めるから重いといった考えがあった。両方とい
C:風であおいだのは、転がったんじゃない?
う子が多数いて、作る前も作った後も形が変わってる
C:落としたタイミングは本当に一緒?
だけで重さは同じだという考えや全部つかっている
C:体操帽のゴムは伸びてない?
のでねんどの量は同じだから重さも同じだという考
えがあった。
T:じゃあどうしたらいい??
C:はかりをつかうのが簡単だけど、いろんな物を
使ってはかりを作ってみたい
↑わりばしが何本分かでくらべている
○はかりを作るのに必要なものを考え、はかりを自
分たちで作ってみることにした。
それぞれのグループで自分たちでつくったはかり
・グループでどんなはかりをつくるのか話し合い
を使って、いろいろな任意単位を見つけて重さくらべ
・準備物を考える
をすることができた。
また、はかりができたら、A と B と C の重い順番
それぞれの任意単位による重さくらべ
を確認できたら、どのくらい重さがちがうのかも調べ
1 班 わりばし
るように課題を設定した。
3 班 新品のえんぴつ 4 班 オセロのコマ
実際にできたはかりと重さをくらべている様子
2 班 ストロー
5 班 わりばし
6 班 同じ大きさの紙
7班 1 円玉
8 班 マグネット
↑同じ大きさの紙が何枚分かでくらべている
最後に、いろいろな重さくらべをしたけど、どのグ
ループも共通して使える単位について考えさせ、普遍
単位 gを教えてこの授業のまとめとした。
4.終わりに
↑新品の鉛筆が何本分かでくらべている
教科書では、すぐに計器を与えてしまっているが、
今回の実践で計器がないときにどうやって重さをく
らべていたのかを考える良い機会になった。また、計
器を自分たちでつくり、その計器を使って任意単位に
よる比較を通して普遍単位gへという単元構成をし
たことで、子どもたちにたくさんの「はかる」という
算数的活動を通し、測定の 4 段階を経ることで、重さ
を数値化することの良さを実感を伴って理解させる
↑オセロのこまが何個分かでくらべている
ことができた。何度も「はかる」活動を通して量感を
養うこともできた。