私の推薦する本「下町ロケット」 技術創造部教育研究グループ・技術職員 冨樫 愛采 私は,「小説は話の流れが掴みにくいから少し苦手……」という人に対して,ドラマや映 画などで 1 度観たことがあるお気に入りの話を,小説で読むことをおすすめしています。 この場合は,じっくり読まなくても,ある程度内容を知っているので,知らない小説を読 むよりもきっと読みやすいはずです。 そこで私は,2015 年にドラマで放送されていた「下町ロケット」を紹介します。 宇宙科学開発機構の研究員であった佃航平が,亡くなった父の後を継ぎ,中小企業「佃 製作所」の社長となる。 佃製作所は優れた技術を持ち,製品開発によって業績を伸ばしていたが,ある日大きな 取引がなくなり,資金繰りに困窮する。 経営破綻の不安を抱えた中,ライバル企業からの理不尽な提訴,ロケットエンジンのバ ルブシステムの特許を巡った大企業・帝国重工との駆け引きが起きる。今後を大きく左右 する帝国重工との駆け引きに対し,ロケットに対する夢を持つ佃社長と,経営安定と利益 を望む社員たちが,帝国重工への部品供給,特許使用の 2 つの意見で対立する。そして, それぞれの意見が対立したまま,帝国重工による部品テストが始まる。 ドラマでは登場人物たちそれぞれの思惑を,ナレーションと役者さんの演技で表現して いますが,小説だとそれらが文章で書かれています。技術者として,メーカーとして,彼 らが持つ考えや情熱を改めて文章で読むと,1 度観た話でもきっと新鮮に感じると思います。 ドラマと小説それぞれの良さや,セリフ・設定などの違いを探しながら楽しむのも良い でしょう。 小説の読み方は基本的に自由です。1 行ずつよく読む,セリフを中心に読む,好きなシー ンを中心に読む,好きな人物を中心に読む,など自分のペースで文章を追って良いのです。 日々の勉強と同じように,自分のペースで少しずつ読むことを繰り返して,小説に限ら ず様々な本の面白さ・楽しさを見つけてください。
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