概要資料 - 兵庫県立大学

1 「ひょうご・地(知)の五国豊穣イニシアティブ」の概要
(1) 6つのプロジェクトフィールド(PF)
摂津、播磨、但馬、丹波、淡路の「五国」から成る兵庫県は、都市地域から多自然地域まで幅
広い地域を持つことから「日本の縮図」と呼ばれている。「五国豊穣イニシアティブ」におい
ては、人口減少社会の進行、産業構造の変化、価値観の多様化など、県内の地域が直面する様々
な課題を学ぶため、兵庫県をはじめ県下の自治体(下記参照)と連携し、6つのプロジェクト
フィールドを設けて活動している。
※「五国豊穣」に込めた想い
「五国」から成る兵庫県で、地域課題に対応する人材が、米や麦などの大地の恵みのよ
うに、地域と大学で育つようにとの願いを込めて目標を「五穀豊穣」に例えた。実現に向
けては、地域とともに戦略的、先導的に取り組むことが必要で、
「イニシアティブ」にそう
した意味を込めている。
ソーシャルビジネス系PF (経営学部:池田潔教授)
急速に高齢化が進む市街地では、既存の枠組みで
は解決が難しい課題に対する社会サービスの担い手
を創出することが課題。自助・共助・公助のバラン
スが取れた社会実現のため、社会的な起業家精神を
活性化させ、住民、NP0、企業を巻き込んだ事業
を生み出すことが求められる。
【尼崎市】
地域資源マネジメント系PF (地域資源マネジメント研究科:江﨑保男教授)
コウノトリ、ジオパーク、恐竜化石などの貴重な資源
を持つ地域では、これらの保全と有効活用が課題。
地域資源を活かす取組を考えるだけではなく、取組を
通じて仕事を創り出し、地域を活性化する手法の構築が
求められる。
地域資源マネジメント
【豊岡市・丹波市・篠山市】
多自然地域再生系(むら・まち再生系)PF
あわじ環境未来島構想系PF
(自然・環境科学研究所:田原直樹教授)
(緑環境景観マネジメント研究科:藤原道郎教授)
人口減少と高齢化の著し
い多自然地域では、コミュ
ニティを維持するしくみや、
持続可能な地域の構築が課
題。解決に向けて、住民の
関係性、森林・田畑の管理、
社会サービスなどを、これからの疎住地域に必要な
形に再構築することが求められる。
【養父市・佐用町】
産学公連携系PF
あわじ環境未来島構想
自然豊かで山・川・海のつ
ながりを持つ淡路地域では、
産業化の中で失われつつある
地域特有の景観の保全が課題。
淡路らしい景観を持続してい
くために、環境と景観資源の
意義が、地域の活性化とつなげて理解され、継承され
ていくためのしくみづくりが求められる。
【淡路市・洲本市・南あわじ市】
(環境人間学部:吉村美紀教授)
近郊に多様な農・漁村環境を持つ都心地域では、食材を
通じた農商工の連携が課題。ものづくり基盤の更なる充実・
強化を図りながら、地元産の食材を活かした「食と健康」
「食と観光」に取り組み、新しいライフスタイルと生活産
業を戦略的に提起していくことが求められる。
【姫路市】
地域防災・減災系PF (総合教育機構:森永速男教授)
阪神・淡路大震災のような都市直下型地震や、広範囲で甚大な被
害をもたらすと想定される南海トラフ巨大地震等の災害への備え
は兵庫県全域の課題。災害の記憶が風化していく中での学びの継
続、災害を想定した備え、円滑な復旧・復興に向けた知恵や人と人
とのつながりの形成などが求められる。
【淡路市・洲本市・南あわじ市・神戸市】
1
(2)
各フィールドにおける主な活動例
《地域資源マネジメント系PF》
《ソーシャルビジネス系PF》
地域の貴重な資源であるコウノトリや恐竜化石を
活かした学びの推進と地域の活性化
「買い物難民」向け宅配サービスの開始
高齢化が進む尼崎市内では、学生グループが市
民にアンケートを行ったところ、買い物支援を必
要としている人が多いことがわかった。地域のス
ーパーや配送業者等へのヒアリングを通じて、買
い物難民向け宅配サービスを考案し、業者との折
衝をへて本年9月にサービスの提供を開始した。
地域資源であるコウノトリの野生復帰や資源の有
効活用をテーマとして、一般市民を対象に、「コウ
ノトリ・サイエンスカフェ」を定期的に開催。市民
は最新の研究成果に触れることができ、質疑や討論
を通じて地域資源に対する理解を深めている。
また、公開講座等を通じて丹波竜に関する研究成
果を広く発信するなど、恐竜化石を活かしたまちづくりに積極的に参画している。
《あわじ環境未来島構想系PF》
《多自然地域再生系(むら・まち再生系)PF》
竹の燃料利用による竹林の適正な管理
明延地区での地域資源を活かしたまちづくり
淡路島では、放置竹林の増加が里山の景観
や生物多様性に影響を与え、野生動物被害の
温床になる等の問題が指摘されている。
そこで、竹林拡大の抑制を目的として、竹
ボイラーの使用による、燃料としての竹の利
用と竹林管理の持続可能性についての研究を
進めている。
人口減少、高齢化が著しい養父市明延地区では、地域
資源を活かしたまちづくり支援に取り組んでおり、こ
れまで鉱山社宅の修繕支援や社宅を宿泊施設として活
用するなどの提案等を行ってきている。
今後は、明延の名物料理の開発や点在する空き家の
活用方策等の検討を進めるなど、交流人口の増加によ
る地域活性化に取り組んでいく。
また、佐用町では、薬草栽培を通じた地域活性化を
めざしており、畦畔での薬草の栽培実験等を実施しながら、薬草の特産化に向けた
検討を進めている。
《地域防災・減災系PF》
防潮壁画再生プロジェクトの実施
《産学公連携系PF》
南海トラフ巨大地震等に備えて、災害
に強く、住民の繋がりの強い地域コミュ
ニティづくりが求められている。
南あわじ市阿万地区では、これまで防
災キャンプの開催や防災マップの作成に
取り組んでいるが、これらに加えて、住
民が協力して海岸の防潮堤に巨大な魚の壁画を描くプロジェクトを実施。
住民同士の繋がりを強化するとともに、人々が壁画を見るたびに、防潮壁の存在と
津波への備えを想いおこすようにとの願いを込めている。
災害時食支援マニュアルの開発と、本学ブランド
「う米ぜ!」の開発・販売
管理栄養士養成課程のノウハウを生かし、災害時を
想定した炊き出しの献立や備蓄食品の研究を進めてお
り、将来的には災害時食支援マニュアルの開発をめざ
している。また、酒造業者の指導・協力のもと、学生
による田植え等の現場体験学習と産学連携による商品
(日本酒「う米ぜ!」)の開発・販売を行っている。
2
2
ア
地域を志向した教育プログラムの開講
本学がこれまで「地域とともに発展する大学」として蓄積してきた研究成果と、地域を学ぶ
様々な教育プログラムを活用し、兵庫県をフィールドに地域課題を体系的に学ぶ教育プログラ
ムを開講している。
目標とする学習効果
副専攻「五国豊穣プログラム」では、地域と協働しながらリーダーとして活躍するために
必要な能力の習得をめざしている。
① 基礎的コミュニケーション能力(ふるさと共感力)
② 複雑な地域課題を分析する能力(課題抽出力)
③ 現場に応じた調査設計能力(課題解決に向けた構想力)
④ 異なる分野間で協働する能力(仲間との共創力)
⑤ ステークホルダーと事業を進めるマネジメント能力(地域との対話力&地域課題へ
の挑戦力)
(1)
全学生が履修する「地域入門科目」
全学部生を対象に、地域の課題を具体的な取組事例から学習する「地域入門科目」を開講し、
今後、全学必修科目として編成する。平成 27 年度は試行として経済・経営・看護学部の希望
する学生を対象に新規科目「COC 概論」を開講した(27 年度前期授業:199 人受講)。平成 28
年度にはすべての学生が1年次に履修できるよう、教養科目の中から趣旨に沿った科目の編
成を進めている。
イ
称号「ひょうご学志」の授与
「五国豊穣プログラム」を履修した学生が、所定の単位を取得した場合、卒業時に「ひょ
うご学志」の称号を授与する。将来的にはこれを兵庫県立大学のブランドとして発展させ、
学生が就職活動などでアピールすることができるようになることを目指している(就職活
動時には副専攻修了見込証明を発行予定)。
(2)
希望する学生が履修する副専攻「五国豊穣プログラム」
希望する学生を対象に、地域課題について体系的な学習を進めるため、副専攻「五国豊穣プ
ログラム」を導入した(平成 27 年度は経済・経営・看護学部の1年生を対象。27 年度後期授
業:15 人受講)。カリキュラムとしては、
「地域入門科目」に加え、
「地域実践科目 a 」、
「地域
実践科目 b 」、「地域発展科目」の4つの科目群を編成し、地域課題についての体系的な学習
環境を整えている。
1
年
次
前
期
プロジェクトフィールド(PF)の現地を訪れ、地域の方々と共に課題解決のための取組を
実践する。複数の PF の課題に取り組むことで、多様な地域性に適応するための複眼
的な視点と、柔軟な思考力・行動力を身につける。※平成 28 年度開講
それぞれの専門の視点から地域へのアプローチを学ぶ
所属する学部の専門科目や共通教養科目から指定科目を受講することで、地域を理
解するための発展的な視点を身につける。
2
単
位
以
上
)
地域発展科目
平成27年度編成科目
2
単
位
以
上
地
域
実
践
科
目
a
COCフィールドワーク基礎演習
地
域
発
展
科
目
8
単
位
以
上
)
(2年~/各2単位)
課題解決の実践を複数の地域から学ぶ
地
域
入
門
科
目
(
地域課題実践
演習Ⅰ~Ⅵ
※共通教育科目、各学部専門科目から、
プログラムの趣旨に沿った地域志向型科
目を編成した、選択科目群。
Ⅰ. 地域資源マネジメント
Ⅱ.多自然地域再生
Ⅲ.産学公連携
Ⅳ.ソーシャルビジネス
Ⅴ.あわじ環境未来島構想
Ⅵ.地域防災•減災
(
地域実践科目 b
課題を抽出するための基礎を地域で学ぶ
現地調査に関する様々な手法を学んだ後に、地域に出てフィールドワークを行う。
地域と人の営みを深く知るための調査の意義、そして資料調査、現地調査、分析、報
告までの一連のプロセスと、地域とのコミュニケーションの手法について、グループで作
業しながら学ぶ。
6
単
位
以
上
)
(1年後期/2単位)
1
年
次
後
期
)
COC フィールド
ワーク基礎演習
課題に取り組む人の経験から学ぶ
課題を抱える地域でその解決に取り組む人の声を通じて地域社会の実情を学ぶ。
地域の人を招いた講義の中で、課題の背景、地域の取組、「地(知)の拠点」としての
大学のアプローチなど、これから地域を学ぶために必要な知識を身につける。
地
域
実
践
科
目
4
単
位
以
上
(
地域実践科目 a
2
年
次
以
降
地
域
実
践
科
目
b
(
(1年前期/2単位)
地域課題実践演習Ⅰ~Ⅵ
)
「COC 概論」
カリキュラムの構成図
(
地域入門科目
ウ
COC 概論
※このほか、教養科目の中から趣旨に
沿った科目を今後指定する。
〔共通教育科目〕
地域創造論Ⅰ、地域創造論Ⅱ
〔経済学部専門科目〕
経済学フィールドスタディ、地域イノベー
ション論、
経済地理学、地域経済論、地方財政論、地
域産業論
〔経営学部専門科目〕
現代企業論、経営学特講(ソーシャルビジ
ネス論)
経営学特講(現代企業を学ぶ)、
経営学特講(兵庫県行政を学ぶ)、地域イ
ノベーション論、インターンシップ、NPO
会計論、スモールビジネス論
〔看護学部専門科目〕
コミュニティヘルスケア実習、
高齢者発達・生活看護論、在宅看護論、コ
ミュニティ•公衆衛生看護概論、コミュニ
ティ•公衆衛生看護活動論、コミュニティ
•公衆衛生看護技術演習、生涯広域健康看
護実習(地域)、生涯広域健康看護実習
(在宅)
所定の科目20単位以上履修で「ひょうご学志」の称号を授与
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