統一的な基準による財務書類等を 作成するための標準的なソフトウェアについて 平成27年12月25日 地方公共団体情報システム機構(J-LIS) 研究開発部 全 体 構 成 ①開発に至る経過と現状 開発に至る経過と現状について概説します。 ②なぜソフトウェアが有用か?(why) これまで、ソフトウェア等を利用せずに基準モデルや改訂モデルなどによる財務書類を 作成してきた自治体も多数ある中で、統一的な基準による財務書類の作成に際して、な ぜソフトウェアの利用が有用であるか概説します。 ③標準ソフトウェアとはどのようなものなのか?(what) 今回、開発する標準的なソフトウェアがどのようなものであるか、利用イメージも含めて 概説します。 ④導入にはどのような準備が必要か?(how) 標準的なソフトウェアを導入するために各自治体において必要な準備作業について 概説します。 1 開発に至る経過と現状 2 標準的なソフトウェア開発に至る経過及び現状 今後の地方公会計の整備促進について(平成26年5月23日 総務大臣通知(総財務第102号)) ・・・さらに、こうした財務書類等を作成するためには、各地方公共団体においてICTを活用したシステムの整備が不可欠であ り、その事務負担や経費負担に配慮する必要があると認識しております。また、システム整備の重複投資を回避するため、地方公 共団体共通のシステムを一括構築することも重要な課題であります。そのため、地方共同法人の活用も視野に入れながら、ICT を活用した標準的なソフトウェアを開発し、平成27年度のできる限り早い時期に地方公共団体に無償で提供したいと考えておりま す。 地方公共団体金融機構(JFM)の資金拠出により、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)と総務省が共同で開発することとなる。 地方公共団体の共同出資 【地方公共団体情報システム機構(J-LIS)】→地方公共団体の共同出資により運営され、地方公共団体の情報システムに関する事務を行なっている 統一的な基準による地方公会計の整備促進について(平成27年1月23日 総務大臣通知(総財務第14号)) ・・・なお、統一的な基準による財務書類等を作成するためには、ノウハウを修得した職員の育成やICTを活用したシステムの 整備が不可欠であり、平成27年度には関係機関における研修の充実・強化や標準的なソフトウェアの無償提供も行う予定です。 ◆すべての地方公共団体で使用できる標準的な地方公会計ソフトウェアを開発し、無償で提供 ◆平成27年4月より開発を開始、標準ソフトウェアを構成する各機能が完成しだい順次、提供(平成27年度内に全機能提供) ◆システムの導入準備が完了した団体から順次、導入を開始(導入は各団体の自由選択) H27.1. 地方公会計 マニュアルを反映 標準ソフトウェアの 概要を検討 H27.4. 開 発 開 始 H27.10.末(提供済) 提台固 供帳定 開機資 始能産 H27.12.末(提供済) 提作財 供成務 開機書 始能類 H28.3.末まで 提活 供用 開機 始能 開 発 終 了 システムの導入準備が完了した地方公共団体から順次、導入を開始 3 なぜソフトウェアが有用か?(why) 4 なぜ財務書類等の作成にソフトウェアの利用が有用なのか① 大量の財務情報データ(歳入歳出データ等)に対して仕訳等の処理を行い、処理後のデータを保持する 必要があるため。 基準モデル 改訂モデル 予算科目単位で仕訳を行なう簡便法が認められている 決算統計の数値を活用し、作成 【参考】伝票件数(イメージ) 都道府県・指定都市規模→100万件程度 人口30万人以上規模 →20万~100万件程度 人口30万人規模 →20万件程度未満 統一的な基準 ◆原則的に伝票単位の歳入歳出データの仕訳が必要 ◆伝票単位で仕訳された歳入歳出データと資産・負債データ(のうち現金取引)との整合性を検証可能とすることが必要 仕訳帳、固定資産台帳などについて、整合性を確保した上で、財務書類を作成する必要があるため。 整合性チェック 財務情報 整合性チェック 仕訳帳 固定資産台帳 自動作成 財務書類 ◆多数のデータの整合性を一定程度、自動でチェックできる機能をもったソフトウェアの利用が有用 保有する大量の固定資産の減価償却額を算出する必要があるため。 減価償却額 = 取得価額等 × 耐用年数に応じた償却率 大量にある固定資産の減価償却額算出に伴う 事務的な負担が大きい ◆減価償却額の算出を統一的な基準に基づいて自動で算出できるソフトウェアの利用が有用 5 なぜ財務書類等の作成にソフトウェアの利用が有用なのか② 発生主義・複式簿記や地方公会計の統一的な基準に精通していない担当者の事務をサポートすることが 可能なため。 ◆機械的に処理できる仕訳については可能な限り自動化するなど、事務担当者の負担を軽減 ◆会計的な判断が必要な場面においても、選択肢を提示するなど、判断をサポート ◆仕訳帳のデータにより、総勘定元帳から財務書類を自動で作成 ◆システムが効率的な事務フローを示すため、必要な作業を手戻りなく行なうことができる 相当程度の伝票が自動仕訳 可能性のある仕訳の選択肢のみ提示 適切な初期設定等を行なうことにより一部の仕訳を自動化 仕訳帳のデータにより、総勘定元帳から財務書類 を自動で作成 効率的な事務手順をシステムが利用者に提示 6 標準ソフトウェアとはどのようなものなのか?(what) 7 標準ソフトウェアの概要 多様な既存システムとの 連携を実現するための 分離型のソフトウェア 標準的なソフトウェア ①固定資産 台帳機能 標準ソフトウェア側で指定する形式 で出力するため、既存の財務会計 システムの一部改修が必要となる 場合がある 既存のシステム (財務会計システムなど) ③活用機能 ① 固定資産台帳機能 各固定資産の取得年月日、取得価 額、耐用年数等のデータを管理する 機能 ※ 既存の表計算ソフトからのデータ取込みも可能 (提供済) 将来の施設更新 必要額の推計 等 ②財務書類 作成機能 ② 財務書類作成機能 既存の財務会計システムの現金主 義・単式簿記のデータ等を取り込んで 発生主義・複式簿記のデータに変換 して財務書類を作成する機能 (提供済) 施設別・事業別の セグメント分析 等 予算書類 決算書類 現金主義・ 単式簿記 ③活用機能 財務書類 発生主義・ 複式簿記 ③ 活用機能 財務書類等のデータを基に将来の 施設更新必要額の推計や施設別・事 業別のセグメント分析等を行う機能 (⇒ H28.3末までに提供予定) 8 標準的なソフトウェアを利用した財務書類作成事務フロー概要(イメージ) 一般会計等財務書類作成時(期末一括) 資産の保有・管理を行なっている各課 紙資料やExcel等で管理している 資産・負債情報 既存の資産管理システム (公有財産管理システム等) 財務会計システム 資産・負債調査票に入力 又はExcelデータ出力 出力 資産データ 会計課 資産データ 出力 歳入歳出データ 適宜各種データ提供依頼 及びデータ内容の確認 地方公会計標準ソフトウェア 公会計担当課 自動処理 情報取込 情報取込 減価償却費算出 仕訳 手動処理 処理作業 仕訳修正・整理仕訳等 仕訳・資産情報の照合 合計残高試算表作成 財務書類 9 導入にはどのような準備が必要か?(how) 10 標準的なソフトウェアの導入に関するポイント(稼働環境の構築) ※ヘルプデスクは、導入後の 操作方法等に関する問い合 わせにも対応 標準ソフトウェア開発事業者 扱うデータ量で最適な稼働環境は異なる 期末一括仕訳 ヘ ル プ デ ス ク 小・中規模団体 ダウンロードサイト サポート 参照 導入マニュアルに関し て、専用電話および メールでの問い合わせ 対応 既存システム 導入マニュアル システム仕様書 外部IF仕様書 インストール手順書 (市区町村・一部事務組合等)(都道府県・政令指定都市) サポート 参照 導入マニュアルに関して、 専用電話およびメールで の問い合わせ対応 稼動に必要機器及びセットアップ作業員を提供し 稼働環境を構築 既存システム改修 運用事業者 or PCのみ又はサーバ1台で運用 サーバ2台で運用 公会計に係る事務の執行体制により最適な稼働環境は異なる 標準的なソフトウェア (財務会計システム等) 大規模団体 地方公共団体 複数人でソフトウェア 利用する場合 日々仕訳 稼働環境構築事業者 各地方公共団体で調達 サーバ1台又は2台で運用 配布方法=ダウンロード方式 ◆各機能が完成しだい順次、ダウンロードサイトにプログラムをアップロード⇒地方公共団体が各自でアクセスし、入手(アップロード後は常時入手可)。 稼働環境は各地方公共団体で構築 ◆無償提供される標準ソフトウェアの導入・運用に必要な機器(サーバ等)の調達等、稼働環境構築は各地方公共団体で実施。 【想定される環境構築方法の例】《例1》機器のみ事業者より調達 ⇒ 職員がセットアップ 《例2》機器及びセットアップ要員を事業者より調達 【想定される必要機器の例】 《ハードウェア》サーバ 《ソフトウェア》ミドルウェア(基本版地方公会計向け前提ミドルウェアは無償提供開始) ◆既存システム(財務会計システム等)に対し、標準ソフトウェアが規定する形式でデータを出力するための改修が必要な場合がある。 ⇒既存システムの運用事業者が改修を行なう想定 稼働環境構築を開発事業者がサポート ◆稼働環境の構築方法に関する情報を掲載した導入マニュアル(「システム仕様書」「外部IF仕様書」「インストール手順書」)を配布 【システム仕様書】 ・・・・・ ・ 標準ソフトウェアの稼働に必要なハードウェアおよびソフトウェア構成を示す文書 ⇒ 公開済 【外部IF仕様書】・・・・・・・・・・財務会計システム等の既存システムとのデータ連携を行なうためのIF仕様書 ⇒ 公開済 【インストール手順書】 ・・各前提ソフトウェア・標準ソフトウェアのインストール・セットアップ手順及び標準ソフトウェアのデータセットアップ手順書⇒公開済 ◆導入マニュアルの対象者 ⇒ 地方公共団体職員 稼働環境構築事業者 既存システム改修事業者 ◆地方公共団体の規模や公会計事務の執行体制により、最適な稼働環境が異なる ⇒稼働環境のパターンを類型化し、最適な導入方法を例示。 ◆ヘルプデスク・・・・導入マニュアルの内容に関して、ヘルプデスク専用電話およびメールにて問い合わせ対応 11 標準的なソフトウェアの導入に関するポイント(統一的な基準への対応・団体特性への対応) 統一的な基準への対応 ◆標準ソフトウェアを利用した財務書類等の作成を行なうまでに、資産・負債情報等の整備が必要 統一的な基準に対応した資産負債情報等の整備 資 産 整負 備債 完情 了報 等 入 力 標 準 利ソ 用フ 開ト 始ウ ェ ア 統一的な基準に財務書類等の作成 開始時情報整備完了 (開始貸借対照表作成可能) 標準ソフトウェアの利用前に、統一的な基準に対応した 資産・負債データの整備が必要(既存システムやExcelを利用) 各団体の特性への対応 ◆導入時に各地方公共団体の特性や状況に応じたシステムの初期設定が必要 (例:各地方公共団体の予算科目に応じた資金仕訳変換表の設定) (例:各種の按分設定) ◆導入初期に必要な上記作業は会計的な判断や統一的な基準に対する理解が必要 ◆外部のコンサルティングサービスの活用も有用 12 標準的なソフトウェアの開発スケジュール(仮)及び導入スケジュール例 6月ごろ 【公開】 地 方 公 共 団 体 検 運 ◆期末一括仕訳?日々仕訳? 討 用 ◆1台利用?複数台利用? 開体 始 制 ◆既存システム実体把握 検導 討入 開方 始法 ③ ヘ ル プ デ ス ク 設 置 10月末 12月末 3月末 固 定 提資 供産 開台 始帳 機 能 及財 び務 提ミ書 供ド類 開ル作 始ウ成 ェ機 ア能 提活 供用 開機 始能 既存システム改修に係る検討 予算化 運用環境構築に係る検討 開 発 終 了 ※外部IF仕様書の確定版は、 各機能の提供開始と 同時期に提示予定 【導入サポート開始】 ※問い合わせ窓口 の設置 シ ス テ ム 関 係 ◆◆ シイ導 スン テス入 ムト 仕ーマ 様ルニ 書手ュ 確順ア 定書ル 版 ) 導 入 マ ニ ュ ア ル ② ( ソフトウェアの概要及び 導入経費の概算等が判明 ◆ 活外 用部 機 能仕 部様 分書 )( 暫 定 版 、 導 入 マ ニ ュ ア ル ① IF 開 発 開 始 IF ― J開 発 L事 I業 S者 活◆◆ 用外シ ス 機部テ 能仕ム 除様仕 く書様 )(書 暫( 定暫 版定 、版 ) ソ フ ト ウ ェ ア 概 要 9月中旬 導 入 開 始 初 期 設 定 初 期 設 定 固定資産台帳整備 会 計 関 係 仕訳ルールの設定など 分析の在り方の検討など 13
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