ブース番 号 66 分 野 人文社会科学・文理融合 所属・氏名 大学院教育学研究科(自然教育学系)・加藤 内藏進 問 合 せ 先 Tel 086-251-7735 Fax 086-251-7755 E-mail [email protected] テ ー マ 多彩な季節感を育む日本の気候環境とその変動 【出展概要】 日本付近の季節サイクルは,アジアモン スーンの影響も強く受け,梅雨や秋雨も 含めた六季で特徴づけられます。しかも, それらの中間的な季節も独特で,細かい ステップで季節の大きな移ろいがみられ ます。これは,南アジア,シベリア,北太平洋 北部,西太平洋熱帯・亜熱帯域など,アジア モンスーン域の中でも季節進行のタイミング のずれが大きいためです。このような気候 環境の中で育まれる多彩な季節感は,日本 の文化を特徴づける重要な要因の一つです。 また,最近,新しいタイプの気象災害も社会的にも注目されていますが,季節がほんの僅か違うだ けで,豪雨や豪雪,その他の激しい気象現象,あるいは,猛暑や少雨のようにジワジワと人間生活へ 大きなダメージを与える現象など,気象災害に繋がる現象の出現頻度やそれらの『質』にも大きな差 異があります。従って,地球温暖化に関連した気候の予測・知見の普及,及び,気象災害に関わる防 災教育においても,季節サイクルのベースへの理解の深まりを促すような学習プランの中で,「このよ うな季節だからこそ,このような特徴の災害が起きうる」という視点での知見を体系化し発信する必要 があります。一方,そのような季節サイクルは,『多彩な季節感』に関連した文化理解教育におけるベ ースの一つでもあります(持続可能な社会の担い手を育てるための教育である ESD の一環)。 そこで私たちの研究室では,まず上述のベースとなる『多彩な季節サイクル』を見直しながら,日本 付近の気象・気候環境やその変動(異常気象・気候変化等)を調べています。また,音楽,絵画,和歌 などに表現された『多彩な季節感』を接点に,気象学・気候学と芸術系・文系分野とが連携して,小中 高校,あるいは大学(特に教員養成)における教科横断的な学習プログラムの開発研究も行っていま す。 なお,2014 年 3 月には,これまでに行ってきた学際研究成果の一部を取り纏め,著書『気候と音 楽―日本やドイツの春と歌―』(加藤晴子・加藤内藏進著,協同出版,全 168 頁)も上梓しました。今回 は,昨年の続編として,上記の研究によって得られつつある日本付近の気象・気候や変動,及び,多 彩な季節感を軸とした学際的な研究内容について(ドイツ等との比較も一部含めて),特に『季節の移 ろい方』や『文化理解教育』との接点にも注目して紹介します。それらを通じて日本の季節の本質を理 解し,『微妙なバランスからなる東アジアの気候環境』を考える機会になればと願っています。
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