2014年度実施計画全文(pdfファイル298KB)

2014 年度実施計画
日本製薬工業協会
目
次
【2014 年度実施計画】
1.コンプライアンス委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2.コード委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
3.産業政策委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
4.流通適正化委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
5.医薬品評価委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
6.ICH プロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
7.品質委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
8.バイオ医薬品委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
9.薬事委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
10.知的財産委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
11.研究開発委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
12.国際委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
13.環境安全委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
14.広報委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
15.患者団体連携推進委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
16.くすり相談対応検討会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
17.医薬産業政策研究所・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
18.事務局・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
【参考】
2013 年度事業方針及び事業計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
2014 年度実施計画
1.コンプライアンス委員会
【重点課題】
1.コンプライアンスの推進等に関する研修会・講演会の開催
コンプライアンスの一層の遵守、推進を図るために全会員会社のコンプライアンス担当責
任者、実務担当者を対象に研修会・講演会を年 1 回開催する。会員会社のさらなるグローバ
ル化において、国内はもとより海外のコンプライアンスに関する法令、判例等の動向を常に
把握し、情報共有に努める。
2.会員会社の企業行動憲章及びコンプライアンス・プログラムの徹底
必要に応じて、医薬品企業法務研究会の協力のもと、企業行動憲章を始めとする諸規定の
改正案を策定する。また、研修会・講演会時に企業行動憲章及びコンプライアンス・プログ
ラムの周知徹底を図る。
2.コード委員会
【重点課題】
1.
コード・オブ・プラクティスの浸透と一層の遵守徹底
昨年は高血圧症治療薬の臨床研究事案に関連して製薬企業の関与の在り方に批判が集ま
ったこともあり、コンプライアンスの徹底とともに、コード・オブ・プラクテイスの浸透
と一層の遵守徹底を図る。
(1)会員会社の管理責任者・実務担当者との連携等により、全役職員が対象であるコー
ド・オブ・プラクティスの理解を促進する。
(2) コード委員会の活動の中において、企画政策会議や常任理事会との連携を図りつつ
業界側としての臨床研究支援の在り方等について検討を継続する。
(3)プロモーションコードのより一層の理解促進と遵守徹底を図る。
(4)承認外のプロモーション及び他社品に対する中傷・誹謗を防ぐため、プロモーショ
ン用資材の作成にあたっては「医療用医薬品製品情報概要記載要領」等の諸規範を遵
守するよう徹底する。
1
2.透明性ガイドラインの理解促進および円滑な運用
(1)透明性ガイドラインに関する理解・周知活動を強化する。特に、医療関係者を含め社
会に対して広く、当業界のコード、透明性などの倫理的取り組みに対する理解を進め、
当業界の信頼の維持、向上に向けたアウトリーチ活動を展開する。
(2)会員会社が公開情報に対する適切な説明責任を果たせるよう徹底する。
(3)製薬協全体の取り組みとして、運用モデル※に基づく統一感のある公開を行う。
※
「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」運用モデル(2013/12/17)
3.コードに関する問合わせ、苦情申立て、および違反事案の迅速かつ適切な処理
(1)苦情申立てに関しては当事者間での話し合いによる解決を促進する。
(2)コード委員会から会員会社に行った改善要請の確実な実施を徹底する。
(3)全事案を文書で会員会社へ報告する。
(4)第一編「コード・オブ・プラクティス」関連検討事案の蓄積を図る。
4.IFPMA との国際的協調の推進
(1)IFPMA コードコンプライアンスネットワークの会議およびアウトリーチ活動に積極的
に参画し、日本国内のみならず、途上国を含むグローバルな観点からのコード遵守体
制の構築に協力し、製薬業界全体の信頼向上に貢献する。
(2)IFPMA コードコンプライアンスネットワークをはじめ、コードおよび透明性に関する
国際的なその動向を会員会社に情報提供するとともに必要に応じ委員会活動に反映す
る。
【製品情報概要審査会】
1.製品情報概要審査会の効果的活動
(1)本会の開催(4 回)
(2)予備会議の実施(30 回)
(3)厚労省監視指導麻薬対策課との情報交換と緊密な連携による会員会社のプロモーション資材の一
層の適正化への取組みの推進
2.プロモーションコードの一層の周知徹底
(1)改定した「製品情報概要記載要領」
「専門誌(紙)広告作成要領」の周知と啓発を図る
ことを目的に、会員会社、非会員会社、広告代理店を対象に説明会を開催し、審査事
例の紹介、典型的な事例の紹介などでより一層の適正情報提供活動に貢献する。
(2)審査会レポート(4 回発行)により最近の審査事例や審査結果をタイムリーに紹介し、周知を図る。
(3)会員会社から要望事項を収集し、具体的な対応策について検討する。
(4)プロモーション資材等に関する会員会社からの問い合わせ、苦情申し立てに関してコード委員会
2
からの依頼を受け、検討し、審査結果を報告することで、適切なプロモーション資材等の作成と
使用に貢献する。
(5)会員会社からの質問・問合せ等に適切に対応し、コード遵守に貢献する。
3.産業政策委員会
【重点課題】
1.研究開発型製薬産業を取り巻く環境変化を的確に把握し、産業のあるべき姿、将来ビジョ
ン構築に向けた活動を展開する。特に産業政策の要であるイノベーション推進方策、薬価制
度、税制について、革新的新薬の創出・イノベーション評価という観点から具体的な提言を
行う。
(1)産業政策委員会各部会の主要メンバーが参加し、産業政策に関する横断的なテーマに
ついて、迅速に検討できる体制を整備する。
2.医薬産業政策研究所、広報委員会等と連携し、研究開発型製薬産業が果たしてきた役割・
貢献並びに期待される役割について分析・評価を行い、ステークホルダーの産業理解を促進
する活動を展開する。
3.2014 年 4 月の薬価改定を踏まえて、新薬創出・適応外薬解消等促進加算、長期収載品の薬
価等についての分析・評価を行い、イノベーションをより適切に評価する薬価基準制度構築
の検討を行う。併せて、医療技術評価についても、適切な対応を行う。
(1)薬価制度改革について、製薬産業への影響について分析・評価を行うとともに、イノ
ベーション推進の観点から、新薬の開発に与える影響について検討し、次期薬価基準
制度改革を見据えた行動を展開する。
(2)医療技術への費用対効果評価の導入、長期収載品の薬価のあり方等について、薬価制
度改革を踏まえ、引き続き適切に対応するための方策について検討する。
(3)社会保障並びに医療保険制度の効率化の動向を注視し、薬剤償還制度の見直し論議に
備えた検討を行う。
4.日本医療研究開発機構の創設、創薬支援ネットワークによる実用化支援の強化、ARO 機能
を併せ持つ臨床研究中核病院の整備について、フォローアップを行うとともに、関係各省庁
等と連携しつつ、革新的新薬の創出のための体制整備の実現に向けて積極的に取り組む。
3
(1)健康・医療戦略に盛り込まれた革新的新薬の創出を支援する体制について、その実効
性が確保され、製薬産業にとって真に有益なものになるよう、関係省庁、各種会議体
等に対して適時・的確な提言が行える体制を強化する。
(2)創薬支援の仕組みの活用状況につき検証を行うとともに、より有効に活用されるため
の活動を展開する。また、ライフサイエンス予算について、関係省庁の予算要求、予
算編成時の取り組み等を検証し、官民対話、会長会見等を通じて必要な提言ができる
体制を構築する。
5.製薬産業の研究開発を促進し、国際競争力強化につながる研究開発税制の構築に向けた、
検討・提言を行う。
(1)医薬品の研究開発を促進するための税制について検討を行い、2015 年度税制改正要望
案を取りまとめる。併せて、パテントボックス税制、企業版エンジェル税制等につい
て導入に向けた活動を展開する。
6.上記のほか、常設委員会で対応できない課題、緊急に発生した事案等につき適時的確に対
応する。
【インターナショナル・トレード・コミッティ】
【重点課題】
1.第5次医薬品関税撤廃の早期実現
○第 4 次関税撤廃実施の事務作業における反省から、第 5 次以降、できるだけ欧米と同タイ
ミングで実施できるよう INTERCEPT の一員として種々の取り組みを行う。
(1)INTERCEPT 関連の諸会議への積極的参加と共同行動
(2)厚生労働省、外務省、財務省、経済産業省、農水省等関係する官庁への協力要請
(3)第 5 次の審査に関して、日本の関税当局が早い段階からテクニカル・レビューに参
加するなど、関税撤廃実行プロセスにおける欧米と日本の違いを理解した上で、同
時期での実施実現に向けた方策を積極的に検討する。
(4)FTA,EPA,TPP 等の枠組みによる関税撤廃の可能性やその影響等についても検討する。
2.薬事法への対応
○薬事法及び関連法令への対応:調査・情報収集活動・啓蒙活動の継続及び他団体との連携・
協力
(1)従来の製造承認制度から製造販売承認制度に移行したことにより、海外製造業者によ
るマスターファイル登録制度・外国製造業者認定制度の導入、GQP・GMP に関する取り
決め事項の締結など改正薬事法に関連した対応が進んでいる。今後とも薬事法令及び
4
関連法令の遵守及び適切な運用を目指し、製薬協内関連委員会、関連業界・団体と密
接に連携・協力して対応していく。
3.貿易諸問題への対応
○研修会、講演会等の実施及び各委員同士の情報交換
(1)海外も含め製造業者への委受託も増加しており、それに伴う輸入及び輸出の貿易拡大
により発生する薬事法、関税法、化審法等の法令がらみの種々の問題に対応するため、
研修や情報交換を通じ各委員の理解や見識を高め、業界としてのレベルアップを図っ
ていく。
4.流通適正化委員会
【重点課題】
1.医療環境の変化等による製薬企業~卸売業~医療機関等での商取引及び物流全般に係る事
項について、現状分析・課題解決に必要な検討を行う。
(1)
「医療用医薬品の流通改善について(緊急提言)」を受けた流通改善の取組状況(一次売
差、未妥結・仮納入、総価取引等取引実態の変化など)と流通環境の変化(新薬創出・
適応外薬解消等促進加算の試行的導入、卸機能の変化、購入形態の変化等)について、
流改懇や川上取引に関する WT のフォローを行うとともに現状分析・課題解決に必要
な検討を行う。
2.医療制度改革や流通改善が進展する中で、製薬企業及び MR 等のプロモーション活
動に及ぼす影響や課題を検討する。
(1)医療保険制度・薬価制度等に係る環境変化(後発医薬品使用促進策の進展、アンメッ
トメディカルニーズへの対応等)および医療用医薬品流通の質的な変化(流通改善の
進展、異業種の参入、情報活動における ICT の積極活用等)、並びに MR の活動環境の
変化(透明性ガイドライン、公正取引協議会による飲食等の提供に関する新ルールの
施行)を考慮しつつ、患者・国民の視点から見た製薬企業のプロモーション活動の今
日的なあり方について調査・研究し、情報を共有する。
3.診療報酬制度、薬価基準制度を中心に、関連法規、行政規制、医療制度等の動向を
把握・調査し、医療用医薬品流通への影響を評価・検討する。
(1)医療用医薬品流通に係る環境変化、特に薬価制度、薬価改定及び診療報酬改定につい
て、当業界に与える影響を把握し検討する。また関連法規、行政規制、医療制度等の
5
動向を把握し、必要に応じて今後の流通に与える影響について、調査・分析を行う。
4.医療用医薬品の新バーコードに関する製薬企業、卸売業、医療機関等の対応、活用
状況の把握と医療用医薬品の流通への課題等を検討する。また、医療分野における
Information and Communication Technology(以下、ICT)施策が医療用医薬品流通に及ぼす
影響を検討する。
(1)製薬企業や卸売業、医療機関等における新バーコードへの取組や活用状況等を調査・
整理し施策推進に及ぼす課題等を検討するとともに、策定した提言内容の業界内外へ
の周知、現状と向かうべき方向性の差異を検証する。また、医療に関する政府 ICT 施
策が、医療用医薬品流通に与える影響について調査・研究を行う。
5.医療用医薬品取引の更なる合理化に資するために、医療用医薬品流通全体の仕組みを鳥瞰
的に把握しつつ、医薬品取引システムのあるべき姿の検討を継続して行う。
(1)医療用医薬品取引における現状の課題を調査・分析し、更なる合理化・標準化にむけ
た今後の取組に関し、業界標準マニュアルや関係団体を通じて新たな提案や周知を行
う。また、流通全体のシステムの今日的取り組みを把握し、情報システムの専門的立
場から関係団体等と連携し、問題解決やプロジェクトの推進に貢献する。
5.医薬品評価委員会
【重点課題】
1.臨床開発の効率化および成功確率の向上に向けた新薬開発方策への取り組み
2013 年度に引き続き、「臨床研究・治験活性化 5 か年計画 2012」に係る事業に関する関係
行政当局との対話を通じて、日本の臨床研究の高品質化を目指した取り組みへの支援を継続
するとともに、いわゆる日本版 NIH 事業での研究から開発まで一貫した創薬支援による成果
の取り込みを含め、日本における医療イノベーションに当局と協力して取り組む。また、PMDA
が推進する申請時の電子データ提出と自らによるデータ解析など、レギュラトリーサイエン
スの高度化への取り組みについても積極的に協力していく。
医療機関に対しては、各種シンポジウムや講演会を通じて、事務手続き簡略化につながる
優秀な治験ネットワークの育成やリスク・ベースド・モニタリングを可能とする各施設での
臨床試験推進能力向上など、開発期間短縮、開発効率の向上や成功確率の上昇に向けた働き
かけを継続する。
2.開発から市販後まで一貫した安全対策に向けた取り組み
6
開発から市販後まで一貫した安全対策確立に向けて、関係当局とリスク管理手法に関する
具体的な論議を進め、ベネフィット・リスク評価の更なる検討や、RMP の定着・推進を図り、
また、より広範な安全性評価の一つの手法として、医療情報データベースの活用方策を引き
続き提言していく。
3.創薬、育薬に向けた新規技術、標準化、効率化の研究
個別化医療・再生医療など新規医療関連の環境整備、創薬・育薬に向けたガイドラインの
整備、電子化対応を含む標準化のための新規技術の研究、研究開発の効率化手法の検討、グ
ローバル開発戦略方策の検討、医療情報データベースを新薬開発に活用出来る環境整備等を
進め、医療イノベーションに向けた取り組みに活かす。なお、2013 年度に設立した iPS コン
ソーシアムでの安全性評価への応用検討を推進していくとともに、将来のコンソーシアムの
あるべき姿を検討していく。
4.国際標準、国際連携に向けた国際展開への取り組み
ICH、IFPMA、APAC 等アジアでの活動等を通して、ガイドライン、各種マニュアル、共同指
針等の策定、国際共同治験の円滑な実施等、標準化、連携、協力に向けた国際展開方策を進
める。また、国際的な薬事関連の動向において医薬品評価委員会に係る事項(臨床データ開
示、ヘルシンキ宣言改訂)についても適切に連携していく。
5.医薬品開発に関する社会の理解を得るための活動
日本製薬工業協会の患者会活動を支援するとともに、治験・臨床試験の意義、医薬品の安
全対策、医薬品産業の役割等について社会の理解を得るための日本製薬工業協会の啓発活動
に協力し、併せて委員会活動の成果を積極的に社会に開示していく。
また、アクセス制度・先進医療の見直しなどの未承認薬へのアクセス向上や、臨床データ
開示を含む臨床試験の透明性向上への対応など、国内外の当局の動向に連携し広く社会から
の理解を得られるよう活動を行っていく。
特に、昨年は臨床研究への製薬企業の関与について関心が集まったこともあり、臨床研究
に対する製薬企業の支援の在り方に関するコード委員会での検討への協力を継続する。
6.ICH プロジェクト
【重点課題】
1.新トピックの検討と提案、新トピック 5 ヵ年計画の推進、進行中のトピックのステップ
アップ、現行ガイドラインの維持・更新、ガイドライン実施の推進
7
2.厚生労働科学研究「医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエン総合研究事業」として、
国際的整合性を目指す医薬品等の品質、有効性及び安全性に関する研究への協力
3.ICH の成果の普及の一環として、ICH 地域会議、ICH 即時報告会、ICH ガイドライン説明会
等の開催、国内外で開催される ICH 関連会議への支援
4.ICH 国際協力委員会の活動を通して、医薬品規制調和の活動を行っている非 ICH 地域や国
への ICH ガイドラインの普及のための支援
7.品質委員会
【重点課題】
1.GMP 部会
(1)海外ガイダンスウォッチャー活動による WHO 及び米国 FDA も含めた海外の GMP に関す
る規制動向把握と会員企業への伝達: 昨年に引き続き、従来の情報収集業務(CFDA、
台湾 FDA、欧州医薬品庁、FDA のホームページ等に掲載の最新情報の検索、製薬協国際委
員会及び 各社からの個別情報収集)に加え、特定の検索テーマとして会員会社に 周
知すべきと認められた情報、改訂著しい EU-GMP、PIC/S GMP、及び WHO-GMP の改訂箇所、
及び WHO 情報の翻訳・紹介等を適宜 GMP ニュースに掲載予定である。
(2)アジア関連諸国の GMP 関連法規調査: 当局のグローバル化に対応すべく、業界側も
アジア製薬業界団体 11 のエリア(12 団体(韓国は 2 団体))からなる組織[APAC(アジ
ア製薬団体連合会議)]を立ち上げた事を受け、GMP 部会としても、PIC/S 加盟国が増加
していることを鑑み、日本がイニシアチブをとってアジア連携を進める考えである。こ
の活動の一環として、本プロジェクトでは、アジア各国内の査察情報の共有をはかり、
技術的な理解を深め、今後、実務的かつ統一されたレベルでの査察が実施されるよう、
APAC に提案していく。
(3)Q7-IWG、及び Q11 等、ICH の GMP 関連課題への支援: ICH 品質グループと連携し、発
効して既に 10 余年を経過した Q7 の“解釈の明確化/Q8~Q11 の新概念への対応”を目
指し、Q7-IWG メンバーの業界側トピックリーダー、及び副トピックリーダーとして、プ
ロジェクトチームでの Q7 の方針書に基づき、Q&A 作成の推進に参画する。6 月のミネア
ポリス会議、11 月の欧州(開催場所未定)会議に参加し、各極からの業界、行政の IWG
メンバーとの議論を通じて、方針書に準じて Q&A の完成をめざす。
2.製剤研究部会
(1)新医薬品の開発段階におけるバイオアベイラビリティー(BA)及び生物学的同等性(BE)
評価の検討、改善案の提言
8
(2)課題解決のため、産官学のメンバーからなる医薬品品質フォーラム生物学的同等性ワー
キンググループ(仮称)への参画、改訂各種 BE ガイドラインの運用面の業界課題の抽
出及び上記検討内容についての業界改善案をベースにした行政への提言
(3)活動の成果の産官学での共有及び公知化を目指す。
3.ICH 品質グループ
(1)Q3D(金属不純物)の調和
(2)M7(DNA 反応性(変異原性)不純物)の調和
(3)Q7-IWG(原薬 GMP)の調和
8.バイオ医薬品委員会
【重点課題】
1.国のバイオ医薬品関連施策の動向把握、製薬協提言のフォロー・進捗評価ならびに関連施
策に関する提言
2013 年6月に国が纏めた「日本再興戦略」には革新的医薬品やバイオ医薬品・再生医療な
どの先端技術の研究開発が重要施策として位置づけられ、その後発表された「健康・医療戦
略」には、バイオ医薬品の研究開発に関する施策が述べられている。さらに、厚生労働省が
纏めた「医薬品産業ビジョン 2013」では、バイオ医薬品に係わる基盤の遅れを課題と捉え、
まだ開発余地の大きいバイオ医薬品の開発促進とそのためのインフラ整備を今後の産業施策
の一つとしている。これらのバイオ医薬品に関する施策は、2012 年 3 月にバイオ医薬品委員
会にて策定した政策提言をもとにした内容となっており、その具体的な実施に関し、各府省
の担当部署と十分に意見交換を行い、提言の意図に沿った形で進められるよう働きかける。
また、提言に関する具体的な施策等についても検討を行うと共に、バイオ医薬品が従前の低
分子化合物医薬品とは異なるコスト構造を持つことや、日本の産業振興の中核となる製品で
あることについて、一般国民を含めた幅広い層に理解を得るための資料の検討を行い、バイ
オ医薬品の研究開発環境の向上を図る。
2.バイオ医薬品の凝集体及び不溶性微粒子の調査・研究
バイオ医薬品の開発においては、有効成分が高分子体であるという特性から凝集体あるい
は不溶性微粒子が生じることが知られており、不溶性微粒子と免疫原性との関連について関
心が持たれているが、明確な証拠は示されていない。これら物性の分析、管理、規制に関わ
る現状及び動向について調査・研究を行う。また、製剤特有の課題についても調査・研究を行
う。
9
3.再生医療・細胞治療の調査・研究
再生医療は次世代医療として大きな期待をもたれており、
「健康医療戦略」においても重点
化されている再生医療の進歩について調査・研究を行なうと共に、ビジネスモデルを意識し
た今後の開発上の留意点を纏める。また、改正薬事法(略称「医薬品医療機器等法」
)の施行
に伴い発出される通知等について必要により提言を行う。
4.ワクチンをめぐる政治的・政策的環境変化に即応した規制・制度関連の課題への取組み
予防接種・ワクチン分科会及び 3 部会の動向を把握するとともに、必要・機会に応じて行
政・規制当局と意見交換を行い、製薬協の考えを提言していく。
9.薬事委員会
【重点課題】
1.総合機構と製薬協等業界団体とで構成する治験相談、審査、調査、国際共同治験の各 WG
において、製薬協の他委員会と連携しながら、開発段階から承認までの総合機構の各業務の
効率化や高度化及び諸問題についての解決策の検討及び提言を行う。
(1)審査 WG においては、総合機構の第三期中期計画で策定された総審査期間の目標達成に
向けて、更なる審査プロセス等の効率化について検討し、提言を行う。平成 26 年承認
品目の審査状況に関するアンケート調査については、平成 25 年承認品目の調査を振り
返り、政策研と協議したうえで実施する。
(2)審査 WG においては、総合機構の次世代審査・相談体制構築(申請電子データの利用体
制構築)計画について、技術的事項を検討する SWG と連携しながら、試行の結果を確
認しつつ、本格施行へ向けた制度設計の検討を十分に行い、総合機構へ提言する。
(3)治験相談 WG においては、事前評価相談制度の在りや改善点についての検討など、治験
相談制度をさらに有用なものとするための検討を行う。今年度実施予定の対面助言ア
ンケート調査では、治験相談の現状を調査するだけでなく、治験相談に関する課題が
抽出されるような調査となるよう、調査項目について精査したうえで実施する。
(4)調査 WG においては、安全性情報管理シートや non-GLP 試験の適合性調査の適正化等の
継続課題の検討に加え、申請電子データ提出に伴う信頼性調査の課題や治験手続きの
電子化に伴う課題等新たな検討事項にも取り組み、提言を行う。
(5)国際共同治験 WG においては、引き続き国際共同治験に参画する前に日本人 Phase 1
データが必要となる要件について検討し、通知等での公表を目指す。また、国際共同
治験を推進するための新たな検討課題への取り組みも視野に入れる。
10
2.医療上の必要性の高い医薬品を迅速に医療現場に届ける制度や迅速な開発・承認等につい
て検討し、提言を行う。
(1)医薬品アクセス制度については初年度のパイロット事業の経過を確認しながら 2 年
目のパイロット事業計画の検討と経過確認を実施し、平成 27 年度の本制度の本格稼働
に向けての制度設計について十分な検討を実施する。
(2)希少疾病用医薬品については、指定の早期化や指定条件の見直し及び特に患者数の少
ない疾患(いわゆるウルトラオーファン)に対する医薬品開発の促進策などについて
の検討を進め、提言する。
(3)医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬の枠組みについては要望募集の方法や検討
会議の経緯等を経過観察し、問題点があればその改善策を検討して提言する。
3.開発段階から承認審査、さらには市販後にかけての諸問題について、薬事委員会シンポジ
ウム等の開催及びレギュラトリーサイエンス学会等公の場での発表など、積極的にアカデミ
アや当局(厚生労働省、総合機構)と議論する機会を設ける。
(1)新たな薬事的課題をテーマとした薬事委員会シンポジウムを平成 26 年度中に開催し、
当局やアカデミアと活発な議論を実施する。
(2)レギュラトリーサイエンス学会第 4 回学術大会でのシンポジウムの企画、ポスター等
の発表を実施する。
(3)その他、オープンな場で議論する機会についても検討する。
4.「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」等の改正薬事法
関連の法律及び GMP の PIC/S 加盟申請を注視し、これら関係法令等が企業経営にとって効
率的なものになるよう、他団体及び関係委員会と連携をとりながら提言を行う。
(1)
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」等の改正薬事
法関連の法律が施行される際の政省令及び通知等が、企業経営を阻害するものとなら
ないよう提言に向けた検討を行う(添付文書電子化・届出制度等)。
(2)PIC/S 加盟申請にともなう GMP 適合性調査関連省令及び通知の見直しに際して、効率
的な制度とすべく提言を行う。
5.製薬企業のみならず第三者から見ても問題のある薬事規制の運用面について、実態及び国
際的整合性を考慮しながら提言を行う。
(1)輸出手続き(輸出届及び輸出用証明書)について、課題を整理し合理的な輸出制度に
ついて検討し提言を行う。また、輸入手続き(輸入届及び薬監証明)について引き続
き検討を行う。
(2)本邦の医薬品製造販売承認書の記載内容について、より確実で効率的な維持管理を行
11
えるよう調査・研究を行い、必要に応じ提言を行う。
(3)承認事項の変更制度が諸外国と異なっていることを踏まえ、承認内容の変更方法等に
ついて引き続き検討し提言を行う。
(4)総合機構の審査関連業務(簡易相談を含む)に関して、効率化、合理化及び適正化に
向けた検討を引き続き行い、その方策について提言を行う。
(5)承認申請の際の手数料納付手続きに関して、効率化及び合理化の観点から提言を行う。
6.レギュラトリーサイエンス学会等、公の場での発表などを通して、今後の薬事に関連する
法律(制度)のあり方について学及び官と議論する機会を積極的に設ける。
(1)レギュラトリーサイエンス学会第 4 回学術大会でのシンポジウムの企画等の演題応募
を実施する。
10.知的財産委員会
【重点課題】
1.知的財産に関する国際的課題への取組みの推進
グローバルヘルス(医薬品アクセス、顧みられない熱帯病)、生物多様性条約(遺伝資源・
伝統的知識)及び偽造医薬品対策等の知的財産に関わる国際的な諸課題について、国際機関、
海外政府機関および社会に対して課題解決に向けた働きかけを推進する。
そのために、IFPMA、海外製薬団体(PhRMA、EFPIA など)、国際商業会議所及び国内関係省庁
等と連携し、内外動向に関する情報収集、課題注出、課題解決策の検討、解決に向けた行動
を行う。
特に重要な課題として医薬品特許の権利化及び権利行使の制限に係る問題について、IFPMA
及び海外製薬団体と連携して取り組む。
主な具体的活動の例は、
(1)IFPMA/IIPT 委員会及び国際商業会議所(ICC)のへの参画
(2)海外製薬団体(PhRMA、EFPIA など)及び他産業団体との共同
(3)WIPO、WTO、CBD 等における日本政府、IFPMA 及び国際商業会議所の活動のサポート
(4)専門家及び関係省庁との課題解決に向けた勉強会
(5)課題解決に向けた調査・研究
である。
2.知的財産制度の国際調和への取組みの推進
知的財産制度の高いレベルでの国際調和に向けて、国内関係省庁及び海外製薬団体等と連
12
携し、EPA 及び特許庁間会合等の2国間及び多国間協議並びにパブコメ対応等を通じて海外
政府機関への働きかけを推進する。
主な具体策は次の 2 点である。
(1)各国知財制度の問題点について国内関係省庁と協議を行い、2国間及び多国間協議で
の日本政府の活動をサポートする。
(2)対応する海外製薬団体との共同及びパブコメ対応を行う。
3.知的財産推進計画等のライフサイエンスに関する課題解決推進
知的財産戦略本部の知的財産推進計画及び健康・医療戦略推進本部 等の政府の知的財産
に関する計画に対し、
(1)職務発明制度
(2)医療知財戦略
(3)再生医療等製品の期間延長
(4)特許権の効力の在り方 等
のライフサイエンスに関する諸課題を提起し、それらの解決策を実現するために、政府の活
動に協力すると共に、他団体、関係省庁と積極的に協議・折衝して実現推進に努力する。
具体的には、次の機会を利用して製薬協としての意見を発信する。
・本年度重要課題である職務発明制度については、他の産業団体と一枚岩となって制度改正
を目指す。
・健康・医療戦略推進本部については、医療関連発明の適切の保護について検討し、提言を
目指す。
・政府審議会、調査研究会等への委員派遣
・関係省庁との協議・折衝
・パブコメの提出
4.知的財産に関する製薬協としての情報発信の推進
知的財産に関し幅広く情報を収集し、有識者や関係者との意見交換を実施すると共に、知
的財産に係る製薬協としての諸提言を積極的且つ効果的に外部発信し、その実現を推進する。
具体策として、公開セミナー等を情報発信の場として活用することなどである。
11.研究開発委員会
【重点課題】
1.ライフサイエンス関連の科学技術政策のフォローと提言
13
総合科学技術会議や健康・医療戦略推進本部など、ライフサイエンス研究に関連した政府
の施策への提言を行う。また、特に産業政策委員会と連携し、健康・医療戦略参与会合や創
薬支援ネットワーク協議会への参加協力などを通じて、より具体的提言を行う。
2.創薬研究に関わる基盤技術の整備と強化
(1)新規基盤技術の創薬研究への応用方策の検討
(2)創薬研究効率化の推進と環境整備への提言
3.臨床研究の推進方策および基盤整備
(1)質の高い臨床研究の推進方策および基盤整備に関する検討
(2)個人に応じた医療および予防医療の推進方策の検討
4.創薬のための産学官連携促進
(1)産学官連携を促進するための仕組み・あり方の検討
(2)創薬のためのオープンイノベーションの検討
12.国際委員会
【重点課題】
1.欧州におけるイギリス、フランス、ドイツとの二国間定期協議およびアジアにおける中
国、韓国、台湾などとの二国間協議を継続発展させるとともに、日中韓の協議の再開に向
け努力する他、インドネシア、タイ、インド、ロシアなどとの連携を政府とも連携しつつ
推進する。
(1)欧州の現地子会社の抱える価格抑制策をはじめとする課題を二国間協議などで取り
上げ、解決に向け具体的に行動計画を策定する。
(2)インド、ロシア、ブラジル、メキシコ、トルコなどの新興国市場について、セミナー
などの開催に加え、各国協会との会合や各国政府との面談等を開始すると共に、日本
政府と連携し、将来の定期会合開催を目指していく。
2.アジアでの革新的医薬品開発を速やかに推進するため、政府の『医療国際展開戦略室』と
連携しつつ、アジア各国との相互理解を促進する。また、厚生労働省、PMDA をはじめアジア
各国規制当局の参画を一層推進させることにより、相互理解の促進を通じて新薬開発・許認
可に関連した様々な各国規制の調和や改善を図り、アジア製薬団体連携会議の継続的開催に
向け発展させる。
14
(1)
「アジア製薬団体連携会議」をアジア各国業界団体・政府間の議論のプラットフォーム、
対話の場と位置付け、アジア各国業界団体と連携し、当該国政府に提言し、問題解決
を促す。
(2)国際共同治験体制の整備、および日中韓3カ国における臨床試験データの共有化実現
に向けて、関連する委員会とともに厚労省、PMDA に協力し、アジア各国との二国間会
合を通じて提言型活動に努めていく。
3.グローバルヘルスの向上に貢献することが当協会および会員企業の社会的使命であると
の認識の下、NCD(非感染性疾患)、NTD(顧みられない熱帯病)などの解決に向けて、IFPMA
グローバルヘルス委員会との連携を継続するとともに、会員企業へグローバルヘルス改善
への課題認知を促す。さらに、製薬協及び会員企業がなしうる貢献について、政府、NGO、
NPO などとの対話を通じて検討する。特に NCDs 対策ならびに偽造医薬品について日本政
府やアカデミアとの連携も視野に入れアジア諸国での具体的な取り組みを推進する。
4.課題解決に向け国内外の関連製薬団体と連携を強化する。
(1)IFPMA の活動、政策提言に一層の参画及び協力を進めるため、IFPMA の優先活動課題に
対し、適宜、関連する委員会と連携を図り、製薬協としてのポジションを明確にする。
(2)TPP や EPA などの経済交渉、価格抑制制度、偽造医薬品問題、新興国市場開拓のため、
PhRMA、EFPIA 並びに各国製薬団体と更に協調して取り組んでいく。
(3)EFPIA、PhRMA との連携を強化し、課題が具体化してきている EFPIA とは定期会合を実
現する。
(4)また、部会間連携、日薬連との協働も検討する。
13.環境安全委員会
【重点課題】
1.省エネルギー・地球温暖化対策
(1)経団連低炭素社会実行計画のフォローアップを日薬連と協働で実施する。
(2)厚生労働省フォローアップ会議に提出する報告書、説明資料を作成する。
(3)省エネ・温暖化対策技術研修会を開催する。
(4)日薬連低炭素社会実行計画参加の再要請を継続する。
(5)低炭素社会実行計画を推進するために、フォローアップ体制およびデータ管理システム
を整備する。
15
2.省資源・廃棄物対策
(1)経団連環境自主行動計画フォローアップ調査を日薬連と協働で実施する。
(2)廃棄物削減に関する 2015 年度目標の達成を維持し、さらなる削減に向けて継続した取り
組みを行なう。
(3)会員会社の 3R 推進のための情報提供等を行なう。
(4)日薬連等と協働して、医薬品に係る廃棄物問題に取り組む。
3.化学物質管理
(1)PRTR および VOC に関する調査を継続して実施する。
(2)大気・公共用水域への排出について、削減事例などの情報を提供する。
(3)医薬品の環境影響やリスク管理に関する情報収集や啓発活動を行ない、製薬協の他の委
員会との情報交換を継続して実施する。
(4)化学プロセスの安全性評価研究、およびその一環として、高薬理活性物質取り扱いの検
討を推進する。
4、労働安全衛生管理
(1)労働安全衛生活動に関する調査を行ない、結果を情報提供する。
(2)安全衛生技術研修会を開催し、安全衛生意識と管理技術の向上を図る。
(3)リスクアセスメントの効果的実施に関する検討を行なう。
(4)営業車両の事故防止研究を推進する。また、取り組みを社会に発信する。
14.広報委員会
【重点課題】
1.研究開発型製薬産業および医療用医薬品が果たしている国家成長戦略上の重要性(国民・
患者への貢献、医療技術・科学水準の向上、経済成長への貢献等)について、広く国民の理
解を促進するための情報発信を強化する。
2.製薬協が提言する政策の実現に向け、政策テーマに関する活動については、より効果的・
効率的な活動とするため、関係する委員会等と密に連携を取りながら推進する。具体的には、
広報委員会が主体となり、関係する委員会等にテーマ設定など企画面を相談しながら、活動
を推進する。
(1)政策 PR 部会
製薬協が提言する政策についてステークホルダーの理解・共感を促進するため、政策
の優先度、重要度を勘案し、かつ適切な媒体を通して情報発信を強化する。また、一
16
般国民へ正しく情報が伝わるようにメディアに対し働きかけ、メディアのさらなる理
解・適正な情報発信のための活動を行う。
1)ステークホルダーの理解促進活動
2)メディアを介した理解促進活動
3)透明性GL周知活動(臨床研究支援のあり方も含む)
3.一般国民はじめ各ステークホルダーの産業理解向上のためには、メディアからの適正な情
報発信が重要である。そのためにメディアのさらなる産業理解を図るべく活動をより強
化する。
(1)コミュニケーション推進部会
製薬産業の国家成長戦略上の重要性・新薬の貢献・透明性ガイドラインを含めたコン
プライアンス遵守など、製薬産業および医療用医薬品に関する一般国民の理解を促進
するための情報発信を強化する。また、一般国民へ正しく情報が伝わるようにメディ
アに対し働きかけ、メディアのさらなる産業理解・適正な情報発信のための活動を行
う。
1)一般国民の理解促進活動
2)メディアの理解促進活動
3)コミュニケーションツールの活用
4)製薬協コミュニケーションプラン(2012~2014 年度の 3 年計画)
4.各種コミュニケーションツールが、その目的に合わせて適切に制作・活用されているかを
検証し、既存ツールの見直しと新規ツールの制作を行う。また、製薬協ウェブサイトを製薬
協全体のコミュニケーションツールとして位置付け、各委員会等との連携のもと、積極的な
活用を図る。
(1)「製薬協ウェブサイト」を、製薬協全体のコミュニケーションツールとして活用す
る。
(2)「製薬協ニューズレター」を、製薬協のメッセージや活動をわかりやすくタイムリー
に知らせるツールとして、他委員会、政策研の協力を得ながら作成する。
また、配信方法の見直しを含め、「製薬協ニューズレター」のリニューアルを行う。
(3)「広報セミナー」を、製薬産業を取り巻く環境や課題を取り上げ、会員の自己研鑽・
情報共有の場として開催する。(広報セミナー:4 月・10 月開催予定)
(4)コミュニケーション推進部会、各委員会等と連携し、「てきすとぶっく 製薬産業 2014」
「製薬協ガイド 2014-2015」を刊行する。
17
15.患者団体連携推進委員会
【重点課題】
1.製薬協の重点課題、提言内容について患者団体の理解の促進を図るとともに、意見を把握
し、製薬協各委員会にフィードバックする。
(1)製薬協と患者団体との共通の課題について、アドバイザリーボードの意見を踏まえ行
政、他団体、製薬協各委員会の協力を得ながら解決を図る。
(2)アドバイザリーボード等を通じて、患者団体が製薬産業に求める課題を収集・把握し、
課題について患者団体セミナー、製薬協ニューズレター、HP の患者さんとともに等に
より情報発信を行い、患者団体、課題によっては患者さん及びその家族の理解を図る。
2.製薬協と患者団体との共通課題について解決方法等の検討を行う。
(1)「企業活動と患者団体の関係の透明性ガイドライン」に基づく、情報公開における問
題点を把握し、ガイドラインの見直し、Q&A の作成を行う。
(2)
「医療用医薬品の患者への情報提供」、「臨床研究・治験の国民・患者への普及・啓発」
について、それぞれのテーマに関心が深い患者団体の意見を踏まえ、行政、他団体、製
薬協各委員会の協力を得ながら、患者団体、患者さん及びその家族への情報、提供方法
等について検討を行う。
3.患者団体の製薬産業に対する意見を把握し、患者団体と活発で透明性の高い協働が行える
よう会員企業に情報提供を行う。
患者団体、会員企業に対するアンケート結果を踏まえ、会員企業が患者団体と活発で透
明性の高い協働が行えるよう方法について検討を行う。
16.くすり相談対応検討会
【重点課題】
1.製薬企業くすり相談部門の対応水準の高上と社会的認知の向上
(1)製薬協加盟会社のくすり相談窓口における、情報提供を通じた医療への貢献を周知し、
製薬協の更なる評価高上につなげる。
(2)応対品質高上への取り組み。
(3)対応レベル、推薦書籍、必要な研修の業界基準を作成する。
(4)薬剤師会との連携を深め、くすり相談部門との情報の共有化を推進する。
18
2.“患者参加型医療”における積極的なくすり相談窓口のあり方の構築
(1)患者さんのために通話料金を企業が負担する電話回線(フリーダイヤル等)を導入し、
ホームページの見つけやすい場所に電話番号を公開する。
(2)業界における対応レベル高上のため、
「くすり相談対応の指針」の活用状況の把握推進
とともに、今後の改定に向け方向性を検討し、準備をすすめる。
(3)各社における患者の声を受けるフリーダイヤル化の推進、ならびに企業の立場、患者の立場、
双方における最善のあり方の検討。
3.情報の有効な社内フィードバック方法の検討
(1)顧客から受けた提案、クレーム等を社内で検討し、患者目線に立った提案を行う社
内システムを構築する。
(2)実現した改善提案等を「顧客の声の反映」としてフィードバックする方法を検討する。
17.医薬産業政策研究所
【重点課題】
1.事業遂行の基本的な考え方
政策研設立の目的を踏まえ、政策研究事業並びに産業調査事業を遂行するにあたっての基本
的な考え方を以下の通りとする。
(1)革新的で有用性の高い医薬品を継続的に生み出し医療消費者に提供するという製薬産
業の使命の実現に向けて、環境、制度に資する提言を行う。
(2)製薬産業に関する実態分析、実証研究を通じて、産業の実態、その果たす社会的役割、
重要性について理解、認識を広める。
(3)各委員会への参加等を通じて情報の収集/共有化を図るとともに、外部データベース
の一層の活用、外部研究機関との連携等を通じて製薬産業に関する基礎的なデータベ
ースを整え、客観性のある分析や提言を行う。
(4)製薬協の事業方針と政策提言活動の強化に結びつく調査分析を行う。
(5)調査・研究の推進は、研究員を中心としたプロジェクトを基本とするが、内外の研究
者および研究機関との連携や共同研究を積極的に行う。
(6)厚労省、経産省、文科省が参加するステアリング・コミッティ等の場を活用しながら、
行政当局等との情報・意見交換を積極的に行い、製薬産業に関わる政策の具体的な推
進につなげる。
(7)研究成果は「リサーチペーパー」等の刊行物としてまとめ、外部に発信することに加
19
え、メディアを通じた発表や、学会・内外の専門誌への投稿等にも取り組む。
2.政策研究事業
年間研究計画に沿ってテーマ研究を確実に遂行する。
【具体的な研究テーマ候補】
・日本の治験が進むべき方向性について(日本における治験の活性化)
・低分子創薬研究のこれから
・予防医療における製薬産業の役割と課題
・意識調査からみるヘルスリテラシーの変化と役割
・薬事規制の評価:承認条件 -今後の市販後のリスク評価のあり方について-
・診療データを用いた新薬使用による医療費の推移
・薬剤経済評価に対する製薬企業の現状調査
・アンメット・メディカル・ニーズに対する医薬品の開発・承認状況(継続テーマ)
・2013 年承認品目の臨床開発と承認審査に関する調査
(継続テーマ:東京大学との共同研究)
・イノベーションの科学的源泉とその経済効果の研究(一橋大学との共同研究)
・アカデミア発のイノベーションを医療応用へ導くための研究
(武蔵野大学との共同研究)
・産業レポート-2020 年に向けた産業の使命と課題(仮題)-(政策研全体テーマ)
3.産業調査事業
2015 年度からの本格稼働を目指して事業推進のあり方を確立するとともに、調査・分析及
び製薬協に対する支援を着実に実施する。
①外部専門家も活用して産業調査部門のあるべき姿を確立する(2014 年 9 月)。また、その
成果を踏まえて本格稼働に向けた体制整備を進める(2015 年 3 月)。
・産業調査部門の業務の範囲と業務遂行体制
・構築すべきデータベースのあり方(予算化と実施は 2015 年度)
・産業政策委員会を中心とする各委員会との連携体制のあり方
・産業調査部門の成果のあり方と対外発信方法など
②政策研の過去の成果や政府統計など入手可能なものから基礎的なデータベースを整備し、
これをもとに製薬協の政策提言活動に対する支援を行う。
20
18.事務局
【重点課題】
1.常任理事会、理事会、総会等の会議運営の活性化
(1)常任理事会、理事会、総会の会議の活性化
基本的に3層会議は5月のみに変更したので、重要案件優先の会議運営により活発な議
論・意見交換を行う。
(2)企画政策会議の機能及び業務の改善。
(3)医薬産業政策研究所(政策研)の調査部門の設置等、さらなる拡充を図る。
2.事務局機能の強化と政策提言能力の向上及び業務効率化
(1)事務局内の人的資源をフレキシブルに活用するための再配置を行う。
(2)製薬協予算の効率的運用を図る。
(3)第15回製薬協フォーラム(11月27日開催予定)の企画、運営を行う。
21
【参考】
2014 年度事業方針及び事業計画
1.研究開発型製薬産業を取り巻く状況
<政治・経済・財政>
我が国で 2012 年末の総選挙によって誕生した安倍政権は 2013 年 7 月の参議院議員選
挙で安定多数の議席数を確保し、また 9 月には 2020 年オリンピック・パラリンピック
の東京開催も決定し、ここ数年見られなかった安定的な政権の基盤が築かれつつあり、
「デフレ脱却」、
「円高是正」実現に向けた「3本の矢」のアベノミクスにより力強い経
済・財政政策が進められている。
一方、引き続き少子高齢化や人口減少が世界的に前例のないスピードで進展している。
また、世界の経済も、リーマンショック後の経済低迷及び、EU通貨危機に伴う世界的
経済低迷から徐々に回復しつつあるものの依然厳しい経済状況が続いている。また、い
わゆる BRICS 諸国など新興国経済の拡大により、その重要性がますます増大するなど、
世界経済の構図の変化は続いている。医薬品市場においてもアジアを中心とした新興国
経済の進展等により海外市場が拡大する一方、国際競争がさらに激化するとともに、相
対的に国内市場のシェアは低下してきている。
我が国ではアベノミクスによる金融緩和で経済が上向きつつあるものの、財政は厳し
い状況が続いており、財政再建は依然重要課題であり、その道筋をつけるとともに社会
保障制度を持続可能なものとするため 2012 年から「社会保障と税の一体改革」が進め
られ、社会保障国民会議報告書が 2013 年 8 月にまとめられた。消費税についても 2012
年 8 月に成立した法律に基づいて、経済が上昇傾向にある事から 2014 年 4 月から 8%
に引き上げられることが決定した(なお、2015 年 10 月から 10%が予定されている)。
製造業の中でもトップグループの担税力を誇る医薬品産業は、後述するようにアベノ
ミクスでの国家経済の牽引役たる成長産業として期待されているところであり、iPS 細
胞技術など先端的技術の活用による革新的な医薬品の継続的な創出を通じて、科学技術
の発展への貢献、健康で安心な社会への貢献とともに経済成長への貢献を担うことが求
められている。
<健康医療分野におけるイノベーションの推進>
安倍政権は第一次内閣時代にも医薬品産業を成長産業として重視していた経緯もあ
り、政権復帰後 2013 年 6 月にまとめられた成長戦略たる「日本再興戦略」や「健康・
医療戦略」においても、イノベーションの促進による医療の質の向上・経済発展への貢
献が医薬品産業に対し期待されている。
なお、政府においては健康医療分野におけるイノベーション推進のため、①創薬支援
ネットワークの構築、②いわゆる日本版「NIH」の創設、③ARO 機能を有する医療機関
22
の整備といった施策に着実に取組んでいる。このうち、創薬支援ネットワークについて
は 2013 年 5 月に始動して 2 年目を迎えることから、本格的な稼働と今後の成果に結び
付く活動が期待される状況にある。また、いわゆる日本版「NIH」については 2013 年 8
月に内閣総理大臣を本部長とする「健康・医療戦略推進本部」が設置され、これに政策
的助言を行う「健康・医療戦略参与」と専門的・技術的助言を行う「医療分野の研究開
発に関する専門調査会」が協働して医療分野の研究開発に関する総合戦略が 2014 年 1
月に策定された。今後はこの総合戦略に基づく一元的な研究管理・環境整備を行う独立
行政法人「日本医療研究開発推進機構(仮称)」が関係法の整備とともに 2015 年 4 月に
も新設され、より強力な推進施策が進められていく情勢にある。
一方、規制改革会議などにおいてもイノベーションに対する好意的な意見が出されて
いるものの、医薬品業界や薬価制度に関する十分な理解を得ない中では財政抑制の方針
の下で厳しい議論になる傾向があることから、業界を挙げてイノベーションの価値が適
切に反映される薬価制度改革を引き続き目指す必要がある。また、HTA(医療技術評価)
の導入がイノベーションの阻害要因になりうることを訴えていく必要がある。
<コンプライアンスの徹底と企業活動の透明性確保>
この数年は事業方針の重点課題の冒頭にコンプライアンスの徹底を掲げて取組んでき
たが、昨年は高血圧治療薬の臨床研究事案に関連して、製薬産業側にさらなる厳しい対応
が求められた事項もあり、今年度も引き続きコンプライアンス研修会等の充実などにより
コンプライアンスの徹底を目指す。
また、2013 年度は「企業行動と医療機関等との関係の透明性ガイドライン」に基づい
た自社の指針に沿って、各種データが本格的に公表されたが、一部 2014 年度からとされ
た項目の詳細開示も加わることになる。また、各社が策定した「コード オブ プラクテ
ィス」の定着に向けて努力すべき年度でもあることから、研究開発志向の製薬企業に対す
る社会からの期待と共に関心も一層高まると考える。
<社会保障・医療>
消費税の引上げによる増収分は、医療・年金・介護・子育て支援に充当することとされ
ているが、少子高齢化の進展等に伴い、今後とも引き続き医療費適正化、高齢者一部負担
のあり方等、この分野においても一層の効率化が求められるものと考えられる。このため
医薬品業界においても薬価抑制の圧力は強まるものと思われ、医薬品業界を取り巻く情勢
は今後も引き続き厳しいものと認識される。
毎年約 1 兆円の自然増が続いている医療の分野においては、中央社会保険医療協議会に
おいて、これまでになく早くから医療技術評価の導入、長期収載品の薬価のあり方などに
ついて検討が行われてきた。薬価基準制度においては、2013 年 9 月を対象月として実施
された薬価調査に基づいて基本的な改定が行われた。その結果による改定は、薬価ベース
▲5.7%(医療費ベース▲1.22%)のところ、+0.64%(医療費ベース)が消費税率引き上げ
に伴う医療機関等のコスト増への対応分とされたことから、結果として▲0.58%(医療費
23
ベース)が最終的な改定率となった。しかしながら、昨年 12 月 25 日にとりまとめられた
次期薬価制度改革の骨子に基づき、新薬の薬価算定ルールについても多くの事項で従来の
ルールを厳しく見直すことが決定された他、長期収載品の特例的引下げのルール化(Z2)
も行われた。また、業界として最重要課題としていた「新薬創出・適応外薬解消等促進加
算」の制度化は次回(2016 年)改定以降に持ち越された。この他、後発品についても新
たな価格算定ルールが導入され、全体として厳しい改定が行われた。
業界としては、今回改定の影響を今後見極めつつ、次回改定(2016 年)に向けて業界
全体として適切な対応を行っていく必要がある。その際には、①担税力もあり日本経済の
牽引役として期待されている医薬品産業の継続的な発展は国民医療における健康水準の
向上につながるという視点も忘れてはならないこと。②わが国の医療費は、対 GDP 比率で
は OECD 諸国の中で平均的な数字になっているものの、高齢化が最も進んでいることを考
慮すると、まだ相対的に低い水準であることも踏まえて医療費のあり方、医療政策を論ず
る必要があることについても引き続き訴えていく。
なお、医薬品の薬事承認については、業界側の手数料負担等による PMDA の審査体制整
備等によって審査ラグが短縮し、欧米並みの迅速な審査が定着する中で、企業側も国際共
同治験を活用するなど申請の早期化に向けた取組に努力しており、ドラッグ・ラグの短縮
が進んできている。一方、アクセスの改善に対する評価が見られるものの、患者団体等か
らは希少疾病や難病などのアンメットメディカルニーズの充足など、さらなる治療満足度
向上への期待も高まっており、iPS 細胞を活用した再生医療・個別化医療の進展なども期
待される。このような状況の中で 2014 年 4 月から PMDA の次期中期計画が開始されること
から、これらの具体的計画(申請電子データ対応等の審査業務の高度化、データベースを
用いた安全対策業務の高度化、さらなる国際化など)の進展について注視していく必要が
ある。
<海外動向>
一時期の世界同時株安、EU 通貨危機等の厳しい状況からは若干の回復の兆候は見られ
るものの、世界成長は依然として抑制された状況が続いている。米国の医療保険制度改革
も政治的・経済的な影響を受け依然不透明な状況が続いており、また米国の財政事情によ
り医療費抑制圧力がかかる事には変わりない状況にある。また、欧州での通貨危機は落ち
着きを取り戻しつつあるもの、EU 各国の HTA 手法を利用した医療費への削減圧力はます
ます強まる傾向にある。また巨大市場である中国経済においても経済成長の減速が明らか
になってきており、加えて、我が国の場合は、尖閣諸島国有化問題により国家間の対話等
が事実上凍結し、現実の日本製品売上の減少など、日中両国の経済へ悪影響を及ぼしてい
る。このような中、BRICS 諸国など新興国市場は医薬品産業にとっても益々重要な市場と
位置づけられ、安倍首相によるトップセールス外交も積極的に進められている。
一方、途上国における医薬品特許に対する合理性を欠く強制実施権行使が広がりをみせ
ており、我が国や欧米の研究開発型企業にとって大きな懸念材料となっている。そのよう
な中、進行中の TPP(環太平洋パートナーシップ協定)、RCEP(東アジア地域包括的経済
24
連携)、日 EU、日カナダなど多国間、二国間経済交渉でも、知的財産制度は重要テーマと
なっており研究開発型医薬品企業にとっても極めて重要な局面を迎ええている。
さらに、欧州、米国などでは医薬品産業に対する評判は良いとは言えない状況にあり、
各国とも医療機関との関係や許認可プロセスにおける透明性要求はますます強まりつつ
ある。
他方、WHO や APEC における議論でも NCD(非感染性疾患)は発展途上国における死亡率
の主要な要因となっており、医薬品アクセス改善や従来の NTD(顧みられない熱帯病)対
策と併せ、途上国のグローバルヘルス向上への貢献は医薬品企業の重要な使命となってき
ている。安倍首相も途上国への開発支援強化を宣言すると共に、新しい官民のパートナー
シップ GHIT(Global Health Innovative Technology Fund) の設立など、官民での支援体
制も推進しつつある。
<環境・その他>
2011 年 3 月の東日本大震災と福島の原子力発電所事故の後、安全な生活基盤の確立や
エネルギー問題、特に電力量確保問題など解決しなければならない重要課題は依然残され
たままである。大規模災害の予想が公表される中で引き続きその備えの充実が求められて
いる。また、異常気象頻発の主原因とも指摘されている温暖化等を始めとする地球環境の
問題は益々その重要性を増してきている。
そのような中、低炭素社会の実現に向け日本経団連主導の下に策定された実行計画につ
いて、製薬協も参画、会員会社にその取り組みを要請してきているところであるが、原発
事故に伴う電力量確保問題に関連して CO2 削減目標の達成は困難な状況になっている。そ
の後、これまでの目標見直しについて明確な動きは遅れていたが、昨年末になって日本政
府としての新たな削減目標が国際会議に表明されている。今後、新たな目標が正式に国ま
たは日本経団連より提示された場合は、実行計画の見直しが求められることになると思わ
れ、速やかな見直しが必要になるものと考えられる。
なお、2012 年 8 月には、住民の生活環境の安定も目指している「動物愛護及び管理に
関する法律」が 5 年ぶりに改定されたが、会員会社には、実験動物を扱う製薬企業として
3R 等の自主管理の一層の推進と第三者認証制度の積極的な活用が求められている。
2.事業方針
上記の状況を踏まえると、製薬協が取組むべき課題は非常に多岐にわたり、また複雑で
あるが、医薬品産業の健全な発展を通じて医療の質の向上を目指すとの基本認識に基づき、
これらに関連する優先的な事項を取り上げ、2014 年度においては、新薬創出の一層の活
性化を通じて、日本経済の牽引役となる成長産業となることを目標とし、特に下記の主要
4 課題の解決に向け会員会社(及びそれらからなる会議体としての常任理事会、理事会、
総会)、関係委員会、医薬産業政策研究所および事務局が一体となって積極的に取り組ん
でいく。
(1)コンプライアンスの徹底と企業活動の透明性の向上
25
(2)イノベーションの促進による医療の質の向上・経済発展への貢献
(3)国際連携の推進とグローバルヘルス改善への取り組み
(4)積極的な情報発信とステークホルダーとの相互理解の推進
3.事業計画
(1)コンプライアンスの徹底と企業活動の透明性の向上
○2011 年 3 月に改定された製薬協の「企業行動憲章」、「コンプライアンス・プロ
グラム・ガイドライン」に規定されている各種対策の徹底のための研修会等を継
続して実施するなど、各社のコンプライアンス体制の強化を推進する。
○製薬産業に対する国民の信頼を確保することが全ての活動の前提であり、2013
年 1 月に新たに策定された「コード オブ プラクティス」に基づく自社コード
の遵守を徹底するための取り組みを行うことなどにより会員会社のコンプライ
アンスの徹底を図る。
○「企業行動と医療機関等との関係の透明性ガイドライン」に基づく自社基準に基
づいて、昨年から支出が公表されてきていることを踏まえ、会員会社の取り組み
の円滑化に向け引き続き支援するとともに、企業と医療機関等との連携による創
薬創出に向けた活動がきわめて重要でありかつ適正に行われていることにつき
社会での正しい理解が進むよう会員会社と共に活動する。
○2013 年度は医師主導の臨床研究に対する製薬企業の関与事例が大きな批判を浴
びることになったことから、臨床研究に関する制度の見直しの検討状況等につい
ても注視していく必要がある。
(2)イノベーションの促進による医療の質の向上・経済発展への貢献
革新的医薬品の開発、アンメットメディカルニーズへの対応等を通じて、我が国の
医療の質の向上・経済発展に積極的に寄与するため、日本再興戦略、健康・医療戦略、
第 4 期科学技術基本計画、臨床研究・治験活性化5か年計画 2012 等に盛り込まれて
いる施策の実現を目指す。
○医薬品の価値が、これまで以上に適切に反映される薬価制度改革の実施
ア 「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」制度の完全・恒久実施(あるいは制
度化)に向け、関係方面への理解促進活動をさらに継続する。
イ 未承認薬・適応外薬の第 2 次公募に基づく開発企業公募品目について一般社
団法人未承認薬等開発支援センターと連携して開発企業確定作業に取り組む
とともに、ミスマッチ問題の議論を注視し、業界全体として未承認薬等の解
消に取組んでいることの意義につき理解を求めるなど、必要な提言作成に協
力する。また、第 3 次募集の開発要請品目については、これまでの取組みに
加え医療上の意義や開発上の難易度について行政側と充分な事前協議を行い
適正な品目選定を目指す。
ウ 長期収載医薬品の薬価のあり方、薬価基準制度に関する課題及び医療技術評
26
価における費用対効果問題等について日本製薬団体連合会と協力した取り組
みを継続する。
エ 医薬品流通問題に関して、様々な関係者と協力し、改善を図る。
○研究開発促進、国際競争力強化のための税制改正の実現
ア 平成26年度末までの 2 年間の時限措置として認められている「30%控除枠」
について制度の実施に向け関係各方面に引き続き強く働きかけていく。
イ 平成 25 年度税制改正で復興特別法人税が前倒しで廃止されたが、先進国、ア
ジア諸国に比して重い法人実効税率の一層の引き下げを要請する。ウ 研究
拠点国としての日本での一層の研究の活性化を図り、パテントの一層の活用
促進を目指し、日本におけるイノベーションボックス税制(パテントボック
ス税制)の実現を目指して継続的に取組む。
エ オープンイノベーションの活用促進および産官学連携の一層の推進に向け、
企業版エンジェル税制の導入を継続して提言していく。
○研究開発基盤及び臨床研究体制、承認審査体制整備の一層の促進
ア 本年 1 月に策定された医療分野の研究開発に関する総合戦略の実施段階に
おいて、政府に対し、引き続き着実な実行を働きかけるとともに、業界とし
ても可能な限り協力する。
イ いわゆる「日本版 NIH」である「日本医療研究開発機構」
(仮称)創設に向
けた政府の取組みを支持するとともに、我が国の科学技術政策に関する司
令塔機能を充実・強化するよう引き続き提言する。また、各省庁で個別に
実施されている科学技術予算について、大幅に拡充するとともに政府全体
で統一的に編成すること、ライフサイエンス、医療イノベーションの重要
課題に重点的に投資すること、日本再興戦略にも記され、設立が決定した
「日本医療研究開発機構」
(仮称)の具体化に向けた施策を着実に進めるこ
と等について政府に働きかける。
ウ 昨年度本格稼働した創薬支援ネットワークにつき、協議会等を通じて、様々
な助言を行うとともに人材の供給源となること等により、産業の立場から
早期成果の実現に協力する。
エ ARO 機能を併せ持つ臨床研究中核病院等の体制の整備、質の高い臨床研究
や効率的な治療の推進、重点疾患における治験体制のネットワーク化等開
発力強化に資する臨床試験実施医療機関整備対策を推進するよう働きかけ
る。また、高血圧治療薬を巡って臨床研究の在り方に関する様々な課題が
取上げられていることから、臨床研究倫理指針の見直しや法制化等の検討
が進められていく方向にあり、これを注視していく。
オ 医療情報データベースの利活用等を通じて、新たな有効性・安全性確保の
ための評価手法の確立に関係者とともに取組む。
カ 世界の革新的医薬品が低分子医薬品からバイオ医薬品へシフトする中、日
本においても遅れをとることのないよう、バイオ医薬品(ワクチンを含む)
27
の研究開発及び製造の基盤整備推進へ向け政府への働きかけと連携を引き
続き推進する。また、iPS 技術などの新技術に基づく画期的新薬の開発を
目指し、疾患特異的 iPS 細胞研究事業に引き続き参画・連携支援するとと
もに、同技術を用いた安全評価技術等の確立に関係機関とともに取り組む。
なお、バイオジャパン等への引き続き積極的に参加していく。
○医療上の必要性の高い医薬品等の迅速な承認等についての検討
ア PMDA(医薬品医療機器総合機構)が実施する審査、治験相談、信頼性調査及
びその他の事項についての問題点、課題について対応策を検討して PMDA へ提
言する。
イ 改正薬事法の施行準備状況及び GMP に関する PIC/S 加盟申請等を注視し、簡
素・合理化、国際整合の観点から、制度改善について検討して厚生労働省や
PMDA へ提言する。
○安全対策の強化
ア 新たなリスク管理計画の導入や改正薬事法による添付文書の届出制への取り
組みについては、日本製薬団体連合会とも協力して適切に対応する。
イ 医療情報データベースの利活用による薬剤疫学的な評価に基づく安全対策へ
の対応について PMDA 等とも連携し、より進展させる。
○職務発明制度の改正
現行の職務発明制度では特許に係る権利が「原始的に研究者個人に帰属」となっ
ている日本特有の職務発明制度をグローバル標準に合わせた「原始的に法人帰属」
に改正に向けた提言活動を推進する。
(3)国際連携の推進とグローバルヘルス改善への取り組み
○アジアでの革新的医薬品開発を速やかに推進するため、政府の国際展開戦略と連
携しつつアジア各国との相互理解を促進するとともに、2012 年 3 月に発足した
アジア製薬団体連携会議(APAC)を、厚生労働省、PMDA、並びに各国規制当局の
参画を一層推進させるなどにより、相互理解の促進を通じて新薬開発・許認可に
関連した様々な各国規制の調和や改善を図り、本会議の継続的開催に向け発展さ
せる。
○欧州におけるイギリス、フランス、ドイツとの二国間定期協議を継続発展させる
とともに、特に革新的医薬品の価値を適切に評価できる仕組への改善を図る。
また、アジアにおいては、中国、韓国、台湾などとの二国間協議を継続発展させ
るとともに、日中韓の協議の再開に向け努力する他、インド、タイ、インドネシ
ア、ベトナム、マレーシアなどの ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国との連携を
強化する。ロシア、ブラジル、メキシコなどの新興国とは当該政府を含めて本格
的に連携を開始し進展させる。
○グローバルヘルスの向上に貢献することが当協会および会員企業の社会的使命
であるとの認識の下、NTD(顧みられない熱帯病)、NCD(非感染性疾患)などの
28
予防、治療への貢献を進めるとともに、偽造医薬品問題等の解決及び国際協力活
動として継続して行っているアジア諸国におけるキャパシティビルディングも
含め、グローバルヘルス改善への取り組みの強化を推進する。
○ICH(国際規制調和会議)の活動等を通じ、医薬品規制の技術的面からの国際調
和を推進する。
○標準となりつつあり、わが国も加盟申請した GMP に関する PIC/S への対応を進
め、本年度中に正式加盟となるよう行政当局とともに努力する。
○APAC やアジアレギュラトリーカンファレンス(ARC)の枠組みを利用してアジア
内の薬事規制の相互利用を可能とする動きに積極的に取組み、APEC 活動(ライ
フサイエンスイノベーションフォーラム、LSIF)にも参画して規制当局との連携
を図る。
○研究開発型の製薬企業にとって重要な知的財産保護に関連する事項として、TPP
(環太平洋パートナーシップ協定)、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)、日・
EU、日・カナダなどの多国間、二国間経済交渉を利用し、重要事項である各国へ
の知的財産制度をはじめ、各国の医薬品事業の環境改善に向け適切に対応すると
ともに、新興国における強制実施権問題等の動向に引き続き注視する。
○生物多様性条約名古屋議定書批准に向け遺伝資源利用と利益配分に関する国内
措置制定へ産業界の視点から適切に対応する。
○上記のグローバル課題の解決に向けて、IFPMA、PhRMA、EFPIA と引き続き連携し、
また、WHO、WTO、APEC 等の国際機関等との連携を強化する他、JICA、JETRO など
の我が国の国際援助・国際貿易機関との連携を図る。(
(4)積極的な情報発信とステークホルダーとの相互理解の推進
製薬協の活動等について積極的な情報発信を行うとともに、当面の諸課題への対応
を適切に行うため、関係するステークホルダーとの相互理解を推進する。
○製薬協の提言実現のため「官民対話」、
「健康医療戦略参与会議」などを通じて政
府との建設的な協議を進める。
○研究開発型製薬産業及び医療用医薬品が果たしている社会的役割の重要性(国
民・患者への貢献、医療技術・科学技術水準の向上、経済成長への貢献、産学連
携の重要性ならびに医療機関等との活動の透明性確保、コンプライアンス徹底へ
の取組み等)について、広く国民の理解を促進するための情報発信の強化に引き
続き取り組む。
○また、製薬業界の置かれている状況について広く社会の理解を得るよう努める。
この一環として患者団体との相互理解を深め、共通の目標に向けて協働を進めて
いく。
(5)その他
○当面する諸課題に適切かつ迅速に対応するために、会則で明確化された常任理
29
事会、理事会、総会の役割・機能がより有効に発揮されるよう会議の活性化を
図る。
○昨年度策定された「医薬産業政策研究所のあり方」に基づき、機能が明確化に
された運営委員会のリードにより研究テーマ並びに情報テーマの充実化を着実
に推進する。
○事務局スペースの狭隘化が進む中、事務局機能の強化、予算・組織の合理化・
効率化の観点も踏まえつつ移転なども含めた検討を行う。
30