vol. 8 22 8 28 2014 年 8 月29 日号 204 ハウジング・トリビューン【ウィークリー】 http://www.sohjusha.co.jp 今週のトピック解説 林野庁、CLTの生産体制整備に向け補助事業を開始 林野庁は、CLT(直交集成板)の生産体制を整備する企 業を支援する補助事業を開始する方針を固めた。2015 年度 の予算要求に盛り込んだ。林野庁は、これまでにも「森林・ 林業再生基盤づくり交付金」を活用して、木材加工施設を新 設する企業などに対して補助を行ってきた。2014 年度の同 交付金の予算額は 22 億円。2015 年度の予算要求では、さ らに CLT 生産設備の整備にあてる費用を増額した。 2016年度のCLT実用化前に 一定量の生産体制を整備 CLT とは、ラミナ(挽板)を繊維方向が直交するように 国産材の需要拡大に寄与する新構造材として注目を集めている CLT 積層接着した大型面材。鉄筋コンクリートに匹敵する強度を プレス機だけを導入するケースなども想定している。そのほ 誇る。CLT を構造材として用いることで、より効率的に中 か、他のラミナ製造工場からラミナを仕入れ、CLT のプレ 大規模建築を建てることが可能になる。また、CLT の製造 ス加工を行う企業なども対象になる。 には大量の木材を利用するため、利用期を迎えている国産材 すでに国内の集成材メーカーなど数社が CLT の製造に の需要拡大に寄与する新構造材として注目を集めている。 乗り出しているが、それぞれの生産能力は、最大でも年間 だが、現状では建築基準法上で構造材として認められてい 4000㎥ほどにとどまっている。これに対して CLT の先 ないため、CLT を用いて建築物を建てる場合には国土交通 進地であるヨーロッパでは、年間 4 万㎥の生産能力を持つ 大臣認定が必要になる。こうした中で国土交通省が中心とな CLT 生産工場の整備が進んでいる。ちなみに林野庁の試算 り CLT に関する技術基準の策定作業を進めている。この技 によると、年間 4 万㎥の CLT 生産能力を持つ設備の導入コ 術基準に基づきながら建築基準法を改正。2016 年度の早期 ストは約 30 〜 40 億円。 には CLT が実用化される見込みだ。 「CLT の生産能力が高いほどコスト削減などのスケールメ 今回、林野庁が新設する補助事業は、2016 年度の CLT リットが生まれる。今回の補助事業では、生産能力による制 実用化を見据え、CLT の安定供給体制を整備する狙いがあ 限を設けていないが、生産能力が高いほどより補助金を受け る。林野庁木材産業課の髙畑啓一課長補佐は「2015 年度内 やすくなる」 (髙畑氏)としている。 に一定量以上の CLT 生産体制を整えておく必要がある」と また、地域材を利用して CLT を製造することも今回の補 話す。今回の補助事業では、CLT の生産設備の導入コスト 助金を受けるための必須条件となる。 「今回の補助事業では の 2 分の 1 から 3 分の 1 を補助する。 都道府県を通じて申請してもらう。CLT の生産体制の整備 CLT の原料となるラミナの製造設備や、ラミナを積層接 に取り組む企業は、その取り組みが林業や地域の活性化に寄 着するための大型プレス機などを導入する企業が対象。 また、 与する取り組みであるのかを都道府県から認めてもらう必要 CLT のラミナには、集成材で用いるラミナとほぼ同じもの がある。山側と連携して安定的に原木を確保できる体制が整 を利用できるため、集成材メーカーが新たに CLT 用の大型 備されているかなどがポイントになる」 (髙畑氏) としている。 今週の主なニュース 8 22 8 28 ・積水ハウス 大開口を実現する木造住宅の新構法を開 発 新構法を導入した住宅新商品も発売 ・ミサワホーム スマートシティ第一弾が街びらき 「涼 を呼ぶまちづくり」がコンセプトに ・トヨタホーム 赤ちゃん医学を取り入れた住宅新商品 を開発 育児用品メーカーとコラボ ・三協立山 三協アルミ社 太陽電池一体型目隠しルー バーの発電効率を向上 リフォームにも対応可能 ・YKK AP 高い換気効果を発揮するウィンドキャッチ 連窓・段窓を発売 引き違い窓に比べ換気量は約 3 倍 ・トクラス バスタブ発売開始 50 周年記念モデルを提 案 バスタブに大理石のテイストを再現
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