産業用ロボット

代を
切 り拓
モーターサイクルの喜びを共有する。
ミーティング﹂﹁U ― ミーティング﹂
など
の催しを継続的に実施。コーヒーブレー
ファンが集う場をつくり、熱い思いに
ク ミーティングは、
2013年に100
商品力とは、顧客が商品を買う前に理
耳を傾けるのも、次なる突然変異を求め
回記念を迎えたが、会場となった淡路島
解する商品の属性が他社よりも優れ、そ
てのことである。顧客についての深い理
ユー ザーの尖った 声 を 聞き 、
ユー ザ ー を 知 る 活 動にこ そ 、
すべての起 点 がある
の属性により顧客を獲得する力だ。突然
解こそが新たな技術革新を促している。
には3800人ものファンが集った。
変 異 やD N A に 象 徴 さ れ る 開 発 思 想 は 、
技術が尖り、
先行しているかに見えて、
川崎重工のモーターサイクル事業で
ま さ に 商 品 力 そ の も の 。一 方 、商 品 性 と
は、﹁商品力﹂と﹁商品性﹂という言葉が使
は、顧客が商品を購入した後に理解する
実は顧客の
﹁ Fun to Ride
﹂
の夢を知り、
技術とのスパイラルを生み出す。
﹁なぜ Kawasaki
なのか﹂﹁ Kawasaki
の何
が 良 い の か ﹂。参 加 者 は 思 い 思 い に 語 り
商品属性が他社よりも優れ、その商品属
そこに川崎重工のモーターサイクル
い分けられる。
性により満足し、再び同じメーカーの商
1968年、米ユニメーション社と技術提携
し、翌69年から国産初の産業用ロボット
の商業生産を開始。
事業の核心がある。
ユニメート2000 型
品を選んでもらう力だ。
性能や品質、
メン
国産初の産業用ロボット
テンナンスのしやすさなどがあるが、こ
初代
モデル
こで重要な活動となっているのが、
﹁ Kawasaki
のモーターサイクル﹂をより
深く知ってもらうための活動だ。営業本
部長の浅野はそれを、﹁ことづくり﹂と表
現する。
会社であるカワサキモータースジャパン
が組織する﹁KAZE 活動﹂。川崎重工の
モーターサイクルファンのためのクラブ
組織で、
独自の月刊情報誌を発行したり、
加入しやすい保険商品を用意したり、
レースの応援やツーリングツアーを企画
国産初号機の開発以来、次々と活用分野を拓き、ロボット産業の基盤をつくってきた。
したりしている。
現在、
会員数は2万50
川崎重工の産業用ロボット事業は、人間本位のものづくりの哲学を背景に、
00 人を数える。他メーカーも同様のク
産業用ロボット
ラブを組織したが、今なお活動が続くの
【vol.003】
は
﹁KAZE﹂
だけである。
Epoch
Maker
その象徴が、モーターサイクルの販売
く
さ ら に﹁ カ ワ サ キ コ ー ヒ ー ブ レ ー ク
時
29
「 K A Z E 活 動 」は 、独 自 の 月 刊 誌 の
発 行 や ライ ダ ー ズミー ティング の
開 催 などによりファン が 交 流 する
だ け で な く、ファン の 尖った 声 を
知るため の 機 会にもなって いる。
スポット溶接用ロボット
B シリーズ
垂直多関節型の溶接ロボット。アー
ムの軽量化や高出力・高回転小型
モータ、最新の防振制御などにより
サイクルタイムを大幅に短縮。さら
にケーブル・ホース類をアーム内に
内蔵することで、隣接ロボットや周
辺装置との干渉を解消した。
高速ピッキング
ロボット
クリーンルーム用
ロボット
Y シリーズ
NT シリーズ
小型ながら最大可搬質量が2kg
と3kgの2機種があり、高速・高
精度・安全な搬送が可能。食品、
薬品、化粧品の製造ラインのみ
ならず電子関連機器まで幅広い
用途で活用されている。
微細な塵の混入も許されないク
リーンルームでの電子部品製造。
ウェーハの搬送に活躍する水平
多関節型のロボット。独自の駆動
部により高精度で高剛性、そして
滑らかな動きを実現している。
MS005N
ロボットによる作業の自動化への要求が高まって
いる医薬・医療現場でも、川崎重工は先駆的な存
在だ。人が介在することによる作業ミスや微生物
の混入を防ぎ、抗ガン剤などの高薬理活性医薬品
の取り扱いによる感染を防ぐ。MS005Nは、オー
ルステンレス構造とすることで薬液耐性が高く、
洗浄性、サニタリー性に優れたロボットです。
Future
Vision
モーターサイクルの持続的な成長をめざし
関連団体が「二輪車産業政策ロードマップ」を策定
日本のモーターサイクル産業の持続的な成長をめざした取
日 本 の 優 れた 商 品 の 提 供 を 通じて 世 界 中 の 人 々 の 生 活 の 質
り組みが相次いでいる。
の 向 上と社 会・経 済 の 発 展に寄 与し、日 本 の 二 輪 車 産 業 の 持
2 0 1 3 年には、経 済 産 業 省 の 支 援を得て官 民 一 体による会
続 的 な 成 長 をめざして いる。一 方 、国 内 市 場 では 、① 安 全・安
今 界では、日本製の産業用ロボットが過半数を占め、日本は“ロ
の自動化に産業用ロボットを適用した初の試みであった。
一時、
ロボット
議体「BIKE LOVE FORUM(BLF)」が発足。2020年度をゴー
心 な 二 輪 車 利 用 環 境 の 醸 成 、② 社 会との 共 生 の 実 現 、③ 社 会
メーカーは200社を超えたが、
その競争のなかで生き残ったメーカーに共
ルとした目 標 の 設 定や課 題 の 整 理 、実 行 施 策や展 開イメージ
基 盤 の 整 備 、④ 免 許 制 度 の 見 直し、⑤ 快 適さや楽しさの 訴 求 、
ボット大国”として世界のものづくりを支えている。
通するのは、
ロボット勃興期に川崎重工が試みた、
新しい分野への積極的な
などについて議論がなされている。
をめざすことにしている。
その先駆が川崎重工で、
「産業用ロボットの父」と呼ばれたエンゲル
適用を自らの課題とした点にある。
その意味で、
川崎重工の産業用ロボット
BLF活動と連動し、2014年5月には日本自動車工業会など
川崎重工も、BLF活動やロードマップの実現に尽力してモー
バーガー博士が創始した米ユニメーション社と提携して1968年に国
の開発は、
日本のロボット産業のDNAを形づくるものだった。
モーターサイクルの関連8団体と、地元にモーターサイクル産
ターサイクル事業の成長に向けた基盤づくりに協力している。
産初の産業用ロボットの開発に成 功。70 年代に入ると大手自動車
産業用ロボットは、機械技術、エレクトロニクス、コンピュータ、サー
メーカーに相次いで導入され、これを機に日本は産業ロボット大国へ
ボモータ、センサなどの総合技術であり、利用技術、生産技術、現場技
の道を歩み始める。
術の裏付けがあればこそ生産現場で力を発揮する。その総合力を背
川崎重工では、
自社工場でさまざまな用途へのロボットの活用を試み、
景に、過酷で困難な作業はロボットに任せ、自らはより人間的な作業
その知見が他の産業分野での活用へとつながっていった。
例えば、
明石
に集中するという、人間本位のものづくり哲学が川崎重工のロボット
工場
(兵庫県)
での工作機械の自動運転システム
(1971年)
は、
機械加工
事業の基本思想になっている。
やものづくりに不可欠な存在となっている産業用ロボット。世
09
医薬・医療向けロボット
最新
シリーズ
Kawasaki News 176
業を擁 する5つ の 地 方 自 治 体 が 共 同 で 、モ ーター サイクル の
成 長 戦 略シナリオである『 二 輪 車 産 業 政 策ロードマップ 』を取
りまとめ公表した。
ロードマップでは、2020年を目 標に、①グローバ ル 市 場で
世 界 の バイクの 2 台に1 台を“ JA PA N ”ブ ランドにする、② 国
内 市 場では新 車 販 売を100万 台とする、③ 国 内における利 用
者マナー の 向上、の 3つの目標を掲げている。国 際 市 場では
2 014 年 8 月に浜 松市 で 開かれ
た第 2 回 BLF。モーターサイクル
の楽しさと、産業としての発展を
考える重要な催しになっている
Kawasaki News 176
08