PPレポート H261031 - プルータスコンサルティング

From Independent Valuation to Customized Solutions
PLUTUS+ MEMBER’S REPORT
No.55
サイズ・リスクプレミアム再考 –ヒストリカル手法とインプライド手法October 31, 2014
明 石 正 道
1. はじめに
弊社では、平成 21 年 1 月から企業価値評価用データ配信サービス”Value Pro”の提供を
開始し、株主資本コストの推計に必要となる β 及びリスクプレミアムを集計、配信して
きました。中でも、本サービス独自のデータとして、インプライド手法に基づきマーケ
ット・リスクプレミアムを推計したインプライド・リスクプレミアムと、国内市場のデ
ータに基づくサイズ・リスクプレミアムが挙げられます。
ここで、インプライド手法とは、現在の市場において観察されるデータから、目的と
なる指標を逆算する手法をいいます。これに対し、過去の長期間のデータを平均する手
法をヒストリカル手法といいます。
本サービスでも、マーケット・リスクプレミアムについてはそれぞれの手法に基づく
データを提供しています。すなわち、過去の長期間の超過収益率を平均することにより
算出されるのがヒストリカル・リスクプレミアムであり、企業の予想利益と株価の関係
から逆算されるのがインプライド・リスクプレミアムです。
これに対し、サイズ・リスクプレミアムとしては、ヒストリカル手法に基づくものが
存在せず、インプライド手法に準じて推計されたデータのみの提供となっています。本
稿では、サイズ・リスクプレミアムの推計に際してのヒストリカル手法の考え方を紹介
した上で、本サービスで提供しているサイズ・リスクプレミアムの考え方及び算出方法
を示し、ヒストリカル手法との相違を明らかにします。
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2. サイズ・リスクプレミアムとは
サイズ・リスクプレミアムとは、株主資本コストの推計に際し、規模が小さい企業に
対して適用される追加的なリスクプレミアムをいいます。最も一般的な推計モデルであ
る資本資産評価モデル(CAPM)を前提とした場合、サイズ・リスクプレミアムは以下の
ような形で適用されるのが一般的です。
E (Ri ) − R f = β i × MRP + SRP
(1)
(1)式の左辺は、ある株式のリスクフリーレートに対する超過収益率の期待値、βi はマ
ーケット・リスクプレミアムの変動に対する当該株式の感応度、MRP はマーケット・リ
スクプレミアム、SRP はサイズ・リスクプレミアムです。本来の CAPM では、β とマー
ケット・リスクプレミアムのみにより超過収益率が推計されるのに対し、サイズ・リス
クプレミアムを考慮する場合には、追加的なリスクプレミアムが加算されます。
サイズ・リスクプレミアムが発生する理由としては、小規模な企業のリスクが大規模
な企業のリスクよりも高く、したがって投資家がより高い収益率を期待するからという
説明がなされることがあります。しかし、後述する通り、小規模な企業のリスクが相対
的に高いのは事実ですが、超過収益率の水準は必ずしもリスクの水準に比例するもので
はありません。少なくとも CAPM の理論においては、マーケット・リスクプレミアムに
加えて追加的なリスクプレミアムを考慮する必要はないとされています。
3. CAPM におけるリスクプレミアムの考え方
上記の通り、CAPM においてはマーケット・リスクプレミアムが唯一のリスクプレミ
アムとされます。以下では、このような結論が導かれる理由を明らかにします。
3. 1 期待収益率の前提となるリスクとは
CAPM においては、投資家は危険回避的との前提が設けられます。危険回避的とは、
期待収益率が一定ならばよりリスクの低い投資機会を選好するという投資家の態度を
いいます。ここで、リスクは次式で示されるボラティリティにより定量化されます。
σi =
(
1 n
∑ ui − u
n − 1 i =1
)
(2)
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(2)式の通り、ボラティリティとは、ある株式の収益率の標準偏差に他なりません。
収益率の観察値 ui が平均値の回りに集中するほどボラティリティは高くなり、ui が大き
く変動するほどボラティリティは高くなります。
ただし、ボラティリティがリスクの尺度となるのは、単一の株式に投資する場合に
限られます。複数の株式に投資する場合は、ある株式の収益率が正であっても、その
他の株式の収益率が負となる場合が生じるため、それらを組み入れたポートフォリオ
のボラティリティは、それぞれの株式へ別個に投資した場合のボラティリティの平均
値よりも小さくなるからです。これをポートフォリオのリスク分散効果といいます。
3. 2 CAPM の前提となるリスクとは
分散投資を前提に、リスクの内容を再構成したのが CAPM です。CAPM においては、
投資家が多数の株式に対する分散投資を通じてリスクの最小化を図ることにより、均
衡状態としての市場ポートフォリオが形成されるとの前提が置かれます。
市場ポートフォリオにおいては、特定の株式に固有のリスクは減殺され、景気、金
利、為替など、市場全体に影響を及ぼすリスクだけが投資家の考慮すべきリスクとな
ります。ここで、ボラティリティで記述されるリスクをトータルリスクといい、その
うち分散投資によって減殺可能な個別のリスクをアンシステマティック・リスク、分
散によっても回避できない共通のリスクをシステマティック・リスクといいます。
また、市場ポートフォリオの超過収益率をマーケット・リスクプレミアムといいま
す。市場ポートフォリオに組み込まれた個々の株式の超過収益率は、マーケット・リ
スクプレミアムに対し、その株式の感応度 β を乗じることにより算定されます。この
ような関係を示したのが次式であり、これは(1)式からサイズ・リスクプレミアムを除
いたものに他なりません。
E (Ri ) − R f = β i × MRP
(3)
ただし、(3)式における変数には、個々の株式及び市場ポートフォリオの収益率の期
待値が含まれており、これらを直接観察することはできません。そこで、実際の分析
においては、次式のようなモデルを構築し、実際の市場において観察されたデータか
ら回帰分析により β を推計します。
Rit − R f t = α i + β it × (Rmt − R ft ) + eit
(4)
ここで Rit-Rft は t 期における超過収益率、αi は回帰式の切片です。Rmt-Rft は、概念的
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には t 期における市場ポートフォリオの超過収益率を用いるべきですが、市場ポートフ
ォリオの超過収益率を直接観察することはできないため、通常は流動性の高い市場の
株価指数の収益率から無リスク金利を控除した値を用います。また、eit は誤差項であり、
回帰式では説明できない超過収益率の変動を意味しています。
(4)式のモデルにより推計された β は、形式上次式のように表すことができます。
βi =
σi
× ρ im
σm
(5)
σm は、 (2)式に準じて求めた市場ポートフォリオのボラティリティであり、ρim はあ
る株式と市場ポートフォリオの価格変動の相関係数です。ただし、上記と同様の理由
により、実際の分析においては、直接観察できない市場ポートフォリオの変動に代え
て、十分に分散された市場の株価指数を用います。また、相関係数は、二つの変数の
相関性を示す指標で、両者が全く無関係に変動する場合は 0 を、完全に連動する場合
は絶対値で 1 をとり、通常は絶対値で 0 から 1 の間をとります。
(5)式は、ある株式の β が、その株式のトータルリスクのみならず、市場ポートフォ
リオとの相関性にも依存することを示しています。すなわち、トータルリスクが高く
とも、市場ポートフォリオとの相関性が低い株式では、β が市場全体の平均より低くな
るという現象が生じ、逆の現象も生じ得ます。
したがって、CAPM を前提とする限り、小規模な企業だからといって β が高いとは
限らず、推計される超過収益率が高くなるとは限りません。むしろ、小規模企業の株
価変動が市場ポートフォリオに及ぼす影響は無視しうるほど小さいため、一定の影響
力を有する大規模企業に比べて、β は低くなる傾向があります。よって、CAPM の理論
的な枠組の中では、サイズ・リスクプレミアムが発生する余地はありません。
4. サイズ・リスクプレミアムを説明するための理論構成
上記の結論にもかかわらず、CAPM で推計された資本コストに対し、サイズ・リスク
プレミアムを加算する実務が散見される理由として、最も広く認知されているのが小型
株効果です。小型株効果とは、時価総額の小さい株式に、CAPM で推計される理論値よ
りも高い収益率が観察されるという現象をいいます。以下では、小型株効果を前提とし
たサイズ・リスクプレミアムの考え方と、その限界について明らかにします。
4. 1 小型株効果を反映したサイズ・リスクプレミアムの定量か:ヒストリカル手法
小型株効果を資本コストに反映するにあたっては、ヒストリカル手法に基づくサイ
ズ・リスクプレミアムが用いられます。すなわち、株式市場に属する企業をいくつかの
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時価総額階級に分け、それぞれの階級について過去一定期間における実際の収益率の平
均値を求め、CAPM に基づき推計される当該階級の収益率を控除することにより、その
階級のサイズ・リスクプレミアムが次式のように算定されます。
SRPj = R j − β j × MRP
(6)
SRPj はある時価総額階級のサイズ・リスクプレミアムです。また Rj は過去一定期間に
おけるその階級の収益率の平均値、MRP はその時価総額階級が属する市場のマーケッ
ト・リスクプレミアムです。
4. 2 サイズ・リスクプレミアムの算定におけるヒストリカル手法の問題点
ヒストリカル手法に基づくサイズ・リスクプレミアムの定量化は、小型株効果という
広く認知された現象を背景としており、実際の推計式も(6)式の通りきわめて単純です。
しかし、実務で適用するにあたっては、次のような問題点があります。
4. 2. 1 データの入手が容易でないこと
データの入手が容易でないこと
ヒストリカル手法の適用にあたっては、短期的な変動の影響を平準化した長期的な水
準を求めるため、一定以上の期間にわたるデータを用いる必要があります。しかし、我
が国においては、米国と異なり、株式市場を時価総額階級別に細分化した長期間の時系
列データが存在しません。
4. 2. 2 特定市場のマーケット・リスクプレミアムに依存すること
特定市場のマーケット・リスクプレミアムに依存すること
(6)式で定義した通り、ヒストリカル手法に基づくサイズ・リスクプレミアムは、ある
時価総額階級について、過去一定期間における実際の収益率の平均値を求め、CAPM に
基づき推計される当該階級の収益率を控除することにより算定されます。そして、CAPM
に基づく推計値の算出にあたっては、その時価総額階級が属する株式市場のマーケッ
ト・リスクプレミアムの水準が前提となります。よって、前提となる市場が変われば、
サイズ・リスクプレミアムも変動しうるのであり、他国の市場において観察されたサイ
ズ・リスクプレミアムを用いた場合、その合理性は大きく減じられてしまいます。
4. 2. 3 観察期間の長短に依存すること
ヒストリカル手法に共通する問題点として、観察期間の長短に応じて算定結果が大き
く変動する点が挙げられます。
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4. 2. 4 小型株効果の存在に関し議論の余地があること
小型株効果は、我が国の市場においては明確には観察されておらず、米国市場におい
ても 1980 年代以降ほとんど観察されなくなったとする見解があります。
表は、米国市場において、小型株の収益率から大型株の収益率を控除することにより
算定される SMB(Small Minus Big)と呼ばれる指標を、一定期間について平均したもので
す1。SMB が正の場合には、小型株効果の存在を推定することができます。しかしなが
ら、下記の表からは、1940 年頃までほとんど観察されなかった小型株効果が、1980 年
頃にかけて顕在化したものの、その後現在までの期間においては、再び不明確となって
いることが分かります。
<表 米国における SMB の推移>
期間
1927-1940
SMB
-0.32%
1927-1960
1927-1980
1.48%
2.79%
1927-2000
0.95%
1927-2013
1.65%
1981-2013
-0.23%
4. 2. 5 理論的根拠の乏しさ
ヒストリカル手法に基づくサイズ・リスクプレミアムは、実際に観察された収益率が
投資家の期待収益率を正しく示しており、CAPM に基づく推計値は期待収益率を正しく
反映していないとの暗黙の前提を置いています。その点では、実績値と理論値の差とし
て事後的に把握されるものにすぎず、CAPM と異なり明確な理論的背景を有していない
という限界があります。
5. プルータス・コンサルティングの考えるサイズ・リスクプレミアム
以上の通り、ヒストリカル手法に基づくサイズ・リスクプレミアムは、我が国の実務
で適用するにあたってはいくつかの重要な問題点を有しています。そこで、Value Pro で
は代替的な手法を採用しています。
5. 1 基本的な考え方
「小規模企業は大規模企業よりもリスクが高い」という考え方については、おそらく
異論がないでしょう。しかしながら、CAPM の理論においては、ボラティリティの高い
株式でも、市場ポートフォリオとの相関性が低い場合には、リスク分散効果により減殺
されるリスクが大きいため、結果として資本コストは低くなり、サイズ・リスクプレミ
アムが発生する余地はありません。
そこで、Value Pro では、CAPM とは異なる観点から、収益率がボラティリティに比例
1
ダートマス大学の Keneth French 教授が Center for Reserch in Security Prices のデータベース
に基づき集計した年次収益率の単純平均によっています。
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するとの仮定に基づき、各時価総額階級の超過収益率を算定します。サイズ・リスクプ
レミアムは、上記により算定された時価総額階級別の超過収益率から、市場全体の超過
収益率であるマーケット・リスクプレミアムを控除することにより算定されます。
このように Value Pro のサイズ・リスクプレミアムは、投資家の期待収益率が CAPM
に基づき推計されることを前提としつつも、小型株については、ボラティリティの高さ
に応じた追加的な収益率を投資家が要求するとの仮定に基づいています。また、集計に
あたっては、長期間の時系列データの平均値に依存せず、現在時点におけるボラティリ
ティに基づき推計されるという点で、インプライド手法に準ずる方法といえます。
5. 2 インプライド・リスクプレミアムの算出過程
Value Pro のインプライド・リスクプレミアムは、以下の 3 段階を経て算出されます。
5. 2. 1 各企業の超過収益率の算出
ある株式の超過収益率が、次式のように表されるものと仮定します。
Ri − R f =
σi
× MRP
σm
(7)
(7)式は、ある株式の超過収益率が、当該株式のボラティリティに比例することを意
味しています。(7)式は、CAPM に基づく超過収益率を示した(3)式において、右辺の β
をボラティリティの比に置き換えたものに他なりません。(7)式の右辺に含まれるボラ
ティリティの比は、(5)で示される β から、相関係数を除いたものです。
よって、(7)式は、CAPM に基づく超過収益率の推計式から、ポートフォリオのリス
ク分散効果を除いたものと位置づけることができます。そのため、ボラティリティの
比の分子となる σm には、株価指数ではなく、前提とする市場に存在する企業のボラテ
ィリティの平均値を用います。株価指数の変動には、ポートフォリオのリスク分散効
果が反映されているからです。
5. 2. 2 各階級の超過収益率の算出
我が国の株式市場に上場している国内企業を、時価総額別を基準として 10 階級に分
け、各階級に属する企業の超過収益率を平均することにより、次式のようにそれぞれ
の階級の超過収益率を算出します。
Rj − Rf =

1 n  σ ij

× MRP 
∑
n i =1  σ m

(8)
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ここで、Rj-Rf は第 j 階級の超過収益率、n は各階級に属する企業の数、σij は第 j 階級
に属する企業のボラティリティを意味します。小型株のボラティリティは大型株に比
べて一般に高いため、時価総額の低い階級では、(8)式を前提とした超過収益率も相対
的に高くなります。
5. 2. 3 サイズ・リスクプレミアムの算出
(8)式で算定されたある階級の超過収益率の平均値から、前提となったマーケット・
リスクプレミアムを差し引くことにより、その階級のサイズ・リスクプレミアムが算
出されます。
SRPj =

1 n  σ ij

× MRP  − MRP
∑
n i =1  σ m

(9)
(9)式を整理すると次式のようになります。
SRPj =

1 n  σ ij

− 1 × MRP
∑
n i =1  σ m

(10)
5. 3 Value Pro のサイズ・リスクプレミアムの特徴
上記の通り、Value Pro のサイズ・リスクプレミアムは、小型株効果を前提としたヒ
ストリカル手法に基づくサイズ・リスクプレミアムとは大きく異なっており、以下の
ような特徴を有しています。
5. 3. 1 データの入手が容易
(10)式において変数となるのはボラティリティのみであり、我が国の市場における既
存のデータのみで算出可能です。
5. 3. 2 特定のマーケット・リスクプレミアムに
特定のマーケット・リスクプレミアムに依存しない
マーケット・リスクプレミアムに依存しない
ヒストリカル手法を前提とした(6)式においては、マーケット・リスクプレミアムと
しては実際に市場で観察された値を用いる必要がありました。これに対し、(10)式にお
いて、マーケット・リスクプレミアムは任意の定数であり、特定のマーケット・リス
クプレミアムに依存しません。具体的には、ある階級のボラティリティが、市場全体
の平均よりも 3 割高いとすれば、その階級のサイズ・リスクプレミアムは、マーケッ
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ト・リスクプレミアムの 3 割となります。
5. 3. 3 観察期間の長短に依存しない
過去数年間のボラティリティのみを変数とするため、ヒストリカル手法と異なり、
観察期間の長短により算定結果が大きく変動することはありません。
6. おわりに
本稿では、小型株効果を前提としたヒストリカル手法に基づくサイズ・リスクプレミ
アムと、それとは別個の接近法をとる Value Pro のサイズ・リスクプレミアムの相違を
明らかにしました。
Value Pro のサイズ・リスクプレミアムの問題点として、各時価総額階級の超過収益率
の算出に際し、制約的な仮定を設けている点が挙げられます。すなわち、各時価総額階
級の超過収益率は、当該階級に属する企業のボラティリティに依存し、その結果小型株
の超過収益率が相対的に高くなると想定しているところ、我が国においては小型株効果
が明確には生じていないとの見解もあります。
とはいえ、実際の収益率に依拠するヒストリカル手法には、本稿で指摘したいくつか
の問題点があり、必ずしも万能な手法とはいえません。これに対し、Value Pro のサイズ・
リスクプレミアムは、「小規模企業は大規模企業よりもリスクが高い」という、大筋で
同意を得られるであろう考え方に基づき算出されており、データの入手の容易性、マー
ケット・リスクプレミアムからの独立性といった取扱いの容易さをも有しています。
株主資本コストの推計に際し、サイズ・リスクプレミアムを考慮する実務がしばしば
行われている一方、その前提条件を正しく理解した上で適用している方は、必ずしも多
くないのが現状です。本稿が、それぞれの手法の背後にある考え方をご理解いただく一
助となれば幸いです。
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