新電子証明書の取扱いについて - オンライン申請入門 for 土地家屋調査士

平成 26 年9月6日第 2 回CPD研修会
新電子証明書の取扱いについて
−セコム パスポート for G-ID
の取り扱いを
司法書士の電子証明書を例にして説明します−
業務研修部員
坂本隆一
研修会の時点(9月6日)では、新しい電子証明書の詳細がまだ明らかになっていない
が、事前の日調連の情報から「セコム パスポート for G-ID」の認証サービスを利用する
ことが明らかになっている。そこで、今回は同じ認証サービスを利用している司法書士の
電子証明書の例を使い、解説したい
ところで、2年前に司法書士の電子証明書が導入されたとき、パソコンに勝手に隠しユ
ーザアカウントが作成される問題でセコムが会員から叩かれ、その後セコムも新しい方式
を採用して今日に至っているので、多分土地家屋調査士の電子証明書も新しい方式を踏襲
しているものと思われる
(参照ホームページ
https://ca3.nisshiren.jp/repository/)
第1
概
要
1.新電子証明書はどんなものか
では、これまでの電子証明書(以下「現電子証明書」あるいは「ICカード」という)
と、新しい電子証明書(以下「新電子証明書」という)はどう違うのか見てみよう
(1) 認証局
①現電子証明書(ICカード)は、日調連認証局が発行し、認証している
②新電子証明書は、電子署名法に定める認定認証事業者に発行と認証を委託している
・認定認証事業者
セコムトラストシステムズ株式会社(以下「セコム」という)
・認証サービス名
セコム パスポート for G-ID サービス
③新電子証明書と同じ認証サービスは、司法書士、税理士、社会保険労務士がすでに
利用している
(2) 発行形式
①現電子証明書は、ICカード形式
②新電子証明書は、ファイル形式
(3) 特徴
①利用上の違い
・現電子証明書との大きな違いはICカードを使わないこと
・そのため、ICカードリーダライタが不要
・それ以外には、利用上の違いはほとんど無い
②長所
・ICカードから電子証明書を呼び込む時間が必要ないため、電子署名のスピード
が速い
・新電子証明書はファイル形式なので、簡単にコピーができ、複数のパソコンで簡
単に使うことができる
-1-
③短所
・簡単にコピーができるので盗まれやすく、また盗まれてもわからない
・よって、パスワードをキチンと管理しないと他人の成り済ましなど悪用され易い
(4) 取得方法
○専用のソフトを使って、自分のパソコンにダウンロードして取得する
2.日調連の今後のスケジュール
新電子証明書の発行に関する日調連のスケジュールを見てみよう
(1) 基本的なスケジュール
日調連会報「土地家屋調査士」8月号の記事と、日調連事務局に確認した情報から
これからのスケジュールを予測すると、次のようになる
①利用申込書の発送
・9月5日に、一斉に利用申込書が発送された
・対象は、今年 1 月 1 日以降に、1 日でも有効な現電子証明書を保有している会員
・そうでない会員は、次に説明する開設予定のホームページを参照して、改めて利
用申込書の送付を希望する必要がある
②電子証明書のホームページの開設
・9月上旬に、新電子証明書のためのサイト(電子証明書のホームページ)が開設
される予定*1
③新電子証明書の発行
・10月中旬から、順次ダウンロードできるようになる
・ダウンロード後すぐに利用可
*1 9月5日に、日調連のホームページの中に開設されました。
-2-
④現電子証明書の失効
・来年2月下旬に、全部の現電子証明書が失効される
⑤現認証局の閉局
・来年3月中旬をメドに、日調連認証局は閉局される
(2) 発行負担金
現電子証明書の失効後に有効期間が残っているICカードを持つ会員には、新電子
証明書の発行負担金が減額される(発行負担金 1,000 円∼ 10,000 円)
3.日調連によるグループ分け
日調連は、現電子証明書の有効期限の違いで、3つのグループに分けて対応する
(1) B グループ(10月中旬までに失効)
現電子証明書の有効期限が今年の10月中旬までとなっているICカードを持つ会
員を指す
①新電子証明書が発行されるまでに、ほとんどすべてのICカードの有効期限が切れ、
電子証明書が利用できない期間が生じる
②利用できない期間が生じると困る会員は、新電子証明書の申込と並行して、至急現
在のICカードの更新手続きをして、新電子証明書が発行されるまでの間ICカー
ドを利用すること
③利用できない期間があっても困らない会員は、ICカードを更新せずに、なるべく
早く新電子証明書の申込をすること
(2) A グループ(10月中旬∼11月中旬失効)
現電子証明書の有効期限が今年の10月中旬から11月中旬の間となっているIC
カードを持つ会員を指す
-3-
①新電子証明書が発行されるまでに、ICカードの有効期限が切れ、電子証明書が利
用できない(短い)期間が生じるかもしれない
②3つのグループの中で優先的に発行されるとのことなので、すぐに申し込めば利用
できない期間はないかもしれない
③利用できない期間を確実に無くしておきたい会員は、念のためICカードの更新手
続きをして、新電子証明書が発行されるまでの間ICカードを利用すること
④利用できない期間があっても困らない会員は、ICカードを更新せずに、なるべく
早く新電子証明書の申込をすること
(3) C グループ(11月中旬以降失効・新規)
現電子証明書の有効期限が今年の11月中旬以降となっているICカードを持つ会
員や新規申込みの会員を指す
①利用申込書が送付されたら、速やかに新電子証明書の申込をすれば、ICカードの
有効期限を考えて発行手続きが行われるので、利用できない期間が生じることはな
いと思われる
②なるべく早く新電子証明書の申込をすること
(4) 現電子証明書の更新手続きが必要な会員
Bグループの会員は、ほとんどすべてが電子証明書を利用できない期間が生じるし、
Aグループの一部の会員は、短期ではあるが電子証明書を利用できない期間が生じる
恐れが有る
①すぐに、ICカードの更新手続きを
・Bグループの会員で利用できない期間が生じると困る会員や、Aグループで利用
できない期間を確実に無くしておきたい会員は、至急現電子証明書の更新手続き
をし、新たにICカードを取得しておくこと(発行価格 10,000 円)
②費用の面からの検討
・ICカードを更新した場合、有効期限が5年先になるので、新電子証明書の発行
負担金は 1,000 円になる
・ちなみに、ICカードの更新手続きをしない場合は、発行負担金は 10,000 円
・結果、ICカードの更新手続きの費用は 1,000 円で済むということになる
第2
申込の方法について
1.利用申込書の提出
新電子証明書を申し込む手順を説明する
(1) 登録事項の変更手続
土地家屋調査士名簿の氏名や住所などの登録事項に変更を生じているときは、事前
に変更手続を終えておくこと
・利用申込書の添付書類と土地家屋調査士名簿の記載が一致しないと、新電子証明
書は発行されない
・登録事項の変更手続には期間を要するので、早めに済ませておくこと
(2) 利用申込書の提出
-4-
9月5日に、日調連から自宅宛に利用申込書が送付された
①署名押印等
・利用申込書には土地家屋調査士名簿に登録された事項が印字されているので、記
載事項に間違いがないかを確認する
・もし間違いがあれば指定された方法で訂正する*2
・署名欄に自署し、実印を押印する*3
②添付書類
・利用申込書には、次の書類を添付する
1 住民票の写し
1通
2 印鑑証明書
1通
*職名を登録している方はこれ以外に戸籍全部事項証明書が必要
*いずれも発行後3ヶ月以内か?
*4
3 発行負担金を振り込んだ領収書の控えの写し*5
1通
③提出方法
・利用申込書を、日調連へ持参するか、郵送する
(3) 提出の際の注意事項
①必要事項を書き漏らさないこと
・利用申込書に同封される「利用申込書の記載例」をよく読み、記載漏れや記載間
違いをしないこと
*6
・特に、【同意事項】欄のチェックを忘れない
*7
・実印の印影はハッキリと
②添付書類を間違えないこと
・添付書類を漏らさない
・有効期限の切れた添付書類を送らない
③利用申込書が届いたら、なるべく早く申し込むこと
・申込先は日調連
2.「お知らせ」の受領
新電子証明書のダウンロードに必要な「お知らせ」を受け取る手順を説明する
(1) 「お知らせ」の受領
・利用申込書や添付書類に不備がなければ、後日(多分2∼3ヶ月後)郵便局から
*2 訂正箇所に二重線を引き、実印で訂正印を押します。
*3 土地家屋調査士の利用申込書では、署名は不要になっています。
*4 発行後3ヶ月以内で間違いありません。
*5
振込依頼書の写しでも可。インターネットバンキングの場合は、振込完了の画面を印刷
したもの。
*6 土地家屋調査士の場合、記載された内容をチェックするだけで
*7 土地家屋調査士の場合、
【同意事項】欄はありません。
-5-
OK です。
自宅宛に「本人限定受取到着のお知らせ」が届く
・ICカードの時と同様に、郵便局へ免許証と認め印を持って受け取りに行く
・本人限定受取郵便の差出人はセコムで、セコムパスポート for G-ID についての
お知らせ(ここではこれを「お知らせ」と呼ぶ)が入っている
(2) 「お知らせ」の中身
・「お知らせ」には、次の書類が入っている
1 お知らせ兼受領書
2 識別番号及び PIN コードのお知らせ
3 始めにお読みください
4 返信用封筒
・受領書は、新電子証明書をダウンロードしたあとに返信用封筒に入れて日調連へ
返送する
・識別番号及び PIN コードは、新電子証明書をダウンロードするときに必要
・これが届いたら、なるべく早く新電子証明書をダウンロードすること
第3
新電子証明書のダウンロードについて
1.必要なソフトのインストール
9月上旬に電子証明書のホームページが開設される予定*8 なので、新電子証明書の申
し込みをしたあと「お知らせ」を受領する間にこのホームページを閲覧し、ダウンロー
ドに必要なソフトを事前にインストールしておくと、新電子証明書をダウンロードする
とき余裕を持ってすることができる
もちろん、「お知らせ」が来てからやり始めても、遅くはない
(1) 復元ポイントの作成
ダウンロードするための専用ソフトをパソコンにインストールするので、その前に
復元ポイントを作成しておく
・専用ソフトをインストールしてパソコンの具合がおかしくなったときに、復元ポ
イントを使ってパソコンを復元できる
・司法書士電子証明書のとき、実際におかしくなった例がある
(2) セコムの自己署名証明書のインストール
新電子証明書では、認証局が変わったため新たな認証局であるセコムの自己署名証
明書のインストールが要求される
・このソフトは、電子証明書のホームページからインストールすることができる*9
・マニュアルも用意されるので、マニュアル通りやれば簡単にできる*10
(3) ダウンロードツールソフトのインストール
*8 9月5日に、日調連のホームページの中に開設されました。
(http://www.chosashi.or.jp/gid_repository/index.html)
*9 上記サイトには、既にセコムの自己署名証明書がアップされています。
*10 多分、ダウンロードツールソフトのマニュアルに一緒に載るでしょう。
-6-
新電子証明書をダウンロードをするためのソフト(ダウンロードツールソフト)を
インストールする
①ソフトの説明
・このソフトも、電子証明書のホームページからインストールすることができる
・セコムでは、電子署名をするときのタイプとして「通常タイプ」と「セキュアタ
イプ」を用意しており、それぞれにダウンロードツールソフトがある
・ダウンロードのときはどちらのソフトを使ってもいいが 、「通常タイプ」用のソ
フトの方が使いやすい
②インストールの手順
・「通常タイプ」のプログラムをクリックし、保存する
・[ 実行]をクリックするとインストールが始まるので、メッセージに従って進む
・インストールが終わると、ディスクトップに新しいアイコンができる
2.ダウンロードのときに用意するもの
セコムから「お知らせ」が届いたら、いよいよ新電子証明書をダウンロードすること
になる
ダウンロードするために用意するものには次のとおり
(1) 必要なもの
・ダウンロードするためには、次のものが必要
識別番号
PIN コード
*どちらもセコムから届いた「識別番号及び PIN コードのお知らせ」に記
載されている
(2) あった方がいいもの*11
・ダウンロード後の新電子証明書の保存先として
USB メモリ
1個
*容量は小さいものでいい
*ダウンロード後すぐに CD-R にバックアップする場合は、USB メモリを
使わずにパソコン内の HDD に保存してもいい
3.電子証明書のダウンロード
以上の用意ができたら、電子証明書をダウンロードする
・ダウンロードとその後の確認作業は連続して行う必要があるので、ゆっくり時間
が取れるときに行う
・ダウンロードは、土日でもできる。多分
(1) ダウンロードの方法
*11
司法書士のときは保存先として USB メモリが推奨されていましたが、土地家屋調査士
のときは USB メモリだけでなく、CD-R や DVD-R でもいいと説明されています。
-7-
インストールしたダウンロードツールソフトを使って、新電子証明書をダウンロー
ドする
○ダウンロードの手順
・USB メモリに保存する場合は、まずパソコンに USB メモリをセットする
・ディスクトップにできたダウンロードツールソフトのアイコンをクリックする
・出てきた画面で[電子証明書の取得]をクリックすると 、「識別番号」と「 PIN
コード」を聞いてくるので、セコムから送ってきた「識別番号」と「PIN コード」
を正確にを入力する
・そのあとは、メッセージに従って進めば、新電子証明書をダウンロードすること
ができる
・ダウンロードしたあと、USB メモリや HDD に新電子証明書を保存したらダウン
ロードは終わり
(2) 電子証明書のチェック
新電子証明書を保存したら、引き続きその内容に間違いがないかをチェックする
○チェックの手順
・ダウンロードに続いてメッセージに従って進むと、新電子証明書の内容が表示さ
れるので、名前、発行者、有効期間を確認する
・次に、
[詳細]をクリックし、、
「サブジェクト」をクリックして、ユーザー ID、CN、O、
C を確認する
・チェックが終わったら、新電子証明書の取得作業は終わり
(3) 電子証明書のバックアップ
USB メモリは壊れやすいので、できればこの段階で USB メモリの新電子証明書を
CD-R に焼いておく
なお、HDD に保存した場合は、必ず CD-R に焼いておくこと
・2枚焼いておいた方がいい
・パソコンをリカバリーしたときや、他のパソコンで新電子証明書を使うときなど
は、CD-R からパソコンにコピーして使う
・原本としての USB メモリや CD-R と、
「識別番号及び PIN コードのお知らせ」は、
(必要があれば鍵付きのキャビネットなどに)大切に保管しておく
(4) 注意事項
・新電子証明書をダウンロードして USB メモリまたは HDD に保存すると、1時
間後には新電子証明書はセコムのサーバーから削除される
・ということは、1時間以内なら何度でもダウンロードできるということ
・よって、ダウンロードは時間の余裕のある時に行ったほうがいいが、焦る必要は
ない
4.受領書の返送
新電子証明書の内容に間違いがないことが確認できたら、受領書を返送する
・「 お知らせ」に同封された「受領書」に記名・実印を押印し、日調連へ返送する
-8-
(1) 期限
・本人限定受取郵便の発送日から24日以内に「受領書」が届かないときは、新電
子証明書が取り消されることがある*12
・ダウンロードをしたらすぐに内容をチェックして、なるべく早く返送すること
(2) 忘れた場合
・返送をしないでいると、日調連から督促状が来る
第4
電子署名のやり方について
1.電子署名のやり方(通常タイプ)
これから先の作業は時間に制限がないので、夜中でも早朝でも好きなときに作業をす
ることができる
なお、これから先の作業は、新電子証明書をダウンロードした直後でも、後日2台目
のパソコンで設定するときでも、パソコンをリカバリーするときでも全く同じ
(1) パソコンの設定
申請用総合ソフトで電子署名をするときに、使いやすくする設定をする
○設定の方法
・保存した新電子証明書をCドライブにコピーする
・このとき、専用のフォルダを作ってその中にコピーしてもいいし、フォルダを作
らずにコピーしてもいい
・こうすることで、申請用総合ソフトで電子署名をするときに、新電子証明書を簡
単に見つけることができる
(2) パスワード(PINコード)の変更
セコムが付けたパスワード(PINコード)のままでは使いにくい(長すぎる)の
で、新電子証明書のパスワードを使いやすいパスワードに変更しておくといい
・もちろん、そのまま使ってもいい
○変更の方法
・ダウンロードツールソフトを起動し、[PINコードの変更]をクリックする
・保存した新電子証明書を呼び出し、その後の画面で、セコムが付けたパスワード
と自分で作った新しいパスワードを入力する
・以後は、新しいパスワードが利用できるようになる
(3) 電子署名のやり方
申請用総合ソフトでの電子署名のやり方は、ICカードの時とほとんど変わらない
・ICカードリーダライタをセットする必要はない
○電子署名のやり方
・電子署名をする際に「署名対象申請一覧」の画面で 、[ファイルで署名]をクリ
*12
日調連から届いた「電子証明書の発行等の手続のご案内」には、「電子証明書発行日か
ら 30 日以内に『お知らせ』が連合会に届かないときは、当該電子証明書を取り消す場
合があります。」と記載されています。
-9-
ックする
・「電子証明書のファイルの選択」画面で、新電子証明書のファイルを表示する
・新電子証明書を指定して、[開く]をクリックする
・パスワードを入力するして、[確定]をクリックする
2.2種類の利用タイプについて
新電子証明書には2つの利用タイプがあり、それぞれにダウンロードツールソフトが
用意されている
・これらは新電子証明書の保存方法の違いであり、どちらのタイプのソフト(ツー
ル)を使っても、ダウンロードする新電子証明書は全く同じもの
・新電子証明書をダウンロードするときは「通常タイプ」用のソフトを使い、あと
で「セキュアタイプ」用のソフトを使って「セキュアタイプ」の電子署名をする
こともできる
・その逆も可
・自分の事務所の状況で、どちらを使うかを判断するといい
(1) 「通常タイプ」
「通常タイプ」は、新電子証明書を暗号化せずにそのまま使うタイプ
・勝手にコピーされて他人に利用される恐れはある
・よほどのことがない限り盗難の恐れはないと思うので、このタイプでいい
・パスワード(PIN コード)を管理すること
(2) 「セキュアタイプ」
「セキュアタイプ」は、新電子証明書を暗号化してパソコンに保存し、電子署名を
するときだけ複合化して使うタイプ
・勝手にコピーされても複合化をするためのパスワードが設定されているので、他
人に利用される恐れが少ない
・盗難の恐れがあるときは、このタイプを利用した方がいい
・パスワード(PIN コードと複合化のためのパスワード)を管理すること
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