Storage Review 社 AssuredSAN Ultra48 評価 ドットヒル社の AssuredSAN Ultra48 は、わずか2U のサイズの筐体に 2.5 インチのドライブを 48 本搭載可能な、 同社の高密度実装の最上位モデルです。搭載可能なドライブは、SAS、NL SAS、SSD の 3 種類で、混在させるこ とも可能です。Ultra48 は、既に多くのユーザに支持されている AssuredSAN 4004 のコントローラを実装してお りますが、このコントローラは、SFP を交換するだけでホストインタフェースを Fibre Channel としても iSCSI として も使用できるモデルと、12Gb SAS のホストインタフェースを固定で持つモデル 2 種類が用意されております。どち らも、コントローラあたり 4 ポート装備されており、FC/iSCSI モデルでは、Fibre Channel と iSCSI を混在させて使 用することもできるようになっています。 ドットヒル社自身のベンチマークによると、ディスクドライブへのアクセス性能として、100,000 IOPS、読み込み 6,400MB/s、書き込み 5,300MB/s という高性能を、安定して維持することができるとされています。ドットヒル社は、 Ultra48 を、メディア業界で求められる広帯域性能のみならず、HPC(High Performance Computing)、クラウドコ ンピューティングや仮想環境での使用を念頭に、ランダムアクセス性能に優れた製品として開発しました。ドットヒ ル社独自の SimulCache 技術は、冗長化されたコントローラ間の高速キャッシュミラーによって性能強化に貢献し ています。 ドットヒル社では Ultra48 の開発当初、メディア業界に向けて、ビデオ編集、レンダリング、放送用途で求められる 機能を組み込むことを考えていました。そのために、Ultra48 は 2K、4K、HD、3D といったビデオストリームを StorNext、Xsan、MetaSAN などを使って同時に複数本流せるということを意図していました。この先進的なシステ ムは、2U という限られたスペース内に 48 本ものドライブを搭載できるために、IOPS 面でも他の筐体と比べてはる かに良い性能を提供できるため、他の業界での用途においても十分魅力のあるものとなっています。更に高性能 を求める用途には、SSD の使用、SSD と HDD のハイブリッド構成によって応えることができます。ハイブリッド構 成時の階層化機能は、オプション機能として 2014 年 10 月にリリースされる予定です。 ドットヒルのモジュラー設計により、Ultra48 は、コントローラとしても JBOD としても構成することが可能です。従っ て Ultra48 は、同じ高密度実装型筐体(4144)あるいは、従来型筐体(4124 または 4134)JBOD を増設すること で、最大 192 ドライブまでサポートします。4144JBOD は、従来の 4004 シリーズを搭載した 4804 や 4504 RAID システムの拡張筐体としての使用も可能です。 私どもの Ultra48 の評価機器の構成は、10Krpm HDD(SAS)を 48 本搭載したモデルでした。Snapshot、Volume Copy、Replication のライセンスを付けて、3 年センドバックサービス込で希望小売価格 932 万円のモデルです。 また、10 月リリースの新しいファームウェアにおいては、シンプロビジョニング、仮想プールなどの機能も新たに搭 載されました。(階層化機能は、オプションライセンス扱いです) AssuredSAN Ultra48 仕様 モデル名: 4844 (Fibre Channel 及び iSCSI 対応), 4544 (SAS 対応) 4144 (拡張筐体) 筐体あたりの搭載可能ドライブ数: 最大 48 筐体あたり最大容量: 57.6TB(1.2TB SAS ドライブ使用時) サポートドライブ: SAS, Nearline SAS、SSD RAID レベル: 0、1、3、5、6、10、50 最大構成: 1 RAID 本体 及び 3 JBOD(拡張筐体)・ 192 ドライブ ホストポート: コントローラあたり 4 ポート Fibre Channel 接続(4844 の場合購入時選択) o 8Gbps もしくは 16Gb:(SFP+) iSCSI 接続(4844 の場合購入時選択) o 1Gbps もしくは 10Gbs iSCSI:(SFP+) SAS 接続(4544 の場合標準装備) o スピード: 12Gb SAS 2.0 ( Mini-SAS 8643/8644) 自動フェールオーバ マルチパス対応(ドライバは OS 依存) 活性交換 o コントローラ、ディスクドライブ、ファン、パワーサプライ キャッシュメモリ: コントローラあたり 6GB(純粋キャッシュ領域 4GB) システムあたり仮想ディスク(vDisk)数: 32 仮想ディスクあたりの最大ボリューム数: 256 システムあたりの最大ボリューム数 1024 キャッシュミラー: SimulCache による高速ミラー キャッシュ保護: Super Capacitor と Compact Flash によるバッテリーレス構造 管理機能 o インタフェース: 10/100 Ethernet または Mini USB o プロトコル: SNMP, SSL, SSH, SMTP, SMI-S Provider, HTTP(S) o 管理コンソール: GUI 及び CLI 電源 o 入力: 100-240VAC 50/60Hz o 消費電力 640W サイズ: 77.7cm(奥行)x8.9cm(高さ)x 48.2cm(幅) 重量: 21.8kg(ドライブ無) 構造 AssuredSAN Ultra48 は 2U サイズの筐体に最大 48 本の 2.5 インチドライブを搭載することができます。ドライブ は、全数ハードディスクか SSD もしくはそれらの混在が可能です。また、HGST 及び Seagate 社の 1.2TB の暗号 化ドライブもサポートされています。 Ultra48 には 3 つのドローワ(引出)があり、それぞれのドローワに 16 本もドライブを搭載することができます。ドラ イブは、ドローワを引き出すと、内側に向いて装着されており、ドライブの着脱は容易に行えるようになっています。 ドローワは指ネジ(青色のつまみ)で筐体に簡単に固定できます。ドローワは、システムの動作中に開閉し、どのド ライブでも活性交換を行うことができるようになっています。 筐体の裏側からコントローラやパワーサプライ(ファン付)にアクセスすることができます。これらのコンポーネント はフィールドでの交換作業が容易に行える設計です。 Ultra48 はコントローラ毎に 4 つのホストポートを装備しており、モデル 4844 では、装着する SFP+(オプションで 選択)によって 16Gb、8Gb Fibre Channel または 1Gb、10Gb iSCSI がサポートされます。Fibre Channel と iSCSI とは、2 ポートずつに分けて混在使用も可能です。SFP はドットヒルから 4 本パックで提供されています。モ デル 4544 は 12Gb SAS のホストポートがコントローラあたり 4 本装着されています。4544 には、SFP などは不 要です。 管理 Ultra48 には、他のドットヒル製品と同様、Web ベースで直観的に管理できる GUI RAIDar が実装されています。 コントローラには RAIDar 用の Web サーバが搭載され、いずれかのコントローラから全ての機能を管理することが 可能です。一方のコントローラが使用できない状況にあっても、もう一方のコントローラから操作することが可能で す。 RAIDar では、vdisks(仮想ディスク)を基本的なロジカルユニットとして参照します。 Vdisk は、1 本以上の物理ド ライブから構成されます。異なる種類や、容量のドライブを混載することは可能ですが、違った種類のドライブを同 一 vdisk メンバとして構成することはできません。容量の違うドライブは構成メンバに加えることは可能ですが、一 番小さい容量のドライブのサイズに強制的にあわせられます。 Ultra48 は最大 16 本までのグローバル・スペア・ドライブを指定することができます。Vdisk を構成するドライブの いずれかで障害が発生すると自動的にグローバルスペアから交換用ドライブが選択され vdisk が再構成されます。 vdisk を構成後、その上に 1 つ以上のボリュームを作成します。ボリュームは vdisk の論理下部要素で、コントロー ラのホストポートにマッピングされネットワーク経由でホストから見ることが出来るようになります。 AssuredSAN では、バックアップ、災害対策用に AssuredRemote によるリモートレプリケーション機能が用意さ れています。また Ultra48 はポイントインタイムでのスナップショットや完全なボリュームコピーとともに、VMware の Site Recovery Manager をサポートし、自動サイトフェールオーバに対応しています。 また、最新のファームウ ェアにオプション設定された AssuredSAN のリアルタイム階層化機能 RealTier は、自動的にボリュームのホットデ ータ・コールドデータを認識し、SSD 層、SAS 層、NearlineSAS 層の 3 つの階層の間でデータを自動的に移動しま す。この最新版においてはシンプロビジョニングやクイックリビルドなどの新機能もサポートされました。 テスト環境 今回のテスト環境、機器は以下の通りでした。私どもの Lab 環境、Network 環境などについては、inventory of our lab environment, や overview of the lab's networking capabilities で確認することができます。また公平・独立を 護るため、私どもの評価テストにおいては、テスト機器ベンダーからの報酬や監督などは受けておりません。 Dot Hill AssuredSAN Ultra48 o 14.4TB HDD ( (4) 600GB 10K HDD x 12 RAID10) または 24TB HDD ( (4) 600GB 10K HDD x 12 RAID50) o ホストインタフェース: コントローラあたり 4x16Gb FC, Lenovo ThinkServer RD630 o 2 x Intel Xeon E5-2690 (2.9GHz, 20MB Cache, 8-cores) o Intel C602 Chipset o Memory - 16GB (2 x 8GB) 1333Mhz DDR3 Registered RDIMMs o Windows Server 2008 R2 SP1 64-bit, Windows Server 2012 Standard, CentOS 6.3 64-Bit Boot SSD: 100GB Micron RealSSD P400e o LSI 9211-4i SAS/SATA 6.0Gb/s HBA (For boot SSDs) o LSI 9207-8i SAS/SATA 6.0Gb/s HBA (For benchmarking SSDs or HDDs) o Emulex LightPulse LPe16202 Gen 5 Fibre Channel (8GFC, 16GFC or 10GbE FCoE) PCIe 3.0 Dual-Port CFA Mellanox SX1036 10/40Gb Ethernet Switch and Hardware o 36 x 40GbE Ports (最大 to 64 x 10GbE Ports) o QSFP splitter cables 40GbE to 4x10GbE Brocade 6510 16Gb/s FC Switch o Aggregate bandwidth: 768 Gb/s end-to-end full duplex アプリケーション性能分析 AssuredSAN Ultra48 に対する最初の 2 つのベンチマークテストは VMware VMmark Virtualization Benchmark と Microsoft SQL Server OLTP Benchmark です。これらのテストは、Ultra48 や類似製品が目指したであろうアプ リケーションの負荷をシミュレーションするのに都合の良いものです。 私ども StorageReview 社の VMmark プロトコルは、タイルベースユニットによって測定された結果をもとに、仮想 化のワークロードや管理タスクに共通のサブテストを利用しています。タイルは VM のクローニングやデプロイメン ト、データセンタをまたいでの VM の自動ロードバランス、VM のライブマイグレーション(vMotion) やダイナミックデ ータストアリロケーション(storage vMotion)などの多様な仮想ワークロードを実効する能力を測定するものです。 VMmark ベンチマークにおいて、Ultra48 は 8 タイルにおいて、正規化アプリケーションスコアの最高得点 9.2 と全 体スコアの最高得点 7.8 をたたき出しました。 StorageReview’s 社の Microsoft SQL Server OLTP testing protocol では、Transaction Processing Performance Council’s Benchmark C (TPC-C)の現時点でのドラフトを採用しています。これは、オンライントラン ザクション処理のベンチマークで、複雑なアプリケーション環境での動作をシミュレートするものです。TPC-C ベン チマークはデータベース環境におけるストレージインフラの性能やボトルネックを測るための合成ベンチマークより も実態に近い様子をとらえることが出来ます。私どもが今回の評価に採用した SQL サーバプロトコルは、685GB (3,000 scale) SQL サーバデータベースで、トランザクションの性能やレイテンシーを 30,000 ユーザの負荷と、そ の半分のサイズのデータベースを 15,000 ユーザでアクセスする場合の負荷の 2 通りを計測しました。 Ultra48 は RAID10 構成、30,000 仮想ユーザという条件下において、毎秒 3,663 トランザクションの数字を記録 しました。 今回の評価は全てハードディスクドライブという構成で行いましたが、30,000 ユーザ時の平均レイテンシーは RAID10 構成の場合で 3,447ms でした。 AssuredSAN Ultra48 は、15,000 ユーザの負荷においては、RAID10 構成で毎秒 3,098 トランザクションという結 果でした。 15,000 ユーザ時の RAID10 構成でのレイテンシーは大幅な改善を見せました。 エンタープライズ統合ワークロード分析 fio synthetic benchmarks ベンチマークを行うに当たり、ラボでは、スレッドあたり 16 のキュー、16 スレッドの重た い負荷に常時さらされるという条件を用意しました。それから、複数のスレッド/キューの組合せで、インターバルを 設けて軽いアクセス、重たいアクセスでのストレージ性能を計測しました。 前提条件と主な定常状態テスト: スループット (Read+Write IOPS 集約) 平均レイテンシー (Read+Write の平均レイテンシー) 最大レイテンシー (Read と Write 時の最大レイテンシー) レイテンシー標準偏差(Read+Write の平均レイテンシーの標準偏差) この統合分析は、製造メーカの仕様やベンチマークを現すために幅広く使われている 4 つのプロファイルを使って います。 4k - 100% Read and 100% Write 8k - 100% Read and 100% Write 8k - 70% Read/30% Write 128k - 100% Read and 100% Write 4k 統合ベンチマークにおいて、AssuredSAN Ultra48 は RAID10 構成時に、読み込みで 24,376 IOPS、書き込 みで 16,620 IOPS という値を記録しました。 Ultra48 の 4K 読み込みでの平均的なレイテンシーは、RAID10 と RAID50 ではほぼ倍の値を示しました。書き込 みの場合は、3 倍近い違いを示しました。 Ultra48 は、4K の読み込みにおいて、RAID10 構成の場合、最大レイテンシー405.6ms を記録し、書き込みにお いては 142.6ms でした。RAID50 構成においては、読み込みで 1,377ms、書き込みで 251.7ms となりました。 標準偏差は、統合ベンチマークの際にレイテンシーの平均的な範囲を超えてしまうようなデバイスや構成の特性を 知るために役に立ちます。Ultra48 の標準偏差値は、RAID10 構成時 4K 書き込み処理において 11.70ms、同じく 読み込み処理においては 14.82ms を維持しました。 8K の負荷に条件を変更して、16 スレッド/16 キューでの 100%読み込み、100%書き込み処理で性能を計測して みました。書き込み処理においては、RAID50 ボリュームが RAID10 ボリュームを上回る性能を示し、読み込み処 理においては両方の RAID 構成とも同じような値をしめしました。 次に、70%読み込み、30%書き込み処理の複合のケースでアクセスブロック 8k を 3 種類のスレッド/キュー数の場 合で計測してみました。Ultra48 では、RAID10 が常に RAID50 を上回る成績を残しましたが、キューの数が小さい と大きな性能差はありませんでした。 同じ 8K ブロック 70/30%の読み書き比率において、レイテンシーも上記と同様の結果を示しました。Ultra48 は、16 スレッド、16 キューではあまり良い結果を得られませんでした。 RAID10 は、16 スレッド、16 キューというワークロードが大きい場合には、以下に見られるように 1,431ms というレ イテンシーを示しました。 8k ブロック、読み書き 70/30%の場合における標準偏差を計算してみると、比較的良好な結果を示していますが、 RAID10 構成での 16 スレッド、16 キューの場合には、非常に大きなレイテンシーを示しました。でd 私どもの統合ベンチマークは、128k のアクセス単位で読み・書きを 100% した場合でも行っております。 RAID50 構成では、リード性能は、684,368KB/s で RAID10 を若干上回りましたが、ライト性能は、RAID10 構成で 3,759,309KB/s と、RAID50 を若干上回りました。 結論 ドットヒル社の AssuredSAN Ultra48 は、2U 筐体における圧倒的な実装密度を誇ります。Ultra48 のセールスポイ ントは、この圧倒的な実装密度と、優れた価格性能比です。AssuredSAN のモジュラーアーキテクチャにより、 Ultra48 は、柔軟な構成で様々なニーズに対応します。ユーザが純粋に性能を追求するようなケースでは、SSD を 数多く搭載し、SSD と HDD のハイブリッド構成などにより、より大きな性能を得ることができます。 実装密度の価値については理解しにくいかもしれませんが、他の 2U 筐体に 48 ドライブを搭載するようなモデルに おいては、薄い HDD などの特殊なデバイスを使うケースがほとんどで、Ultra48 のようなエンタープライズで標準 的に使われるドライブを搭載されているものはほとんどなく、またドットヒルのような長い歴史をもった信頼性の高 いコントローラを装備したものはありません。Ultra48 は、高密度実装を求めるユーザ、省スペースであることに価 値を認めるユーザには最適なものです。 Ultra48 は、ドットヒル社の他の RAID 装置と同じ技術が使われており、AssuredSnap(スナップショット)、 AssuredCopy(ボリュームコピー)、AssuredRemote(レプリケーション)などのデータ保護機能も用意されていま す。また、VMware vSphere、Microsoft Hyper-V、Citrix XenServer、Veeam Backup and Replication などの認 証取得済みです。AssuredRemote は VMware Site Recovery Manager との連携が可能で、完全なサイトフェ ールオーバ用のソリューションとしても使うことができます。 また、Ultra48 は、高性能コントローラを実装し、素晴らしい性能を発揮します。他社の SSD/HDD のハイブリッド型 製品で躓くことが多い、仮想環境でのベンチマーク VMmark の 8 タイルスコアで見られるように、Ultra48 は HDD だけで構成した場合でも十分な性能を発揮します。また SSD と HDD のハイブリッド構成も可能で、今回評価はで きなかったものの、Ultra48 のハイブリッド構成は、ラックサイズあたりの性能は他を寄せ付けない圧倒的なもので あると確信します。 特徴 加点項目 超高密度実装 ストレージコントローラ技術での長い歴史 利用シーンごとに柔軟に選べるドライブやホスト接続のオプション 直観的に操作できるマネジメント GUI 減点項目 より高度な仮想化環境との統合化が望まれる ボトムライン ドットヒルの AssuredSAN Ultra48 は業界で初めて 2U 筐体の中に容量、性能、低価格化を同時に実 現した製品で、管理者はハードディスクのみ、SSD のみ、あるいはその組み合わせを自由に選択する ことが可能です。実装密度の高さと実績の豊富な信頼性の高いコントローラによって、Ultra48 はたい ていのソリューションに適用することができるユニークかつよく考えられた製品となっています。
© Copyright 2024 ExpyDoc