資料5 第11回マルチGNSSによる高精度測位技術の開発に関する委員会 今後の作業 平成26年12月9日 国土地理院測地観測センター 1 技術開発終了後の成果の還元(第1回資料より) 技術開発期間 H23~26年度 マルチGNSS対 応「公共測量作 業規程の準則」 改正案マニュア ル案 マルチGNSS 解析技術 地殻変動把握 等への適用指 針(案) H27年度 ~ 「公共測量 作業規程 の準則」の 告示 マルチGNSS 測量の普及 民間による 解析ソフト ウェア開発 産業界の国際展 開 アジア・オセアニア地域への提供 解析・利用技術の国際展開 電子基準点データ 緊急解析への組み込み 地殻変動情報の早期提供 地震・噴火時の緊急対応強 化 情報化施工等への活用 2 「マニュアル案」の持つ意味 公共測量「作業規程の準則」第17条に規定するもの 準則第17条 2 計画機関は、この準則に定めのない新しい測量技術を使用する場合には、使用 する資料、機器、測量方法等により精度が確保できることを作業機関等からの検証 結果等に基づき確認するとともに、確認に当たっては、あらかじめ国土地理院の長 の意見を求めるものとする。 3 国土地理院が新しい測量技術による測量方法に関するマニュアルを定めた場合 は、当該マニュアルを前項の確認のための資料として使用することができる。 • マルチGNSS測量の方法等について、国土地理院が 検証した結果に基づき、マニュアル化 3 マニュアル案と準則改正 平成26年度 マニュアル案作成のための検討委員会(3回) マニュアル案作成、公開 準則17条第2項の申請時に、本マニュアルを添付すること で、マルチGNSS測量を実施可能 平成27~28年度 準則改正のための検討委員会開催(年2~3回) 改正案作成、パブリックコメント 作業規程の準則改正 準則に定める通常の方式として、マルチGNSS測量を実施 可能 4 マニュアル案作成のための検討委員会 マルチGNSSを組み合わせて、効果的かつ効率的に測量を実施するため に必要な方法を取りまとめたマニュアル案の内容を検討するために設置 H26年度内に3回実施予定(第1回は12月10日) 電子基準点を利用したリアルタイム測位推進協議会 利用促進WG座長 枝 克夫 全国測量設計業協会連合会技術委員会特別委員 日本測量協会測量技術センター測地基準情報部 木寺 幸司 部長代理 久保 信明 東京海洋大学海洋工学部准教授 日本測量調査技術協会位置情報・応用計測部会 小松崎 弘道 副部会長 佐田 達典 日本大学理工学部交通システム工学科教授 橋本 靖彦 日本測量機器工業会GPS測量機器部門会委員 森下 淳 国土交通省大臣官房技術調査課課長補佐 井上 武久 国土地理院企画部技術管理課課長補佐 野神 憩 国土地理院企画部測量指導課技術専門員 村上 克明 国土地理院測地部測地基準課課長補佐 小白井 亮一 国土地理院測地観測センター長 五百竹 義勝 5 (敬称略) 論点1(衛星系) Galileoの利用可能性 打ち上げられている衛星は合計6機 1機は2014年5月24日より利用停止、 2機は軌道投入に失敗 1日約15時間観測可能 2016年に16機体制、2017年に26機体制を計画 ⇒ 1,2年後には多数の衛星が利用可能になると期待される ため、今から準備が必要 平成26年11月1日 電子基準点「石狩」におけるGalileoの受信状況 6 論点2(衛星系) Galileoの測位精度は? 測量機器検定基準、長距離、短距離のキネマティック測 位を実施(次スライド) ⇒ 十分な測位精度であり、利用に問題はない 期間:平成26年9月4日,5日,11日 受信機: ① Trimble NetR9 ② JAVAD DELTA-G3T アンテナ:JAVAD GrAnt-G3T 衛星系:GPS、Galileo 解析ソフトウェア:GSILIB第1版 解析設定: 電離層補正 – 放送暦 対流圏補正 - Saastamoinen 衛星軌道・時計 – 放送暦 GNSS比較基線場位置図 約11.7km 7 Galileoの測位結果(測量機器検定基準) 1周波スタティック(基線長:1km)の結果 組み合わせ Trimble-Trimble (No.10-No.2) Trimble-Javad (No.10-No.2) 観測日時 9月4日 2:20~3:20 9月4日 3:40~4:40 9月4日 2:20~3:20 9月4日 3:40~4:40 周波数 L1 L5 L1 L5 L1 L5 L1 L5 dN(m) 0.000 0.001 -0.001 -0.002 0.001 0.000 0.000 -0.004 dE(m) 0.003 0.003 0.003 0.004 0.002 0.005 0.003 0.005 dU(m) -0.007 -0.005 -0.007 -0.009 -0.007 -0.004 -0.008 -0.005 周波数 dN(m) dE(m) dU(m) L1+L5 0.003 0.014 -0.011 L1+L5 0.004 0.015 -0.012 周波数 L1 L5 L1 L5 L1 L5 L1 L5 dN(m) 0.002 -0.001 0.001 0.000 0.002 -0.001 0.000 0.004 dE(m) 0.003 0.001 0.003 0.000 0.001 0.001 0.002 -0.004 dU(m) -0.005 -0.009 -0.003 -0.010 -0.004 -0.005 -0.005 -0.030 2周波スタティック(基線長:11.7km)の結果 組み合わせ Trimble-Trimble (No.1-No.13) 観測日時 9月11日 2:00~5:00 Trimble-Javad (No.1-No.13) 9月11日 2:00~5:00 短縮スタティック(基線長:200m)の結果 組み合わせ Trimble-Trimble (No.8-No.5) Trimble-Javad (No.8-No.5) 観測日時 9月5日 9:50~10:10 9月5日 11:50~12:10 9月5日 9:50~10:10 9月5日 11:50~12:10 (測量機器検定基準:水平成分(dN・dE):15mm以内 高さ成分(dU):50mm以内) 8 Galileoの測位結果(短距離キネマティック) GPS L1 GPS+Galileo L1 (RMS[mm] 東西3.5,南北3.1,上下6.9) (RMS[mm] 東西3.2,南北3.1,上下6.7) ±5cm Fix率 98.3% ●Fix解 ●Float解 Fix率 98.3% 日時:平成26年9月4日2:20~3:20 (UTC) 測位方式:キネマティック 基線長:1km (GSILIBにより解析) 受信機:Trimble NetR9 – JAVAD DELTA-G3T 9 Galileoの測位結果(短距離キネマティック) GPS L5 GPS+Galileo L5 (RMS[mm] 東西-.-,南北-.-,上下-.-) (RMS[mm] 東西6.1,南北6.0,上下13.9) 衛星数不足により測位不可 ±5cm Fix率 --.-% ●Fix解 ●Float解 Fix率 93.3% 日時:平成26年9月4日2:20~3:20 (UTC) 測位方式:キネマティック 基線長:1km (GSILIBにより解析) 受信機:Trimble NetR9 – JAVAD DELTA-G3T 10 Galileoの測位結果(長距離キネマティック) GPS L1+L5 GPS+Galileo L1+L5 (RMS[mm] 東西-.-,南北-.-,上下-.-) (RMS[mm] 東西24.3,南北30.7,上下49.5) 衛星数不足により測位不可 ±5cm Fix率 --.-% ●Fix解 ●Float解 Fix率 98.2% 日時:平成26年9月11日2:30~4:30 (UTC) 測位方式:キネマティック 基線長:11.7km (GSILIBにより解析) 受信機:Trimble NetR9 – Trimble NetR9 11 論点3(衛星系) BeiDouはどうか? 14機運用(5機は静止軌道) 2020年前後に35機体制としているが、詳細な情報が なく、打ち上げスケジュールも不明 GPSと組み合わせることで同等の精度を確保(次スライド) ただし、静止軌道とそれ以外の軌道で発生する Inter Satellite Type Bias等、未検証の事項がある ⇒ 不透明なところが多いが、測位精度は十分確保できそう。 今後の検証に期待 12 BeiDouの測位結果 GPS GPS+BeiDou (RMS[mm] 東西2.0,南北3.6,上下12.4) (RMS[mm] 東西2.7,南北1.5,上下10.5) ±5cm Fix率 99.6% ●Fix解 ●Float解 Fix率 97.6% 日時:平成26年7月26日6:00~9:00 (UTC) 測位方式:キネマティック 基線長:1m (RTKLIBにより解析) 受信機:Trimble NetR9 – JAVAD DELTA-G3T 13 論点4(衛星系) 近代化GLONASSはどうか? CDMA方式で信号を発信する衛星 GLONASS K-1が2機あるが、L1・L2のCDMAは発信しない ため、検証不可 ⇒ 今後の課題 GPS以外の衛星系の単独利用は? GLONASSとBeiDouが単独で4機以上確保可能 GPSとの組み合わせ利用と比較すると測位精度が落ちる (次スライド) ⇒ GPSとの組み合わせを標準とすべき 14 GLONASSの単独利用による測位結果 GPS+GLONASS GLONASS (RMS[mm] 東西2.0,南北2.1,上下11.1) (RMS[mm] 東西17.8,南北9.6,上下29.0) ±5cm Fix率 97.4% ●Fix解 ●Float解 Fix率 98.2% 日時:平成26年7月26日6:00~9:00 (UTC) 測位方式:キネマティック 基線長:1m (RTKLIBにより解析) 受信機:Trimble NetR9 – JAVAD DELTA-G3T 15 BeiDouの単独利用による測位結果 GPS+BeiDou BeiDou (RMS[mm] 東西2.7,南北1.5,上下10.5) (RMS[mm] 東西9.2,南北4.4,上下15.1) ±5cm Fix率 97.6% ●Fix解 ●Float解 Fix率 99.9% 日時:平成26年7月26日6:00~9:00 (UTC) 測位方式:キネマティック 基線長:1m (RTKLIBにより解析) 受信機:Trimble NetR9 – JAVAD DELTA-G3T 16 論点5(周波数) L5の利用可能性 L5を発信している衛星は合計11機 7機は近代化GPS、1機は準天頂衛星、3機はGalileo L1,L5を出す衛星を4機以上観測できる時間は1日約15時 間、 L1,L2,L5を出す衛星は1日約7時間 ⇒ 1,2年後には多数のL5を出す衛星が利用可能になると期 待されるため、今から準備が必要 平成26年11月1日 電子基準点「石狩」における衛星の受信状況(青:L1,L2,L5、赤:L1,L2) 17 論点6(周波数) 1周波測位(L5)、2周波測位(L1+L5)のメリットは? L5は信号強度が強く、マルチパスが発生しにくいため、観 測環境が良くないところでより安定した解を計算可能と期 待 GalileoはL2を発信していないため、2周波による測位を行 うためには、L1+L5が必須 それぞれL1及びL1+L2と遜色のない結果あり(次スライド) ⇒ L5の利用にメリットありそう(今後検証予定) 18 1周波による測位結果 L1 L5 (RMS[mm] 東西3.9,南北6.8,上下12.4) (RMS[mm] 東西5.2,南北9.1,上下11.0) ±5cm Fix率 97.4% ●Fix解 ●Float解 Fix率 98.2% 日時:平成26年9月4日2:30~5:30 (UTC) 測位方式:キネマティック 基線長:1.0km (GSILIBにより解析) 受信機:Trimble NetR9 – Trimble NetR9 衛星:GPS Block IIF, Galileo 19 2周波による測位結果 L1+L2 L1+L5 (RMS[mm] 東西6.1,南北7.4,上下12.2) (RMS[mm] 東西6.9,南北7.8,上下12.1) ±5cm Fix率 97.4% ●Fix解 ●Float解 Fix率 99.7% 日時:平成26年9月7日1:30~4:30 (UTC) 測位方式:キネマティック 基線長:1.0km (GSILIBにより解析) 受信機:Trimble NetR9 – Trimble NetR9 衛星:GPS Block IIF, QZSS (+Block IIR 2機) 20 論点7(周波数) 3周波測位(L1+L2+L5)はどうか? 現在、3周波を出す衛星を同時に4衛星以上確保すること は困難で、L5はL1+L2による測位の補助的な役割 キネマティックではL1+L2測位より精度改善(次スライド) スタティックでは、ほぼ同じ結果となるが、長基線では収 束時間が早くなり、必要観測時間が減少(次スライド) ⇒ キネマティック法の基線長の拡大やスタティック法の観測 時間の短縮が期待できる 21 3周波による測位結果 L1+L2 L1+L2+L5 (RMS[mm] 東西8.5,南北14.0,上下40.1) (RMS[mm] 東西7.3,南北13.9,上下39.0) ±10cm Fix率 71.7% ●Fix解 ●Float解 Fix率 69.6% 日時:平成26年9月1日2:00~4:00 (UTC) 測位方式:キネマティック 基線長:11.7km (GSILIBにより解析) 受信機:Trimble NetR9 – Trimble NetR9 衛星:GPS, QZSS 22 3周波による測位結果(シミュレーション) L1+L2 L1+L2+L5 (収束時間 81分) (収束時間 49分) ●Fix解 ●Float解 日時:平成25年1月1日0:00~2:00 (UTC) 測位方式:スタティック 基線長:126.3km (GSILIBにより解析) 23 論点8(PCV補正) GalileoやL5のPCV補正は? GalileoのL1は、GPSのL1のモデルで大丈夫そう(GLONASS と同様の扱い)。(次スライド) L5のモデルは公開されていない。 (対応案) 補正しない。 利用者があらかじめ推定する。 L5の利用は、アンテナが同じ場合に限定する L5の利用は、補正が不要なキネマティック法に限定 ⇒ 年度内に検討 24 PCV補正方法の評価 1.PCVを適用しない(NO) 2.GPSのみPCVを適用する(GPS_only) 3.GPSのPCVを他の衛星系に適用する(GPS_ext) 4.(GPS+GLOの場合)それぞれの衛星系で適用する(multiG) GPS 水平 RMS GPS+QZSS 高さ RMS 水平 RMS GPS+GLONASS 高さ RMS 水平 RMS 高さ RMS GPS_Galileo 水平 RMS 高さ RMS NO 0.0033 0.0131 0.0040 0.0132 0.0026 0.0131 0.0238 0.0303 GPS_only 0.0031 0.0059 0.0034 0.0057 0.0027 0.0049 0.0042 0.0068 0.0032 0.0056 0.0026 0.0051 0.0036 0.0061 0.0026 0.0050 GPS_ext multiG 単位:m 25 論点9(ISB補正) GalileoはISB補正が必須では? 異なる受信機種間における基線解析で補正が必須 事前に推定された値による補正、解析時に推定しつつ測 位する2つの手法がある ISBの値は公開されていない 利用者があらかじめ推定する Galileoの利用を受信機が同じ場合に限定する GLONASSのIFBは解析ソフトウェアの内部で補正しており、 準則に記述はない ⇒ ISB補正をすることとし、補正方法はマニュアル案の解説 に記載 26 論点10(衛星選択) 数多くのGNSS⇒衛星選択の必要性 信号が良好な衛星だけを選択する 悪い衛星を排除する技術としては、RAIM等が存在 解析結果の残差や信号強度、上空写真から衛星を除外 することも可能 ⇒ 様々な技術があり得るが、マニュアル案では「観測した衛 星全てを利用する必要がない」ことを記載する程度か? 27 論点11(統合解析) GPS-GLONASSの統合解析は? GLONASSの衛星数を一つ減らせる ISB補正が必須 ISBが再起動で変動する受信機が多いため、事前に推定 された値による補正が困難 再起動によりISBが変動しない受信機の組み合わせに 限定する ⇒ 条件を限定(再起動によりISBが変動しない受信機)しての 利用とする 28
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