ホワイトペーパー(PDF形式 616Kバイト) - 日立製作所

White Paper
VMware Virtual SAN と
VMware Horizon View による VDI 検証
株式会社日立製作所
2014.10
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本文中では、®および™は明記しておりません。
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目次
1.
2.
3.
4.
はじめに........................................................................................................................ 1
1.1.
背景 ...................................................................................................................... 1
1.2.
内蔵ハードディスク仮想化ソリューションとは .......................................................... 1
1.3.
VMware VSAN とは ................................................................................................ 2
VMware VSAN 検証 ...................................................................................................... 3
2.1.
検証の目的 ........................................................................................................... 3
2.2.
検証構成 ............................................................................................................... 4
2.3.
検証前の想定と検証結果 ...................................................................................... 7
2.3.1.
検証前の想定................................................................................................. 7
2.3.2.
検証結果と評価ポイント .................................................................................. 7
VSAN の導入検討にあたり .......................................................................................... 10
3.1.
利用シチュエーション ........................................................................................... 10
3.2.
ベストプラクティス策定のためのサイジング指標 ....................................................11
おわりに ...................................................................................................................... 12
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1. はじめに
1.1.
背景
Virtual Desktop Infrastructure(以下、VDI)の導入を検討するお客さまの大半は、年度毎に業
務または部門単位での段階導入を要望するケースが多い。システムの最終形と拡張性を考慮
したうえで少数ユーザーから段階的に導入をする場合、サーバとストレージで構成されるシステ
ムについては、共有ストレージ構成の必要性から初期導入費用が増大し、VDI 導入への障壁と
なる場面がある。
こうした状況のなか、VMware 社より VMware Virtual SAN(以下、VSAN)が 2014 年 3 月にリリ
ースされた。我々は VSAN が VDI 導入において有用性があるのではと考え、検証および評価を
実施した。
1.2.
内蔵ハードディスク仮想化ソリューションとは
本書では、サーバ筐体内にあるハードディスクを仮想的に共有ストレージとして実現する技
術を「内蔵ハードディスク仮想化ソリューション」と位置づける。サーバを追加することで、サーバ
リソース(CPU、メモリー)と同時にストレージリソース(ディスク容量、I/O 性能)も追加することが
できるため、段階的な導入に適している。
本書では、検証をとおして評価した以下の項目について紹介する。
■VSAN 検証結果と評価ポイント(段階的な拡張性)
■VSAN の利用シチュエーションとサイジング指標
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1.3.
VMware VSAN とは
VSAN は、vSphere 上のサービスとして仮想共有ストレージを提供する。VSAN 機能を提供す
るドライバは ESXi カーネルに組み込まれており、vSphere(ESXi と vCenter Server)に完全に統
合されている。管理コンソールの vSphere Web Client より、vSphere クラスタで VSAN 機能を ON
にすることで、各 ESXi ホストに内蔵されている SSD と HDD はプール化され、vSphere クラスタ
は VSAN クラスタとして構成される。VSAN クラスタに登録された各 ESXi ホストからは共有のデ
ータストア(VSAN データストア)として使用できる。
また、VSAN データストアは RAID 構成ではなく、データを複数の ESXi ホストをまたいで多重
に書き込むことでデータの信頼性を担保している。例えば、仮想マシンから書き込み処理が発
生した場面を図 1.3-1 で説明する。仮想マシンから発生した書き込み処理は VSAN データストア
に対して行われる。VSAN データストアの内部では、各 ESXi ホストにあるディスクグループのい
ずれかに ESXi ホストをまたいだ形で多重書き込みが行われる。ここでひとつのノードに障害が
発生し使用不可能となった場合でも、データは異なるノードのディスクグループに多重書き込み
される仕様であるため、単発の障害であればデータは担保される。
なお、VSAN クラスタは最小 3 台の ESXi ホストで構成され、多重書き込みの初期値は 2 多重
である(最大で 4 多重まで設定可能)。
図 1.3-1 VSAN イメージ図
2
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2. VMware VSAN 検証
2.1.
検証の目的
我々は、VSAN が現状の VDI 導入にあたり抱えている初期導入費用の障壁を解消するた
めのソリューションであると予想を立て、VSAN 基盤と VMware Horizon View による VDI 環境
での「段階的な拡張性」と「性能」について検証した。
「段階的な拡張性」の観点ではスケールアウトを評価するため、以下の項目を評価した。
・拡張時の所要時間と必要作業項目
・オンライン中に拡張した場合の基盤への影響確認
「性能」の観点では VDI 基盤として採用した場合にユーザーにとって十分な性能を有する
か、以下の項目を評価した。
・仮想マシン詰め込みテスト時のリソース使用状況
・仮想デスクトップの操作感
3
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2.2.
検証構成
本検証環境の構成図を図 2.2-1 に示す。
VSAN クラスタを ESXi 5.5update1 の vSphere 環境に VSAN ライセンスをアドオンして構成
した(※1)。はじめは VSAN の最小構成である 3 ノードで構成し、図 2.2-1 の右 1 台を拡張性
の検証時に使用するための追加用ノードとした。VDI 基盤は VMware 社の Horizon View5.3.1
を使用した(※2)。仮想デスクトップの OS は、Windows Server 2008 R2 のサーバ OS で構成し
た。サーバ OS を使用することで、Windows7 などのクライアント OS で必要な VDA ライセンス
が不要になり、ライセンス費用の削減が可能となる。Active Directory サーバは、認証基盤と
するため構成した。
この他に、ウイルス対策として Trend Micro DeepSecurity を準備した。これはエージェント
レス型のウイルス対策製品であり、ハイパーバイザレベルでのウイルス対策が可能となる。
エージェント型のウイルス対策製品と比べて、ウイルスパターンファイルのアップデートやス
キャンエンジンの更新、ウイルス検出を仮想デスクトップ毎に行う必要が無いため、VDI 環境
では必須の構成である。
また、VSAN は異なるノードへの多重書き込みを行うため、ネットワークのパフォーマンスが
重要となる。そのためネットワーク構成は、VSAN 専用に 10Gb 環境を用意することが推奨さ
れている。したがって、VSAN 用に 10GbE スイッチを、管理・業務用として 1GbE スイッチを準
備した。
図 2.2-1 検証環境構成図(※1)
(※1) 先行検証時の ESXi のバージョンです。日立製品での VSAN サポートは ESXi 5.5update2 以降です。
(※2) 先行検証時の Horizon のバージョンです。日立製品での VSAN サポートは Horizon6 以降です。
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表 2.2-1 にハードウエア一覧を示す。
なお、実際に VSAN を使用したシステムを検討する際は、VSAN で使用できるハードウエア
として VMware 社から認証を取得したサーバで構成する必要がある。
表 2.2-1 ハードウエア一覧
No
機器
項目
詳細情報
1
HA8000/RS220HM2 ×4 台
CPU
Xeon E5-2690v2 (3.0 GHz, 10 コア)× 2
(※3)
メモリー
384 GB
SSD
SAS 200 GB 2.5 型 × 2
HDD
SAS 900 GB [10,000 r/min] 2.5 型 × 14
I/O アダプタ・ポート
NIC 10 GBase-SR,2 ポート
2
Brocade VDX6720
1/10 ギガビット・イーサネット
SFP+ポート数:24
3
Apresia13200-52GT
1 ギガビット・イーサネット
1000Base-T 48 ポート、SFP 4 ポート
(※3) 先行検証時のサーバ構成です。VSAN がサポートされる機器構成とは異なりますので、下記もしく
は弊社担当営業までお問い合わせください。
株式会社 日立製作所 情報・通信システム社
クライアント統合ソリューションビジネス開発ラボ
E-mail: [email protected]
URL: http://www.hitachi.co.jp/products/it/vdi/
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表 2.2-2 にソフトウエア一覧を示す。
表 2.2-2 ソフトウエア一覧
No
1
分類
ライセンス名称
管理サーバ
VMware Horizon View
コンポーネント
略称
備考
VMware ESXi
ESXi
2
VMware vCenter Server Appliance
vCenter Appliance
3
VMware vSphere Web Client
Web Client
管理コンソール
4
VMware vSphere Client
vSphere Client
管理コンソール
5
VMware Virtual SAN
VSAN
6
VMware View Connection Server
Connection Server
7
VMware View Composer
Composer
8
VMware View Agent
View Agent
VDI 基盤環境に導入
仮想デスクトップ環境に
導入
9
VMware View Client
10
Windows Server
Connection Server
2008 R2
Composer
View Client
仮想管理端末に導入
Active Directory
11
12
13
Windows SQL Server
SQL Server 2008 R2
SQL Server
仮想デスクトップ用
Windows Server
Windows 2008 R2 sp1
Windows 2008 R2
クライアント OS
2008 R2
ウイルス対策
Trend Micro
Deep Security Manager 9.0 sp1
Deep Security
Deep Security
patch2
14
Deep Security Virtual Appliance
DSVA
9.0 sp1 patch2
表 2.2-3 に仮想デスクトップへの割り当てリソースを示す。
割り当てリソースの内訳は、利用ユーザーをナレッジワーカーとして想定したものである。
ナレッジワーカーとは、インターネットへのアクセス、電子メールの使用や複雑なドキュメン
ト、プレゼンテーション、およびスプレッドシートの作成などを行うユーザーである。
表 2.2-3 仮想デスクトップへの割当てリソース
No
1
クライアント OS
Windows Server 2008 R2
構成部位
割り当て量
CPU
1 コア
メモリー
2GB
6
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2.3. 検証前の想定と検証結果
2.3.1. 検証前の想定
◆想定 1:段階的な拡張時の所要時間
VSAN 構成をスケールアウトする場合、vSphere クラスタへのサーバリソース追加について
は従来のサーバ+ストレージ構成と同様の仕組みであるため、所要時間は数分程度と想定
される。
その一方、ストレージリソースを追加する場合は追加対象のディスク 1 台ずつに対して何
か、VSAN 機能を実現するための処理が実行されるのではと考えた。その際の処理は、ディ
スク1台につき物理フォーマット実行と同等の時間を要するのではと予想した。
◆想定 2:性能
仮想マシンデータデータを多重書き込みする仕様上、ストーレジアクセス時の IOPS やネッ
トワーク帯域使用のオーバヘッドは常に発生する。特にストレージ性能はサーバ内蔵ハード
ディスクを使用するため、1 ホストあたりの搭載上限である 100 台の仮想マシンからアクセス
が発生した場合、レスポンスが低下するのではと予想した。
2.3.2. 検証結果と評価ポイント
検証を通して、VSAN が段階導入・性能の観点で、VDI 用途に適していることが確認できた。
VSAN を活用することにより、簡単さと早さをもって VDI 環境を拡張することができ、なおかつ
性能も充分な構成を提供することができる。各評価ポイントについて、以下に示す。
◆ポイント 1:段階導入の早さと容易さ
[結果]
VSAN は、以下の点で段階導入に適している。
・ホストを追加することで、サーバリソースとストレージリソースを同時に追加できる。
・サーバ+ストレージの環境と比べ、拡張に伴う設計・構築作業が共に簡単で早い。
項目
作業手順
(設計は除く)
サーバ + ストレージ
①ストレージ設定
VSAN
①仮想スイッチ作成、設定確認
-LUN 設定、ゾーンニング
設定ほか(ストレージ)
②VMware 設定
-クラスタ追加
②VMware 設定
-クラスタ追加
所要時間:約 25 分
所要時間:7 時間程度
※前提:VSAN モデル
図 2.3.2-1 ディスクのスケール所要時間
7
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図 2.3.2-1 の所要時間を見ると、サーバ+ストレージ構成ではストレージと VMware の設定
により約 7 時間程度の作業であるのに対し、VSAN モデルでは最短 25 分でサーバリソースと
ストレージリソースの追加が完了する。(ESXi をインストールする場合でも、VSAN 構成の方
が作業時間は短縮される。)
しかもこれらの作業は稼働中の仮想マシンを停止することなく実施できており、オンライン
中の拡張にも耐えうることが確認できた。
また、VSAN 環境ではストレージレイヤーも仮想環境として VMware で一括設定・管理でき
る点も、段階導入の容易さにつながる。
なお、図 2.3.2-1 に記載のある「VSAN モデル」とは、SSD と HDD の VSAN 用設定や ESXi
のインストール作業が実施済みのサーバである。所用時間 25 分は、この VSAN モデルを前
提としている。
[考察]
拡張時には、既存のストレージ領域と拡張したストレージ領域のデータ再配置が発生する。
今後の検証ポイントとしては、拡張時のデータ再配置の所要時間とパフォーマンスへの影響
を確認する必要がある。既存の VSAN データストア内のデータ容量によって、データ再配置
完了までの所要時間がどの程度変化するかを確認することで、より確実な段階導入(拡張)
を計画することができる。
◆ポイント 2:性能
[結果]
VSAN クラスタに参加する1ホストに対して、リンククローン環境で仮想デスクトップを 60 台、
80 台、100 台、120 台(※4)の順で展開し、負荷スクリプト(※5)を実行して 1 ノードあたりのリソ
ース消費量を確認した。その結果、仮想マシンの台数増加に合わせてリソース消費量も綺麗
にスケールしていくことが確認できた(図 2.3.2-2)。これは VSAN 仕様の搭載上限 100 台でも
レスポンスが低下することなく、性能面で問題がないことを示している(※6)。
また、仮想デスクトップへ接続した際の体感上の操作感ではあるが、60 台から 120 台まで
いずれの時点でも差異は無く、実用として問題ないと考えている。
(※4) VSAN の仕様では1ノードあたりの搭載仮想マシン上限は 100 台であるが、今回は検証のため 120
台までの性能を取得した。
(※5) VDI 用途でナレッジワーカーを想定した負荷スクリプト。1 ユーザーあたり 10IOPS 程度の負荷を継続
して発生させることが可能。
(※6) VMware vSphere の標準的な警告閾値は CPU75%、メモリ 90% である。
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図 2.3.2-2 性能評価結果
[考察]
図 2.3.2-1 性能評価結果 は 1 ノードあたりの数値であるが、今回の検証環境で使用した
サーバ台数は 3 台である。CPU、メモリーはそれぞれの ESXi で使用率・性能を評価できるが、
ネットワーク、IOPS、ディスク帯域については、クラスタ全体で使用率・性能を評価する必要
がある。
今回使用した負荷スクリプトは、1 ユーザーあたり 10IOPS の負荷を与えるものであり、
VSAN ではデータは複数のノードに多重(今回は 2 重)で書き込みされるため、1 ユーザーあた
り 20IOPS となる。20IOPS の IO が発生する仮想デスクトップが 100 台あるため、全体では
2,000IOPS となる。VSAN のデータ書き込みは複数のノードにほぼ平均的に書き込まれるた
め、3 台構成では 1 台あたり 633IOPS となることを想定していたが、今回の結果は 1 台あたり
700IOPS 程度なので、想定の範囲内の結果となったといえる。クラスタ内のサーバ台数によ
って 1 台あたりに要求される IOPS は変わるが、1 サーバに要求される IOPS は最大 2,000(式:
10IOPS×2 重書込み×100 ユーザー)IOPS となる。サーバ+ストレージ構成では、最終的な必
要 IOPS を考慮してコントローラや筐体を準備する必要があるが、VSAN を活用することにより、
ノードを追加することで必要な IOPS も増やすことができる。このことから、VSAN 環境は
VSAN 用ネットワーク帯域が不足しない限り、各リソース消費を分散しやすく一定に保つこと
が可能であると言える。
なお、若干ではあるが 10Gb ネットワークのグラフが対数グラフのような弧を描いているよう
に見受けられるが、ネットワーク帯域のリソース使用量としては充分に余裕があるため(使用
量は帯域全体の 0.1%以下)、誤差の範囲内と考えている。
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3. VSAN の導入検討にあたり
3.1.
利用シチュエーション
内蔵ハードディスク仮想化ソリューションの利用シチュエーションを表 3.3-1 に示す。
表 3.1-1 利用シチュエーション
ユーザー規模
No
大規模
中規模
小規模
(1,000~)
(300~1,000)
(~300)
拡張性
性能
○
○
内蔵ハードディスク
1
△
○
○
仮想化ソリューション
凡例 ○:適合する
△:一部懸念事項が残るがおおむね適している
×:適合しない
ユーザー規模は、小規模、中規模ユーザーに適している。VSAN を用いることでクラスタ構
成を組む際に共有ストレージが必須事項ではなくなるため、導入時の構成規模を小さくする
ことが可能になる。もちろん、大規模環境でも機能面に問題は無いが、現時点では別途検証
やサイジングが必要であると考えている。(※7)
拡張性については、ホストを追加することでサーバリソースと同時にストレージリソースも
拡張することができるため、優れていると言える。作業時間も VSAN モデル(図 2.3.2-1)の前
提では、25 分程度という短時間で実施することができる。
性能については、多重書き込みによる性能への影響が懸念されるが、SSD をキャッシュと
して使用するためディスク性能への影響はなく、VDI 用途では十分な性能が確保できる
(※8)。
また、ユーザデータはファイルサーバを使用するか、管理サーバは物理的に別のサーバ
へ配置するか、バックアップ方式はどうするかを要件に応じて検討する。
(※7) クラスタに関する考慮事項
vSphere High Availability (以下、vSphere HA)機能の上限は 2048 仮想マシンである。これ以上の
仮想マシンを搭載して vSphere HA を利用する場合は追加のクラスタ構成が必要となる。
(※8) 性能に関する考慮事項
・移動プロファイルの利用を検討する。
・リンククローン方式の利用を検討する。
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3.2.
ベストプラクティス策定のためのサイジング指標
◆指標 1:クラスタサイジング
VSAN の注意事項として、VSAN 環境の最小構成が 3 ノードであることが挙げられる。HA ク
ラスタ環境では、耐障害用の予備ノードとして 1 台分のリソースを確保することが望ましい。
最小構成の場合、1 ノードは耐障害用の予備ノードとし、2 ノードは仮想デスクトップ展開用と
する。VSAN では 1 ノードあたりの仮想デスクトップ集約数 100 台が上限のため、本構成では
200 ユーザーが上限である。全体構成 3 ノードに対し、予備ノードで 1 台リソースを確保する
ため、予備ノードのリソースが全体の 1/3 を占めている。ゆえに、1 ユーザーあたりのコストが
割高となる。1 台の予備ノードで稼働ノードを何台まで許容できるかが、クラスタサイジングの
ポイントとなる。
◆指標 2:ディスクサイジング
VSAN では許容する障害数の設定に応じて、データ書き込みの多重度を上げる。許容
する障害数を 1 に設定した場合は、データは 2 重で書き込まれる。4 ノード構成・許容障害数
1 の場合を例にとり、内蔵ハードディスクの実効容量の計算式を以下に示す。
実効容量=1 ノードあたりのディスク容量×(クラスタ搭載ノード数-予備ノード数)÷(許容する障害数+1)
ディスクサイジング(必要ディスク容量算出)の計算式を以下に示す。
必要ディスク容量=ユーザー数×1 仮想マシンあたりのディスク容量×(許容する障害数+1)+予備リソース
表 3.2-1 サイジング指標
指標 1:クラスタサイジング
指標 2:ディスクサイジング
ユーザー数
クラスタあたり
予備
使用可能
(※9)
の搭載ノード数
リソース(※10) リソース
実効ディスク
実効ディスク
リソース
割合
100
3台
1 台分
2 台分
1 台分
33.3%
200
3台
1 台分
2 台分
1 台分
33.3%
300
4台
1 台分
3 台分
1.5 台分
37.5%
400
5台
1 台分
4 台分
2 台分
40.0%
500
6台
1 台分
5 台分
2.5 台分
41.7%
600
7台
1 台分
6 台分
3 台分
42.9%
700
8台
1 台分
7 台分
3.5 台分
43.8%
800
9台
1 台分
8 台分
4 台分
44.4%
900
10 台
1 台分
9 台分
4.5 台分
45.0%
1,000
11 台
1 台分
10 台分
5 台分
45.5%
(※9)100 ユーザーでは 1 ホストあたり 50 台集約。200~1000 ユーザーでは 1 ホストあたり 100 ユーザー集約。
(※10)1台の予備リソースに対して、何台の稼働中ホストを許容するかは大規模環境での検証が必要。
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4. おわりに
本書は“内蔵ハードディスク仮想化ソリューション”VSAN が VDI 環境の基盤として、段階導
入を見据えた中小規模の環境に適していることを示す結果となった。これは段階的な拡張が
容易である仕組みが、本書の冒頭でも述べた VDI 導入の障壁を取り払う大きな要素になると
確認できたことによる。
つまり、VDI 導入を検討するお客さまにとって障壁となっていた「初期導入費用」は、VSAN
を活用したソリューションにより解決が可能である。VSAN は利用シーンを見極めて活用する
ことで、VDI 導入にコストメリットを生み出す可能性を持つソリューションである。
―以上―
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