論文題目 空調用スクロール圧縮機スラストスライド軸受の高性能潤滑

論文題目
空調用スクロール圧縮機スラストスライド軸受の高性能潤滑に関する研究
大阪電気通信大学大学院
工学研究科・制御機械工学専攻
奥達也
総論
我が国で冷凍機を使った製氷が行われ始めたのは 1872~1879 年(明治 5~12 年)頃と言われている.それ
からおよそ 130 年を経て,冷凍・空調分野で使用される圧縮機はピストンを用いた往復式からスクリュー式,
ロータリ式,スクロール式などの回転式へと変遷を遂げ,大きさや用途に応じてそれぞれの方式が使い分け
られている.現在,冷凍機や空調機は社会の隅々まで浸透し,小は冷蔵庫やルームエアコン,カーエアコン
から,大は冷凍冷蔵倉庫やビル空調システムまで,生活環境の向上や経済・産業の発展に必要不可欠なもの
となっている.
そのような中にあって,特にルームエアコンやカーエアコンなどで使用される比較的小形のものは使用さ
れる台数が多いため高効率・高性能の要求が厳しく,より高性能な圧縮機,より低振動・低騒音の圧縮機を
実現するための機構の変遷,技術の進展があった.
まず,1866 年に米国においてピストンを用いた往復式炭酸ガス圧縮機が開発された.炭酸ガス冷媒は安定
で無毒・不燃性であることから初期の舶用冷房装置によく用いられたが,臨界温度が低く高圧で作動するた
め,機械強度上の難点があった.続いてアンモニア,亜硫酸ガス,メチルクロライドを冷媒として用いた冷
凍機が開発されたが,これらの冷媒は毒性が強いなど,使いこなす上で依然難点があった.小形圧縮機分野
では亜硫酸ガス密閉圧縮機が開発され,1932 年には我が国でも家庭用冷蔵庫が製品化された.この頃,冷媒
CFC12 が開発され,フロン系冷媒を用いた蒸気圧縮式冷凍サイクルの利用が急激に進展した.しかしながら,
往復動型圧縮機では特に機械損という面から性能向上に限界があり,振動・騒音も大きいという問題があっ
た.
その後,高性能化,低振動・低騒音化のために,1967 年にエアコン用,1980 年に冷蔵庫用のローリングピ
ストン式ロータリ圧縮機が開発・製品化された.この圧縮機は,高い加工精度と組み立て精度が求められる
が,機構が単純で小形,軽量,高効率化が見込めるため,省エネルギーへの注目が高まる中,圧縮機は往復
動型からローリングピストンロータリー型へと置き換えられていった.
より高効率,高性能な圧縮機を求めて 1970 年代から研究開発が進められていたスクロール圧縮機は,1980
年代後半になって製品化に成功し,現在ではロータリ式と競合しながらスクロール型がルームエアコン用圧
縮機全体の 50%余りを占めるに至っている.
スクロール圧縮機は 1800 年代末期から 1900 年代初期に発明され,欧米で特許 3)が出願されている.固定
スクロールと可動スクロールの2対の渦巻きによって構成される三日月形気室を利用して冷媒を連続的に圧
縮する機械である.渦巻き曲線は基本的にはどのようなものでもよいが,一般的にはインボリュート曲線が
使われることが多い.これは固定と可動の両スクロールが同じ形状になるためである.可動スクロールは旋
回運動をさせる.それゆえ可動スクロールは一般に旋回スクロールと呼ばれる.旋回スクロールが旋回運動
すると,冷媒は外周部で閉じ込められ,徐々に内側へと圧縮され,中心部分から吐き出されていく.閉じ込
みから吐き出しまでに旋回スクロールが約 2 旋回するように設計されるのが普通である.以上のように,主
要圧縮機構部分が回転運動を行い,圧縮速度も遅い.かつ,両スクロールは非接触,構成される圧縮気室は
多気室である.それゆえ,スクロール圧縮機は基本的に低振動,低騒音という優れた特徴を持っている.さ
らに,両スクロール間は非接触に保たれているのでそこから圧縮冷媒ガスが漏れるが,基本的に隣接する気
室間の圧力差が小さいために,両スクロール間の隙間を微小な 5µm 程度に抑えるなどの工夫によって体積効
率,圧縮効率ともに高い値を達成することが可能である.このようにスクロール圧縮機は基本的に高性能と
いう優れた特徴も有している.かつ,機械効率面でも優れた値を達成し得る機械である.
スクロール圧縮機では,固定と旋回の両スクロールは半径方向には非接触であるが,軸方向では平面同士
をお互いに強く押付け合った接触状態で旋回運動を行っている.この部分がスラストスライド軸受と呼ばれ
るものであり,機構的に他には見られないスクロール圧縮機の大きな特徴の一つである.この部分に多数の
ボールをはめ込むボールスラスト軸受もあるが,振動騒音の面で問題がある.そのような工夫をしなくても,
かつ高圧油圧ポンプのような特別な潤滑装置を持たせなくても,平面同士を強く押付け合って旋回運動させ
てもスラストスライド軸受では焼き付きなどの重大な潤滑トラブルは決して起こらず,むしろ良好な潤滑状
態が保たれているということを示唆するデータが数多くある.しかしながら,スクロール圧縮機要素技術を
研究開発,技術開発する分野においても,なぜこの部分で潤滑トラブルが起こらないのか,その部分でどの
ような潤滑メカニズムが構成されているのかなどについての明瞭な知見は明らかにされていないのが現状で
ある.ともかく潤滑トラブルは起こらず,良好な潤滑が形成されているようだからそれでよしとする風潮さ
えある.
これまでにスクロール圧縮機のスラストスライド軸受に関して実験的に研究されたものに Nishiwaki らの
論文があり,理論的に研究されたものに Morishita ら,Kulkarni による論文が幾つかある.しかしながら,本
質的な潤滑特性についてはまったく明らかにされていない.また,石井らによって冷媒の漏れ流れ等を詳細
に検討し,それを適用したコンピュータシミュレーションによるスクロール圧縮機の最適設計が行われてい
るが,スラストスライド軸受における潤滑の本質についてはあまり触れられていない.スラストスライド軸
受における潤滑特性を明確にし,その潤滑メカニズムを解明しておくことが是非とも必要である.もちろん,
1
それによって始めて,さらに高効率なスクロール圧縮機,さらに高信頼性のスクロール圧縮機を実現するこ
とが可能となる.
以上のような観点に立って,第1部では,多目的摩擦摩耗試験装置を用いた基本的な実験を行い,スクロ
ール圧縮機スラストスライド軸受における優れた潤滑状態とその主要因を詳細に検討した.
第2章では,空調用としてこれまでに使用されてきている様々な形式の圧縮機について概説している.
第3章では,スクロール圧縮機について前章よりさらに詳細に解説している.さらに,スクロール圧縮機
内部の微小隙間からの冷媒漏れ流れ理論評価法の確立に関する基礎研究,機械力学的・熱工学的解析による
圧縮機効率シミュレーション,それを応用した最適スクロール形状設計,スラストプレートを含めたスクロ
ールの3次元 FEM 解析による最適設計,高性能化を目指した新スクロール形状の開発等,これまでに行わ
れてきているスクロール圧縮機に関する研究についても概説している.
第4章では,空調用スクロール圧縮機特有の旋回運動を支えるスラストスライド軸受について,その構造
および特徴,予測されている潤滑状態について述べている.さらに,スラストスライド軸受での低摩擦損失,
高潤滑性能を目指したこれまでの研究を挙げ,概説している.
第5章では,スラストスライド軸受の潤滑特性を明らかにするために,摩擦摩耗試験装置を用いた実験を
行っている.基本的な実験を行うという観点から,スラスト荷重を支持していないスクロール部分を省略し,
スラストスライド軸受部の複雑な形状をリング状に簡略化したモデルを用いている.実機スクロール圧縮機
ではスラストスライド軸受内外に圧力差が生じているが,それも正確に取り入れている.スラスト荷重を変
化させて軸受の摩擦力,摩擦係数および摩擦面温度を詳細に測定し,スラスト荷重の増加によって潤滑状態
が大幅に改善されることを検討している.さらに,スラストスライド軸受部の潤滑状態を検討するために試
験後の摩擦面の摩耗状態を詳しく観察している.
第6章では,スラストスライド軸受の潤滑メカニズムに関する詳細な検討を行っている.前章の摩擦面摩
耗状態の観察より,スラスト荷重によってスラスト板が弾性変形し,それによって摩擦面外周にくさび状隙
間が形成され良好な潤滑状態を形成していたことを明らかにしている.さらにスラスト板の FEM 弾性変形解
析を行いスラスト荷重とくさび角度との関係を明らかにしている.スラスト板のひずみを計測することによ
って FEM 解析結果の検証も行っている.
第2部では,スクロール圧縮機スラストスライド軸受の潤滑の本質を明らかにするために,固体接触と流
体潤滑を考慮した境界潤滑理論解析を行った.理論解析結果が第1部第 5 章の実験結果と一致することを示
し,スラストスライド軸受の潤滑理論解析法を確立している.
第2章では,潤滑解析に関する基礎理論を概説している.潤滑油に浸された低しゅう動速度,高負荷のス
ラストスライド軸受では,流体潤滑と固体接触が同時に生じている境界潤滑状態であり,さらに軸受表面の
粗さの影響も受けると考えられる.そこで,ここではレイノルズ方程式に粗さの影響を考慮した平均レイノ
ルズ方程式および表面の突起の接触を考慮した固体接触理論について概説している.
第3章では,外周部にくさび状隙間を持ったスラスト板が旋回運動する場合に前章で述べた基礎理論を適
用し,具体的理論解析を行っている.境界潤滑理論解析によってスラスト板に働く油膜力,固体接触力,油
膜粘性抵抗力,固体摩擦力を求め,それらの釣合いの関係を解いている.また,具体的な解を求める方法に
ついても解説している.
第4章では,理論解析の解を数値計算によって求める手順を示し,第1部第 5 章で求めた潤滑油粘度と第
1部第6章で求めたくさび特性を与え,具体的に摩擦力,摩擦係数を求めている.理論計算結果が実験結果
と良く一致することを示し,さらに実験的研究では明らかにできなかった油膜圧力分布,油膜厚さ,軸受支
持力および摩擦力の内訳を示している.
第5章では,前章で始めて明らかにされた油膜圧力分布,油膜厚さ,軸受支持力および摩擦力の内訳を詳
細に検討し,スラストスライド軸受の潤滑の本質について検討している.
第3部では,スラストスライド軸受の境界潤滑理論解析法を応用展開し,高効率・高信頼性スラストスラ
イド軸受を実現するための最適設計法について検討した.
第2章では,スラストスライド軸受の潤滑性能を最も高くする最適設計モデル例を示している.スラスト
スライド軸受では,スラスト板の旋回運動に伴って摩擦面のくさび状隙間に潤滑油が押し込まれることによ
って発生する動圧が潤滑性能を向上させている.そのため軸受面積が大きくなると,摩擦面に発生する動圧
が増大し,軸受浮上量が大きくなり,それによって固体接触の影響が低減され,摩擦力が減少することにな
る.一方,軸受面積がある程度以上大きくなると,粘性抵抗の影響が顕著に現れ始め,摩擦力が逆に増大す
ることになる.このように相反する摩擦要因が存在するために,スラストスライド軸受には摩擦による損失
動力が最も小さくなる軸受面積の最適値が存在するものと想定できる.以上のような観点に基づいて,現在
量産されているスクロール圧縮機をベースにし,規定のスラストスライド軸受内径に対して最適外径値を見
いだす最適設計理論解析モデルを示している.
第3章では,前章で示したスラストスライド軸受最適設計モデル例に関して具体的な数値計算を行ってい
る.標準運転状態におけるくさび角度と潤滑油粘度を与え,旋回速度を変化させて潤滑特性,摩擦損失動力
および最適軸受半径比を詳細に検討している.
最終的に,第4章では,潤滑油粘度が変化した場合,スラストプレートが薄くなってくさび角度が大きく
なった場合,軸受内外圧力差が増加してくさび角度が大きくなった場合について最適設計計算を行い,スラ
ストスライド軸受の最適設計指針を検討している.これによってスクロール圧縮機の性能をさらに高めるこ
とができるものと期待される.
2
空調用スクロール圧縮機スラストスライド軸受の
高性能潤滑に関する研究
株式会社前川製作所
技術研究所
基盤技術開発G
奥達也
ヒートポンプ
1872年~ 冷凍機を用いた製氷
冷凍・空調技術
社会の隅々まで浸透
生活・経済活動に必要不可欠
低圧過熱ガス
圧縮機でガスを圧縮
熱
冷
産業用
家庭用
冷凍冷蔵倉庫
ビル空調システム
エネルギ産業
冷蔵庫
ルームエアコン
ヒートポンプ給湯器
高温高圧ガス
低温低圧液
高圧液
圧縮機に入力した動力で熱を移動させている
圧縮機
圧縮機
ルームエアコン、冷蔵庫用小形圧縮機
使用される台数が非常に多いため、
高効率・高性能の要求が厳しい
大形
要求に応えるための進歩
1866年 密閉形往復式圧縮機開発(米国)
スクリュー式
往復式
1932年に家庭用冷蔵庫が製品化(日本)
機械損失、振動、騒音
1967年 ローリングピストン式ロータリ圧縮機
家庭用
エアコン
冷蔵庫
より高性能、高信頼性
ロータリ式
1980年後半 スクロール圧縮機
→ルームエアコン用圧縮機
スクロール式
3
両スクロールが非接触
三日月形気室から冷媒が漏れる
気室間の圧力差が小さいため漏れを抑えやすい
高効率化が達成可能!
・旋回スクロールの旋回運動
→外周で閉じこまれた冷媒が内側へと圧縮される
・約2回転かけて圧縮
圧縮速度が遅く、多気室構造であるため低振動
圧縮機構部が非接触
非接触なため高信頼性
スクロール圧縮機スラスト軸受
非接触を保ちながらの正確な旋回運動
スラストスライド軸受
ボールスラスト軸受
旋回スクロールを
固定スクロールに
強く押し付けた状態で
強く押し付けた状態
旋回運動させている。
振動・騒音の面で不利
スラスト軸受
平面同士を押し付けあっている
特別な潤滑装置は用いられていない
背圧を設定
詳しい潤滑メカニズムは解らないが、深刻なトラブルは起こっておらず、
技術開発によって高性能が達成できているので現状でよしとされている。
実験モデル
スクロール圧縮機スラスト軸受
さらに高効率、高信頼性のスクロール圧縮機
Axial force
Fixed thrust plate
R65.0
R37.85
Orbiting scroll
スラストスライド軸受設計法
Orbiting thrust plate
平面同士をかなりの大荷重で
押し付けあっているのに
なぜ焼きつかない?
Fixed scroll
Fixed and orbiting thrust plates
Test pieces
(b)
(c)
ri
ro
(a)
潤滑メカニズムの解明
スラスト軸受面
Ball slide bush
Strain gauge
Strain gauge
Positioning thrust shaft
軸の曲げひずみ
摩擦力
4
Pivot
Thrust load shaft
Screw
Pressure difference
control valve
Strain gauges
Thrust load spring
Thrust spring
Presusre
vessel
Tank
Positioning thrust shaft
Refrigerant
oil
Heater
Fs
Fp
Oil vessel
Positioning thrust shaft
Pivot thrust bearing
Fixed thrust plate
Ff
Thrust
slide-bearing
Thermo
-couple
Orbiting thrust plate
Oldham's
ring
Balance weight
Shaft coupling
Driven shaft
Mechanical seal
Crank shaft
Atmospheric pressure
Pressure
gauge
旋回スクロールを
固定スクロールに
押し付けるための
背圧
Pressure
control Valve
High pressure
圧力差
Low pressure
Axial force
Fixed thrust plate
R65.0
R37.85
High pressure
space
Orbiting scroll
Capillary tube
Low pressure
space
Orbiting thrust plate
Fixed and orbiting thrust plates
Test pieces
(b)
(a)
Fixed thrust plate
(c)
Force [N]
50
0
600
Output [V]
–50
0
5
(b)
0
–5
0
Time [sec]
20
25.5N
∆p=1.0MPa ; Ft=9.5kN
0.9MPa ; Ft=8.6kN
0.8MPa ; Ft=7.7kN
0.7MPa ; Ft=6.8kN
0.6MPa ; Ft=5.9kN
0.5MPa ; Ft=5.0kN
0.4MPa ; Ft=4.2kN
0.3MPa ; Ft=3.3kN
0.2MPa ; Ft=2.4kN
0.1MPa ; Ft=1.5kN
0MPa ; Ft=0.6kN
500
0.05
0.05
30
Force [N]
圧力差を設定
(a)
Friction force Ff [N]
Fixed scroll
(c)
30.0Hz
400
300
200
100
10
0
50
100
Friquency [Hz]
0
150
1000
ばねスラスト荷重Fs =600N
2000
3000
Orbiting speed N [rpm]
摩擦係数µ
旋回速度 N =1800rpm
摩擦係数µ
Ff
∆p= 0MPa:
Fs + Fp
Axial force
0.1
Fixed thrust plate
Higher pressure
space
Gas thrust force
Lower pressure
space
∆p= 0MPa ; Ft=0.6kN
Coefficient of friction µ
µ≡
0.1MPa:
0.2MPa:
0.3MPa:
0.4MPa:
0.5MPa:
0.6MPa:
0.7MPa:
0.8MPa:
0.9MPa:
1.0MPa:
∆p=0.2MPa ; Ft=2.4kN
∆p=1.0MPa ; Ft=9.5kN
Orbiting thrust plate
0
− pin ⎞
2
2
2 ⎛ p
Fp = π ri ( pout − pin ) + π (ro − ri )⎜ out
⎟
2
⎝
⎠
5
1000
2000
3000
Orbiting speed [rpm]
実験結果
摩擦面温度の計測結果
100
Coefficient of friction µ
0.1
Friction surface temp. Tf [degC]
300rpm
600rpm
900rpm
1200rpm
1500rpm
1800rpm
2100rpm
0.05
2400rpm
2700rpm
3000rpm
3300rpm
3600rpm
0
0.5
Pressure difference ∆p [MPa]
Mixed lubrication
Coefficient of friction µ
Ft L
60
50
1000
2000
3000
Orbiting speed N [rpm]
∆p=0MPa
0.1MPa
0.2MPa
0.3MPa
0.4MPa
0.1
0.5MPa
0.6MPa
0.7MPa
0.8MPa
0.9MPa
1.0MPa
0
0.5
1
1.5
Bearing characteristic number G
2
–5
[×10 ]
Mixed lubrication
Boundary lubrication
Fluid lubrication
Friction coefficient µ
Boundary lubrication
Friction
Coefficient
ofcoefficient
friction µ µ
µ * ⋅V
0.6MPa:
0.7MPa:
0.8MPa:
0.9MPa:
1.0MPa:
70
40
軸受特性数
G≡
0.1MPa:
0.2MPa:
0.3MPa:
0.4MPa:
0.5MPa:
80
1
潤滑状態の判定
ストライベック線図
∆p= 0MPa:
90
圧力差∆pごとに異なる線
→くさび角度の変化
Fluid lubrication
圧力差∆pが大きい
→混合潤滑領域
Bearing characteristic number G
Bearing characteristic number G
ジャーナル軸受
くさび角度のFEM解析
直線的な
くさび状隙間
くさび状隙間
Surface roughness Ra [µm]
a
0.056
b
0.128
c
0.27
Before test
0.7
くさび角度の評価法
ばねスラスト荷重Fs=600N、圧力差∆p=0.3MPa
解析結果
ばねスラスト荷重Fs=600N
圧力差∆p=0.3MPa
−5
Strain (×10 )
–6
Wedge angle α (×10 rad)
5
100
200N
Fs=1000N
800N
600N
400N
50
0
0.3MPa
–10
0.5
Pressure difference ∆p [MPa]
Fs=200N
400N
600N
800N
1000N
–5
0
0
1000N
800N
600N
400N
∆p=0MPa
1
1
0.1MPa
0.2MPa
2
3
4
Resultant thrust force Ft [kN]
5
6
FEM解析値と実測値とが一致
摩擦面の圧力の取り扱い
圧力差が大きい場合でも
くさび角度が増加して良好な潤滑が保たれる
Axial force
FEM解析結果の検証
Lower pressure
space
6
Fixed thrust plate
Higher pressure
space
Gas thrust force
Orbiting thrust plate
第0次近似
かなり良い近似
スラストスライド軸受の潤滑理論解析
スクロール圧縮機スラストスライド軸受部の潤滑メカニズム
弾性変形による
くさび状隙間
理論解析モデル設定
y
動圧
ro
V
r
ri
Θ
θ
U1
本質的内容
x
z
FS
スラストスライド軸受の潤滑理論解析
z
FS
Cylindrical
thrust plate
ψy
ψx
α
Lpiv
これまでの研究
p out
●Morishita, E. and Sugihara, M.: Bulletin of JSME, No.29(258), 4139-4146 (1986).
p, p c
p in
ho
p out
h=h(r, θ)
x
レイノルズ方程式をスラスト板(平板)に適用
→転覆モーメントを評価
U1
p, p c
p in
h=h(r, θ)
r sinθ
Orbiting thrust plate
V
h(r, θ ) = h0 + (r − ri ) tan α − r cosθ ⋅ψ y + r sin θ ⋅ψ x
●Kulkarni, S.S.: Proc. of International Compressor Engineering Conference at Purdue, pp.327-332, Indiana (1990).
ri ≤ r ≤ ro
レイノルズ方程式をスラスト板(平板)に適用
隙間内の流体
2
Navier-Stokesの方程式
v2
z
u2
y
h
x
w1
●油膜力
v1
u1
Reynolds方程式
u2 =0
hT
●油膜粘性抵抗力
δ2
u1
(Patir & Cheng)
Fvs = ∫∫
直交座標系
∂ ⎛ h 3 ∂p ⎞ ∂ ⎛ h 3 ∂p ⎞ U1 ∂hT U1 ∂φs W1 ∂hT W1 ∂φ s ∂hT
⎟=
⎟ + ⎜φ
⎜φ
+ σ
+
+ σ
+
2
∂x
2 ∂y
2
∂y
∂t
∂x ⎜⎝ 12 µ ∗ ∂x ⎟⎠ ∂y ⎜⎝ 12 µ ∗ ∂y ⎟⎠ 2 ∂x
µ ∗V
h
[(φ
f
]
+ φ fs ) − 2Vr 2φ fs rdθdr
U
②
3σ
35 + Z 128 + Z 140 + Z 2 − 70 + Z 2 28 − 5Z 2
256
{
Hr ≤ 3
hT =
Hr > 3
hT = h
Hr ≡ h /σ
潤滑油中に溶解した冷媒が気泡となって現れる
x
h
(1979, Patir & Cheng)
等価隙間 hT
p(r, θ)=pin (p(r, θ)<pin)
FOIL = ∫∫ p(r , θ) rdθdr
δ1
表面の粗さ
平均流れモデルによる
修正レイノルズ方程式
y
W1
r cosθ
(
(
(
(
①
③
固定スラスト板に働く力の釣合い
見掛けの接 触面積
rd θ dr
真実接触 面積
dA
固体接触
))))}
y
修正Greenwood & Williamsonモデル
r dθ
rd
r
Ff
Θ θ
A i=2πβ(s-h)
Imaginary flat surface
β
Nominal gap h
s
∫
∞
h
Fsc = ∫ pc ⋅ dA
●固体摩擦力
Fss = ∫ τ ⋅ dA
pc
−ψx
F po
L piv
F f cosΘ
F pi
(p +p c)rdθdr
(p+p c)rdθdr
F f sinΘ
x
r cosθ
y
r sinθ
− mh&&0 + Fpi + FOIL + Fsc − Fs − Fpo = 0
β
塑性流動圧力
せん断強さ
τ
F po
F pi ho
A i=2πβ(s-h)
( s − h) ⋅ φ ( s )ds
●固体接触力
FS
ψy
− I xψ&&x + ∫∫ p (r ,θ ) ⋅ r sin θ ⋅ rdrdθ + ∫∫ α ∗ (r ,θ ) ⋅ pc ⋅ r sin θ ⋅ rdrdθ − Lpiv ⋅ F f sin Θ = 0
h
A = 2 Nπβ σ
z
FS
Lpiv
真実接触面積
x
z
− I yψ&& y − ∫∫ p (r , θ ) ⋅ r cos θ ⋅ rdrdθ − ∫∫ α ∗ ( r , θ ) ⋅ pc ⋅ r cos θ ⋅ rdrdθ + Lpiv ⋅ F f cos Θ = 0
ルンゲクッタ法
初期条件
油膜圧力の数値計算
W
油膜圧力分布
N
w
n
p
S
e
ri
E
{(
−
(
) (
)
)}
s
{(
) (
1 1
φH 3 e + φH 3
+ 2
R P ∆θ 2
(
)
1 1
1 1
φRH 3 n ⋅ PN −
φRH 3 s ⋅ PS
RP ∆R 2
RP ∆R 2
−
=λ
H T ≡ hT / href
R ≡ r / ro
P ≡ p / pa
H ≡ h / href
τ ≡ ωt
λ≡
6µ ∗V ⎛ ro ⎞
⎜
⎟
ro p a ⎜⎝ href ⎟⎠
σs ≡
12 µ ∗ω ⎛ ro ⎞
⎜
⎟
p a ⎜⎝ href ⎟⎠
(
)
∆θ
)}
V
∆R
1 1
RP ∆θ
{(H T sin( θ
3
(a)
− Θ ) )e − (H T sin( θ − Θ ) )w }
+ λσ
1 1
cos(θ P − Θ ){(φs R )n − (φs R )s }
RP ∆R
− λσ
1 1
{(φs sin(θ − Θ ))e − (φs sin(θ − Θ ))w }
RP ∆θ
2
∆p=1.0MPa
3600rpm
1800rpm
300rpm
3.25MPa
)
1 1
cos( θ P − Θ ){(H T R )n − (H T R )s }
RP ∆R
(b)
2.5
1.5
∆p=0.6MPa
3600rpm
1800rpm
300rpm
1.37MPa
1
0
a p ⋅ Pp + a N ⋅ PN + aS ⋅ PS + aE ⋅ PE + aW ⋅ PW = c p
2.53MPa
2
0.5
(c)
ro
p(r)
r
差分格子
(
1 1
1 1
φH 3 e ⋅ PE − 2
φH 3 w ⋅ PW
RP2 ∆θ 2
RP ∆θ 2
−λ
2
w
⎤
⎥ PP
⎦
Oil film pressure p[MPa]
⎡ 1 1
φRH 3 n + φRH 3
⎢
2
⎣ RP ∆R
∆p=0MPa
3600rpm
1800rpm
300rpm
0.28
s
0.5
Non dimensional radial position
1
(d)
Oil film pressure: (a) Color display at ∆p=0MPa & 3600rpm ; (b) Color display at ∆p=0.6MPa & 3600rpm;
(c) Color display at ∆p=1.0MPa & 3600rpm; (d) Highest pressure distribution vs. radial position.
7
2000
500
400
300
200
100
0
∆p=0MPa
0.1MPa
0.2MPa
0.3MPa
0.4MPa
0.5MPa
0.6MPa
0.7MPa
0.8MPa
0.9MPa
1.0MPa
0
700
500
400
0.5MPa
0.4MPa
0.3MPa
0.2MPa
0.1MPa
0MPa
300
200
100
0
N=300rpm
600rpm
900rpm
1200rpm
1500rpm
1800rpm
2700rpm
2100rpm
3000rpm
2400rpm
3300rpm
3600rpm
0.05
1000
2000
3000
Orbiting speed N [rpm]
1000
2000
3000
Orbiting speed N [rpm]
1000
2000
3000
Orbiting speed N [rpm]
0.1
∆p=1.0MPa
0.9MPa
0.8MPa
0.7MPa
0.6MPa
600
0.5MPa
0.6MPa
0.7MPa
0.8MPa
0.9MPa
1.0MPa
0.05
1000
2000
3000
Orbiting speed N [rpm]
3000
∆p=0MPa
0.1MPa
0.2MPa
0.3MPa
0.4MPa
0.1
Friction coefficient µ
Friction force Fvs, Fss [N]
Solid shearing force Fss
Oil viscous friction force Fvs
∆p=1.0MPa
0.9MPa
0.8MPa
0.7MPa
0.6MPa
0.5MPa
0.4MPa
0.3MPa
0.1MPa
0.2MPa
0MPa
600
Friction coefficient µ
1000
700
Resultant friction force Ff [N]
0
0.5
Pressure difference ∆p [MPa]
スクロール圧縮機スラストスライド軸受部の潤滑理論解析
●平均流れモデルによる修正レイノルズ方程式
●修正Greenwood-Williamsonモデル
● FEM解析により求めたくさび角度
●潤滑油粘度
●スラスト板に働く力の釣合い
700
500
400
∆p=1.0MPa
0.9MPa
0.8MPa
0.7MPa
0.6MPa
0.5MPa
0.4MPa
0.3MPa
0.2MPa
0.1MPa
0MPa
300
200
100
0
0.1
Friction coefficient µ
600
0.5MPa
0.6MPa
0.7MPa
0.8MPa
0.9MPa
1.0MPa
0.05
0
1000
2000
3000
Orbiting speed N [rpm]
∆p=0MPa
0.1MPa
0.2MPa
0.3MPa
0.4MPa
1000
2000
3000
Orbiting speed N [rpm]
理論解析結果が実験結果と良く一致
固体摩擦・粘性抵抗・真実接触面積・油膜厚さ
スラストスライド軸受部の潤滑の本質的内容
潤滑の本質的内容を明らかにした
最適設計計算
スクロール圧縮機スラストスライド軸受部の潤滑理論解析
y
ro
応用
ro
V
W1
スクロール圧縮機高性能化のための軸受設計
ri
ri
Θ
U1
x
x
Cylindrical
thrust plate
軸受面積を考慮した潤滑性能最適設計法の検討
α
α
U1
Orbiting thrust plate
Thrust plate thickness
渦巻き部分の寸法は一定
ro
実機スラスト軸受面積と
同一面積のリング状摩擦面
最適面積
ro
内半径を固定し外半径を変化させる
半径比 γ ≡ ro ri
ro
Friction surface
ri
軸受面積による潤滑特性の変化
面積小→固体摩擦
面積大→粘性抵抗
ri
8
7
6
5
4
3
2
1
0
Oil film force FOIL
∆p=1.0MPa
Solid contact force FSC
0.9MPa
0.8MPa
0.7MPa
0.6MPa
0.5MPa
0.4MPa
0.3MPa
0.2MPa
0.1MPa
0MPa
Resultant friction force Ff [N]
Thrust force FOIL, FSC [kN]
Oil film thickness h0 [µm]
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
Friction surface
摩擦力
摩擦損失動力
渦巻き部分の寸法は一定
8
現行設計
γ = 1.4
1
最適設計計算
半径比 γ ≡ ro ri
旋回速度
実機スクロール圧縮機
0.015
0.01
0.005
1000
50
2000
3000
Orbiting speed N [rpm]
55
60
65
70
75
80
85
90
50
0
o
Oil temperature [ C]
0.5
Pressure difference ∆p [MPa]
γ = 1.4
1
γ = 1.85
摩擦損失動力
で評価
γ = 2.80
最適設計指針を検討
摩擦損失動力
W f = F f × robt × θ&
0.03
0.025
(1)摩擦雰囲気温度の変化
1.5
軸受半径比γ=2.08で
動力損失が80%低減
2
1.85
1.5
3
(3)軸受内外圧力差の変化
6000
スラスト荷重 変化
くさび角度
最適設計指針を検討
85
90
2.32
2.08
1.88
2.05
1.73
7
8
9
Thrust plate thickness [mm]
10
110
100
90
80
70
0.6
0.7
0.8
0.9
Pressure difference ∆p [MPa]
1
50
90
80
1000
∆p= 0MPa:
0.1MPa:
0.2MPa:
0.3MPa:
0.4MPa:
0.5MPa:
N=6000rpm
1.5
0.01
0.015
*
Oil viscosityµ [Pa s]
0.02
70
80
70
75
80
o
∆p= 0MPa:
0.1MPa:
0.2MPa:
0.3MPa:
0.4MPa:
0.5MPa:
1000
∆p= 0MPa:
0.1MPa:
0.2MPa:
0.3MPa:
0.4MPa:
0.5MPa:
2000
3000
Orbiting speed N [rpm]
0.6MPa:
0.7MPa:
0.8MPa:
0.9MPa:
1.0MPa:
70
0.6MPa:
0.7MPa:
0.8MPa:
0.9MPa:
1.0MPa:
0.025
70
60
50
100
50
90
80
40
60
90
80
1000
∆p= 0MPa:
0.1MPa:
0.2MPa:
0.3MPa:
0.4MPa:
0.5MPa:
2000
3000
Orbiting speed N [rpm]
0.6MPa:
0.7MPa:
0.8MPa:
0.9MPa:
1.0MPa:
0.02
0.015
0.01
0.005
70
60
50
50
40
55
60
65
70
75
80
85
90
o
1000
60
Oil temperature [ C]
2000
3000
Orbiting speed N [rpm]
50
40
65
2000
3000
Orbiting speed N [rpm]
0.6MPa:
0.7MPa:
0.8MPa:
0.9MPa:
1.0MPa:
90
Rated condition
100
60
100
60
6
120
0.03
70
40
温度が低い・潤滑油粘度が大きいほど
最適軸受半径比が小さい
80
0.6MPa:
0.7MPa:
0.8MPa:
0.9MPa:
1.0MPa:
Friction surface temp. Tf [degC]
Friction surface temp. Tf [degC]
N=3600rpm
Friction surface temp. Tf [degC]
Optimum radius ratio γopt
0.1MPa:
0.2MPa:
0.3MPa:
0.4MPa:
0.5MPa:
Friction surface temp. Tf [degC]
Friction surface temp. Tf [degC]
80
∆p= 0MPa:
40
2.5
Radius ratio γ
90
60℃から80℃の範囲でばらついている
90
100
3
100
∆p=0.6MPa、N=3600rpmにおける実測摩擦面温度
*
2
110
(1)摩擦雰囲気温度の変化
3
Conventional compressor
1000
2000
3000
Orbiting speed N [rpm]
ばねスラスト荷重Fs=200 ~ 1000N
Oil temperature Tf [ C]
(2)スラストプレート厚みの変化
摩擦損失動力および最適半径比
スラストプレートを薄くすると弾性変形しやすくなる
Wedge
くさび角度と最適軸受半径比の関係
3
1
–6
90×10
–6
140
130
120
Rated condition
–6
Wedge angle tan α (×10 )
FEM解析
Wf / Wreted
100×10
固定スラスト板の
厚みを変化
110
100
90
–6
120×10
0
–6
1.5
2
Radius ratio γ
80
70
5
–6
110×10
0.5
6
7
8
9
Thrust plate thickness [mm]
10
スラスト板厚みーくさび角度特性
9
Optimum radius ratio γopt
α =80×10
Conventional compressor
Wf / W reted
80
120
0.5
1
2.5
75
130
70
5
3000
4000
5000
Orbiting speedN [rpm ]
旋回速度が大きいほど
最適軸受半径が小さい
µ =0 .009 Pa s
0 .01 1Pa s
0 .01 3Pa s
0 .01 5Pa s
0.01 9Pa s
–6
くさび角度変化
2.08
100
2
70
–6
2
2.5
Radius ratioγ
Wedge angle tan α (×10 )
2.5
γ = 1.4
1.5
65
140
3600rpm
γ =2.08
γ =1.85
3900rpm
3600rpm
3300rpm
3000rpm
2700rpm
2400rpm
2100rpm
1800rpm
1500rpm
1200rpm
(2)スラストプレート厚みの変化
摩擦損失動力および最適半径比
0
60
o
現行スクロール圧縮機の標準運転旋回速度
における損失動力で無次元化
0.5
55
Oil temperature [ C]
3
2000
1.5
0.01
0.005
Oil viscosity [Pa s]
0
潤滑油粘度変化
γ = 2.08
γ = 1.85
50
N=6000rpm
5700rpm
5400rpm
5100rpm
4800rpm
4500rpm
4200rpm
Optimum radius ratioγopt
0.5
Conventional compressor
Wf / W rated
1
γ = 1.4
0.02
0.015
Rated condition
40
100
Rated condition
50
150
Oil viscosity [Pa s]
60
最適軸受半径比
Wedge angle tan α (×10 )
70
0.02
3
−6
0.025
2.5
くさび角度
Wedge angle α [×10 rad]
0.6MPa:
0.7MPa:
0.8MPa:
0.9MPa:
1.0MPa:
2
α =80×10-6
Rated condition
80
0.1MPa:
0.2MPa:
0.3MPa:
0.4MPa:
0.5MPa:
1.5
Radius ratio γ
0.03
∆p= 0MPa:
最小値
50
0
潤滑油粘度 0.013Pa s
Oil viscosity [Pa s]
Friction surface temp. Tf [degC]
90
N=6000rpm
4800rpm
3600rpm
2400rpm
1200rpm
100
FEM解析
実験で測定した
温度 70℃
全摩擦力Ff
150
Rated condition
標準条件
旋回速度N=3600rpm
圧力差∆p=0.6MPa
100
Friction force Ff [N]
200
2.5
3
2.5
N=3600rpm
2.08
2
1.96
1.85
1.75
N=6000rpm
1.5
70
80
90
100
110
120
–6
Wedge angle α (×10 )
130
(3)軸受内外圧力差の変化
摩擦損失動力および最適半径比
旋回スクロールのより安定した旋回運動
∆p =1.0MPa
1
3
0.9MPa
Optimum radius ratio γopt
0.8MPa
0.7MPa
背圧を増加 → 圧力差増加
120
–6
Rated condition
110
100
90
0
2
Friction surface
2.5
2
3
Optimum value of radiul ratio γ
ri
ro
Optimum value of radiul ratio γ
3
最適設計計算
2.32
1.86
1.5
0.01
摩擦損失動力が最も小さくなる半径比が存在することを示した
γ =1.4
γ =2.08
γ =1.85
Conventional compressor
0.015
*
Oil viscosity µ [Pa s]
γ =2.08
2.08
2
1.94
1.5
0.02
70
80
90
100
110
120
–6
Wedge angle α (×10 )
2.5
2.08
2
1.5
130
くさび角度
0.5
0.6
0.7
0.8
0.9
Pressure difference ∆p
軸受内外圧力差
スクロール圧縮機スラストスライド軸受の
温度、くさび角度、軸受内外圧力差
を変化させた場合の軸受設計指針
スラストスライド軸受の
損失動力が80%減!
3900rpm
3600rpm
3300rpm
3000rpm
2700rpm
2400rpm
2100rpm
1800rpm
1500rpm
1200rpm
これまで試行錯誤に頼っていた
軸受設計を効率よく行うことができる
3
γ = 1.4
γ = 2.08
γ = 1.85
実用化からおよそ20年が経過したスクロール圧縮機
さらなる高性能化
ほとんど研究されていなかったスラスト軸受に着目
①摩擦摩耗実験を行い、潤滑メカニズム
潤滑メカニズムを初めて明らかにした
∆p= 0MPa:
∆p= 0MPa ; Ft=0. 6kN
Coefficient of fricti on µ
0 .1
0. 1MPa:
0. 2MPa:
0. 3MPa:
0. 4MPa:
0. 5MPa:
0. 6MPa:
0. 7MPa:
0. 8MPa:
0. 9MPa:
1. 0MPa:
くさび状隙間による 動圧効果
∆p=0. 2MPa ; Ft=2. 4kN
∆p=1. 0MPa ; Ft=9. 5kN
0
1000
2000
3000
Orb i tin g sp eed [rp m]
くさび角度を 与えた
F
剛体モデル
ψ
Fric tion c oe ffic ie nt
µ
y
F po
F pi ho
F f cosΘ
r cosθ
∆p = 0 M P a
0 .1 M P a
0 .2 MPa
0 .3 M P a
0 .4 MPa
0.1
S
0.05
(p+p c)rdθdr
x
0
修正レイ ノルズ方程式
0 .5 M P a
0 .6 MP a
0 .7 MPa
0 .8 M P a
0 .9 MPa
1 .0 M P a
1000
2000
3000
Orbiting speed N [rpm]
理論・実験がよ く一致
Thrust forc e FO IL, FSC [kN ]
②潤滑理論解析を行いスラスト軸受の潤滑の本質
スラスト軸受の潤滑の本質を明らかにした
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
8
Oil film fo rce FOI L
∆p = 1 .0 M P a
S o lid co n tact fo rceSCF
0 .9 MPa
0 .8 M P a
0 .7 M P a
0 .6 M P a
0 .5 M P a
0 .4 M P a
0 .3 M P a
0 .2 M P a
0 .1 MPa
0 MPa
1000
2000
3000
固体摩擦・粘性抵抗
③最適設計計算を行い、スラスト軸受の設計指針
スラスト軸受の設計指針を明らかにした
1 .5
Thrust plate thickness
ro
0 .5
Friction surface
0
1 .5
γ =2. 08
γ =1. 85
Convent i onal com pr essor
ro
Wf / Wr at e d
1
Friction surface
ri
Wf / W rated
N=6000rpm
5700rpm
5400rpm
5100rpm
4800rpm
4500rpm
4200rpm
Lpiv
1
3
2.5
摩擦雰囲気温度
1.5
まとめ
0.7
0.8
0.9
Pressure difference ∆p
ro
Friction surface
2
2.5
Radius ratioγ
0.6
3
1
Thrust plate thickness
1.5
2.5
N=6000rpm
最適軸受半径比 → 変化しない
0.6
0.7
0.8
0.9
Pressure difference ∆p [MPa]
現行のスクロール圧縮機スラスト軸受
0
1.85
1.5
Radius ratio γ
80
0.5
0.5
N=3600rpm
2.08
2
0.5
1.5
70
1
2.5
Optimum value of radiul ratio γ
Wedge angle tan α (×10 )
くさび角度が変化
0.5
Conventional compressor
Wf / Wreted
0.6MPa
N=6000r pm
5700r pm
5400r pm
5100r pm
4800r pm
4500r pm
4200r pm
2
2 .5
R ad i u s rat iγo
3900r pm
3600r pm
3300r pm
3000r pm
2700r pm
2400r pm
2100r pm
1800r pm
1500r pm
1200r pm
3
10
γ = 1.4
γ = 1.85
γ = 2.08
1