2014年度 電気機器の生産見通しと電機業界の取組み - 社団法人・日本

News Release
2014年 3月 14日
一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)
2014年度 電気機器の生産見通しと電機業界の取組み
一般社団法人 日本電機工業会(JEMA、会長:稲村純三)では、2014年度 電気機器の生産見通
しと電機業界の取組みを取りまとめましたので、以下の通りご報告いたします。
2013年度のわが国経済は、第二次安倍内閣の発足以降、積極的な金融緩和による株価の上昇を
受けた消費マインドの改善や、設備投資の持ち直し、また円高是正を背景とする企業収益の改善な
どの動きが見られ、緩やかな景気回復となりました。
2014年度は、消費税増税を見越した需要増に対する反動減の影響で、一時的に景気の減速が懸念
されるものの、後半には、高水準の公共投資などの政府の経済対策による国内需要の回復や、海
外経済の持ち直しによる輸出環境の改善などを期待しており、年度全体では、緩やかな景気回復が
継続すると見込んでいます。
電機業界は、今後とも国内での生産も確保しつつ、グローバル市場での生き残りをかけて、世界最
高水準の人材・技術力を維持し、常に最先端の製品・システムを提供し、成長戦略を具体化し、中
長期で自律的・持続的な成長を実現するよう努めて参ります。
1.電気機器の生産状況
【表1】電気機器の国内生産 2013年度実績見込みと2014年度見通し
前年3月発表の
2013年度見通し
2013年度実績見込み
2014年度見通し
金額
前年度実績
金額
前年度実績比
金額
前年度実績
(億円)
見込比(%)
(億円)
(%)
(億円)
見込比(%)
重電機器
36,085
98.8
36,013
101.2
36,514
101.4
白物家電機器
15,953
97.2
16,817
106.0
15,358
91.3
電気機器合計
52,038
98.3
52,830
102.6
51,872
98.2
白物家電機器国内出荷
21,256
98.2
23,204
104.7
21,204
91.4
備考 1:国内生産の実績見込み・見通しは、経済産業省 生産動態統計をベースに JEMA が策定しました。
備考 2:白物家電機器の国内出荷の実績見込み・見通しは、JEMA 統計、日本冷凍空調工業会統計をベースに、JEMA が策
定しました。
備考 3:端数四捨五入のため、積上げ値と合計値が一致しない場合があります。
-1-
【図1】電気機器の年度別国内生産額推移
(1)2013年度の生産実績見込み
2013年度の重電・白物家電機器の国内生産は、5兆2,830億円、前年度比102.6%と増加する見込みです。
重電分野は、円高是正により輸出向けが堅調に推移したことに加え、国内向けも更新需要を中
心とした民間設備投資が増加していることを受け、着実な増加傾向にあります。その中で、国内
電力会社向けは受注環境が厳しさを増しており、今後も注視が必要です。
白物家電分野は、各社ともグローバル戦略の中で、世界規模での最適地生産を進めております
が、2013 年度は 4 年連続の猛暑・残暑の影響と、2014 年 4 月の消費税増税を見越した需要増に
対応する生産増加を見込んでいます。
(2)2014年度の生産見通し
2014 年度の重電・白物家電機器の国内生産は、5 兆 1,872 億円、前年度比 98.2%と微減の見通しです。
重電分野は、国内電力会社向けの受注環境には厳しい状況が継続するものの、政府による設備
投資減税など各種政策の後押しもある中、重電機器全体の生産額は微増となる見通しです。
白物家電分野は、消費税増税に伴い、ある程度の消費減退が予想されるものの、下期には回復
を見込んでいます。2014 年度全体としては、天候を平年並みとみていることから、猛暑・残暑の
影響を受けた昨年度実績と比較すると、国内生産は前年度を下回る見通しです。
-2-
2.重電機器分野
【表2】重電機器の国内生産 2013年度実績見込みと2014年度見通し
前年3月発表の
2013年度実績見込み
2013年度見通し
2014年度見通し
金 額
前年度実績
金 額
前年度実績比
金 額
前年度実績
(億円)
見込比(%)
(億円)
(%)
(億円)
見込比(%)
発電用原動機
5,890
89.8
6,509
104.0
5,939
91.2
うち、ボイラ
2,140
115.8
1,757
120.4
1,122
63.9
うち、蒸気タービン
1,839
64.8
3,042
103.1
2,846
93.6
うち、ガスタービン
1,911
102.1
1,711
92.6
1,971
115.2
10,400
99.8
9,609
96.0
10,056
104.7
静止電気機械器具
6,511
101.4
6,955
106.7
6,949
99.9
うち、変圧器
2,039
95.4
2,096
96.1
1,976
94.2
うち、電力変換装置
3,587
104.3
4,023
114.4
4,108
102.1
13,284
101.0
12,940
101.0
13,569
104.9
重電機器合計
36,085
98.8
36,013
101.2
36,514
備考 1:実績見込み・見通しは、経済産業省 生産動態統計をベースに、JEMA が策定しました。
備考 2:端数四捨五入のため、積上げ値と合計が一致しない場合があります。
101.4
回転電気機械
開閉制御装置
金額[億円]
40,000
35,000
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
0
国内生産金額(左目盛)
2005
06
07
08
09
前年度比(右目盛)
10
11
12
[%]
140.0
130.0
120.0
110.0
100.0
90.0
80.0
70.0
60.0
13
見込み
14
見通し
年度
【図2】重電機器の年度別国内生産額推移
(1)2013年度の生産実績見込み
2013 年度の重電機器の国内生産は、3 兆 6,013 億円、前年度比 101.2%となり、2010 年度以降、
4 年連続で前年度を上回る見込みです。
機器別にみると、発電用原動機が 104.0%と、当初見通しから大幅に増加する見込みです。主因
としては蒸気タービンが上期に輸出向けの生産集中があったことに加え、下期には電力や民需
向けなど国内の火力設備向け補修用部品・附属品の伸びが見込まれることによります。回転電
気機械は 96.0%と減少の見込みですが、静止電気機械器具は、再生可能エネルギー固定価格
買取制度を背景に、パワーコンディショナーを主体とした電力変換装置が好調を維持しており、
106.7%と増加となる見込みです。開閉制御装置も 101.0%と堅調に推移する見込みです。
重電産業を取り巻く状況をみると、円高是正により輸出向けが堅調に推移しており、また、国内
向けも更新需要を中心とした民間設備投資が増加していることを受け、サーボモータ、汎用イン
-3-
バータ、プログラマルコントローラ等、景気動向に敏感な産業用汎用電気機器(表 3 参照)が増加
傾向にあります。一方、国内電力会社向けは受注環境が厳しさを増しており、一例として変圧器
をみると、民需向けは堅調に推移しているものの、電力向けでは減少を見込んでおり、変圧器全
体では減少となる見込みです。国内電力会社向けの厳しい受注環境は、重電機器の生産の押し
下げ要因となっており、今後も注視が必要です。
(2)2014年度の生産見通し
2014 年度の重電機器の国内生産は、3 兆6,514 億円、前年度比101.4%となり、5 年連続で前年度を
上回る見通しです。
機器別にみると、発電用原動機は 91.2%の見通しで、ボイラや蒸気タービンは前年度が好調で
あったことから反動減がみられるものの、輸出向けを中心とした手持ち受注を維持していること
から、中期的には堅調に推移する見通しです。また、回転電気機械 104.7%、静止電気機械器具
99.9%、開閉制御装置 104.9%の見通しと、重電機器全体では微増となる見通しです。
また、表 3 で重電産業を取り巻く状況についてみると、受注生産品は、発電用原動機の一時的な
減少により、前年度割れの見通しですが、民間設備投資に明るさが見え始めていることから、中
期的には堅調な見通しです。ただし、国内電力会社向けの厳しい受注環境については、今後も
注視が必要です。
産業用汎用電気機器については、省エネ機運の継続や、政府による設備投資減税など各種政策
の後押しにより、引き続き前年度を上回る見通しとしております。
なお、2014年4 月からトップランナー変圧器〔二次基準〕、2015年4月からはトップランナーモータ
の導入が予定されていることから、普及に対して注視して参ります。
[参考] 受注形態別の重電機器 2014年度の生産見通し
【表3】重電機器の国内生産 2013年度実績見込みと2014年度見通し(受注形態別)
前年3月発表の
2013年度見通し
金 額
前年度実績
(億円)
見込比(%)
受注生産品*1
2013年度実績見込み
金 額
(億円)
前年度実績比
(%)
2014年度見通し
金 額
(億円)
前年度実績
見込比(%)
15,521
94.3
16,161
101.4.
15770
97.6
発電用原動機
発電用原動機以外
5,890
9,631
89.8
97.3
6,509
9,514
104.0
98.3
5,939
9,692
91.2
101.9
産業用汎用電気機器*2
10,122
104.3
13,117
100.7
13,755
104.9
703
537
869
103.2
98.0
108.9
820
678
945
118.5
121.2
114.1
852
715
1,053
103.9
105.4
111.5
その他の重電機器*3
10,442
100.5
6,735
101.4
6,988
103.8
重電機器合計
36,085
98.8
36,013
101.2
36,514
101.4
うち、サーボモータ
うち、汎用インバータ
うち、プログラマブルコントローラ
備考 1:実績見込み・見通しは、経済産業省 生産動態統計をベースに、受注形態別に JEMA が策定しました。
備考 2:端数四捨五入のため、積上げ値と合計が一致しない場合があります。
備考 3: 「産業用汎用電気機器」と「その他の重電機器」の項において、「前年 3 月発表の 2013 年度見通し」と「2013 年度実
績見込み」の集計金額値は、品目改正があったことから連続性がありません。
*1受 注 生 産 品:発電用原動機(蒸気・ガスタービン等)、発電機、大容量変圧器等。電力及び産業用(自動車、鉄鋼
等)向けの電気設備。
*2 産業用汎用電気機器:汎用インバータ、サーボモータ、プログラマブルコントローラ等。需要先が多岐にわたる、主に標
準仕様で生産する量産品。流通は代理店経由が多い。
*3その他 の重 電 機 器:電気炉、電気溶接機、分電盤等。機器としては受注生産品または産業用汎用電気機器であるが、
データとして分類できない機器。
-4-
金額[億円]
40,000
35,000
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
0
2005
国内生産金額(左目盛)
国内生産金額 前年度比(右目盛)
受注生産品金額 前年度比(右目盛)
産業用汎用電気機器 前年度比(右目盛)
06
07
08
09
10
11
12
140.0
130.0
120.0
110.0
100.0
90.0
80.0
70.0
60.0
13
見込み
【図3】重電機器の年度別国内生産額推移(受注形態別)
-5-
[%]
14
見通し
年度
3.白物家電機器分野
3.1 国内生産の状況
【表4】白物家電機器の国内生産 2013年度実績見込みと2014年度見通し
前年3月発表の
2013年度実績見込み
2013年度見通し
金額
前年度実績
金額
前年度実績比
金額
前年度実績
(億円)
見込比(%)
(億円)
(%)
(億円)
見込比(%)
4,725
2,546
604
1,061
232
6,785
93.5
100.3
99.4
101.8
100.1
102.8
4,872
2,797
594
1,094
277
7,184
106.8
104.3
97.7
107.0
113.1
106.4
4,207
2,697
558
1,111
272
6,513
86.4
96.4
93.8
101.6
98.3
90.7
15,953
97.2
16,817
106.0
15,358
91.3
ルームエアコン
電気冷蔵庫
電気洗濯機
換気扇
食器洗い乾燥機
その他(上記 5 品目以外)
白物家電機器合計
2014年度見通し
備考 1:電気洗濯機の 2013 年度見通し金額は、統計に補正があり、2013 年 3 月の発表値と異なります。
備考 2:実績見込み・見通しは、経済産業省 生産動態統計をベースに、JEMA が策定しました。
備考 3:端数四捨五入のため、積上げ値と合計値が一致しない場合があります。
金額[億円]
国内生産金額(左目盛)
[%]
前年度比(右目盛)
20,000
140.0
17,500
130.0
15,000
120.0
12,500
110.0
10,000
100.0
7,500
90.0
5,000
80.0
2,500
70.0
0
2005
06
07
08
09
10
11
12
60.0
13
見込み
14
見通 し
年度
【図4】白物家電機器の年度別国内生産額推移
(1)2013年度の生産実績見込み
2013年度の白物家電機器の国内生産は、1兆6,817億円、前年度比106.0%と増加の見込みです。
主要製品別にみると、電気洗濯機は 97.7%と微減となるものの、猛暑・残暑の影響もあり、
ルームエアコンは前年度比 106.8%、電気冷蔵庫は 104.3%とともに増加する見込みです。
特にルームエアコンは、節電意識の継続と4年連続の猛暑により、高い水準となる見込みです。
また、消費税増税を見越した需要増に対応するための生産増加も見込んでいます。
(2)2014年度の生産見通し
2014 年度の白物家電機器の国内生産は、1兆5,358億円、前年度比91.3%と減少の見通しです。
消費税増税に伴い、ある程度の消費減退が予想されるものの、下期には回復を見込んでいま
す。2014 年度全体としては、天候を平年並みとみていることから、猛暑・残暑の影響を受けた
昨年度実績と比較すると、国内生産は前年度を下回る見通しです。
-6-
主要製品別にみると、天候を平年並みとおいていること、また昨年が猛暑であったことから、
前年度比でルームエアコンが 86.4%、電気冷蔵庫が 96.4%、電気洗濯機が 93.8%と、それぞ
れ減少の見通しです。
3.2 国内出荷の状況
【表5】白物家電機器の国内出荷 2013年度実績見込みと2014年度見通し
前年3月発表の
2013年度見通し
金額
前年度実績
(億円)
見込比(%)
金額
(億円)
2014年度見通し
金額
(億円)
前年度実績比
(%)
前年度実績
見込比(%)
6,062
4,141
2,818
1,049
330
6,856
93.2
102.1
99.5
101.9
100.0
99.5
7,221
4,477
2,916
1,129
355
7,105
107.5
106.7
100.9
108.1
107.1
101.7
6,217
3,988
2,778
1,129
349
6,744
86.1
89.1
95.3
100.0
98.2
94.9
21,256
98.2
23,204
104.7
21,204
91.4
ルームエアコン
電気冷蔵庫
電気洗濯機
換気扇
食器洗い乾燥機
その他(上記 5 品目以外)
白物家電機器合計
2013年度実績見込み
備考 1:実績見込み・見通しは、JEMA 統計、日本冷凍空調工業会統計をベースに、JEMA が策定しました。
備考 2:端数四捨五入のため、積上げ値と合計値が一致しない場合があります。
金額[億円]
25,000
22,500
20,000
17,500
15,000
12,500
10,000
7,500
5,000
2,500
0
国内出荷金額(左目盛)
[%]
前年度比(右目盛)
140.0
130.0
120.0
110.0
100.0
90.0
80.0
70.0
2005
06
07
08
09
10
11
12
60.0
13
見込み
14
見通 し
年度
【図5】白物家電機器の年度別国内出荷額推移
(1)2013年度の国内出荷実績見込み
2013年度の白物家電機器の国内出荷は、2兆3,204億円、前年度比104.7%と増加の見込みです。
上期は、7 月、8 月、9 月の厳しい猛暑・残暑によりルームエアコン、電気冷蔵庫といった主要製
品が好調に推移し過去 10 年では最も高い出荷金額となりました。下期も住宅着工戸数の伸び
に後押しされ、ルームエアコン、換気扇、食器洗い乾燥機が好調に推移し、さらに年末以降は
消費税増税を見越した消費者の旺盛な需要増が見込まれます。
主要製品別にみると、ルームエアコンは前年度比 107.5%、電気冷蔵庫は 106.7%、電気洗濯機
も 100.9%といずれも増加の見込みです。
-7-
(2)2014年度の国内出荷見通し
2014 年度の白物家電機器の国内出荷は、2兆1,204億円、前年度比91.4%と減少の見通しです。
2014 年度は、上期には消費税増税に伴う需要増の反動が予想されるものの、消費者の省エ
ネ・節電意識の高まりによる省エネ製品への関心は継続し、下期には消費マインドは回復する
ものと期待しています。
主要製品別にみると、天候を平年並みとおいているため、ルームエアコンは前年度比 86.1%、
電気冷蔵庫が 89.1%、電気洗濯機が 95.3%と減少の見通しです。ただし、天候を平年並みとお
いた「前年 3 月発表の 2013 年度見通し」とほぼ同じ水準であり、過去 10 年では高い見通しとし
ています。
-8-
4.電機業界の取組み
現政権の経済政策によりデフレ脱却と景気回復の兆しが見えつつあり、円高是正、株価上昇な
どにより、電機業界の経営状況は全体として改善してきております。しかしながら、わが国のエネ
ルギー・環境政策の見直し、大幅な電力料金値上げを含むエネルギー価格の問題など大きな課題
が残されております。更にTPPなど経済連携、法人税実効税率の更なる低減を含む税制改正など
も著しい進展はあったものの未だ途上であります。
電機業界としては国の動きと一体となって経済再興、成長戦略を推進し、その中で電機産業の持続
的発展・成長を確固たるものにしていくよう、積極的に推進して参ります。電機産業が培ってきた世
界最高水準の技術・人材を維持して、強い技術・製品・システムをさらに強くし、国内の生産を確保し
つつ、世界へ日本の優れた技術を提供し、常に最先端の製品、システムを創出して事業展開を進
めて参ります。
具体的な取組みは、以下のとおりです。
(1)重電分野
①福島第一原子力発電所の収束に向けた廃炉・除染・汚染水の対策、原子力規制委員会の新
規制基準に基づく産業界自身の検討を盛り込んだ安全性向上対策の推進・安全技術の確立、
核燃料サイクル・放射性廃棄物処分方法の確立、原子力発電を推進する諸国への世界最高
レベルの原子力技術の提供、及びこれらを進める中で中長期的原子力技術基盤・人材の維
持と蓄積
②電力システム改革が検討される中、エネルギーの高品質かつ安定供給・安価なエネルギー
価格の実現・低炭素社会構築に向け、高効率ガスタービンコンバインドサイクル発電、先進
超々臨界圧火力発電、石炭ガス化燃料電池複合発電、直流送電、超高圧変電システム、二
酸化炭素回収・貯蔵技術、環境システム、各種産業システム、制御システムなど、日本に強
みのある技術の更なる高度化や高性能化、及び日本での開発・実証を踏まえコスト低減を進
めつつグローバル市場への展開
③スマートコミュニティ、スマートグリッドなど、再生可能エネルギー・蓄電システムなどを含め
地域全体・需給システム全体での最適エネルギー管理・運用ビジネスの拡大
④グローバル展開のなかでのインフラ・システム輸出の競争力強化と面的拡大
⑤医療用加速器・粒子線応用製品の開発促進・普及(原子力技術の医療分野への応用)
(2)白物家電分野
①日本の白物家電の強みである、材料・部品あるいは組み合わせ技術での改善の積み重ね、
キーテクノロジーの技術革新による省エネ性能や基本機能の更なる向上
②エコをキーワードとした、リサイクル技術と環境配慮設計による製品群の創出
③家庭・ビルなどにおけるエネルギー利用の最適化と消費者の利便性を実現する、HEMS を中
心としたスマート家電としての製品展開・市場拡大
④美容家電、高機能調理家電など消費者のニーズを捉えた高付加価値製品の創出・市場拡大
⑤グローバル市場における各地域の文化・生活・習慣・価値観にマッチした製品開発と拡販
-9-
(3)新エネルギー分野
①再生可能エネルギーの最大限の導入促進、消費者の過度な負担にならない制度の推進、及
び普及拡大のための環境整備・規制緩和促進
(環境アセス・審査簡素化、設備外部委託制度拡大、送電網整備など意見発信による推進)
②太陽光発電・風力発電・燃料電池・太陽熱発電・地熱発電などの、高効率化、長期信頼性・安
全向上、系統連系含め日本の環境に対応する技術開発・普及、規格化・標準化・認証制度構
築の推進
(4)地球環境保全活動
①「低炭素社会実行計画」の電機業界自主行動計画のコミットメントをもった推進(生産プロセス
におけるエネルギー原単位:年 1%削減、製品・サービスによる排出抑制:実績公表)
②RoHS・REACH など欧州・中国の化学物質規制への対応、事業所関連 VOC(揮発性有機化合
物)排出抑制自主行動計画の継続推進
③循環型社会構築に向け、産業廃棄物排出抑制自主行動計画の継続推進、家電リサイクル制
度の見直し検討、小型電気電子機器のリサイクル運用(2013 年度施行開始)への協力
(5)国内・国際標準化推進、共通技術基盤強化
①高効率、環境負荷低減など日本に強みのある技術の国際標準化の推進、及び人材の育成
②東南アジアなど新興国への日本技術の普及、試験・評価技術向上への貢献
③電気用品安全の推進(電安法体系見直し・安全 JIS の整備)
④高電圧試験分野での国内での試験を可能とする試験機関構築
⑤中長期的な理科系人材育成として小学校理科教育支援推進
(6)共通課題への取組み
①TPP、RCEP、各 EPA など経済連携を推進する意見発信、個別通商問題への対応
②法人実効税率低減など国内での製造を維持するための税制改正への継続した提言
③電気機器の安全・省エネ・保全などの啓発の継続的な実施
④表彰制度(電機工業永年功績者表彰、電機工業技術功績者表彰)
5.電機業界の国への要望
2014 年度は、4 月から消費税引き上げが実施される他、6 月には昨年の「日本再興戦略」が改定
される予定です。電機業界の持続的な発展・成長のためには、国内市場において消費増税後、中
長期で需要を喚起する新たなイノベーションの創出、及び国内で製造を継続していくための環境整
備の施策が必要です。また、拡大する電機関連グローバル市場の中でグローバル競争を勝ち抜き、
持続的発展を続けていくには、国と産業界が一体となった展開が必要であり、成長を確固とするた
めの効果的かつ現実的政策を期待し、以下を要望するものです。
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[ 長期的展望を持ったエネルギー・環境戦略の再構築 ]
①S+3E(Safety、Energy Security、Economic Efficiency、Environment)」を基本とする長期的に継続
可能なエネルギー・環境政策の実現
エネルギー政策の要諦は、安全性(Safety)を前提とした上で、エネルギーの安定供給(Energy Security)
を第一とし、最小の経済負担(Economic Efficiency)で実現し、同時に、環境への適合(Environment)を図
るため最大限の取組を行うことです。その為には、再生可能エネルギーの最大限の導入や火力発電
の更なる高効率化を進めるとともに、原子力発電に関しては、「エネルギーの需要構造の安定性に寄
与する重要なベースロード電源」とするエネルギー基本計画の政府案を実現することが重要と考えま
す。
具体的な要望事項は下記の通りです。
a.原子力
1)福島第一原子力発電所の廃炉、除染、汚染水対策等に対する国が前面に立った解決の推進
2) 新規制基準適合性審査の着実な実施、ならびに新規制基準に適合すると原子力規制委員会が判
断した原子力発電プラントの早期の再稼働実現
3)核燃料サイクルと放射性廃棄物処分方法の確立
4)原子力技術分野の維持・向上のためのプラントのリプレース・新増設
b.火力
1)火力の中でも燃料の安定供給や経済性に優れている石炭火力発電の重要性の確認
2)老朽火力発電所のリプレースや新増設による利用可能な最新技術の導入促進
3)発電効率の大幅向上による発電量当たりの温室効果ガス排出量低減技術の開発等
c.再生可能エネルギー
1)再生可能エネルギーの最大限の導入、及び需要家の過度な負担にならない再生可能エネルギー
導入促進制度への継続的な見直し
2)再生可能エネルギーにおける系統強化、低コスト化の研究開発等の推進
3)手続きの簡素化、要件緩和など成長を促進するための国内規制緩和・制度改革
②電力システム改革における高品質かつ低廉な電力の安定供給を可能とする制度・仕組み作り
への慎重かつ着実な検討
中長期的にわが国全体で供給力を確保することとともに、系統運用者が短期的に調整電源を適切に調
達することが出来る枠組みを導入することが重要と考えます。
具体的な要望事項は下記の通りです。
1)全国で電源、系統、需要側システムがバランスのとれた形で整備・確保されること。
2)平時であっても緊急時であっても確実に安定供給できるよう、電源は、安定かつ安価な「ベース電
源」、需要変動や再生可能エネルギーなどによる出力変動に応じ出力を機動的に調整できる「ミド
ル・ピーク電源」、再生可能エネルギーや熱電供給も含めた「分散電源」を適切なバランスで確保す
ること。
3)再生可能エネルギー電源の偏在性が高い地域においては、その容量とバランスのとれた、安定供
給可能な信頼性の高い電力系統、配電系統システムを構築すること。
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[ 国内電機市場の需要拡大のための着実、かつ新たなイノベーション創出のための両面施策 ]
③世界をリードする日本の高効率、低環境負荷、及び高品質な電力システムをさらに強くする開
発、および実証、製品普及の支援
④消費税増税の円滑な転嫁、及び景気の腰折れを回避するための経済対策の実施
⑤東京オリンピック・パラリンピックによる経済効果を見据えた新たな目標設定とその具体化
⑥家電製品の適正なる競争を促し、技術の進歩によるグローバル市場での競争を強化する意味
で、2013 年 10 月 17 日に当会他 3 団体連名で内閣府規制改革推進室へ要望した、施行後 20
年を経た、メーカーと流通の連携などを規制している流通・取引慣行ガイドラインの見直しの
実施
[ 国内での製造を継続するための環境整備 ]
⑦デフレ脱却に向けた金融緩和策の継続
⑧国内の需要喚起、設備投資を促進し、かつ中長期的に財政健全化を実現する財政政策
⑨高品質な電力の安定供給とグローバル的に見て競争力ある電力価格の実現
⑩法人実効税率の更なる低減、研究開発促進税制拡充など各国とイコールフッティングとなる
税制改正
[ グローバル市場の旺盛な需要取り込みのための戦略的施策 ]
⑪TPP、RCEP 及び各国 EPA など経済連携の同時的かつ国益を確保する強力な交渉推進
⑫インフラ・システム輸出の強力な推進と面的展開
1)日本のエネルギー基本戦略の明確化と相手国との長期協力・信頼関係構築
2)日本の高付加価値技術採用に向けた支援
3)先端技術開発と実証プロジェクト形成支援
4)次世代を担う人材の育成
5)カントリーリスクへの対応
6)原子力輸出
⑬国際標準化の推進
1)重点分野における国際標準化活動の強化
2)国際競争力強化につながる、国際的に通用する試験・認証制度の整備
3)国際標準化活動のアジア諸国との連携強化への支援
4)国際標準化活動における人材育成への支援
以
本資料に関する弊会お問い合わせ先
統計関係
〔重電機器〕
TEL:03-3556-5885 FAX:03-3556-5890
重電部(調査統計課 宮内・川端)
〔家電機器〕
TEL:03-3556-5887 FAX:03-3556-5891
家電部(調査統計課 清水・高橋)
その他
TEL:03-3556-5882 FAX:03-3556-5890
企画部(広報室 七海・福島)
URL : http://www.jema-net.or.jp/
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