水資源確保

界第2位。集合住宅やオフィスビ
人口密度はモナコ公国に次いで世
人が生活する超過密都市で、その
家である。狭い国土に約484万
誘致することに成功し、
急速な工業
あり、
日本をはじめ外国企業を多数
に取り組んできた。
こうした努力も
め、
魅力ある清潔で美しい街づくり
光の誘致などを積極的に行うた
資源や産業を持たないシンガ
ポールでは、
外国の投資や企業、
観
ンシティ」
とも呼ばれる。
り、その美しい景観から「ガーデ
著しい経済成長を遂げる
シンガポールの弱点は
〝水〟
赤道直下、マレー半島の突端に
浮かぶ島国シンガポールは、総面
積約707平方キロメートルと、
東京 区とほぼ同じ面積の都市国
ルなど高層ビルが林立する一方
化を達成。
現在では電気、
電子、
コン
は賄えないという現実があった。
国民のための水を国内水源だけで
少ない国土は貯水能力に乏しく、自
もしれない。しかし、狭く高低差の
水不足といわれてもピンとこないか
である。緑が豊富な街並みからは、
ルが抱えていた弱点、それが水不足
位になるまでに成長したシンガポー
2007年には、国民 人当た
りのGDPで日本を抜きアジアで1
中心に発展を遂げてきた。
つが、世界からも注目されている
庁(PUB)が主導し、水源開発に
ら、環境省の傘下である公益事業
シンガポールでは19 0年代か
を 打 開 し、安 定 的 に 供 給 し た い。
国民の暮らしに必要不可欠であ
る水を隣国に依存するという状況
レーシアから輸入している。
2億1000万リットルの水をマ
プラインを通して毎日約
インが敷設され、この 本のパイ
下に1本、海底に2本のパイプラ
清潔で美しい都市国家・シンガポール。
隣国マレーシアとの国境・ジョ
ホール海峡にあるコーズウェイ橋
観光、貿易、工業で著しい発展を遂げたこの国は、水資源確保のため、
には、道路のすぐ脇に3本のパイ
プラインが走る。このほか、橋の
取り組んできた。そしてそのひと
(ニューウォーター)
」
「 NEWater
と呼ばれる再利用水である。
官民が一体となって水づくりに取り組んでいる。
PHOTO:Singapore Tourism Board,
Singapore Tourism Board / Photographer: See Kim Soon
Eugene Tang / Singaporesights.com
Singapore Tourism Board / Singapore Flyer
で、都市公園や自然保護区、街路
街のいたるところに緑があふれ、
「ガーデンシティ」
と呼ばれるほど
6
6
宗 教:仏教、
イスラム教、
キリスト教、道教、
ヒンズー教
通貨単位:シンガポール・
ドル
平均寿命:男性78.0歳、女性81.8歳
(2006年)
国民1人当たりの国内総生産:37,597USドル
(2008年)
1
2
Sep.2009
Sep.2009
3
整然と整備された街路樹や南国ならではの色鮮やかな植物など、
人 口:約484万人
首 都:シンガポール
国 土:約707平方キロメートル
言 語:国語はマレー語。公用語として英語、中国語、
マレー語、
タミール語
ピュータなどの技術集約型工業を
国 名:シンガポール共和国 Republic of Singapore
樹など豊富な緑も整備されてお
概要
23
に学ぶ 水 資 源 確 保
水づくりへの挑戦
シンガポール共和国
に学ぶ 水資 源 確 保
ド2008」でも、その年に最も環
境に配慮した再利用水を作り出す
この協定により、1日当たり輸入
できる水の量と価格が定められた。
ところがマレーシアから、この
協 定 の 有 効 期 限 が 終 了 し た 後、
100倍にも及ぶ水の値上げを断
行するという意向が示された。こ
れを受けて1998年、シンガポー
ル政府は、水の完全自給を目指し
池からシンガポールへの送 水が始
シア・ジョホール州に造られた貯水
イ ギ リ ス 統 治 下 に あった
1800年 代から、現 在のマレー
の歴史が大きくかかわっている。
か。 その原因には、シンガポール
ポ ー ルで は 水 が 不 足 し て い る の
少なくはない。 ではなぜ、シンガ
1500ミリと 比べても、 決して
シン ガ ポ ー ルの 年 間 降 水 量 は
2 0 0 0 ミ リ 以 上、 東 京 都 の 約
水に生まれ変わらせるというアイ
が、生活排水などの下水を生活用
必 要 となった。 そこで生まれたの
打開するためには、斬新な試みが
とはいえ、これまで総消費量の
約3割を輸 入に頼ってきた状 況を
要不可欠だった。
るため、安定的な水源の確保は必
よる水需要の大幅な増加に対応す
使用する高付加価値産業の誘致に
上、半導体産業など、水を大量に
の開発は、国主導の下、
NEWater
世界各国の先進的な技術が集積し
PUBと 環 境 省の 共 同 プロ
ジェ ク ト と し て ス タ ー ト し た
能になる。
うして処理した水は飲用も十分可
ルカリ性化学物質を添加する。こ
よって有 機 物を不 活 性 化させ、ア
物質を除去。 最後に紫外線殺菌に
フィルター膜を通り抜けた微 細な
に逆浸透膜装置により、マイクロ
菌や浮遊固形物を取り除く。 さら
過処理し、0 2ミクロン以上の細
まった。 当 時はマレーシアも同じ
デアだ。つまり、下 水をろ過して
て行われた。
完全自給を目指し
水と闘うシンガポール
た取組みを開始したのである。 ま
くイギリスの統治下にあったため、
再利用しようという取組みである。
た、 近 代 化 に 伴 う 生 活 水 準 の 向
地域間の水の配分という意味での
にシンガポールが自治権を手に入
送 水だった。 しかし、1959年
続 け て き た 専 門 委 員 会 に よ り、
れると、マレーシアは外国となり、
送水に関して両国で新たに取り決
水 源 別に1961年と1962
年の2度にわたって協 定 が 交わさ
な水準まで高度処理した再利用水
段階の浄化処理を施し、飲料可能
は、 家 庭 排 水 を 下 水
NEWater
処理場で処理し、その後さらに3
の
「グローバル・ウォーター・アワー
ウォーター・インテリジェンス主催
ンドンで 開 催 された グロー バル・
たしていると報告された。 昨年ロ
は米 国 環 境 保 護 庁 と 世
NEWater
界保健機構の飲料水水質基準を満
れ、そ れ ぞ れ2011年、
2061
だ。まずはマイクロフィルターでろ
めを定める必要が生じた。
2002年には、再利用水の利
用について2年間にわたって調査を
世界各国の先進技術により
誕生した NEWater
.
年までの有 効 期 限 が 設 定された。
を 製 造 し、1 日の 総 需
NEWater
要 量 の % を 供 給 し て き た。
今 年 4 月 か ら は、 1 日 に
億
水道会社に与えられる「エンバイロ
カ所のプラントが操業を開始し
ています。 これにより、2010
で賄
年 まで には % を NEWater
えることになるでしょう」とPUB
では考えている。
と 同 様に力 を
ま た、 NEWater
入れているのが海水淡水化。 昨年
2010年 をめどにマリーナ湾の
う。再利用水とミネラルウォーター
どちらを飲むかといわれれば、後
には ダムと 水のテ ーマパ ー ク「マ
こうした国民の抵抗感を少しで
も和らげるため、PUBは国内各
海水を飲料水として供給できるよ
自国での完全自給を目指し、政
府 の 長 期 的 な 政 策 と 取 組 みの 結
うにするという。
このころ、首相をはじめとする閣
果、国民は安心して水を利用でき
る未来を得たといえるだろう。
%のシンガポール人が飲
画的間接飲用化という方法を取って
浄化処理を施してから給水する計
貯水池に放水して混合し、通常の
開 始 した。 上 水 利 用に関 しても、
を貯
2003年からは NEWater
水池に放水し、原水として利用を
むことに理解を示したという。
では、
のフォーブスリサーチによる調 査
こうした努力が実り、2002年
を 口 にす る 様 子
僚 らが NEWater
がテレビな どで 報 じ られている。
を
ペッ ト ボ ト ル 入 り NEWater
100万 本 以 上 頒 布した という。
地で国 民 向けの説 明 会 を 開 催し、
リ ー ナ・バレッジ」も オ ープンし、
者を選ぶ人が圧倒的に多いはずだ。
とへの心理的な抵抗感はあるだろ
しかし、実際に飲料が可能なレ
ベルにあっても、下水を口にするこ
注目度も高い。
ザ・イ ヤ ー」を 受 賞。 世 界 からの
2 8 0 0 万 リット ル 生 産 可 能 な
15
メント・コントリビューション・オブ・
セントーサ島スカイ・タワーからシンガポール中心部を望む
おり、国民の抵抗感に配慮している。
「 こ れ ま で 4つの プ ラン ト で
N E W a t e r の 浄 水 過 程を実 際 に見 学できるのが
「NEWaterビジター・センター」だ。マルチメディアによる
解説や、
コンピュータによるインタラクティブな展示などで、
シンガポールをはじめ世界各国の水資源に関するデータ、
水に関する諸問題について学ぶことができる。
さらに、実際
に浄化消毒処理するNEWater浄水設備を間近で見学す
ることも可能。最後にはペットボトル入りのNEWaterがもら
える。実際に味わうチャンスだ。
シンガポールのシンボルとい
えばマーライオン。11世紀に
マレーシアの王族が対岸に見
える大地を目指して航海し、新
たな土地にたどり着いた。その
ときにライオンが現れ、王族に
その土地を治めることを許して
シンガポール・フライヤー
立ち去ったという言い伝えを基
に、
ライオンと人魚
(マーメイド)
を合体させたものといわれている。1972年に地元の彫
刻家の手により制作され、
もともとはシンガポール川にかかるエスプラネード橋のたもと
の公園にあったが、
2002年にマリーナ湾を望むマーライオン公園に移設された。
その
際、長らく故障していたポンプが改修され、
ほぼ1日中、海に向かって口から勢いよく水
を噴き出す姿を見られるようになった。
さらに、
シンガポールの新たなシンボルになったのが、世界最大級の観覧車シンガ
ポール・フライヤーだ。周囲にある高層ビルの中でもひときわ目立つ高さ165メートルで
シンガポールの美しい街並みはもちろん、
マレーシアやインドネシアまで一望できる。
日本を代表する建築家・故黒川紀章氏の設計。
30
01
楽しく再利用水について学べる
「NEWaterビジター・センター」
2
ダ ム と「 水 」の テ ー マ パ ー ク 双 方 の 機 能 を 備 え た 新 名 所
「MARINA BARRAGE(マリーナ・バレッジ)」
。マリーナ湾にダ
ムを建設し、水の供給増加や低地での水の氾濫を軽減するとと
もに、水を利用した新しいライフスタイルを提供。飲食店や
ギャラリーを併設し、カヤックなどのウォータースポーツも楽
しめる。
(写真提供:PUB)
02
5
column
column
シンガポールの2大シンボル
マーライオンと大観覧車
98
NEWaterのペットボトル。
(写真提供:PUB)
多段積みの逆浸透膜装置。
(写真提供:PUB)
NEWaterの処理工場。
(写真提供:PUB)
4
Sep.2009
Sep.2009
5
国民の生活を支える水を
安定的に供給するためのアイデア
水づくりへの挑戦 シンガポール共和国
の
水
を
100%とすると
淡水 2.5%
そ の う ち、人 間
が直接使用でき
る水はわずか
地球
上
水づくりへの挑戦 シンガポール共和国
0.01%
海水 97.5%
2,190本
(1,095ℓ)
下記サイト
「仮想水計算機」
で
バーチャルウォーター量を
算出することができる。
http://www.env.go.jp/water/
virtual_water/
豚肉、玉ネギ、じゃがいも、にんじん、ごはん、サラダ油、小
麦粉、カレー粉など、それぞれのバーチャルウォーター量
を合計すると、
1人当たり1,095ℓの水が必要になる。
出典:
「バーチャルウォーター」 * 東京大学生産技術研究所沖研究室と読売新聞の共同研究
ペットボトル
世界 億人が
水不足に直面する未来
例えば
カレーライスの
バーチャル
ウォーター量*は
水不足に果敢に挑戦するシンガ
ポールの取組みは、水不足の危機
<バーチャルウォーターとは>
に直面している世界にとって大き
20 70
なヒントとなるものだろう。 「 国連によると、今世紀半ばまで
48 60
私たちの生活にはこれだけの量の水が必要だと
知っていましたか!?
例えば、1kgのトウモロコシを
かんがい
生産するために、灌 漑用水と
して1,800リットルの水を使
用する。また、牛はこうした穀
物を大量に消費しながら育つ
ため、牛肉1kgを生産するに
は、
その約20,000倍もの水
が必要。そうした計算を基に
算出されたのが「バーチャル
ウォーター量」
だ。
に、最悪の場合で世界 カ国 億
人が、最善の場合でも カ国 億
人が水不足に直面することになる
といいます。日本でも、気候変動
などの要因により、緩やかに降水
量は減少していますから、水不足
の解消に取り組んでいく必要があ
ります」
(日本水フォーラムの平
山周一氏)
水不足を解消するため、各家庭
や個人レベルで節水するだけでは
限界がある。シンガポールでは国
が先導し、先進技術を持つメーカー
と協力して浄水技術を開発するこ
け多くの水を消費することにつな
とで、再利用水事業は国家レベル
どの水が必要かを想定した「バー
がるのです。今後は水を有効活用
の規模になった。現在、国民に安
を解決するためのビジネスとして
チャルウォーター」によると、な
する新たな農法やシステムなどの
定的に水を供給するという目的を
も注目されている。シンガポール
んと年間800億キロリットルに
果たす一方、海外に向けた水問題
の取組みは、国民にも国にもメリッ
か し、 地 球 温 暖 化 や 人 口 増 加 な
開発が重要な課題になると思いま
世界各国で水不足が懸念される
中、バーチャルウォーターを減ら
ど が 加 速 す る 中、 そ れ が ず っ と
も達するという。これは、日本国
すことは日本にとって重要な課題
続 く と は 限 ら な い。 日 本 で も 水
トがある事業といえるだろう。
といえる。しかし、日本はその分
の安全保障の確立を目指した
す」
(平山氏)
の水を自国で確保しなくてはなら
「チーム水・日本」が昨年発足し、
内で使用される年間水使用量と同
世界が直面している水問題は、
日本にとっても無縁ではない。
ない。
国内外に向けての水への取組み
程度である。
食料自給率が %前後で推移す
る日本は、農産物を世界各国から
「まず農業で使われる水のことを
が 始 ま っ て い る。 水 問 題 の 将 来
70
40
人 口 の 100 % が 安 全 な 水 を
利 用 で き る 水 資 源 国、 日 本。 し
の輸入に頼っている。それは、各
改めて考える必要があります。世
日本も無関心では
いられない水不足問題
国で農産物を作るために使われて
を 考 え る と、 シ ン ガ ポ ー ル の 取
Sep.2009
界の水の消費量のうち、約 %は
7
愛知県名古屋市東区泉2-13-4 カスティロ泉1B Tel:052-932-1710 http://www.1egg2minds.com/laopasa.html
いる大量の水を、日本が消費して
Data
組みから学ぶところは大きいと
中華系、
インド系、
マレー系などの特長を受け継ぎながら、
それぞれ
が一体となって進化してきたシンガポール料理。
そんな本格的なシン
ガポールの味を楽しみたい人にぴったりなのが、
イーストダイニング
ラオパサだ。閑静な路地
裏に店を構える大人の隠
れ家的なお店で、
シンガ
ポールの国民食ともいえ
る海 南 鶏 飯「 ハイナン
ジーファン」
(900円)
をは
じめ、日本人でも食べや
すいアジア料理を楽しめ
る。営業時間は11:45〜
14:30、18:00〜23:00
(日・祝は夜のみ)
農業で使用されていますから、食
本格的なシンガポール料理を味わう!
いることにつながる。もしその輸
イーストダイニング ラオパサ(愛知県名古屋市)
いえるだろう。
日本で味わうシンガポール料理
料自給率を上げることは、それだ
水の「量」と「質」のほかに
も、水による「災害」につい
ても問題視されている。国
連大学によると人口増加や
地球温暖化により、2050年
には現在の2倍の20億人が
水災害を受けやすくなると
予測されている。
入食料を生産するとしたらどれほ
ユニセフ/世界保健機関の
報告によると安全な水を飲
めない人の数は世界で8億
人以上、さらにトイレなどの
適切な衛生施設を利用でき
ない人の数は26億人にのぼ
るという。
世界が直面する水不足
シンガポールの取組みに学ぶ
に学ぶ 水資 源 確 保
70
水問題の解決に向けて日本と世界の架け橋に
「日本水フォーラム」
世界の水問題について議論する
「世界水フォーラム」
が開催されているのをご存じだろうか。1997年に第1
回世界水フォーラムがモロッコで開催されて以来、
3年
に1度行われている。
日本でも2003年に開催され、
そ
の事務局の後継組織がNPO「日本水フォーラム」。発
展途上国に対する支援プロジェクト、水問題の調査、
セミナー・シンポジウム開催など、水問題の解決に貢
献する取組みを行っている。ホームページでは、世界
の水問題や日本の取組
み、
「 節水リーダー」によ
る活動報告など、
水に関
する様々な情報を発信。
また、プロ野 球 のダル
ビッシュ有投手の協力に
より、水不足に苦しむ世
界の人々に安全な水を
提供する基金の募集も
行っている。
http://www.waterforum.jp/
Sep.2009
6
FIELD
タイ国内最大のPTA生産施設
が 日 本に保 有 する 岩 国 大 竹 工 場
をモデルにしたプラントとしてス
ター トしました 。現 在のPTA年
では最 大の生 産 施 設 となり 、岩 国
生産能力は日本国内の2.5倍強
バンコクから南 東へ車で 時 間
ほどのリゾート地として名高いパ
大竹工場の年産
万トンを大きく
間 生 産 量 は144万 トンと 、タイ
タヤビーチの少し先、
マプタプット
工 業 団 地 内に
内市場をはじめとするアジア全域
S I A M M I T S U I 上 回 る 生 産 能 力 と なっていま す 。
同 社 が 生 産 したPTAは、タイ 国
(以下 SMPC
)
は
PTA CO., LTD.
あ り ま す 。同 社 は 、タ イ の 財 閥 グ
に出荷されています。
では、プラント運 営のた
SMPC
めの つのポリシー を 定めていま
メンテナンス効率とコストを改善
調節弁の状態をモニタリングすることで
ループであるサイアムセメントグ
ループの化 学 部 門( SCG -)
Cと日
本の 三 井 化 学 株 式 会 社 が 出 資 し
1995年に設立されました。ポリ
エステル繊 維やPET樹 脂の原 料
となるPTA を生産する拠点とし
て、
1999年から2005年にか
いていくためのコストと品 質のた
す。その中の「厳しい競争を勝ち抜
けて
し、
生産能力を拡大してきました。
常にコスト削減と品質向上策を模
索しています。
ンスよく改善するかがポイン
トとなります。その中で、
まず
はプラントの安全を担うメン
テナンスの改善に着手しまし
の有効
ATHの説明から Valstaff
性が理解できたことで導入を決定
「 今 ま で の 実 績 と 信 頼 、そ し て
ました。このような分析により、予
より長く使えそうなことが分かり
とにより、グランドパッキンを現状
す 。稼 働 状 況データを解 析するこ
ます」(タヌンチャイ氏)
フィードバックすることも始めてい
を 、プ ラン ト を 運 用 す る 部 門 に
た」(タヌンチャイ氏)
しました 。プラント 内の重 要 な 個
防 保 全 としてメンテナンスの必 要
ATHは SMPC
2007年 月、
と同じラヨン地区にあるCVメンテ
地域密着型のサポートを実現
CVメンテナンスセンターを設置し
所に設 置された 最もメンテナンス
なりました 。今 後は、グランドパッ
ナンスセンターを移 設 拡 張しまし
コストのかかる特 殊アングル
キンの延 命にもさらに挑 戦したい
た。
これにより、
さらにスピーディで
充実したサービスを提供できるよ
手厚いサポートが可能となり、
より
メンテナンスの指 標となる稼 働
状 況データを 得 たこ とで 、今 後も
を 利 用し
に対 象 を 絞り Valstaff
たモニタリング を 開 始 しま し た 」
(タヌンチャイ氏)
と考えています」(タヌンチャイ氏)
さらには異常の検知も可能となり
ます。
調節弁の稼働状況データを収集
し解 析 するこ とで、消 耗 部 品であ
るグランドパッキンの劣 化 状 態 を
継続して効果を確認することがで
タヌンチャイ・
コシントラクルチャイ氏
の山 武 製 調 節 弁のメンテナンスも
把握することや、
シート部やガイド
で収集
うになりました。 Valstaff
した 調 節 弁 稼 働 状 況データは、日
電気計装マネジャー兼
メンテナンス
プランニングマネジャー
担当していた山武のグループ会社
部の固着を事前に検知することが
に報告を行っています。
本の技術部門で解析を行い定期的
とも考えているといいます。
「データの解析内容、
レポートにつ
の製造
で あ るアズビルタイ ランド( 以 下
きれば、 Valstaff
でモニタリングす
る項目や調節弁の台数を増やすこ
できます。
これにより、
開放点検 や
「プラントを安全・安心に運用する
いては大変満足しています。ATH
事業内容:高純度テレフタル酸(PTA)
ATH)
は、調節弁の開閉を制御す
交換部品の準備など計画的な立案
ためにメンテナンスという 作 業 が
の担当者も技術力が上がりサービ
Province 21150 Thailand
るポジショナ を介して調節弁の稼
を行うことが可能となりメンテナ
なくなるこ とはあり 得ません 。不
スも充実してきました。今後は、さ
Soi G-2 Muang District, Rayong
働 状 況 をモニタリングすることの
ンス効率の向上につながります。
具合を起こす前に予知・予防を行
業:1995 年
創
Hemaraj Eastern Industrial Estate
できる 調 節 弁メンテナンスサポ ー
では Valstaff
を 導 入し
SMPC
て半年が経過し、
メンテナンスを改
らなるスキルアップを行い、
タイ国
調節弁を解体し内部の点検を行う。
期待します」(タヌンチャイ氏)
(Thanunchai
Kosintrakulchai 氏)
い、事 前に最 適な対 処 を 行 うこと
*3:開放点検
TM 提 案し
Valstaff を
2
善する判断を行う上でのデータも
所 在 地:8 Prakornsongkroraj Rd.,
が 重 要 と 考 え て い ま す 。ま た 、
調節弁の開閉状況や動作を制御する機器。
トシステム
ました。
や、
メンテナンスの最適化が可能と
なバルブに必要な処置を行うこと
のプラント は 三 井 化 学
SMPC
「品質を確保しながら、
プラン
トの運用全体に係るコストを
2009年度で %削減する
つについて、
どのようにバラ
は、
運用とメンテナンスという
して、
これを実現するために
ことを目標に掲げました。そ
20
台
ゆまぬ進化」を具現化するために、
期にわたりプラントを拡張
5
2
SIAM MITSUI PTA
CO., LTD.
プラント を 安 全に運 用 し 、安 定
した生産を保つためには、
各種パー
ツや設 備などのメンテナンスを 行
うことが 欠 かせません。調 節 弁の
運用状況を把握することができれ
56
2
この 要 望 を 受 け 、同 社のプラン
トに納入されている500台以上
ば部品交換を行う最適なタイミン
*1
集まってきました。
*2:ポジショナ
グと 回 数 を 見 極めるこ と ができ 、
アズビルタイランド現地スタッフはお客さまと密接なコミュニケーションを
取っている。
3
のデータ解析を実現
内で Valstaff
し、素 早い情 報 共 有 とサポ ー トを
SIAM MITSUI PTA
CO., LTD.
「メンテナンスコストについては、期
*3
のデータ解析により調節
Valstaff
弁を効率的に運転する情報や手法
Purified Terephthalic Acid。高純度テレ
フタル酸。ポリエステル繊維やペットボトル
の原料となる石油化学製品。
待以上の削減効果が見込めそうで
*1:PTA
8
Sep.2009
Sep.2009
9
タイ国内で最大規模のPTA生産拠点で山武の調節弁500台以上がプラントの安全・安心に貢献しています。
新たに調節弁のメンテナンスサポートシステムValstaffを採用することで、
メンテナンスを効率化。
メインポリシーに掲げた、
コストの削減に向けて取り組んでいます。
6
1
4
2
3
予防保全の実施とメンテナンスの高効率化で、
安全で生産効率の高い石油化学プラントを実現
用語解説
*2
1 SMPCのPTA製造プラント。年間生産量144万
トンを誇る。
2 SMPCにも同形が納入されているスマート・バ
ルブ・ポジショナを搭載した調節弁(写真は一
般弁AGVB)
。Valstaffは、調節弁に搭載したス
マート・バルブ・ポジショナと通信を行うことで、
プラント運転中に調節弁の稼働状況にかかわ
る情報を収集することができる。
3 調節弁の動作をモニタリングしているValstaff
(写真はワークショップ、
テスト時のもの)
。
4 ATHのラヨンCVメンテナンスセンター。
納 入 事 例
「医薬品を生産する上では、
その製
造環境の高度な温度・湿度制御が
必要です。加えて、少量でも人体に
の生 産 機 能を担 う 企 業です。同 社
として知られる中外製薬株式会社
中外製薬工業株式会社は、医療
用医薬品のリーディングカンパニー
込め”
を行う必要があります。その
止 するための“ 高 活 性 物 質の封じ
などによる一般 製 品への混 入 を防
それら物質の飛散
業者への曝露や、
製造環境の厳密な管理が
品質管理の重要なカギ
では2002年以来、
生産のさらな
ためには、厳 密な室 間 差 圧の制 御
奈川県の鎌倉、
そして静岡県の藤枝
東京都の浮間、栃木県の宇都宮、神
開していた工場を集約。現在では、
を行うことが重要な要件となりま
に一定に維 持していくための制 御
ニタリングしながら、
製造環境を常
湿度、
そして室圧などをつぶさにモ
ばくろ
る効率化と自社技術の維持・強化
が不 可 欠です 。各 製 造 室の温 度や
強い影響を及ぼす高活性物質の作
を目的に、
それまで国内 カ所に展
という つの工場が同社医薬品の
「 2 0 1 0 年 を 目 標に抗 がん 剤 を
生産拠点として稼働しています。
「その一方で、
GMP などの医薬品
す」(酒井氏)
ています。そして、その取組みの中
に至る一貫生産体制の構築を進め
に集約し、原薬生成から製剤、包装
剤・顆粒剤)
の生産機能を藤枝工場
中心とした固形剤
(錠剤・カプセル
ていくといったことも必 須 条 件な
データを継続的かつ克明に記録し
ちろん、
モニタリングした製造環境
の制御を適正に実施することはも
守するという 観 点から、製 造 環 境
の製造・品質管理上の法規制を遵
枝工場の敷地内に新たに竣工した
『固形製剤棟』
です」(酒井氏)
建設面積10855㎡、延床面
積 2 9 1 5 0㎡ 、地 上 階 建てと
山武との綿密な連携の下
一 般製品を棟内にある複数の製造
抗 がん 剤などの高 活 性 製 品 と
プトは
“パラレル&マルチユース”。
したのが、
山武の建物管理システム
応えるため、中 外 製 薬 工 業が採 用
このような固形製剤棟における
環境制御・モニタリングへの要求に
システムを継続的にブラッシュアップ
室や設備を共有し同時に生産する
と協調オートメー
savic-netTM FX
TMし
ション・システム Harmonasで
ており 、
エネルギ ー 供 給に関 す る
詳細な分析を行うことで常に改善
点 を 見 いだ し な が ら 、
エネルギ ー
の対応に関しても必要な証跡を確
ません。また 、GMPなどの規 制へ
献していることは言うまでもあり
品質管理や作業者の安全確保に貢
います。このことが、製品の厳密な
行えるような仕組みが整備されて
に管 理 者に通 報し、適 切な対 処 が
環 境 変 化が発 生した 際に、速やか
「システムでは、許容範囲を超える
(道下氏)
ギーを賄 うという 形を取っていま
して 、工 場 内で 必 要 とな るエネル
事 業 者( 株 式 会 社シーエナ
ESCO
ジー)
より電力や温水、蒸気を購入
た 。同 社 は こ の 設 備 を 設 置 し た
レ ーションシステムも 導 入 しまし
て温水などを作るといったコジェネ
りでなく 、発 電 時の排 熱 を 利 用し
工 場 敷 地 内に設け、電 力 供 給ばか
中心に構成される電力供給設備を
1260kWの自家発電機
2 出 削 減 を 目 指し、
最 小 化 、CO 排
中 外 製 薬 工 業の藤 枝 工 場では、
エネルギー 供 給にかかわるロスの
ど 、製 薬 会 社 を 取 り 巻 く 環 境 は
れ、
さらには環境保護への取組みな
国 際 的 な 基 準の標 準 化・統一の流
はもちろんのこと 、ICH による
といった各国の医薬品
州の EMEA
製 造・品 質 管 理に関 す る 規 制 対 応
「国内のGMP、
米国のFDA や欧
ものと考えています」(道下氏)
で、
その効果をさらに高めていける
を活用した改善
すが、 Harmonas
を今後継続的に実施していくこと
在、同設備によって5000t/年
う 取 組みにも着 手しています 。現
効率をさらに向上させていくとい
実かつ自動的に確保できるという
す。これにより、送電によるエネル
刻々と変わっています。そのような
の管理を実現しています。
1992
もともと中外製薬では、
年の浮間工場を皮切りに宇都宮工
場、
さらには藤枝工場の別棟におい
て も 、こ の
s a v i c - n e t Fと
X
を組み合わせたシステ
Harmonas
ムを 構 築し、製 造 環 境の管 理に関
する様々な課題に取り組んできた
という経緯があります。その間、同
社と山武が互いに協調しながらシ
ステムの継続的なブラッシュアップ
に努めてきました。
*2
には 、大 き な 信 頼 を 感 じ ま し た 」
メリット が 得 られていま す 。特 に
ギーロスを最小限に抑えるととも
変 化に対して、生 産 、品 質 、
エネル
道下 糾生氏
「 製 品 自 体の優 位 性はもちろんで
*4
施設グループ
グループマネジャー
*3
酒井 康行氏
3
ケージを用いて逐一変化する製造
室の 環 境 デ ー タを 監 視・記 録 しま
に備えられた 厳 密な
Harmonas
ユー ザ ー 管 理 や ア ク セス 制 御 と
に、災 害などの非 常 時にも自 社 工
ギーといった 幅 広い分 野でトータ
*4:ICH
2 減効果が見込まれていま
のCO 削
いった一連のセキュリティ機 能は、
場内でのエネルギー供給が可能と
工場長
すが 、
ユー ザ ーであ る 我 々 自 身 が
*3:EMEA
台を
す 。これにより徹 底した 製 造 環 境
証 跡の正 当 性の確 保など 、当 社 が
2
CO 削
減の側面での
モニタリング・分析にも活用
ことを目指しています。
いう 規 模を誇るこの建 物のコンセ
のです」(道下氏)
核を担うのが、
2008年 月、藤
*1
中 外製薬工業株式 会 社
理解した上で安心感を持って利用
していきたいという思いが当社に
2
ルに支援してくれるパートナーと
事 業 内 容:医薬品の製造
なりました。
European Medicines Evaluation
Agency。欧州医薬品審査庁。
納 入 事 例
藤枝工場
た。
では、製造室な
savic-net
FX
どの温度、
湿度、
室圧の計測・制御を
はあります 。そ うした 要 望にも柔
7
4
設 立:2006 年 5 月
抱えるコンプライアンス上のニーズ
中外製薬工業株式会社
藤枝工場
“ ブラック ボックス 化 ”されたシス
所 在 地:静岡県藤枝市高柳 2500 番地
して、
山武には今後も大いに期待し
軟に応えてくれる山 武のスタンス
4
「このエネルギー設備全体のモニタ
に
行い、連携している Harmonas
搭 載 された 環 境モニタリングパッ
中外製薬工業では、藤枝工場内に新設した
「固形製剤棟」
において、医薬品製造に求められる
厳密な製造環境の制御と環境データのモニタリングを実現しました。
その成果は、品質管理や
コンプライアンス対応をはじめとする幅広い局面に及んでいます。
を満たすものとして高く評価して
Food and Drug Administration。米国
食品医薬品局。
います」(酒井氏)
International Conference on
Harmonization of Technical
Requirements for Registration of
Pharmaceuticals for Human Use。日
米EU医薬品規制調和国際会議。日本・
米国・EUそれぞれの医薬品規制当局と
産業界代表で構成されており、新薬承認
審査の基準を国際的に統一し、医薬品
の特性を検討するための非臨床試験・臨
床試験の実施方法やルール、提出書類
のフォーマットなどを標準化する機関。
テ ム を 利 用 す る と い う ので は な
*2:FDA
10
Sep.2009
Sep.2009
11
製造現場の環境制御・モニタリングで
医薬品の品質と作業者の安全管理を徹底
ています」(酒井氏)
Good Manufacturing Practice。 薬 事
法に基づいて厚生労働大臣が定めた医
薬品及び医薬部外品の製造管理及び品
質管理の基準。
2
3
1
が活用され
リングにも Harmonas
*1:GMP
く 、システムの 内 容 を しっか り と
用語解説
2008年2月に竣工した固形製剤棟。薬の製造過程が見学できるコースも準備されている。
固形製剤棟に設置された建物の環境を制御する
“savic-net FX”
(左)
と製造環境データをモニタリングし蓄積する
“Harmonas”
。
薬品製造室の室間差圧の監視を行う
“Harmonas”
の監視画面。
工務棟に設置された
“Harmonas”
はコジェネレーションシステムなどのエネルギー供給設備の制御と管理を行う。
健康増進法による受動喫煙防止など社会的要請にも配慮して設けられたお客さま用喫煙室には、山武の電子式エアクリーナが設置されている。
高性能な空気清浄機能によりタバコの煙を取り除き、
粉塵濃度を下げることで臭いを抑え、
利用者へ快適な環境を提供している。
1
2
3
4
5
5
FIELD
4
vol.16
M
Human-centered automation
お客さまに向けた新たな価値の創造を念頭に、
組織・人材面での強化と現場業務の改革を実現。
時代のニーズに応じて進化を遂げる、
課題解決型ソリューションの推進により
においても、
「お客さまへの新たな
強 力 に 推 進 してきまし た。AAC
点の統合・再編などの基盤整備を
お客さまのビジネスを強力に支援する。
事業ユニットの壁を越えた
組織再編・人材最適配置を実現
価値提供」という視点に立ち、ビル
域を担う山武のアドバンスオート
グ ル ー プ の ア ド バン ス
が、 azbil
オートメーション事業です。この領
ング、保 守サービスを 提 供 するの
ソリューション、計装・エンジニアリ
といったお客さまに向けた、商品・
もそうした取組みの典型例だとい
部門の統合を行っていますが、
これ
月には、AACとBSCのサービス
んできま し た。去 る2009年
産、営業などの組織再編に取り組
連携を実現すべく、研究・開発、生
な ど azbil
グル ー プ 内 にお け る 事
業ユニットの“壁”を越えた柔軟な
スをさらに強力に支援していくこ
況の中、山武にはお客さまのビジネ
は周 知のとおりです。そ う した 状
業が大きな打撃を受けていること
システムカンパニー( 以 下BSC)
メーションカンパニー(以下AAC)
えます。
とが望まれていますが、これには山
石油、化学、鉄鋼、紙パルプなど
の素材産業、及び自動車、電気・電
では、人が安全かついきいきと働く
武自身の基盤強化の取組みが、極
産業や素材産業を中心とした各企
2008年秋以降の全世界規模
での経 済 環 境の悪 化により、装 置
ことのできる生産現場の実現を目
加 えて、組 織のベースとなるス
タッフの能 力を最 大 限に活 用する
メンテナンスセンター を 開 設 する
スセンターを新設しました。バルブ
指した大 規 模なバルブメンテナン
て、グループ各 社 を含 む組 織・拠
念に掲 げ、以 来、その追 求に向 け
たオートメーション」をグループ理
山 武 で は、2 0 0 6 年、創 業
100周 年 を 機に「 人 を 中 心 とし
横 断したサー ビス体 制の強 化も、
現在進めている組織面、人材面を
えていくこ と を 目 指 していま す。
に移り変わるニーズにも確実に応
してきました。
底上げを図るという活動にも注力
適 配 置することによって組 織 力の
力を最大限に発揮できる部署に最
を“言葉”というあいまいな手段で
課題やその解決に向けて行う施策
これに対しオブジェクト 型アプ
ローチとは、まずお客さまの現状の
もなり得ます。
は、2008年内に台湾をはじめ、
み を 誇 る 調 節 弁 の 分 野 に 関 して
例えば、国内No. 1のシェアを
獲得するなど、山武が圧倒的な強
めて重要な意義を持つものと捉え
ことにより、お客さまの近くで、お
そうした山武本来のコンセプトを
はなく、具体的な“絵”として描く
を積 極 的に推し進め、その人の能
客さまの要望に合わせたサービス
さらに高い次元で、しかもグローバ
ことで「可視化」する。そして、お客
拠点にサービスの強化を目
がスピーディに行えるようになり
ルな規模で実現していくための取
内容を「共有」しながら、それに基
務ユニットが、より明確な形でその
さまと当社、そして当社内の各業
海外
ました。また、単にお客さまに優れ
組みにほかならないのです。
して、それを最 大 限に活 用いただ
くというだけではなく、プロダクト
の部分的な追加 ・改修を行いなが
ても、保守によって部品やシステム
いる製 品が数 十 年 前のものであっ
す。それは、仮にご利用いただいて
化)
」と い う コンセ プ ト が あ り ま
「エボリューション 段階的発展(進
ルをトータルにサポートしていく
元 来 山 武には、お客さまのビジ
ネスに応じて製品のライフサイク
ビス体制が不可欠となるのです。
には、従 来にも増して強 力なサー
リューション」を実現していくため
なります。こうした「課題解決型ソ
注力していくということも可能と
くためのソリューションの提供にも
ます。また、当社のエンジニアリン
につながるといった 可 能 性もあり
工期の遅延やムダなコストの発生
両者が正しく共有できず、それが
メージを“ 言 葉 ”の相 違のために、
ば、設 備 の 設 計 な ど に 関 す る イ
前 より 重 要 なテーマでした。例 え
る問題をいかに克服するかが、以
ニアの用いる“言葉”の違いをめぐ
面などでは、お客さまと当社エンジ
入です。特にエンジニアリングの局
「オブジェクト型アプローチ」の導
の 具 体 例 と して 挙 げ ら れ る の が
う 取 組みにも着 手しています。そ
本的な在り方自体を変革するとい
お 客 さ まへの 価 値 提 供 の ア プ
ローチとして、私たちの業 務の基
世界中のお客さまのビジネスをさ
続 的に実 践 していく。それこそ が
お客さまの価値最大化を第一に
考えた取組みを、果断にそして継
出しつつあります。
グ ル ー プ のエン ジニア 同 士
azbil
が、言葉の壁を越えて協働を生み
国 内 をはじめとした 世 界 中の
い評 価 をいた だいていま す。日 本
成果が得られ、お客さまからも高
縮、品質向上などの様々な局面で
工程の手戻り排除による工期の短
数 多 くの現 場で 実 践 されており、
きるのです。既にこのアプローチは
プロジェクトに取り組 むことがで
に同一のゴールイメージを描いて
示的な実践により、関係者が確実
づく「協働」を行うことを支援する
ら、より高度な最新機能を常にご
グ部 門 とサービス部 門の間の“ 言
らに強力に支援するための新たな
より的確な課題解決を推進
利用いただけるようにするという
葉”の差異は、お客さまに対する保
価値創造に向けた不可欠な推進力
製 品の利 用を通じて、お客さまの
考え方です。このような対応によっ
守サービスなどの局 面で、両部門
になるものと確信しています。
ものです。このようなプロセスの明
て、お客さまのこれまでの投資を最
のスムーズな連携を妨げる要因と
抱える課題を継続的に解決してい
独自アプローチに基づく業務変革が
た調節弁などのプロダクトを提供
に活動を続けています。
価値をお届けすることをミッション
指し、
お客さまに対して常に新たな
ています。
時代とともに変化する課題を
継続的に解決するソリューション
猪野塚 正明
グループ全社
取組みも強化。 azbil
でのグループ 内 リクルーティング
子、半導体、さらには医薬品・食品
株式会社 山武 取締役執行役員常務
アドバンスオートメーションカンパニー
社長
2
大限に活かし、併せて時代ととも
Sep.2009
13
4
ind
人 を 中心 とした オートメーション を 目 指 して
お客さまへの最大価値提供を目指す
組織変革・業務変革を両輪に
世界各地で水不足が発生する一方で、右肩上
がりに水需要が増えています。
水問題を専門とするジャーナリスト
が、世界の水争奪戦を俯瞰する
とともに、水ビジネスの動向など
も交えながら、今後、
日本が取る
べき対策を解き明かします。
▪PHP研究所
▪橋本淳司 著
▪価格1680円
(税込)
本書を5名の方にプレゼントいたします。
お名前、貴社名・部署名、
ご住所、電話番号、宛名ラ
ベルに表示されております8桁の登録番号をご記入の
上、
下記宛先に9月末日までにご応募ください。厳正な
抽選の上、当選者ご本人に直接当選の連絡をいたし
ます。
なお、
社員並びに関係者は応募できません。
▪ご住所などの変更に関するご連絡は、宛名
ラベルに表示されております8桁の登録番
号も併せてお知らせください。
※対象は株式会社 山武、株式会社 山武商会、山武コントロールプ
ロダクト株式会社、安全センター株式会社、株式会社 山武瑞穂、
株式会社 太信の国内にある工場、事業所、営業所、サービスセン
ターなど
株式会社 山武 経営企画部広報グループ TEL:03 - 6810 - 1006 企業活動報告書「azbil report 2009」を発行
株式会社 山武は、2008年4月から2009年3月ま
でのazbilグループの企業活動を包括的に報告す
る「 azbilグループ企業活動報告書:azbil report
2009」
を発行しました。
本誌では、azbilグループの事業概況や環境報告、
社会性報告、財務報告などについて、分かりやすく
解説しています。
●
〒100-6419
展 示 会 情 報
九州グランドフェア 2009
●
展 示 会 情 報
Sep.2009
【特長】
■熱源システムのCO2排出量またはトータル運転コス
トータル運転コスト
トの最小化を実現
(CO2排出量、
どちらかを選択)
■冷却水ポンプ変流量制御、
1次ポンプ変流量制御、
2次ポンプ変流量制御など、効果を高める省エネル
ギープログラムを搭載可能
■制御ごとに省エネ効果の可視化が可能
*制御=最小CO(コス
2
ト)
台数
制御、冷却水ポンプ変流量
制御、
1次ポンプ変 流 量 制
御、
2次ポンプ変流量制御
■当社ビルディングオートメー
ションシステムを導入済みの
建物が対象
Topics
製 品 情 報
ニ ュ ー ス
セミナー情報
展示会情報
株式会社 山武 ビルシステムカンパニー コミュニケーションマーケティング部
TEL:03 - 6810 - 1112
●
メカニカル式インターロック「Prosafeシリーズ」を販売開始
株式会社 山武商会は、米国ロックウェル・オートメー
ション社のトラップ・キー・スイッチ「Prosafeシリーズ」の
販売を開始しました。
あらかじめ定義された操作シーケンスが必要な安全ア
プリケーションで電力/エネルギー遮断後、
キー交換、
及びメカニカル式のインターロックにより電気的な配慮
を必要としない仕組みによる安全機器です。
●
主 催:ユアサ商事株式会社
入 場 料:無料
出展内容:水道メーター、電池式電磁水道メーターなど
株式会社 金門製作所 九州支店 3グループ TEL:092 - 633 - 2811
VACUUM2009-真空展
会 期:9/16
( 水)
~9/18
( 金)
時 間:10:00~17:00 会 場:東京ビッグサイト 東5ホール
主 催:日本真空工業会、
日本真空協会
入 場 料:1000円
(Webサイト事前登録者は無料)
出展内容:太陽電池製造、成膜装置、プラズマクリーニ
ングなどの装置用マイクロフローセンサ応
用製品(マスフローメータ、マスフローコント
ローラなど)
株式会社 山武 アドバンスオートメーションカンパニー コールセンター TEL:0466 - 20 - 2143
製 品 情 報
会 期:9/11
( 金)
~9/12
( 土)
時 間:9/11 10:00~17:00
9/12 9:30~16:30
会 場:マリンメッセ福岡
●
15
株 式 会 社 山 武 は 、熱 源システ ム の 省 C O 2/
省 コストを 実 現 する 熱 源 最 適 化 コントローラ
「PARACONDUCTOR(パラコンダクタ)」
を販売開
始しました。
オフィス、工場などの熱源システムでは、近年、
インバー
タターボ冷凍機のような部分負荷効率の高い冷凍機
が採用されています。
このような冷凍機は、外気条件や
負荷条件によっては冷凍機の台数を増やした方が効
率の良い運転ができ、熱源設備全体のCO2排出量ま
たは運転コストが小さくなる場合があります。パラコンダ
クタは、外気条件や負荷条件を取り入れて、各運転台
数におけるCO2排出量または運転コストをリアルタイム
にシミュレーションし、最適な運転台数にするので確実
な省CO2や運転コストの最小化が図れます。
また、当社
省エネルギープログラムを併せてご利用いただくことで、
さらなる省CO2/省エネルギーを図ることができ、
その
効果は
「省エネ効果可視化機能」
からタイムリーにご覧
いただけます。
【操作シーケンスの一例】
①ロータリキースイッチ
“A”
キーを90°
回転し抜くと、主電源が遮断され機械
が停止する。
②キー交換ユニット
“A”
キーを挿入し90°
回転すると、
“B”
キー2本を抜くこ
とができる。
“B”
キーを取り去ったことにより
“A”
キーは
固定され機械を再起動ができなくなる。
③ボルトインターロック
“B”
キーにより一方の防護ドアのロックを解除できる。
④アクセスインターロック
“B”
キーにより、
もう一方の防護ドアのロックを解除で
きる。同時に
“C”
キーを抜くことができる。
⑤危険エリア
“C”
キーを作業者自身が身に着けて危険エリアに立
ち入ることにより、第三者の不用意な機械の起動を
防ぐことができる。
株式会社 山武 経営企画部広報グループ TEL:03 - 6810 - 1006
編 集 後 記
子供のころから
「水を大切に」
という標語を何度も目に
してきました。
でも、
水に恵まれた国に生まれた私にとっ
ては、
水に困るということがまったく想像できず、
水は
じゃんじゃん使っていました。
アフリカなどの切実な水不
足は知っていますが、
シンガポールなどの発展している
国でも水不足がここまで深刻だとは知りませんでした。
日本でも数年前までは、
ペッ
トボトル入りの水やお茶を
買うという感覚が驚きだったことを思えば、
世界も環境
もどんどん変わっていることが実感できます。
(akubi)
ビル熱源システムのCO2排出量を最小化するコントローラを販売開始
資料請求はこちらから
https://jp.azbil.com/csr/form.html
▪お問い合わせ・プレゼント応募宛先
▪発行日:2009年 9月 1日
▪発 行:PR誌 azbil 編集事務局
▪発行責任者:岡 訓仁
▪制 作:日経BP企画
▪表紙Photo:
Asia Images/Marcus Mok/ゲッティ イメージズ
その結果、azbilグループ ※の2008年度CO2排出量
の実績は、昨年秋以降の事業環境の急速な悪化
に伴う生産減の影響も伴い、総量で2007年度比
6.1%
(1,208トン)削減、売上高原単位で前年度比
1.6%改善しました。これは売上高が4.6%減少して
いるものの、総量はそれを上回る6.1%のCO2削減を
達成しており、原単位改善を実現しています。
製 品 情 報
▪本誌に関するお問い合わせやご意見、
ご希
望、
ご感想、
取り上げてほしいテーマなど、
皆
さまからのお便りをお待ちしております。お
名前、
貴社名・部署名、
ご住所、
電話番号、
宛名ラベルに表示されております8桁の登
録番号などをご記入の上、下記まで郵送、
FAX、
電子メールなどでお寄せください。
東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビル
株式会社 山武 広報グループ
azbil 編集事務局
TEL:03 - 6810 - 1006
FAX:03 - 5220 - 7274
E-mail:[email protected] 株式会社 山武を中心とするazbilグループは、2008
年度の事業活動に伴い排出されたCO2総量を集計
し、当初の目標であった2007年度比3.4%のCO2
排出量削減を上回り、6.1%の削減を達成しました。
2008年度は「CO2削減タスク」
を始動させ、主たる
事業所に担当役員を配置、全員参加の下、特に運
用改善での省エネルギーに力を入れました。具体的
には、昨年から継続している照明・空調などのインフ
ラ系の省エネルギーや生産ラインにおける省エネル
ギーをさらに推し進め、
ノートパソコン・携帯電話充
電器などの待機電力削減の徹底、営業活動時にお
ける公共交通機関の利用推奨、営業車利用時にお
けるエコドライブの徹底・相乗りの推奨などを行いま
した。
●
ニ ュ ー ス
azbilグループPR誌「azbil」を
ご愛読いただき、
ありがとうございます。
2008年度 CO2排出量を2007年度比で6.1%削減
製 品 情 報
世界が水を奪い合う日
日本が水を奪われる日
ニ ュ ー ス
Present
株式会社 山武商会 事業企画部 TEL:03 - 5961- 2153
研究施設のエネルギーの無駄を「見える化」する環境管理システムを販売
株式会社 山武は、省エネルギーで安全な研究施設
の運用を支援する環境管理システム「研究環境管
理サーバ」
を販売しています。
本システムは、2008年11月に販売開始した風量制
御システム「研究施設向け環境制御システム※1 」専
用の管理支援用サーバです。既にお持ちのお客さま
PCとイントラネットで接続でき、研究室内の排気風
量、設備の運用状況などをモニタリングし、分析して
情報公開します。併せてご利用いただくことで、
さらな
る省エネルギーの実現や安全性向上が可能になり
ます。
●
【特長】
■省エネルギー:実験用局所排気装置(ヒュームフー
※2
ド)
稼働中に長時間ユーザーが不在となった時間
(無駄時間)、無駄時間内に排出した風量(無駄風
量)
を表示します。
■安全管理:ヒュームフードや風量制御機器類の動作
情報を提供し、
研究室の空気環境の安全性を確認で
きます。異常が発生した場合は警報履歴を残します。
■情報共有:実験室の運用管理に携わる人々に、
イン
トラネットを介して情報共有することができます。実
データに基づく設備計画が立てられます。
株式会社 山武 ビルシステムカンパニー コミュニケーションマーケティング部 TEL:03 - 6810 - 1112
※1 研究・実験などで発生する有害な気体を瞬時に排気する高性能な
風量制御システム。設備の利用状況に応じた制御を行い、省エネル
ギーと安全の両立に貢献する。
※2 人体に有害なガスや溶液を使用する際に、そのガスや実験により発
生するガスが流出し作業者や居住者の曝露(ばくろ)が起こらないよう
に、
排気を行うために設けられる局所排気装置。大容量で24時間運転
であるため、
空調エネルギーコストに大きな影響を及ぼす。
Sep.2009
14