Page |1 PROJECT REPORTS 2010 年度 アジア青少年環境リーダーネットワーク事業 プロジェクト・レポート 【参加国】インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム 【活動期間】2010 年 8 月 – 2011 年 2 月 編集長: Marie Bretana, WWFPhilippines 編集チーム: Herni, Pili 加藤章太朗, Tan, Joanna Yap, Ruth Yurawan, Nath 監修: 塚原一惠 (JEEF), 柴原みど り (CSEL) ,臼杵裕之 出版元: 公益社団法人 日本環境 教育フォーラム (JEEF) 〒160-0022 東京都新宿区新宿 5-10-15 ツインズ新宿ビル 4 階 TEL.03-3350-6770 FAX.03-3350-7818 引用表記 日本環境教育フォーラム(2011)「2010年度アジア青尐年環境リーダーネットワー ク事業 プロジェクト・レポート 」 著作権 この出版物は出典を明記することで、教育目的に限り、著作権者の許可なく全 体、または一部を複製することが可能です。出版物に引用する場合は、日本環境 教育フォーラムまでお知らせいただければ幸いです。 日本環境教育フォーラムの書面による許可なくこの出版物を販売すること、営利 目的で使用することを固く禁じます。 免責事項 文中の国、地域、都市、関係当局などの法的状態、領域・国境などに関する表 記・表現、及び記載内容は、日本環境教育フォーラムの見解を示すものではあり ません。 また、商品・サービス(営利・非営利問わず)に関する紹介がなされている場合 でも、日本環境教育フォーラムの推奨を意図しているものではありません。 [email protected] www.jeef.or.jp/yelp www.jeef.or.jp/english/ ※この出版物は、財団法人地球産業文化研究所の愛・地球博成果継承発展助成事 業により出版しました。 目 次 持続可能な伝統的市場を目指して .....................................................................................................1 Nisa Finidhama Palestine 伝統的な市場の出店者に対して、廃棄物の分別に関する環境的・経済的利点を教育し、 廃棄物管理システムの実践に重点を置いたプロジェクト。 ソーラークッキング ............................................................................................................................ 16 上野祥子 調理時における太陽エネルギー活用の可能性を検証した。環境教育の実施を通じ、ソー ラークッキングを化石燃料の入手が困難な地域への導入可能性を探った。 サバ州クンダサンにおけるゴミ分別.............................................................................................. 20 Aaron Gan クンダサン地域のコミュニティで、経済的なメリットを示唆しながらゴミ分別を習慣化 することを狙いとした。最終的には、キナバル山の美しさを守ることを目標としている。 YouthXchange:持続可能なライフスタイルに関するアーティスト会議とショートフィ ルム製作 .................................................................................................................................................. 25 Angelicum Oda ショートフィルムの製作を通じ、持続可能なライフスタイルに関する意識向上を狙いと したプログラム。一人一人の選択が世界的な影響を与えるということを、観客に気付い てもらうことを目指している。 社会的に不利な状況に置かれた子供向けのスピーチ・演劇を通じた環境教育 ............... 36 Joanna Tan アートを通じて、環境に関する考え方を伝える事を主軸としたプログラム。環境価値を よりよく理解するためには、創造力が大切だという考え方に基づいている。 チャン島におけるゴミの堆肥化 ...................................................................................................... 48 Vich Cheepsujjayan チャン島の産業・一般廃棄物を堆肥化するプロジェクト。エコツーリズム拠点としての 価値を守ると同時に、有機肥料を販売することでの経済的な側面も視野に入れた廃棄物 管理の取組み。 別添:写真資料 ..................................................................................................................................... 53 Page |1 アジア青尐年環境リーダーネットワーク事業 持続可能な伝統的市場 を目指して 著者: Nisa Finidhama Palestine ([email protected]) 国:インドネシア 所属: ガジャ・マダ大学化学工学学部 Nisa Finidhama Palestine(インドネシア)「持続可能な伝統的市場を目指して」 Page |2 概 要 インドネシアにおいて伝統的な市場は重要な役割を果たしている。インドネシアではお よそ 13,450 の伝統的な市場があり、その増加率は毎年 8.1%である。これは、近代的な 市場の成長によってもたらされているのであるが、近代的な市場とは置き換えられない 伝統的な市場の機能がいくつかある。それらの機能には、異なる社会層に属する者同士 のより強固なつながりの形成、下層から中間層に属する人々への買出しや収入源のため の安価で便利な場所の提供が含まれる。 伝統的な市場の役割は徐々に、近代的な市場によって置き換えられてきている。なぜな ら、伝統的な市場は相対的に汚く、窮屈で、息苦しいところと理解される傾向があるか らである。そのため、多くの人々はこのような場所で買い物することを快く思っていな い。本プロジェクトの目的は、伝統的な市場で衛生管理の問題を解決し、魅力的な市場 環境へ変えること、さらに、下層から中間層にかけての人々の収入源を維持することで ある。 計画は、24 時間営業の果物卸売市場である「ゲマ・リパ」伝統的果物市場で試験的に 行われた。市場ではインドネシアのいくつかの地域から集められた果物が売られ、ジョ グジャカルタの需要を満たしている。しかし、運搬の過程において、ほとんどのフルー ツがきちんと包装されていないなどの多くの問題を抱えている。さらに痛みや腐敗など 品質に問題があり、販売できないフルーツが大量に存在している。結果的に、市場の中 でそれらの果物が山積し、それが大量になるとゴミ処分場に運搬されているのである。 本計画での目標は、まだ消費可能な果物を加工し、フルーツジュースに混ぜて提供する ことである。また、腐ってしまった果物を、電気に変換可能な肥料やバイオガスを作る ために使用する。さらに、本プロジェクトでは、伝統的市場を持続的に発展させること を目指している。最終的には環境教育という側面での追加的な価値も期待できる。 Current Project 図表 1: 持続可能な「ゲマ・リパ」伝統的果物市場における主要プロジェクト (Palestine, N.F., 2010) Nisa Finidhama Palestine(インドネシア)「持続可能な伝統的市場を目指して」 Page |3 本プロジェクトは、いらなくなった果物の分類に焦点を当てている。上述したような構 想において、これは第一段階といえる。本活動は主に、果物の売主に再利用できるもの とそうでないものを分類できるよう教育することである。再利用できるものはフルーツ ジュースにし、そうでないものはバイオガスの精製に使えるだろう。プロジェクト全体 の成功やバイオガス精製の質を決定付けうることから、原料供給は重要になる。フルー ツジュースの配合、抗菌性物質の除去、バイオガス精製、肥料生成、発電、プランテー ションの工程は、他のチームによって推進される。 最初の課題は、ゴミ分別における出店者の意識や技術的知識の分析である。アンケート 調査は、果物店の出店者の理解度だけでなく、どのレベルの情報が彼らにとって伝えら れるべきかを解明するために使われた。本プロジェクトを人々に紹介し、ゴミ分別や監 視過程を教育するためにポスターが市場に貼られた。 中心的な対象者に対しては、さらなる協力を得るために経済的アプローチが使われた。 本プロジェクトでは、維持を確かなものにするために様々なステークホルダーの助けが 求められた。本プロジェクトは、他の市場における試験的な役割を果たす。また、本プ ロジェクトは伝統的市場の意義を維持することにも働く。また、経済的価値とは別に、 市場における廃棄物管理により環境保全の重要性を共有しあうこともできる。 背 景 本プロジェクトを行う前は、同市場でゴミ処理の管理は一切行われていなかった。ごみ が各店の前に散らばり、トラックがそれらを集積場にもっていくのを待っている状態で あった。本プロジェクト全体を通して、市場を魅力的な伝統的市場に変えることが期待 されている。 活動提案書では、ゴミ分別の実施する以前の問題として、出店者の意識を高めることに 焦点が当てることが挙げられている。具体的には、各店舗への教材の配布や、ポスター やリーフレットのようなメディアを通して実施された。本プロジェクトにおける最善の 戦略を決定するため、調査を実施した。 その結果次のようなことが分かった。 出店者は、導入活動によって邪魔をされていると感じている。なぜなら、自分達 のビジネスに関係ないと考えているからである。 出店者は、単に講義や説明を聞くよりも、ゴミ分別のデモンストレーションを受 け入れやすい。 2010 年 11 月 5-17 日まで実施した調査結果及びメラピ山の噴火の影響により、プロ ジェクトのアプローチ方法を変更した。その変更の決定は、プロジェクト・チームと主 要なステークホルダーである組織であり、出店者の性質を良く理解している「Koperasi Gemah Ripah」との話し合いの結果によりなされた。新しいプランには、清掃の日、モ Nisa Finidhama Palestine(インドネシア)「持続可能な伝統的市場を目指して」 Page |4 ニタリング、地元のゴミ管理を実施している村への訪問、フルーツジュースの日が追加 された。 プロジェクトの目標 プロジェクトの目標は: 市場を清潔にすることの大切さについて、果物店の理解向上を図る 果物店にゴミの種類について啓発する ゴミ分別用のゴミ箱を提供する 対象地域 a. 対 象 地名 称 :イ ン ドネ シ ア・ ジ ョグ ジ ャカ ル タ「 ゲ マ・ リ パ」 伝 統果 物 市場 (Ambarketawang, Gamping, Sleman) b. 基本情報: 150 の果物店 16 種類の果物が販売されている 廃棄物量: 1日当たり 4-10 トン ゴミの種類: 1. 分解できるもの=果物(80.13%)、わら (6.52%)、葉(3.25%)、木(梱包材) (0.10%) 2. 分解できないもの=繊維 (7.35%)、プラスチック (2.65%) (Nurrihadini, 2009) 図表 2:対象地の地図 Nisa Finidhama Palestine(インドネシア)「持続可能な伝統的市場を目指して」 Page |5 プロジェクトの受益者 プロジェクトの受益者は次の通りである。 メイン・プロジェクト:同プロジェクトはメイン・プロジェクトの第一段階であ り、この段階がなければ、メイン・プロジェクトの価値もなくなってしまう。 対象者:環境やゴミ分別の意識向上と教育を行なう 。 対象地域:より清潔、かつ整頓することによって対象地域の環境が改善する。 学生ボランティア:若い世代が、直接的に環境や社会について学ぶことのできる よい方法である。この経験は、彼らにとって環境への意識をより高めることに貢 献するだろう。 スケジュール 月 2010 年 8 月 火 水 木 金 土 日 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 1. バイオガスの調査のための市場訪問、ゴミ処理の状態のモニタリン グやハノイからの帰国後に継続されるプロジェクトの情報提供 2. 企画書1.2版の評価 3. “Koperasi”との調査計画の打ち合わせ 4. 市場計画や出店者への詳細資料など調査必要物の準備 月 火 6 7 13 14 20 21 27 28 2010 年 9 月 水 木 金 1 2 3 8 9 10 15 16 17 22 23 24 29 30 土 4 11 18 25 日 5 12 19 26 1. バイオガスの調査のための市場訪問、ゴミ処理の状態のモニタリ ングやハノイからの帰国後に継続されるプロジェクトの情報提供 2. 企画書1.2 版の評価 3. Koperasi”との調査計画の打ち合わせ Nisa Finidhama Palestine(インドネシア)「持続可能な伝統的市場を目指して」 Page |6 4. 5. 6. 7. 市場計画や出店者への詳細資料など調査必要物の準備 休日(Idul Fitri) ボランティアの募集:ボランティアに対する資料説明 アンケートの作成 (Andy, Pili, and Ir. Siti Syamsiah, Ph.D. 【アドバイザーとして】と共に), 調査の属性の準備 8. ボランティアへの講義 (19.00-20.30WIB); 9. # メイン・プロジェクトの説明 (持続的な伝統的な市場にむけ て) 10. # ゴミ分別プロジェクトについての説明 11. # チーム編成 12. # 調査の詳細説明(9 月 25 日-26 日) 13. 現地でのボランティアへの講義 14. # 市場訪問、調査前状況の分析 15. #現地での技術的調査のための Sujud 氏による講義 (メイン・ プロジェクトの現地コーディネーター) 16. 調査 (14.00-21.00 WIB); 17. 調査対象者の召集 18. 調査結果の分析 月 火 4 5 11 12 18 19 25 26 2010 年 10 月 水 木 金 1 6 7 8 13 14 15 20 21 22 27 28 29 土 2 9 16 23 30 日 3 10 17 24 31 1. 調査結果の処理と評価 2. よりよい関係構築のためにイスラム教の祝日にボランティアと業者を 召集 3. ボランティア時間の働きかけ( Siti 氏と Harsini 氏と共に) 4. 第1回会議 (13.00-14.00 WIB) 5. 第2回会議 (13.00-14.00 WIB) 6. 対象地域における活動計画の調整 7. 対象地域への活動詳細の計画の提供 8. 大学の試験期間 Nisa Finidhama Palestine(インドネシア)「持続可能な伝統的市場を目指して」 Page |7 月 1 8 15 22 29 火 2 9 16 23 30 2010 年 10 月 水 木 金 3 4 5 10 11 12 17 18 19 24 25 26 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 月 火 6 7 13 14 20 21 27 28 土 6 13 20 27 日 7 14 21 28 大学の試験期間 メラピ山噴火による休暇 # 清掃班の計画作成、物品班の特別回収箱のデザインと注文 第 3 回会議 第 4 回会議 清掃日 次期計画のための準備:ツーリズム村と広報班(ポスターの選別 モニタリング作業 2010 年 12 月 水 木 金 1 2 3 8 9 10 15 16 17 22 23 24 29 30 31 土 4 11 18 25 日 5 12 19 26 1. モニタリング 2. 地域のごみ管理村の訪問 3. フルーツジュースの日 月 3 10 17 24 31 2010 年 1 月 火 水 木 金 土 1 4 5 6 7 8 11 12 13 14 15 18 19 20 21 22 25 26 27 28 29 日 2 9 16 23 30 1. モニタリング Nisa Finidhama Palestine(インドネシア)「持続可能な伝統的市場を目指して」 Page |8 2. モニタリングとバイオガス工程の準備、肥料やごみ分類過程で集めら れた悪くなった果物を使用したバイオガス精製所での試験的供給 効果測定の指標 出店者の 90%が以下の指導実施後に分別を行った o 全体の 90%の売店(所有者と従業員)に対する調査 o 全体の 90%の従業員(日勤者と夜勤者)に対する指導 市場の全体の 90%の売店 90%が自らでゴミ分別が可能 o ゴミは説明された分類により分別されており、10%のゴミしか不適切な 回収用ゴミ箱に入っていない 人員体制 No. 1. 氏名 Ir. Siti Syamsiah,Ph.D. 所属 ガジャ・マダ大学、 化学工学科、食物・ バイオプロセス工学 専攻教員 役割 アドバイザ ー 詳細 プロジェクトが効率 的、効果的に実施さ れるために手順の指 示を与える インドネシアごみ 精製所長 2. 3. Ir.Suharsini Nisa Finidhama Palestine Koperasi “Gemah Ripah”の事務局長 ガジャ・マダ大学、 化学工学科、第 5 セメスター生 GAMA EARTH 運営マ ネージャー アドバイザ ー プロジェク トリーダー a. 業者との連携 の改善 b. プロジェクト が効率的、効果的に 実施されるために手 順の指示を与える a. 全工程の作業 とプロジェクト効果 のすべての責任者 b. すべての分担 の管理 c. 対象期間後の プロジェクトの持続 性の責任者 d. 同団体とメイ ン・プロジェクトの 実施団体との連携の Nisa Finidhama Palestine(インドネシア)「持続可能な伝統的市場を目指して」 Page |9 責任者 4. Sulthoni Mukhlis ガジャ・マダ大学、 化学工学科、第 5 セメスター生 GAMA EARTH 広報マ ネージャー 5. 1. Hafid Sahli M 2. Dinda Rizka F 3. Nikolas Dwi L 4. Dama Retno A K 5. Wulan Laras A 6. Yano Surya P 7. Tisani S 8. Ian Rivai 9. Didit A 10. Qum Fikri 1. Rangga Waldeza 6. 2. Indraloka Gushtia 7. 1. Oktavia Dewi 2. Shinta Pratiwi R 3. Karina Charlote 4. Achmad Rofiq N 8. 1. Kusni 2. Johan 3. Walidin 4. Armando 5. Bani 6. Koirun 7. Dani 8. Herman ガジャ・マダ大学、 化学工学科、第 5 セメスター生 ガジャ・マダ大学、 化学工学科、第 5 セメスター生 ガジャ・マダ大学、 化学工学科、第 5 セメスター生 清掃業従業員 Director of Operational Field すべての出店者への 分別教育過程におけ る責任者 学生ボラン ティア アンケートの分析 者、すべての活動の 技術者 資料・運営班 1. アンケート 2. ポスター 学生ボラン 3. 特別回収箱 ティア 4. 全活動の準備 5. などの必要物 全てに関する全責任 者 広報班 1. アンケート内 学生ボラン 容の準備 ティア 2. ポスター 3. チラシ宣伝 における責任者 ゴミ分別のモニタリ ング作業における補 助の提供、 業者や ボランティ 出店の従業員への見 ア 本となる行動実施、 業者からの質問への 対応の全責任者 Nisa Finidhama Palestine(インドネシア)「持続可能な伝統的市場を目指して」 P a g e | 10 広報戦略 本プロジェクトは、メイン・プロジェクトの第一段階の研究であるため、今後の普及に 向けて、以下のような戦略を検討している。 プロジェクトの進行状況について報告書を作成する。 キャンパス内とチェイン・センター(地域開発に焦点を当てた組織の事務所)で 本プロジェクトのポスターを掲示する。 報告書とプレゼンテーションの作成。 記者会見用の資料と放送メディアの管理・運営。 チラシを作成と投資者や店の経営者、従業員、利害関係者への配布。 予 算 収入 1. JEEF 2. メイン・プロジェクトの貯蓄 計 100.000 円 555.500 IDR = 5.086 円 105.086 円 支出 No. 日付 活動 1 2010 年 9 月 23 日 ボランティア講習 2 2010 年 9 月 25 日 調査 3 2010 年 10 月 13 日 ミーティング I 4 2010 年 10 月 14 日 ミーティング II 5 2010 年 11 月 18 日 ミーティング III 6 2010 年 11 月 20 日 清掃の日 費目 ボランティアのための冊子 1. 質問票 2. ボールペン 3. 飲料水 4. 軽食 5. 昼食 1. 印刷 2. 軽食 3. 飲料水 1. 軽食 2. 飲料水 1. 軽食 2. 飲料水 1. 飲料水 2. 軽食 3. 昼食 4. 軍手 +マスク Nisa Finidhama Palestine(インドネシア)「持続可能な伝統的市場を目指して」 予算 (IDR) 23.2 59.5 20 9 134300 220 12.6 30.6 17.5 30.6 17.5 20 19 33 129.5 175 14.4 P a g e | 11 7 2010 年 12 月 5 日 地域のごみ管理村 への訪問 広報班 8 9 2010 年 12 月 18 日 フルーツジュース の日 10 11 2011 年 1 月 28 日 2011 年 1 月 30 日 ボランティア謝金 ボランティア謝金 5. 清掃用具 6. 廃棄果物回収箱 7. 廃棄果物以外の回収箱 8. 回収箱の運搬費 1. 交通費 2. 宣伝用チラシ費 3. 村への入園料 4. 昼食 1. バナー 2. メイン・プロジェクト用の ポスター 3. ごみ分別用のポスター1 4. ロゴシール2 5.ハノイとインドネシアでの 出展用のポスター+ ごみ分別 用のポスター2 45 1.168.200 726 25 250 16.8 300 600 102 1. ジュースメーカーの運搬費 100 2. 昼食 3. 印刷 4. プラスチックのコップ 5. ストロー 6. 砂糖 7. メロン 8. りんご 4 kg @ 14.000/kg 9. 飲料水 25 ボランティア 25 ボランティア 合計 支出計 = 10.913.200 (IDR) = 100.000 (円) Nisa Finidhama Palestine(インドネシア)「持続可能な伝統的市場を目指して」 55 175 26 300 118 9 62.5 12 11 8 56 37 2.500.000 3.750.000 11.468.200 P a g e | 12 結論、結果、および評価 調査結果 表 1. 初期調査の結果 廃棄果物に関する知識 よく知っている 知っている あまり知らない 無回答= 8.9% = 44.3% = 30.6% =16.13% 果物以外の廃棄物(分解できる)に関する知識 よく知っている 知っている あまり知らない 無回答= 13.7% = 15.3% = 41.13% = 29.8% 果物以外の廃棄物(分解できない)に関する知識 よく知っている 知っている あまり知らない 無回答= 12.1% = 15.8% = 40.3% = 29.03% ゴミ分別をしたことがありますか? はい= 11.3% いいえ= 85.5% 無回答= 3.2% ゴミ分別の利点を知っていますか? あまり知らない はい= 10.5% いいえ= 34.7% 無回答= 4.03% = 50.8% ゴミ分別の重要性について知っていますか? あまり知らない はい = 23.4% いいえ = 14.5% 無回答= 32.3% = 29.8% この市場でのゴミ管理システムについてあなたはどのように思いますか? とてもよい よい あまりよくない 無回答= 6.45% = 4.8% = 50% = 38.7% ゴミ分別に賛成ですか? はい = 59.7% おそらく = 13.7% いいえ = 21.8% 無回答= 4.8% ポスターを使って毎週お知らせを出すのは効果的だと思いますか? はい= 14% いいえ = 82% 無回答= 4% Nisa Finidhama Palestine(インドネシア)「持続可能な伝統的市場を目指して」 P a g e | 13 表 2. 各活動への出席状況 活動 初期調査 清掃の日 対象者 全経営者+全売店従業員 = 180 全売店 = 96 出席者数 121 91 % 出席率 67.22 94.79 地域のごみ管理村へ の訪問 経営者 + ボランティア = 90 50 55.55 モニタリング フルーツジュース 全売店= 96 全売店 = 96 96 89 100 92.71 表 3.モニタリングの結果 モニタリング 第 1 週(2010 年 11 月 22-28 日) 第 2 週(2010 年 11 月 29-30 日、 12 月 1-5 日) 第 3 週(2010 年 12 月 6-12 日) 第 4 週(2010 年 12 月 13-19 日) 第 5 週(2010 年 12 月 20-26 日) 第 6 週(2010 年 12 月 27-31 日、 2011 年 1 月 1-2 日) 第 7 週(2011 年 1 月 3-9 日) 第 8 週(2011 年 1 月 10-16 日) 第 9 週(2011 年 1 月 17-23 日) 第 10 週(2011 年 1 月 24-30 日) 適切なごみ分別 の割合 (%) Fブ A-B-E ブ C-D-E ブ ロッ ロック ロック ク 80 90 70 清掃活動の従事率 (%) 50 70 70 60 70 80 83 60 60 73 60 50 60 50 50 25 25 50 40 60 73 90 63 50 50 70 90 40 43 50 63 90 25 25 50 50 75 結論 初期調査 対象者の習慣により、予定されたやり方では効果的に機能しないこと初期調査によりわ かり、活動計画は変更が求められた。 効果指標の言及: a. 対象者の 90%は指導された分別プロセス/活動の全てを実践していたわ けではなかった。 Nisa Finidhama Palestine(インドネシア)「持続可能な伝統的市場を目指して」 P a g e | 14 b. 90%のゴミがプロジェクトの一環として分別されたが、清掃作業には 70%の参加しか見られなかった。 本プロジェクトは、現時点では成功したとは言えないが、対象者への継続的な分別の講 習や環境教育講習によって潜在的な発展可能性があると結論付けることができる。上述 した 3 種類のゴミ分別の促進には時間、忍耐、継続的な指導を要するであろう。 評価 調査は、対象地域における問題の根本を知ることのできる効果的な方法である。また調 査は、プロジェクトに対する効率的で効果的なアプローチといった対象者への視点を提 供する。 課題 初期調査及びゴミ分別実践を行う村へ訪問することはできた対象者は 90%に満たなか った。 それらは以下の要因による。 活動実施期間中に、対象者のすべての人が同じ自由時間を有しているわけではな かった。対象者が一同に集まれる時間を決定するのが難しかった。決定された 時間は、多数の店経営者が了承した時間であった。 対象者は依然として、効果指標で述べたようなゴミを分類する能力が十分ではな った。期待される結果に到達するには、対象者のゴミ分別を助けるであろう清掃 作業員の参加が依然として必要である。 投資の機会 潜在的には、メイン・プロジェクトの実施からフルーツジュースの生産、有機肥料、有 機プランテーションへの投資が期待できるが、実行が可能かの研究がさらに必要である。 経済的利点が明らかになれば、投資家の参加が期待できる。 今後の課題 本プロジェクトの持続可能性にとって、多様な利害関係者の参加が重要となる。 本件に関しては、利害関係団体の一つである「Koperasi Gemah Ripah」がプログ ラムの運営においてさらなる努力をしなければならないだろう。 清掃作業員の参加は、対象者のゴミ分別を助けるという意味からも依然必要とさ れている。分別作業の理解が十分得られるまでは維持されるべきであることが提 案された。 Nisa Finidhama Palestine(インドネシア)「持続可能な伝統的市場を目指して」 P a g e | 15 関係者の声 「ゴミ分別指導は、ゴミをいろいろな方法で活用するための第一歩として、同コミュ ニティにおいて本当に必要とされていた。この活動は単なる活動の一つではなく、同コ ミュニティの習慣になるように、継続的に実施、確認、再認識される必要があったので ある。実施する中で直接的な経済的利点を示すことが重要である。それにより、簡単に 多くの人が積極的なゴミ分別に関心を向けることができるのである」- Ir. Siti Syamsiah, ガジャ・マダ大学、化学工学科、食物・バイオプロセス工学専攻教員、インドネシアご み精製所長 「本プロジェクトはよく運営されていると思う。環境に関心を示す若者に感謝したい。 社会には困難かつ、挑戦すべきことが多いことから、彼らはより一層の努力が求められ ているが、その一方で時間や労力に限りがあることは理解できる。ヒント:もし社会の イメージや習慣を変えたいのならその社会に溶け込まなければならない。それは、手の ひらを返すように簡単なことではない。理念、楽観さ、謙虚さを持ち続けてください! 幸運を祈ります!」- Ir. Suharsini, Koperasi Gemah Ripah の事務局長 「私はこのプロジェクト、特にガジャ・マダ大学の学生が行っていることに対して大変 感心している。また、今日においても依然、スラム街の環境に関心を示す若者がいるこ とをうれしく思う。スラム街を記憶にとどめるだけでなく、そこで得た体験をあなたの 人生の道しるべにしてください。論理と実践はバランスの取れたものでなければならな い。若いあなた方の理想は高いと思うので、気をつけて、簡単に失望しないようにして ください」 - Mr. Sujud, メイン・プロジェクト「持続可能な伝統的市場に向けて」の現 地コーディネーター 「本プロジェクトは評価できるとともに、市場の戦略的な地域に支えられているため、 成長性が期待できる。ただのゴミが、とても価値のなる製品に生まれ変わる。幸運にも、 最も重要である工程のバイオガスの精製が実現し、それらの情報が広く公開されれば、 それらの利益は Gemah Ripah 市場に還元されるだけでなく、その社会や他の市場にも 活用されるだろう。結果的にこれらの好循環の連携は、お互いにとってよいものになる だろう。」 - Drs. Edy Subagyo, 業者の代表者 「本プロジェクトはとても楽しく、よいものであった。私にとって新しい経験となった。 本プロジェクトは対象者にとっても、私たちボランティアにとっても多くの利益がある ものである。よりよい結果を出すためには、専門性や各活動のコンセプトの向上が必要 だろう。」-Sulthoni Mukhlis, ボランティア代表者 Nisa Finidhama Palestine(インドネシア)「持続可能な伝統的市場を目指して」 アジア青尐年環境リーダーネットワーク事業 ソーラークッキング 著者:上野祥子 ([email protected]) 国:日本 所属: 国際教養大学 国際教養学部 P a g e | 17 概 要 このプロジェクトは、発展途上国でのソーラークッキングの利用促進を目的としている。 ネパールを予備調査の地域として設定し、日本や他の国々で展開する際の参考とする。 背 景 ソーラークッキングは環境に配慮した調理法である。ソーラークッキングは、太陽光を 利用する特別に設計された機材を使う調理法である。電力、ガス、木炭、薪等いずれの 燃料も使用しないため、これらの燃料が入手困難な地域でも、ソーラークッキングは有 効である。その上、大気汚染を引き起こすバイオ燃料や石油と異なり、ソーラークッキ ングは無公害である。 プロジェクトの目標 当プロジェクトは、ソーラークッキングの可能性を検証し、森林破壊を食い止めると共 に、調査対象地域での環境教育に関する学習会を実施することを目的とする。 対象地域 ネパールでの実施を検討している。 プロジェクトの受益者 ネパールの女性達にソーラークッキングの調理法を広めることを目的としている。ソー ラークッキングは、対象地域世帯に有益なものであり、ネパール人女性の社会的地位の 向上に貢献が期待できるものである。 スケジュール 2010 年 9 月 ソーラークッキングに関する調査。具体的には前述の調査対象者と共に、 本活動に取り組んでいる人々へのインタビューの実施。 プロジェクトの支援団体を探す 2010 年 10 月-11 月 ソーラークッキングが実施可能な対象地域を選択 プロジェクトの支援獲得を目的とした、日本内外の組織と地域社会のネッ トワークの強化 環境教育の要素を含む、ソーラークッキングの普及を目的としたワークシ ョップを日本で開催 上野祥子(日本)「ソーラークッキング」 P a g e | 18 2010 年 12 月 対象地域におけるソーラークッキングの推進策の検討 2011 年 1 月-2 月 プログラム中に生じた課題解決に向けた徹底調査 プログラムの今後の内容を検討 効果測定の指標 効果測定の指標は下記の通り: 本活動の対象地域の決定 ネパールの国際開発 NGO と地元組織からの支援の獲得 ネパール、日本、両国民からの支援の確保 今後の活動に関する綿密な計画 人員体制 本活動を実行するにあたり、必要な人員体制は以下の通り: 技術アドバイザー 押見 史 指導者 熊谷 嘉隆 日本のパートナー 秋田キャンパスネット(希望) ネパールのパートナー Children for Green New Nepal (希望) 学園祭期間中の協力団体 国際教養大学(Akita International University) 環境 エコロジークラブ 広報戦略 ソーラークッキングの重要性と有益性を強調されることが不可欠である。ソーラークッ キングの普及にあたっては、参加者がこの調理法を実践するよう動機付けできるような コミュニケーションが必要となる。具体案として、ワークショップの開催と展示を行っ た。 上野祥子(日本)「ソーラークッキング」 P a g e | 19 予 算 収入 支出 内訳 計 内訳 計 JEEF からの活動費 100,000 円 ソーラークッカー 40,000 円 その他助成金(希望) 10,000 円 計 110,000 円 調理器具 送料 計 500x100=50,000 円 20,000 円 110,000 円 結論、結果、および評価 本プロジェクトの目的は、当初「ソーラークッキング」という概念を秋田の地域社会に 普及するものであった。しかし、「ソーラークッキングは、個人の環境に対する意識を 向上させる『適切な手段』である」という考えのもとでプロジェクトを立ち上げたにも 関わらず、本事業の実施期間中、太陽光パネルや、バイオマス発電の利用など、より効 果的で有効な手段が他にあったのではないかという疑念を抱くようになった。 日本でデモンストレーションを行った際、ソーラークッキングで調理したものを試食す ると、すぐに姿を消してしまう人が多いことがわかった。従って、本プロジェクトの対 象を見直し、対象を発展途上国に変更した。ネパールは、日本、ネパール両国に本拠地 を置く協力団体があるため、調査地域として選出した。 現在、本プロジェクトに関わっている地域社会と利害関係者を巻き込み、説得力のある 提案書の原稿を作成する予定である。 投資の機会 現時点では、秋田キャンパスネットのメンバーが当プロジェクトに参加するかどうかは 未定だが、秋田キャンパスネットメンバーから提案書への同意を得られれば、追加の助 成金を確保することができ、より大きな規模で展開することも可能である。 上野祥子(日本)「ソーラークッキング」 アジア青尐年環境リーダーネットワーク事業 サバ州クンダサンにおける ゴミ分別 著者:Aaron Gan ([email protected]) 国:マレーシア 所属:マレーシア国立サバ大学経営経済学部 Aaron Gan (マレーシア)「サバ州クンダサンにおけるゴミ分別」 P a g e | 21 概 要 当プロジェクトでは、マレーシア・サバ州クンダサンでホームステイを提供するコミュ ニティに対して、地元当局、ホストファミリー、サバ州観光文化観光局、及び環境活動 センターの協力を得て、廃棄物をリサイクル可能なものと有機廃棄物に分別する方法を 啓発することを中心とする。 背 景 このプロジェクトでの最終的な目的は、世界遺産に近いこの町の環境を守ることである。 キナバル山登山などの観光客を魅了する町の美しさを守るための取り組みのほんの一部 である。 プロジェクトの目標 コミュニティに対して、ゴミの投げ捨てをしない習慣づけを行い、リサイクルとコンポ ストによる収入機会に関する教育を行うことを目標とする。 対象地域 マレーシア・サバ州クンダサンのうち、特にワライトコウ(Walai Tokou)及びメシロ ウ(Mesilou)のホームステイ受入世帯を中心とする。 プロジェクトの受益者 プロジェクト収益者は町のコミュニティのホームステイ受入を行う地域であり、これを パイロット・スタディとして、周辺の村々にもリサイクルに関する情報と学びを広げて いくことが期待される。 スケジュール 内容/月 7月 8月 9月 10 月 11 月 12 月 州・地元行 政との交渉 準備、Kg. Sinisian コミ ュニティヘ の教育 リサイク ル・サンタ ーの設営 Aaron Gan (マレーシア)「サバ州クンダサンにおけるゴミ分別」 1月 P a g e | 22 プロジェク ト結果のフ ォロー プロジェク ト第二弾 プロジェク ト報告書の まとめ 効果測定の指標 焼却ゴミ量の減尐と分別ゴミのパーセントから、村民の態度変容を推し量ることで効果 測定の指標とする。 人員体制 参加者 Datuk Masidi Manjun Miss Helen Erut (環境行動センター) Kg. Sinisian コミュニティ Kg. Mesilou コミュニティ サバ大学観光クラブメンバー 役割 サバ州観光・官公庁官。地域住民を集め るための支援を行ってもらい、リサイク ルセンターの設営におけるキーパーソン となる。 地域の行政団体で、サバ州の環境啓発に 関わっている。 クンダサンにおけるリサイクルのモデル 地域を目指すホームステイ受入世帯コミ ュニティ 高原地帯でコンポストを実施するホーム ステイ受入世帯コミュニティ コミュニティで、ゴミの分別方法の教育 サポートを行う 広報戦略 完了報告書と写真を地元新聞に送付する。同時に、ホームステイ受け入れコミュニティ が町の人々に教育を行うロールモデルとしての活動を続ける。 Aaron Gan (マレーシア)「サバ州クンダサンにおけるゴミ分別」 P a g e | 23 予 項目 バナー制作 コンポストセット 学生のホームステイ料金 レンタカー ガソリン 合計 算 単価 40 USD x 3 1.50USD x 30 20USD x 14 30 USD per day x 4 days 15 USD x 1 計 120 USD 45 USD 280 USD 120 USD 15 USD 580 USD 結論、結果、および評価 プロジェクトを通じて、ホームステイの受け入れを行っている人々に2つのタイプがあ ることが分かった。第一のグループは、コーディネーターが 40 代半ばで、はじめはプ ロジェクトに対して良い反応を示した。リサイクルに対する講演を受けた際、参加した ホームステイ実施者のほとんどが行動に移すことを約束したが、結果としてその約束は 続かなかった。 第二のグループではコーディネーター及び参加メンバーが前者に比べ て若い世代であった。コンポストに関する講演の際、後者のグループはホームステイ実 施者のみならず、学校の先生も招待した。また、放課後生徒達にコンポストの仕方を教 えてはどうかという提案もなされた。第二グループのコーディネーターは、リサイク ル・コンポストのプロジェクトに対して、より積極的な反応を示した。 実施を通じ、リサイクルが町の全ての場所に適しているとは限らないことが明らかにな った。なぜなら、山の高い地域では、わざわざゴミを麓まで運ぶ人はいないからだ。そ こで、コンポストの方法と、大きな問題となっているビニール袋の使用を減らすことを 教えることが提案された。具体的には、町の人々にとって利便性が高く、かつ店でビニ ール袋を買う費用を押さえることができるエコバッグの使用が推奨されるべきである。 平地ではリサイクルの推進は適用可能であるが、リサイクルセンターを作るのが難しい という問題を抱えている。主要道路の整備が町の課題となっており、今年の 8 月まで に完了を目指しているため、リサイクルセンターを設営するのに適した場所がないので ある。また、コタキナバルにおけるリサイクル運動の可能性について、地元にリサイク ル回収センターに興味があるかを訊ねたところ、リサイクルされたゴミの運搬にかかる 費用が高いため、興味がないとの回答を得た。 その他の課題としては、ホームステイ受入世帯のリサイクル・コンポストプロジェクト への関心はあるものの、金銭的な問題が挙げられる。このことは、ホームステイのコー ディネーターから彼の村でプロジェクトを行う際に宿泊費を請求されたことからも明白 である。 Aaron Gan (マレーシア)「サバ州クンダサンにおけるゴミ分別」 P a g e | 24 全体では、クンダサンのさらなるコミュニティでリサイクルを行うことを推奨するため、 現在コナキタバルの環境行動センターと交渉が進んでいる。またクンダサンの清掃を担 当するラナウ市議会との接触を図るための努力がなされている。 投資の機会 当プロジェクトに対する投資の機会はとりたててないものの、町とホームステイの受け 入れ世帯に対して投資する方向性は考えられる。「町」という名前がついているものの、 この地域には豪勢なリゾートが立ち並ぶ横で、貧しい人々がたくさん住んでいる。街に 適切な施設があれば、コミュニティの人々は十分な教育を受け、ホテルや他の商業施設 の過剰な建設を防ぐことができる。 今後の課題 リサイクルやコンポストは、年配の方よりも若い人々に習慣づけを図った方が良い。こ のプロジェクトでも見られたように、若い人々の方が分別という考えをより受け入れや すい。期間も非常に大切な要因であり、6 カ月ではプロジェクト実施期間としては不十 分である。 Aaron Gan (マレーシア)「サバ州クンダサンにおけるゴミ分別」 P a g e | 25 アジア青尐年環境リーダーネットワーク事業 YouthXchange:持続可能なラ イフスタイルに関するアーテ ィスト会議とショートフィル ム製作 著者: Angelicum Oda ([email protected]) 国:フィリピン 所属:国連 YouthXchange Angelicum Oda(フィリピン) 「YouthXchange:持続可能なライフスタイルに関するアーティス ト会議とショートフィルム製作」 P a g e | 26 概 要 持続可能なライフスタイルに関するショートフィルムは、若者に対する環境教育のため にアーティストが共同製作した作品である。本プロジェクトでは2回の円卓会議を開催 し、若い独立系の新鋭アーティストを集めて実現したものである。彼らは、国連環境計 画(以下、UNEP)と「持続可能なライフスタイルのための YouthXchange ガイド」 (以下、YAFE)が以前開発した教材を使って、持続可能な消費と生産のさまざまな面 を学習した。成果物として、UNEP と YAFE が将来、若者向けのワークショップで入門 用のメディアとして利用できる、短編アニメ映画を製作することを決定した。この短編 アニメ映画は、様々なレベルにおける大量消費主義を内容に盛り込み、それが環境と社 会に与える影響に焦点を当てる作品にすることにした。創作の他に、集まったアーティ スト達は、マニラの都市に居住する貧しい人々を対象とした他の教育活動を行う組織に も参加し、国立博物館と提携し、円卓会議で学んだライフスタイルを実践することに寄 与した。 ショートフィルム製作は、映画化のシナリオ執筆とナレーションの割り付けを残すのみ の最終段階にある。 2011 年 4 月からは年間を通じて多くの上映会が予定されている。具体的には、「持続 可能な生活様式に関する関係者のワークショップ」「すぐに行動しよう:より環境に優 しい生活様式!(学校でのシンポジウム)」と「私たちの伝統と環境をまもる : YouthXchange 環境芸術ワークショップ」などである。 背 景 国全体でも地方でも、公的な教育カリキュラムや非公式教育に持続可能なライフスタイ ルの教育を組み込むことは、大きな課題である。発展途上国では、持続可能なライフス タイルの教育は優先順位が低く、計画の初期段階にあり、地域の非営利組織は頻繁に行 っているが、行動に移す手段や方法に欠けており、持続可能なライフスタイルの教育の 改善の要望は高く、教師も努力を重ねています。持続可能なライフスタイルの教育への 取り組みが増えているとはいえ、先進国が世界の資源消費の大きな部分を占めているこ とは間違いない。同時に、発展途上諸国の消費は伸びる一方であり、地球上の消費者階 級の割合が増加している。世界全体で約 17 億人が消費者階級1 となり 20 世紀には先進 国にのみ消費が限られていた食生活、交通手段、ライフスタイルが取り入れられるよう になった。 これら「消費者階級」が高い生活水準を経験した一方、既に脆弱で危険に瀕していた発 展途上国の環境が、さらに危険な脅威に晒されることになった。 1 Study by the United Nations Environment Programme (UNEP), Division of Technology, Industry and Economics – Paris, France. Angelicum Oda(フィリピン) 「YouthXchange:持続可能なライフスタイルに関するアーティス ト会議とショートフィルム製作」 P a g e | 27 公的、及び非公式教育面で、さらに多くの指導者トレーニング2を行い、意識向上と持 続可能なライフスタイルのための教育を与える機会が必要であり、持続可能なライフス タイルに関する国際調査結果3を補うために、インターネットを活用しプロジェクトの 活動範囲を広め、この分野の実践者のプロジェクトを強化する努力がさらに必要である。 本プロジェクトはこれらの必要性について提言するものだが、ショートフィルムプロジ ェクトはワークショップやシンポジウムの実施及び、上映会を効果的に行うことで、完 璧なプログラムを目指すものとする。 短編アニメという手段を開発する上で新鋭アーティストを巻き込むにあたり、現在の一 般市民の無関心な態度についても言及する必要がある。彼らアーティストの多くが映画 製作や他の産業分野で表彰されるだけの手腕を持っているが、彼らが必要なのは、環境 教育における創造的な作品をチャネルに乗せるロードマップや指針である。フィリピン 映画製作協会(PIFM)が 2010 年 2 月に開催したシネマ・ナイト・プレビューには YAFE 会員も出席したが、気候変動や地球温暖化を取り上げたショートフィルムやドキュメン タリーが脚光を浴びることはなかった。合計 12 編の映画基金授与者、フィリピン映画 製作協会(PIFM)ワークショップの新卒者、その他の独立系映画製作者(16-18 歳)が 監督した短編映画(5-20 分間の作品)が出品されたが、全てが社会状況に焦点を当て た作品で政府を批判するものが多かった。製作者とのネットでの討論、及び観賞後の自 由討論を通じて結論付けられたことは、製作者の考え方を変えねばならないということ であった。制作者が環境に焦点を絞りプロジェクトを開発したいと考えるにつれて、プ ロジェクト開発に必要な情報が不足していると感じる様になった。このジレンマは、集 まったアーティストが多方面から環境学習の指導を受けた円卓会議ワークショップで発 言された。 このプロジェクトに参加するにあたり、アーティストたちにショートフィルム製作に先 立つ円卓会議への出席を求めた。 YAFE は円卓会議を通じて、参加者に持続可能な生活 様式に関する初歩的教育を与え、その後、ファッションとメデイア、観光と運輸手段、 エネルギー効率など持続可能な消費と生産の多くのトピックへ移行した。このようなト ピックは、知識を持った上でショートフィルムの製作に取りかかるための意欲が出るよ うな形で討議が行われた。参加者の多くが NGO の仕事をより良く知り、異なった環境 と社会への提唱に彼らの創造力が寄与できる良い機会であるとの考えを共有した。彼ら All of YAFE’s workshops and symposiums are designed on a “train the trainers” outline following project sustainability standards set forth by our partner institution UNEP. 3 The Global Survey on Sustainable Lifestyles (GSSL) is a joint initiative of UNEP and the Task Force on Sustainable Lifestyles led by Sweden. Its objectives are to explore how sustainable lifestyles are perceived, envisioned and shaped by young adults from different cultures worldwide, to build on their experience, creative ideas, values and aspirations to design and implement policies as well as effective messages on sustainability. Values and aspirations to design and implement policies as well as effective messages on sustainability. 2 Angelicum Oda(フィリピン) 「YouthXchange:持続可能なライフスタイルに関するアーティス ト会議とショートフィルム製作」 P a g e | 28 は、YAFE が、昨年 11 月に行ったエコ・アート・ワークショップで、教えるスキルを 発揮することができた。 プロジェクトの目標 色々なメディアを通して持続可能なライフスタイルへの関心を高めることは現実的かつ 実践可能であり、具体的な目標は指標を使って評価することができる。持続可能なライ フスタイルに関する国際調査(GSSL)が 2009 年に同じ学校で行った調査とプロジェク ト実施前とプロジェクト実施後の調査(観客と学校の諮問機関向けの調査)の比較は、 注目に値する。 一連のキャンペーンを通して、調査対象の観客の行動とライフスタイルの 改善を推進する。ショートフィルムにより、行動とライフスタイルの改善 は促進され、強化されるはずで、結果的に、消費者は選択肢を使い、購買 行動を変えると考えられ、先進国、新興国、発展途上国はより効率的な資 源利用と環境に優しい製品とサービスを選択する流れを支持することにな る。持続可能なライフスタイルのため教育と意識向上は、主に先進的な社 会だけで話題となり、今でも優先順位が低いか、あるいは、手段、資金、 方法が欠如している市民団体が進めている状態である。ショートフィルム の製作過程で指摘されたように、若者達が楽しく、刺激的だと考える効果 的なコミュニケーション・キャンペーンは、マルチメディアとその他の映 像メディアによるものである。さらに、持続可能なライフスタイルのため の教育を推進するための能力開発ワークショップと推進メカニズムを開発 し、それを支援する必要がある。これにより、若年層、教育者、幅広く一 般市民は、持続可能な消費形態へ転換することで、経済、社会、環境面で の多くの利点を認識できる。また、ショートフィルムプロジェクトは、効 果的で若者に受けいれられる方法を用い、製作の参加者がより楽しく学習 する必要があることを指摘したい 製作参加者は各々の担当業務と同時に環境や対象となる観客(学校におけ るショートフィルム鑑賞者)に適した環境提唱(エコ・イニシアティブ) を展開する。例えば、高校や大学で、学生と教授陣が行う提唱は、次の様 なものである。学内のエコ監査、学内の自転車置き場、リサイクル対象品 の収納容器、3R キャンペーン、環境映画、学食のスローフード、環境コン サート、ラジオ番組、ポスターなどのキャンペーン等の提唱。この場合、 製作に参加するアーティストのエコ提唱活動は短編映画製作それ自体とす る。 Angelicum Oda(フィリピン) 「YouthXchange:持続可能なライフスタイルに関するアーティス ト会議とショートフィルム製作」 P a g e | 29 対象地域 マニラ首都圏 持続可能なライフスタイルのための教育は社会を構成する我々全員に影響する問題であ るが、一方、国連マラケシュ合意で定められた持続可能なライフスタイルにおけるスウ ェーデン・タスクフォースは、“都市の若者”を実施に当たっての第一目標にすると指 摘している。これは最も適切な理由であるが、この部分に属する若者は一番“購買力” を持っており、情報、知識を持った消費者となるべく最も持続可能なライフスタイル教 育の必要なグループであるからである。この年代の若者は、来るべき数十年の消費パタ ーンを形成するグループである。ここで留意したいことは、貧困層への配慮が必要であ り、元からお金が無くて何も買えない人達に何を買うべきとか、如何に買うべきだとか 教えたり、助言を与えたりすることは出来ないということである。しかしながら、この 教育プロジェクトは、初期の意識教育として公的学校のカリキュラムの一部として使う ことが出来る。 対象地域マニラは、フィリピンで最も人口密度が高く、政治的、経済的、社会的、文化 的、教育の中心地であると考えられている。11.6 百万の人口を持つマニラは、24 歳以 下 の人口が 52%を占める若い都市である。多く教育に帰せられている問題点は、公的 学校において顕著であり、これは政府からの資金が不足していることと、貧困所帯の人 口増加に起因している。しかしながら、教育に一番の重きを置き、高度に標準化されて いる私立学校においても子供達に直接働きかけるカリキュラムや課外カリキュラムがよ り一層必要である。このような概念はまだ重視されておらず、いくつかの環境関連課目 (モジュール)が私立学校では導入されているが、これも“礼儀と正しい行動 (GMRC)”と云った道徳教育の一部であり、子供達に持続可能な行動様式を教え込み、 変化を期待するには不十分である。 マニラはほとんど全ての経済と産業の中心であり、その人口は世界のトップ 20 である ことから、環境面だけでなく社会的にも経済的にも、マニラ市民の生活をより持続可能 なライフスタイルにして行くための意識向上と教育は緊急の課題である。高い割合の若 年層が自分自身に影響する社会問題にいかに無関心であるかが分かる。一般の若年層は 自然災害、人為的災害により実感させられた環境問題を認識しているが、彼らが具体的 な行動を取ることに躊躇するジレンマが存在している。従って、一連のキャンペーンと ワークショップは、彼らを徹底的に導き、一般的な方法や枠組みである討議と意見交換 などが最も適用可能な方法である。 環境天然資源省(DENR)が行った、昨年の台風ケッツアーナと台風パルマの被害調査 によると、マニラで 洪水が起きた第一の理由は、捨てられたごみと過去及び現政府 の Angelicum Oda(フィリピン) 「YouthXchange:持続可能なライフスタイルに関するアーティス ト会議とショートフィルム製作」 P a g e | 30 お粗末な都市計画4であり、歴史上初めてマニラの 85%が水没したのである。10 代の 若者が何気なくプラスチック・カップやキャンディーの包み紙を所構わず捨てるという 典型的な行動は事実であり、これがマニラ市の主たる環境問題となっているのである。 3R 教育の欠如と無責任なごみの投棄 規制のない(むしろ、賄賂による)工業地帯の開発 環境教育に必要な資源の欠如 (NGO は、アイデアはあるが十分な資金がない) フィリピンの環境教育に関する国連開発計画の調査は、マニラ首都圏の公立及び私立学 校の環境教育は“欠如しているか、或いは、全く存在しない”と結論づけた。しかし、 対照的に、NGO と市民社会が気候変動の影響を変えようとするプロジェクトとキャン ペーンは、その多くの努力が高く評価された5。 プロジェクトの受益者 アーティスト フィリピンでは、独立系アーティストによる産業が新たに登場し、過去3年間隆盛を極 めて来た。この理由は、簡単に手に入れることの出来る資源、興味が持てる題材のより 自由な裁量、インターネットを通じて簡単に作品の一般公開ができる点が理由である。 例えば、Multiply.com というソーシャル・ネットワーク・ウェブサイトだけで、およそ 15 社の独立系映画製作社が、“クール”で“気のきいた”作品を発表し、一年間で著 名な製作者として知られるようになった。しかし、わずか 2-3 の作品が部分的に環境問 題を取り上げたに過ぎないことに気が付く。これら芸術家の作品を見る視聴者層は様々 であり、一般的に特別なグループの人達ではないが、年齢層としては 16 歳から 25 歳 の視聴者である(フィリピンにおける Multiply.com サイト利用者の平均年齢)。これ らのグループは 映画製作者、ライター、グラフィックデザイナー、写真家といった人 達である。我々はこれらアーティストの組織から発生した事業は潜在能力があると見て いる。これらの若者と新たに登場しつつあるアーティストは独学で学び、自己規制を行 い、多くが趣味で芸術的、独創的な作品を作り、彼らの精神と鋭い知覚を媒体としてい るからである。 更に、彼らのスキルは特に意識向上面で非常に有益であり、彼らの芸術的な創造で環境 教育を広める点では、受益者となり、且つ、利害関係者と考えることが出来る。マルチ メディアは、気候変動といったより難しい問題を若い人達に伝える新たな手段である。 高校生 持続可能なライフスタイルのための教育を学校のカリキュラムに取り入れる必要性は、 持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)の様な国際討議の場で繰り返し指摘され ており、持続可能な開発の為の教育の 10 年(UN DESD)とマラケシュ合意で指摘され 4 5 DENR through the National Disaster Coordinating Council (NDCC). UNDP: Midterm Philippine Report: The United Nations Millennium Development Goals, 2008 Angelicum Oda(フィリピン) 「YouthXchange:持続可能なライフスタイルに関するアーティス ト会議とショートフィルム製作」 P a g e | 31 た若者の持続可能な消費と購買パターンを選ぶ能力強化と意識向上への活動が必要であ る(第 3 章 14−d)。UNEP とユネスコが上記要望に対応して、各国政府、若者グルー プ、NGO、教員、指導者に対し、若者向けの持続可能な消費選択の必要性に関する意識 向上を支援している。YAFE の一連のキャンペーンを通じて、アーティストが製作した ショートフィルムは視覚教材と入門編になる。 YAFE の一連の学校でのシンポジウムは、一回辺り生徒 80 人と教員 10 名を目標にして いる。最初は5校からはじめ、合計 450 回のシンポジウムを予定している。これら学 校は 2009 年に行われた予備調査対象校の幾つかが含まれる。本調査は持続可能なライ フスタイルに関する国際調査で、特定の人々が持続可能なライフスタイルをどのように 受け止めているかの調査であった。研究結果は、2009 年 8 月韓国大田(デジョン)で 行われた国連環境計画 TUNZA 青尐年会議と 2009 年 12 月デンマーク・コペンハーゲ ンで開催された国連気候変動会議で報告された。研究結果は、調査対象層の人々は、持 続可能なライフスタイルは、気候変動と地球温暖化関連の問題に関する青尐年の関心を 強める為の適切な方法であるとの結果を得られた。更に、この調査の全般的な統計は、 彼らの環境の現状に関する知識は、次の各項に限られていると結論付けている; a) 学校で学んだこと; b) (印刷物と非印刷物)媒体の見聞; c) 育てられた通りの考え方と行動; これにチャレンジする為の結論は次の通りである: a) 気配りのある、しかし説得力のある事実に基づくより良い教育(例えば、 現在のライフスタイルを単に「現在のライフスタイル」と表現し、「間違っ たライフスタイル」とはいわない); b) メディアが伝えることを詳細に分析し、何がより良い選択肢であるか討 議する(例えば、彼らがお気に入りのブランドの T シャツのエコキャンペー ンの裏には何が隠されているか理解させる。考え方に深淵さがあるのか?本 当に環境に関して何か具体的に行動するつもりなのか、あるいは、シャツに 印刷してある文言だけで、ただ「エコ」と謳っているだけなのか?それは実 際に、会社の企業社会責任(CSR)への対応なのか?あるいは、ただの販売戦な のか?そして、 d) 多くの研究が示している様に、青尐年は個人の選択に関しては指図され ることを嫌うので、講義とかお説教ではなく、「より良い選択肢」を提供す るより良いコミュニケーション材料が必要。 Angelicum Oda(フィリピン) 「YouthXchange:持続可能なライフスタイルに関するアーティス ト会議とショートフィルム製作」 P a g e | 32 スケジュール スケジュール 時期 9月 10 月 11 月 12 月 1月 2月 3月 継続 継続 10 月 持 YAFE との円卓協議予備会議 円卓会議の場所/提供者の勧誘 持続可能な生活様式に関する制作参加芸術家のワークショップ E メールでの継続的交信 現時点で同意されたテーマ/作品要綱に関する討議(ブレインストーミン グ) 絵コンテと台本著作権の展開 絵コンテの完成と資源調達、調整 アドバイザーとの協議面談 日本環境教育フォーラムのアドバイザーとの会議 ショートフィルム(アニメ)の開発 アンケート調査用紙の原稿作成と完成 学生と教員のプロジェクト実施前調査 アニメの制作継続 台本/絵コンテの映像化 ナレーション/台本の完成 ナレーションの割り付け 上映 プロジェクト実施後の昨年 12 月に事前調査した学生、教員の調査、評価 アニメプロジェクトの内部査定、内部チームの事前事後評価調査の評価 短編映画配給後の各種活動など 効果測定の指標 各種調査:製作参加アーティストには、予定されている円卓会議の前に E メール経由 で事前調査書類を送付し、ワークショップの一部として、テスト評価後の用紙が送られ、 円卓会議前と比較してどれだけ知識が得られたかを調査する。 学生と映画鑑賞者には、映写の前の観客に簡単な調査を行い、持続可能なライフスタイ ルのための教育(SLE)前の評価と持続可能なライフスタイルのための教育(SLE)をどう 理解しているかを調査する。 この事前調査は、映画鑑賞後に調査が E メールで行われるので、比較指標とするため に行う。(観客の E メールアドレスは、参加登録者に了解を得て取得し、事後調査以 外の目的には使用しない)。 Angelicum Oda(フィリピン) 「YouthXchange:持続可能なライフスタイルに関するアーティス ト会議とショートフィルム製作」 P a g e | 33 これらの調査は、観客の環境問題に関する現状認識、理解、およびライフスタイルの改 善/変更する興味とその意欲を映画鑑賞前と後の水準で測ることが目的である。 持続可能なライフスタイルに関する国際調査(GSSL)の調査データを活用するが、映 画が上映され、シンポジウムが行われる学校は、2009 年 GSSL に参加した学校である。 環境イニシアティブ報告:上記調査とは別に、学生の評価は、学期末(3 月)に教員が 行う学生の環境イニシアティブ活動報告の評価を利用する。 人員体制 プロジェクト・マネージャー – Angelicum Fernandez-Oda, UNEP-YAFE YouthXchange, 社会企業家、ジュネーブ大学環境外交科学生 プロジェクト・コーディネーター – Anthony Jake Huiskamp Atienza, 独立系映画フィ ルム管理者、グローニンゲン大学国際交流科学生 プロジェクト・アシスタント –Janin Roy Saracia, YAFE 上級会員、フィリピン・テレパ フォーマンス社通信専門家 リード・アニメーター –Harsah Gupta, メルクテック・インフォメーション社所有者、 ヴァラナシのバナラス・ヒンドゥ大学物理学遠隔教育大学院生 アシスタント・アニメーター–Milan Pandey, ビルラ技術研究所 IT 学生 脚本– Marie Bretana, WWF フィリピン 個人寄付金プログラム・管理者 ナレーター 1 – Enchong Dee, YAFE 会員、オリンピック選手、モデル、女優、タレント、 マニラ・デラサーレ大学開発研究大学院生 ナレーター2 – Andy Smith, YAFE Member, 会員、チャネル 5MYX の VJ/DJ、多くのテク ノロジー関連番組と 10 代向け番組のホスト ナレーター3 – Bianca Araneta Elizalde, YAFE 上級会員、モデル、美人タレント、著名 な環境問題専門家、社会企業家 各種アドバイザー/ボランティア – YAFE ボランティア アドバイザーと連携機関: Pat Villafuerte, フィリピン読書協会(台本の検討、インパクト強化の為の台本改稿、フ ィルム配給面で社会と連携) Angelicum Oda(フィリピン) 「YouthXchange:持続可能なライフスタイルに関するアーティス ト会議とショートフィルム製作」 P a g e | 34 Vim Nadera, フィリピン大学教養言語学部(台本とフィルム視覚体裁の検討、インパク ト強化の為の台本改稿、フィルム配給面での社会と連携) Jose Decolongan, SGS グループマネージメント社(SGS は映画を含めほぼ全産業の標準 を設定する認証格付け会社。デコロンガン氏は作品改良のアドバイスと提言を行い、重 要な問題を指摘する) Pepe Diokno, 独立系映画製作者(開発計画を検討し、製作期間中支援を行う) 予 算 2010 年 12 月 1 日付の経費 摘要 フィリピン 日本円 ペソ 文房具事務用品 1,753.00 3,344.29 諮問会議 1,252.00 2,388.36 会議1:アーティスト(円卓会議) 4,377.00 8,349.74 会議2:アーティスト、アドバイザー 2,189.00 4,175.82 アニメーター2 名への謝礼 (Harshad Gupta and 5,000.00 5,000.00 Milan Pandey) 5,000.00 プロジェクト・マネージャー(Angelicum Fernandez-Oda)及びコーディネーター(Janin Roy Cruz Saracia)費用 9,538.20 9,538.20 現時点での臨時支出 5,000.00 9,538.20 合計 29,571.00 56,413.75 9,538.20 広報戦略 セレブリティの起用 ショートフィルムは3人のセレブリティがナレーションを入れる。(ナレーションを入 れて、デジタルコピーを挿入する)これは青尐年層に興味を起こさせメディアの注意引 く。彼らアーティストは以前 YEFE のプロジェクトの仕事を無料でボランティアとして 務めた。エンチョン・ディーはフィリピンのトップ俳優、スポーツ選手、タレントであ り、ビアンカ・アラネータ・エリサルデはフィリピンの美人タレントで多くの環境プロ ジェクトに参加している。そして、アンディ・スミスは有名なオーストリア/フィリピ ンの VJ/DJ でテレビ・タレントである(これらのタレントは YEFE 会員で、個人的な取 り組みとして今までに他の YEFE 活動にプロボノとして関わってきた)。各タレントは 映画にナレーションを入れるが、1)一般大衆と地方の学校での映写用にフィリピン語、 2)私立学校と都市部での上映用に簡潔にした英語、3)国際的な上映用として英語 Angelicum Oda(フィリピン) 「YouthXchange:持続可能なライフスタイルに関するアーティス ト会議とショートフィルム製作」 P a g e | 35 (例えば、YouTube、あるいは、YEFE の海外でのプレゼン用)。以上 3 通りの映画 CD を 3 名のタレントがナレーションを入れる.どれを上映するかは、上記の観客層と言 語の通りである。 また、セレブリティを交互に、学校で行うシンポジムの司会者に起用する。タレントが 出場することで、青尐年がより興味を持つと考えられる。この広報戦略は、一定の基準 に従って行い、有名タレントを起用することで興味を呼ぶことが目的であり、タレント が教育的なアジェンダやプレゼンから脚光を浴びることは避けたい。この広報戦略は以 前行った組織(YEFE,ユースエクスチェンジ)のキャンペーンでは成功であったと考え られている。 その他の映写方法 ショートフィルムはプレミア・ナイトに上映するのみならず、YEFE ワークショップと シンポジウムでも上映する。これら観客の評価とフィードバックなどイベントが終わっ た後、フィルムは他の組織に貸し出されコミュニケーション・キャンペーンの一部とし て利用される。フィリピンは群島国家であるが、フィルムは各地で上映されることにな る。更に、フィルムは YouTube や Multiply や Facebook など他の SNS に投稿される。 加えて、これらサイトへのリンクは、Twitter に掲示されるので海外在住のフィリピン 人とその他国民も知ることになる。これにより、計画されている一連のイベントの後で も、フィルムの定期的な上映が 確保される。 フィルムを複写し、30 ヶ国以上の YouthXchange パートナーに配布することを UNEP に提案する。 プレスリリースの最適化 新聞発表と報告書は YEFE のホームページに掲載するが、UNEP のホームページにも掲 載し、本プロジェクトをサーチ・エンジンの最優先に設定してもらう。このことはイン ターネット・ユーザーにとって効果的な広報となる。 尚、ショートフィルムには常に、日本環境教育フォーラム(JEEF)とその他支援団体のク レジットを表記する。 結論、結果、および評価 現時点で、プロジェクトは結論を引き出すところまで至っていない。しかし、アニメー ションの展開、ワークショップは完了、調査も終了などから、映画製作は最終段階に来 ており、脚色とナレーションが終われば、おおむね完了である。 Angelicum Oda(フィリピン) 「YouthXchange:持続可能なライフスタイルに関するアーティス ト会議とショートフィルム製作」 P a g e | 36 投資の機会 5 分間のアニメーションが完成し、事後評価が終わった後で、報告書とアニメーショ ン・フィルムを、予定されている 2012 年の改訂版への支援/スポンサー依頼及び、フ ィルムの更なる利用キャンペーン(例えば、この映画と映写後のミニトークをメインに した青尐年向け映写会の実施など)を支援してもらうため、次の機関に送る。 a) ドイツ開発サービス(DED=Deutsche Gesellschaft für Internationale Zusammenarbeit) b) 米国国際開発庁=USAID-SEDP (United States Agency for International Development -持続可能なエネルギー開発プログラム Sustainable Energy Development Program) c) シネマ・ナイト(Cinema Knights) これらの組織は、過去に、YouthXchange のいくつかプロジェクトのパートナーを務め た、また、彼らのいくつかの青尐年活動において、アニメフィルムを使用することに興 味を持っている。アニメーションへの支援に関して、最初の照会は既に行っている。 最初の計画として、いくつかの私立学校でアニメの上映を行う可能性があり、資金調達 活動の一環として、最低限の料金を出してもらうよう依頼する。この機会からの売上金 は、YAFE の「自然からの水滴」と題するエコ生活プロジェクトを支援することに使用 できる。この 「自然からの水滴」は、フィリピンのラグナの農村共同体に住む母親達 向けのプロジェクトである。この可能性のある資金調達活動は、YouthXchange キャン ペーンの一部である学校での映写会シンポジウムとは別物で混同すべきではない。 今後の課題 未だプロジェクトが完了していないので、この項は摘要できない。しかし、15 歳以下 の子供達にショートフィルムに関する意見を求めたところ、肯定的な意見であった。映 画のナレーションを務めたタレントをマスコットにする提言があったが、日本環境フォ ーラム(JEEF)のアドバイス及び製作に参加した芸術家の過半数の意見を考慮し、マスコ ットは使用しないことに決定した。 Angelicum Oda(フィリピン) 「YouthXchange:持続可能なライフスタイルに関するアーティス ト会議とショートフィルム製作」 P a g e | 37 アジア青尐年環境リーダーネットワーク事業 社会的に不利な状況に置かれた 子供向けのスピーチ・演劇を 通じた環境教育 著者:Joanna Tan 国:シンガポール 所属: Avelife Foundation Joanna Tan(シンガポール)「社会的に不利な状況に置かれた子供向けのスピーチ・演劇を通 じた環境教育」 P a g e | 38 概 要 本プロジェクトは、部屋数 1~2 の公団住宅に居住する生活レベルにある 7 歳から 12 歳の児童を対象とし、毎週 3 時間程度、スピーチや演劇など様々な方法を用いて持続 可能な生活に関する知識を身につけることを目的としたものである。 背 景 ターゲットの選定理由 表3:性別、民族、年齢、住宅形態別に見たボランティア活動への参加率 国立慈善ボランティア協議会の行った調査 によると、部屋数1〜3の公団住宅に住む 住民は社会活動への参加率が最も低い。私たち Avelife は、積極的に学ぶ意識の高い者 や企業のリーダーを対象に効果的なグリーンイノベーションを促進する教育プラットフ ォームを提供している財団であるが、本プロジェクトでは、スピーチや演劇を通じて、 社会活動への参加率が低いこの集団の社会活動を習慣化することを目指した。 スピーチと演劇を選んだ理由 スピーチと演劇は、亓感(触覚・聴覚・視覚・嗅覚・味覚)を使うので、物事を総体的 に理解するのに役立つ手法であるこれまでの事例研究から、スピーチと演劇を通して学 んだ内容は、がより学生の記憶に定着しやすいとの結果も示されている。 Joanna Tan(シンガポール)「社会的に不利な状況に置かれた子供向けのスピーチ・演劇を通 じた環境教育」 P a g e | 39 しかし現時点では、スピーチと演劇を通した環境教育プログラムは存在していない。私 たち Avelife は、その様なプログラムを先進的に取り入れ、スピーチと演劇を使った学 習手法効果を観察し、広く展開したいと考えている。その最初の段階として、この学習 手法を使って環境配慮のメッセージを広めることの効果を調査するパイロット・プログ ラムを実施する必要がある。 このパイロット・プログラムが成功と見なせる結果が得られた場合、Avelife はこのプ ログラムを他の対象者へも展開するつもりである。同時に、私たちは、他の環境団体の 環境教育活動を支援する目的で、この分野での経験を共有したいと考えている。 プロジェクトの目標 本プロジェクトは Avelife の持つビジョンを達成するものの1つとして開始された。環 境配慮の意識を啓発する目的で、私たち Avelife は、芸術を媒体として使うなどの斬新 な手法を用いて青尐年を対象に環境に優しい生活に関する環境教育を実施している。本 プロジェクトは、表現の自由を象徴する芸術を以て青尐年が環境配慮の意識を持つ助け となる創造的機会を設けることを目標とした。 本プログラムは、環境に優しい行動が生活に及ぼす直接的効果を明確に理解できるよう に注意して作られており学生が環境問題を違った角度から再学習する手助けにもなるよ う配慮された。また、環境に対して型にはまった偏った意見を持つことを軽減すること にも配慮された。これらの結果、本プログラムが終了する時には、学生は環境配慮の意 識を持つことの重要性を理解していることが期待された。これを以て、本プログラムは、 単なる概念を示すに留まらず、生活の中に環境配慮の意識が定着することを期待して開 始された。 対象地域 最初の段階として、本プログラムは Queenstown 及び Bukit Merah 地域住民を対象とし た。 Joanna Tan(シンガポール)「社会的に不利な状況に置かれた子供向けのスピーチ・演劇を通 じた環境教育」 P a g e | 40 図1:対象地域の地図 同地域の基礎的情報 Joanna Tan(シンガポール)「社会的に不利な状況に置かれた子供向けのスピーチ・演劇を通 じた環境教育」 P a g e | 41 図2:対象地域及び住宅形態別居住者数(2009 年 6 月) Joanna Tan(シンガポール)「社会的に不利な状況に置かれた子供向けのスピーチ・演劇を通 じた環境教育」 P a g e | 42 図3:対象地域及び年齢層別居住者数(2009 年 6 月) シンガポール国内の人口を各地域別に分析すると、Queens town 及び Bukit Merah 地域 は本プログラムを開始する理想的な地域であることを示している。図2で示した様に、 Queens town 及び Bukit Merah 地域の居住者の多くが部屋数1~2の公団住宅に居住し ており、居住者数はそれぞれ 8000 人及び 22,000 人である。更に、図3によると、両 地域の 5 歳から 14 歳の児童数は 23,100 人である。この数値は、長期間本プログラム の継続を保証する為に十分な人数の参加者がいることを示している。 Joanna Tan(シンガポール)「社会的に不利な状況に置かれた子供向けのスピーチ・演劇を通 じた環境教育」 P a g e | 43 プロジェクトの受益者 本プロジェクトの第一段階における対象集団は、部屋数1〜2の公団住宅に居住する 7 歳から 12 歳の児童とした。 スケジュール 本プログラムは、継続的に 2 年間実施する予定であり、スピーチと演劇を通じた学習 手法の効果に関して分析を実施する。また今後 2 年間で、この学習手法を他の団体や 機関に広めて行くことにも注力する。その後、スピーチと演劇のワークショップに学生 を呼ぶ為に地方の教育機関と連携する可能性を探っていく。 効果測定の指標 指標 出席 方法 出席表を作り、学生の出席 数を記録した。 新規参加者の数 月ごとの新規参加者の数を 集計し、新規参加者が何処 でプログラムを知ったかに ついて短いコメントを付し た。 講師はクラスの生徒の参加 率の算出を課せられた。 参加率 調査 調査には 2 つの目的があ る: 1.本活動の品質を測るこ と、及び 2.環境に配慮した 生活習慣について改善され た点を学生から提出される リストによって測ること。 指標としての根拠 出席数の低下は参加者が興味を失い 始めたことを示す。この場合、出席 低下傾向の理由を探すことが緊急に 必要である。 この数値で本プロジェクトの普及努 力の効果を分析出来る。より多くの 参加者を募集するときの普及戦略の 指針となる。 全体的な参加率の低下は、生徒がこ の活動に興味を失い始めたことを示 し、本活動が生徒の求めるものと個 性に適合出来なかったことを示す。 1.本プログラムの目的を達成する為 にプログラムに関する生徒の意見を 収集することが重要;そして、 2. 提出されたリストは、プログラ ムの成功として、学生の生活に環境 配慮の意識が定着したことを示すも のとして有効である。 指標が示す結果は体系的に分析された。指標は、私たちの仮説を検証するために、他の 指標の結果と相互参照出来る様に選ばれた。例えば、出席数の増加とプログラムに対す る学生の肯定的なコメントは、本プログラムの品質を示すものとなる。 Joanna Tan(シンガポール)「社会的に不利な状況に置かれた子供向けのスピーチ・演劇を通 じた環境教育」 P a g e | 44 指標の集計及び分析は、プロジェクトの最初と最後のみでなく、1 日、1 週間、1 ヶ月 単位で記録することで、全ての指標とプログラムの目的とが緊密に関連付けられ適切に 効果を測ることが可能となる。 効果測定は、プログラムの指標の値に直接影響を与えない Avelife の職員が実施し、参 加者を好ましい回答へ誘導することのないようにした。 人員体制 本プログラム全体で、Avelife 執行役員4名、Joanna Tan、Jody Liu Luke Cheng 及び Nini Hyun が計画の立案及び実行に参加した。 イベント当日は、イベントを支援するボランティァを 30 名募集した。 トレーニングは、Singapore Repertory 劇場の女優 Lorraine が外部コンサルタントとし て支援し、児童に演劇を指導する。ボランティアは、シンガポールのボランティァ窓口 である SG Care を通じて募集した。 広報戦略 対象集団が居住する公団住宅の掲示板に通知を張り出し、興味のある児童にプログラム への参加を呼びかけた。最初の学生参加者たちが 2011 年 1 月の回に準備が整う様、広 報活動は 2010 年 10 月に開始された。親から児童のプログラムへの参加の支持を得ら れれば、プログラムの成功に近づくため、両親の承認を得る為に両親もプログラムの参 観に招かれた。 予 算 Avelife は、本プログラムの会場を提供してくれる個人と協力関係を築いた。プログラ ムは約 3 時間掛かるので、私たちは参加者に食事と飲み物を提供した。その他の主た る経費は、プログラムを行う為の機材や事務用品に対するものである。 項目 単価 (SGD) 単価(USD)6 数量 年間総経費 4 2.92 1680 $4905.60 食事出前7 0.6 0.44 40 $17.52 はさみ8 2B 鉛筆(1 箱 12 本入り) 色鉛筆(12 色) 紙(500 枚) 6 1.6 1.17 10 11.68 4 2.92 10 $29.20 6.21 4.53 2 $9.10 Exchange rate at 0.73 USD/SGD 7http://www.select.com.sg/tingkat.htm 8 http://sg.88db.com/Food/Catering-Services/ad-69604/ http://www.popular.com.sg/jsp/product/list_product_by_cat.jsp?vca001=101&vor001=p Joanna Tan(シンガポール)「社会的に不利な状況に置かれた子供向けのスピーチ・演劇を通 じた環境教育」 P a g e | 45 マーカー(12 本入り) 雑費 16.80 12.25 5 $61.32 - - - $100.00 合計: $5134.38 各項目は、平均的な教育プログラムに準じて採用した。しかし、本プログラムは環境配 慮の意識向上を目的にしているため、紙と木製の鉛筆の使用は今後避けるべきであり、 またこのことは、代替品の価格次第で年間総経費の増減に結びつく。 100USD を予備経費として見込んで雑費の項に計上した。 結論、結果、および評価 パイロット・プログラムは、ダイムラー(メルセデス・ベンツの卸売業者)の支援の下、 Avelife との共同開催の形で、恵まれない児童の為のクリスマス・キャロルのイベント として実施された。児童達は、演劇の基本、クリスマス・ソングのメドレー曲及び Singapore Repertory Theatre(SRT)の児童劇団 Little Company の曲を専門の俳優から 教わった。 更に、イベントの実施を促進する為に、公演の前に募金活動を行い、この活動には Christmas Toy Charity Drive として知られる、寄贈された玩具を恵まれない児童に配布 する活動も含まれた。 本プログラムに参加した児童達は、主に Project STOMP(Student-Tutor Open Mentoring Program) 、 Queenstown CCKidsRead Program 及 び Queenstown Youth Executive Committee(YEC)からの参加である。Project STOMP の学生指導員は、リサイクルした材 料を使った小道具の作成にも参加した。SG Care からのボランティアは、小道具と衣装 の作成に参加した。合唱コンサートは 2010 年 12 月 4 日、午後 2 時から 2 時 30 分の 間にメルセデス・ベンツセンターで行われた一般公開のイベントであり、このイベント の支援者は SG Care、People’s Association、Queenstown CC YEC 及び Project STOMP で あった。 Avelife から現地新聞 2 社の Straits Times 紙及び Newpaper 紙に対して新聞発表の依頼 が行われ、イベントの直後に発表された。さらに、Avelife の取締役の Mark Cheng 氏は 現地ラジオ番組(93.8FM)のインタビューを受けた。プログラムは一般から歓迎され、 児童の環境配慮の知識を身につけさせる斬新で、効果的な方法として受け止められた。 これらイベントは肯定的な結果を示し、私たちは、より多くの人に普及するために本プ ログラムを継続的に拡大して行くつもりである。 Joanna Tan(シンガポール)「社会的に不利な状況に置かれた子供向けのスピーチ・演劇を通 じた環境教育」 P a g e | 46 下記は、以上のイベントで実際かかった経費である。 白糊(X1) $1.00 ペースト糊(X1) $0.30 テープ (X1) $2.00 はさみ 各$2 (X2) $4.00 はけ (X1) $0.70 サイズ 34 ペンキブラシ大 はけ 各$2 (X2) サイズ 56 各$0.90 (X5) $4 $4.50 濃緑色ペンキ (X1) $2 淡緑色ペンキ (X1) $2 赤色ペンキ(X1) $2.20 合計総経費 $22.70 大幅な経費節減が出来たのは、個人から集めたリサイクル材料を大々的に使った為であ る。 クリスマスツリーは、ペンキを塗り直したダンボールで飾られ、古新聞、不要な封筒、 紙袋の持ち手の紐やプラスチック袋は、イベントの雪だるまの材料や装飾に使われた。 衣装も新聞と不要な封筒で作られた。帽子のひもは、Queenstown Community Centre か ら贈られたものを使用し、全部で 45 個の帽子が作られた。 前述したように、参加者と一般からの反応は良く、スピーチと演劇が効果的な学習手段 であるとして受け入れられ、イベントは成功であった。スピーチと演劇は、テーマが何 であれ児童とのコミュニケーションツールとして革新的で利用価値のある手段として機 能した。一般からの反応は良く、特に企業が大いに興味を持ち、本プログラムに資金的 援助を希望する企業が現れるほどであった。このイベントに参加した児童は、ダイムラ ー・グループの好意で$50 相当の Pinocchio Musical Show の鑑賞券が贈られた。 投資の機会 ダイムラーとの継続的なプロジェクトの様に、エクソン・モービルと環境配慮をテーマ に盛り込んだ演劇を 2011 年 8 月発表予定で製作する予定である。この演劇の準備は6 月に開始し、印刷資料は 5 月末に準備開始予定である。観客は児童と両親含めた 4 万 Joanna Tan(シンガポール)「社会的に不利な状況に置かれた子供向けのスピーチ・演劇を通 じた環境教育」 P a g e | 47 5 千人と想定している。ダイムラーと Avelife は、現在、年末のイベントを毎年恒例の イベントにする可能性を探っている。この様な取り組みは、持続的な活動を可能にする。 私たち Avelife は現在ニューヨーク大学(NYU)芸術学部の TISCH と、将来ニューヨーク 大学が講師を派遣して児童達にスピーチと演劇の指導を行う可能性を探っている。これ により、児童達を指導する講師を継続的に確保することが出来る。更に、TISCH と連携 することで、全ての活動内容が環境保全に強い関連性を持たせることを検討中であり、 そうすることで、環境保護のメッセージを間違いなく児童に発信することを目指してい る。Avelife は、環境面で積極的に活動している 2 名の個人に依頼して、プログラム 内容の精査を依頼した。 スピーチと演劇によるプログラムは多くの賛同と一般の関心を得ており、急速な成長の 機会があるとことを示している。 今後の課題 プログラムの大部分は共同実施者によって計画、実行されており、一方で Avelife は、 イベント支援のボランティアを提供して来た。コミュニケーション不足により、 環境教育の点で不適切な主張に至る誤解を招く事態が起こった。また、ボランティアに 小道具を作らせる代わりに、ボランティアに学生を指導してもらって、環境に優しい小 道具を作らせるべきであった。これにより、各学生がリサイクルの実践経験を積み始め ることが出来たであろう。 企業の社会的責任(CSR)の重要性が叫ばれている今般、企業が偏った興味に基づいて CSR 活動を実施する可能性もあり、そのために新規顧客の増加や利益の増加などのよう な不適切な指標でプロジェクトの成功を測ることもあり得る。この様な見解から、 Avelife は、将来的に本プログラムの提携において、30%から 70%の決定権を持った上 で、企業と提携することを決めた Avelife は純粋に環境教育のために本プログラムが実 施され、偏った興味が持ち込まれないようにすることに尽力を尽くしていく。 Joanna Tan(シンガポール)「社会的に不利な状況に置かれた子供向けのスピーチ・演劇を通 じた環境教育」 P a g e | 48 関係者の声 「このイベントは児童のチームワークの発達に良いものであると感じた。同じ目的に向 かって協力して何かをこなしているので、彼らは一体感を感じたであろう。このイベン トで私は以前よりも心を開き、新しい発見やアイデアを受け入れることを学ぶことがで きた。」匿名、ボランティア 「Green Choral(合唱)は素晴らしいアイデアだと思った。このイベントは、休日に児 童を学校の勉強から解放し、児童たちは本当に楽しんでいたと感じた。彼らはプレゼン トをもらって大喜びであった。彼らの両親たちも、児童たちが喜び休日を満喫できたこ とで感謝の気持ちを持っているに違いない。このイベントへの参加は、児童たちと共同 作業をすることに私を熱中させてくれ、忍耐強くもさせてくれた。また、環境は医療の 意識を向上させてくれ、物をリサイクル方法や地球を救う方法がこんなにもたくさんあ ることを教えてくれた。」Angela、ボランティア 「このイベントは、児童にクリスマスを楽しませてくれるものなので、とても温かいも のであると感じた。両親も参加し、児童たちはプレゼントに大喜びをしていた。ボラン ティアとして私は、児童とその両親が喜んでくれていることをうれしく思った。このイ ベントは子供たちに有益であり、多くの喜びを振りまいてくれるものである。このイベ ントはもっと大きなものへと発展して、もっと多くの人を魅了し、そして環境にやさし くなるための方法に気づかせてくれるものであると感じた。このイベントは、幸せにな るために必要なことはとてもシンプルなことで良いのだと気づかせてくれた。」Yang Hong、ボランティア 「児童たちが徐々に心を開いていき、最後には本当に喜んでいる姿を歌や踊りとともに 見せてくれたことは、とても心温まるものと感じた。児童たちはレッスンの間、とても よく気を遣い、参加意欲も高かった。スピーチと演劇は、児童たちの集中力を得るのに 効果的であると感じた。」Jee Cheng、Project STOMP のボランティア Joanna Tan(シンガポール)「社会的に不利な状況に置かれた子供向けのスピーチ・演劇を通 じた環境教育」 P a g e | 49 アジア青尐年環境リーダーネットワーク事業 チャン島におけるゴミの堆肥化 著者:Vich Cheepsujjayan 国:タイ 所属:タマサート大学シリンドーン国際工学部 Vich Cheepsujjayan(タイ)「チャン島におけるゴミの堆肥化」 P a g e | 50 概 要 当プロジェクトはホテルや地域から排出される有機廃棄物を肥料に転換することに主眼 を置いている。実施地域は、チャン島行政下の地域である。 チャン島の行政は、日常的に排出される廃棄物の管理を地域と共に行っている。廃棄物 を肥料にする方法は、地域住民だけでなく他のステークホルダーにも伝達される。生産 された肥料は、農業用途に使用、販売が可能であり、持続可能な発展に寄与することが 期待される。 背 景 タイの主産業は観光と輸出である。観光産業は年間約 600,000 百万バーツを生み出して いる。現在では、エコツーリズムが観光客に人気を博しており、観光産業に新しい潮流 をもたらしている。チャン島はタイの エコツーリズムの拠点となる地域である。 島内の輸送は改善されてきた。ホテル、リゾート、バンガローだけでなく、銀行、イン ターネット・サービス、レストラン、店、ミニマート、バーなど様々な施設が建設され ている。施設と観光客の数が増えるにつれ、廃棄物の量も増えている。この島の廃棄量 は1日あたり 20-30 トンと推定されており、 その内 40%が有機廃棄物で、これらはトラ ート省の処分場まで運搬されている。 この廃棄物問題は、廃棄物を肥料に転換すること で緩和することができる。 プロジェクトの目標 プロジェクトの初期目標は次の通りである。 地域住民が自分達で肥料を作れる 地域中に知識を広める 対象地域における病気の予防と衛生状態の改善 廃棄物処理場へ有機廃棄物を運搬する際に使用されるエネルギーの削減 対象地域 当プロジェクトはチャン島の行政下にある地域を対象としている。チャン島はプーケッ トに次ぐタイで二番目に大きい島で、豊かな自然に囲まれている。島の中心部は森林・ 熱帯雨林地帯に覆われ、川や滝などの水源へと続いている。本土に面した島東部はトラ ート川から流れてくる堆積物に覆われている。その結果、魚が豊富で、多くの漁村があ る。海沿いの西側のエリアには、多くのビーチがある。 Vich Cheepsujjayan(タイ)「チャン島におけるゴミの堆肥化」 P a g e | 51 プロジェクトの受益者 当プログラムの受益者はチャン島のホワイトサンドビーチ地区の人々、約 20 名である。 スケジュール プロジェクトの実施は以下の段階を経て行った。 1. 潜在的パートナーとの会議 潜在的パートナーと2回目の会議で、運営上の協議、コミュニティの代表や民 間セクターへの研修について話し合った。 潜在的パートナーと2回目の会議 潜在的パートナーと3回目の会議 2. 研修と実施地の訪問 参加者向け研修 参加地域への訪問 3. 地域での GTF プロジェクト開始と実施 チャン島における地域コミュニティレベルでの運営委員会の設立 肥料を作るための知識とツールの提供 コミュニティの代表と住民に対する広報の提供 各地域における有機廃棄物に肥料が使用され、参加ホテルへの運搬がなされた 学生により学校でリサイクル可能な廃棄物の回収とゴミ・バンクに運搬された 4. GTF プロジェクトの評価と再構築 5. JEEF への報告書提出 No. 活 スケジュール 動 10 月 1. 潜在的パートナーと2回目の会議 2. 自治体レベルでの委員会設立 3. パートナーと2回目の会議 4. パートナーと3回目の会議 5. 地域コミュニティレベルの委員会設立 6. 地域コミュニティ向けの人員計画、資料 の準備 7. GTF プロジェクト開始 8. 専門家による教育 11 月 12 月 Vich Cheepsujjayan(タイ)「チャン島におけるゴミの堆肥化」 1月 P a g e | 52 9. コミュニティメンバー向け研修 10. プロジェクト実施 11. 月次報告 12. 最終報告書提出 効果測定の指標 プロジェクトの参加者が自分で堆肥が作れ、コミュニティに伝達することができる。 人員体制 プロジェクトの人員体制は以下の通り。 スタッフ 1. Mr. Vich Cheepsujjayan プロジェクト・マネージャー タマサート大学シリンドーン国際工学部 環境技術 2. Mr. Nathseth Yurawan プロジェクト・アシスタント タマサート大学シリンドーン国際工学部 環境技術 3. Mr. Nilun Ruengpinyophun プロジェクト・アシスタント タマサート大学シリンドーン国際工学部 環境技術 コミュニティ・リーダー 1. Mr.Ongart Tongparn 2. Mr.Witaya Nopawan 3. Mr.Surin Jetapic 肥料専門家 Mr.Witorn Chanthuma 行政の環境担当官 Miss Nantawan Noppagaw 広報戦略 チャン島行政の協力により、地元ラジオと地元のニュースサイトを通じて、地域住民に プロジェクトの告知を行った。 Vich Cheepsujjayan(タイ)「チャン島におけるゴミの堆肥化」 P a g e | 53 予 No. 項目 算 単位 単価 (円) 数量 計 (日本円) 1. 文書作成 回 1,000 3 3,000 2. 移動・通信費 月 13,500 6 81,000 3. プロジェクト運営費 (肥料タンク) 回 1,000 20 20,000 合計 104,000 結論、結果、および評価 チャン島のホワイトサンドビーチ地区から 20 名の参加者がこのプロジェクトに関わり、 実際に家庭で堆肥化の実験が行われた。コミュニティ・リーダーはプロジェクトの継続 性を確保するために、継続したチェックを行うことになっている。 このプログラムでは、EM 菌が有機廃棄物により発行することが分かったが、効能・微生 物・二酸化炭素などについては実証されていない。 投資の機会 ホワイトサンドビーチ地区では、家庭から排出される有機廃棄物を利用して自ら肥料を 作れるようになった。さらに、参加者は、他のコミュニティに知識を広めることができ る。この知識は廃棄物処理地へ運搬される廃棄物量を減らすことで持続可能な地域作り に貢献すると同時に、将来的にはガーデナーに作った肥料を販売することもできる。 今後の課題 EM 菌の有効性に関する検証を行う必要性がある。また、プロジェクトの成果をより多く のコミュニティに広げる必要がある。 Vich Cheepsujjayan(タイ)「チャン島におけるゴミの堆肥化」 P a g e | 54 付録:写真資料 このセクションでは、活動費を得た各国プロジェクトの写真を掲載している。これらの写真は、 各事例の実施状況、受益者、結果などを撮影したものである。 持続可能な伝統的市場を目指して 実施地の訪問:ガマ・リパの伝統的な果物市場を視察する プロジェクトリーダーとボランティアスタッフ 付録:写真資料 P a g e | 55 初期調査:調査の結果分析は教材の内容を左右する。 掃除の日:廃棄物はコンポスト化できるものと、 できないものに分別される 付録:写真資料 P a g e | 56 新たな副収入:損傷の尐ない果物はジュースに加工され、 市場の出店者が再度、商品として販売できる。 持続可能な未来に向けて:地域に根差した廃棄物管理を行う村の チーム 付録:写真資料 P a g e | 57 ソーラークッキング 太陽の調理:市販のソーラークッカーは太陽光を効率的に集めること で調理を可能にする。 自作ソーラークッカー:段ボール、アルミホイル、テープ 洗濯ばさみなどの日用品で制作できる 付録:写真資料 P a g e | 58 ソーラーシェフ:自作ソーラークッカーでゆで卵の作り方を 実演する上野祥子 付録:写真資料 P a g e | 59 サバ州クンダサンにおけるゴミ分別 環境保全に向けて:ゴミ分別の新たな方法について意見交換する 地域住民 ユーザーフレンドリー:小さな子供でも分別しやすいデザインのゴミ箱 付録:写真資料 P a g e | 60 分別ステーション:ゴミ箱は地域住民が実践しやすいよう、 町の広場に設置した。 付録:写真資料 P a g e | 61 YouthXchange:持続可能なライフスタイルに関するアーティスト会議とショートフィ ルム制作 創造の場:持続可能な生活の方法をどう映像化するか話し合う アーティストたち 次のステップに向けて:YAFE の活動を継続させるための話し合いをする ボランティアとアーティストたち 付録:写真資料 P a g e | 62 社会的に不利な状況に置かれた子供向けのスピーチ・演劇を通じた環境教育 みんな笑顔:スピーチ・演劇プログラムの主催者、ボランティア、 参加者 星に願いを: リサイクル材で作ったクリスマスツリーに 参加者の願いを込めて 付録:写真資料 P a g e | 63 ゴミを宝に:古紙、使用済みの段ボールやプラスチックで作った クリスマスツリーとスノーマン センターステージ:スピーチと演劇プログラムの参加者がクリスマ ス・キャロル・イベントで学びの成果を発表 付録:写真資料 P a g e | 64 チャン島におけるゴミの堆肥化 ゴミ・バスターズ:2B-Green の Vich、Nil 、Nath とトラート県の 専門家 環境教育:トレーニングコースの導入時、専門家の話に耳を傾ける 主催者と参加者 付録:写真資料 P a g e | 65 環境活動の主役:コンポストと一緒にポーズを撮るプロジェクトリ ーダーと参加者 付録:写真資料 ENVIRONMENTAL REPORTS 2010 年度 アジア青少年環境リーダーネットワーク事業 各国環境レポート 【参加国】インドネシア、日本、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム 【活動期間】2010 年 8 月 – 2011 年 2 月 編集: Ruth Yap, Malaysia レイアウト: Joanna Tan 筆者: Herni Frilia Hastutie, Nguyen Huu Dong, Dang Hong Thai, Nguyen Hoang Vu, Ruth Yap,加藤章太朗, Marie Sonsehrey J. Bretana, Vich Cheepsujjayan, Joanna Tan Cai Leing 監修:塚原一惠(JEEF), 柴原みど り(CSEL) ,臼杵裕之 引用表記 日本環境教育フォーラム(2011)「2010年度アジア青尐年環境リーダーネットワー ク事業 各国環境レポート 」 出版元: 公益社団法人 日本環 著作権 この出版物は出典を明記することで、教育目的に限り、著作権者の許可なく全 体、または一部を複製することが可能です。出版物に引用する場合は、日本環境 教育フォーラムまでお知らせいただければ幸いです。 日本環境教育フォーラムの書面による許可なくこの出版物を販売すること、営利 目的で使用することを固く禁じます。 境教育フォーラム (JEEF) 〒160-0022 東京都新宿区新宿 5-10-15 ツインズ新宿ビル 4 階 [email protected] 免責事項 文中の国、地域、都市、関係当局などの法的状態、領域・国境などに関する表 記・表現、及び記載内容は、日本環境教育フォーラムの見解を示すものではあり ません。 また、商品・サービス(営利・非営利問わず)に関する紹介がなされている場合 でも、日本環境教育フォーラムの推奨を意図しているものではありません。 www.jeef.or.jp/yelp ※この出版物は、財団法人地球産業文化研究所の愛・地球博成果継承発展助成事 業により出版しました。 TEL.03-3350-6770 FAX.03-3350-7818 www.jeef.or.jp/english/ 目 次 インドネシア ........................................................................................................................................... 1 Herni Frilia Hastutie ブラジルの次に豊かな生物多様性を誇ると言われるインドネシア。今日、急速な森林破 壊に伴う生物多様性問題に直面している。 ベトナム .................................................................................................................................................... 4 Nguyen Huu Dong, Dang Hong Thai and Nguyen Hoang Vu 産業発展が重視されるベトナムでは、経済成長と環境面での持続可能性の両立に向けた 努力がなされている。急速な産業化に伴い、国内のいたるところで公害問題が発生して おり、対策が求められている。 マレーシア ................................................................................................................................................ 8 Ruth Yap マレーシアは、アジアにおける希尐な動物種の宝庫である。マレーシアの製材、観光業 の発展に伴い、これらの動物は絶滅の危機に瀕している。同国では、経済発展とともに、 資源管理の改善が必要とされている。 日本 ........................................................................................................................................................... 17 加藤章太朗 日本は、政府の支援により温室効果ガスの削減努力を継続している。日本政府は削減に 向けた計画を提示している。 フィリピン .............................................................................................................................................. 2o Marie Sonsehrey J. Bretana フィリピンでは、都市部の人口過多により、大気・水質・土壌汚染が生じている。都市 部の拡大に伴い生息環境を奪われた動物種は、絶滅の危機に瀕している。しかし、気候 変動などの影響から、地球問題に対してより注意が払われるようになってきている。 タイ ........................................................................................................................................................... 27 Vich Cheepsujjayan タイでは、大規模な都市化、産業化と農業活動により水質汚染問題が生じている。経済 発展に伴い、望ましくない公害を防ぐための商習慣を促進する対策が求められている。 シンガポール ......................................................................................................................................... 33 Joanna Tan Cai Leing 「グリーンシティ」と呼ばれるシンガポールでは、大気・水質・土壌汚染のレベルは最 低限にとどめられている。しかし、アジア諸国特有のデング熱、食品衛生問題に悩まさ れている。政府の支援により、環境関連機関はこれら問題への対処を行うようになって きている。 インドネシア 1.1 インドネシア 島国として知られるように、「CIA factbook」によると、インドネシアには 17,508 つの島が存在する。その中でも大きな島は、ジャワ島、スマトラ島、ボ ルネオ島、スラウェシ島である。国の大きさ、熱帯気候、島という地理的特徴に よって、インドネシアはブラジルの次に生物多様性レベルが高い国である。 その面積は地球の表面のわずか 1.3%しか占めていないにも関わらず、インドネ シアは生物多様性において大きな役割を担っている。世界の植物の 11%、ほ乳類 の 10%、鳥類の 16%がこの国に生息しているのだ。(図表 1.1) 図表 1.1- インドネシアの生物多様性:インドネシアで見られる生物種の割合1 これらの種のほとんどは森の中に生息している。世界的に大きな熱帯林の多くが インドネシアにはあるのだ。広さの観点から言えば、インドネシアの熱帯林は、 世界第 3 位に位置づけられ、ブラジル、コンゴの次に大きい。また、インドネシ アは世界で最も大きなマングローブを有している。マングローブの範囲は、1990 年の初頭には約 425 万ヘクタールにも及んだ。 インドネシアの森林は、大量の二酸化炭素も蓄えている。FAO(国際連合食料農 業機関)によれば、インドネシアの植物は、140 億トン以上のバイオマスを生み 出し、これは他のアジアの諸国の総生産量よりもかなり多く、アフリカの全ての 熱帯林におけるバイオマス量の 20%に相当する。このバイオマス量は、35 億トン の二酸化炭素を蓄える能力がある。インドネシアにおける大量の森林破壊と、森 林再生への努力不足によって、吸収するよりも多くの量の二酸化炭素が生み出さ 1 出典: World Resources 2000-2001. Washington DC:World Resources Institute: 246-248 1 インドネシア 2 れるようになった。このことが地球温暖化に影響を与えていることは疑う余地が ない。図表 1.2 は、インドネシアの森林被覆の消失を示したものである。 図表 1.2- インドネシアの 2000-05 年における森林被覆消失 この地図は、衛星によって明らかになった、2000 年から 2005 年までの、インド ネシアで喪失された森林の位置と範囲を示している。この期間には、年間平均 70 万ヘクタールの森林破壊が生じた。 1.2 森林破壊の影響 世界資源機関(WRI)の地理情報システム(GIS)研究所マネージャーの Susan Minnemeyer によると、インドネシアの温室効果ガス排出の 84%は、土地使用の変 化と森林破壊から生じており、インドネシアはブラジルの次に大規模な森林破壊 が行われている国になっている。これは、インドネシアの森林破壊が、世界の環 境へ影響することを暗示している。森林破壊は地球温暖化に影響するだけではな く、生息する野生生物を破壊し、生物多様性を脅かす。海中の生物多様性もまた 影響を受ける。地球温暖化を原因とする気候変動は、海水温を上げ、強い太陽放 射がサンゴの白化や病気を引き起こす。通常この状態は、荒廃地から流出する富 栄養水が原因で悪化する。 サンゴについて言えば、インドネシアには他国より多くのサンゴ礁地帯があり、 これは世界のサンゴ礁の 18%にあたる。また、ハードコーラル(造礁サンゴ類) の種類も 620 種類以上あり、これは世界のサンゴ種の 75%を占め、世界一である。 サンゴ礁の魚も 2,200 種類以上いる。環境破壊が継続的に起こるにつれ、サンゴ 礁や海洋生物が危険にさらされている。 インドネシア 3 サンゴ礁を守る試み: 2010 年 11 月 5 日のジャカルタポストによると、2007 年 8 月に、スシロ・バンバ ン・ユドヨノ大統領が、「世界的サンゴ礁地域、漁業生産、食糧問題に貢献する コーラル・トライアングル・イニシアティブ」に参加することを表明した。 サンゴの白化と破壊はインドネシアで起こっている環境問題のほんの一例である。 急速な都市化、経済発展、技術発展は、空気汚染、交通渋滞、ゴミ管理、水供給、 原住民の破壊など数々の問題が起きている。政府と環境 NGO は協働で、インドネ シア国内で環境保護のメッセージを広げ、こうした状況を解決しようとしている。 そして、人々は尐しずつではあるが、環境に対し興味を抱くようになってきてい る。発展途上国としてインドネシアは、環境とバランスが取れるように、自国の 発展を監視し続けるべきである。 ベトナム 1 2.1 ベトナム ベトナムは、2020 年までに工業国になることを目指し、工業化、都市化を進め てきた。多くの発展途上国と同じように、環境汚染は悪化しているように見える。 何人かの専門家は、「もし連続 10 年間、ベトナムの GDP 成長率が年平均 7%を記 録したら、2010 年の工業汚染は 10 年前と比べ、2.4 倍になるかもしれない。」 という仮説を立てた。同じことが農業や国内の汚染に当てはまる。 ここ最近の 10 年間に、首都ハノイやホーチミンのような巨大都市は、工業、農 業、都市、輸送活動によって引き起こされた環境の警告を受けてきた。例えば、 ホーチミンには、2,298 ヘクタールにおよぶ、611 の工場からなる 25 の中心的な 工業地帯がある。ある統計によれば、これらの工業地帯は、地域外にある 200 以 上の外のセンターと合わせて 1,740,000 ㎥の工業排水をサイゴン川、ドンナイ川 に排出しており、廃水には、浮遊物 671 トン、BOD5(生物科学的酸素要求量) 1,130 トン、窒素 104 トン、リン 15 トン、その他の重金属が含まれる。産業廃 棄物処理は、廃棄物の分解や水を浄化する上で、大変重要な役割を持つ、水中の 生態系である多くの微生物を破壊するだけではなく、何百万もの人に水を供給し ている、近隣の川の水も汚染する。 2.2 排気ガス 空気感染に関して言えば、輸送活動もまた一つの原因である。毎年ホーチミンで は、輸送手段として、ガソリンを 210,000 トン、ディーゼルを 190,000 トン消費 している。その結果として、煤塵 1,100 トン、鉛 25 トン、二酸化炭素 4,200 ト ン、二酸化窒素 4,500 トン、コバルト 116,000 トン、炭化水素 1,200,000 トン、 を排出している。同様のことが、工業地帯と他の大きな都市でも生じている。 図表 2.1- 1960-2005 年の1人当たり CO2 排出量(メトリックトン) ベトナム 温室効果ガスを含むこれらの有害物質の排出は、大気汚染を更に悪化させ、 世界的な、とりわけベトナムにおける気候変動に影響を与えている。実際、 発展途上国の中でも、ベトナムは毎年 17~20%増加する二酸化炭素を原因とす る気候変動によって最も悪影響を受けている国の一つである。二酸化炭素排 出は、主に産業部門の中で過度に使用される石炭から生じている。 2.2 非効率的な工業化 多くの工場は、都会から遠く離れた農村地 帯に位置している。しかしながら、そのこ とが、政府や地方行政における、非効率的 な工業管理をもたらしている。何千もの新 しい工場や会社が、時が経つにつれ現れて いる。しかしながら、それらのほとんどは、 工業排水処理を真剣に考慮していない。政 府の専門機関が設定した排水基準を満たしていない場合がほとんどである。 2.2.1 水質汚染 他の多くの農村地帯では、汚染は環境破壊を引き起こすだけではなく、最低 限の水準で生活をしている何百万もの貧しい農民の生活をも脅かす。ここ数 年では、多くの「癌の村」が出現しており、毎年何百もの命が奪われている。 特に、ヴィエッチー省、プートー省中では、Lam Thao Super-Phosphate Chemical Company 社(訳注:過燐酸肥料を扱う企業)から排出された化学物 質が広範囲の地下水を汚染している。水を使う近隣住民は、多くの致命的な 消化系・呼吸器系疾患や癌さえ患った。しかしながら、政府も地方行政も迅 速に介入出来ず、悪質な会社が多くの人に脅威を与えているのを容認してい る。 2 ベトナム 2.2.2 大気汚染 その上、環境意識を持ち合わせない多くの農 民が知らずに、やむなく、彼らの日々の耕作、 収穫、市民活動によって環境汚染を引き起こ している。典型的な例として、紙を生産して いる工芸村のバクニン省フォンケ村では、紙 の生産のために村人が燃やす石炭が発する毒 性物質によって、「死の土地」が、深刻な大気汚染被害を受けている。 地方行政によれば、1,675 の家族の健康が 脅かされており、その 30%が呼吸器系、消 化器系疾患にかかっている。毎日、100 の 生産ラインが石炭を 40,000 トン消費して いる。石炭の煙毒によって、毎年 200 の 深刻な症例が報告されている。これらは 汚れたエネルギーによる環境汚染に対し、 警告を放っている。 ベトナムの農産物から得られる潜在的なバイオマス資源は、毎年約 6,000 万 トンと推定され、それらには、700~750 万トンの米殻、400~450 万トンのバガ ス(訳注:甘しょ搾りかす)、3500~3700 万トンの稲藁、1000~1500 万トンの 木材や廃材、その他 100~150 万トンの物質(繊維、コーヒー殻など)2が含ま れている。しかしながら、毎年農業から生じる副産物量が莫大であるため、 人々は十分に処理をすることが出来ず、それらの潜在的に有用な資源を最も 効率よく使用することが出来ない。農家は普段、作物を耕し、刈り取った後、 2 Asian Development Bank in workshop on climate change and energy of Vietnam in 2009 3 ベトナム 副産物を燃やしている。それゆえ、何百万トンもの二酸化炭素を排出するこ とになる。 4 マレーシア 3.1 1 マレーシア マレーシアは赤道の近くに位置し、南シナ海、スル海、セレベス海、マラッカ海 峡に囲まれている。世界自然保全モニタリングセンターからのデータによると、 マレーシアには 1,671 種の両生類、鳥類、ほ乳類、は虫類が存在する。それらに は、オランウータンやスマトラサイ、マレーバクなども含まれる。これらのうち、 13.9%は固有種で、9.3%は絶滅の危機にさらされている。また、マレーシアでは、 尐なくとも 15,500 種類の維管束植物や世界で最も大きな花であるラフレシアも 見られる。コーラルトライアングルの中に位置されるいくつかの島と共に、約 900 の島があり、マレーシアは事実、天然資源が豊富な国である。しかしながら、 緊急措置をとらなければ、このような環境を、非常に悪化させる懸念がある。以 下、マレーシアの環境問題の例を紹介する。 3.2 森林破壊 国際連合食糧農業機関(FAO)の統計によると、マレーシアの国土の、63.6%が 20,890,000 ヘクタールの森林地帯に覆われている。しかしながら、それらの森 のうち、たった 11.6%しか、本来の姿で残されていないと考えられている。全 体で、2000 年以来マレーシアは、毎年平均で 140,200 ヘクタール(0.65%)ず つ森を失ってきている。 マレーシアの森林の衰退原因は、都市化、農業で使う火、アブラヤシのプランテ ーションのための森林改造、他の形式の農業、などである。森林破壊の 87%の 原因がアブラヤシのプランテーションとされている。急速な森林衰退は、野生生 物、生物多様性のバランスを崩し、気温を上昇させ、湿度を変化させ、大気中の 二酸化炭素の増加と同時に、突発的な洪水を引き起こす。 3.2.1 木材業 木材業では、違法伐採がはびこっており、広範囲な森林破壊を引き起こしている。 木材はサラワクやインドネシアといった遠隔地から伐採され、中国に密輸され、 家具となってヨーロッパやアメリカに輸出される。マレーシア政府は 2007 年に、 新しいリモートセンサー技術を使って、違法伐採をつきとめると宣言したにも関 わらず、関連したニュースは未だ聞こえてこない。机上では、マレーシアは、ア ジアの中でもっとも雤林の保護方針を取っていると言われているが、実際は法律 を強化することができず、伐採はまだ行われている。 3.2.3 過度な経済発展の優先 1990 年代政府は、69,000 ヘクタールの森を流してしまう、大規模な水力発電計 画であるバクンダム計画を取りやめるとした最高裁の決定を覆した。2010 年の 初めは、サバ州東部の豊かな海岸に、別の大規模な発電計画が提案された。地元 の環境団体の反対によって、その計画は廃止されたが、計画の提案者はこの計画 を実施出来る方法を、探っているようだ。 マレーシア 2 図表 3.1 - 1950-2005 年の森林被覆の変化 3.3 野生生物の危機 マレーシアの野生生物は、野生生物取引や持続可能ではない文化慣行のターゲッ トとなってきた。以前より、マレーシアの野生生物は、1972 年の野生生物保護 法によって保護されてきたが、それだけでは十分とは言えず自然保護に関わる機 関は野生生物保護上の問題に直面している。最近になって初めて、2010 年野生 生物保護法と呼ばれる新しい法律が採択された。以下に、カメ、オランウータン、 トラなどの、マレーシアの希尐な野生生物が直面している現状や脅威を示す。 3.3.1 カメ 7 種類のウミガメのうち4種類(オサガメ、ミドリガメ、タイマイ、ヒメウミガ メ)は、マレーシアで見ることができる。サバ州を除くと、カメの営巣は、マレ ーシアにおいて減尐傾向である。最も激しい減尐は、トレンガヌ州のオサガメ、 タイマイ、ヒメガメに見られる。入手可能な記録が示すところによると、オサガ メの営巣数は 1950 年初期には 10,000 から、近年の 12 未満へと急激に落ちてい る。 マレーシア 3 図表 3.2 - トレンガヌ州におけるオサガメ営巣数の推移 カメの生息数の連続的な減尐の原因は、卵の奪取である。卵の消費とは別に、カ メは、生息地の破壊や減尐、違法な密猟、漁業の網、などの脅威にも直面してい る。国際自然保護連合(IUCN)によると、カメは絶滅危惧種としてリストに挙げ られているにも関わらず、マレーシアでは完全に保護されていない。2010 年の 初め、世界マレーシア自然基金は、カメを守る包括的な法律を強めるよう政府に 求める趣意書を提出するため、連邦政府にアプローチした。しかしながら、マレ ーシアの法律的観点に立つと、カメに関する司法権は連邦国憲法ではなく州の法 律に属するため、難しいという。連邦政府が包括的な法律を制定できるよう、連 邦国憲法の修正が求められる。 3.3.2 オランウータン オランウータンは、インドネシアとマレーシアのみに生息し、北スマトラやボル ネオの低地雤林で見られる。オランウータン保護団体によると、野生のオランウ ータンはたった 54,000 匹のボルネオオランウータンと 6,600 匹のスマトラオラ ンウータンしか生息していない。 オランウータン生息数の減尐は、彼らが直面している様々な脅威によって引き起 こされている。例えば、農業目的の森林伐採による生息地の消失や、木材業にお ける違法な商業伐採、森林のプランテーションへの転換を含む。違法伐採により 森林が消滅すると、以前は新入できなかった地帯でのオランウータン密猟も促す こととなる。オランウータンは森林の消失に伴い、生息地と食べ物を失う。また、 これとは別に、違法なペットトレードや密漁も存在する。 3.3.3 トラ マレーシアには、490 のマレートラがマレーシア半島の森林に生息している。オ ランウータン同様、トラも森林破壊の脅威に直面している。森林破壊は、食べ物 と生息地を奪っている。自然の生息地の縮小により、人間との遭遇が、ここ数年 で増加している。人間が住む場所に侵入し、家畜や時には人間でさえも殺すトラ マレーシア 4 が報告されてきた。その報復に、トラは怒った村人に殺されるか、捕まえられ、 動物園に入れられる。 森林破壊とは別に、トラは密猟の脅威にも直面している。トラは壁や床を覆う装 飾品のようなステータスシンボルや珍しいお土産、また伝統的なアジアの薬の材 料を得るために、捕まえられてきた。トラはまた、中国等の大きな市場に骨、肉、 他の体の部分を密輸するためにも殺される。違法な狩猟、取引に対応するための マレーシア国家トラ保護行動計画及び新法にも関わらず、マレーシアトラは減尐 し続けている。 3.4 廃棄物管理 2,600 万人のマレーシア人が排出する年間廃棄物総量は、個人が 1 日 1.2kg のゴ ミを生み出すのに伴い、約 9,500 万トンにも及ぶ。現在、廃棄物は埋立てまたは 焼却処理されるマレーシアは廃棄物管理に、毎年 10 億リンギット費やしている。 231 の埋立地があるが、111 の埋立地が操業していない。 3.4.1 リサイクル 2000 年のリサイクルプログラムの実行と促進のための政府の厳しい努力にも関 わらず、現在のマレーシアのリサイクル率はたったの 5%にしかすぎず、それは 東南アジアの隣国よりも低い水準である。2010 年の中頃、連邦政府はリサイク ル率を 5%から 50%に促進するために動きを見せた。 地元のリサイクルプラスチック産業の会社は、マレーシアで、再加工するための 分別済みのプラスチック廃棄物の収集が難しいということを訴えてきた。実際、 この会社は、プラスチック廃棄物を加工する前に、遠く離れた中国から分別済み のプラスチック廃棄物を輸送しなければならなかった。そして再加工されたプラ スチック廃棄物は発展途上国よりも環境意識が人々の中で高まっているヨーロパ の国々に販売されるのである。 3.4.2 貧弱な廃棄物管理システム マレーシアのいくつかの島では、道路や他のインフラがあまり発展していないた め、廃棄物管理は島の人口が増えれば増える程、複雑化している。東海岸のサバ 州では、政府が違法移住地の移民に、廃棄物管理システムを提供しないため、彼 らはよく海中に廃棄物を投棄している。 3.5 海洋生態系の破壊 マレーシアは、湿地や、サンゴ礁で縁取られたマングローブなど、多様な海洋生 態系を有している。マレーシアの海洋生態系に影響を与える重要な問題として、 次のような問題点が挙げられる。 マレーシア 5 3.5.1 堆泥 森林破壊が進行した裸地では、雤が降ると、沈泥が川や海に流出してしまう。す ると、水の透明性が低下し、太陽光が必要な水中生物の生息が脅威にさらされる。 サンゴ礁に覆われた沿岸地域では、沈泥がサンゴを覆い、窒息させてしまう。こ れは、サンゴが彼らの中に住む褐虫藻と呼ばれる植物プランクトンと共生する動 物であるために生じる。褐虫藻は、彼ら自身とサンゴに食物を作り出すために、 太陽光に頼っているのだ。サンゴ礁は、多くの海洋生物にとって重要な生息地で あり、多くの深海魚にとっても子供を育てる場所として機能しているので、ドミ ノ効果として、最終的には魚類の生息数にも影響を与えることとなる。 3.5.2 工業、農業による汚染 海に流れ込む農業廃棄物により水域の富栄養化が進行している。そのため、マレ ーシアの沿岸では度々、有害藻類の異常発生が起こり、特定の海洋生物及び汚染 された海洋生物を食べた人間の死をも引き起こす。また、富栄養化が進むと、糸 状体の緑藻も増加する。これらの藻は健康なサンゴを覆い窒息させてしまうだけ でなく、サンゴ礫も覆い、サンゴ幼生の着床や育成を阻む。 3.5.3 破壊的な漁業 マレーシア半島では、最も破壊的な漁法は、曳網を使ったものだ。曳網漁法では、 海底を引き回して魚を捕るが、同時に、復元するのに長い時間がかかる海のベッ ドを破壊することにもなる。また、時々漁師は網をサンゴ礁にかけ、網が鋭いサ ンゴに引っかかってしまうと、力づくで網を引き上げるため、サンゴ礁が破壊さ れる。網が引き上げられない場合、漁師は緩んだ網を切るだろう。その網は永遠 に海中を漂い、カメのような海洋生物を捕まえ、殺してしまう。この現象は「ゴ ーストフィッシング」とも呼ばれている。サバ州では、爆破漁やシアン化漁法は 常識である。爆破漁はとても破壊的な漁法で、いくらかの化学肥料、ガラスのボ トル、ヒューズを使用する。この自家製のダイナマイトは 5 ㎥もの広さを一掃す る。ダイナマイトによって引き起こされる爆音、振動は魚に衝撃を与える。ダイ ナマイトの点火で、全ての魚は死に、海面に浮かびあがる。そして漁師はただ死 骸を海面から集めるだけで良いのだ。シアン化漁法では、シアン化物をサンゴ礁 の上に吹きかけ、毒によって気絶させられた魚は狭い隠れた場所から浮かび上が ってくる。この方法は普通、生きたまま取引することが重要となるような、水族 館や鮮魚取引に使われる。 3.5.4 観光開発:建設、運営、野生生物生息地の侵害、ゴミのポイ捨て、物的 損害 島及び沿岸地域の観光開発は、海洋生態系の破壊をも引き起こしている。ホテル やリゾート建設は、沿岸の水へ沈泥が流入することを引き起こす。ホテルやリゾ ートの管理者は適切な汚染管理や下水処理などを見逃す傾向にある。 マレーシア 6 観光施設はまた島や沿岸地域の景観も変えた。防波堤などの建造物は時々地下水 の流れを変え、ビーチの浸食や堆積などにつながる。島に導入されたスピードボ ートは、鋭いスクリュープロペラで近くを泳ぐ海洋生物を傷つける。 島や沿岸地域の開発は、ウミガメの産卵にも悪影響を与える。ウミガメに出会っ て興奮した旅行客がウミガメの産卵を邪魔する。中には、陸上でカメに乗ったり、 海の中までカメを追いかけたりする旅行者もいる。この希尐な生物を見ようとい う観光客の需要に対応するために、地元の人は孵化したばかりのカメでさえ捕ま え、観光客に見せ、お金を儲ける。ゴミもまた海を汚し、海洋生物の命を奪う。 マレーシアのビーチで最も一般的なゴミは、タバコ、ペットボトル、空き缶、包 装紙などだ。いくつかの場所では、ゴミを捨てることは、良い慣行を持ち合わせ ずに育った島民の習慣となっている。環境に対する意識や責任感が低い観光客の 中にもゴミを捨てる人がいる。サンゴに対する理解が低い観光客は、岩との区別 がつかず、シュノーケリング中にサンゴを壊したり、サンゴの上に立ったりする。 中性浮力が取れない初心者ダイバーも、サンゴ礁を乗っかったり、水中で発見し た生物を触ったり、傷つけたりすることがある。 3.6 貧弱な資源管理 マレーシアでは、決定権が非常に多くの政府機関に対して横断して与えられてお り、包括的な環境政策の実施を難しくしている。連邦政府は健康、教育、安全、 外交、財政等の統治権を持つ一方、は土地、宗教、地方行政、農業、森林等に関 する統治権を有するのは州政府である。 3.6.1 ステークホルダーとの対話の欠如 地域によっては、ステークホルダーとの対話がないまま、開発・管理が実行され ることがある。地元のステークホルダーは、新しく任名された資源管理担当官よ りも特定の分野での経験を豊富に持っているため、どのようにその地域が発展す べきか、どのように資源が管理されるべきかをより的確に理解している。もし役 人が、彼らの貴重な意見を聞くことに時間をかければ、国や州の資金を有効活用 し、資源管理についてより望ましい決定が出来るだろう。 3.6.2 汚職 汚職は政府機関や公共機関に蔓延している主要な問題である。これは才能ある 人々が仕事を行うことを妨げ、怠け者を責務に対し無責任で放漫な状態に留まら せ続ける。警官によって逮捕された犯罪者は、警官を収賄することで、罪から逃 れることもある。これは、犯罪者を何度も犯罪に走らせ、法律を破らせると共に、 潜在的な犯罪者が犯罪者としての第一歩を踏み出す助けとなる。 マレーシア 3.6.3 コミュニケーションの欠如 政策の有効性を確かなものにするにするためには、市民に政策について教育する ことが必要である。しかしながら、市民は多くの場合、これらの環境政策を認識 できていない。例えば、マレーシア半島の東海岸の海洋保護地区では、観光客は 島で禁止されている行動について、充分に伝えられていない。海洋保護地区の職 員のコミュニケーションスキルが乏しかったので、大切なメッセージが観光客に 伝わらなかった。地元民と海洋保護地区の職員の間の不十分なコミュニケーショ ンは、島民間に悪い関係を生み出すことにつながる。もしも、海洋保護地区の職 員と地元民がもっと頻繁にコミュニケーションをし、お互いの役割をより理解す れば、お互いにもっと利益を得ることができる。 問題のまとめ 以上をまとめると、マレーシアが直面している環境問題は、森林破壊、野生生物 の危機、廃棄物管理、海洋生態系の破壊である。これらの問題に対処するために 必要な変化の一つは、これらの問題を扱うために存在している現行の法律の強化 である。管理資源は地元のステークホルダーとの対話をもとにし、改善されるべ きである。NGO や政府部門などは、市民の関心を環境に向けるために、市民に対 する環境教育・情報発信を継続する必要がある。加えて、賄賂が義務から人々の 目を背けさせ、法律を破る人が環境を破壊し続けることを容認することの要因と なるので、政府部門の中の職員や国立公園のレンジャーの態度もまた変えていく べきである。セミナーや会議を通じて、適切な倫理観をこれらの人々に浸透させ て行くべきである。 7 日本 4.1 日本 日本では、1950 年から 1970 年代の間の経済成長期には、公害病の原因である水 質汚染や大気汚染が問題となっていた。しかしながら、公害病の多くの原因であ る水や大気に関する問題はかつてよりは大分緩和された。現在の日本における大 きな問題は、二酸化炭素を初めとする温室効果ガスの排出である。 4.2 温室効果ガス排出 2008 年時点で、日本は年間で CO2 を約 12 億 1400 万トン排出した。これは、 世界全体の二酸化炭素排出量の約 4.2%であり、世界で 5 番目に多く二酸化炭素 を排出している。京都議定書基準年である 1990 年から現状を見ると、2008 年は リーマンショックの影響から落ち込んだものの、基本的には増加傾向である。 (図 4-1 参照) 図表 4.1 - 独立行政法人国立環境研究所「日本の温室効果ガス排出量データ (1990~2008 年度)確定値」Sheet 1.Total 部門別でみると、最も多く排出しているのは産業部門で、全体の 39.49%とな っている。続いて運輸部門は 22.20%、業務その他部門は 22.17%、家庭部門は 16.13%となっている。(図 4-2) 1 日本 図表 4.2 - 独立行政法人国立環境研究所「日本の温室効果ガス排出量データ (1990~2008 年度)確定値」Sheet 4.Allocated CO2-Sector 京都議定書に基づき、日本は温室効果ガスを 2012 年までの間に、1990 年比で 6% 削減する目標を持っている。仮に達成出来なかった場合は、2013 年以降の削減 目標にペナルティが課されるなど罰則の適用を受ける可能性がある。しかしなが ら、2007 年の国内の温室効果ガス排出量は、基準年に対して、9.0%上回ってお り、目標に対しては、15%の削減を強いられることとなる。 4.2 日本政府による温室効果ガス削減努力 2009 年 9 月の国連気候変動サミットで、鳩山政権によって低炭素社会に向けて 強い方向性が示された。2020 年までに 1990 年比で 25%の削減をし、2050 年まで に 1990 年比で 80%の削減をするという目標である。2020 年までの目標は、それ 2 日本 以前に発表されていた 1990 年比で 8%削減という目標の約 3 倍である。この目標 に向け、今後は下記の取り組みを実施していく。 ・ キャップアンドトレード方式による実効ある国内排出権取引市場を創設 する。 ・ 地球温暖化対策税の導入を検討する。 ・ 家電製品の供給・販売に際して CO2 排出に関する情報を通知するなど、「CO2 の見える化」を推進する。 ・ 全量買い取り方式の再生可能エネルギーに対する固定買い取り制度を創設 すると共に、効率的なスマートグリッドの技術開発・普及を促進する。 ・ 住宅用などの太陽光パネル、環境対応車、省エネ家電などの購入を助成する ・ 世界をリードする燃料電池、超伝導、バイオマスなどの環境技術の研究開 発・実用化を進める。 ・ 新エネルギー・省エネルギー技術を活用し、イノベーションなどによる新産 業を育成する。 ・ リフォームを最重点に位置付け、バリアフリー改修、耐震補強改修、太陽光 パネルや断熱材設置などの省エネルギー改修工事を支援する。 ・ レアメタルなどの安定確保に向けた体制を確立し、再利用システムの構築や 資源国との外交を深める。 もし上記の行動が実際に行われれば、日本は世界を低炭素か社会に導く役割を果 たせるかもしれない。温室効果ガスを初めとする環境問題の解決には、大量の温 室効果ガスを排出している国が積極的な行動をとっていくことが必要とされるの で、これら行動が実行される事を願う。 【参考 URL】 ●民主党マニフェスト(2010 年 10 月 14 日) URL: http://www.dpj.or.jp/policy/manifesto/seisaku2009/index.html#19 ●独立行政法人国立環境研究所(2010 年 10 月 14 日) URL: http://www-gio.nies.go.jp/aboutghg/nir/nir-j.html ●全国地球温暖化防止活動推進センター URL: http://www.jccca.org/trend_japan/government/gov01.html 3 フィリピン 5.1 フィリピン フィリピン世界の中でも最も多様な生態系を誇る国の一つであると考えられてい る。約 13,000種類の植物、尐なくとも 1,000 種類の陸上脊椎動物、5,000 種類 近い水中植物・動物がフィリピンには生息している。3フィリピンの野生生物の かなり多くは固有種である。2、3例を挙げれば、メガネザル、有名なフィリピ ンワシ、小さな淡水魚パンダカ・ピグミアなどである。 フィリピンは 7,017 の島から構成されており、世界でも有数の、長く連続した海 岸線があり、これはカナダとインドネシアの次にあたる。コーラルトライアング ルの中に位置する、この地理的特徴は海洋環境を豊かなものとしている。 5.2 環境の脅威 フィリピンの島々の疑いようもない美しさにも関わらず、残念ながら現実には保 護のための施策と結びついていない。フィリピンの環境状態は、「発展」と名の つく数々の行いにより、危機にさらされている。 フィリピンの環境生態系の荒廃を導いている要因を、一つに特定することは難し く、本質的に複雑に絡み合っている。以下の段落では、資料に限りがあり状況が 複雑であることから、全てを網羅して述べることは出来ないが、国の環境の状態 についての概要は示すことを試みる。以下は、フィリピンが直面している最も重 大な問題の例である。 5.3 気候変動 気候変動は世界的な問題であり、特定の地域に限られるものではない。しかしな がら、この現象がもたらす影響には様々なレベルがある。 多くの島国のように、フィリピンは、自然、経済、社会的な側面において、気候 変動の被害を受けやすい。海面上昇を導く気温上昇は、多くの海岸沿いの村に影 響を与える。海洋性気候の変化によって起こる、海洋生態系のバランス欠如は、 最終的には食料供給に影響を与えるサンゴ礁の白化のような複雑な連鎖を招く。 WWF によると、9,200 万人のフィリピン人が沿岸地域から 100 キロ範囲内に住ん でおり、その約半数が生計を海に頼っている。漁師は国の農業生産の 20%を供 給しており、毎年 11.8 億ドルの収入に及んでいる。海産物が減尐すると、様々 な社会層における多数の人々が財政的、そして食糧源という意味において影響を 受けるだろう。 3 “Philippine Biodiversity.” Philippine Sustainable Development Network. <http://www.psdn.org.ph/nbsap/main.html>. 29 Sept. 2010. 1 フィリピン また、地球温暖化は天気パターンの変化も引き起こしている。下表は、気候変動 の結果により生じたと考えられている台風によって引き起こされた被害を示して いる。インフラ被害は、官民両セクターにおいて大きな問題を引き起こすおそれ がある。 図表 5.1 –台風の強度別の損害4 下表は、フィリピンの雤期と乾期の状態を推測している。色の濃い部分はリスク の強さを表している。図 2 は地球温暖化の結果として干ばつが起こる可能性を示 している。水不足の可能性が大変高い地域であるミンダナオは、フィリピンのフ ルーツが採れる中心地と考えられている。図 3 は、大規模な嵐の増加により、最 も脅威にさらされている地域を示している。最も影響を受けるのは、国の中でも 米が多く採れる地域である。米はフィリピンの主要な食料である。その上、その 地域は、首都近くの豊富な水源も抱えている。 4 http://siteresources.worldbank.org/INTPHILIPPINES/Resources/PhilippineCEACC1July.pdf 2 フィリピン 3 図表 5.3- 台風のリスク5 図表 5.2- エルニーニョのリスク \ 以上は、気候変動によってもたらされる影響のうちのほんの一部である。気候変 動が転覆点に達したら、フィリピンと似通った国々では同じような状態が現実と なるであろう。一方で、影響を受けにくい国は、大規模な移民の受け入れを経験 するだろう。 5.3 人口増加 5 年以内にフィリピンの人口は1億人に到達すると推測されている。住民数の増 加は、天然資源の入手可能性に影響を与える。これは需供チェーンに影響を与え、 結果として、入手可能なものをあるだけ搾取される結果となるのが通例である。 フィリピンでは、人口増加は一般的に人口密度の問題を引き起こす。より良い生 活環境が整っているように見えるコミュニティーに、規制無しで人々が集まると 共に、空間、栄養、健康サービス、他の同様のニーズをかなえることは難しくな り、結果として病気の激増や他の種類の健康、社会問題を引き起こす。 5 出典: Manila Observatory and the Department of Environment and Natural Resources フィリピン 4 以下のデータは、国内人口の規則的な成長を予測している。 図表 5.4 – フィリピンの 5 年毎の性別人口予測: 2000-20406 5.3 都市化と土地保全 発展とグローバル化の傾向を追う中で、フィリピンでは、都市化と資本投資が優 先され、環境の持続可能性については最低限の配慮しか払われてこなかった。環 境への配慮にはコストがかかるとの連想から、多くの企業は環境対応を怠ってき た。例として、マニラの主要な運河の一つであるパシッグ川沿いの工場が挙げら れる。調査結果によると、川の汚染の 45%は、産業汚染であるが分かっている。 7 さらに、より良い住環境を求めて、多くの人々は都市に集まるようになり都市の 環境汚染が進んだ。2002 年の研究によると、首都に拠点を置く企業の 75%が、車 両数が増えたにより、大気汚染に影響を与えていることが明らかになった。同様 に、家庭から排出される固形廃棄物処理努力がなされている一方、下水処理の 90%は未整備である。国内人口のわずか 10%しか、適切な排水施設にアクセス出 来ないのだ。8 同様に、多くの農地も経済的に利益が出ると考えられる形に変えられた。都市が 拡大するにつれ、森林地帯も牧草地や、分譲地、材木のための土地に変化した。 6 7 出典: National Statistics Office Helmer, Richard and Ivanildo Hespanhol. “Water Pollution Control – A Guide to Use of Water Quality Management Principles.” UNEP, 1997. 8 “Philippine Environmental Situation 2009.” Kalikasan. 9 Oct 2010. フィリピン 9 これは、多様な動植物のみならず、人々のコミュニティーの転換をも引き起こ した。 国際自然保護連合(IUCN)による最新のレッドリストでは、フィリピンの動植物 697 種類が絶滅危惧種に指定されている。そのうち、475 種類の動物が「絶滅危 惧 IA 類」「絶滅危惧 IB 類」「絶滅危惧 II 類」に指定されている。 図表 5.5 - IUCN 統計:国別の絶滅危惧種(生物群別) 図表 5.6 - IUCN レッドリスト:国別、カテゴリー別統計値(動物種) 動植物の種の喪失は自然の食物連鎖を変えてしまう。このデリケートな循環の中 のささいな崩壊でさえ、食料の選択肢を減らし、争いを激化させる。また、コミ ュニティーの移動は、既に起きている人口過多に拍車をかける。 9 <http://www.kalikasan.org/cms/?q=node/302> 5 フィリピン 6 5.4 実行可能な解決策 上記に示した環境に対する脅威は、健康リスク、移住、食料危機のみならず、 様々な結果を引き起こしている。残念ながら、この問題は対する迅速な解決策は ない。自然は再生力を有しているものの、人間が自然の循環に与えてきた影響を 考慮すれば、当事者である人間による介入が必要である。 不規則な天候パターンや異常気象の頻発により、国民で環境意識が高まると共に、 自然への脅威を排除するような多くの市民組織が確立された。しかし、応用でき る手段や入手できるデータの限界により、一握りの人々しか、有効かつ必要な変 化を引き起こすことが出来ない。依然、ごくわずかの人々しか情報は行きわたっ ていない。専門家は環境を守ることは全ての人の責任であると繰り返し言ってき た。環境の脅威と戦うための鍵は、教育である。人々が地球に与える影響を、全 ての人々の理解してもらうために、意識を高めることは大変重要である。地球科 学、カーボンフットプリント、緩和、適応などのトピックを含む科目は教育課程 の中に含まれるべきである。 教育とあわせて、包括的な法律も必要である。環境問題の重要性と緊急性を立証 するためには、契約が有効である。それはまたルールを守る人への賞賛システム、 及びチェック&バランス機能として役に立つ。 上記の解決策は我々の世界を守るための多くのアプローチのうちのたったの 2 つ にしかすぎない。環境を守ることは、我々のライフスタイルの全て見直すことで はなく、むしろ我々の選択を再考することなのである。 タイ 1 6.1 タイ タイは高い人口密度の国であり、6,400 万の人々が住んでいる。東南アジアの中 で、急速に台頭している経済圏であり、1985 年から 1995 年にかけて、急速な経 済成長を遂げた。タイが経済的に成長するにつれ、新しい種類の環境課題に直面 している。環境課題のうちの一つは、地上での活動から生じる水質汚染であり、 それは都市化、産業化、農業活動に大きく関連している。汚染の主な原因は家庭 排水、産業廃棄物、農業廃棄物である。 6.2 水質汚染 水質問題を引き起こす主な汚染物は、有機廃棄物、バクテリア、養分、重金属、 殺虫剤、その他の科学物質である。この国の主要な川にて観察される水質問題は、 酸素減尐、魚の死、高濃度のアンモニウム硝酸塩、高濃度の大腸菌バクテリア、 富栄養化の減尐に分解される。計測された川の水質は地表水の基準・分類によっ て定められた基準よりも低いよ。主要な水質問題は、高濃度の大腸菌バクテリア (36%)、低い溶存酸素(DO34%)、高濃度の有機物(BOD18%)、栄養塩 (12%)である。 FCB = 大腸菌 TUR =懸濁物質 DO =溶存酸素 TS =蒸発残留物 TP =リン総量 BOD=生物化学的酸素要求量 公害管理局は、タイの 25 の河川域の水質管理のため の計画を発展させてきた。 水質管理計画の中で、主要な流域で主に排水処理を含む計画が実行された。工業 排水、農業排水処理と同様に、地方自治体の中に排水処理施設の建設が優先提案 された。 タイ 2 6.2.1 水質管理 タイ政府によって採択された水質汚染管理計画には、下記の施策が含まれている。 ● ● ● ● ● ● ● ● 排水処理 廃棄の最小化 クリーナープロダクション 法律的枠組み 組織的、財政的調整 監視と執行の強化 関係機関、地域コミュニティーとの協力 河川流域管理アプローチ 6.3 大気汚染 タイでは、都市部における環境汚染が主要な問題と考えられている。多くの環境 問題、特に大気汚染は、道路渋滞により生じる交通事情が原因となっている。タ イでは、大量のエネルギーが主に輸送部門で消費されている。(図表 6.1) 図表 6.1 - 産業界におけるエネルギー需要(単位: MTOE) 6.4 公害管理対策 環境問題に対応するため、政府はいくつかの効果的な公害管理対策を導入した。 その方法は、排出ガス管理のみならず、燃料や車両仕様の改善、現状利用されて いる車両の点検・修理プログラム、大量輸送システム、渋滞管理などの実行を目 的としている。車両からの排出を減らすための方法は、燃料の改質、排出基準、 調査、修理プログラムを含む。 タイ 6.4.1 燃料の改質 燃料の改質はガソリンとディーゼルの2種類に分類される。 自動車用ガソリンの改質 ガソリン改質の概要は以下の通りである。 −1996 年 1 月 1 日より、タイでは加鉛ガソリンは使用できない。 −ベンゼン含有量は、3.5 体積%以下とする。 −芳香剤含有量は 35 体積%以下とする。 自動車用ディーゼルの改質 ディーゼル改質の概要は以下の通りである。 −硫黄含有量は 1 重量%から 0.5 重量%に減尐。 −ディーゼルの 90 容積%は、蒸留温度を 370℃から 357℃に低下。 6.4.2 排出基準 タイでは、新しい車両に対する排出基準が 1995 年に制定された。(図表 6.2) オートバイを除く車両の排出基準の大部分は、ヨーロッパの基準から採用されて いる。 図表 6.2 - 新しい車両に対する排出基準 3 タイ 6.4.3 点検、修理プログラム 使用中の車両が点検に合格するためには、排出基準を満たしている必要がある。 現在の分散化された使用中車両向け点検・修理プログラムは効率的でないと批判 を受けている。その理由は、認定を受けた民間の点検センターや自動車修理工場 でも修理を行うことが許可されているからである。この点検の流れには疑問点が 多い。このプログラムに対する評価が近く行われ、効率性を高めるための改良が 行われることとなっている。 6.4.4 その他の施策 最近では、次のような公害管理施策が施工されている。 −天然ガス、LPG、電気、バイオディーゼル、バイオエタノールのような代替燃料 −自動車の相乗り、自動車に乗らない日、歩く日などの公式キャンペーン −環境に配慮した乗り物や燃料の使用を促すための税金罰則やインセンティブ −中古エンジンの使用の規制 −バス車両に対する特別な点検、修理 6.5 有害廃棄物 タイは、多様な化学物質を輸入し、直接的な使用のみならず、石油製品、産業化 学物質、化学肥料、殺虫剤、化学消費材などの付加価値製品の生産に使用してい る。図表 6.3 に見られるように、化学物質の輸入、製造、使用が増えている。 図表 6.3 – 輸入および国内生産化学物質量10 10 出典: Customs Department (www.customs.go.th) 4 タイ 6.5.1 環境への影響 このような化学製品の輸入・地域生産の結果として、次のような問題が生じてい る。 ● 産業からの毒性の化学物質と廃棄物の排出 ● 水、大気、土壌汚染 ● 処理システム未整備による危機的な汚染の増加 ● 不法投棄 ● 化学物質による事故(倉庫火災や交通事故時の化学物質の流出など) ● 穀物や食料の中に残留している殺虫剤による汚染 ● 化学物質による日常または職業上の健康被害 ● 不十分な処理システム ● ライフサイクルアプローチによる有毒化学物質、有害廃棄物基準、ガイダン ス、ガイドラインが効果的に実行されていない ● 有毒化学物質、有害廃棄物管理への官民セクターからの関与不足 6.5.2 毒性化学物質と有害廃棄物の管理アプローチ 下記はタイにおける有害物質、有害廃棄物管理に採用されているアプローチであ る ● 農薬使用の減尐と使用禁止化学物質の違法輸入の管理の促進 ● GMP、IPM、グリーンサプライチェーンの促進 ● 産業における BAT/BEP(鋼鉄プラント、火葬、石油を燃やしての使用、産業 的なボイラー)の促進 ● 経済的システムの導入(排出権取引、預け入れ、払い戻しシステム、廃棄物 交換 ● 廃棄物回収を担う地域行政向けのキャパシティー・ビルディング ● HS、HW の環境中の違法放出に関する監視、レポートを担う、地域ネットワー ク、市民社会、公共•ボランティアグループの支援促進 ● ウェブサイト、アニュアルレポート、報告書、出版物を通じて、化学物質の 危険、管理に対する一般市民の認知向上 ● 化学災害の予防と防止 ● 有害物質や有害廃棄物の輸送における「マニフェストシステム」の促進 ● 有害物質、有害廃棄物に関連する多角的環境条約(ロッテルダム条約、スト ックホルム条約、バーゼル条約、SAICM)の実施 ● 国際基準に沿った有害物質、有害廃棄物の管理の効率の向上 5 タイ 7.1 シンガポール シンガポールはアジアで2番目に小さな国で、国土は 693 平方キロメートルであ る。2005 年の国勢調査によれば、シンガポールの人口は 448 万人と人口密度が 高い。シンガポールはその良好な環境状態から、グリーンシティとして知られて いる。1965 年の独立以来、政府は環境保全をサポートする多くの法案を成立さ せてきた。現在、シンガポールには環境を守る 3 つの環境機関がある。 国家環境庁(NEA)は、シンガポールの資源を汚染から守り、市民の健康を高い レベルで保っている。また、NEA は現在と将来の世代のために、持続可能な発展 や生活環境の質を保障するために努力している。111995 年に設立されたシンガポ ール環境協議会(SEC)は、独立した、非営利、非政府、公共の性質を有する機 関であり、シンガポールの中の環境への取り組みを育成、促進、調整する役割を 担っている。SEC は、教育的、市民的、産業的アプローチを通じて、一般市民に 影響を与えている。12環境・水資源省(MEWR)はシンガポールに質の高い生活環 境を与え、短いスパンでは良い環境パフォーマンスを保つことを、長いスパンで は環境の持続可能性を得ることを狙っている。MEWR は、産民官 3 セクターを横 断する活気に満ちたパートナーシップや協力、イノベーションを通じて、シンガ ポールの限られた資源を管理し、環境の持続可能性に対応している。13 7.2 環境問題 シンガポールは公害問題をほとんど抱えておらず、地域の中で、高い水準の環境 の清潔さを賞賛されている。グリーンキャンペーンの積極的な促進は、シンガポ ールのグリーンムーブメントを支援する多くの社会の革命を起こした。教育機関 における環境教育は7歳児のカリキュラムから組み込まれている。この分野にお けるシンガポールの業績は、議会が施行した慎重な政策と環境団体の共同の努力 によって達成された。しかしながら、そのような最適な官僚体制が、環境保全に おける政府への過度な依存を招いてきた。人々に、現在異なる環境団体の間で共 通の目標となっているのが、市民に対して環境への責任を再認識させることであ る。 11 National Environmental Agency Site. 08 May 2008. Web. 25 Oct. 2010. <http://app2.nea.gov.sg/aboutus.aspx>. 12 ": About Us." Singapore Environment Council. 2010. Web. 24 Oct. 2010. <http://www.sec.org.sg/about>. 13 "MEWR - Our History." Ministry of the Environment and Water Resources, Singapore. 02 June 2008. Web. 25 Oct. 2010. <http://app.mewr.gov.sg/web/Contents/Contents.aspx?ContId=2>. 6 シンガポール 7.3 陸上での問題点 下記図表 7.1 を見ると、廃棄物の総排出量は、2007 年から 2009 年の間に 9.11% 増えた。この一因はシンガポールの消費主義から生じた。埋立地の寿命は、2007 年の 35−40 年から 2009 年の 35−45 年に延びたが、この増加は、地域における廃 棄物リサイクルの努力によるものであり、リサイクルされた廃棄物量は、2007 年の 54%から 2009 年の 57%に増加した。このことが示しているのは、埋立地の寿 命は主に個人のリサイクル努力に依存する。これは、長い目で見た場合、シンガ ポールにおける廃棄物処理問題を緩和するために必要なことである。 図表 7.1- 2007 - 2009 年における固形廃棄物管理に関する一般的統計 固形廃棄物処理 単位 2007 2008 2009 廃棄物排出総量 1 百万トン/年 5.60 5.97 6.11 廃棄物リサイクル総量 百万トン/年 (%) 3.03 (54%) 3.34 (56%) 3.48 (57%) 廃棄物焼却総量 百万トン/年 (%) 2.38 (43%) 2.45 (41%) 2.48 (41%) 廃棄物埋立総量 2 百万トン/年 (%) 0.19 (3%) 0.18 (3%) 0.15 (2%) 一般廃棄物総量 百万トン/年 1.50 1.48 1.52 一人当たり一般廃棄物量 kg/日/人 0.88 0.84 0.84 産業廃棄物・その他廃棄物の総量 百万トン/年 1.07 1.14 1.11 焼却に伴う使用エネルギー総量 MWh 974,945 1,048,072 1,064,956 埋立地の寿命 3 年 35-40 35-40 35-45 1 廃棄物排出総量 = 廃棄物リサイクル総量 + 廃棄物焼却総量+ 廃棄物埋立総量 廃棄物埋立総量には、不燃廃棄物(建設・解体に伴う廃棄物、使用済スラグ、処理済 スラッジ)が含まれており、焼却時の廃棄物(焼却灰)は含まれていない。 3 セマカウ埋立地の建設当時からの寿命を元に算出, i.e. 1999 2 シンガポールにおいて、デング熱は主要な問題である。シンガポールは人口密度 が高いため、デング熱の処置を誤ると、広範囲に拡散させてしまう恐れがある。 幸運なことに、NEA による積極的な活動や市民の協力と共に、デング熱は 2007 年から 2009 年の間に 53.5%減尐した。(表 7.2 参照)デング熱に関して、市民 教育を続けることは大変重要である。 2 シンガポール 食料衛生はシンガポールの新たな問題となっている。図表 7.2 が示すように、シ ンガポールでは、外食店舗 1,000 件あたりの食中毒発生率が急増している。これ は、食料衛生に関する市民教育を通じたニーズを示しており、また、清潔レベル A を達成する店が増えている一方で、食中毒発生率が増えているという矛盾を調 査する必要があるかもしれない。 図表 7.2 – 2007-2009 年におけるシンガポールのベクター管理数及び 衛生、食品衛生 に関する調査 a ベクター管理 2007 2008 2009 域内の 100,000 人当たりデング症例数 (DF ・DHF) 180.6 137.04 83.9 衛生及び食品衛生 2007 2008 2009 外食店舗 1,000 店当たりの食中毒発生 数 2.64 3.5 5.4 許可を受けた外食店舗数 30,494 31,033 32,597 外食店のグレード 1, 3 - Grade A (% of total) - Grade B (% of total) - Grade C (% of total) - Grade D (% of total) 3,293 (47%) 3,279 (46%) 485 (7%) 5 (0.07%) 3,843 (50%) 3,391 (44%) 465 (6%) 11 (0.14%) 5,143 (52%) 4,395 (44%) 442 (4%) 1 (0.01%) 屋台のグレード 2,3 - Grade A (% of total) - Grade B (% of total) - Grade C (% of total) - Grade D (% of total) 4,319 (24%) 8,873 (50%) 4,625 (26%) 2 (0.01%) 4,356 (24%) 9,977 (56%) 3,438 (19%) 9 (0.05%) 5,455 (25%) 13,948 (63%) 2,734 (12%) 4 (0.02%) 1 2 3 4 外食店にはフードコートやレストランが含まれる。 屋台には政府の市場センターや民間の食事施設が含まれる。 パーセント数値の合計が 100%にならないのは、四捨五入による。 これは以前の出版物で推定値として発表された数値の更新値である。 3 シンガポール 7.4 水 図表 7.3 が示す通り、シンガポールは適切に管理された供給体制により、水の安 全水準を保っている。 図表 7.3 –2007 -2009 年におけるシンガポールの水資源管理 水資源管理 単位 2007 2008 2009 飲料水の普及率 1 % 普及率 100 100 100 衛生状況の改善 2 % 普及率 100 100 100 WHO の飲料水基準への適合試験結果 % 100 100 100 下水道 1,000 km 当たりの 下水道障 害数 - 21 194 17 水害常襲地帯 3 ヘクタール 984 794 67 シンガポールの貯水槽数 - 14 15 15 シンガポールの飲料水販売量 - 国産 - 輸入 Mil m3 Mil m3 264.2 191.3 271.4 191.2 277.8 190.1 NEWater の販売量 Mil m3 49.2 66.0 72.0 工業用水の販売量 Mil m3 29.3 23.7 21.9 再利用された水量 Mil m3 536.2 516.0 515.5 普及 システム効 率 供給 1 2 3 4 建物の水道、公共水道・水栓、ボーリング・掘り抜き井戸等を含む。 下水道、浄化槽へ流れ出るトイレ・洗面所からの下水を含む。 2009 年 12 月時点で入手可能な 2009 年度(4 月 1 日から翌年 3 月 31 日)の 推定値にもとづく。 これは以前の出版物で推定値として発表された数値の更新値である。 シンガポールは、効率性の高い独自のユニークな水保全計画を採用している。図 表 7.4 が示すように、水消費は適切なレベルで保たれており、貯水池や水路で催 される生活関連イベント数は、3 年間で 87.8%という著しい上昇を見せている。 貯水池や水路をウォータースポーツイベントのために開放することは、環境を保 全するための取組みとしてシンガポールで実施されている賢い試みである。シン ガポールの土地と水のスペースは限られているので、水スポーツをサポートする ための貯水池エリアの使用は、既に限られている資源を最大活用するために重要 である。住民とスポーツマンは水スポーツ活動のために貯水池エリアが解放され 4 シンガポール ることを気に入っている。環境に対する正しい理解と健康的な運動を促進すると いう意味で、一石二鳥で役に立っている。 図表 7.4 –2007- 2009 年におけるシンガポールの水の需要と管理 水の需要と管理 単位 2007 2008 2009 国内の一人当たり水消費量 リットル/日 157 156 155 貯水池・水路での生活関連イベント開催数(累計) - 74 954 139 7.5 大気 シンガポール大気汚染はほとんどない。実際、国民による、環境に良い乗り物へ の注目度が増加している。追加情報として、図表 7.5 と 7.6 を参照されたい。 図表 7.5 – 気候変動/エネルギー統計 気候変動/エネルギー統計 単位 2007 2008 2009 化石燃料燃焼による CO2 排出量 1 Kt 39,905 35,945 NA2 GDP1ドル当たりのエネルギー消費 (%2005 年レベルからの改善) % 10.13 19.4 NA2 発電時の炭素排出原単位 kgCO2/kWh 0.5233 0.5016 NA2 一人当たり一般エネルギー使用量 MWh 1.36 1.27 NA2 環境配慮型自動車 - 天然ガス自動車 - ハイブリッド車 - 電気自動車 No. No. No. 485 1,057 1 3,443 1,999 1 4,578 2,641 5 1 この数値は CO2 以外の温室効果ガス及び廃棄物焼却などの他の排出源からの CO2 排出 は含まない。重油は国際的慣行に従い、国境を越えた輸送に使用され、国内値に含めな いため、統計値から除外されている。重油使用量は国内数値とは別に統計されている。 2 2009 年度のデータは、現在称号がなされている途中であり、2010 年度後半で 入手が可能となる。 3 KES 2010 ブックレット出版時における推定値の更新値である。 5 シンガポール 図表 7.6 –2007 -2009 年におけるシンガポールの汚染物濃度 汚染物 平均化時間 単位 2007 2008 2009 二酸化硫黄(SO2) 24 時間 μg/m3 80 76 83 二酸化窒素(NO2) 年間 μg/m3 22 22 22 一酸化炭素(CO) 1 時間 mg/m3 2.3 2.3 2.4 オゾン 8 時間 μg/m3 140 103 100 粒子状物質 PM10 24 時間 μg/m3 69 57 77 粒子状物質 PM2.5 24 時間 μg/m3 35 30 39 鉛 四半期ごとの平均 μg/m3 0.02 0.02 0.01 全ての統計値は環境・水資源省の提供による。 出典: http://app.mewr.gov.sg/web/Contents/Contents.aspx?ContId=681 6
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