第348回 26年間の小児歯科臨床から −開業医に置ける小児の治療から予防まで− 茨木市開業 岡 本 誠(17回生) 小児歯科一筋に臨床 を重ねて、はや26年以 上経過した。かっての う蝕洪水の時代から、 少子化、う蝕の軽減化 が重要で、個人ごとに医療としての指導や予 防処置が必要になる(図1)。まさに小児歯科 羅患率1すると の時代へと大きく変化 してきた。時代の変化により、小児歯科はま 一般論から医療へ さに理想に近い医療になりつつあるといえ る。今回は子どもとの接し方とう蝕予防(実 は原因療法であるが)に焦点をしぼって、ある べき姿について言及した。 1.う蝕予防の実際 (診断と方法論) ブリック ケアとしての予防(PuCと略)も 医が医療として予防を真剣に取り組む場面が 時代の変化とともに生まれてきたのである。 過不足なく予防を行なうには「う蝕の成因論 −ミラーの化学細菌説」だけでなく、なぜ発 大差がない内容で良かった。考えられる予防 病するのかを説明できる「う蝕発病論」が構 方法を全て押し付けようとする一般論で事足 りたのである。しかし雁息率が低下してくる 築されなければならない。この発病論のため にはエビデンスが重要だが、実は学問的エビ と予防は一般論のPuCと医療としてのPC デンスよりも臨床から学ぶ臨床的エビデンス に大きく別れてくる。PCでは各息児の診断 の方がより大切である。雁息率が低下すれば う蝕洪水の時代は、診療室における予防 (プロフェッショナル ケア、PCと略)もパ するほど病気の本態が臨床からはっきり読み 取れ、本院の得たエビデンスからは次のこと がわかってきた。①歯質などの宿主の抵抗力 と菌や食物残液などの攻撃力のバランスによ り発病する。②コントロールできる攻撃力と 医院による雁患率の差や発生部位の差などか ら今後医療としての予防手段がさらに確立で きる可能性を述べた。 2.子どもとの接し方について(3∼10才児 の場合) しては歯牙表面の「砂糖」のみを考えるべき である。(卦時間の要因としては脱灰と再石灰 子どもを泣かさずに治療することは現在で は当然である。それには成人患者と同じくま 化を繰り返すことから1日単位のバランスを ずは手順を踏んで信頼関係を結ぶことであ る。成人の場合、会話もせず、相手の希望も 考えるのが指導しやすい。したがって本院で は図2に示すOS時間を発病論として指導し てきた。又④年齢と発病部位や⑤摂取食品と 発病部位さらには⑥摂取方法やBr方法と発 病部位、⑥防ぎにくい部位などは明らかに決 まっており、これらのことから患児の生活を 岡本式歯牙表面の砂糖時間(08時何) 理解せずにいきなり削り始めたり麻酔をする だろうか?ムシバがひどくても、外傷でも、 親が望んでも本人の気持ちを理解してあげ、 患児が「この先生なら」と思って治療すべき である。もうう蝕洪水の時代ではないのであ る。無理なら薬理的方法(笑気など)や他院を 紹介すべきである。 子どもとの接し方としては「初診」「う蝕予 防指導」を通じて、子どもとお互いに「いい 人だ」と思い合うことが始まりになる。そし て開催を高く保てば、無痛的な麻酔法(図4) (繍牙衰面での鶴の砂嶋棚) (暦河・暦菅諒) も♭xl回数(1日分)1 1 日分の合計時間】 く0$疇問) 図2 診断し、必要な予防処置を決めるとよい。又 ⑦発病前にはカリオスタット値が悪化するの も菌の酸性生能力が高まった意味で明らか で活用できる。以上のことから患児の生活 を診断し、予防処置をするという「原因療法 としての予防」が可能になってきた。PCは PMTCやシーランとなどと思われがちだが、 実は健診や診断が最も大きいPCの内容であ る。又、診断一処置の手順から保険に入るべ き治療の一種といえる。以上の考えに基づく 予防の成果をいくつか発表した。さらに12の 小児歯科医院ごとの予防状況(図3)も示し、 無痛的麻酔のテクニック 針先に力をかけない (針を曲げ、指に当てる) 1 ①皮膚を無圧的に切る ②2度打ちする ③液をゆっくり入れる で、無痛的治療を進めればよい。そしてう蝕 多発期の子どもたちと長いつき合いをしてい くべきであろう。実は長期間の医療として歯 科が国民から認知されるか否かが21世紀の歯 科医療を決定するのである(図5)。 (講演では治療の実際や予防指導の実際を ビデオで見て頂いた) 21世紀の小児歯科 その物語‥・その2 あなたはどこへ?‥・→ ー長期間の歯科医療− 図3
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