二重円筒加圧脱水機に関する共同研究 全体予定期間 2006.4 - GCUS

二重円筒加圧脱水機に関する共同研究
全体予定期間
2006.4~2008.3
(目
的)
内筒用駆動モーター
現在,下水汚泥用脱水機としてスクリュープレス脱水機,回転加圧脱水
機といった金属ろ材脱水機が急速に普及しているが,更なる低含水率化・
外筒用駆動モーター
省スペース化・省エネルギー化を目的として,二重円筒加圧脱水機が開発
された。
背圧板
本研究では,従来の高効率型脱水機との脱水性能の比較実験等から,二
重円筒加圧脱水機の特長,構造および脱水性能を整理し,計画・設計に関
する基本事項や維持管理に関する検討を行い,本脱水機の性能評価および
外筒スクリーン
内筒スクリーン
技術的事項を取りまとめることを目的とする。
スパイラル板
(研究内容)
二重円筒加圧脱水機の外形図を図-1 に示す。本脱水機は,縦に同心配置
された直径の異なる 2 つの円筒スクリーンと,その間に配置されたスパイ
ラル板によって,汚泥を上方に搬送しながら脱水する装置である。①汚泥
の低含水率化が可能である,②縦型配置であるため設置スペースが小さい,
③低動力で且つ維持管理が容易である等の特長を有している。
図-1 二重円筒加圧脱水機外形図
(1) 研究項目
1) 脱水性能評価・連続安定性評価
混合汚泥と消化汚泥に対して四季の性能調査を実施した。性能目標値は従来の高効率型脱水機に対して,
混合汚泥で含水率 4 ポイント低減,消化汚泥で含水率 1 ポイント低減とした。
2) 各種汚泥に対する性能評価
濃縮方式,汚泥濃度の異なる混合汚泥に対して脱水試験を行い,従来の高効率型脱水機との脱水性能比較を
実施した。
3) スケールアップ検証
円筒径,円筒高さの異なるろ材外形の機種を用いて性能比較を行い,スケールアップ因子を確認した。
(2) これまでの研究成果
1) 脱水性能評価・連続安定性評価
表-1 四季調査結果(混合汚泥)
混合汚泥を対象とした四季調査結果
夏季
秋季
冬季
春季
を表-1に示す。本脱水機は,既設ベル
機械濃縮混合汚泥
対象汚泥
トプレスよりも含水率を 4 ポイント以
TS2.6~2.8%,VTS83~85%,繊維状物 35~42%
上低減できる脱水性能であることを確
二重
ベルト
二重
ベルト
二重
ベルト
二重
ベルト
脱水機種
円筒
プレス
円筒
プレス
円筒
プレス
円筒
プレス
認した。同様に,消化汚泥を対象とし
薬注率(%)
0.7
0.5
0.7
0.5
0.8
0.7
0.7
0.6
た四季調査においては,既設スクリュ
73.3
77.4
69.2
76.8
72.1
76.7
72.4
77.6
含水率(%)
ープレスよりも含水率を 1 ポイント以
含水率差
4.1
7.6
4.6
4.3
上低減できることを確認した。
※
(ポイント)
また,各季節で 5 時間以上の連続運
※ 含水率差は,季節毎に同等の負荷率(標準ろ過速度に対する実際のろ過速
転を実施した結果,安定した連続運転
度の割合)で運転した時の含水率差を表す。
が行えることを確認した。
2) 混合汚泥に対する性能評価
濃縮方式,汚泥濃度の異なる混合汚泥を対象に,従来の高効率型脱水機との脱水性能比較を行った結果,
四季調査と同様に,含水率を 4 ポイント以上低減する性能が確認された。また,これらの結果に基づいて,
混合汚泥については標準性能値を設定した。
3) スケールアップ検証
①円筒径の異なる機種,②円筒高さの異なる機種,③円筒径および高さの異なる機種を用いた 3 ケースに
おいて調査を行ったところ,単位ろ過面積あたりのろ過速度と含水率の関係は同一であった。したがって,
ろ過面積ベースでのスケールアップの成立性を確認できた。
(今後の予定)
平成 19 年度の研究では,下記 2 点を中心に試験・検討を実施する予定である。
1) 消化汚泥の実証試験を継続し,データを充実させることで,標準性能値を設定する。
2) 内外筒駆動用減速機の共有化等,装置改良を行い,改訂内容を脱水機諸元表に反映させる。
共同研究者:財団法人 下水道新技術推進機構,(株)クボタ,月島機械(株)
研究担当者:松浦 將行,目黒 享,田村 邦夫,長岡 英明
キーワード
二重円筒加圧脱水機,金属ろ材脱水機,含水率低減,縦型配置