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1
財務 会 計 と管 理 会計 の接 点 につ いて
清 水 哲 難
工 序
詰
歴 史 が 示 す よ うに 会 計 は そ の 発 生 当 時 や 初 期 の 発 展過 程 に お い て は 専 ら経 営
管 理 を指 向 して お り,会 計 の 基 本 的 目的 は ほ とん どすべ て経 営 管 理 者 が 共 同事
業 の資 産,負 債 お よび 成 果 を 勘 定処 理 し よ う とす る必 要 性 を満 た す こ とに 向け
られ て い た 。 そ れ ゆ え に 会 計 の 初期 の歴 史 を探 究 してみ る と,会 計 は 外 部 か ら
の要 請 よ りも経 営 管理 者 の 内 部 的 必要 性 を満 たす こ とを 目的 と して 発 達 した も
1)
の で あ る こ とが 示 され て い る。 これ は企 業 経 営 が 未 発 達 の段 階 に お い て所 有主
的 経 営 者 が 自己 の企 業 経 営 を遂 行す る途 上 に お いて 内部 経 営 管 理 の 目的 の た め
に 会計 を役 立 たせ よ う とす る意 図が あ った こ とを 示 す もの で あ るが,外 部 に 向
って 報 告 す るた め に 行 われ る 会 計 は 株 式 会 社 に よ る 企 業 が 発 展 し,所 有 主 経
営 よ り所 有 と経 営 が 分 離 し,経 営 者 は 経 営 に 専 念す る とい ういわ ゆ る専 門経 営
者 の 出現 に よ っ て促 進 され た 。1958年 度 のAAA管
理 会 計 委 員 会 報 告 書 に よれ
ば,
(1)所
有 者 が 広 範 囲 に散 在 す る会 社 形 態 の企 業 が 発 生 した 。 この 局 面 の 発
展 か ら所 有 者 の た め の独 立会 計一
い くつ か の点 で 経 営 管理 者 の 内部 的 な 必要
性 と矛 盾す る よ うな会 計 の参 照 機 構 一
が 必 要 に な った 。
(2) 少 な く ともあ る程 度 まで 会 計 を 通 じて 第3者 の利 益 を保 護 し よ うとす
る よ うな形 の社 会 意 識 が 芽 生 え 始 め た 。 この局 面 の発 展 か ら独 立 会 計 の必 要 性
ユ) "Report of Committee 1959,April, p.207.青
経 済 社 昭 和50年
on Management Accounting,"The∠40coκ
木 茂 男 監 修 ・桜 井 通 晴 訳:『AAA原
147ペ ー ジ 。
π'fηg R頗
θ",
価 ・管 理 会 計 基 準 』 中 央
2
が 高 くな った 。
(3)独
立 会 計 の発 展 の直 接 的 結 果 と して 独 立 の公 認会 計士 とい う新 しい職
業 が発 生 した 。 これ は必 要 に応 じて 主 と して 外 部 に影 響 を 与 え る活 動(独 立 の
会 計機 能 お よびそ れ に関 連 す る監 査 機 能,資 産 保 全,課 税 お よび 法 律上 の要 請
か ら行 おれ る活 動 な ど)に た ず さわ って 来 た 。 会 計 の 発 展 と現 状 は これ ら外部
の影 響要 素 か ら決 定 づ け られ て きた た め に 今 日で は経 営 管 理 者 の 内部 的 な必 要
性 は 一般 的 に い っ て第2次 的 に 考 慮 され てい るに す ぎな い 。
(4)企
業 に 対 す る 課 税 を 規 定 した 諸 法 律 一
特 に 所 得 税 法一
が通過 し
た 。 これ らの 法 律 か ら一 般 に企 業 内部 の諸 条 件 を 考 慮 す る こ とな く法 律 上 の 規
定 を 平 等 に遂 行 し得 るよ うに設 計 され た 会 計 的 性 質 を 有 す る技 術 的 な要 件 が 作
られ た 。 そ の た め 不 幸 に も会 計 一般 が 不 当 な ほ どこ の よ うな外 部 の 要 因 に よ る
影 響 を 反 映 す る結 果 とな った 。
(5)企
業 の 法 的 規 制 を 規定 した諸 法 律が 通 過 した 。 これ らの規 制 を 行 うた
う
め,多
くの 場 合 規 制 機 関 へ特 殊 な 必要 性 を満 す よ うな形 の会 計 が 確 立 され た 。
この よ うな 諸 要 因 に よ って企 業 会 計 は社 会 性,公 共 性 が 高 くな り法 的 規 制 を
受 け て 制 度 化 され 財 務 会 計 と して 発 展す る こ と とな った。 この よ うに財 務 会 計
を 中 核 とす る制 度 会 計 の 確 立 と と もに経 営 管 理 の 問題 が ます ます 複 雑 か つ 困 難
に な って きた 結 果 と して,経 営 者 は よ り迅 速 な デ ー タ と管 理 問 題 や 目的 につ い
て 鋭 い 方 向 付 け が な され て い るデ ー タ お よび企 業 の環 境変 化 に 関 して正 しい デ
ー タを 必 要 とす るに い た った 。 この よ うな デ ー タを 必要 とす るに い た った主 た
る根 拠 は,
1)企
業 規 模 の拡 大 と複 雑 化
2) 固 定 資 本 の 増大 と重 要 化
3)経
済 変 動 の程 度 と速 度 の 増大
4)企
業 の 社 会統 制 の増 大
2) "Report 1959,April. of Committee PP.207∼208.青
on Management Accounting", 木 茂 男 監 修 桜 井 通 晴 訳:前
The Accounting 掲 書PP.147-148.
Review,
ゴ
財務会計 と管理会計の接点につ いて 3
であ塾。 この管理会計 の成立基盤は所有主的経 営者が 自己の経営 意思 決定 のた
め に必 要 と した もの とは 質 的 に異 な る。 今 日管 理 会 計 の 発 展 の基 盤 は 専 門経 営
者 の下 に お け る企 業 で あ り,経 営 管 理 のた め の 情 報 提 供 が 管理 会 計 の 任 務 で あ
る。
五 財務会計 と管理会計の関係
財 務 会 計 と して の企 業 会 計 は,企 業 の諸 活 動 や 諸 事 象 が 企 業 の 経 済 的 目的 に
どの よ うな 意 味 を もつ もの で あ る か を 明 らか に す る のみ では な く,企 業 が 本 来
もつ 目的 とは 異 な った 目的 を もつ か も知 れ な い株 主 や そ の他 の利 害 関 係 者 に も
会 計 報 告 を 行 っ てい る。 した が って企 業 会 計 は そ の機 能 の面 か ら狭 義 の管 理 会
計 と財 務 会 計 に区 分 され る必 要 が あ る。
株 主 が経 営 者 で あ る いわ ゆ る所 有 と経 営 の未 分 化 の 場 合 で も会 計情 報 の利 用
目的 に よ って会 計 の 内容 は異 な っ て くる。 所 有 と経 営 が 分離 すれ ば経 営 者 は所
有 者 か ら独 立 した い わ ゆ るspecialist managerで
あ り,こ の 場 合 も前 者 の場 合
と同 じ よ うに会 計報 告 を 行 うの で あ るが,そ れ は 企 業 内 部 の 管理 の た め に だ け
特 に機 能 す る とい うも の で は な い。 財 務 会 計 は 個 別 企 業 の立 場 を は な れ 社 会 的
一 般 的 な 立 場 に も とづ き一般 的 な承 認 を受 けた 社 会 的 基 準 に 従 って 個 別 企 業 を
規 定 す る。 これ に対 して管 理 会計 は個 別 的 立 場 に 立 って 企 業 の維 持,発 展 とい
う目的 を 持 っ た行 動 を 問 題 とす る。 この こ とか ら 財 務 会 計 と 管 理 会 計 を 「一
り
般 」 と 「個 別 」 の 関 係 と して 理解 す る。 もっ とも企 業 目的 と投 資 家 の 目的 とが
どの 程 度 一 致 す るか を 考 え る こ と も財 務 会 計 の それ ぞれ の 内容 を比 較 す るた め
に 有 意 義 で あ る。McFarlandは
こ の 一 致 が あ る と見 て 両 者 の 共 通 点 を 明 らか
に し ょ うと して い る。 す な わ ち企 業 と外部 の社 会 との諸 関係 を扱 う こと は経 営
首 脳 者 の 重 要 な職 能 で あ る。 この よ うな 階 層 の経 営 管 理 者 は現 在 お よび将 来 の
資 本 提 供 者 に 対 して 期 間 的 に 報 告 を 行 う責 任 を 負 って い る。 財 務 資料 に対 す る
3) Billy E. Goetz:Management to Industrial 4) Accounting, 溝 ロ ー 雄 編:『
Planning McGraw-Hl1,1949, and Control, A Managerial PP.9∼14.
管 理 会 計 講 義 』 青 林 書 院 新 社 昭 和49年
18ペ
ー ジ 。
Approach
4
政 府 の要 求 に応 ず る こと もま た経 営 管 理 者 の責 任 で あ る。 この こ とか ら外 部報
の
告 を管 理 会 計 の欠 く こと ので きな い 一 部 で あ る とみ な す 。 と して い る と ころや
ま た今 日の実 務 的観 点 か ら管 理 会 計 を み る と潜 在 能 力 を 完 全 に利 用 して い る会
社 で は,会 計 担 当者 は あ らゆ る階 層 に お け る経 営 管 理 者 の な か で重 要 な役 割 を
占め てい る こ とが わ か る。 会 計担 当者 の影 響 は 方針 決定 や営 業 活 動 の管 理 の基
礎 とな る財 務 資 料 の作 成 と解 釈 を通 じて あ らわ れ て い る。 この よ うな こと を行
うに 際 して 会 計 担 当 者 は,以 前 は 執 行 部 門 が 個人 的 に 行 って いた 重 要 な機 能 を ト
引 き受 け る よ うに な った 。 資 本 を提 供 す る機 能 と資 本 の使 用 を管 理 す る機 能 と
が 分 離 す るに つ れ て会 計 担 当 者 は また 経 営 管 理 者 が そ の業 務 執 行 の結 果 を 債 権
者 や株 主 に報 告 す る とい う責 任 を果 た す うえに も重 要 な 役 割 を 演 ず るに い た っ
た 。 したが って管 理 会 計 は企 業 を経 営 す る人 々や 企 業 に 資 本 を 提 供 す る人 々が
の
必 要 とす る あ らゆ る領 域 の経 済 的 情 報 を包 含 す るに い た って い る。 と して い る
と ころ に よ っ て も管 理 会 計 を 広 義 に 解 して い わ ゆ る財 務 会 計 を 管理 会 計 に含 む
わ
もの と して い る 。
企 業 会 計 を そ の 計 算対 象 の 側 面 か らみ れ ば 財 務 会 計 と 原価 会計 に 分 類 で き
る。 また 報 告 対 象 の 側 面 か らみ れ ば 外 部 報 告 会 計(狭 義 の 財務 会 計)と 内部 報
告 会 計(管 理 会 計)に 分 類 で き る。 企 業 は 財 務 諸 表 の 作成 を通 じて企 業 外部 の
利 害 関 係 者 に奉 仕 す る と同 時 に,同
じデ ー タに よっ て経 営 管理 者 の計 画 や統 制
に 奉 仕 す る こ とを 目的 と して い る。 計 算 対 象 の相 異 に よ る財 務 会 計 は外 部 取 引
の記 録 に は じ ま り財 務 諸 表 の 作 成 お よび 会 計 数値 の比 較 分析 を 行 うが,財 務 会
計 の結 果 が 企 業 外 部 の 利 害 関 係 者 に伝 達 され る外 部 報 告 会 計 と し て の財 務 会 計
と,経 営 管 理 者 に 提 供 され る内 部 報 告会 計 と して の財 務 会 計 も あ る。 これ に 対
して 原 価 会 計 は 内 部 取 引 の 記録 に は じま り原 価 報 告 書 の作 成 お よび 原 価 数値 の
5)W.B. McFarland:Concepts 谷 恭 次 郎 監 訳 ・高 松 正 昭,竹
42年 114ペ
6)W.B, for Management 林 代 嘉 共 訳=『
Accounting, NAA,1966, p.93染
管理 会 計 の 基礎 』 日本 生 産 性 本 部 昭 和
ージ。
McFarland:伽4., p.2.染
谷 恭 次 郎 監 訳 ・高 松 正 昭,竹
林 代 嘉 共 訳:前
書PP.12∼13.
7)財
務 会 計 を 管 理 会 計 に 含 む も の と し てBilly E. Goetz;OP. cit., p.9.が
あ る。
掲
財務会計と管理会計の接点 について 5
比 較 分 析 を 行 う。 した が って狭 義 め 財 務 会 計 とい うの は外 部 に報 告 す る財 務 諸
表 作 成 の側 面 のみ を い い,内 部 に 報 告 す る財 務 諸 表 の 利 用 側 面 お よび 内部 的 原
ラ
価 報 告 書 作 成 の側 面 は 管 理 会 計 の領 域 とな る。
財 務 会 計 と管 理 会 計 の関 係 を つ ぎ の3つ の 観 点 か ら考 察 して み よ う。
(1)』
目的objectionり
観 点 か らい えぽ,財 務 会 計traditional legal-financial
accountingは 株 主,債 権 者,税 務 当局 お よび 一 般 大衆 な どの利 害 関 係者 に対 し
て客 観的 に検 証 し得 る財 務 デ ー タを 提 供 す る。 これ に対 して 管理 会 計 は経 営 管 、
理 者 が 経 営 活 動 を 計 画 し統 制 す るた め の デ ー タを 提供 す る こ とで あ る。
(2) 前 提premisesの
観 点 か らいえ ば,財 務 会 計 は 客 観 的 に 検 証可 能 な デ
ー タ を基 盤 と して 取 得 原 価 が 資 産 や 費用 の 測 定 基 準 と され る。 デ ー タの 分類 は
対 象 基 準 に よ つ で行 わ れ 伝 統 的 原 価 主 義 会 計 で は 算 術 的比 例配 賦 が 行 われ る 。
これ らの歴 史 的 価 値,対 象 分 類 お よび 算 術 的 比 例 配 賦 が用 い られ るの は相 対 立
す る利 害 関係 者 か ら同 意 が 得 られ て い るか らで あ る。 これ に対 して管 理 会 計 で
は実 用 的 オペ レー シ ョナル な原 理 が 必 要 であ り,管理 問題 は未 来指 向forwardlookingで あ るか ら 管 理 会 計 の 分 類 や 評 価 は 前 向 きlook aheadで
あ る。 歴 史
的 評 価 や対 象 分 類 は種 々 の予 定 され た 活 動 の 結 果 を 予 測 す るの に 役 立つ 限 り有
用 で あ るに と どま る。 分 類 や 評 価 は 管 理 問 題 か ら派 生 しな け れ ば な らず,問 題
に よ って変 化 す る。 経 営 計 画 のた め には 管 理 会 計 に お け る評 価 は 現在 の取 替 価
値 と機 会 原価 価 値 に も とづ い て行 わ れ る増 分 と機 会 の計 算 に よ って 行 わ れ る。
した が って こ こに お け る重 要 な問 題 は 「この 計 画 は 他 の 計 画 よ りも どれ だ け 多
くの 費用 がか か る か」 とか 「も しも この 目的 のた め に も早 や 必 要 で な くな った
資源 を他 に用 いた とき,ど の よ うな 利 益 が 得 られ るか」 で あ る。強 調 され るべ
き こ とは 現在 あ る い は将 来 に 関 して であ って 決 して 過 去 に 関 して で は な い。 ま
た 多 い か 少 な いか に関 して であ って 決 して 平 均 で は な い 。 管理 の 目的 と方 法 に
関 して で あ って決 して抽 象 的,絶 対 的 な単 一 に 評 価 され た 真実 で は な い 。経 営
統 計 の た め に は 管 理 会 計 に お け る 評 価 は 企 業 に と って 究 極 的 な:重要性 を もつ
8)番
場 嘉 一郎:『 棚 卸 資 産会 計 』 国 元 書 房 昭 和42年 PP.1-3,
6
か,ま
た責 任 者 が 管 理 可 能 か ど うか が そ の 基 準 とな る。
(3)方
法methodの
観 点 か らい えば,伝
統 会 計 では 会 社 は他 の 社 会 的,
経 済 的 単 位 と取 引 をす るが,こ の 取 引 は契 約 を し これ を 実 行 した こ とを示 す 原
始 証 憑 に よ って代 表 され る。 これ らの証 憑 は 簿 記 機 構 に よ って 集 計 され,各 取
引 は仕 訳 され元 帳 に転 記 され,そ
の正 確 性 は 試 算 表 に よ って チ ェ ック され る。
最 後 に元 帳 勘 定 は調 整 され財 務 諸 表 が 作 成 され る。 これ に 対 して 管 理 会 計 は 経
営 計 画 の設 定 とそれ に も とつ く経 営 統 計 を 行 うた め に 設 け られ た 標 準,命 令,
記 録 お よび 報告 の総 合 シス テ ム で あ るか ら傾 向分 析,原 価 差 異 分 析,組 織 的 な
経 営 監 査 を 通 じて経 営組 織 内 に お け る問 題 点 を 指 摘 し経 営 方 針,資 源,組 織 お
よび実 施 手 続 を検 討 して代 替 案 を作 り,更 に こ の代 替 案 を 増 分 原 価 や 機 会 原価
等 に よ って 貨 幣 的 計数 に 測定 し,そ れ ぞ れ の代 替 案 の うち か ら最 善 の もの を選
9)
択 す る。 この よ うな プ ロセ ス をた どる のが 管 理 会 計 の領 域 で あ る。
Anthonyに
よれ ば 財 務 会 計 と 管 理 会 計 の 関 係 に お け る 相 異 点 は つ ぎの とお
りで あ る。
(1)そ
の 最 も大 きな相 異 点 は 目的 であ る。 財 務 会 計 は 経 営 者 の受 託 責 任 を
明 らか に す るた め に 外部 に 向 って会 計 情 報 を提 供 す る の であ るが,管 理 会 計 は
内 部 経 営 に 役 立 つ 会 計 情 報 を提 供 す る。そ の 目的 の相 異 か ら多 くの点 で 財 務 会
計 と管 理 会 計 に 相 異 る と ころ が派 生 して く る。 た とえば 財 務 会 計 の諸 原 理 は 管
理 会 計 の諸 原理 とは 必ず し も一致 しな い。 経 営 者 は受 注 高 に 多 大 の関 心 を もつ
が 財 務 会 計 の担 当 者 は 受 注 の み で は収 益 の実 現 とは な らな いか ら経 営 者 ほ どに
は 受 注 に は 関 心 は な い 。 この こ とは財 務会 計 で は貨 幣 的表 現 を尊 重 す るが 経 営
者(管 理 会 計)は 物 量 表 現 も重 要 と考 え,ま た歴 史 的,過 去 的原 価 よ りも現 在
の取 替 原 価 や 未 来 原 価 に 関 心 を もつ 。 これ は総 じて い え ば 「そ の情 報 は役 に立
つ か 」 が 管 理 会 計 の発 想 で あ って 「一 般 に認 め られ た会 計 原 則 に合 致 す るか ど
うか 」 と考 え る のが 財 務 会 計 で あ る。
(2) 財 務 会 計 は 企 業 全 体 の価 値 の 流 れ を把 握 す るが 管理 会 計 は部 分 的 流 れ
g)Billy E. Goetz:OP. 昭 和53年PP.15-16.
cit., PP.268-275.吉
田 弥 雄=「
現 代 管 理 会 計 論 』 同 文 舘
財務会計 と管理会計の接点について 7
を と らえ る。 した が って 前 者 は 期 間 損 益 計 算 に よ って経 営 成 績 と財 政 状 態 を把
握 し,後 者 は 部 門 別,製 品 別 あ るい は プ ロ ジ ェ ク ト別 に情 報 を把 握 す る。
(3)財
務 会 計 は 法 的 規 制 を 受 け るの に対 して管 理 会 計 は受 け ない 。 した が
っ て財 務 会 計 情 報 は どの よ うな 犠 牲 を払 って で も行 わ な けれ ば な らな いが,管
理 会 計 情 報 は そ の利 用 に よ る効果 が そ れ を 作成 す る犠 牲 を上 回 った と きに のみ
価 値 が あ る。
(4)財
務 会 計 は 年 に1∼2回
の 報 告書 を作 成 す るが,管 理 会 計 の報 告 書 は
迅 速 性 を尊 重 し,タ イ ム リー に作 成 す る。
(5) 財 務 会 計 は 正 確 性,容 観 性 を 重視 す るが,管 理 会 計 は近 似 値 を 重 視 す
ユ
の
る こ とが あ る。
Spiller Jr.は 管 理 会 計 と財 務会 計 の 関 係 を つ ぎの よ うに 指 摘 して い る。 す
な わ ち 経 営 者 が 経 営 の 計 画,統 制 を 行 い あ るい は経 営 の意 思 決 定 を行 うに 必 要
な 詳 細 な情 報 は 管理 会 計 に よ って提 供 され る。 財 務 会 計 は 元 来 歴 史 的 な もの で
あ るが 管 理 会 計 は しば しば未 来 の 計 画 を指 向す る。 した が って 管 理 会 計 の 領 域
と して は 財 務 予 算 や 標 準 原 価 計 算 に おけ る 個 々 の 目標設 定 の ご と き もの が あ
る。 会 計 的 統 制 は企 業 の 業績 が会 社 の 目的 や 政 策 に 一 致 して い るか ど うか を 決
定 す る のに 用 い られ る諸 手続 で あ る。 原 価 の領 域 で は原 価 活 動 が 目標 か らず れ
て い る と きや,正
しい 行 動 が な され て い るか を 発 見 す るた め に 詳 細 な 原 価 分 析
が な され る。 この た め に デ ー タが 集 め られ,精 選 され,再 分 類 され て 業 績 の 尺
度 と比 較 され る。管 理 会 計 は値 付 け,拡 充,自 製 か 他 製 か,設 備 更 新 の ご と き
経 営 者 の多 くの 意思 法案 のた め に適 切 な財 務 情 報 を 集 め,こ れ を 選 択 す る。 会
計 情 報 を 適 切 に 解釈 し充 分 に役 立 て る ため に は 経 営 者 は 財 務 会 計 に み られ る基
礎 的 会 計 概 念 を把 握 して お く こ とが 重 要 で あ る。 しか し これ らの 報 告 に よ って
行 動 し,管 理機 能 を達 成 す るた め に は 更に 多 くの詳 細 な情 報 を 必 要 とす る。 管
理 会 計 は ま さに 個 々の詳 細 な情 報 を提 供 す るた め の手 続 と技 術 か らな る もの で
10) Robert 弥 雄:前
N. Anthony:Management 掲 書 PP.16∼17.
Accounting, Irwin,1960, PP.315∼316.吉
田
8
あ る。
と ころ で1960年 代 の ア メ リカ は コン ピュ ー タやOR理
論 の発 展 に よ って 経 営
に対 す る科学 的技 法 が 急速 に進 み,そ れ が 管 理 会 計 の分 野 に まで 及 ん で きた こ
とは 当 然 とい え る。 この よ うな環 境 に あっ て1961年 度 の管 理 会 計 委 員 会 は 外 部
報 告 会 計 た る財 務 会 計 の 諸 概 念 と内部 報 告 会 計 た る管 理 会 計 のそ れ らと の関 連
を 指 摘 す るた め に実 体,貨 幣測 定,原 価 主 義 と原 価 の流 れ,実 現,対 応,客 観
性 と重 要 性 に つ い て検 討 し財 務 会計 上 一 般 に 認 め られ てい る これ らの諸 概 念 を
管 理 会 計 へ 摘 要 す る こ とに よ って管 理 会 計 の本 質 を探 ろ うと し てい る。 元 来 財
務 会 計 に お け る諸 概 念 と管理 会 計 の それ らと の間 に は完 全 な一 致 が あ るわ け で
は な い 。 特 に つ ぎの項 目に つ い て は適 用 され るべ き基 礎 概 念 を 別 個 に形 成 す べ
き こ とを 当 委 員 会 は提 案 して い る。
(1),実
体 … … 財 務 会 計 は全 体 を会 計 単 位 とす るが 管 理 会 計 は セ グ メ ン ト別
や プ ロジ ェ ク トの 小 会 計 単 位 の 計 算 も行 う。
(2) 貨 幣 測 定 … … 財 務 会 計 で は貨 幣 的測 定 に よ るが 管 理 会 計 で は 非 貨 幣 的
計 算 お よび 情 報 も用 い る。
(3)原
価 基 準 お よび 原 価 の 流れ … …財 務 会 計 で は歴 史 的 原 価 に よ り計 算 を
行 うが 管 理 会 計 で は 未 来 原 価 や 特殊 原価 概念 を用 い る。
(4)実
現 概 念 … … 財 務 会 計 の実 現 概 念 は 外部 へ の販 売 基 準 に よるが 管 理 会
計 では 内部 振 替 取 引 も利 益 計 算 に 含 め る。
(5)対
応 概 念 … … 財 務 会 計 に お け る費用,収
益 の対 応 は会 社 単 位 の計 算 で
あ り,全 部 原 価 計 算 に よ るが 管 理 会 計 で は小 会計 単 位 に よる費 用,収 益 の対 応
が な され た り,ま た 部 分 原 価 計 算 た る直 接 原価 計 算 も行わ れ る。
(6)客
観 性 と重 要 性 … … 財 務 会 計 で は 計 算 金 額 の 客観 性 を 管理 会計 の場 合
よ りも強 く要 請 す るが 管 理 会 計 で は 特 定 の 管 理 目的 な い し必要 性 に対 す る関 連
11) Earl A. Spiller, Jr.:Financial 12)Gordon Shillinglaw:Cost 寅 雄 監 修
本 部 昭 和51年
・中 垣 昇,安
永 利 啓,山
PP.8一
Accounting, Basic Accounting:Analysis 一一9.で
口 操,安
Concepts. 達 和 夫 共 訳:『
も こ の 点 を 第1に
Irwin,1966, and Control・Irwin・1967・
強 調
p.7・
中 西
経 営 原 価 会 計 』 日 本 生 産 憐
し て い るg
財務会計 と管理会計の接点について 9
や 有 用 性 を重 要 視 す る。
こ の よ うな 諸 概 念 は 従 来 の外 部 報 告 会 計 と して の財 務 会 計 に 適 用 され た そ の
ま ま の形 で は 内 部 報 告 会 計 に は適 用 され ず,新 た な解 釈 の も とに そ の内 容 を変
化 させ た り細 分化 す る必要 が あ る。 基 礎 概 念 に つ い て この よ うな 相 異 が み られ
るの は つ ぎの 理 由 に よ る。(1) 内部 経 営 管 理 報 告 の基 礎 に あ る諸 概 念 は 少 な
くと もい くつ か の 重 要 な 点 で 外 部 公 表 財 務 諸 表 の 基 礎 に あ る諸 概 念 とは 異 な
る。(2) この2つ の グル ー プ の諸 概 念 を区 別 す る基 礎 に あ る もの は2つ の 領
域 の 報 告 が 役 立 つ 目的 の相 違 で あ る。(3)報
告 書 の性 質 に は 相 異 が あ り,報
告 目的 は 多 様 で あ るか ら特 に 内部 経 営 管 理 無 告 の領 域 に 適 用 で き る よ うな 概 念
ユ
ヨ
構 造 を 形 成 す る こ とに は正 当 な理 由が あ る。
Horngrenに
よれ ば 効 果 的 な 会 計 シス テ ムは3大
目的 の た め の 情 報 を提 供す
る。(1) 当面 の経 営 を計 画 し統 制 す るに 用 い るた め の経 営 者 に 対 す る内 部 報
告 (2)戦
略的 計画 す な わ ち特 別 の経 営 決 定 お よび 全 般 的 政 策 と長 期 計 画 の
形成 に用 い るた め の経 営 者 に対 す る 内部 報 告 お よび (3)株
主,政 府 お よび
そ の 他 の 外部 利害 関係 者 に対 す る外 部 報 告 これ で あ る。 経 営 者 も外 部 関 係 者 も
この3つ の重 要 な 目的 のす べ てに 関 心 を も って い るが 財 務 会 計 の 重 点 と管 理 会
計 の そ れ とは 異 な る。 前 者 は主 とし て第3目 的 に か か わ って きた し伝 統 的 に外
部報 告 の歴 史 的,管 理 責 任 的 側 面 に 方 向 付 け られ て きた 。計 画 と統 制 の た め の
管理 会計 の 明 瞭 な特 徴 は第1と 第2の
の
目的 に そ の 重 点 が あ る。
またShillinglaw P`よ れ ば (1)財
務 会 計 は企 業 の 全体 につ い て 関心 を も
つ が管 理 会計 で は セ グ メ ン トの組 合 せ と して 企 業 を 考 え,そ の 個 々 の もの を扱
う。(2)財
務 会 計 は 歴 史 的 で あ る のに 対 して 管 理 会 計 は 未 来指 向 的 で あ る。
(3) 財 務会 計 は過 去 の 出来 事 を 報 告 す れ ば 足 りるが 管 理 会 計 で は これ を分 析
13) "Report 1962,July, 14) Charles of the Management p.535.青
Accounting 木 茂 男 監 修 桜 井 通 晴 訳:前
T, Horngren:Acconnting Irwin,1970, 昭 和49年PP・3∼4,
PP.3∼4.小
Committee", 倉 栄 一 郎,加
The Accounting Review,
掲 書 PP,196∼197.
for Management Control:An 藤 勝 康 共 訳:『
管 理 会 計 』
Introduction,
日本 生 産 性 本 部
10
し未 来 に 役 立 つ情 報 を 準備 す る。 この よ うな観 点 か らは 財 務 会 計 と管 理 会 計 は
独 自 の領 域 を もつ もの で あ るか ら これ を統 合 す る必 要 は な い とす る考 えが 生 ま
れ て くる。
皿 財務会計 と管理会計の接点
ゆ
管 理 会 計 に お け る財 務 会 計 の 位 置 づ け の観 点 か らア メ リカの管 理 会 計 に関 す
る 代 表 的 著 書 に つ い て 財 務 会 計 に 関 係 し て い る個 所 を 指 摘 して み よ う。Robert
N.AnthonyのManagement Accounting Principles, Irwin,1965で
の 会 計 機 構the accounting structureは
概 念,利
益 の 測 定,会
び 減 価 償 却,製
造 会 社 に お け る 利 益 測 定,固
financial statementsは
に あ て,そ
財 務 会 計 一 般 の解 説 に 当て 基 本 的 会 計
計 記 録 及 び シ ス テ ム,利
則 の 重 要 性 を 扱 い,Part皿
はPart工
益 測 定 の 未 来 展 望,固
定 負 債,物
定資産及
価 水 準 の 問 題,会
計原
の 財 務 諸 表 に よ る 情 報 の 利 用using information in
財 務 諸 表 の 分 析,フ
の 後 のPart皿
ァ ン ドフ ロ ー 表 の よ うな 経 営 分 析
で 管 理 会 計 本 来 のmangement controlの
会計を扱
いPart Nで 経 営 意 思 決 定 の 会 計 で 結 ん で い る 。 こ の 書 物 で は 財 務 会 計 一 般 の
解 説 に 全 体 の40%を
あ て て い る。
Carl L. Moore and Robert K. JaedickeのManagement Western Pub.,1963で
dataと
し,ま
はPart工
は 財 務 資 料 の 表 示the presentation of financial
し て 貸 借 対 照 表 を 中 心 と し て 評 価 の 問 題,実
現概念
た 損 益 計 算 書 を 中 心 と し て 期 間 計 算 や 対 応 の 原 則,減
等 の 基 本 原 則 を 解 説 し て い る 。Part皿
15) Gordon 16)青
Accounting, South-
Shillinglaw:Cost 木 茂 男:「
価 償 却,発
生 主義
は 財 務 資 料 の 分 析 と 解 釈the analysis
Accounting:Analysis and Control, Irwin,1966, 管 理 会 計 に お け る 財 務 会 計 の と りあ げ 方 」
『会 計 』
第109巻
p。3.
第6号
。
PP.3∼5,
17)Robert N. Anthonyの
他 の 著 書 で あ るManagement Irwin,1960で
同 じ で あ る が,Part 諸 表 の 分 析 を 包 含 す る 標 準 原 価 計 算 を 扱 っ て い る 。 更 にPart皿
り,概
はPart Iのprinciples Accounting:Text 保 守 主義 等 を解 説
II:で はcontrolの
し て 財 務 会 計 の 領 域 に 約40%を
of financial accountingは1965年
た め のmanagement 割 い て い る。
accountingと
and Cases,
の もの と
して財 務
にplanningが
入
and interpretation of financial dataと
分 析,フ
ァ ン ドフ ロ ー,キ
コ ン トロ ー ルaccounting 手 続,標
ャ ッ シ ュ フ ロ ー を 述 べ,Part皿
Nで
向,問
格 変 動,財
務
で は 会 計 と管理 的
して 主 と して 原価 計 算 と
は 予 算 問 題 等 を 扱 い 財 務 分 析 を 含 め て財 務 会
割 い て い る。
Charles T. HorngrenのAccounting duction,2nd し て 資 産 と持 分 の 構 造,価
and managerial controlと
準 原 価 計 算,Part 計 の 領 域 に40%を
財 務 会 計 と管 理 会 計 の接 点 につ い て 11
for Management ed., Prentice-Hall,1970で
はPart工
Control:An は 展 望,成
題 解 決 な ど の 財 務 会 計 と管 理 会 計 の 接 点 を 論 じ,つ
lntro-
績 記 録,注
意指
いで会計学の基礎 と
し て の 諸 概 念 と株 式 会 社 の 年 次 報 告 書 の 種 類 及 び 財 務 諸 表 の 分 析 な ら び に 利 益
測 定 の 一 般 会 計 の 解 説 に 当 て て い る 。Part皿
で は 計画 設定 と統 制 の た め の会
計 の 軸 心 と し て 予 卸 を 含 む 利 益 計 画 や 原 価 分 析,Part皿
で は直 接 原 価 や 標 準
原 価 を 扱 っ て い る 。 財 務 会 計 の 領 域 を 扱 っ て い る:量は さ き のAnthonyほ
は な い が 全 体 の35%を
どで
占め て い る。
逆 に 財 務 会 計 を 主 と し て 扱 っ て い る書 物 の 場 合 で も 管 理 会 計 を 扱 っ て い る の
も あ る 。 た と え ばEarl で はSection皿
A. Spiller, Jr.のFinancial と し て 財 務 諸 表 の 分 析,フ
Accounting, lrwin,1966
ァ ン ドス テ ー トメ ン ト,原 価 計 算,
原 価 差 異 分 析 な ど の 管 理 会 計 の 領 域 を 約33%に
わ た っ て割 い て い る。
概 してい え ば ア メ リカの 管理 会 計 は財 務 会計 を包 含 した 体 系 を と って い る よ
うで あ る 。 こ れ は 管 理 会 計 を 考 え る場 合 に 財 務 会 計 が 提 供 す る 会 計 情 報 を 有 効
に 利 用 す る た め に 管 理 会 計 と財 務 会 計 の 概 念 の 統 一,接
点 を 確 保 し よ う とす る
試 み で あ る よ うで あ る。
Horngrenに
(1)成
(2) よ る と 管 理 の た め の 会 計 情 報 に は つ ぎ の3つ
績 記 録 の 問 題scarecard questions:う
注 意 指 向 の 問 題attention-directing の型 が あ る。
ま くい っ て い る か,い
questions:ど
な いか 。
ん な 問 題 に 目を つ
け る べ きか 。
(3) 問 題 解 決problem-solving questions:い
くつ か の 仕 事 の う ち どれ が 最
上 か。
(1)と(2)に
資 料 が 用 い られ る 方 法 セ
こは 密 接 な 関 係 が あ る 。 同 一 資 料 が 現
12
場 監 督 には 成 績 記 録 機 能 に役 立 ち,そ の上 司 に は注 意 指 向機 能 に 役 立 つ こ とが
あ る。 た とえば 多 くの会 計 シ ス テ ムは 実 績 報 告 書 を 作 るが そ れ は 実 際 の 結 果 と
予 め決 め て あ っ た予 算 あ るい は標 準 とを 比 較 し てあ る。'この よ うな 実 績 報 告 書
は ぐ1)と(2)の
問 題 に答 え る のに 同時 に 役 立 つ 。 更 に 集 め られ た 結果 は統
制 に も財 務 会 計 の伝 統 的 要 求 に も役 立 つ 。 これ に 対 して 問 題 解 決 は 長 期 計 画 に
関 す る もの や,ま た 部 品 の 自製 ・購 入 の決 定,設 備 更 新,製 品 の 追 加 ・廃 止 決
定 の よ うな 非反 復 的 意思 決定 に用 い る ことが で きる。 した が って 会 計 が 提 供 す
る情 報 に は つ ぎの3つ の 性質 が あ る。
(1)成
績記 録score keeping・・
… ・これ は 資料 の 集 績 活 動 で あ り,こ の 会 計
の 側 面 は 企 業 の 内 外 の 関 係者 の会 社 の実 績 と立 場 を評 価 させ る も ので あ る。 た
幸 えば 財 務 諸 表 の 作 成 や 原価 計 算 の実 施 な どで あ る。
(2) 注 意 指 向attention directing・
・
… ・これ ぽ 経 営 上 の 問 題 点,不 完 全 な点,
不 能 率 な点 及 び 好 機 会 に 経 営 者 が 焦 点 を合 わ せ るの に役 立 た しめ る情 報 の報 告
と解 釈 で あ り,こ の 会 計 の側 面 は 具 体 性 あ る計 画設 定 や克 明 な 日々 の監 視 に よ
っ て効 果 的 な行 動 を と るに充 分 な 迅速 さで経 営 の重 要 な側 面 に経 営 者 が 関 心 を
向 け る のに 役 立 つ 。`注意 指 向は 一 般 的 に い っ て 現在 の 計 画 と 統 制 に 関 連 を有
し,反 復 的 定 型 的 内部 会 計 報 告 の 分 析 と検 討 に 関連 す る。 た とえ ば予 算 と実 績
の差 異 分 析 に よ っ て改 正 を必 要 とす る点 を 抽 出 し,こ れ を 改 善 させ るべ く注 意
を 喚起 せ しめ る こ とを意 味す る。
(3)問
題解 決problem solving… …会 計 の こ の側 面 は 想 定 され る 諸 種 の 行
動 の相 対 的 メ リッ トの簡 明 な量 的 表 現 を意 味 し,最 上 の 手順 は 何 か を教 え る こ
とが 多 い 。 問題 解 決 は非 反 復 的 意 思 決 定 で,一 般 的 に い って 特 殊 な 会 計 分 析 や
の
会 計 報 告 を 必要 とす る状 態 で あ る。
さて 管 理 の た め の 会計 とそ の計 算が 以上 の3つ の機 能 を もつ も の とす るな ら
ば,財 務 会 計 は(1)お
よび(2)の
機 能 の一 部 を 占め る こ とに な る。 た とえ
ば 予 算 の 差 異 分 析 に つ い て は 部 門 別 に予 算 と実 績 の計 算 比 較 が で き る よ うに 費
18)Charles 4∼5.
T. Horngren:OP. o'∫., PP.4∼5。
小 倉 栄 一 郎 ,加
藤 勝 康 共 訳:前
掲 書PP.
財務会計 と管理会計の接点 について 13
目の 機 能 別 分 類 を 確 立 して お く 必要 が あ る。 した が って 管 理 のた め の 会 計 の
うち 注 意 指 向 の機 能 に 関 して も財 務 会 計 が 深 いか か わ り合 い を もっ こ とが わ か
19)
る 。
つ ぎに企業会計制度 におけ る財務会計 と管理会計の共通 的部分につ いて考察
の
し てみ よ う。
(1)勘
定 科 目の 形 態 別 分類 と機 能 別 分類
勘 定 科 目の 形態 別 分 類 は財 務 諸 表 の作 成 のた め に用 い られ,機 能 別 分 類 は 管
理 の た め の役 立 ち を考 慮 した も ので あ る。 た とえ ば 予 算 管 理 や 原価 管理 の た め
に は 費 目の機 能別 分 類 に よ る計 算 を 必 要 とす る。 予 算 の編 成 お よび予 算 統 制 の
た め の一 般 的 基 準 と して予 算 と対 照 比 較 し得 る よ うに 原価 の実 績 を計 算 し,予
算 統 制 に資 料 を提 供 す る。 また 原 価 計 算 で は 原価 要 素 を機 能別 に直 接 費 と間 接
費,固 定 費 と変 動 費,管 理 可 能 費 と管理 不 能 費 の 区分 に も とづ い て分 類 計 算 す
る。
(2) 補 助 簿 関 係 記 録 な どの 管理 的 利用
企 業 会 計制 度 に お け る主 要 簿,補 助 簿 は共 通 の取 引 の証 憑 や 伝 票 か ら作 成 さ
れ る。 この うち主 要 簿 は財 務 諸 表 の作 成 に 用 い られ るが,補 助 簿 は主 要 簿 の 明
細 表,分
析 な い し特 殊 元 帳 と し て用 い られ,主 要 簿 との 有 機 的 関 連 を もつ と同
時 に補 助 簿関 係 記 録 は 定 期 的 お よび 日常 的 な 経 営 管 理 報 告 の 作成 に役 立 ち,さ
らに原 始 的 証 憑 と合 わ せ て 特 定 目的 に 対 す る特 別 調 査 報 告 の 作成 に も役 立 つ 。
管 理 会 計 の 計 算 方 法 の財 務 会 計 へ の 影 響 に つ い て 考察 して み よ2琴。
(1)管
理 会 計 と し ての 計 算 方 法 の 財 務 会 計 との 結 合
管 理 会 計 と して の 計 算 が 本 来 の 管理 機 能 を果 たす こ との他,財 務 会 計 の計 算
機 構 に 組 み 込 まれ る もの に標 準 原 価 計 算制 度 が あ る。 標 準 原 価 計 算 の 主 目的 は
コス トコ ン トロール で あ るが財 務 会 計 の分 野 と関連 す る も の に棚 卸 資 産 の 評 価
や 売 上 原 価 の 計 算 が あ る。勿 論 標 準 原 価 と実 際 原 価 との差 異 は期 末 の 処 理 とな
19)青
木 茂 男:前 掲 論 文 『
会 計』 第109巻 第6号 7ペ ージ
20)青
。
木 茂 男;「 管 理 会 計 と財 務 会 計 の 接 点 」 『会 計 』 第112巻 第6号PP
21)青
木 茂 男:前 掲 論文 『会 計 』 第112巻 第6号PP.6∼8
.
.4∼5.
14
って 財 務 会 計 に あ らわ され て くる 。
(2)管
理 会計 の計 算 方 法 が財 務 会 計 のそ れ に 影 響 を 与 え る も の
これ は予 算統 制 を行 う とき の財 務 会 計 へ の影 響 を あ げ る こ とが で き る。す な
わ ち 各 部 門 別 の予 算 と比 較 対 照 し得 る よ うな実 績 計 算 が 行 わ れ な け れ ば な らな
い 。 さ もな けれ ば予 算 と実 績 とが 遊 離 して し ま う。 予 算 制 度 に お け る予 算 と実
績 の差 異 は 必要 な時 に は期 中 に お いて も求 め る こ とが で き る よ うに 予 算 と比 較
対 照 す る実 績計 算 に よ って継 続 して行 わ れ るが,予 算 数 値 が 財 務 会 計 に 組 み 入
れ られ る こ とは な い 。 この点 標 準 原 価 計 算 とは 異 な る。 しか し予 算 と実 績 との
対 照 比 較 を 円滑 な ら しめ るた め に は予 算 制 度 に 見 合 った 財 務 会 計 制 度 を 打 ち 樹
で な け れ ば な らな い 。
(3)管
理会 計 の計 算 や数 値 が 財 務 会 計 で利 用 され る もの
セ グ メ ン ト別 業績 の外 部報 告 や 予 測 利 益 の外 部 報 告 が これ に あ た る。 前 者 は
経 営 の 多 角 化 に よ って経 営 内 容 を外 部 へ報 告 す る こ とか らセ グ メ ン ト別 の 売 上
高 や 利 益 額 を公 表 す る こ とが 企 業 の収 益 力,成 長 性,財 務 状 態 な どの評 価 のた
め に 必 要 で あ る。 セ グ メ ン ト別 業 績 の計 算 方 法 に は貢 献 利 益 法 と純 益 法 が あ る
が,前 者 が 多 くと られ て い る。 これ は計 算 方 法 と して変 動 費 と固 定 費 の費 用 の
分 解 を 行 い,固 定 費 は 当 該 セ グ メ ン トの負 担 と して捉 え得 る もの と,共 通 費 と
して 配 賦 され る セ グ メ ン ト費 用 と更 に セ グ メ ン トに 負担 で きな い 費用 に区 分 さ
れ る。 この よ うな 費 用 分 解 を 基礎 と して直 接 原 価 計 算 が あ る が これ は多 くは会
計 制 度 外 の計 算 と して 短 期 利 益 計 画 に 役 立 て られ る。 この よ うに直 接 原 価 計 算
が 貢 献 利 益 法 に よ る セ グ メ ン ト別 計 算 に役 立 て られ,更
に セ グ メ ン ト別 の外 部
報 告 に 用 い られ る こ とは この よ うな 管 理会 計 に お け る計 算方 法 が 財務 会 計 に用
い られ る こ とを 意 味 す る。 後 者 の 予 測 利 益 の 外 部 報 告 に つ い て は 投 資者 へ の デ
ィス ク ロー ジ ャ とし て過 去 的 財 務 諸 表 の もつ 限 界 を 克 服 す るた め に 予 測利 益 の
表 明 は レギ ュラ ーに 作 成 され る管 理 目的 の 予 測 や 内 部 利 用 の た め の予 算 に そ の
基 礎 を おか なけ れ ば な らない 。 そ のい ず れ も外 部 報 告 会 計 た る財 務 会 計 に 内 部
報 告 会 計 の計 算 方 法 が 利 用 され て い る。
財 務 会計 が一 般 的 に原 価 主 義 を採 用 す る のは 課 税 利 益 の算 定 や 配 当 可 能 利 益
財務会計 と管理会計の接点につ いて 15
の算 定 の要 求に よ る も の であ る。 しか し評 価 基 準 の 観点 か らい え ば管 理 会 計 上
に お い て は経 営 意 思 決 定 の デ ー タ と して過 去 的 指 向 の原 価主 義評 価 基 準 に よっ
て作 成 され た も のは 不 適 当で あ る。 む しろ 時 価 主 義 に よ る方 が有 用 性 は高 い。
同 じ よ うに会 計 上 の認 識 基 準 に つ い て も財 務 会 計 で は収 益 の認 識 に実 現 主 義 の
基 準 が と られ る。 これ は 処 分 可 能 利 益 の算 定 の 要 求 か らで あ る。 他 方 管 理 会 計
で は企 業 の業 績 利 益 の算 定 が 要 求 され るか ら認 識基 準 は発 生 主 義 を と る。 こ の
よ うに 評 価 基 準,認 識 基 準 は 財 務 会 計,管 理 会 計 そ れぞ れ の 目的 の相 異 に よ り
相 異 な るが 前 者 は 貨 幣 価 値 の 変 動 を 考 慮 に 入れ る こ とに よ り,会 計 情 報 は 取 得
原 価 主 義 のみ に よ る こ と な くカ レン トコス ト基 準 に よる も の も有 用 であ る こ と
か ら,多 元 的 評 価 の 方 向 に あ る。 また 後者 は財 務 会 計 の分 野 に お い て も発 生 主
22)
義 に よ る収 益 把 握 を 行 うとい う立 場 もあ る。 この よ うな ことが らを考 えれ ば 財
務 会 計 と管 理 会 計 の 会 計 基 準 の 齟 齬 も解 消 され る方 向 に あ る。 実 務 面 か らも会
計 の重 複 記 録 を 改 め 一 元 的 な 会 計 記 録 に よ っ て そ の 報 告 機 能 と 管 理 機 能 を 同
お 時 に 達 成 し よ う と す る 要 求 が あ る 。 こ れ す な わ ちIDP(lntegrated cessing)の
Data Pro-
思 考 で あ る。
IV結
び
Goetzは 経営 管理 者 の 管理 機 能 を計 画 と統 制 お よ び社 会 的 諸 関 係 の処 理con・
ducting social contactsと
す る。 この うち社 会 的 諸 関 係 の処 理 と い うのは 企 業
22) Robert T. Sprouse and Maurice Moonitz:"A Tentative ing Principles for Business Enterprises",1962, p.14.佐
『会 計 公 準 と会 計 原 則 』 中 央 経 済 社 昭 和37年
23)阪
本 安 一=「
24)Goetzに
財 務 会 計 と管 理 会 計 と の 統 合 」
127ペ
Set of Broad Account・
藤 孝 一,新
井 清 光 共 訳:
ージ。
『企 業 会 計 』 第18巻
第10号60ペ
ー ジ。
よ れ ば 経 営 者 の 管 理 機 能 の 定 義 に つ い て つ ぎ の よ う に 多 くの 人 々 の 考 え を
述 べ て い る。
Taylor Newman:政
Church Sheldon:販
'Walker:計
Gulick ;計 画,執
策,組
行
織,便
益
:デ ザ イ ン,設
備,オ
売,調
達,便
画,方
向 付 け,統
:計 画,組
織,ス
技術
ペ レ ー シ ョ ン,統
制,調
整
益
制,説
明
タ ッ フ 育 成,方
向 付 け,調
整,オ
ペ レ ー テ ィ ン グ,報
告,
16
の維 持 ・発 展を 遂 げ る た め に 企 業 外 部 の 利 害 関 係 者 た る 株 主,債
権 者,仕 入
先,『政 府 お よび 労 働 組 合 な どに 企 業 の 計 画 や経 営 状 態 の 情 報 を提 供 し,企 業 の
円滑 な経 営 を はか る こ と であ る。 した が って 会 計 を 経営 者 の た め の もの と し外
部 報 告 会計 も管 理 機 能 の一 部 と して 把 握 し財 務 会 計 を管 理 会 計 と と もに広 く会
ら 計 に包 摂 しよ うとす る。 同 じ よ うにMcFarlandも
外部 報 告 会 計 を管 理 会 計 の
一 部 と考 え て い る。
利 潤 の極 大 化 ない し適 正 化 を 追 求 す る企 業 の 基 本 目的 か らい え ば,財 務 会 計
も管 理 会 計 も期 間 損 益 計 算 に 帰 結 す る。そ して と もに貨 幣的 測定 に依 存 しなが
ら企 業 会 計 と し て統 一 的 に 機 能 す る。 この よ うな 目的 の共 通 性 は他 方 に お い て
測 定 対 象 の 同一 性 と相 俟 って 外 部 利 用 者 の た め の 会 計情 報 と内部 経 営 管 理 者 の
た め の会 計 情 報 とを 統 合 した 形 と して の 会 計 情 報 シス テ ムを 作 り上 げ る可 能 性
を は らむ 。 換 言 す れ ば 財 務 会 計 と管 理 会 計 を そ れ ぞ れ プ ロセ ス と考 え,シ ス テ
ム を会 計情 報 シ ス テ ム と解 す れ ば 財 務 会 計 と管 理 会 計 を 会 計 情報 シス テ ム と し
て統 合 で きる。ASOBATに
お い て も 会 計 を 情 報 シ ステ ム の 一 環 と して 考 え
る立場 か ら会 計 の基 準 として 目的 適 合 性,検 証 可 能 性,不 偏 性 お よび 計量 可 能
性 を あ げ,こ れ ら4つ の 会 計基 準 の 適 用 に 関 して 財 務会 計 と管 理 会 計 の両 側
ラ
面 か ら検討 して い る。 これ ら財 務 会 計 と管 理 会 計 の 基 本 的 諸 概 念 の 検 討 に よ る
両 会 計 の特 性 の認 識 は両 者 の分 離 や 相 互 の 無 関 係 を もた らす もの で は な い。 む
しろ両 者 の 相 互 の 関 連 付 け を 多面 的 に 考 慮 しな け れ ば な らな い し,さ
らに企
業 会 計 は財 務会 計 と管 理 会 計 の統 合 を は か らな け れ ば な らな い 状 況 に あ る。 こ
の 点,ASOBATは
こ の両 会 計 の 関 係 を 情 報 シ ステ ム と して統 一 的 に み よ う と
予算
Goetz:op. cit., P.2.
25) Billy E. Goetz:OP・c"・, 26)Walter 27)辻
B. McFarland:oρ
厚 生:1管
29)青
・cfちPP・100∼104.
理 会 計 論 の 再 検 討 」 『会 計 』 第103巻
28)AAA:AStatement pp.1^一4.
of Basic Accounting 『基 礎 的 会 計 理 論 』 国 元 書 房 1969年
木 茂 男:前
掲論文
『会 計 』 第112巻
第2号
Theory,1966, pp.75一 一一81.
第6号
PP.2∼3.
64ペ ー ジ 。
pp.51∼55.飯
野 利 夫 訳:
財務会計 と管理会計 の接点について 17
す る。
財 務 会 計 に お い て は 今 日 単 に 期 中 の 純 財 産 の 増 減 の み を 測 定 す るの で は な
く,広
く企 業 の活 動 や 能率 を詳 細 に記 述 し測 定 す る こ とが 外 部 の利 害 関 係 者 に
企業 の経 営成 績 を正 し く判 断 し意 思 決 定 を行 わ せ る こ とに な る。 また 管 理 会 計
に お い て は企 業 活 動 の種 類 別,機
能別 した が っ て究 極 的 に は 管 理 責 任 区 分 ご と
に そ の活 動 の 能率 を測 定 す る こ と に あ るか ら,経 営 管 理 の た め の業 績 測 定 と外
部 報 告 の ため の業 績 測 定 とが 基 本 的 には,同 一 の概 念 や 基 準 に も とづ い て行 わ
30) 31)
れ る こ とが可 能 で あ る。 こ の点 で は エ ドワ ー ズ ・ベ ル も 「企 業 外部 の利 用 者 も
・ 経 営 者 と 同 じ よ うに 主 と して 業 績 評 価 を 行 お うとす る もの で あ るか ら,同 一 の
会 計 原 則 を企 業 の 内部 者 の た め に も,ま た 外 部 の 利 用 者 の た め に も適 用 す る こ
お
ラ
とは 可 能 であ る。」 とい い,ま
た ベ ッ ドフ ォ ー ドも 「利 益 に関 す る継 続 的 報 告
は 今 や 夢 で は な くな り,多 くの 大企 業 で は トップ に対 して 内部 的 に毎 日報 告 書
を 作 成 し てい る。 外 部 利用 者 に対 して 年 に1回 の 報告 は30年 前 に は適 当 であ っ
た が 急速 な経 済変 動 に対 して は もは や不 適 当 で あ る。 した が っ て年 に1回 の 報
告 の 伝統 を 改 め て 継 続 的報 告 を 考慮 しな けれ ば な らな い。 こ の こ とは 株 主,従
業 員,債 権 者,仕 入 先 お よ び顧 客 等 が 現 在 と将 来 との 展 望 を す るた め に 必要 で
あ る。」 と述 べ て い る。 企 業 が 作 成 す る財 務 諸 表 に 関 して い え ば,経 営 者 は 現
状 を適 確 に把 握 した うえで 次 期 あ る いは そ れ 以 降 に お け る経 営 活 動 を計 画 し,
これ を遂 行す る の であ るか らそ の計 画 資 料 で あ る見 積 損益 計 算 書,見 積 貸借 対
照 表 お よび 見 積 資 金 計 算 書 等 を 財 務 諸 表 に付 して報 告 す る こ とが 好 ま し い。 そ
うす る こ とに よ って これ らの 諸 表 は 企 業 の外 部 者 に と って も 自己 の意 思 決 定 に
よ き会 計 情 報 とな り得 る。 元 来 財 務 諸 表 は経 営 活 動 の成 果 を示 す もので あ り,
30)倉
地 幹 三:「
企 業 会 計 に お け る 統 一 的 概 念 の 形 成 へ の 志 向 」 『企 業 会 計 』 第18巻
31)Edgar O. Edwards and Philip W. Bell:The 7'heory and Measurement ness Income, University of California Press,1961, 訳:『
p.5.伏
意 思 決 定 と利 潤 計 算 』 日本 生 産 性 本 部 昭 和39年
32) Norton M. Bedford:Income 第
10号 70ペ ー ジ 。
Addison-Wesley,1965, Determination PP.202∼203.
見 多 美 雄,藤
4づ
Theory:an of Busi.
森三男共
一2。.
accounting framework,
18
そ れ は 経 営 者が 計 画 し,統 制 活 動 の成 果 が 報 告 され る もの で あ るか ら決 算報 告
書 に見 積財 務諸 表 が 付 され る こと は予 算 会 計 を 利 用 して 財 務 会 計 と管理 会 計 を
結 び付 け る こ とに な る。 このた め に 予 算 科 目と決 算 科 目 とを 調 整 す る こ とが 必
要 で あ り,こ れ に よ っ て予 算 編 成 か ら決 算 まで を 外 部 に 報 告 す る と同 時 に そ の
33)
過 程 に お い て予 算 管 理 の 目的 を も達 成 可 能 とな る。
33)東
洋 大 学 付属 電 子 計 算 機 セ ン タ ー編:『 会 計 理 論 と情 報処 理 』 白 桃 書房 昭 和49年
243ペ ー ジ。岩 田博 文 稿:「 管 理 会 計 の 発 展」