第3回アドバイザリー委員会 - 西尾研究室

第 3 回アドバイザリー委員会
日時
平成 17 年 3 月 30 日(水) 12:00∼17:00
場所
大阪大学大学院情報系総合研究棟 2 階会議室
12 名(敬称略,括弧内は委員会当時の所属・役職)
出席者
• アドバイザリー委員
– 尾家祐二(九州工業大学 情報工学部電子情報工学科 教授)
– 沢田康次(東北工業大学 通信工学科 教授,東北大学 名誉教授)
– 播磨 武(ファイザー株式会社 取締役製造担当)
– 管村 昇(日本電信電話株式会社 NTT コミュニケーション科学基礎研究所 所長)
• 事業推進担当関係者
– 西尾章治郎(情報科学研究科長)
– 増澤利光(情報科学研究科 コンピュータサイエンス専攻 教授)
– 井上克郎(情報科学研究科 コンピュータサイエンス専攻 教授)
– 尾上孝雄(情報科学研究科 情報システム工学専攻 教授)
– 村田正幸(情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 教授)
– 下條真司(サイバーメディアセンター 応用情報システム研究部門 教授)
– 四方哲也(情報科学研究科 バイオ情報工学専攻 助教授)
– 馬場健一(サイバーメディアセンター 応用情報システム研究部門 助教授)
デモンストレーション内容
委員会に併せて,本報告書の冒頭の報告文「ネットワーク共生環境を築く情報技術の創出」の「7 中間
評価結果」で述べている現地査察時と同様のデモンストレーションを該当研究推進場所で行った
議事内容
本委員会でアドバイザリー委員から頂いたご意見を記す.
研究テーマ
1. 質疑応答の内容
(質問)初めてデモを見せてもらったが,興味あるものだと思う.ヒューマンインターフェースの分野
では,脳の解析は難しく,人間のメカニズムは単純なものではないとされている.世の中の他
の研究とのタイアップも重要だと思うが,どうか.
(回答)人間そのものの機能の分析や,セマンティックの分析は難しい.その点については,最初からあ
まり深く入るつもりはなかった.しかし,ヒューマンインタフェースの分野における機能の解
明に関しては,注意を払ってきた.
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(質問)デモで色々なものを見ることができて良かった.共生ネットワークと他の研究課題の関連付け
は難しいと思うので,思いきって別々に進めた方が取り組み易いのではないか.また,企業と
もう少し連携して進めた方が,企業ニーズをうまく取り入れることができ,良いのではないか.
(回答)中間評価でも同様なことを指摘された.中間評価後の今後 2 年間で,有効な連携を考えていき
たい.
(質問)違った分野を連携させて新しいもの作ることはチャレンジングで,十分な成果だと思う.教官
の層の厚さ,産学連携がうまく行われていることを感じた.産学連携に関しては,大阪大学だ
けにとどまらず,産学,学学のネットワークを広げてはどうか.
(回答)日本の大学では,一つの部局に同じ領域の講座を冗長に配置することはしない.しかし,海外
の大学では,逆に冗長性を持たせて,強い大学ができる.そこで,御指摘のように,学学の連
携でカリキュラムを作成して,大学院生のみならず,産業人も教育することが必要である.
(質問)今まで 3 年間は生物に学んでいたが,生物は必ずしも良いシステムとは言えない.例えば,脳
は遅い.今後プロジェクトをまとめるときには,生物を利用したら良い部分と,良くない部分
を議論するのはどうか.
(回答)貴重な御指摘に感謝します.その点に関しては,実用化の観点から企業の方とも話して,今後
のことを考えたい.例えば,蛍の同期メカニズムを利用したセンサネットワークのシステムで
も,実用化を考えて完全自律ではない方法を取り入れている.
(質問)生物から学ぶというのはユニークなアプローチである.ヒューマンインタフェースは人間の外
の部分で,特徴を出しにくいので,ミクロな部分を強調したらどうか.
(回答)御指摘のコメントは,本 COE プログラムのヒューマンインタフェース関連研究の推進にとって
は重要であり,今後の指針にしたい.
2. アドバイザリー委員からの総括的な意見
(意見)拠点リーダーの西尾先生中心に大変アクティブに活動され,また具体的なアウトプットも多く
出されているということがよくわかった.教育プログラムについても,多くの先生方が努力さ
れており感心した.このような活動は,是非うまく水平展開されることを期待している.
(意見)限られた系で求められた生物モデルが必ず利用できるとするのは無理があると思う.したがっ
て,得られたモデルが使えるかどうかを検証する仕組みがあれば,プロジェクトの方向がより
明快になると思う.研究テーマの推進に関しては,全般的に各グループが成果を出していると
思う.研究テーマのより一層の斬新さとプロジェクトテーマとの明確な係わりが強調されれば,
もっと素晴らしいものになると思う.また,企業のニーズをもう少し掘り起こすと,企業との
協力関係もより一層築けると思う.
(意見)この COE プロジェクトの中間評価は,大変良いものだった.改めて先生方の努力が結実したも
のだと思う.
(意見)研究および教育プログラムの両方において,優れた成果を挙げ,大変興味深く感じた.
教育プログラム
1. 教育プログラム 1「NWP(ネットワークプロセッサ)設計ラボ計画」
(質問)インドなど多数の国で行われているが,日本で拡大するための方策はあるのか.
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(回答)このプログラムを提供しているインテルの日本への投資はあまり多くない.また,国内の大学
も本教育プログラムのように OJT (On the Job Training) を積極的に行おうとしている大学が
まだ少ない傾向にある.これらが国内であまり拡大しない要因かと思われる.
(質問)学生に指導する負荷は大きいか.
(回答)大きい.演習担当が大変である.
(質問)日本で広まらない理由としては,社会に出てから技術を学べば良いと考えているのではないか.
また,特定企業のものを学ぶという倫理的なことについては,何か考えがあるのか.
(回答)近年は,大学院における教育でも,技術を教える必要があると思う.特定の企業の技術を学ぶ
ことは特に意識せず,さまざまな企業とバランス良く行えたら良いと思う.
2. 教育プログラム 2「ソフトウェア工学工房」
(質問)この教育プログラムで用いたシステムのオープンソース化は考えていないのか.
(回答)オープンソース化は考えていない.
(質問)企業でこのシステムを利用する場合は無償か.
(回答)研究のために利用する場合は,無償である.商業上で用いる場合は,特許権が JST(科学技術
振興機構)にあるので,JST と交渉する必要がある.
3. 教育プログラム 3「セキュアネットワーク構築のための人材育成」
(質問) e-Learning のためのコンテンツはどの程度作成したのか.
(回答)半期分作成した.その作業は大変なものであった.
(質問) e-Learning の対象者は誰か.誰でも受講できるのか.
(回答)現在のところ,e-Learning のコンテンツを補助教材として利用し,一般の方でも利用できる.
4. 教育プログラム全体
(意見)多くの先生方が努力されており感心した.このような活動は,是非うまく水平展開されること
を期待している.
(意見)教育プログラムの目標や内容は素晴らしいと思う.企業にとっても貴重なプログラムになって
いると感じた.現在の方向で推進すれば良いと思う.今後の教育プログラムの推進については,
e-Learning などを利用して,教育プログラムを受講できる人を増やす工夫をして欲しいと思う.
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