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Title
鋼I桁橋の破壊確率に対する確率分布の影響に関する検討
Author(s)
宮田, 喜生; 中村, 聖三; 高橋, 和雄
Citation
鋼構造年次論文報告集, 19, pp.63-68; 2011
Issue Date
2011-11
URL
http://hdl.handle.net/10069/30114
Right
© 日本鋼構造協会
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http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp
Proceedings of Constructional Steel
鋼構造年次論文報告集
Vol.19(Novernber 2011)
第19巻(2011年11月)
鋼1桁橋の破壊確率に対する確率分布の影響に関する検討 論文
Influence of probability distributio皿on the failure probability of steel I・girder bridges
○宮田 喜生* 中村 聖三ky 高橋 和hAe**’
Yoshio MIYArA Shozo NAKAMURA Kazuo TAKAHASHI
ABSTRACT AIthough the allowable stress design method has been used for the design of
highway bridges, introduction of the limit state design method based on the reliability design
is required. In the reliability design, a target value of reliability index is used to guarantee a
certain level of structural safety. However, the failure probability of a member with the same
value of reliability index may be different if the probability distribution of design valuables is
different・In this study, the failure probability of steel I−girder bridges is calculated using
Markov−Chain Monte Carlo Simulation and subset method. And the influence of the
probability distributlon on the failure probability is evaluated.
KeyWord :破壊確率, subset法マルコフ連鎖モンテカルロシミュレーション
failure probabiIity, subset method, Markov−Chain Monte Carlo Simulation
1.はじめに
向を把握するとともに,目標とするβを与えた場合
わが国の道路橋は,道路橋示方書1)(以下,道示)
の部分係数の傾向について分析している.しかし,
にしたがって設計される.現在の道示では,大地震
考慮する確率変数の分布形は正規分布のみであり,
に対する耐震設計を除き,許容応力度法が用いられ
βに対する確率分布形の影響は検討されていない.
ている.一方,米国の道路橋に対する設計基準であ
また吉田らSは,3種類の鋼1桁橋に対して,ばら
るAASMOのLRH)コード2)や欧州における
つきを考慮する設計変数の確率分布形を正規分布,
Eur㏄ode3)では,信頼性理論に基づいて部分係数を決
対数正規分布,ワイブル分布と変えたモンテカルロ
定した限界状態設計法が採用されており,道示にお
シミュレーションによりβを試算し,確率分布形が
いても要求性能を合理的に検証する手段として,信
βに与える影響は概して小さいとの結論を得ている.
頼1生設計の考えを基礎とする国際的な技術基準の書
しかし,βの値が同じでも破壊確率が異なる可能性
式としての限界状態設計法の導入が求められている.
が考えられる.
そうした状況に対して,日本道路協会において実施
破壊確率を算定する最も一般的な方法として,モ
されている次期道示改訂のための調査検討では,部
ンテカルロシミュレーションが挙げられるが,構造
分係数設計法の導入を前提とする議論が行われてい
物の破壊確率のように極めて小さい確率の現象を対
る.
象とする場合,非常に計算時間がかかるという難点
その一環として村越ら4)は,道示に従って設計さ
がある.低破壊確率を算定する方法としては加重サ
れた鋼1桁橋に対して信頼性指標βを試算し,その傾
ンプリングa・ nの考え方がよく知られているが,サ
*長崎大学大学院博士前期課程生産科学研究科環境システム工学専攻
(〒852−8521長崎市文教町1番14号)
#博(工)長崎大学工学部教授 (〒852−8521長崎市文教町1番14号)第2種正会員
Pa F〔博 長崎大学名誉教授 (〒852−8521長崎市文教町1番14号)第2種正会員
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ProceeClings of Constructional Steel
鋼構造年次論文報や集
Vol.19(November 2011)
第19巻(2011年11月)
ンプリングのための密度関数の選び方に解の精度が
10700
依存するという問題がある.それに対して,限界状
態関数から感度の高い確率変数を分離し,限界指標
アスファルト舗装 斥80㎜
RC床版厚 ’=190mm
の考え方を用いて効率的に破壊確率を算定する方法
が検討されている8FI3).しかし,各変数の感度が不
明な場合や感度の高い変数が複数あるような場合に
G4
G3
Gl G2
G5
は,必ずしも満足できる結果が得られないことがあ
る.近年,感度解析を自動的に行い,効率的に破壊
9
4 2200= 00
確率を算定する方法として,マルコフ連鎖モンテカ
図一1対象断面1
ル1コシミュレーション(以下,MCMC)を用いた
subset法14)が提案され,その効率化Isや有効性16)の
10700
検討が行われている.
600
そこで本研究では,鋼1桁橋を対象に設計変数の
9500 600
1250 3500 3500 1250
確率分布形を変化させ,subset法とMCMCを用いて
アZファルト舗装 に80
@ RC床版厚 同90mm
破壊確率を算定することにより,鋼1桁橋の破壊確
率に対する確率分布形の影響を明らかにする.
GI G2
2.解析方法
2.1破壊確率の算定方法Io・16〕
破壊確率の算定方法を以下に簡単に説明する.確
図一2対象断面2
率変数の空間内の破壊領域をFとし,破壊確率を
Pのとする、ここで,全体集合をFo,その部分集合
をFiと表し, Fm=Fとする.
Fo⊃F,⊃F,⊃’”⊃F,n=F
10700
600
600
(1)
1 500 3500 12
アスファルト舗装 r=80mm
破壊確率はこれらの部分集合を用いることにより次
@ RC床版厚 r司00mm 一
式で算定できる.
P(F)=P(F,n)
G2
G1
(2)
=P(F.IF、−1)P(En−11 Fm−2)…P(Fi l Fo)
RSQQLトー一一〇P−⇒
限界状態関数z(x),確率変数ベクトルxの確率密
度分布が与えられるとし,破壊状態をz<0と定義し
図一3対象断面3
て,破壊確率を算定する.計算手順を以下に示す.
4)z<0となるサンプルの個lft nfが十分な場合侮>ns)
には終了.そうでない場合はi=i+1として手順2)
発生させ,それぞれの限界状態関数の値を求める.
から繰り返す.
部分空間のカウンターをi_0とする.
以上の手順により損傷が生じたサンプルが十分得ら
2)限界状態関数の値を小さい順に並べ,Zl, z,J z3,…
れたら,次式によって破壊確率を求めることができ
とする.P(Fi.L IFD =ns/ ntとなる部分空間Fi.1を次式
る.
π5
e
号㌃
0
︶
<
=
P
F,+、一{。1,ω・c、.1},(r、+、−z・・+z…i(3)
Z
で定義する.
ー
ー
1)確率変数の密度関数に従って,nt個のサンプルを
通常のモンテカルロシミュレーションと同様に
(4)
2
3)MCMCによって,部分空間兵1内にnt個のサンプ
ここで,Izsは部分空間の大きさを決めるパラメータ
ルを発生させる.サンプルの発生方法については
である.本研究ではnF5000, ni500として解析を行
文献15),16)を参照されたい.
った.
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Proceedings of Constructional Steel
鋼構造年玖論文報告集
Vol.19 (November 2011)
第19巻(2011年11月)
は27N/1nm2,それぞれの鋼材特1生は表一3のように
表一1断面諸元
断面Nα
部位
幅×厚さ
imm)
x間
560×22
床版
2458×250
『
上フランジ
410×19
ウェブ
2200×11
SM490Y
SM490Y
SM490Y
断面3
x間
T0m
下フランジ
680×21
床版
5350x300
上フランジ
710×34
ウェブ
2750×14
下フランジ
1300×44
表一2作用モーメント内訳
断面1 断面2
合成前
?ラ重
ここで,1は,断面2次モーメント,砥.は,合成前
圧縮フランジ縁までの距離,(万は,鋼材降伏強度で
ある.また,玉は局部座屈強度,迦は横倒れ座
SM490Y
SM490Y
SM520
σ σ
y y
屈強度であり,それぞれ以下のとおりである.
1:∴}
1387
2522
床版
601.9
3638
13435
型枠
109.9
594
1638
P芸12( つ1一μ一π2k)
(7)
・−
単位:[kN・m]
表一3鋼材特性
ここで,bは突出部の長さ, tは板厚, kは座屈係数
ヤング
ボアソン比
(6)
断面3
92.1
鋼種
(5)
の死荷重による曲げモーメント,y。は,中立軸から
一
鋼桁
保証降伏点 つ困/㎜’]
°m
九
軟丁
下フランジ
たm.
一
1100×9
ついて考え,限界状態関数zは以下のように定義し
臨三
ウェブ
SM400
SM400
SM400
玉ら
290×11
σ
上フランジ
m
一
7∼
2198×190
=
x間
S0m
2.3解析に用いる限界状態関数
合成前曲げモーメントによるフランジ圧縮弓鍍に
床版
Q0m
断面2
鋼種
ー
ー
断面1
設定した.
Eは弾1生係数μはボアソン比である.
W数
mNんnm2]
235
355
355
0.3
2、Ox 10⊃
0.3
2.0×10
0.3
2.0×10
a・・b−1.0(α≦02)
σy
±=1.0−O.412(α一〇.2)
σ)・
2.2解析モデル
κ
︾一●
α
鋼1桁橋モデルについて行う.対象橋梁断面は,図
2一π
=
解析は,道路橋示方書に従い設計された3種類の
悟
SM400
SM490Y
SM520
(9)
一1∼図一3に示す通りである》.対象橋梁はすべて
単純合成桁で断面諸元と断面力の内訳をそれぞれ表
(10)
一1,表一2に示す.対象断面の支間長は,図一1の
対象断面①に対して20m,図一2の対象断面②に対
して40m,図一3の文橡断面③に対して50mと設定
ここで,bは圧縮フランジ幅,1は圧縮フランジの固
した.断面設計でクリティカルとなる支間中央部を
定点間距離んは腹板の総断面積,A。は圧縮フラン
対象とし,着目する主桁は,断面①に対しては許容
ジの総断面積である.
応力度の余裕が最も小さくなっていたG2, G4とし,
2.4確率変数
断面②に対しては活荷重断面力の割合の大きさから
確率変数とする設計変数は鋼材の降伏点隅,板厚t,
外桁(G1, G4)とした.断面③については2主桁で
弾性係数E,ボアソン比μコンクリート床版厚,合
あるためG1,G2とした.使用材料は,鋼材をSM400,
成前死荷重によるモーメント妬とし,それらの確率
SM490YおよびSM520とし,鉄筋をSD295および
分布を正規分布,対数正規分布,ワイブル分布と仮
SD345とした.また,コンクリートの設計基準強度
定し分布形が破壊確率に与える影響について調査し
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Proceedings of Constructional Steel
鋼構造年、人減文報告集
Vo玉.19 (November 2011)
第19巻(2011年11月)
表一4 確率変数の統計量
表一5破壊確率の平均値
不確定要因
平均値
基準値
標準偏差
鋼材降伏弓鍍
1,232
0.1011
正規
対数正規
ワイブル
断面1
243E−12
8.60E−14
3.58E−07
断面2
L59E−12
3.06E−14
3.82E−07
断面3
748E−14
148】}16
1.72E−07
コンクリート床板厚
1,050
0.0138
鵬
鋼材ボアソン比
LOOl7
0.Ol21
0,937
0,085
鋼材弾性係数
0,999
0,045
一正規分布
死荷重によるモーメント
1,000
0,010
…榊 ホ数正規分布
100
た.正規分布の確率密度関数を式(11),対数正規分布
一一頃’一一r
超50
0
純Cブル分布
の確率密度関数を式(12),ワイブル分布の確率密度関
§・・
懸50
(11)
0
Z(Nlmm2)
∫ω一 ナ討;ピλ1]
’
ナσ叶;学]
tOO
50
(b)断面2
0
書,4
100
O
∫ω一
Z(N/mm2) 50
(a)断面1
数を式(13)に示す.
∫ω一
0
0
50
Z(N/lnm2)
(c)断面3
図一4 zのヒストグラム
(12)
板厚のように確率変数に上限値,下限値がある場合
s⑭・桔⑭](13)
には,上下値を超えた場合には再度乱数を発生させ
て確率変数が制限値内になるようにした.その結果
得られた確率分布形が設定した確率分布に従ってい
鋼材の降伏点Oy,鋼材の板厚t,ヤング係数E,ボ
るかは,コルモゴロフースミルノブ検定を行い,1%
アソン比μコンクリート床版厚に対する乱数を発生
の有意水準で採択されることを確認した.また,板
させる際のパラメータには文献18)∼20)に示されて
厚の許容差はllS G3 1932i)によるものとした.
いるデータを用い,表一4ように決定した.
合成前死荷重によるモーメントMsの統計量は,床
3.解析結果と考察
版厚や板厚等の確率変数を表一1に示す平均値と標
3.1破壊確率
準偏差を有する正規分布とし,通常のモンテカルロ
解析によって破壊確率を30回求めて算定した破
シミュレーションを10,000回行って求めた.また,
壊確率の平均値を表一5に示す.どの断面において
対数正規分布とワイブル分布のパラメータはそれぞ
も,破壊確率は確率分布形によって大きく変わって
れ式(14),(15),および式(16),(17)を用いて求めた.
おり,最大で1.2×109程度も変化している.そのた
.1,−1。μ.14・
め,破壊確率に対する確率分布形の影響は大きいと
(14)
いえる.図一4に,各断面の限界状態関数zが0付近
2
う
4・−11、(1+9÷一)
のzのヒストグラムをそれぞれの確率分布ごとに示
す.ヒストグラムの裾野を比較すると,どの断面の
(15)
μ’
μ一
│・1〕・ω
場合でも対数正規分布の裾野が最も狭くなっている
ため破壊確率が小さくなるのに対し,ワイブル分布
の裾野が最も広くなっているため,破壊確率が大き
(16)
くなることが理解できる.
a2・
3.2各確率変数の破壊確率への影響の大きさ
M・1〕−F2〔1−+1m〕}
どの確率変数の分布形が,破壊確率に与える影響
(17)
が大きいかを調べるため,鋼材の降伏点句,板厚t,
ヤング係数E,ボアソン比μコンクリート床版厚,
乱数を発生させるにあたって,鋼材降伏点や銅材
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銅構造年、人論文報告集
Vol.19(November 2011)
第19巻(2011年11月)
表一6各確率変数の破壊確率への影響
対数正規
ェ布とする
鋼材降伏
ュ度φ
床版厚
@Pl
すべて正規分布
@の場合の
P四II
断面1
m率変数
破壊確率
表一7破壊確率の結果
j壊確率P“
482E−13
0,198
243E−12
0,999
1.20E−13
0,049
243E−12
1.34E−12
0,550
ボアソン
1.60]巳12
0,659
1.19El2
0490
@比μ
妬
ワイブル
m率変数
鋼材降伏
ュ度(ち
床版厚
鋼材弾性
W数E
糎
ボアソン
@比μ
眺
ワイブル
495
50.1
標準偏差
9.24
9.28
8二76
信頼性指標β
5.37
5.34
5!71
3.87E−08
477E・08
551E−09
破壊確率
243E−12
8.60E−14
358E−07
Zの平均値
73.8
73.6
746
標準偏差
13.8
13.9
13.1
信頼性指標β
5.35
5.29
一5二71
452BO8
6.22EO8
5.83EO9
破壊確率
159E−12
3.06E−14
3.82BO7
Zの平均値
77.1
76.9
78.8
標準偏差
140
141
13.3
信頼性指標β
5.52
5.44
5.93
1二70E−08
2.63E−08
1.54BO9
7.48E−14
L48E−16
1二72E−07
式(19)で計算
破壊確率
@、P1
オた破壊確率
すべて正規分布
@の場合の
PソP11
断面3
ェ布とする
対数正規
49.6
オた破壊確率
断面2
鵬
正規
Zの平均値
式(19)で計算
鋼材弾性
W数E
確率分布形
j壊確率P“
742E.11
30.6
2.43E−12
1.00
3.32E−07
136688
式(19)で計算
オた破壊確率
破壊確率
243E−12
239E12
0.99
β・振 (18)
2.14E−12
0.88
@ ρ=1一Φ(,B)=Φ(一β) (19)
L21E−12
050
「ずれの断面においても,信頼性指標βは分布形が
異なってもあまり変化していない.また,式(19)で求
ルなってもあまり変化していないまた式fl9、で求
められる破壊確率の変化は,最大でも14倍程度であ
合成前死荷重によるモーメントMsのうち,一っのみ
る.また,式(19)から求めた破壊確率と各確率変数を
を対数正規分布またはワイブル分布で仮定し,他は
正規分布と仮定して求めた破壊確率が大きく異なっ
正規分布に従ってサンカレを発生させ,30回破壊確
ているが,これは,各確率変数を正規分布で仮定し
率を求めた.その平均値を断面1について,表一6
ても限界状態関数zの値は確率変数の非線形関数で
にまとめた.表一6の結果から,対数正規分布とワ
イブル分布のどちらで置き換えた場合でも,鋼材弾
ある式(5)によって計算されるため,Zの分布形自体
は,正規分布にはならないことによる.ワイブル分
性係数Eの確率分布形を変化させた場合が最も破壊
布については,βの値が他の分布形に比べ大きいに
確率が大きく変化し,次に鋼材降伏強度(&の影響が
もかかわらず,本研究で求めた破壊確率も他より大
大きくなった.そのため鋼材弾性係数と鋼材降伏強
きくなっていることが確認できる.このことから,
度の分布形の違いが特に破壊確率に対する影響が大
同じ信頼性指標を確保するように設計しても,確率
きいといえる.
分布形によって破壊確率が大きく異なると言える.
3.3 信頼性指標と破壊確率
図一4に示したように,ワイブル分布ではzの値が
通常のモンテカルロシミュレーションでサンプルを
小さいほうの裾野が広くなっているため破壊確率が
50,000個発生させ,限界状態関数zの平均値zと標
大きくなる.一方,表一7に示したように,ワイブ
準偏差σから式(18)を用いて求めた信頼性指標βお
ル分布の場合のzの平均値は他の分布より大きく,
よび式(19)で求めたzが正規分布と仮定した場合のβ
標準偏差は小さくなる傾向にあるためβの値は大き
に対する破壊確率とシミュレーションから得られた
くなる.
破壊確率を表一7に示す.
67
釘構垣弔次論文報牛年
Proceedings of ConStructional Steel
第19巻(2011年11月)
Vol.19(November 2011」
4.まとめ
長舩徹:ケーソン堤の滑動破壊モードに着目し
破壊確率に対する確率分布形の影響は非常に大き
た効率的損傷確率算定手法について,海岸工学
く,確率分布形が異なればβの値が同じでも破壊確
論文集,第50巻,pp.896−900,2003
率は大きく異なる可能性がある.また,座屈破壊で
12)吉田郁政,原田光男,福本幸成,鈴木修一,安
は,鋼材弾性係数Eの確率分布形が破壊確率に与え
中正:LCCに基づく地中RC構造物の耐震設計
る影響か最も大きく,次に鋼材降伏強度(8の影響が
に関する研究,構造工学論文集,vol.47A,
大きくなった.今後の課題として,破壊確率に対す
pp.267−275, 2001
る各設計変数の平均値や標準偏差の感度を明らかに
13)鈴木修一,赤石沢総光,吉田郁政:地中RC構
することや同じ破壊確率を確保するために必要な断
造物の劣化を考慮した常時・地震時の信頼1生評
面の違いを明確にすること等が挙げられる.
価に関する基礎研究,土木学会第57回年次学術
講演会,VI−131, PP.261−262,2002
【参考文献】
14)Au, S−K. and Beck, J.L:Subset Simulation and its
1) 日本道路協会:道路橋示方書・同解説H鋼橋編,
Application to Seismic Rick Based on Dynamic
2002.3
Analysis, Joumal of Engineering Mechanics、 Vol.129,
2)MSUrO:1.[RFD Bridge Design Specifications,3rd
No8, pp、901−917,2003
Edition,2004
15)吉田郁政,佐藤忠信二MCMCを用いた損傷確率
3) Eurocode−Basis of Struc[皿al Design,2002
算定方法,土木学会論文集,No794/1−72,
4)村越潤,清水英樹,有馬敬育:鋼1桁橋の信頼
pp.43−53, 2005.7
性指標βの評価と部分係数に関する基礎的検討
16)Furuta, H., Miyake, K, Sato, T. and. Tsukiyama,1.:
構造工学論文集,Vol53A, pp.914925,2007.3.
Reliability Analysis Using Markov−Chain Monte
5)吉田遼一,中村聖三,高橋和雄:鋼1桁橋の信
Carlo Simulation, Proc㏄dings of the 9th
頼性指標βに対する確率分布形の影響,鋼構造
Korea−Japan Joint Symposium on St㏄l B㎡dges,
年次論文報告集,第15巻,pp、169−174,2007.11.
pp.17−28,2007.8
6)津田孝夫:モンテカルロ法とシミュレーション
17)独立行政法人土木研究所,土木研究所資料第
(三訂版),培風館,1995
4141号鋼道路橋の部分係数設計法に関する検討,
7)伏見正則:確率的方法とシミュレーション,岩
2009
波講座応用数学,1994
18)奈良敬,中村聖三,安波博通,川端文丸,塩飽
8)吉田郁政,鈴木修一:限界字震動指標を用いた
豊明:橋梁向け構造用鋼板の板厚および強度に
損傷確率の効率的な算定方法,構造工学論文集,
関する統計調査,土木学会論文集,Noフ5 M−66,
pp.201−206, 2003
2004.1.
9)吉田郁政,秋吉良樹,北爪貴史:限界地震動を
19)東海鋼構造研究グループ:鋼構造部材の抵抗強
用いた斜面の損傷確率の算定法,土木学会第58
度の評価と信頼性設計への適用(下),橋梁と基礎,
回年次学術講演会,皿,2003
1977
10)大鳥靖樹,吉田郁政,石川博之,武田智吉:限
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法
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