ラミクタール® 錠 発売1周年記念講演会 - Lamictal.jp

セミナー・講演会レポート
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ラミクタール® 錠
発売1 周年記念講演会
日時:2010年1月30日(土)15:00∼18:30
会場:帝国ホテル東京「富士の間」
てんかん治療におけるラミクタールの有用性
■小児期に発症するてんかんに対する有用性
岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 発達神経病態学 教授 大塚
頌子先生
極めて難治なてんかん患者50例にLTGを3ヵ月
投与時と6ヵ月投与時の50%以上発作減少率を比
以上投与した結果、2例で発作消失、66%の症例
較したところ、どちらの時点でも同等であった。6ヵ
で何らかの改善を認めた。特に難治として知られる
月時点では3ヵ月時点より50%未満の発作減少の
tonic spasmとtonic seizureに対する50%以
症例が増え、無効の症例が減少した。この結果か
上発作減少率は約30%で、発作消失した症例も
ら、投与開始3ヵ月くらいで効果判定が可能で、6ヵ
あった。50例の主な副作用は眠気、イライラ、睡眠
月くらいである程度の安定した効果が得られると
障害等であったが、比較的軽度であった。行動面に
考えられる。
対しては、53%の症例で、よく笑うようになった、活
さらに、2006年に開始された開発治験に参加し
発になったなどの良い作用が認められたが、6%の
た22例で、現在もLTGを服用しているのは17例
症例では気分のむらが大きくなるなどの悪い作用
(服用期間3年以上、全例中77%)である。77%と
が認められた。QOLに対して良好な効果を認めた
いう高い継続率は、有効性が高いだけではなく、副
症例が多く、発作への有効性が低くてもQOLは改
作用が少なく、活動性の改善などのQOLが改善す
善する症例もあり、QOLは発作コントロールだけに
ることも要因となっている。
(West症候群、脳炎・脳症後てんかんなどの4症例
よるものではないと考えられた。
LTGを6ヵ月以上投与した42例について、3ヵ月
を紹介)
■成人てんかんに対する有用性
産業医科大学 神経内科学 講師 赤松
直樹先生
新規抗てんかん薬の登場により、効果が同等で
も副作用が少ない抗てんかん薬を選べる時代と
副作用については、発疹の発現率はPHTやCBZと
同等であり、特にLTGで多いということはない。
なった。LTGは焦点発作か全般発作かの鑑別が難
当科でLTGを投与した21例では3例の発作消
しい症例、高齢者、妊娠可能年齢の女性、精神症状
失を含めて7例に50%以上の発作減少を認めた。
を合併するてんかん、難治全般てんかんに有用と
VPA単剤でコントロール不良な若年性ミオクロ
考えられる。LTGは脱落が少ないことや、高齢者を
ニーてんかんで、PHTやCLB、TPMなどが副作用
対象にした試験では治療継続率が高いことが報告
のため投与継続できなかった症例では、LTG併用
されている。LTGは奇形発現率を上昇させないこ
により7ヵ月間発作が消失しており、VPAとLTGの
とが報告されており、米国のエキスパートコンセン
組み合わせは、これまでの治療で発作が抑制でき
サスガイドラインの挙児希望の患者に対する薬剤
なかった症 例に対して有 効な組 み 合わせと思わ
としてはLTGがもっとも高い評価となっている。
れる。
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ラミクタールの「効能・効果」、
「用法・用量」、
「用法・用量に関連する使用上の注意」、
「警告・禁忌を含む使用上の注意」等については、
製品添付文書をご参照ください。
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ラミクタール 錠 発売1 周年記念講演会
■てんかんに伴ううつ症状に対する有用性
愛知医科大学 精神科学講座 教授 兼本
浩祐先生
LTGの抑うつ状態に対する有用性に関しては、
者では攻撃性の尺度(BAQ)スコアが、
うつ症状の
複数の試験で一貫して効果があることが報告され
尺度(BDI)スコアと相関し、イライラと元気のな
ている。LTGの副作用としての精神病症状の発現
さに関係があることがわかった。一方、
うつ病患者
率は10年で1400例中6例(0.4%)に発現した
ではBAQとBDIに相関はなかった。さらに、LTG
との報告がある。当科の研究では、全抗てんかん
のうつ 症 状に対 する効 果を検 討した 結 果 で は、
薬では1年で0.46%であり、LTGは他の抗てん
L T G 投 与によるB D I 、B A Qともに改 善を示し、
かん薬と比較して精神病症状との関係は少ないと
LTGはてんかん患者のイライラに有効であった。
考えられる。また、精神遅滞、自閉症をもつ症例に
LTGはてんかん患者のうつ症状に対して、非常に
対しては、LTGの攻撃性に対する影響は、相反す
有用性の高い薬剤である。
る報告があり、副作用が現れることがある。発現頻
(TPM投与後自殺念慮がみられ、LTGに切替えに
度は今後の検討課題である。当科の自閉症での経
より発作もほとんど消失、BDI、BAQともに改善を
験では、それほど悪くなる患者はいない。
示した症例、コントロール不良の複雑部分発作で
てんかん患者のうつ症状と、うつ病患者のうつ
症状の違いを当科で調査したところ、てんかん患
攻 撃 性 の 見られる患 者にL T G を 投 与し、B D I 、
BAQともに改善をみとめた症例を紹介。)
市販後報告
■SJS/TEN/DIHSの早期診断のポイント
昭和大学医学部 皮膚科学 教授 飯島
正文先生
DIHSがはじめて薬剤の添付文書に記載された
®
SJSは、発熱、口唇びらん、眼の充血、水疱・びら
のは、2005年7月改訂のデパケン の添付文書で
んなどの症状が現れる。SJS/TENは高度の表皮
ある。DIHSの原因薬剤は抗てんかん薬、アロプリ
細胞壊死が特徴である。TENはSJSと一連の病態
ノール、ジアフェニルスルホン(DDS)、メキシレチ
であり、体表面積に対する割合により区別される。
ンなどに限られており、薬剤投与後遅発性に生じ、
病態が進展すれば、SJS、TENは誰でも診断可能
薬剤中止後も遷延し、発症の2∼3週後にHHV-6の
であるが、早期診断はしばしば困難である。発熱、
再活性化を生じることなどが特徴である。初期症状
のどの痛み、粘膜症状、水疱やびらんを伴う多形紅
である皮疹に疾患特異性はない。皮疹(紅皮症)の
斑を認めた場合にはSJS/TENを疑うが、臨床所見
ほかに発熱、肝機能障害、好酸球増多、白血球増多
から粘膜病変を伴う重症多形紅斑(EM major)
と
などを認める。原因薬剤が限られているため投薬歴
SJS/TENの臨床的鑑別は難しく、確定診断には病
と発症経過から早期診断は比較的容易である。
理組織学検査が有用である。
S J S : Stevens-Johnson syndrome、
スティーブンス・ジョンソン症候群
(皮膚粘膜眼症候群)
T E N : Toxic Epidermal Necrolysis、中毒性表皮壊死症(ライエル症候群)
DIHS: Drug-induced Hypersensitivity Syndrome、薬剤性過敏症症候群
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ラミクタール 錠 発売1 周年記念講演会
本邦におけるラミクタールの臨床使用報告・てんかんの QOL
■小児科からの報告
森川クリニック 院長 森川
建基先生
L T G 投 与 5 6 例( 小 児 2 0 例 、成 人 3 6 例 )の
動 性 が 改 善 す る 症 例 も あ っ た 。有 害 事 象 は
62.5%で、発作が50%以上減少した。特に前頭
17.9%に認められたが、すべてLTG中止により
葉てんかん21例の17例(81%)では75%以上
寛解した。LTGは、前頭葉起源の打撲・骨折、ひい
発作頻度が減少し、有効性が高かった。発作頻度
ては生命の危険がある転倒を伴う複雑部分発作に
以外に発作の強さや長さの改善、精神症状の安定
特に有効で、小児期の複雑部分発作に対して早期
も認められた。さらに、転倒がなくなったことで活
から導入を考慮することが大切と考えられた。
■精神科からの報告
川崎医院 院長 川崎 淳先生
LTG投与65例中、58%に精神遅滞があり、幻覚
(15/58例)で、イライラ・不機嫌、活動性、集中力、
や妄想など合併症のある患者が多かった。このよ
妄 想に改 善 が 認められた。精 神 面 の 改 善と発 作
うに 難 治 例 が 多 い た め 、有 効 率 は 高くな い が 、
の改善には相関が見られなかった。副作用は31例
LTGは15%(8/53例)で50%以上発作頻度が
に 認 めら れ 、主 な も の は 眠 気 、ふらつ き などで
減 少した 。精 神 面 の 改 善 が 見られ た の は 2 6 %
あった。
■脳神経外科からの報告
奈良医療センター 院長 星田 徹先生
L T Gを投 与した2 1 例 中 7 例に有 効 性を認 め
さらに、てんかん性突発波の減少、睡眠時にみ
た。LTGは発作に対する有効性だけでなく、他剤
られた全般性棘徐波の消失、背景活動の正常化な
により認知機能の低下が見られた患者でLTGへ
ど、脳波所見の著明な改善を認める症例も経験し
の切り替えにより認知機能が改善した。患者自身
た。認知機能への影響の少なさや脳波の改善効果
による主観的な評価だけでなく、ウェクスラー成
については海外でも報告されており、LTGは発作
人知能検査(WAIS-Ⅲ)およびウェクスラー記憶検
の改善に加えて脳波所見の改善や言語や記憶な
査(WMS-R)でも、この効果は確認された。
ど活動性や認知機能の改善も期待できる。
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「用法・用量」、
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ラミクタール 錠 発売1 周年記念講演会
■神経内科からの報告
高尾クリニック 院長 高尾 明先生
13例のてんかん患者にLTGを投与し、4例で
れており、LTG投与後は治療をイヤイヤ受けてい
50%以上の発作減少を認めた。発作の減少だけ
るのではなく、むしろ積極的に参加するなどの通
でなく、LTG投与後に通院態度や生活態度の改
院態度や生活態度の改善が見受けられ、他剤の減
善、認知機能の改善した症例を経験した。発疹や
量が可能な症例もあり、長期にわたるてんかん治
肝機能障害などの副作用は経験しておらず、患者
療に適した薬剤であると考えられる。
の多くから、気分がよくなったなど高い評価が得ら
■てんかんのQOL
静岡てんかん・神経医療センター 診療部長
久保田 英幹先生
てんかん患者のQOLは健康な人よりも低いこ
なくなればQOLは改善することがわかった。また、
とが報告されている。また、てんかん特異的QOL
睡眠中の発作はQOLとは関係していなかった。ま
評価尺度QOLIE-31を使った海外と日本のてん
た、患者は発作の程度を医師よりも重要視してお
かん患者のQOL調査の結果を比較すると、日本の
り、発作が止まることがそれほど重要でない患者
患者のほうが社会的機能や薬物の影響に関連す
もいるということが考えられる。
るQOLが低かった。てんかん協会の患者を対象と
ラミクタールは、海外ではQOLの改善効果が報
したQOL調査の結果から、人目につく大きな発作
告されており、本邦においてもてんかん患者に対
は2年以上消失しない限りQOLは改善しないが、
して長期にわたるQOL向上に寄与することを期待
人目につかない小さな発作は消失しなくとも、少
する。
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ラミクタールの「効能・効果」、
「用法・用量」、
「用法・用量に関連する使用上の注意」、
「警告・禁忌を含む使用上の注意」等については、
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