国際標準化会議出席 報告書 日付:2011 年 11 月 10 日 公益社団法人 自動車技術会 会議名:ISO/TC22/SC12/WG7(交通事故調査解析手法) (Title:) ISO/TC22/SC12/WG7(Traffic accident analysis methodology) 開催日:2011 年 10 月 31 日(月) 出 席 開催場所:SAE Headquarter in Troy, USA 者 議長 :Joe Marsh (USA), Kaye Sullivan (Ford, USA), Richard Ruth (Ruth Consulting, USA), Koshiro Ono (JARI) WebEX 参加 :Anders Kurgren: (議長:Folksam, Sweden),Peter Claeson (幹事:MMS, Sweden), Anders Ydenius (Folksam, Sweden), John Hinch (USA), Mark Gielow (Mercedes Bentz, Germany), John-Fredrik Gronvall (Volvo Cars, Sweden) 外国(人数) 1. : 9 人,日本 1名 議長の挨拶 議長,幹事は WebEX での参加であるが,Anders Kullgren 議長より開会の挨拶があり,審議協力の要請が行わ れた. 2. 出席者の確認 3. 前回議事録の確認 特に,修正などはなし 4. WD 12353-3 Impact Severity Recording に関する逐条審議(添付 N387 資料参照) 前回の審議内容(WebEX Meeting を含めて)をもとに WD 12353-3 の改定案を N387 とした旨の報告が幹事より報 告され,次のようなステップで議論を進めた. 2-1 前回の WebEX 会議(10/18, 2011)後に見直された項目と残された項目の確認 2-2 残された項目に関する検討 1) 本文の再構成による Annex A の見直し 2) Figure 1(Figure 1 — Impact severity and injury mechanism/outcome (Dose – Response model)の見直し, これに伴い A.2.3 Contact velocity approach と B.2.2 Crash pulse contribution to research on human injury tolerance information の更新 3) 5.4 Derived velocity severity measures の見直し 4) A.2.3 Contact velocity approach が修正 5) A.2.4 Vehicle Pulse Index の追加 6) A.3 Surrogate acceleration pulse from delta-v の見直し 7) A.4 Handling of truncated pulses が追加 8) A.5 Description of peak 10 ms rolling average comparison の追加 主な審議結果 加速度データの 1ms と 10ms とのサンプリングの違いは Delta V の結果にそれほど影響を及ぼさない (CFC60 を採用して).従って,Delta V を導き出すのが目的であれば,10ms サンプリングで十分と言える. 注)このことから,人体に及ぼす傷害への影響を明確にするためには,両方のサンプリングレートの違い による影響をシミュレーションなどで確認する必要がある. 9) Annexes B (Application and use of data recorded), C (Misuse, limitations and traps), D (Examples of measured acceleration and analysis)について,ナンバリングの整理 10) D.3 Multiple events の見直し 11) Annex E (Calculation method for determination of t0 and tend, methods A, B and C) の見直し 12) Annex F Examples of pulses with calculated or measured pulse characteristics according to the methods described in this report の見直し 以上の議論をもとに,次回の WebEX 会議(12 月 5 日)でドラフト案(TI)を最終化する予定である. 5. Event Data Recorders に関する情報交換 各委員から次のような項目について報告された. 1) NHTSA EDR Final Rule 発行の状況,2014 年(乗用車), さらに 2017 年(商用車)に EDR が法規化する必要 があるとの議会の議論を受けて,審議が行われているとのこと.主には,①AIAM Petition, Alliance Petition, GM Petition の状況,②Automotive Occupant Restraints Council (AORC)のコメント,③Part 563 定義の見直 しとその明確化などが行われているとのこと. 2) Richard Ruth より,事故再現に活用されている EDR について,その開発経緯など踏まえて,次のような説明 が行われた.Ruth はすでにフォードを退職し,EDR に関するコンサルティングを行っている. ・ EDRは50年前にAustraliaにおいて,航空機の衝突事故を記録するための装置として開発された. ・ その後,さらに航空機の安全を確保するためにEDRの開発が進んだ. ・ 一方,自動車安全性確保のためにシートベルト着用が叫ばれたが,1970年代のベルト着用者は非常に少 なかった. ・ GMが1972年の最初にAir Cushion Restraint Systemを提唱した.しかし,その技術は成し遂げることがで きなかった. ・ 1980年代に実際の衝突事故データを集めるための装置開発とフリート試験が行われた. ・ 1980年代にTemoが機械的なスイッチを使ってエアバッグを展開させる装置を商業的に開発した. ・ GMは,1994年にSensing and Diagnostic Module (SDM)を導入した.これが最初の「衝突現象を電気的 にセンシングし加速度計によって計測するシステム」であった. ・ また,これが “ 衝突データを記録できる” 最初のセンサーとなった.すなわち,速度変化またはデルタ Vから記録し計算できる加速度であった. ・ GMは,これを電子センシングシステムと称した.その当時,車に搭載される電子モジュールはその他に なかった. ・ 技術が進展し,まもなくpowertrain control moduleからデータをCANバス(Conroller Area Network)を 介してエアバッグコントロールユニットに送ることができるようになった. ・ 1999年にGMはさらに衝突前の情報を記録するようにした.これは,衝突前5秒間の速度,ブレーキ作動 有無,スロットル開度,さらに1秒間隔のエンジン回転数の記録ができるものであった.2002年に,すべ てのGM車にこれが搭載された. 2 主な審議結果 ・ 2000年GMはVetronix Corporationとの共同でCrash Data Retrieval Tool KitとしてのSDMをレリースし た.Vetronixはその後Boschに買収された. ・ CDR は Crash Data 検索ツールであり,Crash Data Recorder ではない.それゆえ,CDR は“ Black Box” ではない. 6. 今後の WG7 の作業項目(Accident Causation Analysis)などに関する審議 WG7 から上程した本件の提案が SC12 から了承されており,活動範囲などについて審議する予定であった. しかし,時間がなく審議するまでに至らず,N342 Documents related to crash scenarios(下記資料)について の概要紹介が行われた.これらの活動内容などを参考にしながら,次回の WebEX 会議において審議すること とした.なお,どのような項目を優先して取り組むべきかについて,各委員の意見集約を事前に行うこととし た. 1) Accident-based safety rating of cars 2) Accident causation analysis – methodology, classification etc; 3) Pre-crash event coding; 4) Methodology for evaluation of effectiveness of active safety systems in real-world accidents; 5) Methodology for EDR data evaluation (expanded from ISO/TR 12353-3); 6) Methodology related to rollover accident studies; 7) Accidentology involving heavy vehicles 次回会議開催予定 先週の TC 会議において,日本での開催が候補となっている.後日の SC10, SC12 の会議において,自技会事務局 より,2012 年 5 月に日本での開催が提案された.ただ,開催日,会場については,まだ調査中でありペンディン グ.候補地を決め,関係者と日程調整を行いアナウンスすることとなった. 今後の処理(宿題)事項 1. ISO/WD 12353-3 Impact Severity Recording の見直し 2. 今後の WG7 活動:Pre-Crash を含めた活動に関する取り組みに関する日本の意見反映 所感・その他 最近の自動車安全技術の進展により,すでに作成した事故調査分析に関する用語,ならびにその適用に関する見 直しが必要となっている.特に,EDR や映像型ドラレコを適用した事故調査のあり方,ならびにそれらの情報を活 用した新たな視点での事故分析手法が必要になってきている.また,これらについては,予防安全や衝突安全など, 時系列的に独立したものとして取り組んでいたが,昨今の Integrated Safety(予防安全と衝突安全の融合)という 考え方をベースにした取り組みが必要となってきている.さらに,自動車メーカならず,保険会社などにおいても, EDR データを事故低減や被害軽減に効果的に活用するための事故解析手法が詳細に検討されている.また,米国で は 2014 年,2017 年の法規化の動きがあり,欧州では,政府のみならず関係民間機関などを含めて,EDR 活用に ついてのユーザーへの啓発活動が促進され,EDR の活用目的・仕様・特性,データ収集,情報展開などが行われて いる. EDR の活用(映像型ドライブレコーダを含めて)は,死亡事故の軽減のみならず,事故軽減をさらに強化するた 3 主な審議結果 めの手段として必要なツールとなることは間違いない.また,EDR などを活用した今後の事故解析のあり方につい ては, Accident causation analysis も目的とした EDR あるいはドライブレコーダの標準化作業が必要になってき ている. 配布資料 N388 Agenda36 Troy 2011.pdf N387 ISO DTR 12353-3 rev2011-10-18.pdf N386 N375R5 ISO DTR 12353-3 rev2011-09-27.pdf N385 N375R4 ISO DTR 12353-3 rev2011-09-09.pdf N384 RichardRRuth presentation EDR.pdf N383 JoeMarsh presentation EDR.pdf N382 Folksam Crash Recorder Paris.pdf N381 AXA Winterthur Crash Recorder Paris.pdf N380 Truncated Pulses KEVA presentation.pdf N379 N375R ISO DTR 12353-3 rev2011-07-04.pdf 以上 4
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