参考資料1 総合資源エネルギー調査会 原子力安全・保安部会 第43回 廃棄物安全小委員会 議事録 日 時:平成 22 年 12 月 13 日(月)10:00~12:00 場 所:経済産業省別館 11 階第 1111 号会議室 議 題: (1)クリアランス制度の施行状況の検討について (2)余裕深度処分施設の安全審査に向けた検討について (3)その他 1 武山企画班長 事務局です。今、出席されている委員の先生方は8名ということで、定足数が9名なため、 実はあと1名足 らない状況 でございます。したがいまして、審議事項は後回しにさせてい た だいて、報告事項から先に説明をさせていただくという形でお願いいたします。 資料確認を先にさせていただきます。 本日の資料ですが、お手元に議事次第があります。 そのあと、資料1-1として「クリアランス制度の施行状況」。 資料1-2として「クリアランス制度に関する規定類」。 資料1-3として「クリアランス制度に係る課題について(日本原子力発電(株))」。 資料1-4として「『廃止措置 とクリアランスに関する交流会』第 46 回原子力委員会報 告 (平成 22 年8月 30 日)と英・独最新事例」ということで、松田美夜子先生の資料。 資料1-5として、第 46 回原子力委員会で発表されました「『廃止措置とクリアランスに 関する交流会』における意見の整理」。 資料2として「余裕深度処分施設の安全審査に向けた検討について(案)」。 資料3として「放射性廃棄物規制に係る最近の状況について」。 参考資料1として、前回の議事録でございます。 過不足はございますでしょうか。 登坂委員 資料3が2つあるんですけれども、大丈夫ですか。 武山企画班長 対応させていただきます。 ほかによろしいでしょうか。 ございません ようでし たら、資料3に基づいて報告事項ということで「放射性廃棄物規制 に係る最近の状況について」御説明させていただきたいと思います。 これは前回の小委員会以降、動きのあったものに関して記載をさせていただいております 。 「1. (独)日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターにおける固体廃棄物の貯蔵管理 の不備について」でございます。 大洗研究開発 センター の廃棄物管理事業において取り扱われている固体廃棄物のうち、放 射能濃度が事業許可申請書等に記載された値よりも高いものが 12 体存在することが確認さ れた旨の報告を 10 月 12 日に受け、翌日機構に対して指示文書を発出しております。指示文 書の内容は以下 のとおりと いうことで、固体廃棄物の放射能濃度を事業許可申請書等に記 載 された値以下とするための措置を可及的速やかに実施し、その結果を報告すること。 2として、以下の事項について、本年 11 月 12 日までに報告すること。今回の不適切な廃 棄物管理の原因 及び再発防 止策、現在管理している廃棄物について同様の問題がないかに 関 する調査結果でございます。 上記の指示に関する報告書を 11 月 12 日に受領しております。以下のような内容になって 2 おりまして、上記1については、廃棄物を大きな容器に封入し直すことにより作業を完 了した。上記2については、それぞれ平成23年1月末及び平成22年11月末までに完了し、報 告をしますということでございました。 更に現在管理している廃棄物について、同様の問題がないかに関する調査結果に係る報告 書を11月30日に受領にしました。報告内容は以下のとおりということでございます。 当該施設で管理しているすべての廃棄物について調査した際、放射能濃度の記載のない記 録が確認されたが、これらの廃棄物については廃棄物発生元施設の評価方法に基づき容器表 面の線量当量率等から放射能濃度を評価した。 その結果すべての廃棄物について記載のない記録が補完され、今回、放射能濃度が事業変 更許可申請書等に記載された値よりも高いものとして発見された12体の廃棄物以外には同様 の廃棄物はなかったということでございます。 我々としてこの報告を受領した後、記録などを我々の方でまた確認をさせていただいて、 その結果この記載のとおりということで特に問題ないことを確認しております。 大洗研究開発センターについては、別途事業変更許可申請がなされておりまして、廃棄物 の処理設備についての増設の事業変更許可申請がなされていて、それを二次審査中だったん ですけれども、本件がわかって、その審査を一時中断したという状況になっています。本件 のこの報告を受けて我々の方で確認した結果、問題ないということがわかったので、審査を 再開させていただいておりまして、現在、二次審査を続行している状況になっております。 「2.日本原燃(株)廃棄物管理事業変更許可申請に係る意見聴取会について」でござい ます。 これは本年10月20日に日本原燃から提出されました廃棄物管理事業変更許可申請、フラン スからの返還廃棄物でございます。CSD-C、CSD-Bの管理を行うための廃棄物管理 施設(既設)の改造等に係るものの安全審査に関して、12月7日に第1回意見聴取会を開催 しました。事業変更許可申請の概要や今後の意見聴取会の進め方等について、原子力安全・ 保安院から説明を行い意見を聴取したという内容になっております。 次回からは、事業変更許可申請書の各項目について意見を聴取する予定としております。 事業変更許可申請の内容でございますが、次のページをめくっていただきますと、添付資 料ということでございます。 左側の上の方にフランス国のAREVA NC社からの返還廃棄物でございますが、そこ に ある赤枠で囲まれた返還される低レベル放射性廃棄物を輸送してきまして、右下の赤枠にあ ります既設の高 レベル放射 性廃棄物貯蔵管理センターの中に収納することになっておりま す。 このための改造をするというのが主な内容でございます。 以上でございます。 石榑委員長 どうもありがとうございました。 何か御質問はございませんでしょうか。よろしいですか。どうもありがとうございました。 3 定足数について、ちょっと異例の事態でございますが、今、事務局の方で調べていただい ているところで、その後、変更があって御欠席という連絡も現時点ではまだいただいていな いということですので、追っ付けおいでいただけるのではないかと思います。 とりあえず議事次第の最初は意見陳述をしていただいて、それをヒアリングするという形 でございますけれども、そこへ入らせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。 それでは、そういう形で進めさせていただきいと思います。 今、申し上げましたように「(1)クリアランス制度の施行状況の検討について」でござ います。最初に事務局からクリアランス制度の概要について御説明をいただきまして、その 後、実際にクリアランス制度の適用を受けた日本原子力発電株式会社さんから制度の実施状 況について、更に元小委員会の委員でもあり、皆様御存じのように前原子力委員の松田美夜 子さんから制度に係る意見について御説明をいただければと思っております。 まず最初に事務局からよろしくお願いいたします。 武山企画班長 それでは、説明させていただきます。資料1-1でございます。 2ページ目でございますが「クリアランス制度の導入」に関して、背景から説明させてい ただきます。 ここにありますように、発電用原子炉施設等の廃止措置が今後本格化してくるということ 、 廃止措置に伴い放射性廃棄物以外に放射性廃棄物として扱う必要のない廃棄物、放射性廃棄 物でない廃棄物が大量に発生するという状況が予想されるということです。 原子力施設から生ずる資材のうち、放射能レベルの極めて低いものを再生利用することは 、 資源の有効活用、循環型社会の形成の観点からも重要という認識です。 原子力施設から生ずる資材について、クリアランスレベル以下であることを国が確認する クリアランス制度を導入したということでございます。 国の確認を受けた資材は、原子炉等規制法の規制から解放され、通常の産業廃棄物または 有価物として廃棄物・リサイクル関係法令の規制を受けることになります。 3ページでございます。「クリアランス制度に係る主な規制手続き」でございますが、原 子力事業者で測定・評価方法の設定等を行いまして、国による測定・評価方法の認可を受け ることになっています。その後、その方法に従って測定・評価をし、記録もし、また物自体 を保管・管理することになっておりまして、更にそれについて国による測定・評価結果の確 認というものを行います。実質的には現場でJNESが行うことになります。その後、確認 されたものに対して保管・管理、搬出ということになりまして、それが再生利用されたり処 分されたりするという流れになっています。このように2段階の手続を踏んで世の中に出る というところが特徴でございます。 4ページは「クリアランス制度に係るこれまでの手続実績」でございます。 「放射能濃度の測定及び評価方法の認可」については、この1件ということで、日本原子 力発電株式会社東海発電所において用いた資材等に含まれる放射性物質の放射能濃度の測定 4 及び評価方法の認可でございまして、平成18年に認可申請をして、同年9月に認可をしたと いうものでございます。対象物は東海発電所の廃止措置に伴う撤去物のうちの金属くずとい うことで、推定量は約2,000トンでございます。 「クリアランス基準を超えないことについての確認」でございます。今度は認可をした後 の確認行為でございますが、それに関しましては2回出ておりまして、1回目は平成19年4 月に申請されておりまして、5月に確認をして公表している。金属くずについて107トンで ございます。 2回目は平成20年でございますが、同じく金属くずについて291トンを出しております。 5ページでございますが「クリアランス制度の定着に向けた活動」でございます。これは 当小委員会においてまとめた報告書の中で記載がありまして、原子力事業者においてはクリ アランス制度が社会に定着するまでの間、クリアランスされた物については、原子力施設由 来の物であることを了解済みの処理事業者や限定された産業廃棄物処理場に搬出すること、 また自ら率先して社会の理解を得つつ再生利用等を進めることを表明しているが、このよう な取組みは制度の円滑な定着に有効と考えるというくだりがございます。 実際にクリアランスされたものがどうなっているかということについて、日本原子力発電 株式会社のホームページでこのような記載がありまして、遮へい体、ブロック、ベンチ、テ ーブル、埋込金具といったものに、このような個数ずつ使われているという実績になってい るということでございます。 資料1-2でございますが、A3のものです。これは、今、私が説明をした内容を法律、 政省令、NISA文書と横に1列に並べた形で記載をしております。これから事業者が御説 明させていただきますけれども、折に触れ御参照いただければというものでございます。 以上でございます。 石榑委員長 それでは、引き続いて、日本原子力発電さんから御説明をよろしくお願いいたします。 日本原子力発電(山内殿) 日本原子力発電の廃止措置をやってございます山内といいます。 資料1-3について、私から原電における実績と制度に係る課題について御紹介したいと 思います。 1ページ目を見ていただくと、この写真は右上に垂れ幕が見えると思うんですけれども「日 本初のクリアランス物(東海発電所解体物)再利用のための搬出」ということで、ちょうど トラックにクリアランス測定が終わったクリアランス物をゲートモニターを通して搬出する スナップ写真になってございます。 2ページをめくっていただきますと、まず実績ということで、当社で行っていますクリア ランスの測定・評価の実績、確認と搬出の実績、3として再利用と理解活動の実績等につい て簡単に御紹介したいと思います。 3ページ目が東海発電所におけるクリアランスに係る法手続の経緯ということで、先ほど 5 事務局さんから御紹介いただきましたように、平成17年に改正された炉規制法が施行された 後、当社の方で測定及び評価方法の認可申請を行って、実際は保安規定等の変更も行いまし て、測定作業を実施しています。これまで都合確認申請は2回ほど行っていますけれども、 確認を得たものに関しては搬出をして、外に出して再利用ということで、測定・評価作業及 び確認作業についても、現在進行形で適宜実施中という状況でございます。 4ページ目、当社の現時点におきまして、対象物としてクリアランスの小物金属、要はこ この写真にございますように「クリアランス対象物」と書いてある青い箱に収まるぐらいの 大きさに切断された金属をクリアランスする場合、こういった装置をもってクリアランスの 測定をしてございます。 皆さん御存じだと思うんですけれども、クリアランスレベルは自然界の放射能レベルより も非常に低い基準を使ってございますので、逆にクリアランスの測定をするためには外から のバックグラウンドを遮へいしなければいけないということで、測定器というよりは遮へい しないとクリアランスの測定ができないという状況でございます。この装置でクリアランス の測定をするわけですけれども、測定重量としては1トン以内で、最大1.6トンまで測定でき ます。測定時間は1回の測定で約12分、そういった装置を使って、現在のところ小物金属の 場合はこういった形の測定装置を採用してございます。 5ページ目が これまで のクリアランス測定処理の実績を統計処理をした表でございまして、 ちょっと字が小さくなって見えづらいと思うんですけれども、これまでに東海で測定した実 績としては、815箱の測定を行っています。そのうち513箱については検出限界に至らないレ ベルであったということで、実際に測定・評価の濃度と検出下限濃度の相関をとったものが 左上のグラフになってございまして、斜め45度の線がちょうど濃度が測定限界になった、こ こにちょうど検出限界未満になった点が打たれて、その上にあるものが測定値が出たデータ になってございます。 右側にあるのがΣD/C、いわゆるクリアランス基準値と評価値の分数をとって、分数和 をとった数値になるんですけれども、これが1以下であればクリアランス以下と判断される ものですが、実際の現場での評価実績という意味ではΣD/Cが大体0.3~0.5ぐらいの分布 になってございます。測定値そのものではなくて、安全余裕を見た数値になっていますので、 実際はもっと低い数字になっています。 左下にあるのが月別の処理の実績でございまして、現在、平均すると月当たり25トンぐら いの処理実績になっていますけれども、初期のころは作業の関係と出てくる解体撤去物の形 状において小割にしたりしなければいけない場合がございまして、特に最近出てくる物も小 割にする作業に非常に手間がかかっていて、月別の処理の量がはけていないんです。最初の このころは30トン近くいっていたんですけれども、最近は処理に手間がかかるものが多くな ってきて、少し出方が鈍ってきているという状況でございます。 6ページですけれども、実際に測定が終わって金属をどういうふうに再利用しているかと いうところの外側の話でございますが、写真を見ていただくように、左側が先ほど表紙にあ 6 った発電所からの搬出の様子です。発電所から搬出されたクリアランス金属は鋳造鉄工所に 搬入されまして、その隣にある写真は鋳造鉄工所でフォークリフトで箱を運んでいるんです けれども、箱の中にクリアランス金属を入れてあります。ふたを開けた写真が右側にある炭 素鋼です。このようにクリアランス金属が入れられている。 そのクリアランス金属は左下にある溶融炉で溶融しまして、溶融しましたクリアランス金 属を固めて、例えば右下にあるように車両進入を防止するためのブロックですけれども、こ ういった形で製品をつくって再利用しているという状況でございます。 7ページ目がこれまでのクリアランス金属検認・搬出量の実績でございます。東海発電所 の廃止措置で発生するクリアランスの対象物は、トータルすると約4万トンほど予想してご ざいます。うち金属は約5,000トンで、コンクリートが3万5,000トンでございますけれども、 コンクリートはどちらかというと原子炉本体の解体が終わった後半部分に大量に発生するも ので、現在は金属の機器類の撤去物が中心になってございます。 第1回の測定判断の方法の認可対象としては、金属約2,000トンほど、汚染分布が同一と見 られるエリアの金属類が認可対象になってございます。 これまで撤去済みは約1,000トンほど撤去されていて、測定・評価済みは先ほどの実績にご ざいますように約770トン測定・評価が終わっています。 ドラムヤード、いわゆる廃棄物貯蔵倉庫に保管している270トンはクリアランスの制度が できる前に廃止措置を行って解体されたものを一時的にドラムヤードに保管しているもので ございまして、現在、適宜ここに保管されているものも測定・評価をしながら作業をやって ございます。 国の確認が終わったものが約400トンございまして、搬出待ちテントに保管されているも のが370トンほどございます。ここも適宜確認申請を進めていきたいと思ってございます。 国の確認が終わった400トンのうち、既に鋳造加工で使用済みのものが11月末現在で151ト ンございますけれども、実は先週20トンほど出ていきましたので、現時点では170トンほど になってございます。 搬出待ちエリアに今250トンほど保管しているという状況でございます。 8ページがクリアンス金属の再利用実績ということで、これまでにクリアンス金属を搬出 していろんなものに加工してございますけれども、最初はJ-PARCさんで遮へい体に使っ たり、特に広報活動、理解活動に使えるようにということで、ベンチやテーブル等々に加工 して電力関係者等々に利用していただいているという状況でございます。 1つの例ということで、9ページ目にございますけれども、金属製のベンチです。写真が ございますが、最近は電力だけではなくて国にも御協力をいただきまして、文部科学省さん の副大臣室に置いていただいたり、内閣府さんの地下1階の講堂に設置していただいていま す。実は本経済産業省の別館のロビーの1階にも背なしのベンチが2脚設置されております ので、もしよろしければ帰りにでも見ていただければと思います。この背なしのベンチが置 いてありますので、わかるかと思います。 7 10ページ目はちょっと違う話でございますけれども、放射能評価計算の入力誤りというこ とで、これは前回か前々回に御紹介があったと思いますが、本年2月にクリアンス測定及び 評価方法の認可 申請で使用 していた放射能計算の入力に一部誤りがあることが判明しまし た。 理由ですが、実はクリアンスのためではなくて、放射性廃棄物の処分を考えた際により詳細 に放射能計算をする必要があるということで、ここの計算をやり直していたところ、一部細 かいところなんですけれども、クロスチェックの段階でおかしいということがわかって、よ くよく調べてみたら、これは平成3年の段階で計算をしていた非常に古い計算なんですが、 そこのところに一部誤りがあったということが判明いたしまして、それを踏まえて解析計算 に係る品質保証ルールが制定前の申請であったことから、クリアンスの申請書に係るすべて の解析計算の総点検を実施しました。 その結果でございますけれども、11ページです。申請書に関連する一連の解析データをす べて現在の品質保証体系に基づいてチェックをしたところ、5項目の誤りと数値計算、表計 算のところで2項目の転記ミスの誤りが判明したということです。影響範囲を確認したとこ ろ、いずれの誤りもクリアンスの判断には直接影響しない誤りであったことが確認されてご ざいます。 既に解析計算、申請に係る解析においては、今後品質保証活動を展開するということで社 内では周知されておりますけれども、今回の事例を踏まえて事例教育など更にチェック機能 を強化するという対策をまとめて、これは本年7月に規制行政庁さんに報告が終わっている ところでございます。 12ページからが今後の課題ということで、私から4点ほどの課題について御紹介したいと 思います。 1つ目が規制制度全般の話というか、クリアンスの手続の話として、13ページになります けれども、先ほどから話しておりますように、手続としては方法の認可を行った上で更に確 認という2段階の規制を敷いてございます。 更に上記に加えて、品証の観点から保安規定と保安検査でクリアンスに係る保安活動を確 認いただいているというのが実態でございますけれども、これについては本小委員会の報告 にも記載されておりますが、これは平成16年にまとめたクリアンス制度の整備の報告書の中 にちゃんと書いてあります。クリアンスのリスクレベルは非常に低いんだけれども、炉規制 法から外に出すという初めての試みであるということを踏まえて、より厳格にやるように2 段階の規制でいきましょうと書いてあります。ただし、制度が定着し実績が蓄積された時点 で2つの段階を1段階とするなど、より柔軟な方法も考慮すべきであると記載されてござい ます。 当社としては七百何十体測定した実績があるんですけれども、適切なタイミングで1段階 の規制、これは方法の認可に基づく行為規制または確認という物の規制のどちらかに見直し していくことを是非検討いただきたいと考えております。 14ページが、今、申しました法規制の概要で2段階です。発電所から出すためには、クリ 8 アンスをするためには2段階の規制ということで、測定・評価の申請等をやって認可いただ いて、更に実際に測定を行った後、物の確認を受けるために申請をやって確認をするという 2段階の申請をこういった形で進めています。 品質保証の体系なんですけれども、15ページにありますように、原子炉等規制法の下に施 行令がございまして、実際に細かいところは省令があるんですが、更に保安院さんで内規を 規定していただいています。 下の方になりますけれども、それに基づいて具体的に事業者側は測定・評価の申請だった り、保安規定の申請があったり、評価結果の確認申請をやる。品質保証に基づきまして、事 業者では更に保安規定の下に二次文書、三次文書、現場のマニュアルに至るまで細かい規定 がつくられて、これを厳格に守っているというのが状況でございます。 これが1点目でございます。 2点目は16ページです。これは直接規制制度の話ではございませんが、一般的な再利用に 向けてということで、先ほどの制度の最後の施行状況の方で御紹介がございましたように、 制度的にはクリアンス物の再利用については全く制約がないもので、国の確認を受けたもの は一般的に利用できますということなんですけれども、当面、電力業界内または起源了解済 みのユーザーによる再利用ということで、限定的な再利用を進めること、これは事業者の方 針として表明をしてございます。 国の方も限定利用については制度の理解を得る上では非常に有効だということを言ってい ただいてございまして、クリアンスの理解活動と再利用の使用実績、この辺を踏まえて事業 者側から一般的な再利用への移行については提案していきたいと考えてございます。 これは事業者側から提案を受けた形で、当小委員会等で事業者提案を確認いただいた上で 、 一般的な再利用に移行したいと考えてございます。 具体的には17ページにございます。一般的な再利用に向けた事業者側の活動としましては 、 事業者を中心に、今、推進会議体を設置しまして、まずは理解活動ということで各種広報媒 体を活用したPRを推進したり、講演会、動画配信の活用をしたり、先ほど御紹介しました 再利用したベンチなどが理解に非常に役に立つのではないかということで、ベンチ設置の拡 大などを進めていきたい。 それから、ベンチ以外にもクリアンス物の再利用の促進ということで、事業者内でまずは 率先して再利用するということで、よりたくさんのクリアンス再利用を進めることの具体化 を図っていきたいと考えてございます。 これが2点目でございます。 3点目以降はどんどん細かくなるんですけれども、3はクリアンスの対象物に関する話で ございまして、現行省令を見ますと、クリアンスの対象物は金属物とコンクリートの破片、 ガラスくずの一部に対象を限定ということで、具体的にいうと先ほど資料1-2という法令 等々を一覧表にした資料がございますけれども、それをめくっていただきますと、4/14ペ ージ目の真ん中ほどの第2条というところで、クリアンス濃度の基準という条文がございま 9 して、ここにクリアンス物の対象が限定されてございます。金属くず、コンクリートの破片 及びガラスくずのグラスウールとロックウールに限るというところなんですけれども、実は 原子力安全委員会でクリアンスレベルを計算した際の算定評価の前提におきましては、可燃 物を除いてクリアンスレベルは算定されていて、特に品目を限定するようなことはされてい ません。 3つ目の○なんですけれども、東海炉の解体工事につきましては、金属くず、コンクリー ト破片等々以外の対象物も実際には発生していることもございますので、これも適切なタイ ミングを見はからって省令の対象物については是非見直しをいただきたいということでござ います。 19ページ目は実際にどんな物が出ているかという例なんですけれども、これは省令対象以 外のクリアンスの発生状況ということで、東海で出てきている濃度的にはクリアンス相当の ものなんですけれども、対象物から除外されているものとして保温材です。東海がつくられ た時代というのは、昭和30年から40年ぐらいの時代でございまして、保温材についてはアス ベストが含有されているものがかなり使われていたということで、黄色いものがアスベスト 含有保温材です。これが幾つか出てきております。 右側にありますように、現在も既に50トンほど発生して、建屋内に一時保管中ということ で、今後も約20トンほど発生するかと思います。保温材はトン数はそんなに多くないんです けれども、結構かさが多いのでボリューム的に将来置き場所に非常に困ることになるという 状況でございます。 20ページ目です。まだこれは対象物にはなっていませんけれども、左側の原子炉建屋の外 壁というか、壁がスレートの壁になってございまして、その内側が若干汚染の可能性がある ということで、建屋のスレートの壁については非飛散性のアスベストということで、壊さな ければ有害として扱う必要がないものなんですが、これが約60トンほど見積もられておりま す。 右側は原子炉建屋の鉄筋コンクリートの壁です。これは省令の書き方だけの問題かもしれ ないんですけれども、省令の書き方がコンクリートの破片と書かれているがゆえに破砕され ていない鉄筋コンクリートは厳密にいうと対象の外になってしまうということで、これも省 令の書き方の工夫を是非お願いしたいと思います。 最後もどんどん細かくなるんですけれども、放射能濃度の評価単位についてでございます 。 先ほどの作業の実績のところで、現場作業としてはクリアンスの測定・評価に多くの労力と 時間がかかっていることもございまして、この辺は科学的、合理的に工夫する余地がないか というところで検討しておるんですが、事業者側としてはできる範囲で今やろうとしていま す。 評価単位を決めるときには、原子力安全委員会の報告と小委員会の報告では数トン以内と 記載されていて、更にある程度濃度のばらつきがあっても処理過程の平均化の効果などで線 量目安値に対する被ばく上影響はないということが安全委員会の報告でも評価されて、記載 10 されてございます。 最後のページでございますけれども、実際評価単位についてはどういうふうになっている かということなんですが、評価単位は原則1トン以内が内規に記載されていまして、ばらつ きがないものについては最大10トンまで範囲が広げられると具体的には書いてございます。 更に100kg程度の測定単位ごとに著しい偏りがないことを確認しなさいと内規に書いてご ざいまして、実はここが一番大変なところです。100kgの単位についてはウランのクリアン スの報告書のところで規定しない方向で、今、整理されていることもございますので、でき れば評価単位と全数の偏在確認についても科学的合理性に基づきもう少し検討いただければ 事業者としてもより合理的な測定ができるのではないかと考えております。 私から以上でございます。 石榑委員長 どうもありがとうございました。 御質問等がおありかもしれませんが、最後にまとめて御質問をお受けしたいと思いますの で、引き続き松田さんから説明をよろしくお願いいたします。 松田殿 松田美夜子でございます。お招きいただきまして、どうもありがとうございました。 私が今日いただきましたテーマは、原子力委員会で私が委員のとき、廃止措置とクリアン スに関する交流会という自主的な勉強会が行われまして、その後、秋葉委員に引き続いて現 在も続いております。その報告と私自身も原子力委員になる前はこの小委員会の委員として、 クリアンスの法律制定に関与していましたので、今後のクリアンスの方向性は市民目線から 見てどういうふうにしていただきたいのか、どういうことを考えていただきたいのかという 提案をさせていただきたいと思います。 私が今日使います資料は、お手元にございます「廃止措置とクリアランスに関する交流会 」 報告です。実をいいますと、委員の自主的な交流会が原子力委員会の定例会で報告をすると いうことは、めずらしいことです。この勉強会に御出席いただいた方たちは、資料の後ろか ら3枚目をめくっていただきますと、添付2というものがございます。11ページに出ており ますけれども、トータルで大体毎回50人ぐらいの方たちが御出席になるというすごい勉強会 になりました。 この交流会のそもそものきっかけは、NHKが2009年春にNHKスペシャル「原発解体」と いう番組をつくるというニュースが入りまして、ドイツやイギリスを取材するとのこと。廃 炉解体の番組ができるときに、その取材現場を原子力委員のだれも見に行っていないのが個 人的にまずいと思いました。現場を見ないでNHKが制作した番組にコメントは書けないので はないかと思って、NHK取材班の記者たちが行く現場を私目線で見てこようということで 、 個人的に行ってまいりました。 行ってみて、イギリス、ドイツにおけるクリアンスの状態というのは、日本の10年先以上 をいっているのではないかと驚きました。まずは情報公開をすることだと思いまして、関係 11 する皆さんに視察報告の案内状を出しましたら、何とこれだけの方に集まっていただきまし た。 交流会発足にあたり私が考えましたのは、クリアンスの法律はできているわけだから、市 場に受け入れていくときには環境省さんとの連携が必要である。法律ができたからこれでい いですというのは、法律的にはいいんだけれども、社会がどう受け止めるかというところの 議論と物が動く仕組みは環境省と連携をとらなければいけないだろうと思いました。環境省 さんのところにも伺いまして、交流会をスタートしました。最初は交流会というよりも勉強 会だったんですけれども、だんだんと、参加者間の対話が活発になり交流会になってきまし た。 この交流会の特徴は、今までの原子力分野の方だけではなくて、産業廃棄物のリサイクル を担当している経産省産業技術環境局リサイクル推進課、環境省の破棄物リサイクル対策部 のリサイクル推進室、適正処理・不法投棄対策室、国土交通省総合政策局の建設業課、同国 土交通省事業総括調整官室、文科省の研究開発局の原子力計画課、原子力課、原子力安全・ 保安院、資源エネルギー庁の放射性廃棄物対策室、原子力安全委員会、JAEA、電事連、 各電力会社、RANDECの大勢の方たちに入っていただきました。 この委員会は何でこんなに出席者が多かったんだろうかと思いますと、やはり国の皆さん が積極的にこの委員会に参加されたことによって、電力関係の方も熱心に通って来られたの ではないかと思っております。根井審議官には本当にお世話になりました。そして、原子力 委員の何人かも毎回この会に参加していただきました。 その交流会のとりまとめで皆さんが提案されたことは、英・独の廃止措置について学んだ ことから出ておりますので、本日は廃止措置とクリアンスに関する交流会の中で使われた資 料を基に、現在のイギリス、ドイツの状況をまずご 説明し、それから交流会での意見のまと めを報告し、その後に私見を述べたいと思います。 それでは、資料1-4をごらんください。カラーのパワーポイントになっております。 廃止措置とクリアンスに関する交流会で励まされましたのは、交流会に参加する皆さんか ら原子力委員会の定例会にこの交流会の取りまとめを報告させていただきたいという声が上 がってきたことです。それが実現しました。そのおかけでこの交流会で使いました膨大な資 料は、全部原子力委員会のホームページの8月30日の中で公開されておりますから、是非ご らんいただきたいと思います。 それではお手元の資料「本日の話題」の「1.廃止措置とクリアンスに関する交流会発足 の経緯」についてはお話をしましたので「2.英・独の廃止措置」について簡単にお話させ ていただきたいと思います。 廃棄物問題は環境省や経産省の審議会のメンバーとして、私は30年近く関わってまいりま したけれども、廃炉措置について現場を視察したのは初めてございます。英国ではセラフィ ールド、その政策を支援しているCoRWMという放射性廃棄物管理諮問委員会、ドイツで はグライフスヴァルト、とOeko-Instituteという政府系の放射性廃棄物のシンクタンクを訪 12 問しました。 5ページは「英国の廃止措置」です。今日は専門家の方の会ですから御存じだと思います が、私が驚いたのはイギリスは廃炉になる原子炉が非常に多いということです。2009年現在 では25基が廃炉措置中になっていますけれども、2023年には1基以外は廃炉措置の対象にな るということで、原子力政策においても新炉の建設と廃炉に対する政策の推進というものが 見事に進んでおりました。2008年1月に出したイギリスの新原子力白書の中でも廃止措置に 力点を置くと政策的に明記されております。 イギリスでは、セラフィールドが廃炉措置が一番進んでいるところでございますが、ここ は広大な敷地の中にウィンズケール発電所、コルダホール発電所、再生処理等の燃料再処理 施設があり、再処理施設以外は廃炉措置に入っています。 廃炉措置のやり方としては、迅速解体、あとは100年とか80年間原子炉をそのまま保管し ていく原子炉の放射能の減衰を待つやり方と2つありました。 イギリスは、具体的に解体が始まっている現場を見てきたんですけれども、実際に廃炉の 真っ最中ということで、ロボットを活用する迅速解体など、いろいろな技術開発をしながら 着実に廃炉工事を実施している状況でした。 ドイツの事例を御報告します。個人的に驚いてしまったんですけれども、ドイツも廃炉に なっているものがたくさんありました。なぜかといいますと、東ドイツと西ドイツが統一さ れたときに、東ドイツの方はロシア系の原子炉を使っていた。ですから、チェルノブイリ型 を使っていた。このことに対してEUの政府の専門家集団は、これを全部廃炉にしてしまう ということを決定しました。 ドイツのグライフスヴァルトの事例は資料の16ページに入っています。2006年現在の写真 ですが、2.7km×1.7kmと広大な敷地の中に原子炉施設が8基ありました。それをすべて廃 止措置にしました。総費用は32億ユーロ、4,352億円を使って廃炉措置にするということを決 定しました。 17ページには旧ロシア型原子炉、いわゆるグライフスヴァルトの原子炉の図が載っており ます。 新しく建設中のものが2基あって、1か月しか動かさなかった炉が1基あって、4基は通 常運転に入っていたわけですけれども、それを全部解体しなければならなくなったグライフ スヴァルトの技術者の方たちの痛みを感じました。けれども、彼らは自分たちがつくった炉 だから、自分たちが解体のプロになるということで、EWM社というものを設立して、これ は政府出資の民間の会社ですけれども、解体のプロとして変身を遂げていきます。この場所 の廃止措置は2012年に終わることになっていますから、あと2年で完了します。 放射線部の撤去方針ですけれども、1~5号機の原子炉圧力容器は切断しないで、中間貯 蔵するということで、あとは解体をすることになるわけです。 22ページには、1990年10月にドイツが統一されたときのグライフスヴァルトの状況をまと めています。 13 ポイントは24ページを見てください。グライフスヴァルトで発生する解体物量です。8基 の中で一度も使われなかった1基は国民のための原子炉の見学博物館になりました。建てた 原子炉が博物館になってしまったわけですけれども、本物の原子炉の中を見学できるわけで す。私が行ったときにも見学者がたくさん来ていました。 新しく建設中の2基というのは廃炉解体からは抜けるわけですから、対象になっていく解 体物量は原子炉としては5基、180万トンが出てくるわけです。180万トンの中でクリアンス をしていくものとクリアンスをしていかないで、フリーリリースといって市場にそのまま出 ていくものとがあるわけですけれども、結論からいいますと、最終的に埋設処分するものは 180万トンの中の1.65万トンです。 そのほかは管理区域外で発生するもの、クリアンスで出ていくもの、敷地の中で使ってい くもの、または高レベル廃棄物を地層に埋めると きの容器になっていっていくものなど、見 事に市場ができていました。 25ページのところを見てください。これがグライフスヴァルトの解体物量です。 どれぐらいの費用になるかということも書いてありますから、これもごらんいただきたい と思います。 私は原子力の専門ではなくて、市民目線で原子力を勉強し続けている者なんですけれども 、 27ページを見てください。これは私が行ったときのグライフスヴァルトの建物です。解体の 仕組みが大分進んでいるところなんですが、手前にある長い建物がタービン建屋で、長さが 1.2kmあります。既にこれは解体を終えて、中はレンタルで企業に貸し出していました。1 つはドックをつくっていまして、船の建設をしておりました。1つは世界で一番長いクレー ンをつくる会社に貸し出しておりました。 28ページ「タービン建屋の解体(1)」を見てください。だんだん解体が進んでいくわけ ですが、解体後の写真というのが30ページに入っておりまして、1.2kmのタービン建屋の中 を建物の残した形で改造していった形、つまり28ページにあるような複雑なタービンのもの は全部解体されて、今は造船会社がドックとして使っているということです。私は日本の将 来の原子炉発電所の姿をドイツのグライフスヴァルトからいいお手本事例として学べると思 っていました。 ここまでは廃炉措置の関係です。この小委員会に余り関係のない部分です。それでは「除 染とクリアンス」というところに入っていきたいと思います。原子炉から出てくる180万ト ンの廃棄物をシステム的に解体していくために、どのような仕組みができ上がっているかと いうことになります。 圧縮、切断、蒸発などの作業機械室というものがあって、これは入り口だけですから、両 サイドにいろんな機械が並んでいます。 蒸気発生器の切断施設とかいろんな切断施設があります。こういうシステムは規制の担当 者だけではなくて、日本でも環境省の解体専門の方の御意見を聞くとうまくいくんだろうと 思いました。 14 除染処理についても40ページにさまざまなものがありますが、こういうノウハウは環境省 サイドで持っていらっしゃるところだと思います。 41ページに白い服を着た方がおられますが、これは放射線が高いからこの服を着ているの ではなくて、粉が舞っていったら体に対していい空気を吸わなければいけない。空気が汚れ ているわけでもなくて、放射線が高いから着ているわけでもなくて、これは単なる作業服で す。 43ページに入るんですが、こういうふうに解体されていったものが低レベル放射性廃棄物 の収納コンテナに入って、除染施設へと入っていく。 44ページです。ここも広大な敷地でした。 そして、あらゆるものをリサイクルできるように、例えば45ページは電線のプラスチック と銅とをきちっと分けていく。この図は工場内の現場でクリアンスの検査をしてきたものを 、 もう一度検査施設でクリアランスの検認をしていくところです。 47ページ「検認システム」に入っていきます。 私は原子力委員のときに日本のいろんな施設を見学させていただきました。原子力発電の クリアランスの仕組みも拝見しましたし、ふげんの現場にも足を運びました。皆さん大変熱 心に法律を守ってきちんと仕事をされているんですが、社会システムとか経済性というとこ ろを社会的に構築してあげないと、なかなか広がらない御苦労が多いだろうということをつ くづく感じました。 48ページはクリアランス検認を待つ資源です。 49ページはクリアランスの検査施設です。目の前にあるものが検査施設です。 49ページの手前の場面を拡大したのが50ページです。本当にシンプルな施設なんですけれ ども、性能がいいんだろうと思いました。なぜかというと、60秒で測定ができてしまうんで す。 51ページを見てください。先ほど50ページで見た検認の場所というのは奥の方にあって 、 検認待ちのコンテナが手前にあって、52ページが検認の測定装置で、手前のプラスチックの ケースの中に検認物を入れて、それを左側の機械に入れて、16個のプラスチックシンチレー ターを用いて60秒ぐらいで測定をします。 そこで働いている方たちは恐らく資格を持っていらっしゃる検認の測定士なんですが、全 部女性でした。 54ページですが、たまたま行ったときに検認の測定結果でパソコン画面にぽんと赤が出て きたんです。53ページは私が撮った写真なんですけれども、これ何ですかと言ったら、これ はレッドですから検認の除染処理をもう一度やり直すものです。緑が出ると検認結果は伝票 に緑のマークがはられて市場に出てOKなんですけれども、赤いランプがついたものはどの 辺りに汚染があるかということがわるんですということを教えていただきました。 55ページに入っていきます。検認シールです。緑のものはシールの上に緑をはって、作業 員の方が検査士からもらった緑のラベルをはると、そのまま市場に出ていくということです 。 15 確認の画面をきちんと翻訳しましたら、こういうふうになっていました。 添付データもここにありますが、拡大して読んで翻訳しました。 やはりこういうふうに確認データとか添付データのフォーマットも日本ではちゃんと整理 をしていかないといけないのではないか。電力業界でふげんと日本原燃は同じ記録量を使っ ているんだろうと思いまして、そういうことも日本でこれから必要なのではないか。 58ページに同じ図が出ていますけれども、こういう形で見事に市場に出ていっています。 極端なことをいうと、ここで出てきた上等な資源、金属類は市場に出ていくわけですから、 普通の鉄として使われているわけで、日常生活の中に入っても何ら問題はないということに なります。 更地にした後の活用なんですけれども、ヨーロッパはつくづく1つの国だと思うんですが 、 グライフスヴァルトの跡地は例えばデンマークのエネルギー会社があったり、ロシアの天然 ガスのドイツ側の上陸地点になったり、クレーン会社はリプラという会社が入ったりして、 跡地に各国の旗が立っていました。 ここで開発した技術を彼らは国際社会の中でビジネスとして売りだろうとしています。ド イツのグライフスヴァルトでは、たまたま私が行ったときに中国と連携をしていく契約がで きたと話していましたし、ロシアのUボートの原子力潜水艦の解体を160体も受け持ってい るということで、マニュアルは完成をしているわけです。 そういうことを踏まえて「日本の廃炉措置とクリアランス」です。廃炉措置とクリアラン ス交流会で集約されてきた課題、山内さんからも少し御発表がありましたけれども、交流会 ではこういうことを勉強し、環境省からも循環型社会の取組みを学び、電事連からもふげん からも学び、英国の金属利用も御紹介いただきました。そして、国交省からも学び、火力発 電所は建設リサイクル法で見事にモデルケースになっている電力会社ですので、そのことも 学んで交流会のとりまとめをさせていただきました。 今日山内さんがお話になったのは今の最新の情報ですが、私たちがこれをまとめたのは今 年5月でしたので、このときのデータベースが基になっています。 67ページになります。大きな結論は、日本の場合クリアランス制度はできたけれども、検 認後の資源が市場に出ていく仕組みができていない。社会が漠然とした不安を持っている。 0.01のクリアランス基準を決めて5年になりますが、そろそろ次の展開が必要である。 「今後の政策課題」として、交流会の意見の集約をまとめました。 69ページです。3基軸の取組みが重要です。行政基軸、事業者基軸、国民理解基軸を持っ てフリーリリースにしていく。 行政的な課題はどこの省庁が主導で検討を進めるのか。省庁連携によるWGの必要はない か。 3軸がバランスをもって進めることが肝心だけれども、既に現在は電力会社の努力の中で 東海村とか茨城県などで調整中と伺っていますが、これも電力会社だけではなかなか進まな い。やはり行政的な政府の励ましが必要だろうと思っています。 16 事業者基軸から課題を見ていくと、経済性の成立するシステム、規制の緩和とかリサイク ルの規模、風評被害、ガイドラインなどが必要になっていくだろう。 国民理解軸の課題としては、クリアランス利用を循環社会構築として受け入れる社会シス テムの構築、環境省との連携、環境省の委員会との連携、第三者機関というものの設置の中 でクリアランス物のデータベースの構築をしていかなければいけないのではないか。 また、国の研究資金の活用として、やはり3軸のことを考えると予算をつけていただいて、 社会実験が必要であり、社会システム設計が必要であり、技術的検討が必要でありという3 つぐらいのプロジェクトが本格的な廃炉措置に向けて必要ではないかと思っています。 今後に向けて具体的に何をやるかというと、電力会社の方たちも調査に行っていると思い ますが、それは公開されていません。ということは、海外におけるビジネスモデルの詳細調 査、リサイクル鋼材がなぜ一般市場で流通できているのか、そういうところへの研究プロジ ェクトというものを立ち上げるべきではないか。 あと、クリアランス資源の定量的把握とか技術的課題の評価も必要であろうし、トレーサ ビリティーの確保の仕組みも必要であろうし、制度や体制面での課題の把握と評価というこ とを、5年が過ぎて、もう一度どこかできちっとやる時期に来ているんだろうと思います。 これはこの委員会でやるのか、または経産省の中の別の委員会でやるのかというのは皆さん で御検討いただきたいと思います。 ちなみに、循環型社会形成推進法というものが環境省の法律にありまして、電力会社の火 力発電所の解体作業は建材資材リサイクル法に沿って行われております。私はこの中にクリ アランスリサイクルの市場開放のためのマニュアルが加わってもいいのではないかと個人的 に思っています。 75ページは「参考資料」になっていきます。 Siempelkamp社はスウェーデンの会社です。Siempelkamp社はイギリスにリサイクルファ クトリーをつくりまして、イギリスの解体を請け負うことになっています。 結論になりますけれども、やはり経済性が得られなければクリアランスは進まないし、そ して、諸外国のクリアランス制度も参考にすべきなので、皆さんの委員会としてのこれから の御検討を是非お願いしたいと思います。 以上です。ありがとうございました。 石榑委員長 どうもありがとうございました。 今、3件引き続いて御説明をいただきました。この問題の扱いは今日いろいろ御説明をい ただいて、それに基づいて事務局で整理をして、次回に整理をしていただいた結果を基に議 論をお願いしたいという形で進めたいと思っておりますので、今日のところは御説明をいた だいた内容に関して御質問をいただくということにしたいと思います。国の立場等について は、次回全部まとめて議論をしていただきたいと思っております。 そういうことで3件ございますが、特に順番にということではなくてどれでも結構かと思 17 いますが、いかがでしょうか。 井口委員 最初の山内さんの御説明の中で、いわゆる第2段階の取扱いについて、国に降ろす測定・ 評価結果の確認ということを将来的には合理化してなくした方がいいという要望が出ていた と思うんですけれども、この件については現在第2段階で国はどういうことをやられている んですか。私の認識では、第2段階というのは事業者の方がやられた結果について、例えば 第1段階で新設された内容をちゃんと踏襲しているかという確認と、同時に万一ホットスポ ット等について見逃してしまうことがないかということを国の立場として確認する。そうい うわけなので、第2段階というものが消えるというのは難しいのではないか。 先ほど松田先生がおっしゃられた第三者による監視機関というものも多分この位置づけで はないかと思うので、第1段階でよろしいというような、そんな考え方について、現在第2 段階ではどういうことをやっていらっしゃるかということと、将来それをなくすという方向 は本当にあるんですかという2つの質問をさせていただきたいと思います。 日本原子力発電(山内殿) 第2段階で実際にどういうことを現場でやられているかということなんですけれども、こ れは規制行政庁さんから委託を受けた第三者のJNESさんに現場に来ていただいて、事業 者がやられている測定・評価のやり方が第1段階の測定・評価方法の認可を受けた方法でや られているかどうかということをきちっと確認をいただくということで、全数の記録確認を いただいた上で抜き取りです。これは抜き取り率が決まっているんですけれども、この箱と いうことで指定をして、それを実際に再度測定しまして確認をいただいているということな んです。 それで、必ずしも第2段階目を合理化できるかどうかというのはまだ議論の余地があるか と思うんですけれども、特に諸外国などでは2段階の規制をやっているところが多数ではな くて、ドイツの一部でやられているだけで、どちらかのやり方で規制をしているというのが 流れだと思われます。これは今すぐにという話ではなくて、実績を踏んだ上でどちらかにし ていただければといった趣旨でございます。特にどちらと決めているわけではないです。 石榑委員長 ほかに何かございますか。川上さん、どうぞ。 川上委員 質問というよりはコメントなんですが、品目を増やすという山内さんの御説明がございま した。はっきり言えばアスベストみたいなものが入ってくるというときに必要なことは、従 来評価してきたクリアランスの評価シナリオの包絡性をどこまで確証できるかという確認が 必要になってきますので、そこは早目に手を打っておかないと急にはできないだろう。あの 計算は非常にややこしい計算を積み重ねであそこに至ったわけでございますので、その辺り が大事だろう。 もう一つ、リサイクルが今日の話題の中心になっていますけれども、品物によっては産業 18 廃棄物並みの処分をせざるを得ないものがあります。そこのつながりが実は非常に難しいも のだろうと思っておりますし、私もある議論に参加しまして、産廃側の御意見というのは非 常に強いものがあります。そこをうまくハーモナイズするというのは大事なことだろうと思 います。これもここでやる話なのかどうかはわかりませんが、全体のバランスで見ればその 辺りがある意味の安全確保としては大事になります。要するに放射性以外の問題も含んでく るところがあります。 もう一つ、現在のところ市場希釈係数というものは評価の内容でほとんどとっていない。 これをうまく使うことによってうまくケースがあります。Siempelkampの溶融なども多少そ れを入れて議論していた経緯がありますので、その辺はあるのではないかと思っております 。 石榑委員長 どうぞ。 出光委員 山内さんのところについて質問なんですけれども、今の川上さんのところとかぶるんです が、廃棄がまだできないものの中で鉄筋コンクリートの壁があったと思います。これはコン クリートの破片というところで引っかかっていると伺ったんですけれども、要は切り出した ものではだめということなのか、あるいは金属が入っていて、コンクリートと金属が一緒に なっているからだめということなのか。そこのところはどういうことなのかお伺いしたいと 思います。 日本原子力発電(山内殿) そこの記載ぶりのところなんですけれども、これは廃掃法との絡みがございまして、廃掃 法の品目に併せた形で品目が規定されています。要は廃棄物になるものに関しては金属くず 、 コンクリートのがら上のものがそういった対象になるということで、切り出したものであれ ば廃掃法の方は人頭大の大きさに砕いたものを処分するんだということで、そういった大き さまでです。これは法律等ではないんですけれども、実務としてそういうふうに規定されて います。 一方、先ほど御紹介しましたクリアランスは必ずしも処分だけではなくて再利用も含めて やってございますし、制度化のときに議論したんですけれども、解体前にクリアランス検認 をするものもありますので、そういった場合は建屋の状態でクリアランス検認をした上でそ の後解体するという議論があったと思います。ところが、クリアランスを申請するときには、 この形でいくと建屋のままでは申請対象から外れてしまう。そういった問題でございます。 石榑委員長 どうぞ。 川上委員 今のお話は、私のイメージでは建物を壊すときにクリアランスに相当する部分ははがして 取ってしまって、汚染していない部分が残る。それは放射性廃棄物でない廃棄物として片づ けることができるというイメージで、これで解体が可能だと思っていたんですが、先ほどの 19 スライドにあった壁のまま残っているというのは、あれは中に汚染が残っている状態ですか 。 日本原子力発電(山内殿) 解体のやり方についてはケース・バイ・ケースで考えたいと思っていまして、今、川上委 員が言われたようにクリアランス対象を全部はつってから、残りをNRとして、放射性でな いという形で解体するケースと、あとはクリアランスレベル以下になったらクリアランスの 測定を行って、建屋ごとすべてクリアランスをして解体するという両方が選択肢としてある と思います。あとはやり方と合理性を考えた上で、事業者として最終的にどちらを選ぶかと いう選択肢にしたいと思っています。制度的にはどちらもできるようにしていただかないと 困ってしまうという意味でございます。 石榑委員長 建物については、今、別に議論しているサイト解放というか、そことも絡んでくる問題な ので、できればコンシステントというか整合性をとりながら最終的な答えを出していくこと になると思ったんですけれども、クリアランスが先行して、サイト解放の中には建物が含ま れているから、そことの整合性をどうとっていくかという問題はあると思います。 言葉なんですけれども、コンクリート破片になっていましたね。破片で大きなブロックは だめだということでいくと、金属くずといいながら100キロとか1トンというのはこれもね。 片方はくずで大きなものをやりながらコンクリートはだめだ。これは言葉だけの話ですが、 そのようなところも何となく変だという感じを受けます。 松田さんから丁寧な御説明をいただいたんですけれども、私の理解ではここは規制の立場 からクリアランスをどう考えていくかを扱おうということなんです。ただ、そうはいっても、 今の山内さんの話も中にもありましたけれども、幾つかの規制面で、クリアランス制度が変 なことがあって崩壊をしないために、非常にハードルを高くしているところがあると思いま す。当面はこれで実績を積んだ上で一般の方の信頼を確保しながら、例えばこういうふうに ちゃんとできているんだからいいでしょうという形で少しずつ緩和をしていくということが 念頭にあって、そういう形になっていると私は理解しています。 ただ、現実にはハードルが高いからなかなか実際が進まない。だから、悪循環みたいにな ってしまって、実際が進まないから当面がいつまでも続くということに陥りかかっていると いう感じがちょっとあります。ですから、その辺のところは非常につらいところがあるんだ と思っています。 松田殿 社会は動いていますので、当面というのは人によっては5年に考えるのか、3年に考える のか、10年に考えるのか、その中で社会のビジネス、国際社会の動きの中で日本の政策をど うしていくのかということがとても大事だと思っています。今日はクリアランスの規制の側 の委員会であることは重々承知なんですけれども、この委員会の先生のメンバーはほかの会 の委員の先生でもありますので、是非連携をとっていただきながら、日本の政策のために一 肌脱いでいただきたいと思って、こういう報告をさせていただきました。 20 石榑委員長 ほかに何かございませんでしょうか。どうぞ。 井川委員 今の石榑先生のお話と関係するんだと思うんですけれども、2つあります。 1つは山内さんの16ページにあった再利用の制約はないんだけれども、何か確認していた だいて何とかというのは趣旨がよくわからなくて、制約がないんだから、あとは御自由にや ってくださいなので何を確認するのかが松田氏よくわからないので教えていただきたい。 松田先生のものも1点でしっかり検認していて、向こうは60秒でというのがあるんですけ れども、54ページのところにクリアランスレベル以上の対象物が見つかると赤いのがついて いるということがあって、これはどのぐらいであるのか。やはり規制当局がやるべきはクリ アランスの最初、こういうことがちゃんとチェックができているかというのが一番重要なこ とです。それは先ほどの1段階から2段階に変えるということと大分重なる部分なんですけ れども、むしろ規制の側から見ると、どのぐらい引っかかってちゃんとチェックできている のかというのが恐らく非常に重要になるので、そこのデータがもしあれば教えていただけれ ばと思います。しょっちゅう赤いものがついているようだと2段階を1段階にするというの は相当先の話なのかという感じもするので、ちょっと教えていただければと思います。 日本原子力発電(山内殿) 1つ目の話でございますけれども、これは事務局さんの資料1-1の最後のページのとこ ろに記載があるんですが、安全小委員会の報告書にも当面限定的な再利用をするというのは 、 制度の円滑な定着に有効と考えると記載されてございます。これを受けて法律を通す際に国 会の場でやはり質問がございまして、いきなりフリーリリースにするのかという議員さんの 質問に対して、政府の方からそういうことはしません、ここに書いてあるように事業者が限 定的な再利用をした上でやりますというお答えがございました。その後どうするのかという 質問がございまして、それに対して国から当小委員会のような場で確認をした上でフリーリ リースはやりますという政府答弁があったということもあって、事業者から勝手に一般的な 再利用に移行しますというわけにはなかなかいかないということもございまして、一応確認 をいただいた上でというのが趣旨でございます。 松田殿 0.01という国際的な基準があるわけで、それを守れるかどうかのチェックですから、少々 ここで鳴ったとしても別に危なくはないと個人的には思います。たまたま行ったときには鳴 っただけで、現場でも切断したところで除染が終わったらはかっており、次の工程にいくこ とになっていますから、透明性を確立しているという感じでした。ドイツの労働基準法は労 働者を保護する厳しい法律です。井川さんが心配になさるようなことはない。ただ、それを きちっと政府レベルで専門家が監査することが大事だと思います。 日本の場合は電力会社の方が海外事例の調査に行っても、電力会社の費用で行っているか ら社会には公表されてきません。今後はやはり日本の政府として公表できるデータベースを 21 整理していくことが、廃炉措置にしろ、クリアランスにしろ、海外の事例にしろ、大事だと 思います。むしろ国の方にそういうデータがあるかどうか聞いてみたいと思います。 井川委員 今、松田先生からもそういうお話があったので、整理するときは海外でのクリアランスの 運用についての信頼性確保という意味で、どういう行為が行われているかということについ て可能な範囲でデータがあると、恐らく山内さんのおっしゃるようなことの議論の材料には なるんだろうということが1点です。 先ほどの山内さんへの御質問の御回答を聞くと、要するに政府が行政指導でもないような 、 何となくよくわからない基準で、法律には書いてあるけれども、制約を加えているというこ とだとすると確かにおかしいですので、そこは役所の人に聞いてみたいという感じです。済 みません。 石榑委員長 ここは当面電力業界と書いてありますが、私の理解は原子力界というか、もう少し広い意 味で原子力の中で使っていきましょうということだと思います。 そもそもクリアランス制度を立ち上げるときに説明会をやっているんです。この中のメン バーの方も、私もその説明に出たんですけれども、そのときに反対をする方、要するにクリ アランスはやるべきでないとおっしゃる方が言われたのは、我々は安全ですということをい ろんな形で示しているわけですが、そのときにあなたたちは安全だと言うなら一般の人に再 利用を押しつけないで、まず自分たちで使いなさい、自分たちで安全だということを身をも って示しなさい、それを見た上でというような言い方をされたんです。自分たちで使いもし ないでみんなに押しつけて使ってくださいというのはおかしいのではないかということを言 われて、これは法律とは別な話なんですが、そういうふうにおっしゃるのはある程度無理も ないと思って、なるべく原子力界の中で我々が使うようにしましょうというようなことは申 し上げたんです。 井川委員 こんなことに時間をとっていいのかよくわからないけれども、1つ心配しているのは、反 対される方の一部には反対するための反対の人もおられて、そのやりとりを今まで拝見して いると、原子力に携わる人たちがときどき無茶な約束をされることがあります。例えば鳥取 の人形峠の残土の回収というのは、どう考えてももともとそれほど危険性がないのに掘り返 すとか、交渉の中でサインをしてしまったということがあります。その後この文書があるか らどうしようもないという形で、最終的には裁判で負けました。 もし法律に制約がないと書いてあるならば、そこを約束するというのは多分間違えで、我々 も使う努力をするぐらいなら全然問題ないんですけれども、先ほどの国会答弁が本当だとす ると、私はその国会答弁の詳細を知らないけれども、政府の人が当面外に出さないというこ とで枠をかけるとうのは言い過ぎだったのではないかという気がして、もしそういう実態が あるんだとすれば、そこは解釈を変えるべきところなのではないかという気がします。 22 これはコメントなのです。それと実態もよくわからないので、今日直ちにというわけでは なくて、そこについても将来的には是非やりとりを調べて御説明をいただきたいと思います 。 中津課長 恐らく経緯等については、改めて次回御説明することになると思います。 私どものクレジットの入った説明資料の5ページ目に書いてありますが、この制度導入に 当たっていろいろな議論をさせていただく際に、事業者の方々から自ら率先して社会の理解 を得て再整理を進めますという表明があり、そのやり方として事業者の方で利用を進める、 自ら範を示すという態度を表明されたということでありますので、我々も制度導入に当たっ て事業者から御説明があったこととして見極めていく。こういった法制度を整えて5年の見 直しをやるわけでありますけれども、これも1つの機会だと思います。法令上の制約がある わけではありませんが、制度導入に当たってそういう議論があったという経緯を改めてここ で思い起こして、どれほど進んだかということについて改めて御議論いただくということで よいのではないかと思っております。 石榑委員長 どうぞ。 川上委員 議論を整理しておかなければいけないと思うのは、フリーリリースという意味は事業者が 勝手に出していいという意味では決してなくて、制約なしに社会に還元できるというだけの 意味であって、規制は当然くっ付いてくるわけで、そこは混同しないようにしないといけな いと思います。制度的に2段構えでチェックするということは悪くないと思います。勿論程 度の問題があって、それは規制行政庁でどうお考えになるかという幅はあると思います。御 承知のように、ドイツも検査協会という公的な機関がチェックしてリリースしているという ことで、事業者が自分の意思で出せるというのがフリーリリースとは違うんだというところ は要注意ではないかと思っております。 それから、国会の方はたしか附帯決議が衆参両院とも付いていたはずで、その中には慎重 にやれとかPRに努めろとか8項目あったように記憶しているんですけれども、それを事業 者の方が受けられていろいろやっていらっしゃるんだろうと思うので、これはこの先どう運 用するかの問題があると思います。 石榑委員長 もう一つ議題がございますので、先ほど申し上げましたように、扱いについては今日いろ いろいただきました御意見に基づいて事務局で整理をしていただいて、それを素材にして次 回の御議論をさせていただきたいということにしております。特に今日これだけは聞いてお きたいとか言っておきたいというようなことはございますか。よろしいでしょうか。 よろしければ、次の議題に進みたいと思います。次も審議事項でございまして「(2)余 裕深度処分施設の安全審査に向けた検討について」に移りたいと思います。 資料2について事務局から御説明をよろしくお願いいたします。 23 桜井統括 放射性廃棄物規制課の桜井から、資料2の「余裕深度処分施設の安全審査に向けた検討に ついて(案)」について御説明をさせていただきます。 簡単にいいますと、WGを立ち上げまして、余裕深度処分関係の検討を行いたいというも のであります。 「1.目的」ですが、これまでの当小委員会におきまして、平成20年1月に低レベル放射 性廃棄物の余裕 深度処分に 係る安全規制についてというものがとりまとめられておりまし て、 基本的要件や安全規制制度の在り方について示されまして、その結果に基づき必要な省令改 正を行ったというものであります。 具体的には第一種廃棄物埋設規則とか、第二種廃棄物埋設規則というものが追加されたと いうことと、余裕深度処分関係の規定が盛り込まれたものでございます。 次のところですが、また本年4月におきましては、原子力安全委員会におきまして、第二 種廃棄物埋設のうちの余裕深度処分における管理期間終了以後における安全評価の基本的考 え方がとりまとめられております。その結果に基づきまして、本年8月にこれまでの第二種 廃棄物埋設施設の指針に新たな余裕深度処分関係を追加いたしました第二種廃棄物埋設の事 業に関する安全審査の基本的考え方、いわゆる新指針と言っておりますけれども、これが委 員会決定されたものであります。 これら検討の過程におきまして、今後保安院で安全審査を行うに当たりまして、規制行政 庁として、引き続き具体的な検討が必要とされる事項もありますから、今後当小委員会にお いて検討を行いたいというものであります。 「2.主な検討課題」でありますが、先ほどの平成20年1月の当小委員会報告書、新指針 の内容を踏まえまして、以下の項目を中心に検討したいというものであります。なお、審議 過程におきまして、必要に応じて項目を追加もあり得るというものであります。 1つ目ですが「(1)記録保存のあり方」でございます。これは廃棄物合同条約などにも ありますが、埋設施設の所在地とか設計、そういった記録に関しまして、適切な措置を講じ るよう保存されるということを締約国に求めているものであります。例えば事業許可申請書 であるとか、埋設の記録あるいは放射線管理記録といったものにつきまして、それを長期的 に保存するような記録の保存の在り方を検討していったらどうかということであります。 2つ目は「(2)モニタリング、サーベイランスのあり方」です。IAEAのGS357に も記載されておりますけれども、例えばモニタリングにつきましては、簡単にいいますと線 量の測定という定義が記載されておりまして、サーベイランスにつきましては健全性を確認 するための物理的な検査という定義がなされております。こういうモニタリング、サーベイ ランスにつきまして、施設の操業前、操業中、閉鎖後の段階でどのようなモニタリング等が 必要なのか、あるいはサーベイランスを行っていくべきかという在り方を検討していきたい というものであります。 3つ目の「(3)施設確認のあり方など」でございますが、これにつきましては、平成20 24 年1月の報告書の中でも、埋設施設の位置や構造といったものにつきまして、基本的な設計 方針どおりであって、必要な性能を満足することを確認するという記載がされております。 事業化の後に施設が建設されて、その後に実際の施設確認ということになるわけであります が、実際に現場でどのように天然バリア、人工バリアを含めた形の等数係数などにつきまし て、どのように直接分析あるいは確認ができるのか、その在り方を検討していきたいという ものであります。 「3.検討の進め方」でありますが、当小委員会の下に設置されておりました埋設処分技 術ワーキンググループというものが3年ほど前まであったんですけれども、こちらを今回長 﨑委員を主査といたしまして、新たな構成の下で再開いたしまして、先ほどの課題について 検討を行っていきたいというものであります。 なお、その検討結果につきましては、報告書をとりまとめるという予定を考えております。 簡単ではございますが、説明は以上です。 石榑委員長 どうもありがとうございました。 それでは、今の御説明に対して何か御質問あるいは御意見はございますでしょうか。特に はよろしいですか。 長﨑委員は今日御欠席なんですが、既に内諾はいただいているということです。 特によろしゅうございますか。 どうもありがとうございました。埋設処分技術ワーキンググループの設置につきまして、 御了承いただいたということにさせていただきたいと思います。 そのほかに何か全体を通じて御質問あるいは御議論いただくようなことはございますでし ょうか。よろしいでしょうか。 それでは、本日用意いたしました議題は以上でございます。 今後の予定、次回以降の日程等につきまして、事務局から説明をよろしくお願いいたしま す。 佐藤調整班長 次回につきましては、事務局でとりまとめるクリアランス制度の施行状況の検討結果等に つきまして審議させていただく予定でございます。 開催時期につきましては、来年1月21日金曜日の15時から17時予定しておりますので、よ ろしくお願いいたします。 以上です。 石榑委員長 どうもありがとうございました。 何か御意見、御質問等はございませんでしょうか。 ございませんようでしたら、以上をもちまして、本日の小委員会を終わりにさせていただ きたいと思います。どうもありがとうございました。 25
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