第167号:2007-04-20(PDFファイル) - Biglobe

ウランマソウ
サトイモ科
林下の日陰に、このごろ見かけるウラ
シマソウ。他の花に比べると、随分変わ
った形である。それにしても、この花に
ウラシマソウという名前をはじめて付け
た人の、発想の柔軟性には感服する。
私はこの花を見て、あの浦島太郎を思
い出すことはとても出来ない。あの長い
肉穂花序の先端の附属体を見て、すぐ浦
島太郎の釣糸を思い浮かべる人は、よほ
どの釣り好きか御伽噺好きな人だろう。
そ れに し ても、 昔から の植物 の名 前は、
本当に良い名前が多い。昔の人は生活に
むすぴつけてよく観察していたから、こ
のようなすばらしい名前がつけられたの
だろう。それに比べると、このごろの新
種につけられる、地名を頭に付けたもの
な ど 、な んと 風情の 無い名 前で あろ う か。
(鈴木満帆)
和名を付け心事など絶対無い、凡人のた
わごとを一言
1
平成19.4.20
第167号
会報
遠州自然研究会
★ 平成19年度の総会終わる
平成 19 年度の遠州自然研究会総会が、4月8日(日)午前9時 30 分から浜松市まちづく
りセンター研修室で開催され、約 20 名の出席を得て、無事終了いたしました。
最初に、戸田英雄会長の挨拶がありました。その中でミカワバイケイソウの保存や浜北の
湿地の保全、浜松市の環境企画課からの総合学習の依頼など、会で活動している内容を段々
交代してやっていくことが必要だから、将来のことを考えてほしいと言う話がありました。
続いて議事が事務局の司会で進められました。
まず、平成 19 年度の事業報告と会計決算報告が行われ、了承されました。唯会計報告では、
昨年度は大変会費の未納が多く、120 名の会員の中で 61 名しか納入が無いことが報告され、
会の財政を大変圧迫しているから、本年度は会費の徴収に力を入れなくてはならないことが
確認されました。後ほど、会費の徴収に付いては、対策をお知らせしますが、ぜひ皆さんの
御協力をお願いいたします。
平成 19 年度の役員は、一部交代することが承認されました。会長は引き続き戸田英雄さん
にお願いすることにし、副会長も渡辺一雄さんと鈴木久雄さんにお願いすることにしました。
事務局は会計の櫻井昌さんが、体調が優れないために交代することになり、後任は宮崎一
夫さんにお願いすることにしました。庶務は、もうしばらく鈴木満帆が続けます。
理事は、新しく藤本千代子さんと加藤徹さんに加わっていただくことになりました。加藤
徹さんについては、学会に出席されていて総会前に御了解を得られませんでしたので、総会
後に御本人の就任了解を得ました。総会資料には載っていませんが、御了承ください。
新年度の事業計画と、それに伴う予算も承認されました。事業計画では、
「遠州の自然」第
31号の発行、会報の発行、観察会を5回開催する、環境の復元や保全活動を引き続いて行
う、自然展の開催、総合学習の支援などが、承認されました。
議事終了後、杉野孝雄さんの「帰化植物の現状と分析」という話、笠原佐智子さんの埼玉
県芝川の浄化活動の視察報告、宮崎一夫さんの北アルプス剣岳登山の記録のスライド上映が
あり、午前 11 時 30 分終了しました。なお、総会を欠席された方には総会の資料をお送りし
ますので、詳しくはそちらをご覧ください。
★ 会費徴収について
前項で書きましたように、会費の未納が多くて会の財政を圧迫しています。そこで、総会
で認められましたので、本年度から次のような対策を採ることにします。
1 会費の未納の方には、会報をお送りするたびに、納入のお願いを 1 年間同封する。
・今回は、今までの納入状況をお知らせします。
2 会費の納入をなるべく楽にするため、未納の方に郵便局の振替用紙を同封する。
・今回は、振替用紙の準備が出来ませんので、次回から同封します。
3 来年度から、会費を納入した方にだけ会誌の「遠州の自然」を送る。
・第 30 号は、そのことの了解が得られていませんでしたので、平成 18 年度の未納の
会員でもお送りしますから、ぜひ受け取りましたらすぐ会費を納入してください。
・平成 17 年度以前の会費の未納の方には、第 30 号の送付を会費納入まで待ちますか
ら、御了承ください。
4 納入をお願いしても 2 年以上未納の方は、名簿から削除する。
・平成 17 年度以前の会費が未納で、納入をお願いしても納入して頂けない方は、19
年度末で名簿から削除します。
5 未納のまま退会する方には、今までお送りした会誌代を 1 部当たり 1000 円請求する。
・財政の厳しいときですから、会誌の代金だけは払って貰い、会誌の貰い得を防ぎま
2
す。
事務的には大変わずらわしくなりますが、会の財政改善のためにその手続きをいたします。
同封した「会員状況調査票」に納入状況がお知らせしてありますから、御協力ください。
★ 会員の状況調査に御協力を
今回の会報に、
「会員状況調査票」を同封します。会員名簿を整理して個人情報を適正に管
理するために、それぞれ会員の方の御意向をお聞きします。調査票に御記入の上、返送して
ください。なお、御記入いただいた個人情報は、会の運営だけに使用し、事務局で厳重に管
理いたします。
1 返送に当たっては、すべての項目を御記入ください。
2 名簿に掲載して、会員に配布しても良い項目の頭に〇印を、掲載しては困る項目には
×印を付けてください。
3 無い項目に付いても、
「なし」と御記入ください。
4 本来なら返送用の封筒を用意すべきですが、会の財政事情から用意出来ませんので、
申し訳ありませんが郵送料は各自で御負担願います。
5 ファックスで送っていただいても、同じ項目をメールで送っていただいても結構です。
ファクス番号
053-472-2480
[email protected]
メールアドレス
6 毎年度、総会資料と一緒に会員名簿をお送りしましたが、個人情報の管理のため、皆
さんの御意向を伺ってから作成して配布します。今しばらく昨年の名簿を使用してい
てください。
★ 帰化植物の現状と分析
総会の後の発表で、杉野孝雄さんから「帰化植物の現状と分析」と言う題でお話をしてい
だきました。その内容の概略をお知らせいたします。
(記録と文責 鈴木満帆)
1 帰化植物の種数は、終戦後うなぎのぼりに増加している。その様子は、下記の通り。
明治時代 40種
大正7年 70種
昭和の初期 158種
昭和25年 300種
昭和50年頃 500種
外来植物ハンドブック
1547種
2 社会の動向と帰化植物
・江戸時代以前
有用植物として記録されていた。
・明治~大正時代
文明開化のバロメーターであった。港を中心に見られた。
・太平洋戦争の影響 終戦後、アメリカ軍の進駐とともに急速に増加した。港付近に
新しい物が入ってきた。
・日本列島改造論
田中内閣以降、自然破壊のバロメーターになった。裸地への帰
化が増加。
・花粉症の流行
スギ花粉症が流行。車社会になり、駅から二次分布地が広がっ
た。
・鉄道からトラック輸送へ 交通網が発達し、輸送方法が変化すると伴に、分布速度
が速くなった。
・自然回復の試み
ビオトープ運動が盛んになり、いろいろなものを植えるように
なった。法面緑化に使われるようになった。
・生物多様性の問題 国内からの移入も問題になってきた。
3 外来植物の定義
3
「本来その地域に自生していなかった植物が、人為的に意識的、無意識的に移入され、
野生化しているものを言う。
」
(杉野孝雄 2006年)
4 外来植物の分類
外来植物を下記のように分類することを提案する。
① 外来植物を江戸時代末を境にして、旧外来植物と新外来植物に分ける。
② 旧外来植物を史前帰化植物と旧帰化植物に分ける。
③ 国外外来植物と国内外来植物に分ける。
④ 国外外来植物を渡来の状況で、帰化植物と逸出植物に分ける。
⑤ 帰化植物を定着の様子で、完全帰化植物、仮住帰化植物、偶着帰化植物に分ける。
⑥ 逸出植物も定着の様子で、完全逸出植物、偶出逸出植物に分ける。
⑦ 国内からの移入をまとめて、国内外来植物とする。
5 靜岡県の外来植物の変種以上の種数
史前帰化植物 33種
旧帰化植物 94種
完全帰化植物 102種
仮住帰化植物 83種
偶着帰化植物 199種
完全逸出植物62種
偶出逸出植物 182種
国内外来植物 93種
合計848種
なおこの話の内容の詳しいことは、
[遠州の自然]第30号に論文として掲載されています
から、論文でお読みください。
★ 芝川の浄化活動の視察報告・他
3月22日の佐鳴湖ネットワークの視察に、笠原佐智子さんに参加していただきました。
その報告がありましたので、簡単にお知らせします。
(記録と文責 鈴木満帆)
「埼玉県川口市にある、旧芝川(河川跡)の再生プロジェクトに見学に行きました。そこ
では、①炭素繊維による繊維浄化 ②ヘドロの浚渫 ③ヘドロへF2マットと言うものを混
入してヘドロを固化 ④えひめⅠと言う液体の薬品を混合する などの方法で浄化を試みて
いました。
炭素繊維はある程度効果がありますが、ヘドロの浚渫は当初だけ効果があり、じきに効果
がなくなりました。えひめⅠの使用も狭い部分では効果が認められますが、広い面積や多量
の水では、効果があるのか全く不明だと言うことです。
佐鳴湖のような広い面積、多量の水では、そう簡単には行かないだろうと思います。
」
なお、続いて宮崎一夫さんの剣岳登山のスライドを見せてもらいました。主なものを紹介
します。
立山の全景・剣沢・かにの横這い縦這い・チングルマ・イワイチョウ・ツガザクラ・
イワカガミ・イワショウブ・エゾシオガマ・キヌガサソウ・クルマユリ・オオバキスミ
レ・ゴゼンタチバナ・シナノキンバイ・ミヤマリンドウ・イワギキョウ・雪渓のまだら・
ミヤマアキノキリンソウ・地獄谷・立山の遠景・ニッコウキスゲ・ハイマツの伐採跡・
ハクサンチドリ・ベニバナイチゴ・ヨツバシオガマ・アラシグサ・外来植物の除去作業・
剣岳遠景・みくりが池
★ 観察会のお知らせ
〇ミカワバイケイソウの観察会
日時
平成19年4月30日(月) 午前9時集合 (小雨決行)
場所
浜松市中区富塚町 新川流域(きったが谷、椎ノ木谷)
集合場所
富塚町弥生南公園(遠鉄バス 舘山寺線 弥生橋下車 徒歩0分)
持ち物
弁当、水筒、天気によっては雨具、ルーペ、双眼鏡など
4
駐車場
特に確保準備は出来ませんが、付近の浜松信用金庫の駐車場などに置
かせて貰ってください。
その他
全部徒歩で廻ります。
担当
鈴木満帆 (連絡先 053 - 472 - 2480 [email protected]
)
〇シロモジの観察会
日時
平成19年5月27日(日)午前8時30分集合(雨天決行)
場所
浜松市天竜区水窪町大津峠
集合場所
天竜浜名湖線 天竜二俣駅前
服装持ち物 山歩きの服装、弁当、水筒、雨具、ルーペ、双眼鏡など
参加費
500円(車を出した方のガソリン代にします)
駐車場
往復とも車に分乗させて貰います。車を置いていく人は、天竜二俣駅前
の
駐車場が使えます。
その他
・天竜浜名湖線でおいでる方は、次の列車でおいでください。
上り 気賀発 7:47
西鹿島発 8:20
天竜二俣着 8:25
下り 掛川発 7:28
天竜二俣着 8:23
・車に途中からの便乗を希望される方は、担当まで御連絡ください。
担当
宮崎一夫
(連絡先 053 - 436 - 2299 [email protected] )
★ 湿地の保全活動
椎ノ木谷のミカワバイケイソウの湿地の草刈と調査を、下記の日程で行います。手伝って
くださる方は、事務局まで御連絡ください。
日時
平成19年5月12日(土)午前9時から
場所
浜松市中区富塚町椎ノ木谷
集合場所
富塚町椎ノ木谷 椎ノ木谷荘(管理棟)前
駐車場
椎ノ木谷荘の駐車場に止めてください。
その他
道具はこちらで用意します。長靴を用意してください。
★ 「自然史しずおか」第 16 号
自然博ネットの機関紙「自然史しずおか」第 16 号が来ました。目次を紹介します。
・標本の重要性と地球規模生物多様性情報機構(GBIF)との連携
・第 3 次ナウマンゾウ発掘報告
・コラム 小笠山のスジヒトツバ
・コラム スジエビ
・コレクション紹介 小松庄次郎氏の蝶コレクション
・図書紹介 公園と街はずれの自然観察
カイミジンコに聞いたこと
・日本にもいたゾウ
・自然観察会の案内
5 月 27 日(日)午前 8 時JR静岡駅南口、
又は朝霧高原道の駅 9 時 30 分集合
会費 2000 円、自分の車で行く場合は
料代 500 円 申込み 5 月 20 日までに
資料保存室事務所へ
5
T el / Fax 054 - 367 - 2111)
詳しくは、上記資料保存室の事務所に問
合わせてください。
・ 事務局便り
なお、小笠山のスジヒトツバのコラムは、会員の杉野孝雄さんが書いておられます。見事
なスジヒトツバの群落の写真も、掲載してあります。ご覧になりたい方は、事務局まで、御
連絡ください。コピーをとってお送りします。
★ 赤米・黒米を育てて、注連飾りを作る
戸田英雄さんから、古代米の赤米・黒米の育て方を教えていただきましたので、紹介しま
す。
1 蒔く種子は、米屋さんで売っている玄米を使います。
2 コップに水を入れてその中に漬けて置くと、2~3日で白い根が出てきます。
3 それを入浴後の風呂に浮かせて置くと、一斉に芽が出てきます。
4 発芽したものを、水稲育苗用の培養土を入れた薄い鉢に蒔き、薄く覆土をします。
5 如露で水を掛け、ビニールシートを掛けて乾燥を防ぎます。
6 土が乾いて白くなったら水をやり、乾燥しないようにすると苗が出来ます。
7 バケツに8分目の田んぼの土を入れ、水をいっぱいにしてそれに田植えをします。
9 8月末に穂が出ますから、青刈りをします。
10 天気の良い日に刈り取り、すぐ乾燥させて保存します。
11 その稲わらを使って、正月の注連飾りを作ります。
昨年は4月6日に蒔き、5 月 2 日に田植えをし、8 月末に穂が出たので、刈り取ったそう
です。なおコシヒカリ、赤米、黒米の苗をほしい方は、戸田さん(053 - 542 - 2478)まで
申し込んでください。
★ 原稿の募集
会報の原稿を募集します。会報は年間 6 回発行したいと思っていますが、原稿が集まらな
くて編集に苦労します。事務局からのお知らせや事務的なことだけでは面白くないので、出
来るだけ皆さんからの情報を記事にして掲載したいと思っていますが、集まらなくてなかな
か大変です。そこでお願いですが、原稿の形に文章にしてなくて結構ですから、電話、ファ
ックス、メール等で、情報をお寄せください。感想、意見、近況報告、会の運営に対する御
希望等何でも結構です。字数も制限ありません。印刷は謄写版になりますので、カラー写真
は掲載出来ませんが、モノクロ写真なら、何とか掲載出来ます。御協力をお願いいたします。
★ 会員の動向
[転居先不明]記載省略
[住所変更]記載省略
[合併による変更]
浜松市の政令指定都市移行による住所の変更は、次回の名簿の改訂のときに変更しますの
で、御了承ください。また、合併などにより市町村名が変更になった方は、事務局までお知
らせください。次回の改訂で訂正します。
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