胸部経時差分処理システム (TS:テンポラルサブトラクション) におけるポジショニングの影響 関中央病院 放射線科*1 内科*2 鈴木義昌*1 後藤洋子*1 増井祐衣*1 武市奈奈*1 増田恭子*1 吉村成雅*1 亀山泰信*1 齊藤雅也*2 関中央病院 放射線科 1 はじめに 当院では,平成26年5月に胸部経時差分処理 システム(以下TS:テンポラルサブトラクション) を導入した.このシステムは,現在画像から過 去画像の差を画像化し,変化のあった個所を 描出するものである. 今回我々は肺野ファントムを用い,撮影体位 の変動が,TSにおいてどのような画像として表 示されるかを検討したので報告する. 関中央病院 放射線科 2 使用機器 ・CRシステム FCR PROFECT CS ,FCR XG-1 CR Consol Lite ,CR Consol Plus 富士フィルムメディカル株式会社 ・画像サーバー SYNAPSE 富士フィルムメディカル株式会社 ・TSシステム Temporal Subtractin Advance (T-SUB677) 富士フィルム株式会社 ・肺野ファント:京都科学 関中央病院 放射線科 3 TSの特徴 ・ブラインドエリアの判断しずらい病変の診断 確度が向上し,前回と変化がない画像も素早く 判断することができる. ・読影時間の短縮に繋がる. ・特別な処理もなく今まで通り撮影するだけで ある. 関中央病院 放射線科 4 検討方法 疑似腫瘤を作成し,胸部 ファントムの背面(肺野・縦 隔各一つ)に貼る. 胸部ファントムを動かし,基 準体位と差分処理すること で差分画像への影響を主観 的に評価した. 関中央病院 放射線科 5 検討項目 前屈 基準画像に対して胸部ファントムの移動(体位) ①疑似腫瘤の厚さによる影響 ②前屈・側屈・回転・右方移動 上下方移動による影響 ③カセッテのサイズ違いによる 影響 側屈 回転 関中央病院 放射線科 6 疑似腫瘤の厚さ 2~5mm 2mm 3mm 4mm 5mm 関中央病院 放射線科 7 前屈体位 角度0~10° 0° 2° 4° 6° 8° 10°関中央病院 放射線科 8 5mm 腫瘤 関中央病院 放射線科 9 前屈体位 0° 6° 腫瘤5mm 2° 角度0~10° 4° 関中央病院 放射線科 8° 10° 10 10mm 腫瘤 関中央病院 放射線科 11 前屈体位 0° 6° 腫瘤10mm 2° 角度0~10° 4° 関中央病院 放射線科 8° 10° 12 20mm 腫瘤 関中央病院 放射線科 13 前屈体位 0° 6° 腫瘤20mm 2° 角度0~10° 4° 関中央病院 放射線科 8° 10° 14 側屈体位 0° 6° 角度0~10° 2° 8° 4° 10° 関中央病院 放射線科 15 側屈体位 0° 6° 腫瘤5mm 2° 角度0~10° 4° 関中央病院 放射線科 8° 10° 16 側屈体位 0° 6° 腫瘤10mm 2° 角度0~10° 4° 関中央病院 放射線科 8° 10° 17 回転体位 角度2~12° 2° 4° 6° 8° 10° 12° 関中央病院 放射線科 18 回転体位 2° 8° 腫瘤5mm 4° 角度2~12° 6° 関中央病院 放射線科 10° 12° 19 回転体位 2° 8° 腫瘤10mm 4° 角度2~12° 6° 関中央病院 放射線科 10° 12° 20 回転体位 2° 8° 腫瘤20mm 4° 角度2~12° 6° 関中央病院 放射線科 10° 12° 21 カセッテサイズの違い 半切 大角 関中央病院 放射線科 22 基準画像(過去):半切 現在:半切 右移動1~6cm 関中央病院 放射線科 23 基準画像(過去):半切 1cm 2cm 現在:半切 右移動1~6cm 3cm 関中央病院 放射線科 24 基準画像(過去):大角 現在:半切 右移動1~6cm 関中央病院 放射線科 25 基準画像(過去):大角 1cm 2cm 現在:半切 右移動1~6cm 3cm 関中央病院 放射線科 26 基準画像(過去):大角 現在:半切横5cm トリミング前 トリミング後 関中央病院 放射線科 27 基準画像(過去):半切 現在:半切 上下1~6cm 関中央病院 放射線科 28 基準画像(過去):半切 1cm 2cm 現在:半切 上方1~6cm 3cm 関中央病院 放射線科 29 基準画像(過去):半切 1cm 2cm 現在:半切 下方1~6cm 3cm 関中央病院 放射線科 30 基準画像(過去):大角 現在:半切 上移動1~8cm 関中央病院 放射線科 31 基準画像(過去):大角 1cm 2cm 現在:半切 上移動1~6cm 3cm 関中央病院 放射線科 32 基準画像(過去):大角 現在:半切上8cm移動 トリミング前 トリミング後 関中央病院 放射線科 33 呼吸の違い 基準画像 最大吸気 関中央病院 放射線科 最大呼気 34 TS処理後 最大吸気 関中央病院 放射線科 最大呼気 35 失敗例 異なる患者画像でのTS • 患者属性(ID)の取得 間違い 関中央病院 放射線科 36 失敗例 側面画像とのTS • DICOM Body Parts の設定間違い 関中央病院 放射線科 37 結果 1 腫瘤の厚さは,3~4mmで確認できる. 3mm 4mm 関中央病院 放射線科 38 結果 2 前屈・側屈は,4~6°以内は問題ない. 前屈 側屈 関中央病院 放射線科 39 結果 3 回転は,4~6°以内は問題ない. 4° 6° 8° 関中央病院 放射線科 40 結果 4横移動は4cm以内は撮影サイズが異なっていて も問題ない.5cm以上でもトリミングで中心を合 わせれば問題ない. 4cm 5cm トリミング 関中央病院 放射線科 41 結果 5 上下移動では撮影サイズが同じ場合問題ない. 撮影サイズが異なる場合,肺尖を同じ高さにすれ ば問題ない.ずれた場合TS範囲が狭まるが、トリ ミングを行えば問題ない. 肺尖が同じ高さ ずれた場合 トリミング 関中央病院 放射線科 42 肺尖が同じ高さ ずれた場合 関中央病院 放射線科 43 考察 撮影時の注意点 ・カセッテの中心で撮影する. ・撮影サイズが異なると,TS範囲が 狭まる場合もあり,トリミングを含め, 撮影サイズをそろえる. ・呼吸のタイミングを部署内で揃える. 関中央病院 放射線科 44 結語 TSのシステムには自動補正機能が あるが,ポジショニングによる画像へ の影響は大きい.撮影時における標 準化が必要である. 関中央病院 放射線科 45
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