EventFocus ケーブル技術ショー 2012 昨年は、 技術セミナーと一部のベンダーの 衛星放送協会の主催で、 開催され、 51 社/ 団 製品展示のみであったため、 一昨年のサンシ 体が出展した。 ャインシティでの開催以来、 2 年ぶりに、ケ なお同日程で、 各技術セミナーも、 東京ド ーブルテレビ向けのコンベンションが戻っ ームホテルで開催された。 てきた。 昨年7 月の地上波のデジタル放送への (一 今年は、7 月18 日(水) ~19 日(木) の 部地域を除く)完全移行後、はじめてのケー 2 日間、東京ドームシティ・ プリズムホー ブルテレビ事業者向けの技術展示会であり、 ル放送映像技術を活用し、 ケーブルテレビ事 ルで、 “ ケーブル技術ショー2012” (Cable 地上波放送の再送信では、 デジアナ変換によ 業者ならではの地域密着のサービス事業向 Tech Show 2012)が、 ( 社)日本CATV 技 る加入者へのアナログサービスも継続され けの技術・ システムが一段と注目されると 術協会/(社) 日本ケーブルテレビ連盟/(社) てはいるものの期間限定で、今後は、デジタ ころである。 朋 栄 したLTO サーバのLTS-50 を出品。映像・ 音 同社としては、ほかのコンベンションと比 声信号の入出力機能を省いたことで、価格帯 べ小ぶりなブースながら、そのエッセンスで を110 ~150 万円に抑え、大幅なコストダ あるファイルベース製品/LTR シリーズ、オ ウンを図ったとのこと。 ールインワンライブプロダクションシステム また、オールインワンライブプロダクショ /Smart Direct、 朋栄YEM(エレテックス) ンシステムのSmart Direct は、シナリオ制 製品/法定同録システムSDH-H2408C を 作、プレイリスト、テロップ、カメラスイッチ 展示。 ングなど、コンテンツ制作に必要な機能を搭 ファイルベース製品のLTO5 システムで 載し、且つ誰でも簡単にスタジオ運用ができ あるLTR シリーズは、素材のインジェスト、 るプロダクションシステムで、 特に、 少数で運 データベースによる一元管理、メタデータ/ 営されている場合が多いケーブルテレビ局に プロキシデータによる検索・ 閲覧機能を中核 最適なシステムとして紹介。 に、アーカイブ/ライブラリシステムとの連 さらに、法定同録システムSDH-H2408C 携などファイルベース運用に必要な様々な機 は、 93 日間以上の番組記録ができる容量を 能を実現している中で、今回、新製品として、 備え、信頼性を重視したアナログ専用記録装 完全ファイルベース化ソリューションに対応 置である。 左より、 LTR-100HS/新製品LTS-50/LTR-120HS コスミックエンジニアリング また、屋外での中継や、車載システムを考 ケーブルテレビ局でのコミュニティチャ 慮して2 本のミニラックにまとめたフル ンネル制作力の向上に繋がるパッケージの HD スタジオサブシステム「キャリー」と 提案を訴える中で、 特に、 中継・ 収録環境を手 組み合わせれば、屋外だけでなく、局舎内で 間無く整えることが可能な光ファイバによ の 移 動( 仮 設 )ス タ るスタジオ品質HD 番組制作に向けたSCA ジオ等にも使用可 光カメラアダプタシステムが注目された。 能 と の こ と。 (2km このSCA 光カメラアダプタシステムは、 以上の長距離伝送) HD-SDI 入力だけでなくHD コンポーネン XDCAM、 XDCAM EX、 HDV 等 のHD カ ム HD スタジオ カメラ ト入力も装備しており、 HDV やNXCAM な コーダをHD スタジオカメラとして機能的 に必要な機能はすべ どHD-SDI 出力の無いカメラでもHD コン に運用するための光伝送カメラシステムで、 て装備し、 リターン映 ポーネント出力(ミニD 端子) があれば他の 不自由を凌いでスタジオで使用していたり、 像切換にフレームシ カムコーダと同様に使用できるため、特に、 ロケ以外は休眠しているHD カムコーダを ンクロナイザを装備。 HDV でのロケ運用が多いケーブルテレビ局 現在の最新型スタジオカメラと同様に活用 する事ができる。 24 FDI・2012・08 新製品SCA光カメラ アダプタシステム などでは、活用の幅が広がり、機材の運用の 効率化が図れるとのことである。 EventFocus ソニービジネスソリューション ク・ アーカイブ」 (参考出品) を展示。 チHDD とほぼ同価格とのことである。 サーバ送出システムでは、 送出デバイスに XDCAM Archive は、ローコストのディ XDCAM Station を採用して、リニア/ ノン スク棚管理アーカイブシステムで、低価格 リニア編集→送出→アーカイブへと繋がる のXDCAM ド ラ イ ブPDW-U2 とXDCAM 統合的なファイル運用と、 ローコストを両立 Station をサポートし、オンラインサーバ運 したシステムを紹介。このXDCAM Station 用とディスク棚管理を有機的に連結できる。 では、 「素材プレビュー」 「スケジュール管理」 オプティカルディスク・ アーカイブ(専用 「プログラムモニター」 「実行監視(マルチモ ドライブODS-D55U と専用メディア)は、 ニタリング) 」 の各画面を展示し、 総合的な送 LTO などのデータテープとほぼ同サイズの 出管理をデモ。なお、東芝のVideos Neo と カートリッジに最大12 枚のブルーレイディ Grass Valley のK2 が対応送出サーバとし スクを格納し、 このカートリッジをひとつの て、 システムのラック内に収容されていた。 大容量ストレージデバイス(最大1.44TB) また、番組制作・ 送出の完全ファイルベー と見せるディスクシステムで、信頼性、堅牢 ス化に伴い、 ファイルアーカイブの需要に対 性、 50 年の長期保存性を兼ね備えていると するソニーの提案として、 XDCAM 運用に最 謳っている。 適な XDCAM Archive(新製品)と次世代 価格的には、専用ドライブが、 LTO5 ドラ ストレージシステム「オプティカルディス イブと、専用メディアは、同容量の3.5 イン 共信コミュニケーションズ 上波局での部局単位での導入に照準を合わせ ケーブルテレビ局での番組制作・ 送出の完 ている。因みに、導入先として、 J-COM と広 全ファイルベース化に伴うファイルアーカイ 域高速ネット296 を紹介。 ブの需要に対し、 LTO テープシステムを活用 また、自動送出システム(APS)として定 したソリューションが各社から提供され始め 評のある atos も、タッチパネル操作端末 ているが、同社では、 CACHE-A LTO アーカ による直感的なオペレーションに対応した イブアプライアンスと CatDV アセット管理 atos Touch を展示紹介。ファンレスマスタ アプリケーションを組合せ、ファイルベース ーコントローラーによる長期安定稼動と、コ 運用を強力に推し進められるシステムを展 ンパクト構成による省電力に対応。 示。小規模な運用でのスタンドアローン構築 さらに、法定同録システムでは、リーズナ から、サーバ化に至るまでスケーラブルに展 ブ ル な 4ch ア ナ ロ グ 収 録 モ デ ル と、最 大 開が可能なシステムで、 LTO データテープカ 2chTS 収録モデルを用意し、導入コストの ートリッジによる棚管理というリーズナブル 軽減と3ヶ月以上の録画保存を両立している な運用が必要とされるケーブルテレビ局や地 とのこと。 XDCAM Station サーバ送出システム XDCAM アーカイブシステムシステム(参考出品) atos Touch APC などの展示コーナー CACHE-A LTO アーカイブ & CatDV ブロードネットマックス(BN・MAX) イメージニクス/ ビデオトロン 西入口からの来場者が真っ先に目に入るの 業 界 で 定 評 のHDMI(DVI)→3G-SDI/HD- が、 「FTTH コーナー」 「デジタルCATV コーナ SDI コンバーターなどの「3G ラインナップ」 ー」 「 ホームネットワーク機器コーナー」の 3 や「4 画面マルチビューワー」 「 、緊急情報システ コーナーで構成された同社のブース。 ム動画ファイル装置」 「 、アップコン機能付3 段 この内、 「 デジタルCATV コーナー」では、 DSK8 画面分割装置」 の4つの製品カテゴリーを 業 界 初 のHD2ch 同 時 送 出 が 可 能 な 地 デ ジ OFDM 自主放送システムを紹介。 送出サーバラックの紹介(東芝 Videos Neo / Harmonic Media Deck / Vatic APC) 展示紹介した。 ケーブルテレビ局で需要の多い多チャンネル この自主放送システムでは、東芝のVideos 監視、多チャ Neo とHarmonic のMedia Deck を 対 応 送 ン ネ ルDSK 出 サ ー バ と し て、ビ デ オ・ テ ッ ク の VATIC- や、地域での 9000S.I.OFDM をAPC として、 システムのラ 緊急情報放 ック内に収容し、 展示デモ。 今後、 主なケーブル 送システム テレビ局を中心に需要が高まる自主放送の高 画質化と高効率化のHD2ch 同時送出に対応。 に対応。 地デジ OFDM 自主放送システムの紹介 25 FDI・2012・08 EventFocus アストロデザイン メディアキャスト 「通信・ 伝送系の機器」と「映像・ ベース ケーブルテレビ局の バンド系の機器」の2 つのカテゴリーを展 特長である行政情報 示、紹介。ベースバンド系では、本年10 月1 や地域密着情報を、自 日から放送局で運用が義務付けられ、 開始さ 主テレビ放送だけでな れるラウドネス関連機器が充実。この中で、 く、急速に普及しつつ ラウドネスモニターAM-3805 は、 見易い液 あるスマートフォンや 晶表示と豊富な測定機能で、マスター、番組 タブレット端末等へ バンク、編集室での測定・ 監視に適している の提供ができるよう、 データ放送とこれらのモバイルデバイス とのこと。新製品として、既存素材のラウド とを連携させるデータ放送サービスシステムを、 展示、 紹介。 ま ネスレベル再調整に最適なラウドネスレベ ルコントローラーAC-3804 を展示。 ラウドネスモニター AM-3805 ラウドネスレベルコントローラー AC-3804 た、 自主放送での文字スーパーによる緊急災害情報配信とデー タ放送サービスとの連携も紹介。 Company 3、 DaVinci Resolve を使って 映画 「プロメテウス」 の複数バージョンを グレーディング 推奨した。 それにより、 画像の被写界深度の浅さをわずかながら強調した。 そ カリフォルニア州フレモント 2012 年6 月18 日 Blackmagic Design 機能したアパーチャー補正が、 2D では機能しませんでした。 3D 眼鏡は、 あ はこのほど、ポストプロダクションのCompany 3 が、 20 世紀フォックス る意味緩和フィルターとして機能するので、 3D 眼鏡を通した状態で自然 の「プロメテウス」 をDaVinci Resolve を使用して、 各上映システムに対応 に見えているシャープネスは、 2D 映像で見ると強過ぎるのです。しかし、 した4バージョンのカラーグレーディングしたことを発表した。 「プロメテ Resolve はノードベースでカラーグレーディングするため、 2D バージョン ウス」 は、 「エイリアン」 「 、ブレードランナー」 などで知られる巨匠リドリー・ の調整はそれほど複雑ではありませんでした。 フッテージを通してチェック スコットが監督を務める今夏公開予定のSF スリラー大作。 して、 シャープニング効果のノードだけ、 効果を抑えるため調整したのです。 スコット監督は「プロメテウス」の制作にあたり、驚異的なビジュアルス この手法だと、 画像の他の部分に影響が出てしまうことはありません。 」 タイルを実現するため、 Company 3 に協力を求めた。 撮影は、 全米撮影監督 ナカムラ氏はまた、 Resolve のパワーウィンドウ機能を使用し、 従来の手 協会(ASC) の著名なカメラマンであるダリウス・ウォルスキー(Dariusz 法では不可能であったシーン中の実際の「光」 を形成した。 例えば、 登場人物 Wolski) 氏が担当した。 の宇宙服の中に「光」を形成し、生命感のない舞台で俳優の表情を浮き彫り ノオミ・ラパス、 マイケル・ファスベンダー、 ガイ・ピアース、 イドリス・エ にしたのである。 「私は、壁と洞窟の側面にパワーウィンドウを作りました。 ルバ、ローガン・マーシャル・グリーン、そしてシャーリーズ・セロンら、豪 そして人物の周りに光の輪を描いたのです。従来、こういったことはあまり 華キャストを揃えた3D 大作「プロメテウス」 。 その舞台は、 生命の存在を全 しませんが、 『プロメテウス』 の世界観にはぴったりとはまったのです。 」 く感じない未知の惑星であり、薄暗いシーンが画面に数多く登場する。ウォ Company 3 はまた、 「プロメテウス」 のステレオ3D チームと協力して、 ルスキー氏が撮影した画は、すでに色を最小限に抑えたものだったが、サン 3D 映像用にショットからショットへのコンバージョンを調整した。これ タモニカに拠点を置くCompany 3 のカラリスト、 スティーブン・ナカムラ は3D 効果を高めるための非常に重要な作業で、この処理を施さなければ 氏は、さらにその画像の彩度を下げることで、ウォルスキー氏の作り出す世 ショット間のトランジションが不自然になりスムーズに仕上がらない。 界観を一層際立たせたのである。スコット監督は、圧迫感のある薄暗い雰囲 Resolve は、 様々な形態の3D 設備で上映するための準備にも幅広く使用 気を表現したいと望んでいた。 しかし、 それによって、 舞台となる未知の世界 された。異なるタイプの3D 上映システムでは、投影された画像の照明レベ や、 その世界の登場人物が使用するテクノロジーの見事なディテールを見づ ルやコントラストレベルも異なってくる。そこでCompany 3 は、 Resolve らくしてしまうことは、 彼の望むところではなかった。 でルックアップテーブル(LUT) を作り、 それを活用した。 複数のマスターを ナカムラ氏は、 Resolve のトラッキングとパワーウィンドウを駆使し、 カ 作成するため、 まず輝度の低い上映システム用にグレーディングし、 その後、 メラのアパーチャー(絞りによって形作られる開口部の大きさ) 補正のよう より輝度の高い上映システム用に、 コントラストレンジの広いLUT をあて、 な効果をだすため、併せてブラーやシャープニング機能を使用した。シャー そこからショットごとに微調整を行なった。 プさを追加することで、 フレーム内の特定のオブジェクトを強調できるため この点に関し、 ナカムラ氏はこう語る。 「この作業は非常に上手く機能しま だ。 「スコット監督の狙いは、 “焼け焦げて灰になったような” ルックだったの した。 しかし、 全編を通して、 輝度の高い3D ディスプレイ用に各ショットを で、 あらゆる物の色味を抑え、 冷たいルックにする必要がありました。 」以前 調整し、 その他にも、 輝度の高い2D ディスプレイ用にも色を調整するなど、 にも、映画「ロビンフッド」でスコット監督とタッグを組んだ経験のあるナ 多くの作業が必要でした。 Resolve では、そういった複数のマスターを作 カムラ氏は、このように述べている。しかし、当然、俳優達には人間味を残さ るにも、変更したい部分だけを特定して調整できたので、とても助かりまし なければならず、周りの闇をくすませることなく、俳優に温かみのある光を た。 」 当てる必要があった。スコット監督は、彼の作品、ことに「プロメテウス」に ▶ Blackmagic Design / http://www.blackmagicdesign.com/jp おいて、 こういった課題を解決するのに、 Resolve でのアパーチャー補正を ※リリース原文のまま掲載 ※関連記事 本誌 P.45 CG コンテンツ 26 FDI・2012・08 の結果、特殊効果のように見せずに、観客の目を特定の人物やオブジェクト に注目させることに成功したのである。 ナカムラ氏はさらに続けた。 「面白いことに、 3D の視聴環境では上手く
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