ながのブランド郷土食 - 「科学技術振興調整費」等 データベース

ながのブランド郷土食
からの地域特産物の生産と深く結びついており、伝統的な技
実 施 予 定 期 間:平成 19 年度~平成 23 年度
術をベースに発展してきた。しかし、これらの技術を守るだ
総 括 責 任 者:山沢 清人(信州大学工学部)
けでは、技術的な進歩はおこらない。そこで、これまでの伝
統的な技術を科学し、新しいバイオ技術やプロセス技術を取
I.概要
り入れるため、核となる人材を養成し、これにより産業振興
を図ることが望まれている。また、地域の果実加工会社や飲
長野市の食品加工業は製造品出荷額の約 25%を占める地場
料メーカーでは、OEM による大手食品メーカーの下請け的役
基幹産業である。地域の食品加工業は、特産品である農産物
割が多く、売り上げが伸びない現状にある。そこで、企業は
を利用する伝統的な食品をベースとして発展してきたが、現
独自の開発力を強化し、新たな商品を市場に出すことを望ん
在では、少子高齢化・食の欧米化などの変化に対応した機能
でいる。さらに、最近では高齢者などの特定の年齢層に対応
性の食品開発が望まれてきている。そこで、バイオ・プロセ
する食品の開発も望まれており、食の多様化に伴う技術開発
ス技術の導入により伝統的な食品加工技術の革新を進め、健
が必要となってきている。また、企業では技術開発もさるこ
康長寿県“ながの”における食の発展の核となる人材と技術
とながら、会社の中で核となるしっかりとした企業理念や職
の育成を図る。
業倫理を兼ね備えた人材を求めている。また、食品分野では
多量の有機性廃棄物が排出される現状にあり、これらの処理
1.地域の現状と地域再生に向けた取組状況
も経営を圧迫する原因となっている。さらに、食品リサイク
a. 地域の現状と課題
ル法の施行に伴い、このような環境面での配慮も一層重要に
(1)地域における社会的・経済的ニーズ
なってきている。
自然環境に恵まれている“ながの”は、日本有数の長寿県で
あり、高齢者の医療費が最も低いという特徴がある。これは、
b. 地域再生に向けた取組実績と今後の方向性
(1)提案機関における人材養成の実績
古くからの食習慣にも起因するところが大きいが、近年、少子
国立大学法人として、信州大学工学部の若里キャンパスにお
高齢化などに伴い食習慣が変化し、さらに安全安心な食品開発
いては、毎年約 500 名の学士、250 名程度の修士と、博士課程
が強く望まれている。
は全学的な組織の中ではあるが 15 名程度の博士を輩出してい
長野市における食品加工業の製造品出荷額は堅調に推移し
る。特に、博士課程学生の中には、地域の企業からの社会人入
てきているものの、地域の食品加工業は小規模な企業が多く、
学の学生も多く含まれている。このような新たに起業を醸成す
企業単独での開発能力が十分でないのが現状である。地域の基
る十分な技術を持つ人材創出は、地域再生にとって欠かすこと
盤製造業である食品加工業の人材を育成することは、地域産業
ができないものである。また地域の食品加工企業には、バイオ
からも望まれている。そこで、従来からの地域基盤産業である
関連の研究室から毎年数人規模で就職しており、地域の産業の
農業生産や食品加工業に新しい技術を取り込み発展させるた
発展に貢献している。さらに、イノベーションマネージメント
めの核となる人材の養成は重要な課題である。
専攻(経済学修士課程)では、技術だけでなく、新規起業を目
従来から食されてきた農産物は丸ごとであったのに対して、
指す人材の育成も行っている。特に最近では、企業の経営層と
現在は加工することにより重要な食品成分を有機廃棄物とし
協力して長野県の食品産業の特徴を全国と比較することによ
て廃棄している現状にある。これらを有効に利用することは、
り多方面から分析し、地域経済の発展のための人材養成を行っ
食品加工業のコスト削減ばかりでなく、伝統郷土食の再生にも
ている。また、地元の食品加工業との共同研究を通して、社会
つながると考えられる。このような健康増進につながる食品の
人技術者のスキルアップにも貢献している。
開発と食品バイオマスの利用促進は、国の施策ともマッチして
(2)提案機関における研究等のポテンシャルと地元地域への
おり、その核となる技術者を養成することは、地域の活性化と
貢献実績・貢献見込
新産業の創出の両方に貢献できる。
(2)地域における解決すべき課題
信州大学工学部では、環境機能工学科を設置し、環境技術の
発展に貢献するとともに、理系学部では全国で初となる
長野県のキノコ生産加工および味噌などの大豆加工品の製
ISO14001 を取得し、環境教育に力を注いでいる。一方、信州
造品出荷額は全国一位であり、これらを含めた食品加工業は
大学工学部では、環境調和型科学技術研究センターを立ち上げ
長野市の重要な地場産業である。これらの食品加工業は古く
ている。このセンターでは現在、食品廃棄物からの有用物質の
回収および減量化について共同研究を行っている。特に、酵素
a. 人材養成の目的
を用いた新しい技術と、超臨界流体や膜を用いた新しい物質分
(1)養成の対象者、養成すべき人材像
離のプロセスに特徴がある。センターではこの他にも地域企業
対象者としては、地元の食品関連企業の技術者、地域特産物
の求めに応じてプロジェクトを組み、必要に応じて学部内の有
の生産に当たる農業生産団体の技術者が、社会人の再教育のた
能な人材を学問領域の壁を取り払って活用し組織する仕組み
めの対象者となる。一方、大学院工学系研究科修士課程の学生
を作っている。長野市は信州大学工学部との連携のもと、長野
については、将来地元の食品加工業の核となる技術者になるた
市ものづくり支援センター(UFO Nagano)を工学部の敷地内に
めの実戦的なカリキュラムを用意する。
立ち上げ、地域企業の物づくり支援による活性化と共に大学の
地域基盤産業である食品加工業を発展させるとともに、食品
シーズと企業のニーズのマッチングを図っている。UFO Nagano
加工から生じる廃棄物を食品リサイクル法に従って処理し、ゼ
は、地域企業の要求を取り纏め、産学行連携を推進する役割を
ロエミッション化を目指す技術を習得した人材の育成を目指
担っているが、この一助として長野環境ビジネス研究会を立ち
す。このプログラムでは伝統的な食品加工業の技術を見直すと
上げている。このように、提案機関では食品および食品加工残
共に、新しいバイオテクノロジーおよびプロセス技術を導入す
渣の利用に関して地域貢献をしてきており、今後は本プログラ
るための知識を習得し、この技術を現場に活かせる人材を養成
ムにより一層の活性化を図ることにより、地域産業の創出に協
する(食品マイスター(仮称)
:社会人 5 名/年)
。さらに、食
力していく。
品バイオマス資源を高機能物質やエネルギーへ変換する技術
(3)自治体における地域再生の取組と今後の方向性
を推進し、経営・環境・国際感覚を併せもった技術者(食品科
長野市は信州大学と平成 16 年に締結した、地域の発展と人
学修士:5 名/年)を養成する。本ユニットにおいて育成すべ
材の育成に寄与することを目的とする包括連携協定に基づき、
き人材は、上記の技術的な観点からばかりでなく、企業経営や
本プログラムを積極的に支援する。その一環として、地域資源
技術者倫理などの知識も習得し、中小の企業に必要なオールマ
を生かした先進的産業創出を図る「地域ブランド農工連携プ
イティー型の技術者である。
ロジェクト」を推進しており、ものづくり支援を行う UFO
(2)養成修了者の活躍の場、地域再生への具体的な貢献
Nagano を信州大学工学部内に設置した。この UFO Nagano で
食品関連企業の技術者として本プログラムを修了した社会
は、食品加工業を含む地域産業の活性化や創業支援を推進し、
人は、それぞれ自社の開発部所に戻り、本プログラムで習得し
「長野市産業振興ビジョン」に基づく産学行連携や企業間の
た技術を生かした取り組みを展開する。特に、本プログラム後
地域人材交流を積極的に進め、信州大学と連携した製品技術
半での、自社における技術開発における問題点の解決にかかる
開発を行っている。
レポートでまとめた内容を、自社で具現化する。また、修士課
また、地域資源を生かした先進的産業創出として「地域ブ
程で学んだ学生は、優先的に地元企業に受け入れられることに
ランド農工連携プロジェクト」を推進しており、バラエティ
より、即戦力の人材として開発部所での活躍が期待される。特
に富んだ地場産農作物を生かすことで、消費者ニーズに即し
に、現在の下請け的な生産を打破するために、長野の地域を生
た加工食品や機能性食品などの新産業への展開を支援してい
かした、ここでしかできない食品の開発と、生産効率を上げ、
る。さらに、地域資源の有効活用を目指すため、平成 16 年と
生産コストを下げるための技術開発に貢献する。また新しいタ
17 年に地域省エネルギービジョンと共に地域新エネルギービ
イプの個別対応型の食(高齢者食や機能性食品など)の開発に
ジョンを策定し推進している。
あたり、新規の食品産業を創出する。
(4)地域の企業等による地域再生の取組と今後の方向性
b. 人材養成の手法
伝統的な食品加工業では、古くからの技術が確立されており、
(1)養成手段及び目標とする人材像
新しい技術開発には至らなかった。最近では食品リサイクル法
本プログラムに参加した社会人は、伝統的な食品技術を革
などの対応もあり、新たな技術の導入が不可欠となってきてい
新するバイオテクノロジー技術を身につけるために、講義と
る。その中で、本人材育成プログラムは、このような活動の核
実習を一緒にして、単なる講義ではない実学として学ぶ。ま
となるものと考えられる。特に社会人技術者の再教育と、大学
た、食品分野で重要なプロセス工学について、最近の進歩し
院の高度専門コースの人材を受け入れることにより、新しい産
た新しい技術についても、同様に講義と実習を対で行う。こ
業の創出を目指している。特に、伝統的な食を活かしつつ、高
れらの講義と実習は、工学部キャンパス内に設置された UFO
齢者食などの個々の顧客ニーズに対応できる機能性の食品開
Nagano 内の研究室で行う。講義については基本的に夜間開講
発に活路を見出していくことは、企業ばかりでなく長野県工業
とし、実習は土曜日に開講する。また、この研究室は学生と
技術総合センター食品部門でも計画されている。この県の研究
社会人の交流の場でもあり、社会人の抱える技術的な問題に、
機関との協力体制も、個別テーマの問題解決時の対応について
学生が一緒になって解決に当たる。これは、学生の修士論文
協議済みである。
のテーマとなり、この分野での学位を取得させる核となるも
のである。さらに、この人材育成コースを修了したものは、
2.地域再生人材創出構想の内容
生涯にわたってこの人材育成のプログラムを活用できる体制
とする。
実習・実験を中心に行う。後半の半年は、各自が会社あるい
(2)人材養成業務の従事者
は団体で抱えている独自の問題を中心としたテーマ研究を行
工学部内の環境調和型科学技術研究センターに所属する教
い、得られた成果をレポートに纏める。レポートの内容は、
員は、現在 30 名ほどであるが、それらのうち食品バイオ技術
修士学位程度を目標とし、個別の口頭発表会を開催し、到達
および食品プロセス技術に関連する教員は 10 名ほどである。
レベルを判定し、食品マイスター(仮称)を認定する。また、
これらの教員は、兼任の教員として夜間および土曜日の講義と
大学院の学生は、現場の抱える問題を一緒に討論し、その問
実習を担当する。また、食品分野については新たに特任教授 1
題の解決における基礎技術的な内容については修士論文のテ
名を採用し、専任の教員としてカリキュラムの運営から、オー
ーマとして取り上げ、実践的な教育を行うことにより、大学
プンラボラトリーの管理を行う予定である。この分野は、地元
院の修士論文としてまとめ、論文の審査を経て食品科学修士
の優良食品企業からの講師を招くと共に、地域の食品開発にお
の学位を与える。
いて重要な役割を担ってきた、全農長野の研究部署である社団
(5)機関における地域再生人材養成ユニットの位置付け
法人長野県農村工業研究所の研究員を非常勤講師として招聘
本人材養成拠点は、信州大学が中心となり、社団法人長野
する。さらに、長野市にある長野県の研究機関である長野県工
県食品工業協会、社団法人長野県農村工業研究所、長野県工業
業技術総合センター食品部門も、個別課題の問題解決において
技術総合センター、JA 団体と長野市(UFO Nagano)が協力し
は共同で指導する体制をとる。
て本人材養成ユニットを運営して行く。実施期間終了後の運
このように、本人材養成拠点の特徴は、食品科学だけでな
営に必要な経費は、授業料収入と長野市および社団法人長野
く、新しいバイオ技術を食品分野に応用すること、また新し
県食品工業協会からの助成金で賄う予定である。支出のうち、
いプロセス技術を導入することにより、伝統的な食品技術を
人件費に関わる部分は大学側が自助努力で行い、その他の運
革新する人材を育てるところに特徴がある。また、全国の大
営費等は助成金から拠出する予定である。また、人材養成と
学に先駆けて ISO14001 を取得するなど、環境面での活動を推
共に技術開発を行い、これにかかる技術料からの収入も本人
進してきたノウハウを、食品廃棄物に応用することにより、
材養成のカリキュラム運営に当てるものとする。また、将来
新規食品関連産業の創出が期待される。
的には独立の大学院組織として、工学部内に設置する予定で
さらに、工学部内にあるイノベーションマネージメント専
ある。
攻は、経済学とものづくりの融合を目ざして組織され、これ
c. 人材養成の達成目標
まで下記のように食品加工業を経済ベースから評価し、業績
(1)人材養成対象者の到達レベル
欄に上げた 3 つの報告書をまとめてきている。これらの取り
本プログラムを修了した社会人技術者は、現場における問
組みは、地域の食品加工業の進むべき道を示唆するもので、
題点を解決するための手法を考案し、さらに難しい問題につ
地域食品加工業の活性化に欠かせないものである。
いては、本プログラムを通じて構築した人的ネットワークを
(3)人材養成業務の実施内容
駆使できる能力を有するレベルを要求する。これにより、企
カリキュラムは主としてバイオテクノロジーに関する酵素
業が独自の開発力を強化し、自ら開発した商品を上市できる
工学・微生物工学・生化学・食品科学と、プロセス工学に関す
体力をつけることが望まれる。また、大学院の修了者は、地
る分離工学、化学工学、結晶化工学に加えて、経営感覚を養成
域の企業において新規の食品加工業を創出する開発能力を身
するためフードマーケッティング論や、伝統食品技術の見直し
につけ、さらに企業の収益と共に、環境に配慮した技術を考
に役立つ伝統食文化について基礎知識を養う。主に夜間開講す
慮できる能力が要求される。これにより、大手の下請的な食
る講義と土曜日に開講する実験・実習を行うが、必要に応じて
品製造から脱却する企業を創出する。
企業においても実験・実習を開講する。これらの講義および実
(2)3 年目及び 5 年目の養成目標人数
習は、社会人コースおよび大学院コースに共通であり、期間の
本人材養成プログラムでは、社会人技術者の再教育として
前半に終了させる。社会人コースでは、後半には現場での問題
5 人/年、また大学院食品科学コースとして 5 人/年の人材
点などを一人 1 テーマ課題として取り上げ、問題解決の糸口発
の養成を目指す。社会人の再教育コースは 1 年のコースであ
見と具体的解決経路について指導し、レポートを提出させ、到
り、大学院のコースは 2 年間であるので、3 年目には社会人
達レベルに達した者を修了させる。また大学院のコースにあっ
の再教育コースで 10 名、大学院で 5 名の人材を養成する。5
ては、講義・実習に加えて、各企業の現場で問題になっている
年目には社会人の再教育コースで 20 名、大学院のコースで
技術的問題の解決に当たるための、基礎的な技術の開発に関す
15 名の人材を地域業界に輩出する予定である。
るテーマを設定し、2 年間の修了年限の間研究を行い、最終的
に修士論文としてまとめ、学位授与に関する審査を受ける。
3.自治体との連携・地域再生の観点
(4)到達レベルの要件とその判断方法
a. 自治体との連携の具体的内容
企業からの派遣学生は既に会社において問題をいくつか抱
えている。本人材養成拠点においては、前半の半年は講義と
(1)長野市ものづくり支援センターの利活用
ユニットの講義や実習、研究等を行う場所として、長野市
の産学行連携拠点施設である長野市ものづくり支援センター
る。
(UFO Nagano)内にあるクリーンルームやセミナー室等の優
また、近年、地域住民においては環境に対する意識が高揚
先的使用を許可する。また、試作・開発ゾーンと位置付けら
しており、本市でもビジョンのリーディングプロジェクトの
れているクリーンルームでは、本ユニットに参加する企業等
ひとつに「バイオマス技術開発プロジェクト」を掲げている。
が講義の実習成果を生かす場として、新製品の研究開発や試
食品加工の操業に伴う環境負荷の軽減へ対応するため、平成
作が行えるよう優先的使用を許可する。さらに、センターに
19 年度には長野環境ビジネス研究会を設立する予定であり、
常駐するインキュベーションマネージャーやコーディネータ
本ユニットによる最新バイオテクノロジーの習得が環境負荷
等が、産学連携や産産連携を促し、新技術や新商品の開発に
低減に大きく寄与するものと期待している。
係る技術的サポートを行う。
d. 地元の企業等からの協力の内容
(2)資金援助
地域における食品加工関連企業は、本ユニットの人材養成
長野市ものづくり研究開発事業補助金や新産業創出ワーク
拠点形成を支持し、将来を担う人材を創出するために、本ユ
ショップ支援事業補助金等を活用し、ユニットへ人材を派遣
ニットに企業の人材を講師や受講者として派遣する。また、
する企業の研究開発や研究会活動に対して補助金支援を行う。
本ユニットで学んだ修士課程の学生の地域企業への採用につ
また、ユニットへ人材を派遣した企業が、当該人材の会得し
いて、積極的に取り組む。さらに、地域の食品加工業活性化
た知識・技術を活用し、新たな事業展開や生産施設の改善等
のために、ビジョンの中で進めようとするリーディングプロ
を行う場合の設備資金についても、長野市中小企業振興資金
ジェクトの「地域ブランド農工連携プロジェクト」
「バイオマ
融資を有効に活用できる措置を実施する。
ス技術開発プロジェクト」にも積極的に参画する。
(3)学生の実践的技術習得支援
e. 成果として見込まれる地域再生への貢献度
信州大学工学部の学生等が、地域企業の現場で技術者とし
本ユニットは、食品マイスター(仮称)及び食品科学修士
ての実践的な技術習得を行う「企業の郷・企業書生事業」の企
(仮称)の認定を受けた優秀な食品関連技術者を養成し地域
画運営実践に係る支援を行う。また、この事業を通じて、地
企業に送り出す。人材養成を受けた技術者は、本ユニットに
域学術機関の人材を地域企業の雇用につなげる。
おける技術サポートを継続的に受けるとともに、長野市もの
b. 地域再生の取組等との関連性
づくり支援センター(UFO Nagano)内に設けたオープンラボ
平成 19 年 3 月策定の「長野市産業振興ビジョン」において
ラトリーの積極的な利活用を実践する。このことは、地域の
は、今後 5 年間の産業振興施策のうち、特に力を入れるべき
食品加工業における開発能力を向上させ、大企業と対等な研
ものとして「産学行連携推進プラン」を実施することとして
究開発を行う企業体質を生み出し、地域の特色を生かした食
いる。本プランでは、長野市ものづくり支援センターを研究
品開発と環境対応型の新商品開発を促進させる。
開発拠点として製造品の高付加価値化の支援、ものづくり研
また、長野市が進める「地域ブランド農工連携プロジェク
究開発補助金による新技術・新製品の研究開発支援の他、高
ト」においては、地場産品を生かした新しい食品加工の生産
度な技術・技能・専門知識を有する人材による専門アドバイ
振興と品質向上に努め、
「長野ブランド」確立に向けた基盤整
ザー活用事業等を盛り込んだものであり、本ユニットによる
備を推進する。そのために、本ユニットが目指す食品加工業
人材養成は本プランの具体的先進事例として展開するものと
の人材育成を推進するとともに、健康や長寿で有名な長野県
して位置付けられる。また、同ビジョンでは、地域資源を生
民の食生活を検証・分析することで、健康志向食品や高齢者対
かした先進的産業創出として「地域ブランド農工連携プロジ
応食品、機能性食品などの分野への新規参入を支援し、地域
ェクト」を推進しており、バラエティに富んだ地場産農作物
での新しいビジネスの創出や育成を図る。
を生かすことで、消費者ニーズに即した加工食品や機能性食
さらに、本ユニットから生み出される新商品等を「長野ブ
品への新産業への展開を支援している。このことから、地域
ランド」として効果的に情報発信することで、農業・工業・観
再生計画においても、産学行連携による「伝統的技術とバイ
光などとの有機的な結びつきが強まる。このことは、地域特
オテクノロジー・プロセス工学の融合」を「食品加工業再生
産物の農業生産振興を含めた地域産業活性化や雇用創出に大
の起爆剤」と捉えたものとして策定する。
きく貢献するものである。
c. 地域としての個性・特色及び地域のニーズの内容
本市の製造品出荷額は平成 9 年をピークとし、平成 16 年で
は約半分まで減少したが、食品加工業はこの間においてもほ
ぼ横ばいで推移し、比較的安定した実績を残している。
しかしながら、今後の人口減少社会・食生活の欧米化により
味噌・漬物等を中心とした伝統的日本食を核とする本市の食
品加工業は縮小傾向が予想されるため、共通の課題として、
新製品開発力の向上・製品の高付加価値化が急務となってい
4.システム改革の実現性とその実施体制
本システムは以下のような運営協議会を組織し、
「ながのブ
ランド郷土食」の開発のための人材の育成プログラムを実行、
評価、改善を行っていく。
氏名
所属部局・職名
当該構想における役割
◎山沢 清人
信州大学工学部
研究代表者
天野 良彦
信州大学工学部
カリキュラムの作成・講師・技術指導
片岡 正和
信州大学工学部
カリキュラムの作成・講師・技術指導
野崎 功一
信州大学工学部
カリキュラムの作成・講師・技術指導
内田 博久
信州大学工学部
カリキュラムの作成・講師・技術指導
清野 竜太郎
信州大学工学部
講師・技術指導
大石 修治
信州大学工学部
カリキュラムの作成・講師・技術指導
三島 彰司
信州大学工学部
講師・技術指導
松本 明人
信州大学工学部
講師・技術指導
梅崎 建夫
信州大学工学部
講師・技術指導
土田 義昭
(株)マルミ
講師・技術指導
山田 純司
(株)東亜化工
講師・技術指導
竹内 正彦
(社)長野県農村工業研究所
講師・技術指導
中村 昌子
(社)長野県農村工業研究所
講師・技術指導
西澤 賢一
(社)長野県農村工業研究所
講師・技術指導
松澤 恒友
(社)長野県農村工業研究所
カリキュラムの作成・講師・技術指導
小原 忠彦
(社)長野県食品工業協会
カリキュラムの作成・講師・技術指導
市村 次夫
小布施堂(株)
講師・技術指導
茂木 信太郎
樋口 一清
信州大学イノベーションマネージメント大
カリキュラムの作成・講師・技術指導
学院
信州大学イノベーションマネージメント大
講師・技術指導
学院
小池 睦雄
長野市役所
カリキュラムの作成・講師・技術指導
近藤 君夫
長野県工業技術総合センター
技術指導
5.各年度の計画と実績
年次生は、講義及び実習のティーチングアシスタントとして
a.平成 19 年度
採用し、カリキュラムの改善を図る。さらに、前年度に修了
・計画
した社会人再教育コースの修了生及びその上司等にアンケー
本拠点の人材養成のカリキュラム内容の確認と講義・実習
トを実施し、人材の評価システムと教育システムの検証を行
を進めるための事前準備(受講学生の選抜、予備実習と機器
う。また、修了生のネットワークを構築し、共同でながのブ
の導入整備)を行う。また、先行して人材養成の拠点や、食
ランドを開発する組織作りを行う。
のクラスターなどの取り組みについて、現地において調査を
実施し、情報の収集を行う。また、本拠点を運営する運営協
d.平成 22 年度
議会を開催し、運営方法、ミッション、カリキュラム等の確
・計画
認、学生選抜方法の確認などを行う。運営における実務面の
社会人再教育コースと大学院修士食品科学コースの学生を
検討は、運営協議会の下部組織として専門部会(カリキュラ
受け入れ、教育を開始する。修士の学生(1 年次生)には、
ム検討部会、学生選抜検討部会、修了認定検討部会、企画・
実践教育的な観点から県内の食品会社でのインターンシップ
戦略検討部会)を設定し、それぞれカリキュラムの検討、学
を実施する。修士の学生(2 年次生)は、引き続き食品の基
生選抜方法の検討、修了認定方法の検討、および企画・戦略
礎に関する研究を行い、修士論文を作成する。また、修士 2
について検討する。また、本拠点の社会での認知を進めるた
年次生は、講義及び実習のティーチングアシスタントとして
め、公開のシンポジウム等を企画・開催する
採用し、カリキュラムの改善を図る。
b.平成 20 年度
e.平成 23 年度
・計画
・計画
社会人再教育コースと大学院修士食品科学コースの学生を
社会人再教育コースと大学院修士食品科学コースの学生を
受け入れ、教育を開始する。4 つの講義(食品バイオテクノ
受け入れ、教育を開始する。修士の学生(1 年次生)には、
ロジー、応用食品プロセス工学、食品科学、フードマーケテ
実践教育的な観点から県内の食品会社でのインターンシップ
ィング論)と 2 つの実習(食品バイテク実習、応用食品プロ
を実施する。修士の学生(2 年次生)は、引き続き食品の基
セス実習)を行う。修士の学生(1 年次生)には、実践教育
礎に関する研究を行い、修士論文を作成する。また、修士 2
的な観点から県内の食品会社でのインターンシップを実施す
年次生は、講義及び実習のティーチングアシスタントとして
る。また、修士の学生には、食品開発における基礎的なテー
採用し、カリキュラムの改善を図る。さらに、前年度に修了
マにおける研究を行い、修士論文の作成の準備を行う。社会
した社会人再教育コースの修了生及びその上司等にアンケー
人再教育コースの学生は、各社が抱える問題などに関する課
トを実施し、人材の評価システムと教育システムの検証を行
題を設定し、その解決に当たるような課題研究を実施し、そ
う。
のレポートの取りまとめを行う。また、社会人再教育コース
の修了生の資格認定のシステムについて検討して立ち上げる。
c.平成 21 年度
・計画
社会人再教育コースと大学院修士食品科学コースの学生を
受け入れ、教育を開始する。修士の学生(1 年次生)には、
実践教育的な観点から県内の食品会社でのインターンシップ
を実施する。修士の学生(2 年次生)は、引き続き食品の基
礎に関する研究を行い、修士論文を作成する。また、修士 2
6.年次計画
項目
1 年度目
人材養成業務従事予定者の
⑩
2 年度目
3 年度目
4 年度目
5 年度目
招へい
食品加工技術者コース
養成対象者の選考
講義・実習準備
⑫ ③
⑪
⑫ ③
⑫ ③
⑫ ③
⑫ ③
③
(1)講義・実習
④ ⑧
(2)課題研究
④ ⑧
⑩
③
④ ⑧
⑩
③
④ ⑧
⑩
③
⑩
③
大学院修士コース
養成対象者の選考
講義・実習準備
⑫ ③
⑪
⑫ ③
⑫ ③
⑫ ③
⑫ ③
③
(1)講義・実習
④ ⑧
(2)インターンシップ
④
(3)修士論文研究
④ ⑧
③
④ ⑧
④
⑩
③
⑩
②
④ ⑧
④
③
⑩
④
②
③
⑩
②
研究開発(人材養成に直接
関わる内容に限る)
(1)人材評価の準備
④
(2)成果の解析
④
⑨
⑩
⑨
⑩
③
③
養成人数
0
5
10
10
10
(累計)
(0)
(5)
(15)
(25)
(35)