江別市立大麻東中学校 金森直人 先生 - 北海道ジュニア

「滋賀全中に参加して」
江別市立大麻東中学校
女子バスケットボール部
顧問 金森 直人
本校の全中出場にあたり、心温まる激励、技術やチームづくりに関しアドバイスやご指
導をいただきました、道ジュニア連盟をはじめ各地区連盟やバスケットボール関係者の皆
さん、石狩ジュニア連盟と管内のバスケットボールの指導普及にねばり強く取り組んでこ
られている石狩ミニバス連盟の皆様に心よりお礼と感謝を申し上げます。本当にありがと
うございました。
選手、指導者、誰もがあこがれ、夢見る全中。東日本大震災という未曽有の災害から、
復旧、復興を目指して日本中が心の絆をキーワードに現地実行委員会が、心のこもった運
営に尽力された大会。環境面の不自由さは若干あったものの、その感動的な全中のすべて
が、初出場の私と選手たちにとって、感動と興奮を覚えるもので、「また来たい」「もっと
結果を出したい」と心の底から思わせてくれるものでした。
■数年間を振り返って
本格的に女子指導に携わった大麻東中での8年間。今野真澄
(山の手―松蔭大学)の在籍した最初の3年間、生徒数の減少
とミニバス経験者の減少から苦しんだ2年間、そして主将の齋
藤麻未を中心に現3年生が入学してきたこの3年間、複数学年
にまたがってのチーム作りに日々奮闘の毎日でした。今野が2
年生の代には江別全道で管内3位での出場。1回戦で敗退し、
コーチングの甘さも痛感、福島県泉崎への道外遠征。当時全中
でも活躍した鳥屋野中に飛行機から降りた数時間後に粉砕され、
道外のチームがいかに日常的に県をまたがって交流強化に努め、
暑さや審判のジャッジがどうこうに関係なく、ひたむきに「う
まくなりたい、強くなりたい」と努力しているかを知りました。今野3年時には、当時2
年生の旭川緑ヶ丘(山の手全国優勝の高田・町田らが活躍していた)や札幌市の北栄、清
田と何度もゲームをしてもらい、全国を目指しましたが、石狩管内の決勝で千歳青葉に敗
れ、全道への道すら絶たれました。その後、山の手高校で今野真澄を育てていただき、小
柄ながらガッツあるプレーとそのキャプテンシーを生かし、活躍してくれたことが、私の
指導者としての心の支えでもありました。その後の2年間は、部員5名もそろわない危機
的状況。心のむずかしさを持った選手も多く、生徒指導にも多くの時間を費やしました。
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■地域に感謝して
それでも、毎年、数名ずつ、本当にバ
スケットボールを愛し、ひたむきに練習
に取り組む選手たちが本来の校区である
本校に入学してきました。伝統ある江別、
石狩のミニバスチームの中にあり、全市、
全道すら出場できなかった選手たちが、
中学校ではより上を目指してチームづく
りに励んでくれました。バスケットボールでも学校生活でも、人として人間性の高まりが
なければ、技術の向上もチームの結果も出てこないと思っています。チームスポーツなの
で、何よりも指導者と選手、選手同士、選手・指導者とそれらを取り巻く環境を好ましい
人間関係で包み込まなければ、よいチームはできません。ミニバス経験者のいない千歳、
恵庭で長くチームづくりに悪戦苦闘してきた私にとって、ひとりでも二人でも、基本技能
をしっかり身につけて、志を高く入学してくる選手がチームにいること、そうした子ども
たちを選手として、人としてしっかり育てサポートしてくれているミニバス指導者や保護
者がいる地域で指導にあたれることに感謝のひとことしかありません。私たち中学校の指
導者は、あたりまえにミニバスのいい選手が集まり、時には校区をこえて勝つために選手
が集まるような状況にあることにあぐらをかいてはいないでしょうか。称えられるべきは、
地域に根差して、地道な少年団活動に日々努力し指導普及にあたっているミニバス指導者、
そして、一から中学校でバスケットボールを始める選手達に必死に、技能と精神のファン
ダメンタルを叩き込んでいる多くの指導者達に違いないと考えています。
■管内制覇を目指して
主将を務めた齋藤麻未が1年生に入学し、この代の2,3名が上級生とともに1年生の
段階から、ゲーム経験を積ませることができました。古豪江別復活を期し、大麻中学校と
ともに帯広遠征に行ったり、江別二中にご苦労いただいて江別カップと称して道内各地か
らチームを招いたり、札幌の若手指導者達とともに長万部町で、札幌地区・函館地区・胆
振地区等のチームで合宿を繰り返したり、自分が大学時代、共にゲームで対戦した旧友に
お願いし、旭川地区との合宿も貴重な経験でした。今次、全国に行ったメンバーは、やは
りそうした合宿や遠征で、経験値の不足をカバーする
こと、他地区の戦力分析を意識しました。もう少し、
じっくり教えたい、ファンダメンタルや組織練習に時
間をかけてとの思いとは裏腹に市内・管内・選抜・学
年別と大会に追われシード権が絡んでくること、ゲー
ムライクな練習をするには、主力となるメンバーも部
員数も足りなかったことが、やはりネックでした。高
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校の先生方にも声をかけていただき、時期や疲労、けがに注意しながら、高校にも出かけ
て教えを乞いました。そうした3年間に大麻中、江二中というラ
イバル校が常に切磋琢磨できる存在として一番身近にいたことが、
選手たちの何よりのレベルアップにつながったように思います。
実際、この3年間大麻中、江別二中に何度も負けていますし、
「ゲ
ーム運び」を工夫しなければ、すぐに弱みに付け込まれる強豪校
の存在は、脅威であり、本当にいい勉強をさせていただきました。
正直、二十数年間の私の夢は、
「全道優勝」や「全中出場」という
より、中体連での「石狩管内制覇」だったといっても過言ではあ
りません。
■指導にあたって
華々しい経歴と実績を積んで中学校に入学してくる選手達ではないので、ジュニア期の
最も大切なことは、人それぞれが持っている「自分の良さ」に気づき、自信を持たせるこ
とだと考えています。スピードがあるとか、シュートタッチがいいとか、ディフェンスだ
けはねばり強くがんばれるとか、リバウンドでは負けないとか・・etc.恵まれたことに時折、
高い潜在能力を持った子どもたちが入学してくる校区です。その個々の良さを引き出し、
自信を持って発揮できる精神力を創ることを心がけてきました。人としての成長が、プレ
ーの向上につながり、自ら考え、正しい判断で、「コート上で自立していること」が、最後
の命運を分けるものです。小学校から同じ人間関係で、やや、お山の大将的にバスケット
をしてきた選手が、困ったら中心選手に頼り、自らプレーをしなくなることでチームが失
速したり、チーム内の人間関係が好ましくなく、コンビネーションがぎこちなくなってし
まったこともありました。技術指導よりもそうした精神面のコントロール、チームの意思
統一に多くの時間と労力をかけたのが正直なところです。#4 齋藤麻未には、ある時はポイ
ントガードをある時はセンタープレー、シューターとオールラウンドなプレーを要求しま
した。なぜ、インサイドでポストアップして得点を取りに行かないと責めたこともありま
すが、ゲームメークのためにある程度ガードポジションでボー
ルを触っていないとチームにミスがでたり、自分がいいタイミ
ングでシールしても欲しいタイミングでなかなかボールが来
ないことも感じ取りながらプレーをしていました。チームメイ
トのシューターをどこで使ってやるのか、ワンパス速攻をどこ
で走らせるか、勝負どころはどこにあるのか、そうした判断が
的確にできるように成長してきたと思います。全道の決勝で清
田中学校に敗れましたが、コート上で、麻未が、「インサイド
は全部守るから、外のシュート抑えて」とチームメイトに叫ん
でいました。気が強く、私よりも負けず嫌いで、自分なりのバ
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スケット観を持った齋藤の今後の活躍に大いに
期待しています。副主将#5 成田は、スタミナが
あり最後までタイトにマンマークできる安定し
た選手。ドライブやスリーポイントの得点力を伸
ばし、リバウンドにも積極的にからんでくれる頼
もしい存在でした。#6 保科は、センタープレー
ヤーのようにステップワークが上手でとても器
用な選手。ペリメーター、3Pの上手な選手で、管内後の重い足首の捻挫を精神力でカバ
ーしながら、ゾーンでがっちり守られ苦しい場面にもアウトサイドのシュートと果敢なド
ライブで何度もチームを救ってくれました。全道新人戦骨折、中体連全道・全国は膝前十
字靱帯断裂とケガに泣いた#7 西野は、チーム No.1 のシュートタッチの良さ。インサイド
でもがんばれる貴重な得点源でした。2度の大きなケガをさせてしまった事は、指導者と
して大きな反省点です。それに下級生をどうからませて戦っていくか、管内大会後は、西
野抜きで戦うことになり、苦しい戦いとなりました。そんな中、ジャンプシュートを武器
に小柄ながらガッツあるプレーのできる#10 斎藤、齋藤麻未と1on1で勝負できる潜在能
力を持った#9 渡辺が、力強いリバウンドやガッツあるプレーでチームの危機を救ってくれ
ました。
■戦術的なこと
「堅守速攻型のチームを創りたい」と FASTBREAK と部活通信に銘打って、私のバスケ
ット観、チームのことを確認しあってきました。最後まで、オールコートでボールを奪い
取る積極的なディフェンスから走りまくるチームが本当は創りたいのですが、全道は、昔
のバスケットのようなコントロールバスケットでした。様々な要因からそうなったのです
がここでは割愛し、2年生後半の新人戦頃からは、1on1、2on2 のスクリーン練習、シェル
ディフェンス等でマンツーマンのディフェンス技術を高めながら、同時にゾーンプレスで
ボールを奪い取る練習で、ボールの移動によりポジションを変える組織練習を重視しまし
た。マンツーマンでは、1線目にタイトにつくこととディレクション、2戦目のカバーの
タイミングとコミュニケーション、2線目のカバーは当然でそこ
からふられてくるパスを3線目がカットできるようローテーシ
ョンを意識して練習しました。ボールマンスクリーンを利用して、
アウトサイドシュートやピックアンドロールで攻めてくるチー
ムも多いので、スイッチアップを効果的に使えるように指導しま
した。マンツーマンに関しては、オーバーヘルプをしないで、フ
ェイスガード的に持たせないようにつき続けなければならない
選手とある程度持たせてもドライブを切られてはいけない選手
を意識させました。切られてきて齋藤がブロックに出て終わる相
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手と、齋藤がブロックに引き出されてそれに合わせてくるチー
ムが存在することも話し、そのローテーションも意識させまし
た。3線目のインサイドに飛び込むプレーヤーに対するコース
チェック、ディフェンスリバウンドでのスクリーンアウトにつ
いては、指導と徹底が甘く反省している点です。特にベースラ
インドライブに対して、ローテーションディフェンスするので、
マッチアップをかえてコンタクトしてアウトというねばり強
さが落ちていました。アウトサイドのシュートではロングリバ
ウンドになり、その対策も甘かったように思います。どんなと
ころにいても、アウトして、ボールにはとびつくという当たり
前のディフェンスリバウンド技術が、全国のチームの方ができていました。ゾーンプレス
も同時に進めて行くのは、ディレクションをかけ追い込みながら、タイミング良くピンチ
プレーができる。また、ボールサイドに寄ったり、ボールラインまで戻ったり、後ろから
ボールをティップしたり、ポジション移動の意識をつけさせたい考えと、逆にプレスダウ
ンの練習をしっかり行っておかないと、ミニバス経験の豊富なタイトにディフェンスして
くるチームにシュートまで持って行けずに終わってしまうからです。プレスダウンに関し
ては、やや齋藤に頼った部分が多く、ショートパスとフラッシュを利用したパッシングゲ
ームがしたかったのですが、ドリブルで持ち過ぎるあまり、攻撃を遅くしてしまった点は
大きな反省点です。私自身は④番⑤番のコンビネーションプレーが好きで、2in3out のイ
ンサイドのコンビネーションを軸にハーフコートオフェンスを組み立てる構想で、#4、#7
の合わせが鍵を握っていたのですが、#7 西野のケガがチームとしては大きかった点です。
全国に出場するにあたり、#4、#9 のインサイドのコンビネーションプレーを準備する時間
も不足し、徹底しきれなかったことが悔やまれます。
■全国のチームとの差
マンツーマンであろうとゾーンであろうと、あたりまえのように、最後まで粘り強くデ
ィフェンスしてくる。ボールマンにはタイトであり、直線的に
ドリブルさせてくれないし、2線目、3線目のカバーもしっか
りできている。リバウンドも決して大きな選手がとるというこ
とではなく、体幹が強く、相手とコンタクトして、しっかりボ
ールにとびつく力強さを持った選手が多い。ギャンブルや派手
なディフェンスではないが、簡単にシュートまで行かせてくれ
ない脚が鍛えられている。ノーマークのジャンプシュートは入
ってあたりまえで、速攻からペリメーターのジャンプシュート
を確実に入れる力を持っている。各チームには、長い距離のシ
ュートもマークを甘くしたら確実に入るシューターもいる。選
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手層の厚さも含めて、走り続け、トランジションゲームがしっかりできるチームがあたり
まえで、よいディフェンスから、速攻やアーリーによる速い攻撃ができることの大切さを
改めて痛感させられました。どんなディフェンスをやっていても、ディフェンスが攻撃的
であり、予測や判断が正確で、初出場に暑さの中、浮足立って、力が入りすぎる本校には、
付け入られ、走られる隙を与えてしまったことを後悔しています。リバウンドからベース
ボールパスで速攻を出せる視野と肩の強さを持った齋藤がいても、ランナーを走らせきれ
なかったり、最後の 1on1 で、決定力に難があったりと解決しきれていない課題があり、実
際、全国大会でも、そうした課題部分が引っかかってきました。埼玉栄には、パス&ラン
で、走る展開についていけなくなり、山ノ下は、粘り強いディフェンスとシュート力に完
敗。コート上に出ている選手が、実に「自ら判断し、状況に応じて、正しいプレーの選択」
をしてくる。困ったり、迷ったりして、ミスに陥る回数がやはり本校には多かったのが現
実です。プレーヤーとして、選手を自立させきれていないのだと反省しました。判断力や
行動力、やはり人として自立しないところに選手としての自立もない。中学生とはいえ、
プレーヤーとして、考える力を持った選手育成、自己のパフォーマンスを発揮できる能力
の伸長に努める必要性を感じました。
■最後に
あらためて、私自身が、選手にも、仲間にも恵まれていると感じました。数年間で、幾
度か、潜在能力の高い選手たちをあずかり、チャンスを与えられ、管内、全道、全国での
勝利を夢見ることができました。
そして、保護者はもちろん、地域の人たちも、石狩や道内各地の指導者仲間も、本当に多
くの人たちが、全道、全国への出場を心から祝福し、声をかけてくれ、様々な支援をして
くれました。「人との出会い、つながり、絆」が、何よりも、助け、支えとなり、人として
の財産であることを実感できたこと、それが Zenchu 出場でした。
もちろん、自分としても、もう一度いいチームを創ってチャレンジしたい、今度はもっ
とうまく戦ってやると強く感じていますが、同じ志を持って、
北海道内で、粘り強く指導に携わっている多くの指導者の皆
さんにとって、本校の全国大会出場が、勇気を与えるエール
となれば幸いです。必ずチャンスは来ます。あきらめず、粘
り強く、けっしておごらず、謙虚な気持ちで努力し続けるこ
と、信念と徹底を武器に・・・。
最後になりますが、全中出場にあたり、本当に多くの皆様
にご支援、ご協力をいただきましたことに心より感謝を申し
上げ報告とさせていただきます。ありがとうございました。
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