学校管理下における事故の防止について - 兵庫県立教育研修所

【本日の説明内容】
兵庫県学校安全教室講習会
学校の管理下における
事故防止について
【兵庫県の災害に関する統計情報】
•
•
•
•
•
•
•
•
•
平成24年度の兵庫県の統計情報
歯・口のけが防止について
転落事故について
熱中症について
学校種別-場所別の災害割合
場所別
場合別
運動種目別
部活動別
部位別
災害共済給付オンライン請求システムより
出力した平成24年度データのグラフを紹介
学校種別-場合別の災害割合
学校種別-運動種目別災害割合
学校種別-部活動別災害割合
学校種別-部位別災害割合
歯・口のけがについて
歯・口のけが調査研究の経緯
歯牙障害は障害見舞金支給件数の約30%を占める。
「歯・口」の役割や意味が十分認識されていない。
けがをした際の対処方法が,よく知られていない。
子どもたちの「歯・口」をけがから守る
歯列について
歯・口のけが防止に取り組む意義
* 本人から見た左右
歯牙障害の減少
歯・口の健康つくりの価値観の向上
(健康つくりと安全確保の両面に広がる)
上
右
左
安全に関する習慣や態度を身に付けることにつながる
下
生活の質(QOL:Quality Of Life)の向上
永久歯の受傷割合
災害はいつ発生したのか
歯列
災害はどこで発生したのか
災害はどうやって発生したのか
(※高専含む。)
傷病名別の災害発生割合
%
人の身 体 の重 心 の 位 置
誕
生
!
5
歳
17
歳
事例(小学生)
事例(小学生)
◆階段の危険
◆濡れた床、廊下の危険
休憩時間中
2階から1階へ階段を降りていたところ、足
元を見なかったので、段を踏み外し、前方
へ2∼3段抜いて、顔から床に転倒した
(小学校2年)
清掃時
水拭きで廊下が滑りやすくなっていたため
足を滑らせて転倒して、床に顔面を強打し
てしまった(小学校4年)
事例(小学生)
事例(小学生)
◆遊具の適切な使い方
遊び方
◆体育用具の適切な使い方
休憩時間中、すべり台を下から登っていて
バランスを崩し顔面をすべり台に強く打ちつ
けた(小学校2年)
体育の授業で跳び箱をしていた際に、顔面
から落下し、その拍子に歯を床にぶつけ、
歯を欠損した(小学校4年)
事例(中学生)
◆ 情緒の安定,落ち着いた生活態度
◆ 良好な人間関係
昼休みに、ある生徒とトラブルになり
床にめがけて本人を投げたため
机に前歯が当たった
事例(中学生)
◆ 施設・設備の安全管理
◆ 用具の安全な使い方
運動部活動では最初に安全指導!
数人の生徒が陸上部の生徒が持っている
円盤を見つけて、トラック内で投げていた際に
手を離すタイミングがずれて
約15m離れていたところに座っていた
本生徒の鼻の下に当たった
事例(中学生)
事例(中学生)
テニス部の活動中
運動場にネットを張る際に
クランクが口に当たり
歯を破損した
顧問不在の時間帯において
1,2年生が胴上げを始めた。
その際、下の生徒が受け止められず
うつ伏せ状態で顔から落ちた
バレーボール部の活動終了後、
ネットを片づけていて、
支柱のハンドルが外れ、
本生徒の口に当たる
バスケットボール部活動中、
シュートした後に勢い余って前方へ倒れた。
起き上がる直前、すぐ後を追ってきた生徒に
後頭部を踏む形で乗られ、負傷する。
中学校の運動種目別発生割合
中学校の安全管理・指導
◆ 情緒の安定,落ち着いた生活態度
◆ 良好な人間関係
◆ 施設・設備の安全管理
◆ 用具の安全な使い方
初めての運動部活動では最初に安全指導!
球技が約70%
事例(高校生)
◆ 交通法規の遵守
◆ 自転車の安全点検
自転車で並走していたとき、友達の自転車の
ハンドル横にかけてあった傘が
前輪に食い込み、転倒した
◆ 正しい知識とフェアプレー精神
事例(高校生)
◆ 施設・設備の安全管理
◆ 正しい技術の習得
バント練習をネット裏から見ていたとき
ファールボールが
ネットの破損個所を抜けて
本生徒の顔面を直撃した
事例(高校生)
高等学校の運動種目別発生割合
◆ 危険の予測と回避の学習
◆ 安全な態度の育成
何か所かに分かれて、
ティーバッティングの練習をしていた。
本生徒はボールを拾い集めていたところ、
隣でバッティングをしていた生徒のバットが
顔面に当たり負傷した。
球技が約80%
高等学校の安全管理・指導
◆ 交通法規の遵守
◆ 自転車の安全点検
◆ 施設・設備の安全管理
◆ 正しい技術の習得
◆ 危険の予測と回避の学習
◆ 安全な態度の育成
マウスガードの装着の有無と
頭蓋内圧の関係(Hickey Jodson)
マウスガードの活用
◆ マウスガードとは…
スポーツによって生ずる歯やその周囲の組織
の外傷を予防したり,ダメージを軽くしたりす
る目的で,歯の上に装着する軟性樹脂でできた
弾力性のある安全具
マウスガード
(カスタムタイプ)
上の歯に装着された
マウスガード
初期対応が予後に影響を与える
歯の完全脱臼
完全脱臼
歯根膜が完全に断裂した状態
であり、歯は脱落した状態
マウスガードを装着すると
同じ外圧を受けても頭蓋内圧は50%に軽減
脱落した歯が再植できるかどうかは、
歯根に付着している歯根膜細胞が生きていること
再植とは
歯冠部を持ち、歯根部には触らない
抜けた歯を元の位置に戻すこと
* 必ず成功するわけではない
歯冠部
成功率を上げる初期対応
・ 抜けた歯を持つ際に、歯根は触らない。
・ 保存液または牛乳に浸して
・ 学校歯科医に連絡
歯根部
・ 速やかに歯科医院へ
(できれば30分以内)
歯・口のけが防止のまとめ
活動場所や内容,運動種目などに応じた安全対策を。
事故の事例や「ひやり・はっと」した場面などを題材に危
険予測・回避の学習を。
歯牙に関する障害見舞金請求について
等 級
障 害 の 程 度
第10級
14本以上の歯に歯科補綴を加えたもの
第11級
10本
〃
第12級
7本
〃
第13級
5本
〃
第14級
3本
〃
けがをしたところは清潔にし,迅速な応急手当を。
2本でも対象になる場合
抜けた(欠けた)歯を拾ったら,速やかに歯科医を受診。
歯牙障害の本数に数えられる歯
歯冠修復
全部鋳造冠
前装鋳造冠
欠損補綴
架工義歯【ブリッジ】の欠損歯
有床義歯
部分鋳造冠
(前歯の3/4冠・臼歯の4/5冠)
帯環金属冠
ジャケット冠
歯冠継続歯
「欠損」とは・・・
歯根部から完全に脱落し、かつ
再植不能の歯、または、破折
等があり治療のため抜歯した
歯をいう
*歯根の一部でも残っている
場合は欠損といわない。
前歯8本のうち、2本の歯が歯根(根っこ)から
完全に抜け落ちた場合(=完全脱落)のみ
特別に対象となる
歯牙障害の本数に数えられない歯
欠損した歯が乳歯の場合
脱落した歯を再植した場合
(ただし、初診から10年以内に歯根吸収等により
無事故的に脱落した場合は本数に数える。)
歯冠の崩壊があっても、充填、インレー、ポストインレー
鋳造インレー、メタルインレーにより修復した場合
健全歯(負傷歯でない)に歯科補綴を加えたり
健全歯を治療上抜歯した場合
医療費の給付対象とならないもの
【転落事故について】
例
セラミックによるさし歯
メタルボンド
歯列矯正
インプラント
16金以上の金合金による金属冠
医療保険診療外の治療は給付の対象にならない
災害共済給付請求に係る実地調査
新聞報道から(平成25年度 転落事故関連)
9月2日午前7時半ごろ、住宅の敷地内で倒れている女児が見つかった。女児は隣の
マンションに住む小学6年生の女児(11歳)で、搬送先の病院で死亡が確認された。
警察は、このマンションから転落したとみて、原因を調べている。
警察によると、午前7時10分ごろ、登校の準備をしている女児を母親が見ていたが、
いつの間にか自宅からいなくなったという。女児は部屋着姿で、近くにサンダルが落ち
ていた。
9月17日午前8時半ごろ、マンション(14階建て)の6階からこのマンションに住む中
学1年の女子生徒(13歳)が転落し、搬送先の病院で死亡した。警察は、生徒が自ら
飛び降りたとみて調べている。
警察によると、生徒は午前8時ごろに自宅を出て、印所の同級生の男子生徒宅を訪
問。2人でマンションに戻り、男子生徒に「死なない程度の6階から飛び降りる。救急
車
を呼んでくれる人がほしかった」と伝え、6階の廊下で制止を振り切って飛び降りたと
いう。6階の廊下には女子生徒のかばんが残されていたが、遺書などは見つかってい
ない。
生徒が通う中学校の教頭は「学級代表を務めるなどクラスのリーダー的存在で、いじ
めなどのトラブルも把握していない」と話した。
【近畿2府4県平成20年∼24年7月まで調査の86件】
調査対象内容
〔校種別〕
%
27
31
運動中の心疾患・中枢神経疾患
18
21
運動中の負傷
13
15
転落・落下等負傷に起因
11
13
通学中の転倒・衝突
5
6
熱中症
4
5
溺水
3
4
突然死
2
2
事件に起因
2
2
精神疾患に起因
1
1
86
100
合
高所より転落した割合
件数
高所より転落
計
転落の外因の男女別
転落発生の場所
転落事故での被災部位別
転落の高さ別
調査校における事故後の改善例
○手すりに滑り止めを設置
○防護柵と張り紙の設置
○窓にストッパーを設置
文部科学省 作成資料
※文部科学省HPからダウンロード可
【熱中症について】
文部科学省 作成資料
※文部科学省HPからダウンロード可
新聞報道から(平成25年度 熱中症関連)
総務省消防庁は7月16日、熱中症のため6月中に全国で4,265人が救急搬送され、
昨年同月比で約2.3倍に達したと発表した。最多は大阪府の362人で、同約3.8倍。
大阪府豊中市で37.9度を観測するなど、6月としては記録的な暑さになったことが主
な原因と見られる。
同庁などによると、13日には大阪市で36.1度、神戸市で36.3度、奈良市で36.5
度まで上昇して猛暑日となり、いずれも6月の観測史上最高気温を記録。兵庫県は全
国で3番目に多い230人が搬送された。
私立高等学校のアメリカンフットボール部の男子生徒(3年)が8月8日の練習試合中
に熱中症で倒れ、10日に病院で死亡した。同校は生徒の体調管理に不十分な点が
あったとして、今後は専門の担当者を配置するという。
同校によると、生徒は8日午前9時半から、相手校の人工芝グラウンドであった練習
試合に出場。試合中の休憩などで途中、数回水やスポーツドリンクを飲んでいたが、
同11時25分ごろグラウンドで突然倒れた。
総務省消防庁この夏のまとめ(※人数は、全国の子どもから大人までの数)
期間
病院に搬送された人数
死亡した人数
6月∼8月
55,596人
88人
熱中症とは…
気温が上昇
◆
体温を逃そうと血液が皮膚に集まる
「熱中症」とは、暑熱環境によって生じる障害の総称
≪分類≫
熱けいれん
体のほかの部分は
水分が少なくなってくる…
・ 大量の発汗あり
・ 四肢や腹筋のけいれん、筋肉痛
熱疲労
・ 全身倦怠感、脱力感、めまい、吐き気、嘔吐、頭痛
・ 体温の上昇は顕著ではない
熱射病
(重症)
・ 高体温
・ 意識障害
程度によっては、
死亡する危険が高まる!
喉が渇いたと感じるのは、
体の水分の2%が失われている
汗をかかなくても…
水分不足に!
既に脱水症状が
ある程度進んでいる!!
重 症
いつでも誰でも、元気な大人でも起こり得ることを理解する
WBGT
(℃)
湿球温
(℃)
熱中症予防のための運動指針
乾球温
(℃)
31℃
以上
27℃
以上
35℃
以上
・WBGT温度が31℃以上では、皮膚温より気温の方が高く
運動は原則中止 なる
・特別の場合以外は、運動は中止する
28∼
31℃
24∼
27℃
31∼
35℃
厳重警戒
・積極的に休息をとり水分補給を行う
激しい運動中止
・激しい運動や持久走などの運動は避ける
熱中症予防の5カ条
第1条 環境状況に合わせて運動する
* 時間帯調整やこまめな休憩
・体力がない者、暑さに慣れていない者は運動中止
25∼
28℃
21∼
24℃
28∼
31℃
警戒
積極的に休憩
・熱中症の危険が増すので、積極的に休息をとり、
水分を補給する
・激しい運動では、30分おきくらいに休息をとる
第2条 できるだけ薄着し、直射日光を避ける
第3条 暑さにならす
・熱中症による死亡事故が発生する可能性がある
21∼
25℃
18∼
24℃
24∼
28℃
注意
積極的に水分補
・熱中症の兆候に注意するとともに運動の合間に
給
積極的に水を飲むようにする
・通常は熱中症の危険性は小さいが、適宜水分の補給は必
21℃
まで
18℃
まで
24℃
まで
要である
ほぼ安全
適宜、水分補給 ・市民マラソンなどではこの条件でも熱中症が発生するの
で注意
水分補給のポイント
■
喉の渇きを感じる前に
■
外出や運動、就寝前にコップ1杯
■
運動中は1時間当たり500∼1000ミリリットル
■
塩分は0.1∼0.2%の食塩水
* ナトリウム40∼80㎎/100ml
■
糖分は控えめに
■
小まめに多めに
「小まめに、多めに、塩分も」
第4条 こまめに水分補給する
第5条 暑さに弱い人は特に気をつける
学校安全WEBサイト
学校事故事例検索データベース
■学校事故事例検索データベース−学校安全Web−
「学校安全WEBサイト」
で、学校事故防止情報を発信
しています。
死亡・障害事例と事故防止の留意点
平成17年度∼平成23年度の7年間の死亡・障害事例4,098件を掲載している。
教材カード(事例1)
障害と死亡の学校事故事例に焦点をあ
て、平成23年度に死亡見舞金、障害見
舞金及び供花料を支給した事例を掲載
。
「学校生活における事故防止の留意点」
では、東京女子体育大学教授 戸田芳
雄氏をはじめ多くの先生方に、「通学中
の事故」に関しては、災害共済給付にて
得られるデータを元に校種別の数値、事
故事例などをまとめました。
小学校編 兵庫教育大学臨床教育学系
教授 西岡 伸紀 氏
中学校編 国立大学法人東京学芸大学
教授 渡邉 正樹 氏
高等学校・高等専門学校及び特別支援学校編
東京女子体育大学
教授 戸田 芳雄 氏
幼稚園・保育所編
福岡大学
講師 小柳 康子 氏
教材カード(事例1)
教材カード(事例2)
教材カード(事例2)
学校安全情報誌:学校安全ナビ
(15号抜粋)
学校安全情報誌:学校安全ナビ
事故情報の活用例−学校・設置者
−
※保健だより(高校)
センターが提供している刊行物及び災害共済給付オンライン請求システムの統計情報を利用した、学校等での活用の一例です。
保健委員会発表資料(生徒作成)(中学校)
システム統計情報の活用事例を
ご紹介します。(事故統計情報)
災害共済給付オンライン請求システムの利用者は、(システム)統計情報の閲覧・作成が
できます。CSV等で作成した災害事故統計情報(※82帳票・グラフ)は、効果的な事故防
止情報の発信等にご活用できます。(詳しい検索方法は、学校安全ナビ13号を参照。)
−設置者での活用例−
−学校での活用例−
市教育委員会
「児童・生徒の健康と体力」
中学校
「教職員向け 資料」
情報提供の実施基準
学校安全支援業務に関する
アンケート調査(平成24年度実施)
ご意見・ご要望
【情報提供団体の範囲】
■調査研究成果等を活用できるよう普及してほしい
【対象とする情報】
(1)統計情報
(2)災害事例情報
■事故防止に有用な情報を提示してほしい
【情報提供の手続き】
■教材カードの事例とポイントを分けてほしい
■掲示・配布可能な資料を充実してほしい
■事故防止についての講師派遣をしてほしい
■講習会を開催してほしい
大阪業務推進課・大阪給付課への
お問合わせ時間
午前8時30分∼午後5時15分
(土日祝日、年末年始を除く。)
*平成24年5月∼
付録:CAUTION CARD