ILC偏極陽電子源の為の レーザー蓄積空洞を用いた KEK-ATF - JLC

24aZL-1
★
ILC偏極陽電子源の為の
レーザー蓄積空洞を用いた
KEK-ATFにおける
高輝度ガンマ線生成実験
広島大学 大学院先端物質科学研究科
三好 修平
共同研究
高エネルギー加速器研究機構 広島大学A
早稲田大学 B 中国科学院高能物理研究所C
荒木 栄,浦川 順治,大森 恒彦,奥木 敏行,栗木 雅夫A,坂上 和之B,
清水 洋孝A,高橋 徹A,照沼 信浩,広瀬 立成B,舟橋 義聖,Pei GuoxiC,
本田 洋介,三好 修平A,Li XiaoPingC,鷲尾 方一B
ILCが要求する偏極ビーム
国際リニアコライダー(ILC)では、
偏極電子・偏極陽電子生成が要求されている
→衝突に偏極ビームを用いる事で、
特定の反応においてS/Nを上げる事が出来る。
偏極電子: 生成法が存在
偏極陽電子: 偏極ガンマ線から対生成
e偏極陽電子生成
効率良く対生成を起こすために
→10MeV以上の偏極ガンマ線が必要
γ
金属標的 e+
10MeV以上の偏極ガンマ線生成法
●ヘリカルアンジュレーター方式 (ILC基準デザイン)
●レーザーコンプトン散乱方式 (ILCオプション)
我々はレーザーコンプトン散乱による
偏極ガンマ線生成実験を行っている
レーザーコンプトン散乱による偏極ガンマ線生成
エネルギーの高い電子と
円偏光レーザーを衝突させ
偏極ガンマ線を生成
偏極陽電子生成の原理検証は済
T.Omori et al., Physical Review Letters 96, 114801(2006)
偏極ガンマ線の生成数の増加が次の課題
レーザーの観点から、偏極ガンマ線生成数を増やす
●電子と同じ時間構造のレーザーパルスの強度を上げる
→モードロックレーザーを光共振器に蓄積
●衝突点でレーザーのサイズを絞る
→光共振器の球面ミラーの曲率半径を小さくする
光共振器に
モードロックレーザーを蓄積して
ガンマ線生成する
衝突実験セットアップ
光共振器
~54m
15.6m後方
CsI+PMT
コリメータ:
アパーチャー
~0.26[mrad]
高エネルギー加速器研究機構
ATF電子ビーム
エネルギー: 1.3GeV
バンチ間隔: 2.8ns
バンチ長: 30ps
実験時電流: 9.5mA
~30m
衝突実験セットアップ
ガンマ線
16~28MeV
CsI
L ca
4
=
v
PD
m
m
20
衝突角 12度
モードロック
レーザー発振器
透過光強度を測定
→蓄積状態モニタ
電子ビーム
モードロックレーザー
波長: 1064nm 出力: 28nJ/pulse=10W
パルス間隔: 2.8ns = 電子バンチ間隔
(発振器内共振器長: 420mm)
パルス幅: 7ps
フィネス:
共振器球面ミラー
反射率: R=99.6% 共振の鋭さ
曲率半径:
π R
ρ=210.5mm
F=

1−R
光共振器の
計算上の性能
F~780
σ0~30μm
使用した光共振器
ミラー・ピエゾ素子
電子ビームパイプ
レーザーの蓄積
ATFにインストール
した状態でレーザー蓄積
フィネス:
FSR
F=
FWHM
実測値
→F~880
σ0~30μm
透過光強度
ピエゾ素子
制御電圧
FSR~532nm 大
光共振器長
透過光強度
FWHM~0.6nm
光共振器の性能が
設計通り出せている
光共振器長
衝突実験時のレーザー蓄積状態
- 共振器長をフィードバック制御し、蓄積状態を維持する。
●高フィネスが未達成 → 最大 F=200
●レーザー強度 共振器直前: 6.16W
実験時の透過光強度分布
平均F~47
→ 入射光: 200mW
共振器の増大率:
入射光の
F=200
F
S= 倍
π
→ 増大率: 15倍
透過光強度[ch]
3W程度の
レーザーが蓄積
特定のタイミングで
ガンマ線が増加している。
エネルギー [ch]
衝突実験結果
レーザーと電子のタイミング [rad]
共振器の垂直位置 [mm]
特定の位置でガンマ線が
増加している。
レーザーコンプトン散乱により、ガンマ線が生成されている。
生成されたガンマ線の数
生成ガンマ線のエネルギー分布
0個生成
レーザーと電子の
位相と位置が合った時、
1回の衝突での
生成数の平均値は
1.08±0.12
生成数から、
光共振器に蓄積されている
レーザーの強度は
→ 12W
(フィネスから推定: 3W)
1個生成
2個生成
エネルギー [ADC ch]
まとめと今後の予定
●モードロックパルスレーザーを光共振器に蓄積でき、
光共振器の性能が設計通り出ている事が確認出来た。
●共振器長をフィードバックする事で蓄積状態を維持し、
電子ビームと衝突させガンマ線を生成出来た。
●実験時における共振器の設計値フィネス(~780)の達成。
●高反射率ミラーに換装し、ガンマ線を生成する。
★F~3000,10W入力で、1衝突当たり1000個のガンマ線
●ガンマ線の偏極度測定を行う。
●4枚ミラー光共振器(F~30000)を用いて、
2009年秋から偏極ガンマ線生成実験を行う。
おわり
ご清聴ありがとうございました。
光共振器への蓄積
光共振器内に
定常波を作り蓄積
光共振器長 Lcav
境界条件
λ
Lcav =m
2
m: 自然数
フィネス:
FSR
F≡
FWHM
蓄積→透過光強度が強くなる
ピーク = 共振状態
λ
FSR=
2
半値全幅
FWHM
モードロックパルスレーザーの蓄積
連続的な周波数を持つ(≠単一周波数)
パルスレーザーは蓄積不可能
モードロックパルスレーザーを使う
強度の時間変化
位相の関係を合わせた
多数の周波数モードを
パルス間隔
発振させる
モードロックパルス
レーザー発振器
Llaser
Lcav
2 Llaser
c
モードロックレーザーを蓄積するには
Lcav =m ' L laser
(m': 自然数)
使用した光共振器
球面ミラー
反射率: R=99.6%
曲率半径:ρ=210.5mm
光共振器の
計算上の性能
F~780
σ0~30μm
レーザー
発振器
フィネス
π R
F=
1−R
透過光強度を測定
→蓄積状態のモニタリング
PD
増大率:
入射光の
F
S=
π
倍
ピエゾ素子:
電圧を印加し、
~0.4[nm/V]で共振器長を制御
写真
写真
真空容器
電子ビーム
可動台
~0.8[μm]の精度で
位置が調整できる
光学セットアップ
フィードバックシステム
目次
●ILCが要求する偏極ビーム
●レーザーコンプトン散乱
●パルスレーザーの光共振器への蓄積
●実験セットアップ
●実験結果
●まとめ
フィードバックセットアップ
ガンマ線検出方法
ガンマ線検出器: 純CsI+光電子増倍管
- 共振器長をフィードバックする事で、
蓄積状態を維持する。
透過光強度分布のピーク±3σ
→92.4±16.6W蓄積
- 移動架台で共振器の位置を動かし、
レーザーと電子の衝突点を探す。
透過光強度[ch]
- レーザーと加速器のタイミング信号の位相差は、
固定せずに測定を行った。
偏極陽電子源生成法
偏極ガンマ線から対生成で偏極陽電子を生成
効率の良い対生成→10MeV以上のガンマ線
偏極ガンマ線の生成法は2種類
●ヘリカルアンジュレーター方式
e-
γ
金属標的 e+
電子を螺旋運動させ
放射光として
偏極ガンマ線を生成
-電子ビームのエネルギー:
-アンジュレーターの長さ:
150GeV以上
150m以上 必要
ILCの電子ビームが稼動しないと検証不可
国際リニアコライダー計画
電子源
電子
陽電子
衝突点
35km
次期電子-陽電子衝突型線形加速器
国際リニアコライダー(ILC)
重心エネルギー ~500GeVの
電子と陽電子をほぼ正面衝突させる
ビッグバンと同じ様な状態を生み出し
★質量の起源であるヒッグス粒子
★新しい物理
の発見が期待されている
ILCが要求する偏極粒子
ILCでは偏極電子・偏極陽電子生成が要求されている
特定のヘリシティでのみ弱い相互作用が起こる
粒子の偏極・無偏極をコントロールする
弱い相互作用の有無をコントロールできる
eL
W-
e+R
W+
-
例: 弱い相互作用による生成粒子が
バックグラウンドになる時、
偏極の操作でバックグラウンド
のみ減少しS/Nが上がる。
偏極電子: 生成法が存在
偏極陽電子: 研究開発が必要
偏極陽電子源生成法
e-
・偏極ガンマ線から対生成で偏極陽電子を生成
・効率の良い対生成→10MeV以上のガンマ線
γ
レーザーコンプトン散乱で生成
金属標的 e+
エネルギーの高い電子と
円偏光レーザーを衝突させ
偏極ガンマ線を生成
-電子ビームのエネルギー1GeV程度
-偏極・無偏極の制御が容易
-偏極陽電子生成の原理検証 済
偏極ガンマ線の生成数の増加が次の課題
ILCが要求する技術
高加速勾配
低エミッタンスビーム生成
偏極電子生成 → ガリウムヒ素型フォトカソードで生成
偏極陽電子生成 → 開発中
などなど
-電子・陽電子は右巻き・左巻きの状態がある
右巻き: 進行方向と同じ向きのスピンを持つ
左巻き: 進行方向と逆向きのスピンを持つ
何故偏極が必要なのか?
右巻き スピン
粒子
左巻き 進行方向
粒子
何故偏極が必要なのか?
-弱い相互作用は
左巻電子・右巻陽電子にしか作用しない
e-L
粒子の偏極・無偏極をコントロールする
e+R
弱い相互作用の有無をコントロールできる
偏極電子だけで十分?
1/5
達成している電子の
偏極率は<100%
無偏極電子x無偏極陽電子
偏極(80%)電子x無偏極陽電子
陽電子も偏極させ
弱い相互作用の有無を制御
1/10
偏極(80%)電子x偏極(60%)陽電子
偏極ガンマ線の生成数を増やす
コンプトン方式で偏極ガンマ線の生成数を増やすには
レーザーに注目すると
●電子と同じ時間間隔で発振可能な(~nsecオーダー)
パルスレーザーの強度を上げる
→モードロックパルスレーザーを光共振器に蓄積
●衝突点でレーザーのサイズを絞る
→光共振器の球面ミラーの曲率半径を小さくすれば絞れる
ガンマ線
検出器
電子ビーム
モードロック
目的:光共振器にモードロック
パルスレーザー
発振器
レーザー パルスレーザーを蓄積し、電子と衝
突させ偏極ガンマ線を生成する。
蓄積
光共振器への蓄積
●モードロックレーザーを蓄積する
には共振器長Lcavを
Lcav =m' L laser
m': 自然数
●球面ミラーの曲率半径ρを小さくすれば、レーザーの
曲率半径ρを小さくし過ぎると
径を絞れる
(Lcav=2ρ)
共振が不安定になる
●共振させる為には
Lcav 2ρ
共振器の球面ミラーの曲率半径ρを
蓄積されたレーザー
球面ミラー
Lcav
ρ
Compton Ring Scheme
electron bunches stored in the ring
laser pluses are stacked in the optical cavities -> 600mJ
 stacking 100 bunches on a same bucket in the DR -> 2.4x1010 e/bunch
target
8
2.4x10
e+
capture
1.7x10 γ
10
system
1.3 GeV
e- source
high repetion e- source
s
5n
6.1
Electron Storage Ring
damping ring
Optical Cavities
main linac
? optical cavity, pulse staking, e- quality in ring
T.Takahashi Hiroshima
34
コンプトン散乱
ILCコンプトン方式で
必要とされるレーザーパワー 592mJ
コンプトン散乱
レーザーコンプトン散乱
共振モード
モードの位相差 ⊿φから
ウエストサイズが求まる
λLcav 1−cos ⊿ φ
w=
2π 1cos ⊿ φ
2
0

基本モード
基本モード
1次モード
2次
λ
FSR=
2
1次モード
2次モード
衝突実験概要
ガンマ線
最大28MeV
検出器
m
m
20
L ca
4
=
v
電子ビーム
衝突角 12度
レーザー
発振器
検出器
15.4m
モードロックレーザー
高エネルギー加速器研究機構
波長: 1064nm
ATF電子ビーム
出力: 10W
エネルギー: 1.3GeV
パルス間隔: 2.8ns
バンチ間隔: 2.8ns
(発振器内共振器長: 420mm)
バンチ長: 30ps
パルス幅: 7ps
共振器長と曲率
実験に要求される事柄と装置の仕様
●モードロックレーザー発振器のスペック
フィネス
-波長: 1064nm (YAG-VAN)
-出力: 10W
π R
F=
-パルス間隔: 2.8ns (=ATFバンチ間隔)
1−R
-パルス幅: 7ps (N~400)
●共振器の設計値とスペック
モードロックレーザー蓄積 → 共振器長: Lcav=420mm
高フィネス
→ 共振器の球面ミラーの反射率: R=99.6% (F~780)
レーザー最小サイズ:w0=60μm (2σ)
→ 共振器の球面ミラーの曲率半径: ρ=210.5mm
FWHMより十分小さい範囲で共振器長を変化
→圧電素子で長さ制御: 0.4nm/V (FWHM~0.7nm)

●真空容器内の真空度は10-6Pa程度を要求されている
非金属を用いており真空度が下がり難い・ベークも困難
圧電素子の周波数応答
KEK-先端加速器試験装置(ATF)
レーザーコンプトン散乱の電子ビーム
→ATFのビームを用いる
エネルギー
1.28GeV
検出器
~15m
ビームサイズ
X:70μm
Y:7μm
エミッタンス
X:10-9rad・m
Y:10-11rad・m
バンチ間隔
2.8ns
レーザーと光学系
衝突角 12度
圧電素子でミラーの
光軸方向の位置を変化
共振器長 420mm
反射率
99.6%
透過光強度を検出
→共振のモニター
Gate Trigger System (new)
Trns. Light (Cavity Information)
Detector Signal
Divider
Comparator
Divider
Gate
Generator
ADC#0
Discri.
Discri.
Gate
Generator
ADC Gate Generator
Register