SIDS 初 期 評 価 プ ロ フ ァ イ ル S c r e e n i n g I n f o r m a t i o n D a t a S e t f o r H i g h Vo l u m e C h e m i c a l s OECDInitialAssessment SIDS 初 期 評 価 プ ロ フ ァ イ ル (SIAP)の 日 本 語 訳 を 掲 載 し ま す 。 SIDS ホ ー ム ペ ー ジ で CASNo.検 索 に よ り SIAP ま た は SIAR の 原 文 を 見 る こ と が で き ま す。 http://cs3-hq.oecd.org/scripts/hpv/ 2 . ト リ デ シ ル ア ミ ン 、 分 枝 と 直 鎖 (TDA) 物 質 名 :Tridecylamine, branched and linear C A S N o :86089-17-0 化 学 式 :C 1 3 H 2 9 N 直鎖、例 分枝、例 SIAR の 概 要 的 結 論 類縁体の根拠 ト リ デ シ ル ア ミ ン 、 分 枝 と 直 鎖 (TDA; CAS 86089-17-0)は 異 性 体 の 混 合 物 で あ り 、 C13-ア ミ ン を 異 性 体 の 主 な グ ル ー プ (約 68%)と し て い る 。約 16% が C12 ア ミ ン 類 で あ り 、約 12% は C11ア ミ ン 類 で あ る ; 残 り の 割 合 は C10-と C14-ア ミ ン 類 に 属 す る 。 異 性 体 混 合 物 成 分 の 一 つ で あ る C13-ア ミ ン の ノ ル マ ル ト リ デ シ ル ア ミ ン (n-TDA; CAS 2869-34-3)の デ ー タ は 、 環 境 化 学 (logK o w , LogK o c , ヘ ン リ ー 定 数 、 光 分 解 )と TDA の 生 態 毒 性 (三 つ す べ て の 指 標 に 対 す る 試 験 が TDA に つ い て 利 用 可 能 で あ る が 、測 定 濃 度 の あ る 試 験 は TDA に つ い て 利 用 可 能 で な い )に 存 在 す る デ ー タ ギ ャ ッ プ の 橋 懸 け に 用 い ら れ た 。 n -TDA は 最 悪 状 況 の ケ ー ス と し て 選 択 さ れ た (QSAR 予 測 [EPIWIN]に 基 づ け ば 、分 枝 TDA は n-TDA よ り も 小 さ い logK o w 、と 低 い 生 態 毒 性 を 有 す る )。 ヒトの健康 腹 腔 投 与 後 、 TDA は 他 の モ ノ ア ル キ ル ア ミ ン と 同 様 に 、 モ ノ ア ミ ン 酸 化 酵 素 に よ り 酸 化 的 脱 アミンが行われ、さらに二酸化炭素まで代謝される。 TDA は 、ラ ッ ト で 経 口 LD 5 0 が 820 mg/kg bw の 経 口 急 性 毒 性 を 誘 導 し た 。臨 床 兆 候 は 、呼 吸 困難、付着物でおおわれた眼と鼻の乾燥、下痢、落ち着きのなさ、流涎、立毛、曲背姿勢を含 んだ。 利 用 可 能 な 急 性 経 皮 毒 性 デ ー タ は な い 。 頭 - 鼻 の み を 23 ま た は 90 mg/m 3 の TDA に 45 分 間 吸 入 ば く 露 し た マ ウ ス に お い て 、 臨 床 兆 候 に は 立 毛 、 一 般 状 態 の 不 良 、 お よ び 90 mg/m 3 で の み呼吸困難が含まれた。 TDA は 、 ウ サ ギ 皮 膚 と 眼 に 腐 食 性 で あ っ た 。 ヒ ト の 皮 膚 と 眼 と の 接 触 で は 、 そ れ は 火 傷 の 原 因 と な り 、 眼 に 対 し て 重 篤 な 損 傷 を 引 き 起 こ し た 。 肺 の 刺 激 を 示 す 呼 吸 数 の 抑 制 が 、 3.8- 90 mg/m 3 の TDA 蒸 気 に 頭 - 鼻 部 分 を 45 分 間 吸 入 ば く 露 し た マ ウ ス で 見 出 さ れ た 。 TDA の 感 作 性 に 関 し て 利 用 で き る 試 験 は な か っ た 。 TDA の 反 復 投 与 毒 性 は 、 GLP 条 件 下 で OECD TG408(一 連 の 機 能 的 観 察 を 含 む )に 従 い 、 5、 15、45mg/kg bw/日 の 投 与 レ ベ ル で 雌 雄 の ウ イ ス タ ー ラ ッ ト を 用 い た 90 日 の 強 制 経 口 投 与 で 試 験 さ れ た 。 5 mg/kg bw/日 で 動 物 に 変 化 は 見 ら れ な か っ た 。 15 mg/kg bw/日 群 で 統 計 的 に 有 意 な 雄 の 体 重 減 少 お よ び 雄 に お け る 食 餌 効 率 の 減 少 が 措 置 最 初 の 14 日 間 に 毒 性 兆 候 と し て 含 め ら れ 、4/10 の 雄 と 4/10 の 雌 で 呼 吸 音 と 呼 吸 困 難 が 試 験 32 日 か ら 始 ま り 試 験 末 ま で の 毒 性 兆 候 と し て 含 め ら れ た 。 45 mg/kg bw/日 群 で は 類 似 の 、 し か し よ り 高 頻 度 と 重 篤 度 高 い 兆 候 が 見 ら れた。この用量はまた、雌における相対的肝臓重量の増加をもたらし、1 匹の雄と 1 匹の雌に 致死的であった。運動感覚試験と反射は、おそらくそれらの動物の一般的状態が悪かったため であろう高用量群の雄における着地フットスプレイ試験を除いて、どの群においても措置によ る 影 響 を 受 け な か っ た 。組 織 病 理 学 的 検 査 は 、正 常 を 超 え る 変 化 を 明 ら か に し な か っ た 。NOAEL は 5 mg/kg bw/日 で あ っ た 。 TDA は 、 S. typhimurium 試 験 株 TA1535、 TA100、 TA1537 と TA98 を 用 い て 代 謝 活 性 化 の 有 /無 で 古 い OECD TG471(1983)に 従 っ て GLP 下 行 わ れ た Ames 試 験 で 変 異 原 性 で な か っ た 。 標 準 プ レ ー ト と 前 培 養 の 両 方 が 実 施 さ れ た 。 in vivo で は 、 OECD TG474 に 従 い 、 GLP 条 件 下 で 実 施 さ れ た マ ウ ス に よ る 小 核 試 験 で 、TDA は 染 色 体 異 常 ま た は 異 数 性 影 響 を 誘 導 し な か っ た 。 400 お よ び 600 mg/kg bw の 経 口 投 与 で 毒 性 の 臨 床 兆 候 が 見 ら れ 、 600 mg/kg bw で は 赤 血 球 生 成 が わ ず か に 阻 害 さ れ 、 標 的 器 官 に 到 達 し た こ と が 示 さ れ た 。 よ っ て TDA は 、 非 遺 伝 毒 性 と 考えられる。 TDA に つ い て 生 殖 試 験 は 入 手 可 能 で は な い 。 組 織 病 理 学 的 変 化 が な い こ と 、 お よ び 生 殖 器 重 量 ま た は 生 殖 機 能 パ ラ メ ー タ (精 子 パ ラ メ ー タ 、発 情 周 期 )に 関 連 す る 影 響 が な い こ と が 、OECD TG408 に 従 っ た 、 生 殖 毒 性 調 査 を 付 加 し た 45mg/kg bw/日 (NOAEL)ま で の 最 高 用 量 レ ベ ル の ラ ッ ト 90 日 経 口 試 験 で 明 ら か に な っ た 。 80 mg/kg bw/日 の 母 獣 毒 性 レ ベ ル (有 意 の 補 正 体 重 の 減 少 に 基 づ く )で 骨 格 変 異 に TDA 誘 導 影 響 の 僅 か な 示 唆 が あ っ た が 、胎 仔 重 量 へ の 影 響 お よ び 奇 形 は な い こ と が 、OECD TG414 に 従 っ た 発 生 毒 性 試 験 で 明 ら か に な っ た 。 妊 娠 パ ラ メ ー タ ー は 、 5、 20、 80 mg/kg bw/日 で 影 響 を 受 け な か っ た 。 母 獣 毒 性 と 発 生 毒 性 に 関 す る NOAELs は 、 こ の 試 験 で は 20 mg/kg bw/日 で あ っ た。 環境 ト リ デ シ ル ア ミ ン 、分 枝 と 直 鎖 (TDA;CAS 86089-17-0)は 、わ ず か に 水 溶 解 性 (0.04g/L、20℃ ) で 黄 色 の 液 体 で あ り 、蒸 気 圧 が 0.07- 0.19hPa(20℃;よ り 高 い 温 度 で 測 定 さ れ た 蒸 気 圧 に 基 づ き 推 定 さ れ た )、 融 点 が < - 70℃ 、 沸 点 が 243.8- 247℃ (1013 hPa)、 そ し て 密 度 が 0.816g/cm 3 である。 大 気 で は 、非 荷 電 の n-TDA(CAS 2869-34-3)は OH ラ ジ カ ル と の 反 応 に よ り 急 速 に 光 分 解 さ れ る (24 時 間 日 の 推 定 半 減 期 (t 1 / 2 ): 0.34 日 )。 環 境 水 の pH 条 件 で は 、 加 水 分 解 可 能 な 官 能 基 が な い の で 、 TDA(CAS 86089-17-0)の 加 水 分 解が関連する分解過程となることは予期されない。 OECD TG 301B と 301D の そ れ ぞ れ に 従 っ た 2 件 の 生 分 解 性 試 験 は 、 TDA(CAS 86089-17-0) が易生分解性でないことを示した。 非 荷 電 n-TDA(CAS 2869-34-3)の HLC(ヘ ン リ ー 定 数 )値 11.15Pa*m 3 /mol は 揮 発 性 が 中 等 度 で あ る こ と を 示 す 。 Mackay レ ベ ル I に 従 っ て 、 非 荷 電 n-TDA(CAS 2869-34-3)は 、 ほ と ん ど 大 気 (35% )、土 壌 (31% )、底 質 (31% )に 等 し く 分 布 し 、水 区 分 (2%)に 少 量 だ け 分 布 す る だ ろ う 。pKa 値 10.35 か ら 、 環 境 条 件 下 で は 、 本 物 質 は カ チ オ ン と し て 得 ら れ る と 推 定 で き る 。 よ っ て 、 高 い カ チ オ ン 交 換 能 を 持 つ 土 壌 (お よ び 底 質 )の マ ト リ ク ス (例 え ば 粘 土 )へ の 本 物 質 の 結 合 が 予 期 され得る。 非 荷 電 n-TDA に 対 す る Log K o w と BCF は 、そ れ ぞ れ 5.25 と 222 と 計 算 さ れ た 。し か し 、5.0 - 6.0 の Log K o w を 有 す る イ オ ン 性 化 合 物 に つ い て は 、 BCF は も っ と 低 い 可 能 性 が 高 い 。 TDA の 実 験 デ ー タ は 利 用 で き な い の で 、 長 い ア ル キ ル 鎖 (≧ 11 炭 素 )を 持 つ イ オ ン 性 物 質 に 対 し て 実 験 的 に 知 ら れ る 158 の 最 大 BCF 値 が 暫 定 的 に 用 い ら れ 得 る 。 本物質の吸着性の挙動の故に以下に示される設定濃度は真の毒性を過少評価しているかもし れない。水生生物種の急性毒性値は以下の通りである。 TDA(CAS 86089-17-0) Leudciscus idus (魚 類 ) LC 5 0 (96hr)=1.26 mg/L (設 定 ; TDA) Daphnia magna (無 脊 椎 動 物 ) EC 5 0 (48hr)= 0.7mg/L(設 定 ; TDA) Desmodesmus subspicatus (藻 類 ) ErC50(72hr)=0.015 mg/L(設定;複数試験の幾何学的平均;TDA) EbC50(72hr)=0.012mg/L(設定;複数試験の幾何学的平均;TDA) 補足情報として n-TDA(CAS 2869-34-3) Pimephales promeras (魚 類 )LC 5 0 (96hr)= 0.0654mg/L(実 測 ; n-TDA) Daphnia magna (無 脊 椎 動 物 )EC 5 0 (48hr)= 0.015 mg/L(実 測 ; n-TDA) 急 性 毒 性 試 験 に 基 づ い て 、 TDA(CAS 86089-17-0)は 水 生 生 物 に 対 し て 非 常 に 高 い 急 性 毒 性 を 有 す る と 考 え ら れ る 。 微 生 物 (活 性 汚 泥 )に つ い て 決 定 さ れ た 信 頼 で き る 最 低 の 毒 性 値 は 、 EC 5 0 (30min)が 約 40 mg/L(設 定 値 )で あ っ た 。 陸 生 生 物 に つ い て の 試 験 は 入 手 で き な い 。 三 栄 養 レ ベ ル の 急 性 試 験 結 果 が 利 用 可 能 で あ る の で 、EU リ ス ク 評 価 手 法 に 従 っ て 、PNEC a q u a 0.0000015 mg/L(= 0.015μg/L)が 最 小 値 で 信 頼 可 能 な 指 標 で あ る 急 性 Daphnia 試 験 由 来 の 測 定 値 EC 5 0 に 評 価 係 数 1000 を 適 応 す る こ と に よ り 得 ら れ た 。 ばく露 BASF AG、 Ludwigshafen、 ド イ ツ で の TDA の 年 間 製 造 量 は 、 腐 食 防 止 剤 (潤 滑 油 添 加 剤 )、 農 薬 (殺 菌 剤 )、鉱 油 用 染 料 、ビ タ ミ ン E 製 造 時 の 助 触 媒 の 中 間 体 (前 駆 物 質 、非 分 散 用 途 > 95% ) と し て 閉 鎖 系 で 1000- 5000 ト ン の 範 囲 で あ る 。 商 取 引 さ れ て い る 製 品 の 配 分 は < 5% で あ る 。 担 当 国 で は 、 TDA が 消 費 者 製 品 中 に 存 在 す る こ と は 知 ら れ て い な い 。 SPIN デ ー タ ベ ー ス に よ れ ば 、 TDA を 含 む 全 登 録 製 品 は 、 産 業 用 途 カ テ ゴ リ ー (例 え ば 、 潤 滑 油 類 、 ベ ー ス オ イ ル 類 、 機 械 と 装 置 )に リ ス ト さ れ て い る 。 担 当 国 で は 、少 数 の 作 業 者 だ け が 、非 常 に 限 ら れ た 数 の 作 業 工 程 で TDA を 取 り 扱 う 。TDA は 製造工程では閉鎖系で製造されており、本化学物質の輸送は管理されている。低い揮発性を含 め、その物理化学的性質と製造、加工、輸送期間中の現場での管理対策により、ばく露は偶発 的な流出の場合だけ、ばく露に関連した吸入と経皮でのみ生じるに過ぎない。定期的な作業場 モニタリングは、予測できない反復ばく露のリスクを最小化する。 製造と加工場所では、作業者は手袋、保護面、安全メガネを含む個人用保護具を用いなけれ ばならない。 ド イ ツ 放 出 登 録 2004 に 報 告 さ れ た デ ー タ に 従 っ て 、 BASF AG に お け る 2004 年 の 製 造 と 加 工 期 間 中 に TDA の 大 気 へ の 放 出 は 5 kg/年 未 満 で あ っ た 。 下 水 処 理 場 排 水 経 由 の 排 出 に 関 す る デ ー タ は BASF AG の 製 造 と 加 工 サ イ ト か ら 利 用 可 能 で は な い 。 勧告および、勧告と追加の推奨作業の種類に関する理論的根拠 ヒトの健康 本化学物質は、現在のところ追加作業の優先順位は低い。本化学物質は、ヒトの健康に対 し て 有 害 性 (腐 食 性 、反 復 毒 性 )を 示 す 性 質 を 持 つ 。担 当 国 に よ り 提 出 さ れ た デ ー タ に 基 づ い て 、 世 界 規 模 の 製 造 に 占 め る 割 合 は 未 知 で あ る 1 国 1 企 業 に よ る 製 造 、お よ び OECD の 1 国 に お け る用途パターンに関連して、作業者のばく露は制御され、一般公衆のばく露は無視できる。諸 国は、担当国により提出されていないばく露シナリオの調査を望むかも知れない。 環境 本 化 学 物 質 は 、 追 加 作 業 の 候 補 の 一 つ で あ る 。 本 化 学 物 質 は 、 環 境 に 対 す る 有 害 性 (魚 類 、 ミ ジ ン コ と 藻 類 に 対 す る 急 性 毒 性 )を 示 す 特 性 を 持 つ 。担 当 国 に よ り 提 出 さ れ た デ ー タ に 基 づ い て 、 世 界 規 模 の 製 造 に 占 め る 割 合 は 未 知 で あ る 1 国 1 企 業 に よ る 製 造 、お よ び OECD の 1 国 に お け る用途パターンに関連して、環境へのばく露は低いと予測される。加盟諸国は、さらにばく露 評価と、もし指摘があればリスク評価を実施することを決定するかもしれない。 注 : こ れ ら の 化 学 物 質 の 生 物 蓄 積 性 は 、 EU の 枠 組 み 内 で 現 在 調 査 さ れ て い る 。 こ の 問 題 の 評 価 は な お 進 行 中 で あ る 。 か な り の 生 物 蓄 積 性 が あ る 場 合 に TDA は 難 分 解 性 、 生 物 蓄 積 性 、 毒 性 を 有 す る 化 学 品 (PBT 物 質 )と 考 え ら れ る か も し れ な い 。
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