第5章 再生加速に向けた県の役割と 各主体への期待 序 序章 プログラム策定の趣旨 第1章 転機に立つ 現状認識 第2章 これまでの取り組みと 兵庫経済 今後の課題 政策フレーム 第3章 兵庫経済の進路と政策の基本方向 アクション 第4章 プロジェクトの展開 第5章 再生加速に向けた 参画と協働 第6章 プログラムの効果的 県の役割と各主体への期待 付属資料 な推進に向けて 第5章 再生加速に向けた県の役割と各主体への期待 1 多様な主体の中での県の役割 1 地方主導の政策推進 現在、わが国では、地方への国の関与の廃止・縮減を中心としたこれまでの地方分 権の取り組みに加え、国庫補助負担金の廃止・縮減、地方交付税の見直し、国から地 方への税源移譲を通じ、財政面から地方の自由度を高める一方、自立と責任を求める 三位一体改革が推進されている。 今後、地方は、自己の選択と責任において、地方の自立を現実のものとする地方主 導の政策を展開していくことが求められている。 こうした観点から、県政においても、県民生活の安定と向上を支える経済基盤の確 立に向けて、産業や就業活性化への主体的かつ責任ある努力を行うことを政策運営の 基調とするとともに、兵庫の多様な主体が経済再生に向けてのシナリオを共有し、意 欲的な取り組みがより活発化するよう、地域の中で次のような役割を果たす。 2 シナリオの共有のために 産業の活性化や就業の円滑化を実現するためには、地域の限られた人的・物的資源 を重点的・集中的に投入していくことが必要であり、そのための目標やシナリオの共 有は大きな意義を持つ。 このプログラムは、県政としての目標・行動計画をまとめたものであるが、その過 程で、「ひょうご経済・雇用戦略会議」や産業・雇用等に関わる団体など様々な主体 の意見をふまえて検討されたものであり、共有すべきシナリオとしての一定の役割を 果たすものと考えられる。 しかし、より具体の方向性を明確にし、大きな力を生み出していくためにも、この プログラムを起点としつつ、細かなテーマや分野毎に、密接に関係する組織や県民等 それぞれが考えを表明し、議論し、役割や行動をシナリオとして明確化していくこと が求められる。 このプログラムがめざすところも、県政の行動計画である以上に、兵庫をあげての 取り組みが拡がり、深化する契機となることであり、こうしたシナリオの共有に向け て、県が積極的な役割を果たしていく。 3 行動・実践の環を広げるために 情報通信技術や輸送手段の進歩等により、経済活動における国境や業界などの「境 界」の持つ意味が急速に失われつつあるなか、いわゆるバリュー・チェーン(価値連 鎖)として、企業が研究開発、資材調達、生産、販売などあらゆる業務の流れを価値 の連鎖として捉え、他社との連携、クロスライセンス(知的財産の相互活用)、外注 など、「境界」を超えて最適価値をもたらす相手方とネットワークを組むように、地 域が経済活性化に向けてポテンシャルを発揮していくためには、様々な主体・資源の 「境界」を超えた結合が重要になっている。 こうした観点から、県政においては、経済再生に向けたシナリオの共有に加え、行 動・実践の面においても、個性や強みを持つ主体間の連携に向けた仲介機能をより発 揮していくことが必要であり、産業や就業の活性化に関わる様々な組織との協働関係 を深め、兵庫経済の変革への自律的な力強い動きを生み出していく。 再生加速に向けた多様な主体の協働プラットフォーム 産業・雇用等支 援機関・組織 企業 事業者 国 県民 産業・雇用等 団体 金融機関 NPO 大学 公的研究機関 市町 県政 2 各主体の創造的活動への期待 岐路に立つ兵庫経済が、自己変革を遂げ、県民が成熟した新しい次元の「豊かさ」を 手にすることができるのか、それとも環境変化に呑まれ、より厳しい状況へと追い込ま れるのか、すべては“変革のうねり”が生じるかどうかにかかっている。 そのためには、誰もが「いまできること」に力を尽くすことが必要である。そこから しか、大きなうねりは生じない。様々な主体が経験や知恵を発揮し、地域に立ちはだか る課題を一つひとつ解決する。それができれば、人口減少・少子高齢化も単なる縮小へ の道程ではなく、21 世紀に相応しい、質の高い豊かさをもたらす経済社会へのステップ となる。 そのためにも、このプログラムの産業・就業の現場での展開にあたり、個人であると、 組織であるとを問わない多様な主体の創造的な役割の発揮や地域における協働を期待し、 呼びかけていくものとする。 企業・事業者 兵庫経済が変革を果たす上で、経済活動の主要な担い手である企業・事業者の果たす役割は 大きい。そのためには、企業・事業者自身が大胆で明確な経営戦略の下、展望を切り拓くため の取り組みを展開していくことが必要である。特に、成功を収めた企業、業績をあげている企 業ほど、その成功を一過性のもので終らせないために、経営戦略の中で普遍化していくことが 重要になる。 こうした前提に立った上で、企業・事業者には、地域との関わりにおいて、特に次のよ うな視点が求められる。 1 地域との相互発展 絶え間ない革新と事業化のスピードが求められるなか、企業は、地域において連携と競 争を積極的に展開することが求められる。特に連携については、中小企業はもちろん、大 企業といえども、独力かつ短期間ですべての開発や事業化を行うことは難しくなっており、 広範なネットワークを通じ、必要な要素を糾合していくことが必要になっている。その際 に重要なことは、企業・事業者が多様な主体との連携や地域との関わりを深めることによ って、地域が企業・事業者にとって、より好ましい環境を提供するという相互作用が期待 できることである。地域が企業・事業者を成長させる機能を発揮し、また企業・事業者が 地域をさらに進化させる、そうした好循環を形成していくための企業・事業者の主体的な 取り組みが、これからの兵庫経済にとって大きな意味を持つ。 また、最近、法令順守、企業統治、環境対応、情報開示、雇用、男女差別撤廃、安全対 策、地域貢献等の視点から「企業の社会的責任(CSR)」を問う風潮が高まっている。 県内でも、経営の基本にCSRを据え、積極的に取り組む動きが出てきている。法令順 守や安全・安心対策、安定雇用のほか、自らの得失を乗り越えて、若手起業家の育成や地域 経済の活性化に取り組む経営者、あるいはそのグループ、高齢化の下でのまちづくりへの 積極的な関与、障害者作業所と組んでの商品開発、地域との交流行事の盛んな展開、ワー クシェアリングによる地域の高齢者雇用など、企業規模の大小を問わず、様々なCSRが 拡がりつつある。 CSRは、企業行動と社会・地域の意識との乖離をなくし、市場や地域からの支持を受け ながら企業の活力を高めていく考え方であり、企業の持続的発展にも大きな影響を及ぼす。 今後、社会・地域に対し、県内の企業・事業者がビジネス面からのアプローチに加え、こ うしたCSRの視点から関わっていくことも求められる。 2 価値提案型、課題解決型の事業展開 市場や生活者のニーズは絶えず変化し、また、未だ存在しない新しい価値を求めており、 市場の半歩先を捉え、新たな価値を提案していくことが求められる。成熟した市場である と否とにかかわらず、こうした価値提案型のものづくり、サービスの開発が、生活の豊か さと企業の成長、すなわち社会全体の豊かさの向上とビジネスとの相互発展につながる。 同様に、社会や生活者と共に成長する企業のあり方として、新たな潮流が引き起こす課 題を解決していく視点も求められる。例えば、環境保全の流れを乗り越えるべきハードル として受け身で捉えるのではなく、社会的問題の解決に貢献しながら新たなビジネスチャ ンスに結びつけるという積極姿勢を取ることにより、フロンティアを拓くことが可能にな る。経済・社会の成熟化に伴って生ずる様々な社会的問題を解決するビジネスは、今後そう した問題に直面する海外への展開可能性も高い。 いずれにせよ、今後の環境変化は、生活者、企業、地域、社会全体と様々なレベルの課 題を突きつける。それを解決するために、これからも産業セクターが果たす役割は大きい。 こうした視点は、コミュニティ・ビジネスなど地域に根ざした事業においても重要である。 3 中長期での人材戦略 今後は、アウトプットが中心になりがちであったこれまでの経営から、インプットすべ き人、モノといった資源が有限であり、そこに制約が生じる可能性を念頭に置く必要があ る。とりわけ、最も重要な資源である人材については、人口減少・少子高齢化をふまえ、多 様な人材に門戸を開き、中長期の視点で若い世代の育成や、女性・高齢者・障害者をはじめ、 多様な人材を生かす就業システムづくりに取り組んでいく必要がある。 また、最近、優れた業績をあげている企業では、市場競争のスピードに対応しつつ、人 と人とのネットワークによる知の結集により成果をあげている例が多い。そのためには、 構成員の自主性・創造性・スキル向上が不可欠であり、それを引き出す就業条件や雇用のあ り方を考え、組織の活力創出に取り組むことが求められる。 4 本社機能のあり方 企業活動の中枢を担う本社機能の集積は、地域経済に様々なプラスの効果を及ぼす。わ が国では、この本社機能が東京に集中する傾向が強かったが、ここにきて東京離れが起き 始めている。まだ、小さな動きに過ぎないが、大手自動車メーカー2社が、国内外の営業 部門の東京から名古屋への回帰、本社機能全体の東京から横浜への移転をそれぞれ行った。 その背景には、巨大な市場としての東京の魅力は依然残っているものの、企業活動が国 境を越えて拡がり、また、市場経済化や規制改革の流れの中で従来のように中央官庁や業 界との調整の比重が減ってきたこと、渋滞・過密化や不動産価格など国際水準に照らして も高コストな都市構造、社員の厳しい居住環境など、必要性の低下やマイナス要因が目立 つことが挙げられる。 他方で、県内企業は、本県の交通・物流インフラ、社員の生活・居住環境、地域イメージ など有形・無形の兵庫の事業環境を高く評価しており、有力外資系企業群も本県の国際的 な都市環境を好評価し、本社を構えている。全体として、アジアをはじめ、世界を臨む環 境が整ってきた兵庫は、 「世界本社機能」を置くのに相応しい機能性を高めているという見 方もできる状況になってきた。 欧米各国では、国内各地に有力企業の本社が分散しており、地域性に応じた独特の社風 を育み、それを武器としながら企業力を高め、また地域との共存関係を形成している。 今後も、金融や情報など業種によっては、市場が大きい東京への集中傾向が続くと考え られる。しかし、すべて横並びの時代は終わりつつある。大手製造業では、既に国内以上 に海外市場が大きな収益源となっており、業績を回復させつつある本県企業も例外ではな い。開発・生産機能と本社機能の分離は非効率でもある。 また、東京への本社機能の集中は、経済・社会全体の災害時における脆弱性を高め、リス クを大きくする弊害がある。他方で阪神・淡路大震災を経験した本県では、復旧復興のプロ セスにおいて優れた安全環境や防災基盤が形成されてきた。 今後、兵庫で生まれた企業が、真の世界企業へと転換することを契機に、あるいは、兵 庫の安全で優れた地域環境の中で社員の意欲を高めながら個性ある企業風土を育むため に、本社機能を兵庫へ回帰し、あるいは、維持・充実していくことが期待される。 県 民 今後ますます進展する知識社会は、個が輝く時代でもある。兵庫の産業の労働面の担い手 として、起業家として、地域活性化の主体として、さらに消費者として、一人ひとりの県民 が果たす役割は大きい。 伸び伸びと生きがいを持って働く、自己の能力を高める、非連続の発想と起業家精神で新 事業を興す、まちづくりや地域づくりに参画する、県内製品・産品をこよなく愛し、兵庫の企 業・事業者を厳しくも包容力を持って育てる、そのような創造的な県民の姿こそが、豊かな生 活やライフスタイルをもたらす源泉となる。また、夢を抱くことの少なくなった子どもたち への強いメッセージとなり、最も根源的な活力としての兵庫の人間力を高めることにつなが っていく。 今後、環境変化が進み、種々の制約が強まるなか、マクロ経済から企業経営の現場まで、 様々なレベルにおいて望ましい経済活動のあり様を絶え間なく問い続けていくことが必要と なる。産業と就業、競争力と豊かさ、国家と地域、市場原理と人間原理、企業と雇用、全体 最適と部分最適…。こうした困難な課題に向き合い、それぞれに相応しいバランスを見出し ていくのは、主体的な人間力にほかならない。そのためにも、未来を切り拓くたくましい個 の活躍が期待される。 地域金融機関 地域金融機関は、産業活動の血液である資金供給を担っており、民間事業体でありながら も、地域経済の発展に向けた大きな役割の発揮が期待されている。 現在、わが国全体の金融改革の中でリレーションシップバンキング(地域密着型金融)の 機能強化が推進されており、兵庫の金融機関も、大学や商工団体との連携、目利き人材の育 成など、地域の中小企業への円滑な資金供給に向けて積極的な取り組みがなされている。 しかし、本県の預金総額に占める貸出金の比率である預貸率をみると、7∼8割で推移し てきたものがここ数年低下傾向を示し、最近では約6割にまでなった。様々な理由が考えら れ、一概に論ずることはできないとしても、地域の資金が地域で生かされなくなりつつある 一端を示しているものと言える。 今後、県内で展開される産学官のプロジェクトや意欲的な企業の新規事業への関与、再生 に取り組む企業や地域の中小企業への機動的な資金供給、県をはじめとした政策金融との連 携強化など、地域とともに発展する事業体としての一層の積極的な取り組みが期待される。 支援機関、産業・雇用等団体 県内には、産業・就業への支援機関として、県の関係機関、産業界が主導して設立された機 関、中小企業経営者らが集まり組織されたNPO団体等があり、さらに商工団体、業界団体、 労働団体など、中小企業支援、産業振興、雇用安定等に関わる多数の組織が存在している。 こうした機関や団体は、自ら主体的な活動を行うとともに、行政と民間をつなぐ役割も担 っており、経済・雇用の再生に向けた目標を共有しつつ、県政とのより強いパートナーシッ プを築いていくことが期待される。 また、各機関・団体の特性に応じ、様々な主体や資源を結びつけるコーディネーターとし ての役割の発揮など、高度化・多様化するニーズに対応した専門的なサービスや事業を展開 することも重要である。そのため、スタッフの資質向上とともに、活動領域を超えた様々な 機関・団体との連携を拡大するなど、センター機能の強化に向けた取り組みが求められる。 大学・公的研究機関 激しい地域間競争の下で、これからの地域の経済活動においては、「知」の創出・発信源で ある大学や公的研究機関が従来にも増して重要な役割を担う。 最近、教育や研究をその主要な役割としてきた大学・公的研究機関が地域との連携に取り 組むなど、開かれた運営への改革が着実に進められている。しかし、地域がイノベーション (革新)の場として発展していくことをめざすとき、大学・公的研究機関と地域との連携は より広く、深くしていくことが必要である。そのことは、地域の様々な主体や資源との関わ りを通じ、大学や公的研究機関自体を活性化することにもつながる。 そのため、研究者個人に止まらない、組織的できめ細かい体制を整えながら、大学・公的 研究機関の持つ知的資産や人文・社会・自然・生命など科学分野の別ない得意分野、強みを 中小企業や県民にも行き届く形で情報発信したり、移転したりするとともに、知の産業化を 担う大学発ベンチャーを輩出するなど積極的な取り組みが求められる。 また、社会人教育を含めた教育についても、経営管理スキルやMOT(技術経営)スキル を持ったプロ人材をはじめ、地域のニーズに応える知的人材の輩出源としての一層の役割の 発揮が期待される。 市 町 企業・人材の誘致や地域に密接した関連した産業の活性化、さらに将来を担う人づくりに 向け、基礎的自治体である市町の果たすべき役割は大きい。 とりわけ、商店街、観光、コミュニティ・ビジネス、地域サービス産業など地域に根ざし た産業は、直面する課題、その解決策も千差万別であり、住民生活とも密接に関連した問題 を抱えているケースが多い。このため、市町が、自らの地域経営のためにも、福祉、介護、 子育て、教育、高齢者等の住民の生きがい、日常生活、交通、人の定着と交流など、地域づ くり・まちづくりの多面的な視点の中に地域の産業のあり方もしっかりと組み込み、各分野 の施策を重層的に組み合わせながら、産業を含む地域の活性化に総合的に取り組んでいくこ とが望ましい。それが結局は、最も効果的な産業の育成・振興にもつながる。 また、地域の活力を担う人材育成も、青少年段階から地域との関わりを深めるなど、市町 の積極的な取り組みが不可欠である。 地域の産業や人づくりに、県と市町が連携しながらも、合併により広域化し行政能力を高 めつつある市町が、県以上に主体性やマネジメント機能を発揮し、積極的に取り組んでいく ことが期待される。 国 知識社会の進展、激しい技術革新競争などを背景に、国全体を対象としたマクロの産業政 策以上に、地域レベル、都市レベルの事業環境に着目し、産学官の結合により競争力を高め ていく地域産業政策の重要性が高まっている。 今後、国においては、こうした流れをふまえ、規制改革や通商などマクロの事業条件の向 上、府県を越えた広域での取り組みの調整を図りながら、地方・地域の主体性を重視し、こ れと積極的に連携していく政策の展開が望まれる。 労働需給政策、教育訓練政策をはじめとする雇用就業政策についても、地域の実情に応じ、 地域の主体性や民間の活力を生かしながら、より多様で効果的な取り組みが地域・民間主導 で拡大するよう、国と地方と民間の新たな連携関係の構築が期待される。 第6章 プログラムの効果的な 推進に向けて 序 序章 プログラム策定の趣旨 第1章 転機に立つ 現状認識 第2章 これまでの取り組みと 兵庫経済 今後の課題 政策フレーム 第3章 兵庫経済の進路と政策の基本方向 アクション 第4章 プロジェクトの展開 第5章 再生加速に向けた 参画と協働 第6章 プログラムの効果的 県の役割と各主体への期待 付属資料 な推進に向けて 第6章 プログラムの効果的な推進に向けて 1 ミッションの遂行を通じたより身近で、より効率的な県政へ プログラムを展開するにあたり、県政への県民の信頼を獲得しながら、協働型の参画 を実現するとともに、真の成果としての経済再生を果たすためには、「産業を活性化し、 就業の場を生み出し、県民が安心して豊かに暮らせる社会を築く」という県民の視点に 立ったミッション(使命)を遂行していくことが重要である。 行政は、往々にして予算化された「事業」の遂行を目的化し、本来のミッションを見 失いがちである。また、こうした事業志向の弊害として、大きな可能性を有する動きが あっても、 「事業」に関係ない限り軽視してしまうケースも見られる。 県民の信頼や参画を得ながら、本来めざすべき成果を実現するためには、単にこのプ ログラムで示された「事業」を遂行するだけでなく、組織のそれぞれの階層において、 または個々の構成員において、プログラムのめざす方向性から導かれる自らのミッショ ンを認識し、常に目線を低くして地域の動きを捉え、主体性・創造性を最大限に発揮して いくことが何よりも必要である。 そのため、前例にとらわれない柔軟な発想、セクショナリズム(縦割主義)の排除と いった意識・行動改革に加え、とりわけ次のような自律的な変革が必要である。 ☆オフィスから現場へ、一方向のコンタクトから双方向の対話・交流へ ☆受け身の姿勢ではなく、ヘッドワーク・フットワーク・ハートワークの3ワークの主体的 な発揮へ ☆資金・モノ(現物・直接支援)以上に、情報・機会・場(ソフト・間接支援)の重視へ ☆供給側の視点である事業の出来高・実績だけでなく、県民の視点に立った成果や満足度 の把握、そして不断の改善へ こうした県民の視点に立ったミッションの遂行、そのための意識・行動改革は、イギ リス、北欧等の行革先進国で展開され、顧客志向、成果志向、市場機構の活用等で成果 をあげたニュー・バブリック・マネジメント(新公共経営)の考え方とも通ずる。 いずれにせよ、行政は民間と異なり、基本的に地域の独占事業体であるがゆえに民間 以上に厳しい自己への規律が必要であることは言うまでもない。三位一体改革に象徴さ れる地方の自立と責任を求める改革が進み、また、低成長下、効率的な行政運営が求め られる今日、その要請は以前にも増して強まっている。 こうした認識の下、プログラムの展開にあたっては、県民サービス業としての原点に 帰り、共感と信頼に基づく県民との対話を通じ、県民視点の効率的で質の高いサービス を提供していくことをめざす。 2 自律的な「プログラムの実行・評価・改善サイクル」の推進 1 バランス・スコア・カードや経営品質の考え方をふまえた自己評価の推進 地域の様々な主体と協働しながら、こうした県民の視点に立ったプログラムを展開 していくとともに、全体として適切な成果を実現していくためには、まず、プログラ ムの推進状況や問題点を自らが明確にし、個々の取り組みや組織的能力の向上に結び つけていくセルフアセスメント(自己評価)が求められる。 このセルフアセスメントを行うにあたっては、施策等の成果を見極めるだけでなく、 内部的な要素ではあるものの、県民の側に立った業務プロセスの改善・効率化、組織・ 人材の活性化、財務面の改善など、様々な要素を有機的に結合し、また、バランスさ せながら、組織全体として戦略的な行動が確保されているかどうかを点検し、改善に 結びつけていくことが必要である。 すなわち、「商品」に相当する施策の品質を高めるために、プログラムの推進主体 である県組織の品質を高めることにより、より県民の求める価値を創出していく機能 的な事業体へと変革していくことが求められている。 民間においては、経営を構成する様々な要素・プロセス全体の質的向上を図ってい くため、「バランス・スコア・カード」や「総合経営品質」等の向上に取り組む動きが 広がっており、自治体の行政運営にも一部活用され始めている。 プログラムの推進にあたっては、こうした手法、特に、多面的な指標で目標を定め、 その評価、改善を行うことにより、効果的に戦略を実現していく点で有用な「バラン ス・スコア・カード」と、顧客価値創造のために経営の体質全体の変革を促す「経営品 質」の考え方とを参考としながら、PLAN(計画)→DO(実行)→CHECK(点検)→ACTION (改善)を通じたプログラムの実効的な推進を図っていくものとする。 バランス・スコア・カードの考え方 バランス・スコア・カードは、「顧客の視点」、「財務の視点」、「内部プロセスの視点」、 「人材の学習と成長の視点」の4つの観点から、組織全体の戦略を指標化し、互いに関 連づけながら、全体としての目標達成を図る考え方。これまでの経営手法が、人材、顧 客、商品の品質、財務など特定の視点に偏り、また、全体の戦略と個々の組織・人材の行 動とが結びついていなかった反省から生まれた。 具体的には、全体の戦略又はビジョンの下、4つの視点ごとに目標、成功要因、業績 評価指標、その目標水準を定量的に定め、さらに組織階層別に同様の作業を行うととも に、結果の分析を行い、具体の改善策に反映していく可視的な経営戦略の実現ツール。 経営品質の考え方 商品やサービスの品質だけでなく、顧客の求める価値を創出し、市場競争力を維持す る仕組みとして経営全体の品質を捉え、その向上を図るもの。(財)社会経済生産性本部 が主宰する「日本経営品質賞」はその考え方に則ったものであり、 「顧客本位」、 「独自能 力」、「社会との調和」、「社員重視」の4つを基本理念とし、組織のリーダーシップなど 「方向性と推進力」、「顧客・市場の理解と対応」、個人と組織の能力向上等「業務システ ム」 、 「情報の共有」 、財務等の「目標の成果」といった枠組みで取り組みを奨励している。 なお、本県では、この経営品質向上の考え方を取り入れ、平成 13 年度に「ひょうご経 営革新賞」を創設し、中小企業の総合的な経営品質の向上に取り組んでいる。 2 プログラムの実行・評価・改善システム 個別のプロジェクトでは、プロジェクト毎に取り組むべき施策の内容だけでなく、 めざす姿、目標、成果指標、その目標水準、実施工程などを明らかにし、計画的な施 策展開を期することとしており、こうした施策の評価等のための「経済再生の視点」 を軸としつつ、「県民の視点」、「業務プロセスの視点」、「人材の視点」の4つの視点 から、県政として取った行動の結果を継続的に測定・評価し、改善へ反映するなど、 プログラム全体、ひいてはそれを担う県組織の可視的な評価と進歩を推進する。 PLAN(計画) DO(実行) CHCKE(評価) ACTION(改善) ・ 業務プロセスの視点 効果的・効率的な事務展開 県民の視点 プログラムの推進 (経済再生の加速) 県民満足度の向上 人材の視点 組織の活性化 人材育成 プログラムの成果の実現 県民の信頼と協働型参画の獲得へ 経済再生の視点 より身近で、より効率的な県政へ 不断にミッションを遂行し、 前進する県政 3 4つの視点における評価内容 「経済再生の視点」、「県民の視点」 、「業務プロセスの視点」 、「人材の視点」それぞ れに、目標・成果指標・その達成すべき水準を設定し、適切に評価を行うとともに、施 策の内容やあり方はもとより、4つの視点相互を有機的に関連付けながら、組織の運 営、業務プロセスなどを含め、的確な見直し・改善を行っていく。 なお、「経済再生の視点」に関する目標・成果指標・達成水準は、プログラムの中に おいて定め、他の3つの視点については、プログラムがスタートする平成 17 年度に、 次に掲げるような評価項目に沿って、出来高・実績だけでなく、どれだけの便益や満 足度をもたらしたかなどを成果として捉えるための工夫を重ねながら検討すること とする。 こうした実行・評価・改善のサイクルを実現するにあたっては、往々にして起こり がちな知行分離(基本的な考え方・計画と行動との乖離)や、組織的に定めた目標と 構成員の行動とのずれを回避することが必要であり、プログラムがめざす兵庫経済の 再生、さらに施策等の行動計画とうまく結びついた目標や指標を定めるなど、組織・ 人材がミッションの遂行に向けて最大限の創造性を発揮していくような実行・評価・ 改善のサイクルに取り組んでいく。 「県民の視点」「業務プロセスの視点」「人材の視点」の評価項目例 経済再生の視点 (プログラムに掲げる政策の枠組みが評価項目に相当。具体の目標・成果指標・ 目標水準は、プログラムの中で定めているものを用いる。 ) 県民の視点 ☆政策分野・客体の理解 ・政策分野・客体の状況・課題・ニーズをマクロ・ミクロ双方で、定期又は不定 期に適切に把握しているか ・関係する事業者や県民との対話、現場訪問が恒常的になされているか 等 ☆県民の信頼創造 ・施策の広報(報道機関への発表、メーリングリスト、ホームページ等)は 適切になされているか ・優れた事例・商品等の事後広報・情報発信に取り組んでいるか ・施策利用者等の苦情・クレームを受け付け、集約し、的確に対応していく仕 組みがあるか ・施策利用者の負担軽減と利便性向上のための改善は積極的になされている か(受付から支援実行までのリードタイムの短縮、書類の簡素化等)等 ☆県民満足度の明確化 ・施策利用者の満足・不満足度、満足・不満足要因を適切に把握し、改善に結 びつけているか 等 業務プロセス の視点 ☆業務の改善、サービスの充実 ・施策の充実・改善に向けて、現場等の職員の意見・提案を集約したり、県内 自治体・他の都道府県・国と情報交換したりしているか ・アウトソーシングなど専門機関・専門人材を効率的・効果的に活用している か 等 ☆パートナーとの協働 ・連携して施策に取り組むべきパートナーとのコミュニケーションや意見・ 要望の収集は適切に行われているか 等 ☆情報の共有 ・組織内で目標・方針が共有されているか ・経済動向、企業動向、雇用就業動向など県政に必要な外部環境に関する情 報・データは組織全体で適切に共有されているか ・支援した企業等の情報は、組織横断でデータベース等として蓄積し、活用 されているか 等 ☆財務の改善 ・間接費の削減などコスト削減に取り組んでいるか 等 人材の視点 ☆組織的能力の向上 ・職員が自主的に問題点を見つけ、解決を促すような仕組みがあるか ・幹部陣とのコミュニケーションは円滑になされているか ・組織内外との協働を拡げ、また円滑化する仕組みがあるか 等 ☆職員の能力・意欲の向上 ・職員の能力向上のための仕組みがあるか ・職員は自ら能力開発やスキルの向上に取り組んでいるか ・職員はやりがいをもって働いているか(職員満足度) ・職員はコスト意識を持って業務に取り組んでいるか 等 視点相互の有機的関係 経済再生の加速化(成果の拡大) 経済再生の視点 県民の視点 業務プロセスの視点 人材の視点 政策分野・政 策客体の理解 情報の共有 県民の 信頼創造 パートナー との協働 県民満足度の 明確化 業務の改善 サービス向上 組織的能力の 向上 財務の改善 職員の意欲・ 能力の向上 3 プログラム推進状況を評価する第三者機関の設置 県としてのセルフ・アセスメント(自己評価)に努めることに加え、第三者の視点で、 プログラムの推進状況を評価し、改善や見直しへと反映していくため、プログラムのス タートする平成 17 年度から、有識者や県民による第三者機関を設置する。 この第三者機関においては、セルフ・アセスメントの成果指標等のうち、今後定めるこ ととしているもののあり方も検討するほか、プログラムで定めている成果指標等につい て、環境や情勢の変化に対応して追加・充実するなど、より適切なプログラムの評価を推 進していくものとする。 付属資料 序 序章 プログラム策定の趣旨 第1章 転機に立つ 現状認識 第2章 これまでの取り組みと 兵庫経済 今後の課題 政策フレーム 第3章 兵庫経済の進路と政策の基本方向 アクション 第4章 プロジェクトの展開 第5章 再生加速に向けた 参画と協働 第6章 プログラムの効果的 県の役割と各主体への期待 付属資料 な推進に向けて 中間報告までの経緯と今後の予定 平成 15 年度 プログラム策定の前段階の作業として、経済・雇用動向の把握、課題抽出を行うととも に、政策の方向性を探るため、県内外の有識者を交えた「兵庫経済戦略研究会」を開催。 第1回 平成 15 年 12 月 8 日 「労働市場の動向と課題 ∼これからの雇用政策のあり方」 第2回 平成 15 年 12 月 22 日 「経営革新と地域経済の活性化 ∼企業の課題・行政の役割」 第3回 平成 16 年 1 月 14 日 「地域に根ざした雇用創出 ∼コミュニティ・ビジネスの可能性と課題」 第4回 平成 16 年 1 月 26 日 「就業・創業支援等地域経済活性化の取り組みと課題」 第5回 平成 16 年 2 月 20 日 「自治体雇用政策の課題と方向性」 第6回 平成 16 年 3 月 9 日 「コミュニティとネットワークによる地域ビジネスの活性化」 第7回 平成 16 年 3 月 11 日 「消費のマクロ構造・メガトレンド ∼少子高齢化社会への展望」 第8回 平成 16 年 3 月 22 日 「旅行産業・観光産業の国際経営活動と地域ツーリズム振興の展望」 平成 16 年度 月 ひょうご経済・雇用戦略会議の設置・開催 4 28 日 会議委員の公募開始 5 6 県民・企業等の参画・協働の推進 (同 左) 県内求職者アンケート調査(∼6 月) 7 日 会議の設置・発表 25 日 第1回会議(現状把握・方向性) 7 8 26 日 第2回会議(骨子) 県内企業活動アンケート調査 産業振興パートナーヒアリング調査(∼7 月) 26 日 団体との政策意見交換会(商工・金融・観光・ 貿易等 12 団体) 2 日 団体との政策意見交換会(製造 11 団体) 9 日 団体との政策意見交換会(雇用等 6 団体) 9 10 29 日 第3回会議(中間報告) <今後の予定> 11 12 中旬 第4回会議(提言) 1 プログラム策定 パブリックコメントの実施 ひょうご経済・雇用戦略会議委員名簿 (五十音順) 氏 名 職 名 備 考 安 富 隆 義 日本労働組合総連合会兵庫県連合会事務局長 池 田 志 朗 兵庫県経営者協会副会長 石 井 布紀子 有限会社コラボねっと取締役 小 田 脩 造 兵庫県商工会連合会副会長 加 藤 恵 正 兵庫県立大学経済経営研究所長・教授 座 長 角 野 幸 博 武庫川女子大学生活環境学部教授 北 村 新 三 神戸大学理事(学術研究・知財・財務担当) ・副学長 斎 藤 悠 実 経営コンサルタント、中小企業診断士(公募委員) 坂 井 廣 株式会社ナンバーアイ代表取締役社長 定 藤 繁 樹 関西学院大学商学部教授 下 﨑 千代子 大阪市立大学大学院経営学研究科教授 下 村 治 生 社団法人神戸青年会議所理事長 角 南 忠 昭 社団法人神戸経済同友会国際委員会副委員長 高 﨑 正 弘 神戸商工会議所副会頭 株式会社神戸商工貿易センター神戸ファッションマート 高 田 恵太郎 事業本部取締役事業本部長 滝 野 秀 一 株式会社ドーン代表取締役 日本ジャバラ工業株式会社代表取締役社長・兵庫県中小企 田 中 信 吾 業家同友会代表理事 プロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・ 辻 本 由起子 インク・エクスターナル・リレーションズディレクター 中 沢 孝 夫 兵庫県立大学環境人間学部教授 服 部 良 子 大阪市立大学大学院生活科学研究科助教授 エム・シーシー食品株式会社代表取締役社長・兵庫県食品 水 垣 宏 隆 産業協議会会長 宮 﨑 俊 樹 自営業(公募委員) 村 上 季実子 長田神社前商店街振興組合理事兼地域活性化部長 村 田 弘 美 株式会社リクルートワークス研究所主任研究員 (以上 24 名) 参考資料1 クラスターに関連した新産業技術の動向と兵庫の可能性 ナノテクノロジー(超微細技術) 1 ナノテクノロジー(超微細技術)とは 1nm(1ナノメートル)とは 10 億分の1m(10-9m)の単位。10 億分の1は、 直径1万 2700km の地球が 12.7 ㎜のビー玉の大きさになる途方もない微小の 世界。1nm の実際の大きさは、人の髪の毛の 1 万分の1に相当する分子、D NA、原子の世界であり、人間の目には見えない。 ナノテクノロジーは、このように極めて小さな分子や原子を直接制御し、ナノ物 質やナノ材料、ナノ機器等の超微細製品を創成する技術。 2 ナノテクノロジーの可能性 ナノテクの基本技術は、炭素・金属・複合材料などを用いた「ナノ物質・材料創成技 術」と、それを計測・加工・評価する「ナノ構造技術」に分けられ、そこから構造・ 機能材料、半導体デバイス、メモリデバイス、光通信、ディスプレイ、メカトロニ クス、環境、エネルギー・燃料、バイオ・医療など様々な応用分野が拡がる。 このようにナノテクは、幅広い産業分野を革新し、波及効果が高いことが特徴で あり、成長性に富む。物質の機能・特性を飛躍的に向上させ、大幅な省エネルギー化、 環境負荷低減も実現し得るなど、次代の基幹技術と目されている。 既に科学から産業の領域に踏み込んでおり、ナノテクの塊といってもよい携帯電 話のほか、繊維一本一本にナノコーティングを施し、シャツにかかったコーヒーや 水を弾くナノ衣料、カーボンナノチューブ(炭素原子のみからなるチューブ状の新 物質)を用いたテニスラケットやゴルフクラブなど、街のスーパーや店で手に入る 身近な「ナノテク商品」が次第に増えてきている。 今後、ナノテクは様々な既存技術と融合し、それを新次元へと昇華させながら大 きく発展していくものと見込まれる。 <今後の成長分野の例> □材料:超高強度・高張力等の次世代メタル(鉄・アルミ・銅等)、超軽量材料、高機能素材 等 □環境:高感度有害物質センサー、環境修復ナノ材料 等 □エネルギー:燃料電池、高機能太陽電池、高性能二次電池 等 □バイオ・医療:ナノカプセルで薬を体内患部へ配送するシステム、生体分子分析チップ 等 □半導体デバイス:超高速演算が可能な量子コンピュータ 等 □メモリデバイス:テラビット記憶媒体等の超高密度メモリ □新物質創成・加工・計測技術:ナノテクの産業化を支える新物質、加工・計測装置 等 3 国の取り組み 21 世紀の基幹技術とされるナノテクノロジーを巡っては、世界レベルでの競争が 進展。この分野でのわが国の優位性に危機感を抱いた米国は、2000 年に「国家ナノ テクノロジー戦略」を策定し、国をあげての研究開発に取り組んでいるほか、2001 年頃からEU、中国、韓国、台湾等が戦略的なナノテクノロジー開発に着手。 わが国でも、総合科学技術会議が平成 13 年に国の科学技術政策の重点分野の一つ にナノテクを位置づけるとともに、同年、経済産業省が「材料・ナノテクノロジープ ログラム」をスタートさせた。さらに翌年には文部科学省により「ナノテクノロジ ー総合支援プロジェクトセンター」が設立されたほか、21 世紀COEプログラム、 知的クラスター創成事業、産業クラスター事業等を活用し、基礎から応用化・実用化 に至る様々な官民連携プロジェクトが推進されている。 4 兵庫の成長可能性 (1)集積の特性 髪の毛の上の世界最小のワイングラス (県立大高度産業科学技術研究所等開発) 知的集積:大型放射光施設SPring−8、中 型放射光施設ニュースバルのほか、(独)理化学研 究所播磨研究所、県立大学理学部・大学院・高度産 業科学技術研究所等を擁する播磨科学公園都市を 中心に、ナノテクを担う知的機能が厚く集積。 SPring−8では、カーボンナノチューブ 等ナノ材料やDNAの分析等に欠かせないナノ結晶の原子構造を迅速に決定する 手法の確立など、革新的な研究成果があがっている。また、県立大学からは、既 にナノテク分野の産業化・事業化を担う大学発ベンチャーが2社誕生。 産業集積:神戸・阪神・播磨を中心にナノテクの苗床となる鉄鋼・金属等の基礎素 材系から加工・組立系、さらにその基盤を支える鋳造、鍛造、金型、プレス、切 削、表面処理等のものづくり技術が厚みをもって集積。 こうした産業集積の中で、鉄鋼や重工メーカーによるナノメタルやナノ熱延鋼 板開発が進んでいる。また、中堅中小企業においても、必ずしもナノテクは敷居 の高いものではなく、ナノテクを活用した携帯電話用省電力バックライト、還元 反応を利用したナノ水準の金属微粒子生産技術、ナノレベルの高精度加工器具な どの開発成功例が出てきている。 (2)今後の可能性 現在、県では、知的集積・産業集積のポテンシャルを生かしながら、SPrin g−8の県ビームライン等を活用し、ナノサイズの非常に小さい微粒子を用いた 複合材料開発や放射光を用いたナノ加工技術の開発プロジェクトを推進。こうし た動向もふまえ、今後本県では、基盤的なものづくり技術の強みを生かした、金 属・非金属合わせたナノ材料・素材、ナノ加工・計測等の成長が期待される。 5 今後の市場規模 市場規模計 IT・エレクトロニクス 新素材・プロセス 計測・加工 環境・エネルギー ライフサイエンス その他 国内市場規模 2005年(億円) 2010年(億円) 23,501 273,296 9,144 138,649 4,717 89,079 6,282 21,311 1,130 15,932 883 4,150 1,404 4,175 <日本経済団体連合会(平成 13 年)> 次世代ロボットテクノロジー 1 次世代ロボットとは これまでロボットは主に工業分野で活用されてきており、全世界で約 74 万台の産 業用ロボットが稼動。このうち、約 40 万台(5割強)がわが国で使用され、2位で ある米国の約9万台に大差をつけて世界トップのロボット大国となっている(99 年 現在)。現在、こうして培われた技術を生かしながら、2足歩行型を含め、外部から の助けを借りずに自ら判断して、生活支援、医療、災害救助、スポーツ、輸送機械 の運転等を行う「自律」型ロボットの開発が進展している。 今世紀前半、しかも早期に、ファミリーロボットが家電製品のように一家に一台、 又はそれ以上置かれ、あるいは、現在の溶接・塗装等部分的な加工に止まらず、熟練 工並みの感覚・機能を有する産業用ロボットが実用化されるものと見込まれている。 2 次世代ロボットの可能性 高度な組み立て機能を持ったものなど、産業用ロボットの革新が着実に進む一方、 非産業用ロボットは、要素技術の蓄積を生かし、民間で2足歩行ロボットやペット 型ロボット等の開発に成功するなど実用化が進展しているものの、普及のきっかけ となる適切な価格・機能を備えたリーディング製品が現われていない状況にある。 ロボットは、メカニクス(機械技術=駆動モーター、油圧、人工筋肉、バッテリ ー等)、マテリアル(素材技術=特殊合金、人工皮膚等)、エレクトロニクス(電子 技術=画像・音声等認識、各種センサ等)、IT(情報技術=人工知能、通信等)な ど、先端的な要素技術群とその高度な統合・擦り合わせが必要であり、技術的に解決 すべき課題が少なくない。また、非産業用については、コンテンツ(用途)につい ても、社会的な方向性が定まっていない部分がある。 しかし、人口減少・少子高齢化といった需要面と、関連技術開発が進み、潜在的な 強みも生かせるといった供給面との両面から、今後ロボットは、工場から家庭へ、 産業から個人への流れを強めるものと考えられる。やがて近い将来、医療、福祉、 生活支援、災害支援、公共サービスなど様々な場でロボットが人を支援し、安全・ 安心な生活を支える、そうしたロボットと人間の共存社会が訪れる可能性が大きい。 3 国の取り組み 1980 年、通産省がロボット普及元年を掲げ、産学官を結集して極限作業ロボット 等の開発に取り組んだが、当時は実用化までの技術的なハードルが高く、開発は各 大学や企業のもとで個別に続けられることとなった。 その後経済産業省は、98 年から「人間協調・共存型ロボットシステム」の開発プ ロジェクトを開始するとともに、02 年には「21 世紀ロボットチャレンジプログラム」 を策定、要素技術開発とこれらを統合した人型ロボットの開発を加速している。 04 年に同省が策定した「新産業創造戦略」でも、4つの先端的新産業群にロボッ トが挙げられ、人型ロボットの実証試験等による実用化のほか、次世代ロボットの 要素技術を共通化し、中小企業の参入を促すための画像認識・音声認識・姿勢制御・ 駆動用技術の4分野公募型開発支援事業など、05 年度から新たな取り組みも予定。 世界的には、産業用ロボット、人型ロボットなどハードウェアの自動化・自律化技 術で、わが国の産学官はトップランナーとなっているものの、米国は宇宙・原子力・ 医療分野の遠隔操作ロボットに強く、また、知能ソフトや制御システムといったソ フトウェアでは、米国をはじめ海外勢が強みを発揮している状況にある。 4 兵庫の成長可能性 (1)集積の特性 産業集積:兵庫には、1960 年代にわが国で初めて産業用ロボットの実用化に成功 したパイオニアで、現在も産業用ロボットの世界シェアでトップクラスにある企 県内企業が開発した 業をはじめ、大手から中小まで、構造・外装、駆動、認識、 家庭用人型ロボット 制御、動力など関連技術を有する企業が多数集積。 県内企業の取り組み意欲も高く、平成 16 年に県が実施し た県内企業アンケート調査では、中小企業の新分野進出先 としてロボットが上位に位置づけられたほか、公的研究機 関や大学と連携しながら、危険業務を代行する遠隔操作ロ ボット、表情の違いや1万語の言語を認識し、健康管理や 留守番を行う家庭用人型ロボットの実用化に成功している。 知的集積:神戸ロボット研究所を有し、約百社が参加する 神戸ロボット研究会で産学官研究に取り組む(財)新産業創造研究機構、尼崎を中 心とした中小企業を集めてロボット研究会を組織し、人型ロボット用のメカニッ ク部品や素材開発を進める(財)近畿高エネルギー加工技術研究所、センサ・制御シ ステムなど要素技術の向上に取り組む県立工業技術センター、神戸大学・(非)国際 レスキューシステム研究機構神戸ラボラトリーによる災害救助ロボットの開発な ど、知的機関と産業界が連携した次世代ロボット開発の動きが活発化している。 (2)今後の可能性 財界を中心に産学官で組織された「関西次世代ロボット推進会議」は、平成 16 年5月、当面重点的に推進するパイロットプロジェクト 24 件を選定した。その中 で、兵庫のプロジェクトは3分の1の8件を占め、可能性の大きさを伺わせた。 内容的には、中小を含む産学官で現に取り組まれている福祉・介護分野のロボット 技術が多い。 今後、本県では、こうした先導的なプロジェクトや集積の強みを生かし、介護、 家庭支援、生活の安全・安心、防災、環境維持等の県民生活の豊かさに直結する次 世代ロボットや、産業活動の革新・生産性の向上に貢献する新たな産業用ロボット の発展が期待される。 5 今後の市場規模 市場規模計 製造分野 バイオ分野 公共分野 医療・福祉分野 生活分野 国内市場規模 2010年(億円) 2025年(億円) 29,900 79,500 8,500 14,000 900 3,600 2,900 9,900 2,600 11,000 15,000 41,000 <(社)日本機械工業会・(社)日本ロボット工業会(平成 13 年5月)> 健康テクノロジー 1 健康テクノロジーとは 豊かな生活を支える「健康」への関心が急速に高まっており、今後の高齢社会の 進展も見据えながら、健康を支える様々な科学・技術の開発が進められている。 先端医療技術分野では、2000 年におけるヒトゲノムの遺伝子全容解析を受け、た んぱく質の機能解析が進むなか、個々人の体質に合わせたゲノム創薬やオーダーメ イド医療、失われた生体機能を取り戻す再生医療、こうした最新の医療技術を支え るハードとしての先端医療機器等が具体化しつつある。また、死因の3分の2を生 活習慣病が占める中で、健康の維持・増進につながるとして国が認定する「特定保健 用食品」(トクホ)を中心に健康志向食品が突出した成長を見せている。 このように、先端医療・医薬など既に臨床段階に入っているものを含め、 「健康」 を担う科学・技術・産業の裾野は大きく拡がりつつある。 2 健康テクノロジーの可能性 <先端医薬・医療・機器> ゲノムや病因たんぱく質の情報活用で体質に合わせた医 薬品の使用、副作用を抑えた効果的な治療が可能になるなど、ゲノム医療は医療の 質と経済性の向上の両面から成長していくものと見込まれる。 また、再生医療についても、あらゆる細胞に分化可能とされるヒト胚性幹(ES) 細胞のほか、倫理面の問題が比較的少ない、治療対象者の体性幹細胞を用いる再生 医療研究が進んでいる。02 年にはES細胞に類似した特性を持つ体性幹細胞も発見 された。こうした再生医療を実用化するため、情報工学、ナノテク等を駆使する医 学・工学連携の細胞工学(セル・エンジニアリング)も進展しており、難病治療等を 切り拓く再生医療の本格展開が現実のものとなりつつある。 先端医療を支える高機能の診断・治療機器も、現在は海外輸入に依存する部分が多 いが、開発のボトルネックとなってきた機器承認審査の大幅な期間短縮に向けて国 が動き出しており、民間で技術力を生かし優れた診断・治療機器開発が進んでいる。 <機能性食品> 予防医学への意識の高まりを背景に、健康食品の市場規模は既に 1兆円を超えた。91 年に発足した特定保健用食品制度の許可商品数は 439 品目に達 し(04 年 8 月現在) 、市場規模は約 5700 億円(03 年度)、2年間で約 38%と成長著 しい。その背景には、従来曖昧であった証拠に基づく健康機能性の証明を、近年の バイオテクノロジーが可能にしていることもある。今後の健康食品市場は、新たな 素材の登場や既存素材の機能再発見等を通じ、更に活性化するものと見込まれる。 <健康・福祉機器> 健康・福祉機器についても、障害者や要介護者の自立を支援す るだけでなく、健康増進、介護・疾病予防と一体となった、中高年齢者など誰もが使 いやすい健康・福祉機器の普及が進むものと考えられる。 3 国の取り組み 世界的なバイオテクノロジー研究の高まり、競争激化を背景に、国では、99 年に 定めたミレニアム・プロジェクトの中にゲノム解析や再生医療を盛り込み、本格的な 取り組みに着手。次いで 01 年に策定した「科学技術基本計画」において、重点4分 野にライフサイエンスを位置づけ、ゲノム技術を活用した疾患の治療・予防技術、 再生医療・遺伝子治療、機能性食品をはじめ、国民生活の安心、産業競争力確保のた めの生命科学研究を本格展開。また、02 年には、「バイオテクノロジー戦略大綱」 を策定し、省庁横断で先端医療・医薬、健康食品の振興に取り組んでいる。 4 兵庫の成長可能性 (1)集積の特性 知的集積:平成 11 年に神戸市により発表された神戸医療産業都市構想に基づき、 世界最高水準の再生医療研究を行う(独)理化学研究所発生・再生科学総合研究セ ンター、研究成果を実用化に結びつける先端医療センターなど、ライフサイエン スを重要戦略に位置づけた国と地元が連携しながら、国公の研究機能集積が拡大。 また、SPring−8では、国のたんぱく質構造解析プロジェクトが推進さ れるとともに、(独)産業技術総合研究所が細胞工学研究のため、尼崎に研究部門 を設置するなど、先端医療・医薬分野の知的機能は全国有数となっている。 食品、健康・福祉機器でも、バイオ技術に取り組む県立工業技術センター、県内 産品を使った加工技術を手掛ける県立農林水産技術総合センター、先駆的な福祉 機器開発を推進する県立福祉のまちづくり工学研究所など、ポテンシャルは高い。 産業集積:県内には従来から外資系医薬品企業が多いほか、医療産業都市により、 科学の産業化を担うベンチャーが 60 社以上進出(16 年6 県内企業が開発したMRIで 使用できる非磁性手術用具 月現在)。脳梗塞の遺伝子治療薬や歯槽骨の再生技術に目 処をつけつつある企業など、成果も出始めた。 また、既存の中小企業も「医療用機器開発研究会」を組 織(70 社以上が参画)し、MRI(磁気共鳴撮影装置)で 画像診断しながら外科治療ができる非磁性手術用具、PE T(陽電子放射断層撮影装置)の周辺機器など、11 件を開発済、13 件の技術開発 に取り組んでいる(03 年末現在)。 食品関連では、工業出荷額の約 15%を占める厚みのある集積から、例えば、血 糖値の上昇を抑制する飲料用に「難消化性デキストリン」を供給する企業など、 機能性食品を手掛ける企業が増えている。健康・福祉機器では、車椅子で全国トッ プシェアの企業、伝統の金属加工技術を生かし、福祉機器やユニバーサルデザイ ン機器を開発し、注目を集める三木金物など、機械・金属産業を中心に集積がある。 (2)今後の可能性 今後の超高齢社会を控え、元気に社会参加する層を増やすことは、個人の生活 はもとより、社会・経済の両面から大きな課題であり、健康産業への期待は大きい。 兵庫においては、現在進捗している次代の医療・医薬技術のほか、疾病予防と豊 かな生活を支える独創的な健康志向の食、ハンディのある者だけでなく、誰もが 使いやすい健康・福祉機器等裾野の広い健康関連産業の成長が期待される。 5 今後の市場規模 先端医療(医薬品・医療機器等) :8兆4千億円(2010 年国内市場) 健康志向食品:3兆2千億円(2010 年国内市場) <内閣官房「健康・バイオテクノロジー産業発掘戦略」(平成 14 年 12 月)> エコ(環境・エネルギー)テクノロジー 1 エコテクノロジーとは 環境の世紀と言われる 21 世紀、廃棄物・リサイクル問題や有害化学物質への対応、 地球温暖化問題など、環境やエネルギーに関わる課題を克服していくことが喫緊の 課題となっている。このため、かつて企業にとって「コスト」でしかなく、必ずしも 重視されてこなかった環境・エネルギー分野において、原材料の調達から製造、流通、 回収、利用、消費、再資源化にまで至る経済活動の連鎖全体、さらにそれを支える エネルギーを環境適合型に変えていく新技術の開発が急ピッチで進んでいる。 こうした産業技術は、わが国のみならず、全地球的な環境・エネルギー問題の解 決に貢献する普遍性・国際性を帯びたキーテクノロジーとなりつつある。 2 エコテクノロジーの可能性 環境・エネルギー問題への意識の高まり、法制度の整備などを背景に、多様な環 境・エネルギー技術がビジネス化されつつある。環境問題への持続的な対応を図る には市場原理の活用が不可欠であり、再資源化のための安定的原料供給、ビジネス の効率化、コスト負担の仕組みづくりなど課題を残しつつも、環境配慮・省エネ型の 素材・部品・商品のほか、廃棄物の回収・分別・再資源化のためのプラント・装置、再生 資源の利用技術、バイオマス・太陽光発電等の新エネルギー、燃料電池やコージェネ レーション等の高効率エネルギーなど新たな技術が続々と産業化されつつある。 とりわけ、平成 16 年に生じた原油等原材料の高騰が、エネルギー多消費型経済の 脆弱性を改めて浮き彫りにするなか、今後、環境と経済性の両面から、わが国が得 意とする省エネ技術・商品や高効率エネルギー技術への世界的な需要が高まるもの と見込まれる。 3 国の取り組み 国では、平成 13 年に科学技術政策の重点4分野の一つに環境を盛り込み、ゴミゼ ロ型・資源循環型技術研究等に積極的に取り組むとともに、エネルギーについては、 燃料電池等の水素エネルギー利用、バイオマスエネルギー利用等の拡大を推進。 経済産業省も、平成 16 年にまとめた「新産業創造戦略」において、燃料電池のほ か、次世代の環境・エネルギー機器等を取り上げ、特に、高効率・クリーンで、今後 のエネルギー供給やわが国の産業競争力を革新する可能性が高い燃料電池について は、インフラ整備、規制改革を含めた総合的な政策を講ずることとしている。 4 兵庫の成長可能性 (1)集積の特性 産業集積:本県では、鉄鋼・造船等の重厚長大産業が、サイドビ ジネスから中核事業へと環境・エネルギー分野への注力を高めつ つあり、これに呼応する形で中小企業によるこの分野へ進出も 著しく進展している。その結果、環境・エネルギーの主要業種に おいて、本県の出荷額は全国の1割以上を占めるほどのポテン シャルを示すまでに成長。 こうした産業集積の強みを糾合しながら、平成 12 年に「広域 県内企業が開発した 熱電併給型木質バイ オマスプラント リサイクル拠点整備協議会」が組織され、平成 15 年に は近畿で初めて国のエコタウン・プロジェクトの承認 を受け、姫路市における廃タイヤのガス化リサイクル など「ひょうごエコタウン構想」を推進している。 中小企業においても、リサイクル、省エネ技術など 先駆的な技術開発・市場投入が進んでいるほか、中小企 業が連携して、太陽光発電や省エネシステムの導入を 推進する「ワット神戸」など、ユニークな取り組みも展開されている。 また、本県は、世界で初めて高効率なアモルファスシリコン太陽電池の量産化 に成功した企業をはじめ、太陽光発電の生産で全国有数の拠点を形成しているほ か、燃料電池開発、コージェネレーションなどに取り組む企業も多い。 知的集積:産業廃棄物のリサイクルのため、港湾機能が整備された兵庫の特性を 生かし、内航海運による総合的な静脈物流システムを研究・推進する(財)新産業創 造研究機構、中小中堅企業と連携し、燃料電池や高効率二次電池の要素技術開発 に取り組む県立工業技術センター、資源循環社会の総合的な構築をめざす(財)兵 庫県環境クリエイトセンターなど、環境・エネルギー分野での総合的な知のポテン シャルが向上している。 (2)今後の可能性 環境への負荷を低減し、持続的な経済・社会発展の基盤を形成することは、現在 の産業・技術に課せられた最も大きな課題の一つである。 兵庫においても、次第に活発化してきた環境・エネルギー技術の革新をさらに加 速し、環境調和型の製品、リサイクル、水素エネルギー、新エネルギーなどを中 心に、地域や国内の課題解決はもとより、国際的な貢献・展開が可能な卓越した関 連技術が成長していくことが期待される。 全国初のタイヤガス化 リサイクル施設(姫路市) 5 今後の市場規模 環 境 市場規模計 環境分析装置 公害防止装置 廃棄物処理・リサイクル装置 埋立処分場造成 環境修復・環境創造 環境調和型製品 環境関連サービス 下水・し尿処理 廃棄物処理・リサイクル 国内市場規模 2002年(億円) 2010年(億円) 481,210 673,460 300 400 11,690 15,760 4,870 7,120 1,660 340 17,350 54,850 34,970 43,760 2,230 7,360 920 12,120 407,220 531,750 <経済産業省産業構造審議会環境部会資料(平成 14 年 6 月)> 新エネルギー・燃料電池 市場規模計 太陽光・風力・バイオマス等 新エネルギー 燃料電池 国内市場規模 2010年(億円) 2030年(億円) 22,000 110,000 11,000 30,000 10,000 80,000(2020 年) <経済産業省「新エネルギー産業ビジョン」(平成 16 年 6 月)、同「新産業創造戦略」(平成 16 年 6 月)> 参考資料2 プロジェクト別目標・成果指標・目標水準一覧 戦略目標 目 標 成果指標 (単位)[測定方法] H17 年度 成長産業分野を中心とした新技 術開発、第二創業・新分野進出等 600 への支援件数(件)[年度] 2 企業・研究所誘致2百件 国内外の企業・研究所誘致件数 66 (件)[年度] 3 地域産業プラスワン2千件 地域産業再生に向けた新たな取 600 り組みの創出件数(件)[年度] 4 中小企業資金供給7千億円 中小企業融資・保証制度による融 2,300 資額(億円)[年度] 5 青少年・若年しごと体験2万人 ものづくり体験やインターンシ ップ等体験型職業教育への青少 5,000 年・若年参加者数(人)[年度] 6 就業力アップ7千人 兵庫しごとカレッジシステムの 職業能力開発プログラムへの参 2,300 加者数(人)[年度] 7 多様・生きがい就業創出3千人 コミュニティ・ビジネス等への支援 800 を通じた雇用創出数(人)[年度] 目標水準 H18 H19 年度 年度 1 新規事業開発・創出2千件 700 700 67 67 700 700 2,300 2,400 7,000 8,000 2,300 2,400 1,000 1,200 H17 年度 目標水準 H18 年度 H19 年度 ― 700 850 1,050 ― 3,500 3,800 4,000 ― 20 25 30 ― 4 5 5 ― 15 15 15 ― 0 2 6 プロジェクト別目標 目標・成果指標 (単位)[測定方法] 1 ひょうごクラスタープロジェクト ①クラスターのコア(核)の形成 ○クラスター関連推進組織・研究会・コンソーシアム等 のクラスタープロジェクト参画企業数(社) [時点] ○ものづくり支援センターの利用(技術相談・技術指導) 数(件)[単年度] ○中核推進・支援機関のコーディネートによる共同開発 数(件)[単年度] ②クラスターの成長促進 ○クラスター地域内における国等のプロジェクト獲得数 (件) [累計] ○クラスター地域内の重点地区への企業・研究所誘致件 数(件)[単年度] ○クラスター創生先端技術開発推進事業における実用化 数(件)[累計] 直近 実績 2 知的財産・技術力強化プロジェクト ①県内企業の技術力向上 ○県立工業技術センターにおける共同開発数(件) [単年 度] ②中小企業における知的財産戦略の推進 ○知的財産に係る総合窓口への相談件数(件)[累計] ③産学官連携による新事業の創出 ○ NIRO における大学等保有特許の中小企業等への移転 数(件)[単年度] ○兵庫県COEプログラム助成事業活用後、本格的な研 究へ移行した企業数(件) [累計] ○産学連携新産業創出支援事業における支援先の売上高 増加企業、又は雇用増加企業の割合(%)[時点] 3 売れるものづくりプロジェクト ①新たなブランドの創出支援 ○新規デザイン等創出数(件)[単年度] ②地場産業の新分野進出・新製品開発の促進 ○地場産業新分野進出・新製品開発支援事業における支 援先の売上高増加企業、又は雇用増加企業の割合(%) [時点] ③ファッションクリエーターの育成と地場産業の活性化 ○地場産業とクリエーターとのマッチング件数(件) [単 年度] ④販売代理人等による販路開拓 ○販路開拓支援件数(件) [単年度] 87 90 90 90 ― 1,800 1,900 2,000 67 70 75 80 2 7 16 25 ― ― 20.0 40.0 ― 3 4 5 ― 50.0 60.0 70.0 ― 13 18 22 ― 50 50 50 5,000 7,000 8,000 70.0 75.0 80.0 190 280 350 3,800 3,850 3,900 180 180 180 ― 20.0 30.0 50.0 61.0 62.0 63.0 64.0 4 ものづくりのための人づくりプロジェクト ①青少年・若年のものづくりへの理解増進 ○青少年のものづくり体験学習への参加者数(人) [単年 ― 度] ○青少年のものづくり体験学習を通じてものづくりに興 ― 味をもった者の割合(%) [単年度] ②ものづくりに携わる人材の育成 ○ものづくり分野での実務・教育連結型人材育成システ ― ム等受講者数(人)[単年度] ○企業内ものづくり人材の養成数〔在職者訓練及び産業 3,750 技術大学等研修〕 (人)[単年度] ③プロ経営者等の養成 ○MOT(技術経営)人材及び知的財産専門家の養成数 ― (人) [単年度] 5 挑戦する中小企業と起業家の応援プロジェクト ①経営革新による元気企業の創出 ○第二創業・新分野進出支援事業における支援先の売上 高増加企業、又は雇用増加企業の割合(%) [時点] ○経営革新計画終了企業における付加価値増加企業の割 合(%)[時点] ②競争力のあるベンチャービジネスの育成 ○ベンチャーマーケットにおける投資・提携のマッチン 42 グ数(件) [単年度] ③多様な資金ニーズへの対応 ○中小企業融資制度に係る融資実績(億円) [単年度] 2,252 6 がんばる商店街応援プロジェクト ①地域ぐるみの商店街活性化 ○支援商店街等における新規開業店舗及び新たに設置さ れた交流施設(介護・子育て支援施設等)数(箇所) [単 13 年度] ○安全・安心・魅力創出事業の対象商店街等における来 ― 街者数増加率(%)[単年度] ②地域主導のまちづくり ○官民連携まちづくり支援事業の対象商店街等における ― 来街者数増加率(%) [単年度] ③いきいき個店の創出 ○オンリーワン商品開発支援事業の対象個店における売 ― 上増加率(%) [単年度] 7 生活を豊かにするしごと創出プロジェクト ①生活・サービス産業の育成 ○生活・サービス産業創出支援事業における支援先の売 ― 上高増加企業、又は雇用増加企業の割合(%)[時点] ②コミュニティ・ビジネスの育成 ○コミュニティ・ビジネス創出・企業化支援事業(離陸 117 応援・企業化支援)に係る雇用創出数(人)[単年度] ③ITを活用した産業の活性化 ○知的コンテンツ制作人材養成数(人材育成プログラム ― による研修受講者数) (人) [単年度] ○地域中小企業とIT企業とのマッチング件数(件) [単年 ― 度] 8 大地の恵みを生かすしごとプロジェクト ①生活者・社会のニーズに応え、持続する兵庫の「農」づ くり ○クラスターにおける健康食品及び環境に関する研究グ ― ループへの参画企業数(社) [時点] ②1・2・3次産業の連携による身近な兵庫の「農」づくり ○フードコーディネーターによる食品製造業と農林水産 ― 業とのマッチング数(件) [単年度] ③交流・参画による開かれた兵庫の「農」づくり ○楽農生活交流人口(都市と農山漁村との交流人口) (万 890 人) [単年度] ○新規就農者数(人)[単年度] 33 9 多参画就業推進プロジェクト ①青少年・若年の自立促進 ○県内の就職希望高校生の就職率(%) [単年度] 94.5 ○若者しごと倶楽部利用者の就職率(%)[単年度] 14.2 25 25 25 2,300 2,300 2,400 20 20 20 前年度 前年度 前年度 比2%増 比2%増 比2%増 前年度 前年度 前年度 比2%増 比2%増 比2%増 前年度 前年度 前年度 比2%増 比2%増 比2%増 20.0 30.0 50.0 160 160 160 160 210 260 100 130 160 90 110 135 3 5 7 936 1,000 1,000 50 50 50 96.0 25.0 96.5 30.0 97.0 35.0 ②中高年の雇用安定 ○シニアチャレンジ相談会参加者の就職率(%) [単年度] ③障害者の就業促進 ○障害者専門無料職業紹介による就職者数(人) [単年度] ④多様就業の推進 ― 25.0 33.0 40.0 10 25 27 30 ○ワークシェアリング導入企業数(社) [累計] 10 26 41 61 ⑤求人求職のマッチングの推進 ○県の職業紹介数(件)[単年度] 58 160 170 180 10 就業力向上プロジェクト ①能力開発支援の軸となる「兵庫しごとカレッジシステム」 による就業促進 ○ 兵庫しごとカレッジシステムにおける受講者数(人) 915 2,300 2,300 2,400 [単年度] ○兵庫しごとカレッジシステムにおける公共訓練による 118 750 840 940 就職率<就職者数>(人・%) [単年度] <52.9> <60.0> <65.0> <70.0> ②公共職業能力開発施設による就業促進 ○公共職業能力開発施設における就職率(%)[単年度] 73.3 75.0 80.0 85.0 ③技術・技能の振興 ○技能検定受検者数(人) [単年度] 6,187 6,200 6,200 6,200 11 賑わいひょうご創出プロジェクト ①県内への誘客促進 ○観光入込客数(万人)[単年度] 12,447 15,000 15,000 15,000 ②地域の優位性の強化 ○産業ツーリズム施設数(箇所) [時点] 228 234 237 240 ③ホスピタリティの向上 ○ツーリズム関連業界接遇研修参加者数(人)[単年度] ― 1,000 1,000 1,000 ○ボランティアガイドグループ数(グループ)[単年度] 37 41 45 50 ④国際ツーリズムの推進 ○外国人旅行者数(千人) [単年度] 304 600 600 600 12 産業立地促進プロジェクト ①企業誘致の促進 新産業集積条例に − 30 30 30 基づく拠点地区計 − 23 23 23 ○国内外の企業・研究所誘致件数(件) うち国内 [単年度] うち外国外資系 − 7 7 7 その他の地域計 − 36 37 37 計 − 66 67 67 ○企業・研究所誘致に伴う雇用創出数(人) [単年度] − 1,000 1,000 1,000 13 知的交流プロジェクト ①外国人留学生の受け入れ・定着促進 ○外国人留学生数(人)[時点] 3,643 3,700 4,100 4,500 ②海外頭脳人材等のクラスタープロジェクト等への参画支 援 ○海外研究者招聘数(人) [単年度] − 5 5 5 ③知的人材の集積拡大 ○知的分野(研究、教授、教育、投資・経営、法律・会計業務、医療技術、人文知 3,321 識・国際業務)の外国人県民登録者数(人) [時点] ④兵庫海外人材ネットワークの形成 ○「The HYOGO CLUB」(仮称)会員数(人) [時点] 198 3,400 3,500 3,600 358 538 718 参考資料3 用語注釈 あ行 アイデンティティ:一般的には独自性・個性などを意味するが、拡大して、会社などの組織・集 団・民族・国家などへの帰属意識の意味にも用いられる。 アウトソーシング:業務の外部委託。生産に必要な部品等を社外や海外から調達すること。 アモルファスシリコン太陽電池:太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子として、 アモルファス状(原子配列が規則的でない状態)のシリコンを用いた太陽電池。 アラムナイ:卒業生。本県では、この言葉を用い、かつて兵庫で就職、留学、生活していた外国 人に対して新たな産業施策等の情報を提供する「ひょうご・神戸アラムナイネットワーク」を 平成 16 年に設立している。 アンテナショップ:新商品などを試験的に売り出し、その反応から、消費動向を探るために設け た小売店。 生きがいしごとサポートセンター:コミュニティ・ビジネスなどの新しい価値観に基づく働き方 を支援するため、コミュニティ・ビジネスに関する相談やセミナーの開催、公益的な仕事を有 償でしたい者と仕事をしてほしい者とのマッチング等を行う県事業で、神戸、阪神、播磨地域 に計4箇所設置。運営はNPO組織に委託している。 医食同源:病気の治療も普段の食事も、ともに人間の生命を養い健康を維持するためのもので、 その源は同じであるとする考え方。 イノベーション:これまでとは違う新たな発展のこと。技術革新、経営革新等。 インキュベーション:ベンチャー企業など新会社の育成や設立・誘致のために国や自治体が、経 営手法、人材、資金、施設などを提供すること。 インターンシップ:実習訓練(期間) 。 売掛債権:企業が取引の相手先に対して商品やサービスの提供を行ったことにより、当該相手先 からその代金を請求することができる権利。 エコタウンプロジェクト:先進的な環境調和型まちづくりを推進することを目的に、平成9年に 国が創設したエコタウン事業におけるプロジェクトのこと。本県では、県下全域を対象とした 効率的なリサイクル事業の推進により、広域的な資源循環体制の構築めざす「ひょうごエコタ ウン構想」を取りまとめ、平成 15 年4月、環境省及び経済産業省の両省から近畿で初めて承認 された。本構想の先導的なプロジェクトとして、姫路市における「廃タイヤガス化リサイクル 事業」 (廃タイヤを熱分解し、製鉄原燃料等として100%再利用)等4件を推進している。 エージフリー:高齢者が年齢に関係なく生き生きと活躍すること。 大型放射光施設(SPring−8) :世界最高性能の放射光を利用することができる放射光実験施設 で、国費約 1,100 億円を投じ新宮町、上郡町、三日月町にまたがる播磨科学公園都市に整備さ れた。平成9年に本格稼動し、国内外の研究者に広く開かれた共同利用施設として、物質科学、 地球科学、生命科学、環境科学等の分野において優れた研究成果をあげている。放射光利用研 究促進機構として国の指定を受けた(財)高輝度光科学研究センター(JASRI)が管理運営。 オーダーメイド:洋服の仕立てなどで、注文を受けた後、客の条件に合わせて仕上げる方式。転 じて「注文の、あつらえの」などの意に用いる。 か行 関西次世代ロボット推進会議:経済団体、企業、大学、自治体等の産学官の連携により平成 15 年4月設立された。関西圏における次世代ロボットを中心とする研究開発やプロジェクトの推 進を通じ、関西をロボット関連産業の世界的拠点とすることを目的に活動している。 観光カリスマ:観光カリスマ百選事業として政府が顕彰する地域の観光活性化の優れたリーダー であり、本県では平成 16 年9月現在、全国最多の6人が選定されている。なお、カリスマとは、 人々を心酔・心服させ、従わせる資質・能力を備えた人物をいう。 完全失業率:労働力人口に占める完全失業者の割合(%)。完全失業者とは、①仕事がなく②調査 期間中仕事をしなかった者のうち、③就業が可能で④これを希望し、かつ⑤仕事を探していた 者、及び⑥仕事があればすぐ就ける状態で⑦過去に行った求職活動の結果を待っていた者。 カーボンナノチューブ:カーボン(炭素)のみで出来ている直径がナノメートル のチューブ(筒) 状の物質。長さや直径、カーボンの層数などによって、多様な構造が存在し、電気的性質が金 属にも半導体にもなり得、また極めて高強度。 企業業況判断DI(Diffusion Index) :日本銀行企業短期経済観測調査などで景気の現状と先行 きについて企業に直接アンケート調査を行い、業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」 と答えた企業の割合を差し引いたもの。ゼロ以上となれば景気は良いと判断することが出来る。 機能性食品:食品には、①栄養素としての働き(第一次機能) 、②人間の五感に訴える働き(第二 次機能)のほかに、③人間の健康、身体能力、心理状態に好ましい影響を与える働き(第三次 機能) 、例えば、 生理系統を調節して、健康維持や健康回復に好ましい効果を及ぼす働きがあり、 このうち、第三次機能を科学的に明らかにし、生体調節機能を十分に発現できるよう設計・加 工された食品を一般に機能性食品と呼ぶ。特定保健用食品等がこれに該当。 キャリアカウンセリング:キャリア=職業の意味で、単に職業の斡旋ではなく、面接相談等によ って個人の持つ職業興味や経験、価値観といった個人の特性を明確にし、幅広い情報に基づい て、その人に最適な職業や能力開発を助言すること。 キャリアデザイン:自分の職業人生像を自ら描き、自己実現を図ること。 キャリアマネジメント:カウンセリング、適職発見、企業へのアプローチ戦略の構築、職業能力 形成といった支援を通じて、若年者個人が直面している課題に応じた行動計画を策定し、その 計画遂行によって就職するまでを一貫管理すること。 休眠特許:特許を取ったものの製品化には至っていない休眠状態にある未利用の特許権(実用新 案権を含む)。 (財)近畿高エネルギー加工技術研究所:世界有数の大出力レーザー、 減圧プラズマ装置等を有し、 高エネルギー熱源を駆使した加工技術に関する調査研究、情報収集・提供、普及啓発を行なう ことを目的とした機関であり、尼崎市が大阪大学、県等と連携して設立。共同研究を主体とし た研究開発事業と地域中小企業の「ものづくり」への技術支援事業を実施している。 クラスター:特定分野に属する企業・大学・研究機関・支援機関が連携と競争を繰り広げながら、 技術革新や新事業を次々と創出する地域。元々は、同種のものや人の集団、集落、群れの意。 クリエイティブ21:新しい学校文化の創造や心の教育の推進等のため,家庭や地域との連携に より、全県立高校において実施している様々な体験活動。 クリエーター:創造的な仕事、また表現の技術に携わる人材。 グリーン・ツーリズム:緑豊かな農山漁村地域において、その自然、文化、人々との交流を楽し む滞在型の余暇活動。兵庫県では、都市と農山漁村を結ぶ “架け橋” として、また、都市と農山 漁村地域の人々がお互いのあり方を理解し合う「楽農生活」として推進。 経済成長率:GDP(国内総生産)の対前年(対前期)増加率をいう。GDPは、国内の様々な 部門で生産されたモノやサービスなどの売上高から原材料分を引いた額 (=付加価値) の合計。 名目値と実質値に区別され、実質値は物価変動等の影響を除いたもの。 ゲノム:全遺伝情報。平成 16 年、米英日等6カ国の共同研究の結果、人体を構成する様々なたん ぱく質を作るヒト遺伝子は約2万2千であり、ハエと大差ないことが判明。 県内企業活動アンケート調査:県内の企業の実情や課題等の把握のため実施したアンケート調査。 県内に本社を有する企業 1,035 社(有効回答数:303 社[回収率 29.3%])を対象に、平成 16 年 6 月に実施。 県内求職者アンケート調査:県内の求職者の動向等の把握のため、県の就業支援窓口等を訪れた 求職者 379 人(男性 197 名、女性 181 名、不明1)を対象に、平成 16 年5∼6月に実施。 県民局:兵庫県庁の出先機関。現地解決型のサービスを行うため、 「神戸」 「阪神南」「阪神北」「東 播磨」 「北播磨」「中播磨」「西播磨」 「但馬」「丹波」「淡路」の10の地域ごとに設置されている。 県立工業技術センター:中小企業をはじめとした県内産業のための中核的技術支援機関。中小企 業等の技術力向上のため、技術相談や技術支援を行うほか、大学や企業等との共同研究を実施 している。本部(神戸市須磨区)のほか、 「機械金属工業」 (三木市) 、 「繊維工業」 (西脇市) 、「皮 革工業」(姫路市)の3つの「技術支援センター」を有する。 県立先端科学技術支援センター:科学技術の振興及び県内産業の高度化を図るため、先端的な科 学技術に関する研究及び開発を支援するインキュベーション施設として平成5年4月に播磨科 学公園都市に開設。大ホールや各種会議室、貸研究室、開放型試験・分析室のほか宿泊室も完 備されている。 県立農林水産技術総合センター:県内の農林水産業を技術面から支援する試験研究機関。農林水 産業の生産性の向上や安全・安心な食品の供給等のための技術開発や普及に取り組んでいる。 本部(加西市)のほか、県内7箇所に地域特性等に応じた拠点を有する。 県立福祉のまちづくり工学研究所:行政や企業における福祉のまちづくりの堆進を支援するため、 県立総合リハビリテーションセンター(神戸市西区)に平成5年に設置。福祉のまちづくりの 面的な展開や福祉用具・リハビリテーション機器等の研究開発を実施している。 構造改革特区:経済・教育・農業・社会福祉などの分野において、地方自治体や民間事業者等の 自発的な立案により、地域限定で、地域の特性に応じて規制を撤廃・緩和し、特色のあるまち づくりや民間事業者のビジネス拡大を進める制度。構造改革特別区域法により平成 15 年度から スタートし、本県では 22 件が認定を受けている。 (平成 16 年9月現在) 神戸医療産業都市 (構想) :ポートアイランド2期を中心に高度医療技術の研究開発拠点を整備し、 国内外の医療関連産業の集積と新産業の創出を図るとともに、高度な医療サービスの提供によ る市民福祉の向上等を推進する神戸市のプロジェクト。 (独)理化学研究所発生・再生科学総合研 究センターや先端医療センターをはじめとする研究機関やベンチャー企業において、再生医療 等に係る最先端研究を実施。 神戸コレクション:平成 14 年から年に2回開催されている日本最大規模のファッションショー。 テレビ・ラジオ・雑誌媒体や携帯電話情報サイトと協働体制を組み、本イベントを通じて、神 戸ファッションブランドの情報を発信。 神戸ファッション都市宣言:昭和 48 年1月に神戸商工会議所や神戸市等が提唱。全国に先駆け、 神戸をファッション都市として発展させるため、ファッション産業を服飾に限らず、衣・食・ 住・遊の各分野の新しいライフスタイルを提案する生活文化産業として把えた。 公共職業能力開発施設:新規学卒者や求職者が就職に必要な専門知識・技術や資格を身に付けた り、現在の職業上の知識や技術・技能をさらに向上させるため、職業能力開発促進法(厚生労 働省所管)に基づいて設置された施設。県立(営)施設には、県立但馬技術大学校(豊岡市) 、 県立神戸高等技術専門学院(神戸市西区)、県立姫路高等技術専門学院(姫路市)、県立障害者 高等技術専門学院(神戸市西区) 、国立県営兵庫障害者職業能力開発校(伊丹市)がある。 高年齢者雇用安定法: 「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」 (昭和 46 年 10 月施行) 。定年の 引き上げ、継続雇用制度の導入等による高年齢者の安定した雇用確保の促進、高年齢者等の再 就職の促進、定年退職者その他の高年齢退職者に対する就業機会の確保等の措置を総合的に講 じることを目的とする。希望者に対する 65 歳までの雇用努力を企業に促していたが、高齢化等 に対応し、平成 16 年6月改正により、65 歳までの雇用が企業に義務づけられ、平成 18 年度に は 62 歳までとなり、平成 25 年度までに段階的に 65 歳へ引き上げられる。 国際フロンティア産業メッセ:新技術・新市場のマッチングを促進する次世代戦略技術の産業見 本市。神戸市内において毎年秋に県、産業界等が連携して開催。 (特定非営利活動法人)国際レスキューシステム研究機構:ロボット開発によるものづくり技術の 高度化をはかり、地域経済の活性化や、ロボットを活用した豊かで安心・安全な市民生活の実 現を目指すことを目的として平成 14 年6月に全国の大学研究者ら有志が設立。 神戸市内に関西 の拠点として神戸ラボラトリーを設置し、神戸大学や関係企業などが中心となって、災害時に おけるレスキューロボットの開発研究等を実施している。 コミュニティ・ビジネス:地域住民や有志が集まり、コミュニティ(自治会や同好会などの地域 の人々・有志が支え合い、自主的に活動を行う生活共同体)の多様で個別的なニーズを満たし、 地域の自立、発展を目指すために有償で行う事業。一般の民間営利事業体と異なり、生活者の 立場に立ち、コミュニティの利益の増大を目的として事業を行う。 雇用失業率:労働力人口から自営業主や無給の家族従業者を除いた就業者数に完全失業者数を加 えた合計に占める完全失業者数の割合。 「コレージュ・ド・ひょうご」構想:県内 36 大学の研究者が集う「汎太平洋フォーラム」から平 成 15 年に提案を受け、兵庫県に集積する大学や国際的な諸機関等の高等教育、研究機能を生か し、新たな知的創造・知的交流のネットワークの形成をめざすものとして兵庫県が検討してい る構想。世界的権威による研究とその成果の発信を行うため、フランスにおいて 1538 年創設さ れた、フランス文部省直轄の「非大学高等研究機関」 (コレージュ・ド・フランス)にちなんだ 名称。 コンソーシアム:ある目的のために形成された、複数の企業や団体の集まり。 コンテンツ:インターネットやケーブルテレビ等、様々な媒体により配信される情報の中身。 コージェネレーション:熱電併給によりエネルギーの効率を高めるシステム。 コーディネーター:特定の分野において研究開発や業務が円滑に進むように、関係機関(者)を 調整する経験豊富な専門家。特に研究開発分野での産学官の連携体制の構築等の際に、触媒と して重要な役割を果たす。 コーディネート:調整する。統合させる。 さ行 細胞工学:細胞の環境や細胞の性質さえも実験的に操作するような手法、あるいはそのような手 法を用いた研究。 産業技術大学:県内中小企業者や従業員の基礎技術力、応用技術力などの技術開発能力の向上、 工業製品の高度化、高付加価値化に寄与する高度な総合的技術力の養成のため、県立工業技術 センター等において開設。 産業集積条例: 「産業の集積による経済及び雇用の活性化に関する条例」 (平成 14 年4月施行) 。 特定地区への産業立地を推進するゾーン政策を具体化したものであり、 「新産業構造拠点地区」 「国際経済拠点地区」 「産業集積促進地区」 「構造改革特別地区」 「産業活力再生地区」を指定し、 当該地区に進出する企業に対し、不動産取得税の減免や設備投資・雇用創出への助成、融資、 オフィス賃料の補助等の支援を市町と連携しながら実施している。 平成 17 年3月末までの時限 立法。 産業ツーリズム:伝統産業から先端産業まで、産業・技術に関連する工場や研究所などを新たな ツーリズム資源とする取り組み。本県では、平成 16 年9月現在、229 箇所が産業ツーリズム施 設に登録している。 事業主委託訓練:事業主と求職者の橋渡しとして、 事業主に一定期間訓練生の教育訓練を委託し、 その委託訓練生に、事業主の必要とする技術の習得や職場環境の訓練を実施し、訓練修了後、 事業主と訓練生の間で採用・就職について判断する制度。 シニア:年長者、高齢者、熟年層。 障害者就業・生活支援センター:障害者雇用促進法に基づいて知事が指定する障害者の職業的自 立を実現するための就業及びこれに伴う生活上の支援を一体的に行う施設。県内では2箇所の 施設(神戸市、加古川市)が同センターに指定されている。 障害者法定雇用率: 「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき義務付けられている、常用雇 用している労働者に占める身体障害者又は知的障害者の割合。常用労働者数 56 人以上の規模の 企業に義務があり、法定雇用率は 1.8%とされている。 除外率制度:障害者が就業することが困難とされる職種の労働者が相当の割合を占める業種の事 業所については、業種ごとに定められた割合(除外率)を乗じた数を常用労働者数から控除し て障害者雇用義務数を算定することにより、企業の障害者雇用義務を軽減する制度。平成 14 年の法改正により、平成 16 年4月から一定期間をかけて段階的に縮小されており、将来的には 全廃される予定。 ジョブコーチ:障害者が職場に定着するのに必要な支援をする専門家。アメリカで 1970 年代に制 度化。日本でも 90 年代半ばから取り組み開始。本県では、障害者の自立支援を行う「障害者就 業・生活支援センター」において、ジョブコーチの専門的支援による無料職業紹介などを実施。 新規就農相談センター:農業経営を営む人材の確保育成を目的に設置されている組織 (平成元年、 県農業会議に設置)。新規就農希望者に対して就農相談、職業紹介や就農セミナーの開催等を行 っている。 (財)新産業創造研究機構:震災復興を目的に官民の出資により平成9年3月設立。地域の活性化 と産業発展のため、国内外の大学や企業、研究機関等との連携を図りながら、社会ニーズに対 応した新産業の創造に繋がる新技術・新システム等の発掘と実用化・製品化の研究開発を「研 究所」において実施するとともに、同機構内に兵庫県の産学官連携の総合窓口として相談・斡 旋等を行う「兵庫県産学官連携イノベーションセンター」、大学等の研究成果の特許化を進める 「TLOひょうご」、大企業等から中小企業への特許・技術移転等を行う「技術移転センター」 をそれぞれ設置している。また、神戸ロボット研究所も開設され(平成 14 年)、医療、福祉・ 介護ロボット等の研究開発プロジェクトを推進している。 水素エネルギー:水素と酸素(空気)を反応させたときに発生するエネルギーのことで、1 次的 には熱と電力の形態で取り出すことができる。燃料電池における発電の際に用いられる。 垂直型取引:大企業を頂点とした親企業、下請企業という関係での企業間取引。 スーパー中枢港湾:アジアの主要港に対抗し、わが国の港湾の国際競争力強化のため、ソフト、 ハード両面にわたる特例的な施策の導入等により、コンテナターミナルの整備・運営や物流シ ステムの改革を推進する次世代高規格コンテナターミナルをモデル的に育成する港湾。 生産年齢人口:15歳以上64歳以下の人口。 ゼロエミッション:ある産業で排出される廃棄物を、別の産業の原料として使い、全体として廃 棄物をゼロにしようとするもの。 先端医療センター:神戸医療産業都市構想の中核施設として、神戸市等が平成 12 年3月開設。医 療機器の研究開発、医薬品・再生医療等の臨床研究支援、実用化研究を行っている。 セーフティネット:安全策。安心・安全を保障するもの。 た行 体性幹細胞:骨髄、血液、血管、皮膚、脊髄、肝臓、胃腸、すい臓などにもともと存在し、障害 等により組織が失われた際にその組織の再生を行う細胞であり、今後、ヒト胚性幹(ES)細 胞とともに再生医療分野での活用が期待されている。 大店法: 「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律」 (昭和49年施行、平 成 12 年廃止) 。中小小売業者の事業機会の確保等を目的に、店舗面積、開店日、営業時間、休 業日数などの調整により大規模小売店の出店を規制。大店立地法の施行により廃止。 大店立地法: 「大規模小売店舗立地法」 (平成 12 年6月施行) 。大規模小売店舗を新設するとき又 は開店後に施設の配置や運営方法を変更するときに生じる交通や騒音等の影響を緩和し、周辺 との調和を図ることを目的に、設置者に地域住民等の意見を聴きながら一定の措置を行わせて いる。 第二創業:これまでの事業領域や経営活動を見直し、新たに企業を創造するほど根本的に事業の あり方を再構築すること。 タウンマネジメント機関(Town Management Organization):市民、行政、商店街などを構成員と し、中心市街地において、まちづくりを総合的に調整するとともに、商業の活性化に向けたハ ード・ソフト両面にわたる事業を推進する機関のこと。 たんぱく質構造解析プロジェクト: 「タンパク3000プロジェクト」として、我が国発のゲノム 創薬の実現等を目指し、平成 14 年度からの5年間でタンパク質の全基本構造の1/3(約30 00種)以上の構造及びその機能を解析し、特許化まで視野に入れた研究開発を推進する国家 プロジェクト。 地域結集型共同研究事業:地域における基礎研究の成果と研究開発型企業のニーズに着目し、こ れを組織的、人的に結合させる地域結集型の共同研究システムを構築して世界的水準の研究分 野を開拓することにより、新技術・新産業を創生する文部科学省事業。兵庫県では、播磨科学 公園都市におけるSPring-8を利用したナノ材料等に関する研究、 神戸市における再生医療に 係る研究開発が選定されている。 知的クラスター創成事業:自治体、知的創造の拠点たる大学、公的研究機関等を核に関連研究機 関、研究開発型企業等が連携した国際的に競争力のある技術革新集積の形成を支援する文部科 学省事業。兵庫県では、神戸市における再生医療に係る研究開発が選定。 知的財産:発明、特許、考案、植物の新品種、意匠、著作物、商標、商号などの形のない財産。 中小企業経営革新等総合支援法(仮称) :平成 17 年通常国会に提出予定の新法。中小企業経営革 新支援法、中小企業創造活動促進法、新事業創出促進法の中小支援3法を一本化し新たに制定 されるもので、現行法の柱である「創業」 「経営革新」に加え、中小企業の新たな動きとして徐々 に広まっている技術や製品などに強みを持つ中小企業同士の「新連携」を柱に据えることが検 討されている。 中小企業支援ネットひょうご:様々な経営課題を抱える中小企業を応援するため、経営、技術、 金融、雇用などに関する専門能力の高い27の県内支援機関をネットワーク化したもので、平 成 15 年に設立。中核機関である(財)ひょうご中小企業活性化センターには、実務経験豊かなコ ーディネーター人材等を配置し、中小企業の立場に立った総合的な支援を実施。 ツーリズム:レジャー(狭義の余暇活動)のみならず、自己研鑽、コミュニティ活動、ボランテ ィア活動、ビジネスなどの目的で一時的に通常の生活拠点を離れ、旅行・滞在すること。 デジタル工房:デジタルコンテンツ企業の映像制作機能等を強化するためのハイビジョン編集機 器を備えた開放型の施設。平成 16 年9月、神戸市内に県が開設。 デスバレー:1980 年代の米国では、基礎研究段階と事業推進段階での投資は比較的順調に行われ るのに対して、その狭間では事業化の見極めが困難なために、投資が不足する問題が起きた。 このような、優れた技術を有しているにもかかわらず、製品化に結びつかない状態を「死の谷」 と比ゆ表現したもの。 テナントミックス計画:商店街等の集客力の向上を図るため、個店の誘致・業種転換により、不 足業種・業態を解消し、最適なテナントの組み合わせを実現する計画。 デバイス:コンピューターなどの電子機器を構成する装置・回路。 デフレ(デフレーション) :経済全体の財やサービスの価格(物価)が継続的に下落する現象で、 貨幣価値の上昇を意味する。政府は、平成 13 年3月の月例経済報告において、 「日本経済は穏 やかなデフレにある」と認定した。 特定保健用食品(トクホ) :血圧、血中コレステロールなどを正常に保つことを助けたり、整腸に 役立つなど保健の用途に利用される食品で、健康増進法に基づき、有効性、安全性、品質等に 関する厚生労働省の科学的審査を受け、大臣の許可を受けた食品。 都市エリア産学官連携促進事業:大学等の「知恵」を活用した新技術シーズ・新規事業等の創出、 研究開発型の地域産業の育成等を目指し、地域における産学官連携事業を促進する文部科学省 事業。兵庫県では、播磨地域におけるナノテク材料に関する研究が選定されている。 トライやる・ウイーク:県内の公立中学校等の2年生全員が一週間学校を離れて企業や商店等に おける就業体験や地域におけるボランティア活動などを体験し、 「生きる力」の育成を図る事業。 ドラフト:本来は選抜、募集の意。 「ドラフト!」は、次世代のファッション産業を担うクリエー ターを全国から神戸に誘引、育成するため、クリエーターが企画したデザインをセレクトショ ップ等がコンペ方式で審査し、買取条件付きで売り場デビューさせる事業。 な行 ナノテク(ナノテクノロジー) :超微細技術。1ミクロンよりも3桁小さい単位のことをナノメー トル(100 万分の1ミリメートル)といい、ナノ単位で加工・計測等する技術。 ナノバイオ(ナノバイオロジー) :生命現象をナノメートル(100 万分の1ミリメートル) 、ナノ 秒(10 億分の1秒)といった極微レベルで研究・技術化・産業化を図る分野。 ナビゲーター:狭義は、自動車運転の際、運転手らに指示を与える運転助手の意であるが、誘導 したり、案内したりする者を指す場合に用いられることが多い。 ニッチトップ:規模の小さい国内あるいは世界の「すき間市場」において、圧倒的なシェアを誇 ること。 認定能力開発プログラム:兵庫しごとカレッジシステム運営協議会が、企業ニーズに基づき、同 協議会が策定したモデルカリキュラムに合致するものとして認定した民間機関の教育訓練プロ グラム。離職者がこのプログラムを受講した場合、県がその受講費用の一部を助成。 :無業者。本編に引用した厚生労働省の調査 ニート(Not in Education, Employment or Training) では、 「非労働力人口のうち 15∼34 歳で卒業者かつ未婚であり、通学・家事を行っていない者」と 定義されている。 燃料電池:水の電気分解と逆の原理により、水素と酸素を反応させて電気と水を作り出すシステ ム。燃料(化学エネルギー)を電気化学反応により直接電気エネルギーに変換するため、高い 発電効率を得ることができる。 自動車や家電業界等において実用化に向けた研究が進んでいる。 のじぎく兵庫国体:平成 18 年秋に開催される、兵庫県における3回目の国民体育大会の愛称。 は行 (社)発明協会:発明の奨励、特許制度の普及・啓発、特許情報の提供等を行うことにより、科学 技術の振興を図ることを目的に、明治 37 年、農商務大臣、特許局長等有志により設立。現在、 全都道府県に支部を有し、兵庫県支部は神戸市須磨区に事務所を置く。 バイオマスエネルギー:生物体を構成する有機物を固体燃料、液体燃料、気体燃料に変化させ利 用するエネルギー。 パブリックコメント:意見募集。行政機関が政策の立案等を行おうとする際にその案を公表し、 この案に対して広く意見や情報の提出機会を設け、行政機関は提出された意見等を考慮し、最 終的な意思決定を行う手続き。 半導体デバイス:ダイオード、トランジスタ、ICなどの半導体部品の総称。 パーソン・ツー・パーソン:個人と個人。一対一の関係 ビジネスモデル:商品・サービスを顧客に提供することで顧客から対価(利益)を得る仕組み、手 法。 ヒト胚性幹細胞(ES[embryonic stem]細胞) :万能細胞。初期受精卵に含まれるどんな細胞にも 成長できる万能性を持った細胞。再生医療の分野で研究が進んでいる。 ひょうご経済・雇用再活性化プログラム:平成 14 年度から3カ年度の産業・雇用分野における県 政運営の指針として、また、産・労・県民・公が従来以上に連携を密にしながら主体的な取り 組みを進めていくための共通の基盤として、 「ひょうご経済・雇用戦略会議」の提言に基づき、 平成 13 年 12 月に策定。 「経済・雇用のセーフティネットの整備」、 「一点突破の活力再生」 、 「成 熟社会に対応した構造改革」を基本的な考え方に据え、また、5万人のしごと・雇用創出を目 標とし、「元気な兵庫」の基盤となる経済・雇用の再活性化方策が盛り込まれている。 (財)兵庫県環境クリエイトセンター:廃棄物等の適正かつ効果的な減量、再生、調査研究等を行 うことを目的に、 県及び県下全市町により平成7年8月設立。 県下の廃棄物処理等に係る県民、 事業者、県・市町のコーディネーターの役割を担い、 市町・事業者の要請により廃棄物処理事 業を行うため、平成 7 年 11 月に厚生省より「廃棄物処理センター」の指定を受けている。 (財)兵庫県国際交流協会:兵庫県の国際化と県民の国際交流活動を促進し、諸外国との相互理解 と協力関係を深めるため、(財)兵庫県海外協会を改組し、平成2年4月に県が設置した国際交 流組織。「民間交流の推進」「国際協力の推進」「地域の国際化の推進」 「国際交流基盤の整備」 を柱に各種事業を実施している。事務所は神戸市中央区(神戸東部新都心)に置く。 兵庫県信用保証協会: 「信用保証協会法」に基づく法人で、県内の中小企業者等が事業に必要な資 金を金融機関から借り入れる際、その公的な保証を行い、事業の健全な発展を支援している。 兵庫県認証食品:兵庫県産の農・蓄・水産物及びこれらを主原料として県内で製造された加工食 品で、①環境に配慮した生産方法や品質等の個性・特長を有し、②食品衛生法等の法令基準が 遵守され、③生産者が生産履歴を開示する仕組みを整えていることが認証の基準となる。 平成 16 年 10 月現在、米、野菜、果物等31品目を認証。 兵庫県立大学高度産業科学技術研究所:光科学技術を中心とした先端的科学技術の研究とともに、 県下の企業等との共同研究による新産業技術基盤の創出を図ることを目的に平成6年4月に設 置。付属研究施設として大型放射光施設(SPring-8)に隣接した 1.5GeV の中型放射光リング「ニ ュースバル」を有し、ナノテクノロジー分野等で活発な産学連携を展開している。 兵庫国際新戦略:21世紀における兵庫県の新たな国際交流のあり方や方向性等を示すため、平 成 15 年度に県が策定。 「アジアに重点を置いた国際政策の推進」 、「兵庫県の持つ特性や先端性 を生かした政策の推進」、 「NGOなどを中心とした新しい枠組みとマルチネットワークの構築」 、 「人と人とのつながりを基本とした国際交流の推進」、 「多文化共生社会の実現」を基本理念と している。 兵庫しごとカレッジシステム:短期的には雇用のミスマッチを能力開発面から解消し、中長期的 には本県産業を支える産業人材の育成に資するものとして、専修学校等職業能力開発実施機関 をはじめ、経営者団体、労働団体、商工団体、行政機関等が連携し、企業の人材ニーズに合致 した能力開発プログラムの提供や適切な就職支援などを行うもの。 「ひょうご経済・雇用再活性 化プログラム」に基づく取り組みとして、平成 15 年に推進組織を整備し、事業展開に着手。平 成 16 年9月現在、76 講座の民間訓練を認定し、支援を行うなど徐々に取り組みを拡大してい る。 Hyogo しごと情報広場:就業や能力開発に関する総合的な情報提供や相談等を行う「職業能開支 援部」 、学生を含む 35 歳未満の求職者への職業紹介等を行う「若者しごと倶楽部」、就職に関す る若者の情報交換の場「ヤングジョブスポット神戸」を一箇所に集め、職業に関するワンスト ップの就職支援機関として、神戸市中央区の神戸クリスタルタワーに県等が開設。 兵庫情報ハイウェイ:兵庫県が整備した総延長 1,400km の光ファイバーのネットワーク。県内 27 のアクセスポイントを結び、1秒間に 1.8 ギガビットの大容量通信が可能で、市町をはじめ、 企業・団体等に無償で開放し、行政サービスの向上や地域情報格差是正等に活用している。 (財)ひょうご中小企業活性化センター:県下の中小企業者等に対して、適切な支援を行うことを 目的に県が設立した組織。中小企業支援法に基づく中小企業支援センターとして、創業から経 営革新まで中小企業の多様な経営課題を解決するための相談・助言・情報提供等を実施してい る。事務所は、神戸市中央区に置く。 ひょうごツーリストインフォメーションデスク:外国人を含む観光客の受入拡大のため、平成 14 年に(社)ひょうごツーリズム協会内に兵庫県が開設。観光客や海外旅行業者、マスコミ等への 外国語による情報提供・発信等を行う総合的な窓口。所在地は、神戸市中央区。 ひょうごツーリズムビジョン:ツーリズム振興に関する2010年のあるべき姿を定め、県政の 基本指針の役割を果たすとともに、民間や市町に対しても将来の望ましい姿を示すビジョン (平 成 14 年4月策定) 。戦略目標として①学習・体験・交流型のツーリズム推進、②個性を活かし た美しいツーリズムの推進、③公民連携の中核的推進体制の整備を掲げている。 ひょうごの匠:兵庫県内の卓越した技能者の中で、特に技能の伝承と技能後継者の育成に熱意が あり、他者の模範となる技能者。平成 16 年4月現在、36 職種 362 名が兵庫県知事の認定を受 けている。 ビームライン:大型放射光施設(SPring-8)から放射光を取り出して実験装置に導く施設。 兵庫県では、放射光の産業利用促進のため、SPring−8内に独自にビームラインを整備、利 用している。また、現行のビームラインの研究対象分野を補完するため、新たにビームライン 1本を追加整備中であり、平成 17 年秋に供用開始予定。 ファミリーサポートセンター:仕事と育児や介護を両立したい者と、それを援助する者をそれぞ れ会員募集し、その仲立ちをする相互援助組織。県がその設立・活動を支援しており、平成 16 年9月現在、12 市 14 箇所で設立。 プラザ合意:昭和 60 年9月、ニューヨークのプラザホテルにおいて、先進5カ国(日・米・英・ 独・仏=G5)の財務・大蔵大臣と中央銀行総裁によってなされた、過度なドル高防止のため の協調行動に関する合意。この合意後、急激な円高が進行し、いわゆる円高不況が生じた。 プラズマ・ディスプレイ・パネル:2枚のガラスの間にヘリウムなどの高圧のガスを封入し、そ こに電圧をかけることによって発光させる表示装置。コントラストが高く、視野角が広いとい う特徴があり、大型の薄型テレビに利用されている。 プラットフォーム:本来は、車台の意。最近では基盤的な体制・システムといった意味で用いら れる。 ブランチ:部門、支店、支部等の意。 ブランド:商標、銘柄。消費者から一定の好イメージをもたれている特定の銘柄。 フリーター:学校に在籍しない者で、定職に就かず、臨時的、パートタイム的に仕事に従事して いる若年者。本編に引用した厚生労働省の調査では、「年齢 15∼34 歳、卒業者であって、女性 については未婚の者とし、 さらに①現在就業している者については勤め先における呼称が「アル バイト」又は「パート」 、②現在無業の者については家事も通学もしておらず、「アルバイト・パ ート」の仕事を希望する者」と定義されている。 プロフェッサー:教授。大学教授。 プロパテント:特許権をはじめとする知的財産権全般を保護・強化すること。 ベクトル:方向、方向性。 ポテンシャル:潜在する能力、可能性をもった能力。 ポータルサイト:利用者がインターネットに接続した際に、最初に表示される情報サイト。また は、特定のテーマ・分野で最も利用が多い情報サイト。 ま行 マーケティング:商品販売やサービスを円滑に行うためにする市場調査、販売促進、宣伝広告な どの企業活動。 ミスマッチ:不適当な組み合わせ。不釣合いな関係。 メガトレンド:時代の潮流で、経済・社会への影響力の大きいもの。 メカトロニクス:電子工学と機械工学を統合した技術。その技術を応用した電子機械装置。 メッセ:見本市。常設国際見本市。 メーリングリスト:インターネット上において、特定のメンバーで特定のテーマにつき、メール を使って情報交換・意見交換を行う場。 モジュラー型:パソコンなどのように、部品それぞれが独立した機能を持ち、ブロックのように 単純に組み合わせ、寄せ集めて最終製品にするという設計方法。組合せ型ともいう。 や行 有効求人倍率:その月に公共職業安定所で受け付けた求人と、前月から未充足のまま繰り越され た求人の合計(有効求人数)を、その月に受け付けた求職申し込みと前月から繰り越して引き 続き求職している者の合計(有効求職者数)で除した数値。 友好・姉妹州省:兵庫県では、7つの国や地域と友好・姉妹提携を行い、文化、教育、経済など 様々な分野での課題解決型交流や国際理解の推進など総合的な交流を展開している。 [本県の友好・姉妹州省:ワシントン州(アメリカ) 、ハバロフスク地方(ロシア) 、パラナ州(ブ ラジル)、西オーストラリア州(オーストラリア) 、広東省・海南省(中国) 、パラオ共和国] ユニバーサルデザイン:ユニバーサル=普遍的な、全体の、という言葉が示すように、 「すべての 人のためのデザイン」を意味し、年齢や障害の有無などにかかわらず、多くの人が利用し易い デザイン。 ら行 ライセンシング:特許の実施許諾を与えること。 ライフサイエンス:生命科学。生物が営む生命現象の複雑かつ精緻なメカニズムを解明するもの であり、その成果は、医療・創薬の飛躍的な発展や、食糧・環境問題の解決などに大きく寄与 する。 楽農生活推進大作戦:県民誰もがどこででも「農」と親しむ「楽農生活」の実現に向け、身近な 農作業体験の場として市民農園の整備を進める「市民農園面積倍増作戦」、農作業体験等の指導 者を育成する「楽農生活リーダー2000 人育成作戦」 、都市農村交流バスの運行支援等の「楽農 生活交流人口 1000 万人作戦」を「楽農生活推進大作戦」として平成 14 年から総合的に推進。 (独)理化学研究所発生・再生科学総合研究センター:神戸医療産業都市の中核的研究施設。平成 14 年4月に開設。生物の発生再生分野における世界最高水準の研究機関として、基礎的発生生 物学に係る研究のほか、幹細胞研究や再生医療を目指す医学領域研究等を行っている。 (独)理化学研究所播磨研究所:SPring−8の供用開始と合わせ平成9年 10 月に開設。SPring −8の放射光を用いたタンパク質等の分子構造解析や次世代放射光源の研究を行っている。 リレーションシップバンキング:地域密着型金融。長期継続する取引関係の中から、借り手企業 の経営者の資質や事業の将来性等についての情報を得て、この情報を基に融資を実行する金融 機関の経営手法。わが国では、中小・地域金融機関(地銀、第二地銀、信金、信組)がその中 心的な担い手となっている。金融庁が、アクションプログラムにより導入を促進している。 リードタイム:受注から納品までの機関。 レスキュー:救助。救命。 労働力人口:15 歳以上の人口のうち、就業者( 「労働力調査」期間中に収入を伴う仕事をした者 及び休業者)と完全失業者を合わせたもの。 わ行 若者しごと倶楽部:学生や概ね 35 歳未満の求職者、Uターン就職希望者当に対し、求人情報の提 供や相談、職業紹介等を実施するために県が平成 15 年に設置した若年者の総合就業支援窓口。 事務所は神戸市中央区(神戸クリスタルタワー)に置く。 ワンストップサービス:複数の部門や機関にまたがるサービスを一つの窓口で受け付け、提供す ること。 ワークシェアリング:雇用の機会、労働時間、賃金という3つの要素の組み合わせを変化させる ことによって、一定の雇用量を、より多くの労働者の間で分かち合うこと。 ワーク・デー:親と子の仕事に関する対話を促し、青少年の職業観を育むため、親が働いている 姿を子どもに見学させる行事として、 米国で毎年 4 月に 「National Take Your Child to Work Day」 等の名称で広く行われているもの。 英語 COE(Center of Excellence):中核的研究機関。特定分野の研究において国際的な水準を持つ 地域の核となる卓越した研究機関。または、COEを創成する研究事業。 DNA(Deoxyribonucleic Acid) :デオキシリボ核酸。遺伝情報のすべてを持った分子。 EU(European Union):欧州連合。 FTA(Free Trade Agreement):自由貿易協定。二国間または地域間の協定により、関税や数量 制限など貿易の障害となる壁を相互に撤廃し、自由貿易を行なうことを目的とした協定。わが 国では、平成 14 年にシンガポールとの協定が発効し、平成 17 年4月にはメキシコとの協定が 発効予定。そのほか、数カ国との交渉が進展している。市場開放の手段として世界的にも注目 が集まり、急速に拡大している。 IT(Information Technology):コンピューターやデータ通信に関する技術を総称的に表す語。 MOT(Management of Technology):技術経営。技術を事業の核とする企業・組織が次世代の事 業を創出・産業化し、持続的に発展を行うための創造的、かつ戦略的な能力、または経営。 NGO(Non-Governmental Organization) :国連と政府以外の民間団体との協力関係について定 めた国連憲章第 71 条の中で使われている用語で、国際協力に携わる「非政府組織」 「民間団体」 のことを意味する。開発、人権、環境、平和など地球規模の問題に国境を越えて取り組んでい る非営利の民間組織。 :1970 年代以降、急速に工業化を遂げた新興工業 NIEs(newly industrializing economies) 国・地域。1988 年にニックスから改称。韓国、台湾、香港、シンガポールを指す。 NPO(Non-Profit Organization):非営利(利潤追求・利益配分を行わないこと)であると同 時に、非政府である(政府機構の一部ではない)組織。自主的、自発的な活動を行うことなど も意味している。日本では、市民団体、ボランティア活動の推進団体、公益法人の一部などが 該当。 OECD(Organization for Economic Co-operation and Development):経済協力開発機構。経 済・社会分野において多岐にわたる活動(分野横断的な活動を含む。)を行っている先進 30 ヶ 国からなる国際機関。特に、経済政策・分析、規制制度・構造改革、貿易・投資、環境・持続 可能な開発、ガバナンス(統治) 、加盟国協力などの分野において、活発な活動を行っている。 OEM(original equipment manufacturing) :相手先商標製品。相手のブランド名で部品や完成 品を供給する受託生産方式。 :企業に属さない個人企業家や自営業者などが情報通信ネ SOHO(Small Office Home Office) ットワークや情報通信機器を活用し、自宅や小規模な事務所で仕事をする独立自営型の就業形 態。 :技術移転機関。大学や研究機関内部で開発され TLO(technology licensing organization) た研究成果を産業界で企業化するため、橋渡しをする目的で設けられる機関。大学等技術移転 法(平成 10 年8月)に基づき、事業計画に対する承認を受けたTLOは国が活動を支援。本県 では、(財)新産業創造研究機構が、平成 12 年に「TLOひょうご」を 18 の大学等と連携して 設立。 :市民、行政、商店街などを構成員とし、中心市街地に TMO(Town Management Organization) おいて、まちづくりを総合的に調整するとともに、商業の活性化に向けたハード・ソフト両面 にわたる事業を推進する機関のこと。 :技術移転センター。(財)新産業創造研究機構のTTCが、 TTC(Technology Transfer Center) 大手企業、大学等が保有する技術シーズ、特許、ノウハウなどを地元中堅・中小企業に移転し、 製品の開発等について企画段階から事業化までを一貫して支援している。 :世界保健機関。世界保健機関憲章(1946 年承認)に基づ WHO(World Health Organization) いて発足した国際連合の専門部会の一つ。神戸市内に、 「都市と健康」「高齢化と健康」等を調 査研究する「WHO健康開発総合研究センター(WHO神戸センター) 」が開設されている。
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