S-7 頭頸部領域癌に対するSNNSの現状と未来

November 16-17, 2007,Tokyo
防衛医科大学校耳鼻咽喉科学講座1)、慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科2)、
杏林大学医学部耳鼻咽喉科3)
○冨藤 雅之1)、田部 哲也1)、斎藤 康一郎2)、甲能 直幸3)、塩谷 彰浩1)
頭頚部領域癌は腫瘍の部位によっては原発巣が小さくともリンパ節転移を生じる可能性があり、か
つリンパ節転移が予後を左右する重要な因子の1つであることからsentinel node navigation surgery
(SNNS)の適応が期待されている領域である。
頭頸部領域癌に対するセンチネルリンパ節の研究は2002年頃から報告が見られるようになり、今日
まで多施設で feasibility study として sentinel node concept(SNC)が成立しうるか検証されてきた。
その結果多施設で口腔、舌癌に関しては SNC が成立することが報告されている(感度75%∼100%、
正診率90%∼100%)。更に我々は喉頭癌、下咽頭癌22例に対しても SNC が成立するか検証し、その
結果21例(95%)に関して SNC が成立するという結果を得られた。偽陰性の1例に関してはトレー
サーの注入部位に問題があったものと考えられた。
SNC が成立することをうけての SNNS の臨床応用は頭頸部領域においては舌癌や口腔癌に対して
まだ一部の施設で開始されている段階であり、今後その成果が報告されてくるものと思われる。
また当院では T1-T2 の喉頭(声門上癌)、下咽頭癌の治療法として低侵襲性に優れた内視鏡下経口
腔的腫瘍切除術を積極的に行い、良好な原発巣のコントロールを得ているが、声門上癌・下咽頭癌は
一般的にリンパ節転移をきたしやすく、臨床的 N0 症例に対して wait and see とするか予防的リン
パ節郭清術を行うかが問題である。そこで将来的には喉頭・下咽頭の早期癌に対して経口腔的切除と
SNNS を組み合わせることによって低侵襲性を保ちながら潜在的リンパ節転移に対して最も適切な治
療を行うことができるものと期待している。
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