職員地域担当制と NPO - 京丹後市

平成 17 年 1 月 21 日発行 №13
そつたく ど う じ
職員地域担当制と NPO (民間非営利活動組織)
啐啄同時
鶏には本来 10 個前後の卵を産
むと、巣について卵を孵化する習
性があります。それから 21 日目
には雛がかえります。
鶏の卵から雛がかえるときに、
雛は卵の殻の内側からコツコツと
つついて合図を送ります。これが
「啐」です。 同時に母鶏の方で
も、外側から殻をつついて破って
あげます。これが「啄」です。
このように両方から同時に殻を
つつくことにより、殻が破れて雛
がこの世に現れます。
このたとえのように、機が熟し
て両者相応ずることを「啐啄同
時」といいます。
現代風にいえば ぴったりした
タイミング といったところでし
ょうか。
職員のみなさんと行革推進室、
また行政と市民が「啐啄同時」の
関係で、何事も進めていければと
いう願いから、このタイトルをつ
けました。
発行:行財政改革推進室
〒627-8567
京都府京丹後市峰山町杉谷 889
電話 : 0772-69-0050
FAX : 0772-69-0901
E−mail:
[email protected]
「職員地域担当制」については、住民自治を支援する制度として、全国各地の
市町村などで実施されています。旧・広島県高宮町(2004.3.1 より安芸高田市)
では、「職員地域担当制」とともに地域自治組織を組織化し、国の地方制度調査
会が直接現地調査を行うなどで全国的に注目を集めました。また、旧・岐阜県山
岡町(2004.10.25 より恵那市)でも、「職員地域担当制」もさることながら町内
全戸で NPO の設立がなされています。
この両町はいずれも、市町村合併を控え、住民が、住民として、住んでいる地
域を自ら守ろうとする強い意志が突き動かした結果であるとも言えます。
今回は、職員地域担当制の目的と、また合併に向けて設立された旧・山岡町の
NPO についてご紹介いたします。
1.職員地域担当制とは
職員地域担当制はいくつかの自治体で制度化されています。ただ、制度はある
けれども形骸化しているケースもあり、一概に、地域担当制があるから住民自治
が充実しているということにはなっていません。
職員地域担当制とは、市町村が住民自治の確立や住民ニーズを把握するために、
中学校区、小学校区、自治会・町内会単位で地域を区切って、その区切った地域
を職員が通常の職務とは別に「地域の担当者」として、行政の立場から地域に関
わっていることを言います。
職員の地域担当制の主な目的として、「①地域の現状を把握すること」「②地
域から行政に対する要望のとりまとめを行うこと」「③行政から地域への広報・
連絡を行うこと」「④地域の運営及び活動への支援を行うこと」などがあげられ
ます。そもそも、住民だけでは自治の仕組み・制度化が難しいために、行政がそ
の仕組み・制度化をサポートするための政策の一つでもあるとされています。
2.住民自治の形成のための一つの姿・NPO 法人まちづくり山岡
旧・山岡町は、住民自治の形成に向けて、住民の全世帯が加入して「NPO 法人
まちづくり山岡」を設立しました。
当時の山岡町長によれば、「①市町村合併は行政改革の手段だから、合併後は
山岡町長も山岡町役場もなくなる。しかし、新市にすべてをゆだねる訳にはいか
ない。山岡町でしかないものをどういう方法で残すか、消えてもいいのか、その
選択を町民自らが行い、結果として NPO の設立となった。」「②もともとあった
区長制度をもとに、今まで実際に住民自らが行ってきたことを、NPO 法人として
位置付けただけ。」「③全住民が理解するのに1年かかった。合併はリストラで
あり、住民にとって引き続きやっていく公共サービスは、住民自らがやるという
意識の選択である。」と言われています。合併によって、地域住民自らが頑張り、
これまでの行政にすべてお任せというスタンスでは駄目だということを全住民に
説明され、納得された結果であるとのことです。
旧山岡町は、もともと 8 つの村が合併した町のため、もともと村単位の代表で
ある「区長(1 区当たり約 200 世帯)」が村長のような位置付けであり、役場は、
何事も必ず区長を通して行政を行ってきました。そのため、地域では町議会議員
より力があったと言われます。
3.おわりに
旧山岡町はすでに合併し、現在では恵那市となっています。しかし、
このまちづくり山岡は現在でも NPO 法人として存在し、またその構成員
は旧山岡町の住民であるということからも、住民自治の形成という観点
から、今後の動きについて関心をもって見守っていきたいと思います。