南アジア、東南アジア地域における ILBMの取組み - 滋賀大学 環境総合

南アジア、東南アジア地域における
ILBMの取組み
アデリーナ サントス-ボルハ
ILEC 科学委員
水・開発局、チーフ
ラグナ湖開発公社、フィリピン
発表内容原稿:
Dr. Mohan Kodarkar (+), INDIA
Dr. Sandeep Joshi, INDIA
Mr. Khadka Madhukar, NEPAL
Mr. Pandit Ramanand, NEPAL
Dr. Shahrizaila Abdullah, MALAYSIA
Prof. Fatimah Md.Yusoff, MALAYSIA
Dr. P. Loganathan. MALAYSIA
Dr. Pauziah Hanum, MALAYSIA
Ms. Bashirah Mohd Fazli, MALAYSIA
Dr. C. Phalaraksh, THAILAND
Dr. T. Kunpradid, THAILAND
Dr. M. Kawashima, JAPAN
インド
1
2
3
7
世界の2%の
土地に世界の
人口の18%が
暮している
5
4
6
インドにおけるILBM事例
1. Pushkar [Rajasthan]
2. Udaisagar [Rajasthan]
3. Bhoj wetlands [MP]
4. Ujjani lake [Maharashtra]
5. Nath sagar [Maharashtra]
6. Hussainsagar [AP] and
7. Chilika [Orissa]
1. ILBM国際ワークショップ
Hyderabad, India Nov. 2008
ILEC/Lake Net 湖沼管理イニシ
アチィブ
th
1-4 Sept 2003
3. Udairpur lakesに関するワークショップ
12th Aug. 2009
ILEC- 湖沼とその流域の
持続的な利用 - 2005
ILEC 世界湖沼ビジョン行動集
2007
ILBM-G
Indian component
2. ボージ湿地に関するILBM ブレーンsトー
ミング, Bhopal 9-10th Aug., 2009
4. Pushkar and Anasagarに関する協議
会合, PushkarAjmer, India
は多様な湖沼環境に適用できる
ILBMILBM
can be
applied to a variety of lake situations
湖沼
A
B
実例
特徴
河川や支流の貯水池 :
· 州の灌漑局のもとですでに確立した管理システムを有
する.
· 高地の化学肥料を利用する集約農業と産業開発によ
る水質問題
· 様々な水利用者間の競合がはげしい
· 集水域の森林伐採により多くの土砂が流入 している
地勢的に制約された貯水地 :
· 化学肥料を利用する集約農業
· 森林伐採により多くの土砂が流入
· 都市化と産業化
Ujjani,
Bhoj wetland
Hussaisagar
Chilika
Anasagar
C
寺の溜め池
D
都市部下流の貯水池 :
Pushkar
Udaisagar
·
·
·
·
水質低下
水門学的な問題
地下水の過利用
集水域の荒廃
· 流域内の行きすぎた都市化や産業化
·Highly urbanized and /or industrialized basin
· 富栄養化や毒性物質
· 生物多様性の減少.
· 健康被害
· 地下水汚染
インドにおいてILBMの6つの原則の実施を評価するための
プロジェクトの提案
Sr.
No.
ILBMの柱
実施予定プロジェクト/
場所
利害関係者
主な活動予定
1.
政策、財政、組
織
流路再生プロジェクト
(Punjab地区)
環境省, CPCB,
Punjab 州政府
人口や産業の密集下都市部から
やってくる高度に汚染された水の
生態学的再生(600百万リットル/
日)
2.
政策、財政、組
織
流路再生プロジェクト
( Bihar 地区)
環境省, CPCB,
Bihar 州政府
人口や産業の密集下都市部から
やってくる高度に汚染された水の
生態学的再生(40百万リットル/
日)
3.
政策、財政、組
織、参加
Ujjani 貯水池集水域
(Pune)
Maharashtra 州政府.,
都市公社(Pune and Pimpri
Chinchwad)
点源および面源汚染の防止(水、
大気、廃棄物)
4.
参加、情報
Ujjani 貯水池集水域
(Pune)
住民団体、教育機関
河川や湖水の水質監視、土砂堆
積の評価、意識向上
5.
参加、技術
Ahar 川再生プロジェ
クト(Udaipur地区)
住民団体、教育機関
自然再生プロジェクトの実施と維
持
ネパール
• 5,358湖沼
•
•
•
•
< 499 – 2,712
500 – 2,999 – 419
3,000 – 3,999 – 116
>4,000 – 2,111
• 2,323の氷河湖
何故ヒマラヤ湖沼の保全が重要か?
•
•
•
•
ヒマラヤ湖沼はアジアの給水塔である
ラムサール指定サイトを有する
多くの世界的な価値を有する湖沼がある
越境的特性を有する
何故ヒマラヤ湖沼の保全が重要か?
• ヒマラヤ湖沼は生物多様性の問題地域
• 宗教的・文化的な高い価値 (ヒンズー、仏教、マイティリー、ネワー
ル、など)
• ネパールの21%の住民がヒマラヤ湖沼に依存している
• ネパールの社会経済の主要な供給地である
ネパールにおけるILBM活動の進展
1.
2.
3.
4.
ネパール湖沼の台帳作りNational lake inventory
戦略的計画の作成(承認待ち)
湿地評価のツール作成(ILBMの枠組みに基づく)
NPOと協力して湿地教育センターを設立
ー住民運動の始まり
2010以後の ネパールにおける
ILBMの取組み
1
2
3
4
5
6
ILBMに基づく湖沼保全活動の支援
湿地アカデミーを利用した能力向上
ヒマラヤ湖沼ジャーナルの発行
ILBMに基づく湖沼保全の教訓の交流
ILBMを進めるためのネパール国民のEnhance national
capacity of Nepal for ILBM
ILBMのデモ展示のための資金獲得の提案
タイランド
湿地地域にある学校、地域や部族共同体を対象にした
参加型環境教育プログラム
北タイランド
チアン ライ、マエ ホンソン地区
Chiang Rai 、Mae Hongson Provinces
目 的
1.
2.
3.
4.
5.
効果的な学習のための知識交流の促進
地元河川の保護のための共同的パートナーシップの育成
生徒や住民の意識改善
環境保全に向けた行動様式変更への感化
水環境と水質モニタリングに関する生徒、先生、地域リーダー
の指導
6. 他の地域に移転可能な参加型活動による現地の生活の質的
向上
活動の成果: 住民の行動様式の変化
若者による環境にやさしいチェックダム造り
今後の活動計画
• 他の地域で暮らす丘陵部族グループへの環境教育
の展開
• 上流地域の全域における良質な水質達成
• 水質モニタリング事業と持続的でより良い生活や環
境に向けた社会や経済をリンクさせた活動
マレーシア
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
Tasik Timah-Tasoh, Perlis
Tasik Mudah-Pedu, Kedah
Tasik Bukit Merah, Perak
Tasik Kenyir, Terengganu
Tasik Chini, Pahang
Tasik Putrajaya, Putrajaya
Tasik Terip, Negeri Sembilan
Loagan Bunut, Sarawak
これまでの活動
1. 湖の富栄養化に関する調査資料の整理 – 2005
90湖沼の台帳: 55 water supply/irrigation; 35% lakes
for hydropower, flood control.
2. マレーシアの湖沼・貯水池に関するセミナー(2007年8
月2-3日)
–
湖沼管理者や研究者によるさまざまな目的に利用されている8つ
のマレーシア湖沼の事例研究
3. 関係機関の協力(ASM/NAHRIM/ILEC/UNIs)
戦略的な計画
 マレーシア湖沼・貯水池に関する国家ビジョンの策定
 政策枠組の文書明確化
 湖沼管理の役割の文書明確化
 マレーシア湖沼の開発と管理に関する戦略的枠組み
の策定
6つの柱:






ガバナンス
管理
研究・開発
能力向上
情報管理
地域利害関係者
今後の展望
 水関連省庁・機関の間の緊密な協働
 特にすべての州政府行政機関相互の協働
 補完的な努力 –国のスケールでの 能力向上が必要
 特に業際的な技術を有する有能な湖沼管理者の育成
 研究・開発分野における長期的かつ十分な投資
 良質な科学、技術と革新の確保
 湖沼が直面する複雑な課題や問題への取り組み
今後の取組み
• 湖沼管理に携わるすべての関係者が同意できるプラッ
トフォームの設定
• さらに合理的な基盤のもとで湖沼管理を統合的に進め
るための努力
• 総合的活包括的な湖沼資源の管理に向けた土俵作り
ラグナ湖、タール湖
リンコナダ湖
ラナオ湖
フィリピンにおける湖沼管理
地方自治体 – リンコナダ湖
フィリピン法に基づいて結成された
湖沼流域公社 –ラグナ湖
保全地区管理理事会
タール湖
ラナオ湖
フィリピンにおけるILBMの活動状況
ラグナ湖開発公社 (LLDA)が、現時点ではフィリピンにおける唯一の湖沼流域管理機関である
* ILBMは導入されたが、弱い柱がまだある
·
* 柱を強化するために自己評価を実施中
ラナオ湖の地方自治体、NPOは、LLDAのような組織による管理が望ましいと考えている。
·
* LLDA法のような法律を作るための努力も行なわれているがなかなか進まない 。
·
* 地方自治体やNPOはILBMの取組みを理解し、実践できるよういLECに協力を湯オ
精した
* NPOも参加したILBMワークショップとセミナーが2009年9月に実施された
* ILBMのプラットフォームにおいて、様々な管理の考え方や対立する取組みを進める
人たちが、オープンに意見を交換した
リンコナダ湖の利害関係者 (Lake Buhi, Lake Bato, Lake Baao-Bula) は、2010年7月にILEC
がやってきたときILBMについて始めて学んだ。
·
* 環境資源省(DENR)の地域環境管理局がILBM実践を主導している
ILBM
* 湖を有する各町の首長はILBMの実践を支持している
* ILBMの6つの柱を実行に移すために能力向上が大至急必要である
• 環境資源省は、自局の河川流域管理局を通じてILBMの取組みを知った
• 2010年7月に、水資源管理において統合的湖沼流域管理ILBM(lentic:
静水)と統合的河川流域管理IRBM(lotic:流水)を結合したラウンドテー
ブルが実施された
• IL2BM(Integrated Lentic-Lotic Basin Management)は大きな可能性を有 し
ている
すべての国に共通の教訓、課題、機会がある
1. ILBMは、水分野の保全問題に熟慮している多様な利害関係者に“プラット
フォーム”を提供する
2. ILBMは、湖沼の台帳作りや情報収集に対する関心を高める
3. ILBMは、利害関係者を水に関する良質な“ガバナンス”に取り組ませる
4. ILBMは、水資源の保全と管理のために公民パートナーシップを奨励する
5. ILBMは、河川流域管理や湖沼流域管理の実施に係わる政策決定に影響
力をもつ
6. ILBMは、湖沼、河川、地下水の管理に関する地域、国、国際レベルでの
統一的な取組みとなる
7. ILBMは、草の根レベルで普及、理解が進まなければならない
ILBMは効果が出るまでに時間を要する、したがって
早急に以下の国際的な協力と支援が必要である
 ネットワーク作りを奨励し、戦略的連携を強化する
 地域の能力向上への国際的な専門家の参画を促す
 各国におけるILBMの取組みをさらに改善する
 ILBMの質を高め、国および国際レベルの水資源管理の場に持ち込む
 参画している機関や個人の活動意欲を維持する
ILBMの取組みがもっと多くの国で開始・普及するように資金供与国や資金提供
機関の支援を促進する
南アジア、東南アジアはILBMと共に前進を続ける
 ILBMは、躍進を続け、政府と住民の支持を得た
他の国でも同じようにILBMが動き出している
 南アジア、東南アジアにILBMネットワークを結成しようとするひとつの声が
あがっているa
 ILECを通じてILBMの中核となる機関を設立することは共通の願いである
 ILBMは多くの挑戦があるが、世界の湖沼の保全のための多くの機会を与
えてくれる
“Maraming Salamat Po!”
本当にありがとうございます
Thank You Very Much!
Laguna Lake Development Authority
AC Santos-Borja