CAMアカデミー 株式基礎講座 第4章 株式の投資環境を見る by Capital Asset Management Co., Ltd. 第4章 株式の投資環境を見る 株式に投資する前の最終チェックとして投資環境を見ることは、具体的な銘柄を選ぶまでに検討 した事項の意味を大きな流れの中で再確認することができ有用です。 1.株式市場全体の基調を見る 企業業績が好調へ向かうとの期待が投資家に広がると株式市場全体にも表れてきます。 2006年1月末~2011年1月末の株価指数の推移 2000 1800 MSCIコクサイ・インデックス (日本を除く先進23カ国) S&P500種指数(米国) 1600 1400 東証株価指数(日本) 1200 1000 800 600 400 2006-01 2006-11 2007-09 2008-07 2009-05 2010-03 2011-01 ※株価指数とは株式市場全体や業種全体の株価の動きを単純平均や加重平均により平均化したもの ※出所:MSCIコクサイ・インデックス(日本を除く先進23カ国)はMSCIをその他はブルームバーグをソースとして筆者が作成 2.株価が割高か割安かどうかを見る 時間分散をするといっても株価が割高か割安かは常に検討します。そのための指標としては第3 章で述べたP/EやP/Bがよく使用されます。 Copyright© Capital Asset Management Co., Ltd. All rights reserved. -11- CAMアカデミー 株式基礎講座 第4章 株式の投資環境を見る by Capital Asset Management Co., Ltd. 2006年1月末~2011年1月末のP/Eの推移 40 35 30 20倍以下まで低下してきている MSCIコクサイ・インデックスのP/E (日本を除く先進23カ国) S&P500種指数(米国)のP/E 東証株価指数(日本)のP/E 25 20 15 10 5 2006-01 2006-11 2007-09 2008-07 2009-05 2010-03 2011-01 ※2009年3月~2010年2月は東証第一部に上場する内国普通株式全銘柄に対する1株当り当期純利益がマイナス値となった ため、P/Eが算出されなかった ※出所:MSCIコクサイ・インデックス(日本を除く先進23カ国)はMSCIをその他はブルームバーグをソースとして筆者が作成 2006年1月末~2011年1月末のP/Bの推移 4 3.5 MSCIコクサイ・インデックスのP/B (日本を除く先進23カ国) 3 S&P500種指数(米国)のP/B 2.5 東証株価指数(日本)のP/B 2 1.5 1 0.5 2006-01 2006-11 2007-09 2008-07 2009-05 2010-03 2011-01 ※出所:MSCIコクサイ・インデックス(日本を除く先進23カ国)はMSCIをその他はブルームバーグをソースとして筆者が作成 日本および世界の先進国のP/E(またはPER)は20倍以下まで低下してきており、またP/B(または PBR)はかなり1.0近辺の低い水準にきているので、株価は割安の水準にきているといえます。 Copyright© Capital Asset Management Co., Ltd. All rights reserved. -12- CAMアカデミー 株式基礎講座 第4章 株式の投資環境を見る by Capital Asset Management Co., Ltd. 3.企業の景況感はどうかを見る 企業が生産、サービス、設備投資などを増やしていく意欲は企業の景況感に表れると考えられま すので、それを指数化したものは実際の企業業績に先行すると言われます。 2006年1月末~2011年1月末の景況感指数の推移 30 70 20 60 10 50 0 -10 40 日銀短観 業況判断指数(DI) 大企業(日本/左軸) ISM製造業景況指数(米国/右軸) ユーロ圏総合購買担当者景気指数 (ユーロ圏/右軸) -20 30 -30 -40 20 -50 10 -60 -70 0 2006-01 2006-11 2007-09 2008-07 2009-05 2010-03 2011-01 ※日銀短観とは日銀が3ヶ月毎に公表する民間企業の景況感に関する調査をいい、その内大企業製造業の業況判断指数(DI) は企業の景況感を代表するものとして注目されます ※ISM製造業景況指数とは米国製造業の景況感に関する指標で50を上回ると景気拡大、50を下回ると景気後退を示唆する とされます ※ユーロ圏総合購買担当者景気指数とは、ユーロ圏16カ国の購買担当者に景況感に関する調査を行い指数にしたものです ※出所:ブルームバーグのデータを用いて筆者が作成 以上を合わせ見ると、サブプライム問題に端を発した金融危機とそれに続く不況は企業の倒産を 招き、各国で債務問題などの課題を残しましたが、2010年末までには株式市場は概ね上昇基調に 入っていると見ることができます。株価は未だ割高の水準には入っておらず企業の意欲も回復して きているので、投資家は企業業績が好転するとの期待を持ち始めていると同時に、投資環境が 整ってきているとの認識を持ち始めているといえます。 本資料は証券取引法に基づく開示書類ではなく証券取引の勧誘を目的としたものではありません。本資料におけるデータ・分析等は過去の実績に 基づくものであり将来の運用成果および市場環境の変動を保証もしくは予想するものではありません。本資料は信頼性が高いと判断した情報等に 基づき作成しておりますがその正確性・完全性を保証するものではありません。 Copyright© Capital Asset Management Co., Ltd. All rights reserved. -13-
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