SpaceClaim : 群馬県立産業技術センター様ユーザ事例

群馬県立群馬産業技術センターは
樹脂流動解析の最適化フローを構築
フローにおいて解析用モデラーとして有効なSpaceClaimを導入
群馬産業技術センターでは県内工業の維持・発展を図るため、中小企業が
必要とする技術的課題に対し、下記の先導的役割を果たしている。
(1) 諸工業の基盤技術の研究開発を行い、技術面での牽引車としての役
目を負う。
(2) 高度かつ迅速な分析・試験体制を整え、他所において困難とされる技
術支援を行う。
(3) 必要とされる技術支援、技術情報の提供および人材育成を行う。
これら3つの柱は密接に関連しており、すべてのベクトルは顧客である企業
の満足度を向上させることに向いている。
また、最近では生産システム、機械、材料技術、計測、情報技術、環境・省
エネ、バイオ・食品などの分野で実用化を前提とする研究に重点を置いて
いる。
公設の工業系試験研究機関(職員数15名以上の59機関)に対する平成2
0年度の実績調査では、利用率の指標で4年連続第1位になり、項目別で
も「依頼試験・機器開放」で全国第1位になった。
群馬県立群馬産業技術センター
について
群馬県立群馬産業技術センター(群馬
県前橋市)は公設の工業系試験研究機
関。
群馬県は日本のものづくりを支えてき
た重要な地域のひとつであり、本セン
ターの前身である群馬県工業試験場は
大正11年に設立され、常に技術の先端
でリードしつつ、地域のみならず日本の
発展を長年支えてきた。
現在は主として「中小企業の技術支援
機関」として、県内企業が抱える技術的
な課題の解決や技術的な相談、新技術
や新製品の研究開発等の支援を行っ
ている。
本技術センターでは、生産システム系ツールのひとつとしてSpaceClaimを
導入し、活用を始めた。
従来の課題
この地域には、自動車業界向けを主としたプラス
チック部品メーカーが数多く存在している。発注元
からモデルを受け取って生産するケースや、自社
で設計生産するケースなどがあり、種々の3DCAD
が使われている。この過程では、射出成形におけ
る樹脂流動解析が重要な位置付けになっているが、
部品メーカー自身が行えない場合には本センター
の解析専門チームで”依頼試験”の形式で受託す
ることが多い。本センターでは各種解析ツールを
備えているが、メーカーからIGESなどのデータ形式
で受け取ってから実際の解析にかかるまでの準備
作業に時間がかかっていた。また、解析結果を見
てモデルを変更する必要が発生した場合はメー
カーに変更依頼し、それを待ってから再解析すると
いうフローになっていた。加えて、発注元から部品
メーカーに来たモデルを部品メーカーが変更する
ことは許されていないことも多々ある。部品メー
カーが発注元に納品する際には、解析結果で問題
がないことを示すための技術資料(エビデンス)を
添付する必要があるにもかかわらず、上記フロー
のモデル変更に費やす時間がネックになっていた。
この対策として、本技術センターで所有する解析
ツール付属のモデラーまたはフィーチャーベース
CADを使って、解析エンジニアが形状変更や簡易
化を行うこともあるが、その効率は限られていた。
SpaceClaimを導入
CAEによる最適化フローをより効率的なものにできる
候補としてSpaceClaimの評価を行った後、導入する
に至った。解析前のモデル準備作業にプリペア機能
が有効であること、モデリング後に形状変更用の寸
法(パラメータ)を付加できること、が導入判断の主な
理由であった。さらに特徴点としては、所有している
最適設計支援ツールOPTIMUSからSpaceClaim用
のインタフェースを用いて形状変更できることも理由
であった。
群馬県立群馬産業技術センターは樹脂流動解析の最適化フローを構築
フローにおいて解析用モデラーとして有効なSpaceClaimを導入
SpaceClaimの運用と効果
受け取ったIGESデータに微少面が存在していることは日常的であるが、こ
れらは解析前のメッシュ作成に障害となる。SpaceClaimの持つ解析準備
機能であるプリペア機能には、微少面検出および削除機能があり、分かり
易い操作で微少面を順番に削除できるため、メッシュ切りし易い健全なモ
デルを短時間で準備できるようになった。 また、生産システム研究員 黒
岩広樹氏は“フィーチャーベースモデラーではモデル作成時点から解析用
の変数を意識しなければならなかった。これに対してSpaceClaimではモデ
ル作成後に必要な箇所に後付変数として付加して直ちに使える。このメリッ
トは大きい” と語っている。実際、最適設計支援ツールのOPTIMUSから
SpaceClaim用のインタフェースで形状変更し、その形状を樹脂流動解析
ツールに渡して解析する、という処理を自動でくり返して最適解を見いだす
ことができるようになった。
今年度の展開
送られてくるデータはCADの種類もモデルの出来栄えも違うため、
SpaceClaimの各種CADデータインポート機能も活用する。また、
解析結果の形状をCADに戻す際には変更前後比較ツールを利用
するなど、さらに有効な利用法を試みる。さらに、習得したノウハウ
を構造解析へも適用するなど、今年度は依頼試験ではなく継続中
の中小企業との共同研究において、技術的な課題の解決や技術
的な相談、新技術や新製品の研究開発等の支援を行っていく。
なお、2010年6月の品質工学会では評価利用の成果として
SpaceClaimとCAEツールを活用した研究発表をサイバネットシス
テム(株)と行う。
上記画像は本センターでのSpaceClaim評価作業中のサンプルモデル
変更例。 リブの位置、幅、高さを、OPTIMUSからSpaceClaim用のインタ
フェースで変更しながら最適化可能であることを確認した。
生産システム係長 福島祥夫氏
は
“共同研究の場合は、最適化解
析をOPTIMUSで行う。4年以上使
用しているが、SpaceClaimを組み
合わせることで最適化のさらなる
効果向上に寄与できる。その結
果、時間短縮でき、より多くの
ケースで解析可能となる。2010
年度は特定の共同研究に限られ
るが本格的に利用する。” と
語っている。