《経済学研究科》 - 早稲田大学

《経済学研究科》
研
究
指
導
【理論経済学・経済史専攻】
理
論
経
済
学
教
授
永
田
良
理
論
経
済
学
教
授
藤
森
明
理
論
経
済
学
教
授
笠
松
学
理
論
経
済
学
教
授
笹
倉
×理
論
経
済
学
教
授
荻
沼
×理
論
経
済
学
助 教 授
荒
木
一
数
理
経
済
学
教
授
理博(東工大)
船
木
由喜彦
公
共
経
済
学
教
授
経博(一橋大)
須
賀
晃
計
量
経
済
学
教
授
Dr. rer. pol(ボン大)
中
村
愼一郎
計
量
経
済
学
助 教 授
博士(社会経済)
(筑波大)近
藤
康
之
経
済
学
説
史
教
授
渡
会
勝
義
経
済
学
説
史
助 教 授
経博(グルノーブル大)清
水
和
已
経
済
学
説
史
教
授
若田部
昌
澄
学
教
授
西
郷
計
教
授
野
口
統
計
経
済
統
経博(北大)
和
幸
隆
法
一
浩
和
也
日
本
経
済
史
教
授
川
口
浩
日
本
経
済
史
教
授
清
水
元
西
洋
経
済
史
教
授
鈴
木
健
夫
西
洋
経
済
史
教
授
南
部
宣
行
史
教
D. phil
授 (オックスフォード大) 本
野
英
一
本
保
美
ア
ジ
ア
経
済
博士(経済学)
早大
【応用経済学専攻】
×経
済
政
策
理
論
教
数
量
経
済
政
策
教
数
量
経
済
政
D. phil
授 (オックスフォード大) 松
授 経博(京大)
貞
策
助 教 授
Ph. D.
(ウィスコンシン大)
廣
彰
上
田
貴
子
環
境
経
済
学
助 教 授
博士(農学)
(京大)
栗
山
浩
一
農
業
経
済
学
教
授
農博(東大)
堀
口
健
治
産
業
組
織
論
教
授
堀
内
俊
洋
国
際
経
済
論
教
授
清
野
一
治
葉
弘
哉
井
安
憲
経博(東大)
国
際
経
済
論
教
Ph. D.
授 (ニューヨーク州立大) 秋
国
際
経
済
論
教
授
― 9 ―
経博(一橋大)
石
金
融
論
教
授
金
融
論
教
授
森
Ph. D.
(イェール大)
映
雄
藪
下
史
郎
社
会
保
障
教
授
清
水
英
彦
社
会
政
策
教
授
白
木
三
秀
学
教
授
村
上
由紀子
馬
場
義
牛
丸
労
働
経
済
財
政
学
教
授
財
政
学
教
授
博士(経済学)
早大
博士(経済学)
東大
注.研究指導および担当教員については,変更する場合があります。
×印は2006年度学生の募集をしません。
― 10 ―
久
聡
[研究指導担当教員の紹介]
研究テーマ,講義予定,入学学生に対する要望など
【理論経済学・経済史専攻】
理 論 経 済
学―ミクロ経済学の数学的方法―
永
田
良
近代経済学の理論的中核を構成する一般均衡理論が研究の中心を成す。研究講義では日進月歩の勢
いで研究が進められているこの分野の発展過程をふまえた上で具体的にいくつかのトピックスを取り
上げ立ち入った検討を行う予定である。
志望学生は,①特に一般均衡論とはいわないまでも少なくともミクロ経済理論に多大の関心を寄せ
るものであること,更に②研究指導上,数学的知識(しかも相当高度な)が大いに要求されるのでそ
れに堪えられるだけの能力,忍耐力を備えたものであることが望ましい。
理 論 経 済
学
藤
明
森
研究テーマは
‘資本理論の理論と応用’
である。即ち,Ricardo, Marx 以来,Sraffa, Post- Keynesian,
レギュラシオン学派にわたる‘分配と成長’
の問題意識を理論的,実証的,実験的に,出来る限り多角
的に検討したい。詳略については,指導教員の URL を参照のこと。
理 論 経 済
学
笠
松
学
生産と分配の理論,特に,交換と消費の理論から派生した分配の理論との比較・検討に関心があ
る。
本年度前期は A New Guide to Post-keynesian Economics をテキストにして,広く「ポスト・ケイン
ジアン」と呼ばれる理論を検討している。来年度も同上書あるいは類書を使用する予定である。
理 論 経 済
学―マクロ経済理論―
笹
倉
和
幸
マクロ経済理論を研究する(実証分析は行わない)。特に,私のこれまでの研究テーマは景気循環
理論だったので,志望者にもその一応の修得を要求する。景気循環理論は,現在では非線形経済動学
と呼ばれる分野で研究されることが多いので,景気循環理論を修得するためには非線形経済動学の手
法(すなわち微分方程式と差分方程式)をも同時に修得することが必要になる。
理 論 経 済
学―不確実性とゲームの理論―
荻
沼
隆
経済理論,特に選択理論とゲーム理論の研究を,限定合理性の観点を重視して行う。ここでは,ど
のような合理性の限界の想定が望ましいか,そのような想定によって何が説明可能になるのかを考え
る。この研究指導では,このような研究関心に基づき適当なテキストおよび論文を読む予定である。
志望学生は,ミクロ経済学,マクロ経済学,ゲーム理論のある程度の予備知識と分析的な研究のた
めの初歩的な数学の基礎知識が要求される。
― 11 ―
『本年度(2005)は,特別研究期間制度のため,学生の募集は行わない。』
理
論 経 済
学
荒
木
一
法
ゲーム理論と契約理論による個人・集団行動の分析を行う。まず,ゲーム理論,契約理論,ならび
にそれらの応用分野,オークション理論や交渉理論等に関する基礎知識を獲得した上で,履修者が関
心を持つ分野について論文を書くために必要な諸準備をすすめる。その際,特に,研究論文を正確に
理解する力と,プレゼンテーション能力の向上に力点をおく。履修希望者には,①ミクロ経済学なら
びに数学・英語に関する一定水準の知識を備えて入学すること,②教員および他の学生との議論に積
極的に参加すること,③将来の進路について明確なビジョンをもつこと,を求めたい。
『本年度(2005)は,特別研究期間制度のため,学生の募集は行わない。』
数
理 経 済
学―ゲーム理論(研究)―
船
木
由喜彦
ゲーム理論およびその応用の研究を行う。ゲーム理論は情報の経済学,産業組織論,国際経済学,
環境経済学,経営学,政治学,社会学,生物学など多くの分野で用いられる重要な理論的分析手法で
ある。相手が存在し相手も合理的な行動をとるということを前提に,個人の合理的な行動を厳密に定
義することからはじめ,社会・経済など相互依存関係のある状況における各個人の合理的な意志決定
およびその帰結を研究する。
ゲーム理論は大別して非協力ゲームの理論(標準形・展開形ゲーム)と協力ゲームの理論(提携形
ゲーム)に分けられ,両理論を並行して修得することが必要である。そのためには数理経済学研究,
特論等の受講が要請される。この研究指導ではこれらの知識をもとに,受講者の興味に従い,関連す
る論文の講読,研究,議論を行う。前年度の内容は,ホームページ
http:/ / www.f.waseda.jp/ funaki/ yoko2.html を参照されたい。
なお,ゲーム理論,ミクロ経済学の基礎的な知識,および,解析学,位相数学の初等的な知識を必
要とする。
公 共 経 済
学
須
賀
晃
一
この講義では,修士論文作成のための基礎力養成を目的として,公共経済学の理論に関する基本文
献を輪読する。具体的な研究テーマとしては社会的選択,制度設計と価値理念,租税論,社会保障
論,環境問題などの領域を考えている。中級程度のミクロ経済学(数学的手法も含む)の修得を前提
として講義を進める。開講時までに,スティグリッツ『公共経済学』(上,下)東洋経済新報社,
2003,2004年.を読んでおくこと。
参考文献:G. D. Myles, Public Economics, Cambridge UP, 1995.
B. Salanie´, Microeconomics of Market Failures, MIT Press, 2000.
― 12 ―
計
量 経 済
学
中
村
愼一郎
計量経済学は,観察データを用いた経済現象の体系的理解に関わるものであり,理論経済学と並ん
で現代経済学の根幹を成し,その応用のみを対象とした物ではない。これは,北米の有力大学院にお
いて,計量経済学が大学院教育の必須となって久しい事に如実に表れている。計量経済学の領域は,
理論経済学,経済統計,数理統計学(古典的/ベイス)
,更にはコンピュータによる数値計算に至
り,広大である。
本研究では,実証研究を念頭において,モデルの推定と検定を中心とした方法論的側面を取り上げ
る。具体的には,以下の内容を予定している。
1.
線型回帰モデルにおける推論
2.
大標本理論
3.
操作変数推定法
4.
最尤法と一般化最小二乗法
5.
質的変量モデル
6.
一般モーメント法(GMM)
7.
単位根と共和分
教科書として Fumio Hayashi, Econometrics Princeton 2000 を予定している,線形回帰モデルの推
論,行列代数の初歩(固有値問題を含む)等の事前知識を持つことが望ましい。尚,コンピュータに
よる数値計算も学習したい場合は,学部の計量経済学で行っているので空席があれば聴講を認める。
計
量 経 済
学
近
藤
康
之
本研究指導の目的は,応用ミクロ計量経済分析および関連する計量経済理論的研究を行うことにあ
る。応用分析対象の基礎となる経済理論の学習,関連先行研究の文献調査等,および研究科授業科目
では扱われない計量経済学方法論について指導を行う。
学部水準の計量経済学(例えば,山本拓『計量経済学』新世社(1995)程度)についての十分な知
識と,より進んだ研究学習に必要な学部水準の基礎学力(経済理論,統計学,解析学,線形代数,確
率論)の習得を前提とする。
経
済 学 説
史
渡
会
勝
義
主な研究テーマは,イギリス古典派経済学(特に19世紀)とケインズ革命である。しかし研究指導
はこの範囲にかぎらず,経済学史あるいは経済思想史研究を目指す者であればよい。英語の読解力は
不可欠であり,大陸ヨーロッパの経済学史・経済思想史研究を目指す場合には,当然のことながら英
語以外に当該のヨーロッパ言語の読解力を持っていなければならない。経済学史あるいは経済思想史
の研究をするにはさまざまな知識と現代の経済問題に関心を持つことが必要であるので,広い知的関
心と問題意識のある人の参加を期待する。
― 13 ―
経
済 学 説
史
清
水
和
已
現代経済学の一つの傾向として,機械論的なモデルから進化論的なモデルへの移行がある。たとえ
ば,経済行動の「進化」
,制度「進化」という用語は,専門的な論文に限らず一般的な経済書にもよ
く見られるようになってきた。しかしながら,「進化」という概念の内容も,その適用法も,経済学
者によって異なっているのが現状である。本研究では,「進化」という概念が果たしてきた役割をま
ず過去の経済学の著作から学び,そして,現代経済学におけるこの概念の有効性を探りたい。具体的
には,「進化」を中心的な分析用具としている経済学者の原典を時代にこだわらず研究していく。受
講生には,複数の外国語の読解力と,数学・統計学の基礎的な理解力が望まれる。
経
済 学 説
史―経済政策思想史入門―
若田部
昌
澄
この研究指導では,歴史を題材にして経済知識と経済政策の接点を探る。その接点としては,経済
学者の政策関与,経済知識の多様性(経済学者,エコノミスト,政治家,中央銀行総裁,官僚,メ
ディアの経済理解),政策決定過程の政治経済学といった多様な点が考えられる。この研究指導では
思想史の観点を強調して政策における経済知識の役割を中心に考察する。研究の題材としては,マク
ロ経済,貿易,国際金融,産業組織,社会保障制度などいくつかの題材が考えられる。研究指導では
参加学生の研究関心に応じて題材を絞る予定である。
研究指導は基礎的研究文献の読解と討論,および学生の発表によって進めていく。また,可能な限
り第一線の政策思想史研究者および政策担当者による特別講義も企画したいと考えている。
参加を希望する学生には中級のミクロ経済学,マクロ経済学の知識と,英文文献を大量に読む読解
力が必須である。また,本大学院経済学研究科が中心となって進めている早稲田大学21世紀 COE プ
ログラム「開かれた政治経済制度の構築」が主催する各種講義・セミナー・シンポジウムへの参加も
有益であろう。
『本年度(2005)は,特別研究期間制度のため,学生の募集は行わない。』
統
計
学
西
郷
浩
―経済統計データの作成・分析に関する統計理論的研究―
本研究の目的は,経済統計データの収集・分析に関連する統計理論的・実証的研究をおこなうこと
にある。おもなトピックとして,標本調査論,リサンプリング法,回帰分析を主とした多変量解析
法,時系列分析法などがあげられる。担当者(西郷)のもっとも得意とする分野は,標本調査論とリ
サンプリング法(とくにその標本調査論への応用)である。しかし,学生の希望に応じて他の分野も
適宜とりあげる。
統計分析には計算が不可欠であるから,コンピュータの利用は必須である。統計理論についても,
少なくとも基礎的な知識(統計的推定・検定,最小二乗推定量など)をもっていることが望ましい。
― 14 ―
経
済
統
計
野
口
和
也
本研究では,統計学の理論的研究とその経済分析への応用を主題とする。本年度は回帰分析・時系
列分析などを中心に研究を進める予定である。
あらかじめ学部において,統計理論の基礎と経済学に関する幅広い知識を習得していることを前提
とする。また,コンピュータの積極的な利用も不可欠である。
日
本 経 済
史
川
口
浩
本研究指導では,近世∼近代における日本経済の実態,並びに日本経済の担い手たちの経済思想の
歴史的分析を目指している。受講者は日本経済史・経済思想史に属する諸問題の中から自己の研究
テーマを選択することができる。受講に際しては,日本経済史・経済思想史に関する学部授業程度の
基礎的知識を習得していることが必須であり,さらに近年における研究成果に一通り目を通している
ことが望ましい。また,隣接諸領域に対する幅広い関心を保持することも大切である。歴史研究で
は,史料の収集と解読という地道な作業が求められることを付言しておく。
日
本 経 済
史―戦前期日本の経済的「南進」―
清
水
元
明治期以降の日本資本主義の展開過程を東南アジアとの関わりの中で考察している。その際,日本
と東南アジア各地だけでなく,植民地宗主各国をも含めた三当事者間の関係に焦点を当てることに
よって,近代日本の対東南アジア関係についてのより豊かな歴史像の構築を目指す。本研究指導で
は,とくに,植民地期の東南アジアに少なからぬ政治・経済的影響を及ぼしていたイギリスの公文書
史料(Public Record Office 所蔵)の解読を通して,戦前期日本の経済的「南進」の実態とこれに対
する東南アジアならびに植民地宗主国の反応・対応を検討する。
西
洋 経 済
史
鈴
木
健
夫
ヨーロッパ大陸諸地域の社会経済史的諸問題を検討する。史料の正確な解釈に依拠して豊かな歴史
像を形成することを目的とする。そのために相互の厳しい切磋琢磨が望まれる。
西
洋 経 済
史
南
部
宣
行
第1次大戦までのイギリス社会経済史全般を主たる研究対象としており,資本輸出(対外投資),
生活水準,鉄鋼業(南ウェイルズ)等をめぐる諸問題を中心に検討している。但し,近年,第2次大
戦以降の経済動向についても研究対象に加えている。方法論では,歴史学の伝統的な実証的方法のみ
ならず,とくに Historical Economics(歴史経済学,数量経済史)でとられている手法を積極的に取
り入れていくこと,現代の諸問題との関連に関心があり,インターネットを利用する情報の交換・共
有を積極的に推進したいと考えている。
― 15 ―
ア ジ ア 経 済 史
本
野
英
一
日清戦争前夜から中華人民共和国成立直後にかけての中国とイギリス,日本,アメリカとの経済関
係史を主たる研究対象としている。単なる外交史だけでなく都市経済,中国商人団体(ギルド,商会
等)や在華外国企業を主体とする生産要素市場,国家財政の歴史的特徴への歴史的理解を深めること
を目標とする。従って中国語で書かれた史料はもとよりイギリス・アメリカ側外交文書を解読し,論
文が書ける能力を培うことを要求する。
経
済 政 策
論―経済政策のための基礎理論の研究―
松
本
保
美
本指導は,時間の制約と重要性の面から,社会的選択理論を中心とした基礎理論の研究に的を絞
る。基礎理論の上に経済理論が構築され,その上で経済政策が立案されるからである。日本語の文献
が殆どない上に,数理論理学と集合論を駆使した定理の証明が中心になるので,参加者には英語と数
学の素養が求められる。ミクロ経済学とゲーム理論の知識のあることが望ましい。いわゆる経済政策
論や分析は一切扱わないので注意のこと。
『本年度(2005)は,特別研究期間制度のため,学生の募集は行わない。』
経
済
政
策―90年代の経済政策―
貞
廣
彰
本コースは日本経済を対象としたマクロの実証分析を行うことを目的とする。そのために,第1に
上級のマクロ経済学のテキストを使用し,実証への応用の基礎とする。第2はマクロ経済学の代表的
な実証研究の論文を取り上げる。第3は現下の日本経済を対象とした実証研究の論文を平行して読ん
でいく。
なお,今後の研究のために学部レベルのマクロ経済学および計量経済学的手法をマスターしている
ことが不可欠である。
数 量 経 済 政 策―家計の選択的行動の実証分析―
上
田
貴
子
本研究指導では,家計の労働供給その他の選択的行動を対象とした,クロスセクション及びミクロ
データによる実証分析を研究課題とします。実証分析のためには,関連分野の経済理論モデルの理
解,統計・計量経済学の知識,及びコンピュータースキルが不可欠となります。研究指導では,(参
加者の興味による)関連分野及び計量経済学手法の英語文献の輪読,関連データのサーチ,計量経済
分析ソフトによるプログラミングと分析を行います。従って,幅広い分野での相当な学習量と実習時
間を費やす覚悟を望みます。なお,時系列分析手法は扱いません。
環
境 経 済
学
栗
山
浩
一
環境経済学の理論およびその応用の研究を行う。扱う内容は,環境問題の発生過程の分析,環境税
や排出量取引などの経済的手段,環境価値の経済的評価などである。研究対象は,廃棄物問題などの
地域的な環境問題から地球温暖化などの地球環境問題まで幅広い。なお,環境経済学は現実の環境問
― 16 ―
題を扱うことから,環境問題の発生している現場でのフィールド調査も重視する。環境経済学は応用
ミクロ経済学のひとつであり,中級程度のミクロ経済学(数学的手法を含む)と計量経済学の知識を
必要とする。
農
業 経 済
学―農業政策,土地政策,食料政策を対象に―
堀
口
健
治
土地所有の性格,機能の理論的・実証的分析を主たる研究課題としている。日本の戦後の地価上昇
期と資本蓄積との対応や,バブル崩壊も含めての土地政策の吟味はその一環である。農業問題の基底
には土地問題があり,発展途上国の農地改革も含めて,農業政策をその角度から研究することが必要
であろう。計画経済の破綻も,集団所有と土地利用との矛盾に起因する。土地問題,農業問題を扱う
が,食料問題や食料政策も対象とする。
産
業 組 織
論
堀
内
俊
洋
今日,日本だけでなく世界各国とも,システムの見直しや新しい政策が求められている。その場
合,もちろんマクロ政策は重要であるが,適切なマクロ政策とあわせて,規制緩和や構造改革に象徴
されるように,ミクロ政策の運営がとりわけ重要になっている。本研究はこのような問題意識から,
産業のミクロに重点を置き,産業における競争の実態,そのメカニズムを考察し,産業の成果向上の
ための望ましい政策を勉強したいと思う。受講者は,日本だけでなく世界の広範な産業について関心
を持たなければならないが,数学的な捉え方やデータの整理などにおける能力もあわせて必要であ
る。このように少なくとも,理論としての産業組織論について研究意欲のあることが望まれる。大学
院レベルの入門的なテキストである『新しい産業組織論』(小田切宏之著)から具体的な勉強に取り
掛かる予定である。
国
際 経 済
論―国際ミクロ経済学(国際貿易理論)―
清
野
一
治
国際貿易理論ならびにその応用としての貿易政策論について研究する。国際貿易論はミクロ経済学
の一般均衡分析の応用であるので,受講者は数学・理論経済学についての十分かつ的確な知識をもっ
ていることを前提とする。具体的には,①中級ミクロ経済理論
②数学的最適化理論を修得していな
い者については,本人の相当努力がなければ,研究成果をまとめることができないことを断ってお
く。
国
際 経 済
論
秋
葉
弘
哉
国際経済学のうち,特に開放マクロ経済学を中心に研究する。開放マクロ経済学は閉鎖マクロ経済
学の開放版という側面ももっているから,閉鎖マクロ経済学についての基礎的知識をもっているこ
と,並びにそのマイクロ・ファウンデーションについても十分理解していることが極めて望ましい。
― 17 ―
国
際 経 済
論
石
井
安
憲
―国際寡占による直接投資,貿易,生産,環境汚染と最適課税・補助金政策―
今日のように国際化が高度に進展した社会では,様々な経済問題を国際的視点から把握し分析する
ことが要請される。本研究指導では,かかる能力を開発するため,様々な国際的経済問題の中から,
貿易・直接投資と地球規模での環境劣化,国際寡占と戦略的貿易政策,国際的経済摩擦,南北問題等
を選択し,これらに関する研究の最先端を探求する。学生諸君は,中級程度のミクロ経済学および数
学的手法を修得していることが必須である。
金
融
論
森
映
雄
わが国においても金融革新が急速に進展し,金融制度・構造等も大きく変容してきている。特に
「日本版ビック・バン」により資金運用・調達の流れ=金融システムも変容しよう。そうした中で貨
幣と経済の「つながり」についても理論的・政策的に視点をかえて分析する必要がある。主に,マク
ロ経済分析視点から金融理論および金融政策に関して考察してゆきたい。なお,上級マクロ経済学お
よび上級ミクロ経済学を修得していることを望みます。
金
融
論
藪
下
史
郎
本講義においては,非対称情報また不確実性に注目しながら金融市場と金融機関に関係する諸問題
を考察し分析する。それらの問題はミクロ経済学的側面とマクロ経済学的側面の両方をふくんでい
る。
したがってミクロ経済学とマクロ経済学をマスターしていることが望まれる。
さらに金融制度に関する理論的かつ歴史的分析についても分析を行うが,今後の研究のために計量
分析手法が有用である。
社
会
保
障
清
水
英
彦
高齢化とグローバル化が進行する中で,福祉国家といわれる先進国においては社会保障制度改革が
共通の課題となっている。そこで本研究指導では,社会保障制度の歴史的展開を基礎におきながら,
理論的あるいは実証的な方法により社会保障制度を経済学的に分析することを目指す。とくに福祉国
家における社会保障制度改革が意味するものを,社会保障の給付と負担のあり方,そしてその経済的
効果を分析することにより明らかにしたい。
社
会
政
策
白
木
三
秀
本研究指導では,外部労働市場および内部労働市場で生起する労働諸問題ならびにそれへの対応と
しての労働諸政策の理論的,実証的研究を幅広く行う。幅広く行うということは,国際比較研究を含
み,また企業内の人的資源管理の研究もこれに含めることを意味する。当該分野における問題意識が
強く,地道なフィールドワークを厭わない活力に富む人材の参加を歓迎する。
― 18 ―
労
働 経 済
学
村
上
由紀子
労働市場のメカニズムや労働問題について,経済学的視点から理論的・実証的に研究する。また,
そこから政策提言を導く。資料の収集,文献購読データーの統計的分析,ミクロ経済学やマクロ経済
学を用いた理論的分析等を積極的に行う学生の参加を希望します。
財
政
学
馬
場
義
久
私の主要な関心は租税論・税制論にあるが,本研究指導は,財政学の領域に属する問題全般を対象
とする。修士課程入学を志す諸君にあっては,あらかじめ,財政学のうち,どの領域のどの問題を自
己の研究テーマとするのか,さらにどのような方法で研究を進めるのか,検討しておいてほしい。そ
して,今日の財政学は諸君が想像する以上に応用経済学としての性格を強めているので,学部段階の
財政学はもとより,ミクロ経済学およびマクロ経済学をマスターしていることが肝要である。
財
政
学―社会保障財政・税制・地方財政―
牛
丸
聡
財政学の領域に入る事柄について研究指導する。財政を研究するためには,理論・制度に関した十
分な知識と現実経済に対する強い問題意識が求められる。大学院を受験するからには,それらについ
て,少なくとも学部段階までで修得できる水準までは身につけておく必要がある。マクロ・ミクロ経
済学や財政学の一般的な教科書については当然修得していなければならない。真剣に励む学生の入学
を待っている。
― 19 ―