外部評価実施報告書(PDF:330KB) - 鞍手町

平成 21 年度
行政評価外部評価実施報告書
平成22年3月
鞍手町行政評価外部評価委員会
は
じ
め
に
行政評価の取組みは新たな試みであり、事務事業の従事時間の把握や人件
費 を 含 め た コ ス ト 計 算 な ど 、定 量 的 な 評 価 手 法 を 導 入 し た こ と は 評 価 で き る 。
しかし、現状では、今までに経験したことのない手法を採用し、実施したこ
とが最大の成果であり、これは改革へのスタートの第一歩でしかない。第一
歩を踏み出したのだから、これからが本番である。この取組みを契機に、事
務合理化や業務改善を本気で考えていく必要がある。
そのた め には、職 員の意 識 改革が 不 可欠で あ るが、口 先だけ で「意識改 革」
といくら言っても変わるはずがない。特に、財政状況が厳しい中、全庁的に
危機感を持って業務にあたっているか疑問に感じることもあり、前例踏襲主
義の意識が抜けていないことも見受けられる。やはり、我々としては、全職
員が一丸となって改革に取り組んでいる姿勢を切望するし、そういった人材
を育成することに主眼を置くべきである。
外部評価の取組みについては、5回という限られた会議の中で21事務事
業 に つ い て 外 部 評 価 を 実 施 し 、こ の た び 本 報 告 書 と し て 取 り ま と め た が 、我 々
の意見が「机上の空論」とならずに、今後の行財政運営において、適切に対
応していただけるよう強く要望する。
平成22年3月
鞍手町行政評価外部評価委員会委員一同
Ⅰ
外部評価の概要
1.外部評価の目的
町が実施する事務事業について、行政外部の視点で、その必要性や効率
性を評価するとともに、評価作業を通じて職員の意識改革を促し、もって
行政改革を促進させることを目的に外部評価を実施した。
2.会議日程
日時
場所
主な内容
第1回
11 月 13 日 ( 金 )
13:30~
役場議事堂
第2回
11 月 26 日 ( 木 )
13:30~
役場議事堂
第3回
12 月 18 日 ( 金 )
13:30~
役場議事堂
・ 評価作業 6事業
(アンケート事業)
第4回
1 月 13 日 ( 水 )
13:30~
役場議事堂
・ 評価作業 6事業
(選択事業)
第5回
1 月 25 日 ( 月 )
13:30~
役場議事堂
・ 評価作業 4事業
(選択事業)
・ 外部評価の総括
・
・
・
・
委員長選出
制度の概要説明
モデル評価
評価作業 5事業
(アンケート事業)
3.評価委員
区分
氏名
所属団体等
学識経験
◎
松尾
潤一
有限責任監査法人トーマツ福岡事務所
団体推薦
○
藤井
睦彦
区長会
堀角
泰正
商工会(青年部)
五百路
公募委員
恵美子
中西
由紀子
栗田
和廣
小松原
行財政改革推進委員会
企業関係
正春
◎委員長○職務代理
4 . 評 価 作 業 の 流 れ ( 1 事 業 30 分 程 度 )
① 事業説明
(5 分程度)
・担当課が事業の概要を説明する。
② 質 疑 ・ 応 答 ( 5~ 20 分 程 度 )
・事業説明後、評価委員の質疑を行う。
③ 評 価 ( 5~ 10 分 程 度 )
・評 価 委 員 に よ る 評 価( 意 見 )を 基 に 、委 員 会 の 評 価 結 果 を ま と め る 。
-1-
5.評価対象
評 価 の 対 象 は 、町 が 町 民 の 意 向 を 把 握 す る た め に 行 っ た ※ ア ン ケ ー ト 調 査
の 対 象 事 業 11 事 業 と 、 町 が 自 主 事 業 を 中 心 に 選 ん だ 50 事 業 の 中 か ら 、 評
価 委 員 が 選 択 し た 10 事 業 の 計 21 事 業 を 対 象 に し た 。
なお、下表の第2回及び第3回がアンケート事業で、第4回及び第5回
が委員選択事業である。
※
行 政 評 価 に 関 す る ア ン ケ ー ト 調 査 ( 平 成 21 年 8 月 実 施 )
会議
第2回
第3回
第4回
第5回
事務事業
担当課
ホームページ事業
総務課
リサイクル活動団体支援事業
農政環境課
食と農理解促進事業
農政環境課
ふれあいフェスタ
保険健康課
総合福祉センター運営事務(福祉棟)
保険健康課
図書室管理運営事務
教育課
情報通信技術講習事業
教育課
町民体育祭事業
教育課
中央公民館長谷別館施設管理運営
教育課
大谷自然公園管理運営事務
建設課
産業まつり事業
企画財政課
教材備品整備事務
教育課
保育所・幼稚園学用品費補助金事務
教育課
総合プール管理運営事務
教育課
人権問題地区懇談会事業
教育課
敬老の日事業
教育課
資料館企画展開催事業
教育課
総 合 福 祉 セ ン タ ー 管 理 運 営 事 務( 管 理・保 健 棟 ) 保 険 健 康 課
総合福祉センター管理運営事務(ふれあい棟)
保険健康課
町営住宅維持事業
建設課
町職員研修事務
総務課
6.評価区分
評価は、評価シート及び各課のヒアリングを基に、下表の6区分から、
評価委員が選択し、最後に委員会としての評価の方向性をまとめた。
評価区分
説明
現状維持
現時点では、現状どおり事業を進めることが妥当
手法改善
事業内容を改善して継続して実施することが妥当
コスト拡大
コストを増やし、事業を継続して実施することが妥当
コスト縮小
コストを減らし、事業を継続して実施することが妥当
統合
他の事業とまとめ、継続して実施することが妥当
休廃止
事業を休止・廃止することが妥当
-2-
7.評価結果
○総括(外部評価対象21事業)
評価区分
一次評価
(内部評価)
外部評価
現状維持
9
2
手法改善
5
10
コスト拡大
1
0
コスト縮小
5
6
統合
0
0
休廃止
1
3
○個別結果
No
1
2
3
4
5
事務事業
一次評価
(内部評価)
外部評価
外部評価の説明
ホームページのリニューアル
( H23 ) に あ た っ て は 、 管 理 コ ス
ホームページ事業
トの縮小や機能強化(画面構成・
現状維持 手法改善
高齢者向けの機能)を図り、魅力
(総務課)
あるホームページになるよう質
の向上に努めること。
活動団体への影響を考慮しなが
リサイクル活動団体
ら、奨励金の対象団体の範囲や料
支援事業
現状維持 手法改善 金 単 価 の 設 定 を 見 直 す べ き 。 な
お、将来的には廃止について検討
(農政環境課)
すべき。
類似事業があれば連携するなど、
事務の合理化を図りながら実施
食と農理解促進事業
すべき。また、町内の全小学校で
現状維持 手法改善
実施できるよう学校への働きか
(農政環境課)
けを強化すべき(現在は 6 校中、
3 校 で 実 施 )。
本来の事業目的である”健康”を
重視したイベントにすべき。集客
(景品・屋台)にこだわる必要は
ふれあいフェスタ
現状維持 コスト縮小 な い の で 、 事 業 の あ り 方 自 体 を 見
(保険健康課)
直すべき。また、他のイベントと
の統合や団体への委託料を見直
し、コスト縮小を図ること。
指定管理者とともにコスト削減
に 取 り 組 む と と も に 、PR 活 動 な ど
を強化し利用者増による収入の
総合福祉センター運
確保に努めること。なお、長期的
営事務(福祉棟)
コスト縮小 コスト縮小
な視点で町の財政的負担と高齢
(保険健康課)
者福祉施策のバランスを考慮し
て、施設のあり方を廃止を含めて
検討すべき。
-3-
No
事務事業
一次評価
(内部評価)
外部評価
貸出業務及び新規図書の購入な
どの業務内容について抜本的に
手法改善 コスト縮小
見直し、人件費を含め大幅にコス
トを縮小すべき。
類似事業は民間等で行われてい
情報通信技術講習事
る。また、事業の当初の目的は達
業
コスト縮小 休廃止
成されたと判断するので廃止す
(教育課)
べき。
行政主導から住民主導へ転換す
町民体育祭事業
るため、ボランティア的な協力者
手法改善 手法改善
を募り、行政は必要最低限の支援
(教育課)
を行うべき。
できる限り経費を掛けないで撤
中央公民館長谷別館
去し、早期に廃止すべき。
施設管理運営
休廃止
休廃止
(教育課)
施設が新しいため早期の廃止は
大谷自然公園管理運
困 難 と 考 え る が 、 施 設 PR の 充 実
手法改善 手法改善 や 利 用 者 の 向 上 に 努 め 、 絶 え ず 改
営事務
善するという姿勢で取り組むべ
(建設課)
き。
産業まつりの原点に戻って商工
会などが主体となって実施する
ことは重要である。また、その年
産業まつり事業
のテーマ設定、町内企業への働き
手法改善 手法改善
かけ、地元住民をイベントにより
(企画財政課)
多く参画してもらうなど、さらに
賑わいのあるイベントになるよ
う努めるべき。
備品の使用状況や耐用年数など
を台帳で適切に管理し、備品の必
教材備品整備事務
要性を十分精査すべき。また、業
コスト縮小 コスト縮小
務分担や事務の進め方を見直し、
(教育課)
人件費を含めてコストを縮小す
べき。
財政的に可能であればコストを
拡大すべきだが、財政事情が厳し
保育所・幼稚園学用
いため現状維持とする。また、総
現状維持 現状維持
品費補助金事務
合的な子育て施策の中でこの事
(教育課)
業を議論し、支給方法を含めて検
討すべき。
楽しみにしている利用者はいる
とは思うが、町の財政状況と長期
総合プール管理運営
的に必要な修繕費を考慮して、ど
現状維持
休廃止
事務
のくらいの期間が利用可能なの
(教育課)
か、廃止の時期を含めて検討すべ
き 。な お 、将 来 的 に は 廃 止 す べ き 。
人権問題に関する取組は必要だ
が、参加者が固定化していること
人権問題地区懇談会
や講演会方式の今のやり方では
現状維持 手法改善 有 効 と は 言 え ず 、 実 践 力 が 伴 う 人
事業
権啓発のやり方に改善すべき。ま
(教育課)
た、業務内容を見直すことで人件
費コストを削減すべき。
図書室管理運営事務
6
(教育課)
7
8
9
10
11
12
13
14
15
外部評価の説明
-4-
No
事務事業
一次評価
(内部評価)
外部評価
外部評価の説明
教育課から福祉人権課へ所管の
見直しを行い、高齢者施策として
本事業を実施すべき。また、所管
敬老の日事業
16
コスト拡大 コスト縮小 の 見 直 し に よ る 事 務 の 合 理 化 や 、
(教育課)
記念品支給の是非について検討
し、コストの縮小につなげるべ
き。
文化施策は費用対効果だけで判
断することができないが、現在の
やり方は、人件費に多くのコスト
を掛けているので、事業費と人件
費の配分を見直し、その結果とし
資料館企画展開催事
て総コストの削減は可能と考え
17 業
現状維持 手法改善
る。また、社会教育施策の中での
(教育課)
本事業の位置づけを再確認し、コ
ストを重点的に投資すべき事業
なのかを含めて考え直すべき(そ
の中で、2 年に 1 回の開催なども
検 討 す べ き )。
健康増進という本来の目的を踏
まえて、利用者数の向上や健康の
総合福祉センター管
啓発など施設の有効利用につな
理運営事務(管理・
がる方策を講じるべき。また、こ
18
コスト縮小 手法改善
の施設の目的に応じた業務を実
保健棟)
施すべきで、そうでない業務は他
(保険健康課)
の施設との整理・集約を図るべき
( 特 に 、 エ ル ゴ メ ー タ ー )。
トレーニングルームについては、
施設の目的やあり方を考え直し、
明確にした上で、トレーナーの有
総合福祉センター管
無やトレーニング器具(有酸素運
理運営事務(ふれあ
19
コスト縮小 コスト縮小 動 ・ 筋 力 ト レ ー ニ ン グ ) の 内 容 を
い棟)
検討して、コスト縮小につなげる
(保険健康課)
べき。また、アリーナ(体育館)
については、料金水準の妥当性に
ついて検討すべき。
町営住宅を維持していくための
町営住宅維持事業
20
現状維持 現状維持 事 業 は 必 要 で あ り 、 現 状 の ま ま 続
(建設課)
けるべき。
現在の集合研修を中心とした内
容を見直し、町の直面する行政課
題を議論し、職員一人ひとりの意
町職員研修事務
識改革につながるような中身の
21
手法改善 手法改善
ある研修を実施すべき。また、民
(総務課)
間 で 行 わ れ て い る よ う な 研 修 ( QC
手法)などを研究し取り入れるべ
き。
-5-
8.外部評価の総括及び今後の課題・提言
(1)外部評価の総括
①行政評価制度について
(ア)評価制度の導入について
行政の事務や事業を自主事業や法定事務などの事務の類型で分け
て、人件費を含めた総費用を定量的に分析する評価制度の導入は妥
当である。また、事務合理化には欠かせない事務の従事時間につい
て、業務日誌により把握したことは高く評価するが、この情報を細
かく分析・検証し、事務合理化につなげていくことが何よりも重要
であることを忘れてはいけない。
(イ)評価シートについて
評 価 シ ー ト の 形 式 等 に つ い て は 理 解 で き る が 、書 か れ て い る 情 報 に
ついては、必要な情報とそうでない情報が混在しているものも見受
けられる。これは、物事の整理が付いていない証拠である。特に、
事 務 事 業 の 目 的 に 関 し て は 、「 そ も そ も 何 の た め に や っ て い る の か 」
が不明確なものも見受けられるため、もう一度、目的を整理する必
要がある。
(ウ)内部評価(一次評価)について
行 政 内 部 の 評 価 結 果 で は 、全 4 0 3 件 の 事 務 事 業 の 内 、約 7 割 近 く
の事務事業が“現状維持”とされている。どの自治体でも同様の傾
向になると思われるが、過去の延長線上で考え、何をしていいのか
分からないので、一番安易な方法を選択しているのではないか。そ
ういう前例踏襲の姿勢を改め、細かく評価・検証してもらいたい。
特に、法定事務といえども、事務合理化による従事時間の短縮は可
能と考えるので、現状どおりという考えをなくすべきである。
(エ)外部評価の導入について
本来であれば行政内部から主体的に改革していくことが望ましい
が、内部評価の結果からも内部だけでは困難であると感じる。よっ
て、今回の外部評価の取組みが改革への第一歩だと思うので、時期
を見て再度行い、行政改革につなげるべきである。
また、外部評価の成果は事務事業の“※ムリ・ムダ・ムラ”を徹底
的に発見し、そこにメスを入れていくことであるので、その判断材
料となる情報・資料の収集を求める。
※
「 ム リ ・ ム ダ ・ ム ラ 」と は 事 務 や 作 業 の 合 理 化 の 際 に 使 わ れ る 用 語 で あ る 。
「ム
リ 」は 負 荷 が 能 力 を 上 回 っ て い る 状 況 、
「 ム ダ 」と は 逆 に 能 力 が 負 荷 を 上 回 っ て
いる状況、
「 ム ラ 」と は ム リ と ム ダ の 両 方 が 混 在 し て 表 わ れ る 状 況 。例 え ば 、2
ト ン ト ラ ッ ク に 3 ト ン の 荷 物 を 積 む こ と が「 ム リ 」、逆 に 1 ト ン の 荷 物 し か 積 ま
な い こ と が 「 ム ダ 」、 ム リ と ム ダ が 混 在 し た 状 態 が 「 ム ラ 」 で あ る 。
-6-
②外部評価の対象事業について
(ア)アンケート事業について(11事業)
※
ア ン ケ ー ト 事 業 に つ い て は 、住 民 参 加 型 の 事 業 が 中 心 で あ り 、そ
の調査結果からは、一般町民がどれだけ事業に関心があるのかは分
かるが、その事業を「やめるか、やめないか」は判断できないはず
である。よって、アンケート調査の結果を基に外部評価で議論する
のは困難であるので、アンケート事業については別の判断が必要に
なる。
※
行 政 評 価 に 関 す る ア ン ケ ー ト 調 査 ( 平 成 21 年 8 月 実 施 )
(イ)外部評価に望ましい対象について
外 部 評 価 に は 、事 務 事 業 の“ ム リ ・ム ダ ・ム ラ ”を い か に 減 ら し て い
くのかが要求され、そのためには、職員の従事時間について、更に
細かい情報が必要である。例えば、職務職責に応じた業務内容や従
事時間の使い方などの情報が評価の判断材料として必要となる。
今 後 の 課 題 と し て 、現 状 の 大 ま か な 従 事 時 間 の 情 報 を 細 か く 分 析 し 、
どうしたら事務合理化につながる情報になるのかを勉強してもらい
たい。
③情報公開・説明責任について
(ア)住民への周知について
外 部 評 価 の 取 組 み が 、一 般 町 民 に は「 国 の 事 業 仕 分 け 」と 同 じ よ う
な感覚で“ただ削っているだけ”という誤解があるようだ。我々と
しては、そういう感覚で評価しているわけではなく、特に、職員の
意識改革・人材育成に主眼を置いているので、このことをきちんと
町民に対して周知していただきたい。
ま た 、外 部 評 価 の 取 組 み は 、財 政 状 況 が 厳 し い か ら 、ど う し て も“ 削
る”という暗いイメージがあり、それだけでは、今後のまちづくり
に夢がない。この評価が終わった後、まちづくりの明るい材料を創
っていただきたいし、我々、町民もまちづくりを議論できる機会を
確保してもらえば、一緒に考えていきたい。
(イ)説明責任について
外 部 評 価 の 取 組 み は 、一 般 公 開 を 原 則 に 会 議 を 進 め た が 傍 聴 者 は い
なかった。また、公募委員についても、相当数が応募されると思っ
ていたが、そうではなかった。外部評価の中身は、一般町民は知る
はずもないので、町民の関心や興味を醸成するため、この取組み内
容を分かりやすく周知することは重要だが、興味津々たる町民に対
して、きちんと説明責任を果たしていくことも重要である。
-7-
④外部評価の結果について
(ア)評価結果について
外 部 評 価 の 成 果 を 上 げ て い く た め に は 、定 量 化 し た 外 部 評 価 の 結 果
というものが求められてくる。しかしながら、担当課からのヒアリ
ン グ を 通 じ て 具 体 的・定 量 的 に 提 案 さ れ る こ と は ほ と ん ど な か っ た 。
ま た 、我 々 も 今 の よ う な 大 ま か な 情 報 で は 具 体 的・定 量 的 に 評 価 す
るには限界があり、外部評価の結論は出したが具体案の提示までは
至らなかった。更に言えば、行政評価の“ものさし”とされる成果
指標等で評価ができたのかという疑問もある。
こ の よ う な こ と か ら 、今 回 の 行 政 評 価 の 取 組 み は 、評 価 手 法 を 行 政
に取り入れたことが最大の成果であり、まずはこれがスタートの第
一歩である。よって、今後の評価制度自体をどのように改善してい
くのかを我々は注視しているし、そのことを期待する。
(イ)評価結果の反映
我 々 の 今 回 の 評 価 結 果 に つ い て は 、評 価 シ ー ト 及 び ヒ ア リ ン グ を 基
に結論を出したに過ぎず、事務事業の中身を熟知しているのは、他
でもなく職員の皆さんである。会議の論点となった「なぜ、そんな
に時間が掛かるのか」ということについても、多い少ないといった
評価はできても、その事務の必要性について判断することはできな
い。要するに、最終的には行政内部で改善活動の機運を醸成するこ
とが何より重要である。今回の外部評価では全15課局の内、6課
の事務事業を対象としたが、対象としていない課局の職員の皆さん
にも、この会議での議論を周知徹底していただき、全庁的にそうい
う組織風土を形成していくとともに、特に、今回の取組みを“机上
の空論”に終わらせないでいただきたい。
(2)今後の課題・提言
①縦型から横型への計画策定(PDCAサイクルの定着)
(ア)縦から横への計画
計画には、課単位の縦型と課横断的な横型の2種類の計画があり、
現 在 の 行 政 計 画 に は 縦 型 の 計 画 が 主 流 で あ る 。こ れ で は 、「 鞍 手 町 に
必要なまちづくりの目標」という大きな視点が欠けることになる。
例 え ば 、民 間 で 工 場 を 建 設 す る 場 合 に は 、製 造 、技 術 部 門 だ け で な
く、作業、輸送、経理部門などの全部門が寄って検討しないとフィ
ージビリティスタディ(事業可能性の検証)はできない。つまり、
あるテーマを設定し、まちづくりの目標を設定するような課横断的
なプロジェクトチームを積極的に設置し、言葉だけでなく中身のあ
る計画を策定すべきである。この中で、事務事業の位置づけや役割
を再構築することも必要である。
-8-
(イ)PDCAの定着
P D C A サ イ ク ル の 内 、P( 計 画 )の 部 分 が 最 も 重 要 で あ り 、か つ 、
一番難しい。この計画の部分を創ることができる人材を育成するこ
とが重要である。そのため、町の中核を担う職員を育成するという
感覚で、前述のプロジェクトチームのような形で研修させていくべ
きである。
ま た 、 P D C A サ イ ク ル が 重 要 な こ と は 言 う ま で も な い が 、「 単 に
PDCAを回している」と、言葉だけでごまかしてはいけない。特
に、大きな計画では具体性が欠けPDCAは回らないということを
認識し、より具体性のある小さな計画(組織単位の業務目標等)の
PDCAを回して行くことが肝要である。
②人事管理・人材育成
(ア)職務職責に応じた人事管理
現 在 の 人 事 管 理 は 、年 功 序 列 を 基 本 に し た 運 用 が な さ れ 、業 務 評 価
や 成 績 査 定 に よ っ て 昇 進 昇 格 、あ る い は 、降 格 と い っ た こ と が な い 。
こ れ で は 、 職 員 の や る 気 を 引 き 出 せ る わ け が な く 、「 頑 張 っ て も 、 頑
張らなくても同じ」といったことになる。要するに、ある程度、イ
ンセンティブがないと人間は動かない。恣意的に運用されることが
ないよう担保することは必要だが、恒久的な制度として本格的な人
事考課・業績評価制度の導入を求める。
(イ)人材育成
行財政改革や行政評価の最大のポイントは職員の皆さんの意識で
あ る 。 民 間 で は 、「 鉛 筆 一 本 買 う の に 社 長 の 決 裁 が 要 る 」 と い う 。 こ
れは、気持ちとしてはそこまで節約の意識があるということだ。ま
た、口先だけで“意識改革”と言っても意識が変わるはずがない。
外部評価の対象である「町職員研修事務」で意見があったが、人材
の育成が最重要な課題であると行政は重く認識すべきである。そし
て 、 職 員 の 皆 さ ん も 、「 職 場 で 何 が 合 理 化 で き る の か 」 を 考 え 、 具 体
的 に 示 し 、行 動 し て い く こ と が 求 め ら れ る こ と を 自 覚 す べ き で あ る 。
③その他
(ア)住民ニーズについて
過 去 、鞍 手 町 で は ず い ぶ ん“ ハ コ モ ノ ”を 建 設 し て き た が 、こ れ ら
の施設が本当に住民のニーズに合致しているとは考えられない。今
後 、“ ハ コ モ ノ ” を 建 設 す る よ う な こ と が あ れ ば 、 そ の 際 は 、 本 当 の
住民ニーズを把握し事業に取り組んでほしい。
(イ)財政の健全化について
行 財 政 改 革 や 行 政 評 価 の 取 組 み を 契 機 に 、財 政 の 健 全 化 に つ な げ て
いただきたい。そうしないと、恐らく鞍手町は立ち直らないのでは
-9-
な い か 。預 金 も 底 を 突 い た 状 態 で 、毎 年 、お 金 が 足 り な い と い う 。
「じ
ゃ あ 、 ど う す る の で す か 。」 と い う 質 問 を 本 当 に し た い し 、 財 政 の 健
全化に向けた取組みを行っているのなら、とにかく前に進んでいる
ということを町民に積極的に周知していただきたい。
-10-