第40号 第40号 アラック21 アラック21 ポ ジ テ ィ ブ リ ス ト 制 の 導入 も そ の ひ と つ で 、 病 害 虫 の 防 除 作 業 に は 大 きな 制 約 が 加わ り ま す 。 ま た 、助 成制 度の 見 直し な ど 、 農業 行 政 が 大 きく 方 向 転 換し ま す 。 大 規 模 的営 農 の み 優 遇 され る 仕 組 み に な りそ う で す。 さ ら に は 、過 剰 に なっ た 牛 乳 が 捨 てら れ て い る 事 態 に 現 れ てい る よ う に 、ま すま す顕 認識している人も多いと 思われます。しかし、実 際に農家は種を毎年買っ ているのがほとんどです。 こうなる理由は二つあ ります。一つは、ホウレ ンソウなどの葉菜類は、 生長して種をつける前に 収穫してしまうので種を とることができないこと。 もう一つの理由は高い生 毎 た ま と なぜ 毎年 種を買 うの? 最 近の 農 業に は 、こ れ ま で と は 勝手 が違 う 状況 がい く つ かあ り ま す。 前 号で 紹 介し た 一般の人の中には、 年農家のところで採れ 作物の種を、来年の種 きで使っているものだ 平成18年 平成18年 4月25日 4月25日 発行 発行 れ るこ と も 必要で す 。 今 号 で は こ れ ら に 関連 し たテ ー マ を 中心 に お 届け し ま す。 産性 を 上げ る 事 がで き るよ う よ うに 作 られ た種 を使 わ ない と、 高い 生 産性 を上 ま せ ん。 従 っ て 、全 体 の 生 産 性が 落 ち る こと に な り ま す。 ま た 、 作 物 に よ っ て は、F2、F 3になると、 種がつかなか っ た り 、 全く 別 の 作 物 でな い か と 思え る く ら い に植 物 体 の 形が 変 化 す る こと も あ ります。 F 1の 種 を 作るのには 手間がかか ります。人工 交配 の場合、作 物が花をつ けるとすぐに 雄し べを取って花 に袋をかけ 、掛け合わ せる し ょ う か。 評価さ れる 味を追 求する には品 種 を 吟 味 し 、 有 機 に 徹 し た栽 培 法 を 取 り 入 げ ら れな い 事が 多 い から で す。 高 い 生産 性 を上 げ る 種 を F 1 ( 一 代雑 種、 ハ イ ブリ ッ ドシ ー ズ )と い い ま す 。 一 般に 、 植物 は そ の両 親の 持 つ 性 質が かけ 離 れ ているほ ど収量が多 く、暑さ、寒 さや病 気 に 強 く な る 性 質 が あ り ま す 。こ れ を「 雑 種強勢」と言います。 F1は、下 図に示すメ ンデルの法則 の 基本を忠実に なぞって作 られます。 メン その 中 にあ っ て 我 々は 何 をす べ きな の で 対 象の花粉を 一つずつ付 けていかなけ れ ば なりません 。また、他 の同系統の種 の 花粉 が飛んでこ ないように 離島で作るな ど、 通常の栽培 以上に厳密 な管理を要求 されます。 しかし 、一般農家 の規模でそ れをやる のは費 用対効果の 面で不可能 に近いもの があり ます。その ため、作物の 苗を作っ て農家に 売る育苗農 家は比較的 多く見ら れますが 、ジャガイ モなどの一部 を除い て、種を 生産する農 家はほとんど いない のが現状です。 全 な も の で な け れ ば、 市 場 の評 価が 得 られ な い と い うこ と が明 確に な って き まし た。 デ ルの法則に よれば、異 なる形質を持 つ 二 つの植物を 掛け合わせ ると、その子 供 (F 1世代)は 全て優性遺 伝子による性 質が 現れます。 しかし、こ れがF2世代 にな ると、優性 遺伝子によ る形質を持つ 子供3 に対して、 劣性遺伝子 を持つ子供 が1の 割合で生ま れます。さ らに、第3 世代、 第4世代に なってくると 、もっと 多くの形 質の違いが 出てきます 。そのた めF1を 使って高い 生産性を上げ ても、 その種を 使って作る F2、F3は 、F1 ほどの高い 性能を持つ 種ばかりと はなり 著 に な っ き た農 業 生産 物 の 価格 低 迷と い う 大き い 問題がありま す。 おいし いものや安 なぜ堆肥をつくるの? 前 述したよう に農業をと りまく状況が 少 なからず変 わってきて います。貿易 の 自 由化等で輸 入農産物が 増える傾向があ る中 で、食の安 全を確保す るためのポジ ティ ブ制の導入 ではありま すが、国内農 家に とっても、 この制度の導 入は大変厳 しいも のがありま す。収穫期 の野菜に飛 散 し た 農 薬 の み な ら ず 、栽 培 水 の 成 分( 灌 水の農 薬混入)に まで留意しな ければな らないとなると大変な難題です。 アラック としても これに立ち向 かう べく共通 の問題意識を 持ち、生産 物の味 と安全を追 求する意識 改革が必要で す。 たとえ生産 者にとって 負荷が大きい 事で あっても乗り越え 動物がが 増殖し、土 壌の通気性 が良くな ります。 それがやが て、ふかふか の柔ら かい土壌となります。 し 、 植 物 の 呼 吸 を 阻 害 し ま す 。( 右 図 ) か は 奨 れ に ど 体 の し て いかなければな らな いことです。 具体的 に、今年 らトマ ト出荷は 味の評 価を得た 励品種に 限定さ ましたが、 さら は堆肥の投入 な 、有機肥料を主 としたこれまで 栽培方法を徹底 たいものです。 0172-73-2451 0172-73-3205 [email protected] http://arrack21.sakura.ne.jp/ arrackindex.htm TEL FAX mail URL 21 作物は土 壌から窒素 N・リン酸P ・カ リウムKの 主要成分を 吸収するこ とで生 長します。 土壌が本来 持つ成分には 限り があります から、作物 を作って田畑 から こ れらを防ぐ ために前も って行うのが 有 機 物 の 堆 肥 化( 完 熟 堆 肥 づ く り )で す 。 堆肥 化を科学的 に説明する と、有機物の 炭素 率(C/N 比)を低く することを言 いま す。有機物 はある程度 の量を積み上 げておくと微生物が活動を始めて発酵 し、発 熱します。 その温度は 高いときで ℃程度 まで上がる とされており 、この 熱で雑草 の種や有害 生物は死滅 します。 そうやっ て作られた完 熟堆肥を田畑 に 投入する と、作物に 養分を補給す るのみ ならず、こ れをエサと するミミズ 等の小 発 行: アラック21事務局 〒 038-3661 青森県北津軽郡板柳町福野田 字実田 51-2 曙産業(株)内 作 物を持ち出 すと、当然 の事ながら土 壌 の 持つ成分は 減っていき ます。これを 補 完 するのが作 物が必要と している成分 を 含む 肥料です。 なかでも、 家畜の糞など の有 機物を使っ て作る肥料 を堆肥といい ます 。堆肥は、 農作物を作 る上で絶対に 必要と は言わない までも、あ ると有利な ことが 多くありま す。化学肥 料と違って さまざ まな成分を 含んでいるた め、作物 が必要と する微量要 素などを補 完しやす く、土壌 を柔らかく したり有用微 生物の 繁殖を手助けしたりします。 しかし、有 機物はその まま田畑に投 入 するとさま ざまな障害 を引き起こし ます ( 未 熟 堆 肥 な ど の 弊 害 )。 ま ず 、 窒 素 飢 餓 と呼ばれる 現象があり ます。窒素飢 餓 と は、土壌微 生物が有機 物を分解する と きに多くの土中窒素を使ってしまうた め、 作物が必要 とする窒素 が不足して、 生長 が悪くなっ たり、最悪 の場合は枯れ てしま ったりする ことをいい ます。微生 物が吸 収した窒素 は微生物が 死滅すると き に は 土 中 に 戻 り ま す が 、そ の 前 に 一 時 、 窒素不足の状態になります。 また、微 生物が有機物 を分解する過 程 で炭素ガ スやアンモ ニアガスなど が発生 80
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