平成23年度 トピックス[PDF/363KB] - 福岡市立病院機構

臓 器 別 センター化 と専 門 医 療 チームのご紹 介
副院長
是永大輔
当 院 では、医 療 法 で定 められた医 療 計 画 における4疾 病 (がん、脳 卒 中 、急 性 心 筋 梗 塞 、糖 尿 病 )への対
応 を中 心 に高 度 専 門 医 療 の充 実 に努 めるとともに、地 域 特 性 により患 者 の多 い肝 臓 ,腎 臓 ,脊 椎 等 の疾
患 に適 切 に対 応 すること、また,脳 卒 中 センターの機 能 強 化 や循 環 器 系 疾 患 への対 応 強 化 などを進 めて、
高 度 救 急 医 療 の向 上 を図 ることを目 標 としています。それらを実 現 するために患 者 さんの目 線 から見 たわ
かりやすい診 療 体 制 の構 築 に着 手 し、本 年 4 月 から臓 器 別 のセンターに再 編 して、診 療 体 制 を強 化 しまし
た。従 来 から高 齢 者 や肝 硬 変 、糖 尿 病 、脳 卒 中 、心 臓 病 などの全 身 合 併 症 を有 する患 者 さんが多 いのが
特 徴 でしたので、『消 化 器 センター、肝 ・胆 ・膵 センター、糖 尿 病 センター、脳 神 経 ・脳 卒 中 センター、ハート
センター、血 管 外 科 ・透 析 センター』の6つのサブセンターを構 築 し、ハイリスクな患 者 さんに対 して専 門 医 療
チームによる安 心 ・安 全 な治 療 を行 っていきたいと考 えています。
外 来 診 療 体 制 の変 更 概 要
従 来 の区 分
新体制
フロアー
肝 ・胆 ・膵 センター
1 階
消 化 器 センター
1 階
糖 尿 病 センター
1 階
血 管 外 科 ・透 析 センター
1 階
総 合 診 療 部 (内 科 )
1 階
外 科 (一 般 ・乳 腺 ・呼 吸 器 )
1 階
循環器内科
ハートセンター
2 階
神 経 内 科 ・脳 神 経 外 科
脳 神 経 ・脳 卒 中 センター
2 階
内
外
科
科
地 域 医 療 支 援 病 院 になりました
地域医療連携室
室長
吉田喜策
1.地 域 支 援 病 院 の役 割
当 院 では、地 域 のかかりつけ医 からの要 請 に適 切 に対 応 し、地 域 における医 療 の向 上 に必 要 な支 援 を
行 います。
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病 院 の施 設 、設 備 の開 放 、共 同 利 用 の実 施 、及 び利 用 医 師 登 録 制 度 の実 施 と情 報 の提 供 、連
絡調整
救 急 医 療 の提 供
地 域 の医 療 従 事 者 に対 する研 修 の実 施
診 療 並 びに病 院 の管 理 及 び運 営 に関 する諸 記 録 の管 理
紹 介 外 来 性 の原 則 に基 づく紹 介 率 の向 上
その他 、地 域 医 療 支 援 に関 わること
2.現 在 までの実 績
1)紹 介 ・逆 紹 介
平 成 22 年 度 の紹 介 率 は 69.1%、逆 紹 介 率 は 52.4%でした。
平 成 19 年 4 月 ~平 成 22 年 3 月 までの紹 介 率 ・逆 紹 介 率
2)CT・MRI共 同 利 用
CT・MRIの共 同 利 用 件 数 は、平 成 20 年 度 は 380 件 、平 成 21 年 度 は 424 件 、平 成 22 年 度 は 413
件 でした。
年度別
CT・MRI共 同 利 用 件 数
3.今 後 の取 組 み
1)施 設 共 同 利 用 の拡 大
当 院 の施 設 を近 隣 地 域 の医 療 従 事 者 の診 療 、研 究 または研 修 を目 的 とした利 用 のために開 放 し、地
域 の医 療 機 関 との連 携 を推 進 及 び地 域 の医 療 従 事 者 の相 互 研 鎖 を図 ります。
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紹介患者診療型共同利用
医療機器利用型共同利用
研究部門利用型共同利用
研修会等参加型共同利用
2)研 修 計 画 ・勉 強 会
研 修 会 に関 しては、院 内 で実 施 している「恥 ずかしくて今 更 聞 けない」勉 強 会 などの各 種 の研 修 会 や看
護 部 の研 修 会 についても、ホームページ等 で広 報 し、地 域 医 療 従 事 者 の資 質 向 上 に貢 献 していきま
す。
研修名
研修対象者
開催計画
福 岡 東 部 オープンカンファ
レンス
紹 介 患 者 医 療 機 関 の医 師 、看 護 師 、コメディカル、消 防 士 、等
年間
3 回
福岡脳神経疾患研修会
友 愛 病 院 、原 土 井 病 院 、栄 光 病 院 、市 民 病 院 の医 療 従 事 者
年間
2 回
福岡市民病院脳卒中連
絡会
地 域 医 療 連 携 パス協 力 医 療 機 関 (13 病 院 )の医 療 従 事 者
年間
1 回
DOC会
整形外科医
年間
2 回
院内救急症例検討会
救 急 医 療 従 事 者 及 び救 急 隊 員
年間
4 回
消化管病理検討会
内 科 ・外 科 医 及 び九 大 病 院 病 理 医
年間
10 回
肝臓病理検討会
内 科 ・外 科 ・放 射 線 科 医 及 び九 大 病 院 病 理 医
年間
1 回
救 急 ワークステーション
福 岡 市 消 防 本 部 の救 急 救 命 士 及 び救 急 隊 員
1 隊 あたり隔
日 5 日 間 を年
間数十回
3)地 域 医 療 従 事 者 の資 質 向 上
地 域 の中 核 的 な拠 点 病 院 として、近 隣 の医 療 機 関 の医 師 、コメディカル、その他 の医 療 従 事 者 、消 防
関 係 者 を含 めた教 育 研 修 を積 極 的 に行 い、地 域 医 療 の充 実 に努 めます。
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地 域 の医 療 機 関 の医 療 水 準 の向 上 のため、病 院 の施 設 ・設 備 等 を積 極 的 に開 放 して研 修 を行
います。
地 域 の医 療 機 関 との診 療 連 携 の推 進 及 び医 療 技 術 の向 上 を図 るため、研 修 会 ・講 演 会 を開 催
し、地 域 の医 療 関 係 者 に参 加 を促 します。
医 師 、看 護 師 、薬 剤 師 その他 の職 員 を各 種 研 修 会 、講 演 会 の講 師 として積 極 的 に派 遣 します。
東日本大震災医療派遣報告
診療統括部長
平川勝之
平 成 23 年 3 月 11 日 、東 北 地 方 に大 震 災 が発 生 しました。
福 岡 市 民 病 院 では福 岡 市 立 の自 治 体 病 院 として、これまで
阪 神 淡 路 大 震 災 や新 潟 県 中 越 沖 地 震 時 に医 療 班 の派 遣 を
行 ってきました。平 成 17 年 の福 岡 県 西 方 沖 地 震 の際 には、
被 災 した玄 海 島 の皆 さんが仮 設 住 宅 に移 られるまでの長 期 に
わたり、避 難 所 での医 療 活 動 を行 った実 績 があります。今 回
の東 日 本 大 震 災 では 4 月 18 日 から 21 日 までの間 、日 本 医
師 会 による災 害 医 療 チーム(JMAT)として被 災 地 へ派 遣 され
ました。
派 遣 班 は医 師 1 名 、看 護 師 2 名 、薬 剤 師 1 名 、事 務 職 1
名 の構 成 としました。派 遣 先 は福 島 県 相 馬 郡 新 地 町 で、福 島
県 の北 端 で宮 城 県 との県 境 に位 置 する場 所 でした。東 海 第 一 原 子 力 発 電 所 からは北 へ約 50km の地 域
です。人 口 は 4 月 1 日 の時 点 で 8277 人 (前 月 比 マイナス 110 人 )の町 で、4 月 20 日 時 点 での被 害 状 況
は、死 者 は 91 名 、行 方 不 明 者 は 25 名 、家 屋 の全 半 壊 は 501 棟 でした。
被 災 現 場 ですが、地 震 よりも津 波 による被 害 の方 が甚 大 で、津 波 が襲 った地 域 は、恐 ろしいほど壊 滅 され
つくされており言 葉 を失 ってしまう状 況 でした。5m の津 波 にたえる防 波 堤 や港 の設 備 は完 全 に破 壊 され、
JR 新 地 駅 の駅 舎 は流 され、ホームをつなぐ陸 橋 だけが残 っていました。線 路 もなくなってしまい、ぐにゃっと
曲 った列 車 が横 たわっていました。
4 月 20 日 時 点 での避 難 者 数 は 581 名 で、避 難 所 は 5 か所 ありま
した。新 地 町 では当 初 最 大 約 2500 人 もの方 々が避 難 所 生 活 をさ
れていたそうです。医 療 班 の活 動 内 容 は、①現 地 の保 健 師 や他
県 から派 遣 されていた保 健 師 と情 報 交 換 を行 い被 災 地 住 民 の健
康 管 理 を行 うこと。②新 地 町 役 場 に設 置 された仮 設 診 療 所 での
診 療 活 動 を行 うこと。③避 難 所 を巡 回 して診 療 活 動 や健 康 相 談
を行 うことでした。仮 設 診 療 所 や避 難 所 での診 療 活 動 内 容 では、
のべ 46 名 の診 療 をおこないました。継 続 的 治 療 が必 要 と思 われ
る患 者 さんは、できるだけ復 旧 した既 存 のクリニックへ通 院 するよう
にお願 いして、私 たち医 療 班 は既 存 のクリニックの診 療 時 間 外 の
対 応 や、避 難 所 における診 療 の必 要 な患 者 の発 見 に努 めました。
避 難 所 では、膝 をついて避 難 住 民 の方 々と同 じ目 線 で接 することや、いろいろな方 法 でコミュニケーションを
とることを大 切 にしました。コミュニケーションをとりながら体 の調 子 を尋 ねたり血 圧 の測 定 をおこなってみると、
実 は様 々な自 覚 症 状 を有 しておられたり、収 縮 期 250 以 上 の測 定 不 能 な状 態 まで血 圧 が上 がっている方
を発 見 したりすることもできました。
大 震 災 から 1 か月 以 上 を経 過 したにもかかわらず、今 なお避 難 所 で不 自 由 な生 活 を送 っておられる方 が多
数 いらっしゃいます。私 たち派 遣 班 がどこまで有 効 な医 療 を提 供 できたかわかりませんが、一 部 の方 からは
大 変 感 謝 して頂 きました。また、私 たち自 身 にとっても、本 当 に大 変 貴 重 な経 験 をさせて頂 きました。とても
言 葉 で言 い表 せないほど大 変 な状 況 が続 いておりますが、一 刻 も早 い復 旧 、復 興 をお祈 り申 しあげます。
CCU を始 めました!
ハートセンター長
久保田徹
平 成 23 年 6 月 1 日 より、8 階 病 棟 に CCU(4 床 )を開 設 しました。
CCU(Coronary Care Unit、冠 動 脈 疾 患 治 療 室 )とは、主 に急 性 心 筋 梗 塞 の患 者 様 を対 象 に、病 状 が安
定 するまで集 中 的 に治 療 ・観 察 ・看 護 を行 うための特 別 な病 室 のことです。専 門 的 な知 識 と技 術 を備 えた
医 師 と専 任 の看 護 師 が診 療 に当 ります。より多 くの患 者 様 に安 心 して社 会 復 帰 していただけるよう努 めて
参 りたいと思 いますので、よろしくお願 い申 し上 げます。
心筋梗塞で来院された場合
救急車
救急外来
心臓カテーテル検査室
ICU(集中治療室)
CCU(冠動脈疾患治療室)
一般病棟(8 階)
退院
心 臓 の表 面 を走 っている冠 動 脈 という血 管 が詰 まってしまい、その先 の心 筋 に酸 素 や栄 養 が届 かなくなっ
た状 態 を心 筋 梗 塞 と言 います。そのまま放 置 しておくと、心 臓 が止 まってしまいますので、一 刻 も早 くカテー
テル検 査 を行 い、詰 まった血 管 を拡 げて、血 流 を再 開 させることが大 切 です。一 般 に、年 齢 を重 ねるにつれ
て、血 管 は固 くなり、血 管 の内 面 に粥 腫 という油 の塊 が付 着 するようになります。心 筋 梗 塞 は、ある日 、突
然 、冠 動 脈 の内 面 に形 成 された粥 腫 が破 綻 することで発 症 します。症 状 は、胸 痛 というよりも、胸 部 から喉
元 、左 肩 、時 にみぞおちにかけての違 和 感 や圧 迫 感 であることが多 く、生 汗 、吐 き気 などを伴 っていること
が少 なくありません。血 圧 が高 い方 、血 糖 が高 い方 、コレステロールが高 い方 、煙 草 を吸 う方 は、心 筋 梗 塞
を発 症 するリスクが高 いので、注 意 が必 要 です。当 院 では、必 要 であればいつでも速 やかに心 臓 カテーテル
検 査 および治 療 を行 える体 制 を整 えていますので、生 汗 がでるような胸 部 不 快 感 が 15 分 以 上 続 く場 合 は、
直 ちに救 急 車 でご来 院 ください。