6-hydroxydopamineにより誘導される 細胞死シグナルにおけるp66shcの関与 ○山盛徹1、溝端彩乃2、斎藤芳郎2、浦野泰臣2、野口範子2 1北海道大学大学院獣医学研究科放射線学教室 2同志社大学生命医科学部医生命システム学科 6-hydroxydopamine (6-OHDA) 内在性のカテコールアミン作動性神経毒 パーキンソン病の動物モデル作成に広く利用される 6-OHDA p-quinone 6-OHDAにより惹起される細胞内シグナルに ついては不明な点が多い p66shc : mediator of oxidative stress • shc : src homology 2 domain containing ⇒ 増殖因子シグナルに関わる アダプタータンパク質 <shcA各アイソフォームのドメイン構造> p66shcは酸化ストレス感受性に関与する p66shcを欠損したマウスにおいて、約 30%の寿命延長が観察された。 糖尿病や動脈硬化の動物モデルにおいて、 p66shc欠損により酸化ストレスレベル が減弱した。 紫外線や過酸化水素などの酸化ストレス によりp66shcのSer36がリン酸化さ れた。 p66shc Ser36のリン酸化は、酸化ス トレス誘発細胞死に重要である。 CH2 : collagen homology 2 PTB : phosphotyrosine binding CH1 : collagen homology 1 SH2 : src homology 2 Migliaccio E, et al. Nature (1999), Francia P, et al. Circulation (2004), Nemoto S, et al. Science (2003), Menini S, et al. Diabetes (2006) Objective 6-OHDAにより誘導される細胞死にp66shcおよび そのリン酸化が関与しているかどうかを明らかにする。 ① 6-OHDAによりp66shc Ser36リン酸化が引き起こされるか? ② 6-OHDA誘導細胞死に対して、p66shc遺伝子導入がどのように 影響するか? Materials & Methods 細胞: ヒト神経芽細胞腫由来SH-SY5Y細胞 野生型マウス胚線維芽細胞 (WT MEF) p66shc ノックアウトマウス胚線維芽細胞 (p66-/- MEF) 阻害剤: SP600125(JNK阻害剤)、PD98059(MEK阻害剤)、 SB203580(p38 MAPK阻害剤)、Hispidin(PKCβ阻害剤) 細胞毒性: MTT assayまたはtrypan blue色素排除能試験 p66shcリン酸化: 抗リン酸化p66shc (Ser36)抗体およびshc抗体を用いた イムノブロット 遺伝子導入: p66shc(正常型/S36A変異体)をレトロウイルスベクターにて p66-/- MEFに導入後、puromycinにより安定発現細胞を薬剤選択 6-OHDAはSH-SY5Y細胞において細胞毒性を示す MTT assay in SH-SY5Y cells ** : p < 0.01 6-OHDAはp66shc Ser36のリン酸化を引き起こす Immunoblot in SH-SY5Y cells • Dose response Time : 15 min • Time course Dose : 100 µM 6-OHDA誘導p66shcリン酸化は PKCβにより調節される Immunoblot in SH-SY5Y cells • 6-OHDA : 100 µM, 15 min SP: 5 µM SP600125 (JNK inhibitor) PD: 50 µM PD98059 (MEK inhibitor) SB: 20 µM SB203580 (p38MAPK inhibitor) Hispidin (20 µM; PKCβ inhibitor) 6-OHDAの細胞毒性は過酸化水素に依存する 6-OHDA p-quinone MTT assay in SH-SY5Y cells catalase : 50 U/ml ** : p < 0.01 6-OHDA誘導p66shcリン酸化は 過酸化水素により引き起こされる Immunoblot in SH-SY5Y cells • 6-OHDA : 100 µM, 15 min / H2O2 : 50 µM, 15 min catalase : 50 U/ml p66shcは6-OHDAの細胞毒性発現に重要である Immunoblot in MEFs Trypan blue dye exclusion test in MEFs • 6-OHDA : 100 µM ** : p < 0.01 * : p < 0.05 p66shc Ser36リン酸化は 6-OHDA細胞毒性発現に必須である Immunoblot in p66-/- MEFs Trypan blue dye exclusion test in p66-/- MEFs • 6-OHDA : 100 µM ** : p < 0.01 Conclusion SH-SY5Y細胞において、6-OHDAは細胞死とPKCβ依存性の p66shc Ser36リン酸化を引き起こした。 6-OHDAに由来する過酸化水素が細胞死とp66shcリン酸化を 引き起こした。 p66shc-/- MEFは6-OHDAによる細胞死に対して抵抗性を示 した。 p66shc-/- MEFに正常型またはS36A変異型p66Shcを導入 すると、正常型p66shcを発現した細胞のみが6-OHDAに対す る感受性を獲得した。 6-OHDAにより誘導される細胞死のシグナル伝達に、 p66shc Ser36のリン酸化が重要な役割を担うことが 示唆された。
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