山梨県甲府市 - Microsoft

自治体システム
山梨県甲府市
ソリューション概要
○プロファイル
甲府市
(http://www.city.kofu.yamanashi.jp/)
は、武田信玄公の父である信虎公によりまちづくりが始めら
れ、以来甲府城の城下町として栄えてきた歴史のあるまちで
す。山梨の政治、経済、文化の中枢として発展しており、平
成 12 年 11 月 1 日には特例市へ移行し、地方分権時代を
担う地方中核都市として位置付けられています。
環境にも恵まれており、南に富士の霊峰、北に八ヶ岳と金峰
山、西にアルプス連峰を望み、秩父多摩甲斐国立公園の主峰
を源とする荒川が市内を貫流しています。「山の都」と呼ば
れるように、自然豊かな落ち着きを見せた盆地都市です。
○シナリオ
・総合文書管理システム
・ワークフロー
・グループウェア
・システム連携基盤
「日本一親切ていねいで明るい市役所」を目指し
文書管理システムを導入
Microsoft .NET の柔軟性を活かして他システムとの連携を実現
山梨県の中核都市として政治、経済、文化の中心的役割を果たしている甲府市は、
IT 先進市として規範となるべく情報化推進プロジェクトを進めています。「日本一
親切ていねいで明るい市役所」を目指して、役所内の業務効率向上や、さまざまな
場所、さまざまな手段で市民の声を受け付けられるよう、システム整備を進めて
います。今回、住民とのコミュニケーションや地域での協力体制を重視した“わ”
の都にふさわしい、柔軟で使いやすい総合文書管理システムやワークフロー管理の
システムの導入を決めました。システムそのものだけでなく、導入の方法について
も工夫を重ね、調達ガイドラインを策定し、情報システムの調達を標準化・効率化
することにより TCO の削減はもちろん、さまざまな計画の実現を担保するなど、
バランスのとれた情報化を推進しています。
○ソフトウエアとサービス
・Microsoft Windows Server ™ 2003
・Microsoft SQL Server 2000
・UniCity 統合文書管理システム
(日本ユニシス株式会社)
導入の背景とねらい
市民から望まれる行政サービスをスムーズかつ迅速に
○パートナー
提供する。これが市役所に求められている役割です。
・NTTコミュニケーションズ株式会社
・株式会社テプコシステムズ
・日本ユニシス株式会社
・株式会社ジインズ
・東京レコードマネジメント株式会社
○協力企業
・株式会社富士総合研究所
(BPRコンサルティングを担当)
○メリット
自治体特有の文書事務の実態に即した総合的な文書管理が
行えます。BPR と共に進めているため、通常多くのカス
タマイズが必要となりますが、今回導入を決めた「UniCity
総合文書管理システム」は、あらかじめ各種必要機能を広
く包含しており、改修コストを抑えた導入、運用が可能と
なっています。
○ユーザーコメント
「自治体を取り巻く状況の変化にも対応し、長く使い続け
られる柔軟性の高さ、Web サービスによる他システムと
の連携性の高さ、そして使いやすさ、もちろんコスト面も
含め、総合的に見て .NET 版の UniCity 総合文書管理シ
ステムを選択したと言えるでしょう」
全国の多くの市町村ではバブル崩壊以降、人口の漸減
傾向が続いています。この傾向は甲府市でも例外では
ありません。人々が暮らしやすい都市、特に若者や子
育て世代にとって自分たちの意見が市政に反映される
5 つの『わ』
魅力ある都市となることが、課題と考えられています。
甲府市においても、常に念頭においているスローガンとして「日本一親切ていねいで明るい
市役所」を挙げ、より良い行政サービスの提供を目指してきました。
甲府市は人々が過ごしやすい「『わ』の都」の実現に向けて、さまざまな方策を計画しています。
『わ』の都には、次の 5 つの意味が込められています。1 つ目は、対話を重視し、合意を基
本においた市政を推進する「話」の都です。そして次は、市民が相互に地域連帯の精神を機
軸として、個々の利害を超えて支え合う「和」の都。3 つ目は、多様で重層的な地域全体の
連携による活力溢れる「輪」の都。また住環境も視野に入れ、花と緑に溢れた環境共生によ
る住み良い「環」の都という意味も持たせています。そして最後の 5 つ目は、驚きや感激
する都市ということで、市民一人一人がその個性と能力
を十分に発揮できる創造性豊かな「ワッ!」の都です。
「このような『わ』の都になるためには、5つの『わ』
がスムーズに回転して、それぞれがつながり合わなく
甲府市役所
総務部 情報管理課
情報化推進係 係長
土屋光秋氏談
てはなりません。さまざまな設備や政策が必要ですが、
その一つに、気軽かつ簡単に、意見を市に伝えられる
環境やしくみというものがあります。また市役所内に
は収集した意見や、内部の書類を効率的かつ正確に処
理できるしくみが必要になります。つまり情報化は『わ』
の潤滑油でもあり、それぞれをつなげる接着剤でもあ
甲府市庁舎
るわけです」と、甲府市長の宮島雅展氏は市政におけ
る IT の重要性を説いています。
システム導入のポイント
義から当該システムの構築事業者の選定までを甲府市と共同で行うコンサル
ティングも締結しています。そのため、すべての前提条件を了知した NTT コミュ
『わ』の都を実現するための独自の IT 戦略だけでな
ニケーションズが、実際の構築を行う業者と甲府市の間に立つことで、SLA を
く、e-Japan 戦略の下で住基ネットや LGWAN( 統
担保した契約を甲府市は結んでいます。このことにより、低コストで高機能の
合行政ネットワーク ) への接続など、全国レベルで
システム調達を成功に導くことができたのです。甲府市は、こうした方法を盛
進められている IT 化の取り組みも甲府市では率先し
り込んだ「情報システム調達ガイドライン」作りを進め、庁内の他のシステム
て進めています。現在多くの市町村で注目を集めて
にも活用しています。今回のシステム導入では、前述の NTT コミュニケーショ
いる電子申請についても、いくつかの申請や届出を
ンズがシステムインテグレータとしてプロジェクト全体をまとめ、システム構
いち早く実現しています。IT 化を進め、さまざまな
築事業者である株式会社テプコシステムズを柱に、日本ユニシス株式会社、株
システムを導入して住民に対する充実した行政サー
式会社ジインズ、株式会社富士総合研究所、東京レコードマネジメント株式会
甲府市長
宮島雅展氏
ビスを提供することは、地方都市にとって一層重要になっています。行政サー
社が関わっています。
ビスの向上を確実に実現するために、甲府市ではシステムの機能、性能だけ
土屋氏は、山梨県と県内全市町村が参加している山梨県市町村電子申請受付共同
でなく、導入する方法にまでこだわって、失敗のないシステム導入を心掛け
事業を進める、市町村総合事務組合電子自治体推進室長を務めており、その立場
ています。このため非常に厳しい目で、製品やシステムを選定しました。こ
からも調達ガイドラインの重要性を説いています。「電子申請の受け皿としての文
うした厳しい製品選定の環境下で選ばれたのが .NET 版の UniCity 総合文書
書管理システムは多くの市町村で必要になります。今回の甲府市における導入を
管理システムなのです。
モデルケースにするために、プロジェクト体制の組み方やシステム調達の方法ま
今回のシステム導入にあたって中心的役割を果たし
で含めた、失敗しないためのノウハウ作りになるように心掛けました」( 土屋氏 )
た甲府市役所の土屋光秋氏は、厳しいシステム選定
を行うための詳細な要件定義だけでなく SLA( サー
ビスレベルアグリーメント ) の必要性を説いていま
導入システムの紹介
す。「市役所ではいったん決まった予算は原則として
近年構築する多くのシステムは、他のシステムとの連携を求められる
変更できません。失敗しても方向を変換してやり直
ケースが増えています。それは民間企業においても、官公庁や地方自治
すことはたいへん難しいのです。そこで変更が発生
体においても変わりません。さまざまな情報を、経営戦略に反映させる
しても追加コストが極力抑えられるようにするため、
べく情報システム化に取り組む、あるいは紙の意見書や Web などの多
通常は個別に話し合いで決める内容まで盛り込んだ
様なチャネルを使って意見を収集して管理し、一部を Web で公開する
詳細な SLA を締結しました。詳細に取り決めをしただけでなく、トラブルが
など、複数の機能やシステムが連携し合うことで、より高度な情報化が
連続した場合にシステムの再構築を確約させるなど、厳しいペナルティも要
実現できるのです。
求しています」( 土屋氏 )
今回甲府市で導入を決めた総合文書管理システムにおいても、文書管
甲府市はこのような SLA を、実際にシステム構築を行う業者と直接締結する
理機能が優れているだけでなく、同時に構築するワークフローやグルー
のではなく、システムインテグレータである NTT コミュニケーションズ株式
プウェア、職員認証(シングルサインオン)などとの連携容易性を重視
会社と締結しています。NTT コミュニケーションズとは、システムの要件定
しました。UniCity 総合文書管理システムは、自治体文書管理業務の
甲府市役所
総務部 情報管理課
情報化推進係 係長
土屋光秋氏
システム構成図
豊富な機能を有するだけでなく、.NET テクノ
システムのパッケージですべて実現可能とい
ロジの採用により、XML ベースの環境で動作
う回答でした。つまり、どのパッケージでも必
するため他のシステムとの連携が容易になり、
要な機能はほぼすべて備えているということで
快適な操作性を実現しています。甲府市では今
す。しかし実際には、利用者に複雑な運用を求
回のシステム導入を文書管理という単体のアプ
めていたり、単純なカスタマイズではなく、パッ
リケーション構築ではなく、ワークフローなど
NTT コミュニケーションズ株式会社
e- ガバメント営業部
担当課長代理
IT コーディネータ
三輪憲氏
と連携した仕事のしくみを変えるほどの大規模
ケージそのものに手を入れることになりかねな
い大幅な変更が含まれると見受けられるものも
による業務プロセスの改革であると位置付けて
日本ユニシス株式会社
官公庁事業部
自治体ビジネス部
第二グループマネージャー
松永大氏
いるのです。この BPR については、株式会社
シスの .NET 版の UniCity 総合文書管理システムだったのです。
なシステムの構築であり、BPR との同時進行
ありました」。こうした状況の中で採用を決め
たのは、テプコシステムズが推奨する日本ユニ
富士総合研究所が提案するバランスト・スコアカード(BSC) 手法を
テプコシステムズでは UniCity 総合文書管理システムを、その前身
用いた行政 BPR を取り入れました。甲府市にとって最適な業務フロー
となる製品の時代から取り扱っており、機能についても熟知していま
を短期間で設計し、パッケージのオプション設定、カスタマイズ範囲
す。「製品の特長を一言で言えば、カスタマイズの自由度が高いとい
を明確に切り分けることができる点が採用のポイントとなりました。
うことです」とテプコシステムズの軽部隆氏は言います。「製品その
自治体に必要とされる文書管理システムは、機能面でも民間企業に適
ものだけでカスタマイズできる設定項目が幅広く、柔軟にかつ低コス
用するものとは性格が違います。まず、自治体ならではの複雑な文書
トで業務に適応させることができます。文書の作業フローから画面レ
決裁フローに対応する必要があります。たとえば市の提案書を、県の
イアウト、画面遷移まで、項目設定により各自治体の個別ニーズに合
組織で承認を受ける必要がある場合や、中央省庁の承認を受けること
わせることができるのです。特に .NET 版になってからは、他のシス
もあります。さらにその後に、市役所内の上位組織で審査するといっ
テムとの連携も Web サービスを使って簡単に組み込めるようになっ
たように、文書の種類によって経路は千差万別になります。また、組
ています」と、カスタマイズの容易性、経済性について評しています。
織的に用いられる文書は原則として情報公開の対象となるため、公開
UniCity 総合文書管理システムのもう一つの特長は、管理する文書の
のために必要な機能が求められます。「基本的な機能は、どのベンダ
形態を問わないことです。「地方自治体や中央省庁などでは、電子化
の文書管理システムでも備えているようです。しかし、他の複数のシ
された文書と紙とが混在しているというのが現状です。UniCity 総合
ステムと連携する場合、状況は微妙に異なってきます。できないと答
文書管理システムはさまざまな種類の文書が混在する環境で、それ
えるベンダはありませんが、実現方法の違いにより、追加コストや構
らをシームレスに管理するしくみを豊富に備えています。また日本ユ
築期間に差が現れてくるのです。つまり、システム間連携は簡単にで
ニシスでは、これまで中央省庁、地方自治体問わず文書管理分野で多
きるのか、その機能は標準で備えているのか、という問いに対して、
くのシステム構築経験があり、そういう意味では多様なユーザーの声
ベンダや製品ごとに答え方が変わってくるのです」と土屋氏は言いま
を数多く取り込んで作られていると言えるでしょう」と、日本ユニシ
す。連携はできるが膨大な作業になるものや、多くのオプション製品
スの松永大氏は、豊富な機能と構築実績という点が今回の採用につな
が必要になるものから、ほぼ標準パッケージの
ままでできるものなど差があるのです。
株式会社テプコシステムズ
営業本部
公共営業グループ 担当課長
IT コーディネータ
軽部隆氏
がっているのではと解説しています。
「現在はまだ試用段階ではありますが、使いやすさを実感しています。
この点について、今回甲府市の情報化推進プロ
市役所の職員の情報リテラシは、全員が非常に高いとは言えません。
ジェクトのパートナーを務めた NTT コミュニ
今回構築する文書管理システムは、パソコンの操作が得意とは言えな
ケーションズの三輪憲氏は次のように説明しま
いユーザーでも十分に使いこなせるものでなくてはなりません。使い
す。「今回の文書管理システムの構築について
やすさも採用のポイントとして重視しました」と、甲府市役所の深澤
は、複数のベンダで提案コンペを行いました。
健二氏は、述べています。「他システムとの連携性の高さ、長く使い
詳細項目まで指定したシステムの要件に対する
続けられる柔軟性の高さ、導入のしやすさ、使いやすさ、もちろんコ
各社からの企画提案では、ほとんどの文書管理
スト面も含め、総合的に見て .NET 版の UniCity 総合文書管理シス
テムを選択したと言えるでしょう」と土屋氏は、.NET 版のアプリケー
財務会計システム
・予算管理
・決算管理
契約システム
・入札管理
・契約管理
事業管理システム
・事業執行管理
・事業進捗管理
行政評価システム
・事業執行評価
ションのレベルを高く評価しています。
システム連携基盤
会計システム
・会計管理
・資産管理
甲府市
ワークフロー(電子決裁)
・文書稟議管理
・決裁履歴管理
予算編成システム
・予算管理
・執行管理
システム構築契約
SLA契約
文書管理システム
■ システムインテグレータ
□ システム連携基盤構築担当
NTTコミュニケーションズ
・文書収受
・文書保管
システム構築契約
SLA契約
グループウェア
■ システム構築業者
□ グループウェア、職員認証構築担当
□ インフラ構築担当
テプコシステムズ
※今回の構築対象範囲
・人事履歴管理
・職階情報管理
・給与管理
システム概要図
・緒手当管理
・申請管理
・超過勤務
日本ユニシス
ジインズ
人事、給与、庶務事務システム
□
グループウェア開発担当
システム構築体制図
□
文書管理システム、
ワークフロー構築担当
富士総合研究所
東京レコードマネジメント
□
BPRコンサルティング担当
今後の展望
今回導入を決めた総合文書管理システムは、
機能の再検証や試用を進めて 2005 年 4 月
に稼動を開始する計画です。この「総合文
書管理システム」は、文書管理を中心として
ワークフロー、グループウェア、職員認証(シ
ングルサインオン )、システム連携基盤を総
甲府市役所
総務部 情報管理課
情報処理係 係長
深澤健二氏
合的に構築するもので、甲府市の目指す「電
子市役所」構築の全体を見渡したときには、
「基盤」の整備にあたるものです。
今後この「基盤」を利用し、電子的な申請、届出システムとの連携
起案画面
や電子公文書交換、情報公開、さらには市民への電子的な公文書の
交付などへ進めていくものであります。また、内部事務においては、
既存の財務会計システムや人事給与システムなどとの情報連携を通
じて、NPM(ニューパブリックマネジメント ) など顧客(市民 ) 志
向の行政を実現するため、事業を軸にした行政執行をマネジメント
するシステムへの発展を目指しています。こうした中でも、.NET
を使ったシステムの柔軟性という特長を最大限活かして、多くのシ
ステムとの連携を進めることにより、短期間で TCO の軽減を両立
させることが可能になります。
情報システム調達ガイドラインは、システムの企画段階から構築、
運用といったシステムのライフサイクル全体を通しての目的適合性
や改善方法、コスト管理といった考え方を示したものです。より優
承認・決定画面
れたシステムをより低コストに構築し、トラブル発生を抑制しつつ、
発生した場合の対処や改善の方向性をあらかじめ明確にすることに
より、透明性の高いシステム調達が可能になり、公共側とベンダが
パートナーシップを結ぶことが可能になります。今後さらなる改良
を加えて、よりよい市民サービスが提供できるようにする予定です。
「今回のシステムは、直接のユーザーである職員の利便性を考えたも
のですが、最終的な目標は市民に対する行政サービスです。行政側
の都合に合わせたシステムを構築するのではなく、行政事務のあり
方から改めることも視野に入れて、住民主体の行政を作ることと、
そのためのシステムを構築することが目標になっています。この目
標に向けた改良は今後も継続して行います」( 土屋氏 )
フォルダ管理画面
導入についてのお問い合わせ
本ケーススタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/japan/showcase/
本ケーススタディは、情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。
製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。
■インターネットホームページ http://www.microsoft.com/japan/
■マイクロソフト インフォメーション センター 東京 03-5454-2300 大阪 06-6347-9300
(9:30 - 12:00 13:00 - 19:00 土日祝日、弊社指定休業日を除きます)※電話番号のおかけ間違いにご注意ください※
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