国立成育医療センター - 国立成育医療研究センター

国立成育医療センター
National Center for Child Health and Development
レジデント研修案内
平成21年度版
〒157-8535
東京都世田谷区大蔵 2-10-1
URL: http://www.ncchd.go.jp/
目
次
国立成育医療センターの概要 ....................................................................................................... 4
研修施設 ..................................................................................................................................... 7
診療科と医師数 .......................................................................................................................... 9
学会等施設認定状況 ................................................................................................................. 10
レジデント研修に関する問い合わせ ........................................................................................ 10
総合診療部
DEPARTMENT OF INTERDISCIPLINARY MEDICINE ........................ 11
第一専門診療部
消化器科
DIVISION OF GASTROENTEROLOGY .......................... 25
第一専門診療部
循環器科
DIVISION OF CARDIOLOGY .......................................... 27
第一専門診療部
呼吸器科
DIVISION OF PULMONARY MEDICINE ....................... 33
第一専門診療部
血液腫瘍科/固形腫瘍科
DIVISION OF HEMATOLOGY AND
ONCOLOGY ............................................................................................................................ 35
DIVISION OF ALLERGY ........................................... 41
第一専門診療部
アレルギー科
第一専門診療部
膠原病・感染症科
DIVISION OF INFECTIOUS DISEASES AND
RHEUMATOLOGY ................................................................................................................. 46
第一専門診療部
内分泌・代謝科
DIVISION OF ENDOCRINOLOGY AND
METABOLISM ........................................................................................................................ 48
第一専門診療部
腎臓科
第一専門診療部
神経内科
DIVISION OF NEPHROLOGY ............................................ 52
DIVISION OF NEUROLOGY ........................................... 55
第二専門診療部 ........................................................................................................................ 56
DIVISION OF GENERAL SURGERY ..................................... 57
第二専門診療部
外科
第二専門診療部
脳神経外科
第二専門診療部
心臓血管外科................................................................................................ 62
第二専門診療部
整形外科
DIVISION OF ORTHOPEDICS ........................................ 66
第二専門診療部
形成外科
DIVISION OF PLASTIC RECONSTRUCTIVE SURGERY
DIVISION OF NEUROSURGERY ................................ 59
................................................................................................................................................. 68
DIVISION OF DERMATOLOGY .......................................... 70
第二専門診療部
皮膚科
第二専門診療部
眼科
第二専門診療部
耳鼻咽喉科
第ニ専門診療部
リハビリテーション科
DIVISION OF GENERAL OPHTHALMOLOGY .................... 73
DIVISION OF OTOLARYNGOLOGY ........................... 75
DIVISION OF REHABILITATION MEDICINE
................................................................................................................................................. 77
2
第ニ専門診療部
歯科
DIVISION OF DENTISTRY ........................................................ 79
DEPARTMENT OF PSYCHOSOCIAL MEDICINE ........................... 80
こころの診療部
特殊診療部
移植免疫診療科 ................................................................................................... 82
特殊診療部
遺伝診療科 .......................................................................................................... 84
特殊診療部
血液腫瘍科/固形腫瘍科
DIVISION OF HEMATOLOGY AND
ONCOLOGY ............................................................................................................................ 86
手術・集中治療部 ..................................................................................................................... 87
周産期診療部 ............................................................................................................................ 92
周産期診療部
不妊診療科
周産期診療部
不育診療科
DIVISION OF REPRODUCTIVE MEDICINE (STERILITY)94
DIVISION OF REPRODUCTIVE MEDICINE
(INFERTILITY) ....................................................................................................................... 97
DIVISION OF WOMEN’S HEALTH .................................... 98
周産期診療部
母性内科
周産期診療部
胎児診療科
周産期診療部
産科
周産期診療部
婦人科
周産期診療部
新生児科
放射線診療部
放射線診断科
DEPARTMENT OF RADIOLOGY ................................113
放射線診療部
放射線治療科
DEPARTMENT OF RADIOLOGY ................................119
臨床検査部病理診断科
DIVISION OF FETAL MEDICINE ................................. 100
DIVISION OF OBSTETRICS .................................................... 103
DIVISION OF GYNECOLOGY .............................................. 105
DIVISION OF NEONATOLOGY ........................................ 108
DIVISION OF PATHOLOGY, DEPARTMENT OF CLINICAL
LABORATORY ...................................................................................................................... 121
<参考>
専門医制度関係一覧表 .......................................................................................... 124
3
国立成育医療センターの概要
国立成育医療センターは 2002 年 3 月 1 日に、わが国で5番目の国立高度専門医療センター
(ナショナルセンター)として設立されました。
「成育医療」とは、受胎に始まり、子どもの身体心理的、社会的成長が完了し、次世代を産
み育てる、いわゆるリプロダクションサイクルにおける医療、すなわち胎児期、乳幼児期、
学童期、思春期および母性、父性医療を中心にその境界領域を含んだ総合的医療を指す新し
い概念の医療です。
このような医療を行うために、以下の点を理念としています。
•
•
•
•
•
•
•
•
専門診療科の枠をはずしたチーム医療を行う
患者およびその家族のこころに配慮した医療を行う
継続的医療(小児期に罹患した疾患のフォローアップ)を行う
小児救急、周産期医療、母性医療などモデル医療を推進する
患者とその家族が過ごしやすい院内環境(アメニティ)に配慮する
病院と研究所が密接に関連し高度先駆的医療、臨床研究を推進する
成育医療に関わる医師および看護師等のコメディカルスタッフの教育、研修を行う
成育医療に関する情報の集積と発信を行う
この背景として、わが国における超少子化傾向が存在します。2005 年 6 月公表のわが国の
合計特殊出生率は、1.29 となりました。このような出生率の著しい低下に対して、他の先進
諸国では各種の対策が講じられ、ここ数年上向いているのに対比して、きわめて特殊また深
刻な事態と言わざるを得ません。
このような少子化が急激に進む中、次世代を担う子どもやその家族の健康を守ることは国全
体の課題であることはいうまでもないことです。一方、ますます専門分化する医療環境の中
で、子どもや次世代をはぐくむ家族に対して行うよりよい医療とは何かを改めて考え、総合
的、継続的医療の実践を行うことが強く求められています。
当センターは、2005 年 3 月に「成育医療推進 10 か年計画」をまとめ、最終目標である「健
全で次世代を育成するための医療と研究の推進」を達成することになっています。
4
国立成育医療センターの4つの政策医療の柱
臨床
情報
成育医療におけるモデル医療や
高度先駆的医療を提供します。
成育医療に関する情報を
集積し、その成果をひろく
発信します。
研究
成育医療を担う
高度専門医療人を育成します。
教育・研修
成育医療の調査・研究を
推進します。
成育医療センターは、
「臨床」、
「研究」、
「情報」
、
「教育・研修」の4つを政策医療の柱として
います。そのなかで教育・研修は、高度専門医療人を養成することを目標として医師および
コメディカルスタッフの幅広い研修を行っています。
5
医師研修
レジデント研修は、センターの職員として、医師免許取得後2年間の臨床研修修了者を対象
としたジェネラリスト養成を中心としたレジデント研修を3年間、さらに、医師免許取得後
6年目相当の医師を対象としたスペシャリスト養成を中心とした専門修練医(スーパーレジ
デント)研修を 1∼3 年間実施しています。
国立成育医療センターでの医師研修
レジデント
専門診療研修
1∼3年間
後期臨床研修
3年間
必須初期臨床研修
2年間
医学部教育
5∼6年生
全ての診療科
小児科 : 総合診療部
産婦人科: 周産期診療部
協力型研修病院
総合診療部(小児科)
周産期診療部(産科)
学生実習・見学への協力
1.基本診療科での研修
医師免許取得後、3年目から5年目のいわゆる後期臨床研修として、小児科研修を総合
診療部で行い産科研修を周産期診療部で実施しています。
2.専門診療科での研修
成育分野の専門診療に関する研修は、総合診療部、第一専門診療部(小児内科系)、第
二専門診療部(小児外科系)、こころの診療部、特殊診療部、手術集中治療部、周産期診
療部、放射線診療部の全ての診療部で実施しています。
臨床研修後の基本診療科における研修(センターではレジデントに相当)を修了し、内
科系診療科、外科系診療科、産科、精神科、放射線科、リハビリテーション科などの診
療科における知識や技能を修得した卒後6年目以上の医師を対象として専門分野の研修
を行っています。
6
研修施設
国立成育医療センター
東京都世田谷区大蔵 2-10-1
病院
レジデント研修が行われる病院です。平成 14 年 3 月 1 日に開院しました。病床数 460 床、
外来患者数 900 名の病院です。
敷地 75,469 ㎡
建物延床面積 64,578 ㎡
地下 2 階、地上 12 階
病
棟:病棟は原則として年齢別の構成となっている。4床部屋と個室で構成されその他、
プレイルーム、面談室、ナースステーション、医師室、カンファレンスルームが各フ
ロアに設置されている。
11 階
東病棟
成人病棟(40 床)
10 階
東・西病棟
思春期(80 床)
9階
東・西病棟
乳児・幼児病棟(60 床)
8階
東・西病棟
幼児・学童病棟(62 床)
7階
東・西病棟
外科系病棟(78 床)
6階
東・西病棟
母性病棟、LDR,新生児(80 床)
4階
外
手術室・ICU(20 床)・ NICU
GCU (40 床)
来:外来診療は、救急を除き予約制でおこなっている。一般診察室、特殊診察室、デイ
ケア、リハビリテーション、透析室がある。
3階
周産期系・こころの診療部診察室、外科系診察室
内視鏡検査室、臨床検査室、生理検査室
2階
内科系・外科系診察室、デイケア、採血室、透析室
1階
放射線診療、患者指導、救急センター、医事課
地下1階
リハビリテーション(理学、言語、発達、心理)
医
局:病院管理棟3階(医長・医員・専門修練医)、研究所低層棟4階(レジデント等)に
あり。個別に机・椅子が配置され、各机には、インターネットに接続可能な院内 LA
Nコンセントが用意されている。出入口は常時施錠しているため ID カードで管理。
その他ラウンジ、キッチン、冷蔵庫、電子レンジ、応接室、洗面所、共有カラーレ
ーザープリンタ、共有レーザープリンタ、コピー機、FAX、個別メールボックス
等あり。(平成 18 年 4 月現在)
図書館:研究所低層棟 3 階の図書館が 24 時間利用可能、図書係は平日 8:30∼17:00 に在
室。(平成 18 年 5 月現在)
単行書蔵書数
雑誌
1,904 冊
洋雑誌:127 誌
和雑誌:87 誌
7
電子ジャーナル
オンラインのみ契約:15 誌
冊子+オンライン:43 誌
講堂・会議室等:150 名着席の講演設備の整った講堂。会議室 6 室、各病棟フロアにはカン
ファレンスルームあり。
レジデント宿舎:レジデント単身用、世帯用あり。(応相談)
駐車場:通勤者用、宿舎用駐車場あり。利用できる数は限定されている。
食 堂:病棟 12 階にレストラン、病棟地下にカフェ、売店 2 箇所あり。
電子カルテ:電子カルテシステムを導入しているので、全ての診療記録、検査、処置、注射
等オーダー、処方箋は電子カルテで実施する。採用時に講習あり。
インターネット:医局の各自机および病棟から利用可能(制限あり)
国立成育医療センター
病院と同敷地内に平成 16 年 9 月に開設。
研究所
延床面積 16,446.75 ㎡
地上9階、塔屋1階
(平成 18 年 4 月現在)
【研究部組織】
発生・分化研究部
小児思春期発育研究部
免疫アレルギー研究部
成育遺伝研究部
母児感染研究部
移植・外科研究部
薬剤治療研究部
成育社会医学研究部
生殖医療研究部
成育政策科学研究部
*この他に、共同手術室、臨床共同研究室、RI実験施設、動物飼育室施設
8
等あり。
診療科と医師数
(平成 20 年 5 月現在)
診療部名
総合診療部
レジデ
常勤医
ント数
師数
38 名
14 名
診療科名
小児期診療科、思春期診療科、成人期診療科、救急診
療科
消化器科、循環器科、呼吸器科、血液科、アレルギー
第1専門診療部
14 名
19 名
科、膠原病感染症科、内分泌・代謝科、腎臓科、神経
内科
外科、内視鏡科、脳神経外科、心臓血管外科、整形外
第2専門診療部
12 名
28 名
科、形成外科、泌尿器科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、
リハビリテーション科、歯科
こころの診療部
6名
5名
特殊診療部
7名
7名
手術・集中治療部 23 名
13 名
周産期診療部
20 名
23 名
放射線診療部
3名
9名
臨床検査部
2名
3名
発達心理科、思春期心理科、育児心理科
移植免疫診療科、遺伝診療科、小児腫瘍科、人工臓器
科
手術室、集中治療科、麻酔科、疼痛管理科、高度在宅
医療科
不妊診療科、不育診療科、母性内科、胎児診療科、産
科、婦人科、新生児科
放射線診断科、放射線治療科
病理診断科、生理検査室、検体検査室、高度先進検査
室、輸血・組織適合検査室
9
学会等施設認定状況
以下の学会認定専門医取得のための研修施設として認定されています(順不同)
基本領域学会
日本小児科学会
日本産科婦人科学会
日本皮膚科学会
日本外科学会
日本整形外科学会
日本眼科学会
日本耳鼻咽喉科学会
日本泌尿器科学会
日本脳神経外科学会
日本医学放射線学会
日本麻酔科学会
日本病理学会
日本救急医学会
日本リハビリテーション医学会
日本小児歯科学会
日本血液学会
日本内分泌学会
日本糖尿病学会
日本腎臓学会
日本透析医学会
日本アレルギー学会
日本胸部外科学会
日本心臓血管外科学会
日本血管外科学会
日本小児外科学会
日本小児神経学会
日本てんかん学会
日本リウマチ学会
日本気管食道科学会(咽喉系) 日本周産期・新生児医学会
日本人類遺伝学会
日本遺伝カウンセリング学会
日本小児循環器学会
日本形成外科学会
Subspeciality
日本放射線腫瘍学会(準認定)
多領域横断
日本集中治療医学会
日本超音波医学会
その他
外国人臨床修練指定病院
日本カウンセリング学会
レジデント研修に関する問い合わせ
レジデントに関する、研修内容、事務的問い合わせは、以下の電子メールアドレスで一括
して受け付けています。
[email protected]
運営局政策医療企画課
研修係
10
総合診療部
Department of Interdisciplinary Medicine
国立成育医療センターにおける総合診療部の医療
総合診療部は、センターの診療体制の根幹をなしています。患者を、心理面はもとより家
族、学校、社会という背景をも含めた個人とその環境全体を診るという包括的医療の原点に
基づいた診療と教育を行います。患者のケアは総合的にまた継続的に行い、さらに、それぞ
れの専門診療科とチームを組んでエビデンスに基づいた効率の高い診療を行います。
総合診療部には、部長、複数の医長以下スタッフ、レジデント 38 名が配置され、一般病棟
での患者の診療、総合診療外来、救急センター、PICU と NICU での診療を行います。総合診
療部での研修は、統一されたカリキュラムに基づいて、優れた generalist の養成を目指すも
のです。
Ⅰ.研修コースの種類と概要
総合診療部では、医学部卒後年数、臨床経験年数、研究目標に応じて次の研修コースを設置
しました。
1.小児ジェネラリスト研修コース
【対象者】
初期臨床研修修了者で医学部卒後3年目以上、6年目ぐらいまで。
小児科以外からの転科、7年目以降の方は直接相談のこと。
【コース概要】
後期研修としての一般小児科医の知識と技術を研修し、さらに専門診療科とのチー
ム医療のなかで、総合小児科医としての知識と経験を積むことができます。3年間
の研修で、一般小児科医として地域医療、総合小児診療、小児専門診療分野で活躍
できる医師を養成します。
2.ティーチング・フェロー研修コース
【対象者】
すでに後期研修等で小児科研修経験、臨床経験を3年間以上有する者で、若手小児
科医の育成に興味があり、また自らも総合小児医療の研修を希望する者。
【コース概要】
小児ジェネラリスト研修コース研修医師への指導技術を研修することにより診療技
術・知識のレベルアップを図るとともに、当センターの専門診療科とのチーム医療
のコーディネーター役を研修することにより、総合小児科医としての幅広い知識と
指導技術を身につける。研修終了後には、小児科臨床研修の指導医として幅広く活
躍できる医師を養成する。研修期間は2∼3年間で個人の研修習得レベルにより決
定する。
3.ティーチング・スコラー研修コース
【対象者】
様々なコースを設定するのでコースの内容により対象は異なる。コースによっては、
小児科医だけでなく他科診療科医師、一般の外部医師、開業医の参加できるコース
を設定する。
【コース概要】
11
小児医療技術のスキルアップを行うための数日の短期から1年程度までの研修コー
スを設定する。例として、乳幼児健診コース、予防接種コース、在宅医療コース、
虐待対応コースなどを設定し、研修期間内に知識と技術の研修をおこない指導的技
術を身につける。随時設定し、ホームページ等に掲載し募集を行う。
Ⅱ.研修コース別プログラム詳細
1.小児ジェネラリスト研修コース
◇◇
対象者
◇◇
これから小児科医をめざす医師で、初期臨床研修を修了し、医学部卒後3年目以上、6年
目ぐらいまでを対象とします。医学部卒後7年目以降で小児科研修経験者、小児科以外か
らの転科希望者は直接相談してください。
◇◇
一般目標
◇◇
小児ジェネラリストとして必要とされる6つの重要な知識と技術を身につけます。
1.
健康問題や健康増進に対する思いやりのある適切で効果的な患者ケアの能力。
2.
生物医学、臨床および関連領域の最新の科学とその患者ケアへの適用に関する医学知
識。
3.
患者ケアを検討・評価し科学的根拠を取り入れ改善していく実務の中で学び改善する
能力。
4.
患者、家族や他の医療専門職者と有効な情報交換を行い団結することにつながる対人
関係やコミュニケーション能力。
5.
専門職者としての責任を表明し、倫理的な理念を保ち患者の多様性に配慮するプロフ
ェッショナリズム。
6.
保健・医療を大きなシステムとしてとらえ、その資源を活用して最善のケアを提供す
るシステムに基づいた実践能力。
◇◇
プログラムの特徴
◇◇
レジデントの教育には、システム化されたカリキュラムが必要ですので各レジデントが、
統一された質の高い教育を受ける事を目的に作成しています。教育経験は、臨床と講義が
バランスよくとれた形で、カリキュラムは能力を基にそして技術の獲得を目標としていま
す。教育とは生涯学習であるという概念が理解できるようにしています。
臨床教育は少なくとも50%の総合小児(General Pediatrics)経験を必要とします。研修
内容としては、小児科病棟、レジデント・クリニック、救急と緊急時のケア、地域活動、
又正常な新生児のケア、専門的治療、行動と発達の評価、そして思春期診療を含んでいま
す。
3年間の研修で、総合小児科医としての知識と経験を積むことができ、一般小児科医とし
て地域医療、総合小児診療、小児専門診療分野で活躍できる医師を養成します。
◇◇
研修ローテーション
◇◇
【1 年目のレジデント・ローテーション】
・各レジデントは、〔外来・麻酔科・新生児科(各4週間ずつ)〕と〔救命救急センター〕の
12
ローテーションを回り、以下の4つの病棟の内、3病棟を回る。
7階病棟:外科系病棟
8階病棟:学童年齢
9階病棟:乳幼児年齢
10階/11階病棟:思春期、成人期
・
〔外来〕は、予診、総合再診、予防接種、行動・発達、一か月健診、乳幼児健診での経験が
できる
・〔新生児科〕は NICU での経験と異なり、正常分娩後の健康な新生児の管理とその親のケア
が分かりできる経験が望まれる
・
〔麻酔科〕では、麻酔・鎮静のリスクを知り、気道確保とモニタリングに関するのスキルを
学び、基礎知識を学び、手技を経験する
・病棟のチームは、1年目のジュニア・レジデントが2∼3名、2∼3年生のシニア・レジ
デントが1∼2名で構成
2008年度
1年目レジデント
実際のローテーション
10 週間
10 週間
10 週間
10 週間
10 週間
A
9階病棟
8階病棟
7階病棟
新生児・麻酔・外来
救急
B
8階病棟
9階病棟
救急
新生児・麻酔・外来
7階病棟
C
救急
新生児・麻酔・外来
8階病棟
10階病棟
9階病棟
【2 年目のレジデント・ローテーション】
・各レジデントは、2 病棟(4 ヶ月)
、NICU(新生児科)、PICU(小児集中治療科)、血液腫瘍
科と外来をまわる
・病棟では、チームリーダーとして活躍するが、必要に応じて慢性疾患を持つ複数科にかか
っている患者のマネージメントも行う
・ジュニア・レジデントの指導と教育に専念出来る
2009年度
2年目レジデント
実際のローテーション例
2 か月
2 か月
2 か月
2 か月
2 か月
2 か月
A
7 階病棟
9 階病棟
NICU
PICU
外来
血液腫瘍科
B
8 階病棟
血液腫瘍科
PICU
7 階病棟
NICU
外来
C
外来
NICU
7 階病棟
血液腫瘍科
PICU
9 階病棟
【3年目のレジデント・ローテーション】
・各レジデントは、2病棟(6ヶ月)、救急(2ヶ月)と選択1(2ヶ月、必須診療科から選
択)、選択2(2ヶ月、希望選択)をまわる。
・病棟では、2年目のレジデントのロール・モデルとして、リーダーシップを取る;準スタ
ッフとして病棟管理の責任もある
・救急では、必要に応じて3年生のアシスタントチーフ・レジデントとして活躍する、又救
急では深夜の当直も通常行う
・救急では他院から転院患者の搬送などにスタッフと一緒に出動する
・PICU(集中治療)では、重症患者の適切なモニタリングと治療に加わる;蘇生、呼吸循環
管理、中心静脈ラインの確保、家族への説明と同意等にも参加する
13
・必須選択期間の必須診療科は、現在検討中である。
・希望選択期間は、卒後の subspecialty フェローシップ研修、あるいは病院勤務等に役立て
る
2010年度
実際のローテーション例
A
10 階病棟
9 階病棟
救急
選択1
選択2
B
救急
8 階病棟
選択1
選択2
9階病棟
C
9 階病棟
選択1
選択2
8 階病棟
救急
◇◇
目
3年目レジデント
病棟での研修
◇◇
的:レジデントが色々な疾患を持つ様々な患者の適切な治療、ケアをする事が出来る。
そのためには、病棟経験は以下のようなレジデントの教育が出来る事が望ましい。
目
標:
¾
入院基準(どの患者がどの理由で入院するか)がわかる
¾
入院中、病棟で治療可能な患者と集中治療が必要な患者の選択ができる
¾
患者の診察、検査、診断、治療、ケア、退院、地域 でのケアができる
¾
チームのメンバーとしての活動(看護師、保育士、ソーシャルワーカーも含む)を行な
う。
¾
専門医に適切なコンサルテーションができる
各病棟スタッフは、レジデント教育の為に、診療することの多い疾患リストを各病棟別に作
成し、これらのリストを基にカリキュラムを作成しています。患者、親とのコミュニケーシ
ョン、専門医のコンサルテーション等は、病棟を問わず、教育が重要になっています。
病棟でよく診る疾患
病棟
よくある疾患
7 階病棟
外科系(一般外科、脳神経外科、耳鼻咽喉科、眼科、整形外科、泌尿器科
(外科系)
等)、虐待、脳腫瘍
8 階病棟
肺炎、喘息、胃腸炎、川崎病、白血病、HSP、ITP、固形腫瘍
(学童)
9 階病棟
肺炎、喘息、クループ、RSV 感染症、胃腸炎、川崎病、
(乳幼児)
NICU 管理後の患者の在宅調整、循環器疾患
10 階病棟
思春期、摂食障害、脳腫瘍、こころの診療部、整形外科、耳鼻咽喉科
(思春期)
14
主な入院疾患の患者数(年間)
疾患名
症例数
疾患名
症例数
肺炎・気管支炎
460
RSV気管支炎・肺炎
200
喘息発作
140
尿路感染症
140
インフルエンザ合併症
48
ロタウイルス合併症
12
急性髄膜炎
16
急性胃腸炎
120
川崎病
96
痙攣
70
喘息性気管支炎
36
クループ
14
中耳炎
50
菌血症
16
虐待
10
無呼吸
12
ITP
12
アレルギー性紫斑病
8
アナフィラキシー
10
脱水症
30
リンパ節炎
8
頭部外傷
16
体重増加不良
14
好中球減少症
4
9 階病棟でよく診る疾患と関連した医療の技術(Skills)
疾患
技術(Skills)
教育方針
川崎病
• 川崎病の診断
回診時のレクチャー
• 心雑音が解る
聴診器回診
•
ECG(心電図)練習
RSV 感染症
EKG を読む事が出来る
• 心エコーで、CA の拡張が解る
心エコーする、読む
• ガンマ・グロブリンの使い方
オーダー、結果を診る
• 循環器科のスタッフと明確な連絡をとる
チーム医療
• 呼吸困難の診断が出来る
回診(ベッドサイド)
•
O2 Saturation の測定と意味が解る
回診時のレクチャー
•
Nasal Wash が出来る
臨床最中に勉強する
•
Respiratory Precaution が解り、行なえ 回診(ベッドサイド)、リス
る
クマネージメント
胃 腸 炎 、 • 脱水状態のレベルの確認が出来る
回診(ベッドサイド)
脱水状態
• 適切な IV Hydration が出来る
臨床最中に勉強する
• 下痢の時の経口摂取の事を知る
回診時のレクチャー
•
GI Precaution が解り、行なう
回診(ベッドサイド)
• 聴診器で inspiratory 異常が解る
回診(ベッドサイド)
• 呼吸困難の診断が出来る
回診(ベッドサイド)
•
O2 Saturation の測定と意味が解る
回診時のレクチャー
• クループ・スコア測定と意味が解る
回診時のレクチャー
• 画像判断が出来る
回診と画像カンファ
• ステロイドの使い方と結果判断ができる
回診(薬剤師含む)
• 定義がわかる
回診時のレクチャー
• 親に熱性痙攣の適切な説明をする
総診のスタッフと行う
• 薬の使い方が解る、出来る
回診(薬剤師含む)
• 神経科のスタッフと明確な連絡をする
総診のスタッフと行う
クループ
痙攣
15
NICU 転棟
•
EEG を読む事が出来る
神経科スタッフと相談する
•
CT と MRI:適切な使いかたが解る
回診と画像カンファ
•
Problem List を作る、使う
回診時の指導
•
NICU のスタッフと明確な連絡をする
転棟時にスタッフと NICU
• チーム医療を総合的にする*
で行う
• 家族と適切なコミュニケーションを行う
総診のスタッフと行う
• 退院管理も地域と共に計画的に行う
総診のスタッフと行う
・チームとは、看護師、保育士、ソーシャルワーカー、リハビリの理学療法士、退院管理員
も含む
病棟のスケジュール
月
火
水
木
金
7:00 病棟処置
病棟処置
病棟処置
病棟処置
病棟処置
7:30 申し送り
申し送り
申し送り
申し送り
申し送り
8:00
回診
救急カンファ
9:00 回診
病棟
病棟
病棟
病棟
ランチセミナー
症例検討会
レジデントセミ
病棟
12: レクチャー
30
ナー
17: 画 像 カ ン フ ァ
00
レンス
◇◇
目
セミナー
救急センターでの研修
◇◇
的:緊急的な初期判断と治療を救急診療科の基で研修する。救急のローテーションは3
年の総合研修の間に6か月間ある。
救命・救急センターは毎日24時間体制なので、
様々な訴えを持つ患者が受診する。基本的にはトリアージ概念を生かして緊急度を
はかり、重病患者をより適切なタイミングで診ることができるようにする。
目
標:
¾
急性疾患と外傷に関して、適切な診察、診断、治療が出来る
¾
初期に有効な resuscitation, stabilization と triage が出来る
¾
他の医師、医療チームと行動する(救急医師、外科医、麻酔科、放射線科、内科専門
医、外科専門医、歯科等)
¾
救命救急センターに着く以前の治療(EMS: Emergency Medical System)に参加する
レジデントは患者と直接接触して、継続的な指導の元で、治療を行う。患者のアウトカ
ムは、レジデントがすぐ解る様なシステムがあり、レジデントの評価は、必ず指導医が
定期的に行うようにしています。
疾患の種類:
16
•
内因系疾患:意識障害、呼吸不全、ショックの初期治療
•
外因系疾患:多発外傷、閉鎖性頭部外傷、熱傷、創傷管理、整形外科疾患の初期治療
•
虐待
•
病院前救護への関わりと搬送医療
•
救急センター以前の対応とトランスポート
•
急性期の精神、行動、心理的疾患
•
入退院、地域とのコミュニケーション
◇◇
目
外来での研修
◇◇
的:総合小児科医療の中で、特に重要な教育項目は、医療の継続性である。子どもの成
長と発達を理解し、健康管理と症状への対応を研修する。
目
標:
¾
健康である子どもと病気を持つ子どもを、同時に継続的にフォローできるようになる 。
¾
治療のみではなく、健康診断、予防接種、事故防止、マス・スクリーニング(成長、
発達、視力、聴力も含めて)、環境と健康との関係(栄養、たばこ等)ができるように
なる。
研修の項目
・午前:予診外来、初診外来、再診外来
・午後:健康診断(1ヶ月健診、乳幼児健診)
、発達外来、予防接種外来
・ 退院フォロー外来
・ 特殊外来:禁煙外来、川崎病フォロー外来、アレルギー外来、感染症外来、在宅医療、
成長障害外来、頭痛・腹痛外来、血液外来、発育外来、泌尿器外来、神経外来
項目
技術(Skills)
教育方針
健康診断
・1か月乳児の退院後の正常な体重増加を知
・1か月健診(参加、指導)
っている
・1か月乳児の具体的な栄養のニーズが解る
・1か月乳児の発達の評価が出来る
・1か月乳児の睡眠の問題(例:夜泣き)が
解り、母親の指導が出来る
・1か月乳児用のチャイルドシートの種類、
設置と取り付け方を母親に説明出来る
健康診断
・6か月の幼児の正常な体重を知っている
・6か月検診(参加、指導)
・体重、身長、頭囲の成長曲線に測定値をプ
・予防接種の説明をする
ロットし、解釈と説明も出来る
・予防接種を行う
・母子健康手帳に必要な情報を記入出来る
・離乳食の始め方のランチセミ
・三種混合のワクチンのスケジュールを保護
ナーに参加する
者に説明し、インフォームドコンセントも取
る事が出来る
17
・離乳食の始め方を親に指導が出来る
・6か月乳児の発達の評価が出来る
退院後
・退院後の経過の適切な評価が出来る
・退院後の患者のフォロー(参
・退院後、残った(あるいは、長引いた)症
加、指導)
状の解釈と親への説明が出来る
・かかりつけ医に逆紹介をする
慢性疾患
・疾患によって、定期的にどの検査が必要か、 ・慢性疾患の患者のフォロー
解り、親に説明が出来る
(参加、指導)
・専門家と連携を取り、チーム医療を行う
・各疾患に関して、ランチセミ
・家庭の環境、家族への影響等(ストレスも
ナー、他での講義の参加
含めて)が理解出来る
・作成されたガイドラインを読
む(e.g., Down 症候群)
◇◇ Normal/Term Newborn Experience(正常新生児)の研修 ◇◇
目
的:レジデント1年目の時に、1か月の正常な新生児室(normal newborn nursery)の
ローテーションの経験を必要とする。生後1週間の間、継続的に乳児のフォローを
行い、以下の事ができるようにする。また、退院後は 1 ヶ月健診、6∼7 ヶ月健診
などで正常児をフォローする。
目
標:
a.
新生児の High Risk, Low Risk を見分ける事ができる
b.
健康な新生児と疾患を持つ新生児の診療の区別ができる
c.
新生児の総合的な診察が出来る
d.
先天性の疾患、症候群等が解り、親への説明ができる
e. Routine の新生児治療を行う
f.
新生児によく起きる問題への対応ができる
g. 母体の問題(e.g.,性病)に基づく新生児疾患を把握する
d. マス・スクリーニングの理念を理解でき、具体的結果に関して対応できる
e. 新生児期の予防対策に参加する(予防摂取、チャイルドシート、栄養、母乳等)
f. 適切な退院指導を行なう
◇◇ Community Experience(地域における研修経験)◇◇
目
的:レジデント3年目の時に、地域での研修経験が望まれる。項目としては、地域に住
んでいるこどもの健康に関してのアドボカシーを含む。カリキュラムの内容として
は、以下の項目を含む。地域での経験とは、開業医の診療施設、保健所、保育園、
学校、在宅ケア施設、児童相談所、少年院等を含む。
目
標:
a.
地域の子ども達の健康管理を考える(地域の観点の重要性が解る)
18
b.
治療/ケアに関して、色々なカルチャーの観点を理解する
c.
環境(汚染)の問題とそのこどもへのインパクトを把握する
d.
保育園、学校等での、小児科の役割を理解する
e.
予防医学に関して、小児科の役割を理解する
f. 地域の EMS (Emergency Medical System) に関して、小児科の役割を理解する
◇ ◇
専門診療科での研修
◇◇
専門家(subspecialty)の教育
1. NICU と PICU
¾
3年間で4か月間の研修(NICU2か月 PICU2か月)
¾
当直と週末の研修も含む
¾
コアの研修内容:fluid, electrolyte, and metabolic disorders; trauma, nutrition,
and
cardio-respiratory
management;
infection
control;
recognition
and
management of congenital anomalies
コア・カリキュラムを含めて、以下の項目の勉強が必要とする。
a.
各臓器不全の早期発見、適切な治療
b.
緊急患者の臨床・検査と治療のつながりを把握する
c.
重症患者をモニタリングする器械の扱い方が解る
d.
患者の入院、退院、転棟に関しての判断に参加する
e.
患者の resuscitation, stabilization と ICU への transportation
f.
総合小児科と新生児科/麻酔集中治療科の役割の把握
g.
手術前と後の外科系の患者のマネージメントに参加して、総合小児科と麻酔集中治療
科の役割を把握する
h.
NICU での経験で、分娩前(妊娠中)の診断とマネージメントの議論に参加する
i.
分娩室での新生児の resuscitation とケアに参加する
j.
外傷を受けた患者の評価と治療に参加する
2. 思春期
¾
病棟(思春期病棟)、外来(思春期外来)、地域を含む研修
¾
項目としては、以下の事も含む
a. 二次成長の評価が出来る
b. 思春期のヘルス・プロモーション、予防医療、anticipatory guidance
c. 思春期によく起きる問題: 慢性疾患、バイオレンス、頭痛、腹痛、摂食障害、不登校
d. 思春期の患者の適切なインタビューが出来る
e. こころの面:家族,友達との関係;鬱病、自殺
f. 男子/女子の reproductive health(sexuality, 妊娠、避妊、性病等)
j. 小児科から内科への橋渡しが出来る
19
3. 発達と行動
病棟(療育回診)、外来(発達外来)
、地域を含む研修
項目としては、以下の事も含む
a.
こどもの正常と異常な行動と発達(認識力、言語、運動機能、社会性、感情)が分か
る
b.
家族体制、養子縁組、里親制度、乳児院などの環境の影響を理解する
c.
保護者とこどもの適切なインタビューが出来る
d.
行動・発達のスクリーニング方法を使う事が出来る
e.
行動・発達の異常を指摘した場合、適切なコンサルトが出来る
f.
発達障害があるこども・家族への適切な対応法が出来る
g.
ハイ・リスクの患者・家族(貧困、母子家庭)のニーズが分かる
h.
慢性疾患、看取り、患者の死が家族にどの様な影響を及ぼすかが分かる
◇◇
その他のカリキュラム
◇◇
診療部のカンファレンス,セミナー,教育目的の回診,他の定期的教育経験を必要とします。
レジデントとスタッフの参加の確認と記載も必要で、総合小児科と専門小児科の項目以外に
以下の項目等も講義の対象となります。
1.倫理
2.Quality Assessment(医療の質の評価と改善)
3.Health Care Organization and Financing(健康保険、診療報償)
4.医療情報システム
5.臨床研究
レジデント1年目は小児科学会の地方会での症例報告、文献の読み方(critical
reading)、そして臨床上疑問になる項目に関して、エビデンスを効率良く探す事が目
標です。2年目、3年目では、視野も広がり、研究の余裕も出来るので、現在行われ
ている研究、その研究の部分的な発表等に参加するようにします。参加により、臨床
研究の考え方、また研究方法、対象者の選択、研究のバイアスとリミテ−ション等を理
解出来る事を目標としています。以下に今年度の日本小児科学会総会での発表、そし
て米国の Pediatric Academic Societies での発表がリストされています。
・第 111 回日本小児科学会総会(2008 年4月、東京フォーラム)
研究発表
1. オラル・プレゼンテーション
① 国立成育医療センターSCAN チームにおいて虐待疑いで対応した 294 例の検討
② ラオス人民民主共和国における小児の発育
③ ラオスでの Peer Education による高校生への事故予防プログラム
④ CMV 感染症の治療にて綬解導入できたステロイド抵抗性重症潰瘍性
大腸炎の
小児例
⑤ アトピー型乳児喘息の診断根拠
2. ポスター・プレゼンテーション
① 国立成育医療センターにおける国際医療協力研修についての報告
② 低出生体重児のアテトーゼ型脳性麻痺、ビリルビン脳症を伴わない核黄疸
20
③ 当院総合診療部におけるカンファレンスの現状と取り組み
④ 器質的疾患を持たない体重増加不良児の体重変化率についての検討
⑤ 小児領域の臨床研究推進のための医学教育のあり方
⑥ 代理によるミュンヒハウゼン症候群
(Munchanusen Syndrome by Proxy) の3
症例
⑦ 在宅医療をサポートして 20 年/医師の視点から
⑧ I体イソプロテレノール持続吸入療法の有害事象に関する検討
⑨ 小児救急医療における後期研修の教育カリキュラム
⑩ 当科にて入院加療を行ったキャリーオーバー患者の現状
⑪ 尿路感染症の外来治療プロトコルの検討
6.国際協力
7.災害医療
◇◇ Procedure Skills(手技) ◇◇
1.Core Skills(基本的医療技術)
a.
BLS と PALS の基礎と応用
b.
気管内挿管
c.
ラインの確保
d.
動脈穿刺
e.
静脈穿刺
f.
臍の動脈・静脈のカテーテル配置
g.
腰椎穿刺
h.
膀胱カテーテル法
i.
思春期の女性医学の評価
j.
裂傷の手当と縫合
k.
皮下、内および筋肉注射
l.
発達に関するスクリーニングテスト
2.Additional Skills (更に求められる医療技術)
a.
意識鎮静作用
b.
鼓膜聴力検査及び聴力検査の解釈
c.
視力スクリーニング
d.
聴力スクリーニング
e.
耳鼻の異物の取り除き
f.
吸入薬物治療
g.
切開排膿
h.
軽度の捻挫の手当て
i.
疼痛管理
21
2.ティーチング・フェロー研修コース
◇◇ 対象者 ◇◇
すでに後期研修等で小児科研修経験、臨床経験を3年間以上有する者で、若手小児科医の
育成に興味があり、また自らも総合小児医療の研修を希望する者。
◇◇
コース概要
◇◇
小児ジェネラリスト研修コース研修医師への指導技術を研修することにより診療技術・知
識のレベルアップを図るとともに、当センターの専門診療科とのチーム医療のコーディネ
ーター役を研修することにより、総合小児科医としての幅広い知識と指導技術を身につけ
る。研修終了後には、小児科臨床研修の指導医として幅広く活躍できる医師を養成する。
研修期間は2∼3年間で個人の研修習得レベルにより決定する。
3.ティーチング・スコラー研修コース
◇◇ 対象者 ◇◇
様々なコースを設定するのでコースの内容により対象は異なる。コースによっては、小児
科医だけでなく他科診療科医師、一般の外部医師、開業医の参加できるコースを設定する。
◇◇
コース概要
◇◇
小児医療技術のスキルアップを行うための数日の短期から1年程度までの研修コースを設
定する。例として、乳幼児健診コース、予防接種コース、在宅医療コース、虐待対応コー
スなどを設定し、研修期間内に知識と技術の研修をおこない指導的技術を身につける。随
時設定し、ホームページ等に掲載し募集を行う。
Ⅲ. Feedback and Evaluation(評価)
システム
各レジデントの総合的,直接的,継続的評価は重要である。評価とはフィードバック
(Feedback) と 、 フ ォ ー マ ル な 評 価 (Evaluation) が あ る 。 フ ィ ー ド バ ッ ク と は
formative (育成)なのでレジデントの行動を変えるきっかけになる。定期的に各ローテー
ションが半分終わる時に行なうフィードバックと、問題が起きた時にタイミング良く行なう
フィードバックがある。ローテーションが終わる時に行なう評価がエヴァリュエーション
(
summative
)である。エヴァリュエーションは、レジデントの指導者が行なうものと,レ
ジデント自身が行なうものがある。指導者のエヴァリュエーションは,必ず書いたものを含
めて、レジデントとリビュウ(review)するべきである。
結果
各レジデントは、年間何回もフィードバックとエヴァリュエーションを受けて,自分の医
22
療のレベルを向上する。評価を行なう指導医とレジデント•プログラムのディレクターには、
各レジデントの成長が解る。レジデント自身自分の評価ができる。
フィードバックとエヴァリュエーションの項目
1.
問診、病歴の聴取 History Taking
(ア) 患者と家族のインタビュー(問診、病歴)
(イ) メディカル•レコードの確保と保存
2.
患者の診察 Physical Examination
(ア) 診察
(イ) 患者の立場を考える(e.g., 怖がっている患者)
(ウ) 解らなかった事を指導医に聞いてはっきりさせる
3.
検査項目の選択 Laboratory and Imaging Studies
(ア) 適切な試験の選択
(イ) プロシージャー
4.
適切な検査の評価と診断 Data Formulation and Diagnosis
(ア) 診断を明確にする
5.
患者への医学的対応 Patient Care
(ア) 緊急、救急に適切な対応をする
(イ) 患者,家族の精神面を把握する
6.
患者/家族との意思疎通 Communication with Patients and Families
(ア) 患者と家族とのコミュニケーション
(イ) インフォームド•コンセント
(ウ) 患者の権利
(エ) 患者、家族に対してのセンシティビティー
7.
チーム医療 Communication with Other Members of the Health Care Team
(ア) チーム医療
(イ) スタッフ(医師,看護婦、 etc.、とのコミュニケーション)
8.
プロフェッショナリズム Professionalism
(ア) 責任を持って患者のケアをする
(イ) プロフェショナリズム
(ウ) 倫理的な医療を行なう
(エ) 患者のプライバシーを守る
9.
医学的知識 Fund of Knowledge
10. 教育 Teaching Skills
23
Evaluation Form (Figure 1)
国立成育医療センター総合診療部
レジデントの名前
ローテーションの日付
レジデント評価
1.問診、病歴の聴取 (History Taking)
問診が不完全、病歴にまとまりがない
① ②
③
④
⑤
① ②
③
④
⑤
要点を把握した病歴がとれる
2.患者の診察 (Physical Examination)
診察が不完全、プライバシーへの配慮
がない
診察が系統的にでき、解らなければ相談す
る姿勢
3.検査項目の選択 (Laboratory and Imaging Studies)
無秩序に沢山選択する
① ②
③
④
⑤
必要な検査だけを、順序良く選択する
4.適切な検査の評価と診断 (Data Formulation and Diagnosis)
考え方がまとまっていない、診断の説
明が不十分
① ②
③
④
⑤
① ②
③
④
⑤
診断が明確に行われ、かつ適切に説明でき
る
5.患者への医学的対応 (Patient Care)
対応が不十分、患者への教育や精神面
を尊重しない
状況に応じた医学的対応ができる
6.患者/家族との意思疎通 (Communication with Patients and Families)
コミュニケーションに問題、患者の立
場を考えない
① ②
③
④
⑤
意思疎通が適切で、患者の権利を把握し、
十分に説明する
7.チーム医療 (Communication with Members of Health Care Team)
他の医師の助言を求めない、自己中心
的
① ②
③
④
⑤
① ②
③
④
⑤
① ②
③
④
⑤
① ②
③
④
⑤
他の医師の考えも尊重し、チーム医療を行
う
8.プロフェッショナリズム (Professionalism)
無責任、間違えを無視する、限界が解
らない
自分の限界を知って、責任を持った医療を
する
9.医学的知識 (Fund of Knowledge)
医学的知識が不足、勉強しない
常に知識を吸収する姿勢がある
10.教育 (Teaching Skills)
教育に関心が無い、指導しない、頼ら
れない
ローテーションで行なった処置、手技
Phlebotomy
採血
IV
静脈確保
Lumbar Puncture
腰椎穿刺
Sutures
創傷縫合
CPR
救急蘇生
Otoscope
耳鏡
Ophthalmoscope
眼底鏡
指導医の名前
指導医の署名
24
教育に熱心、良く指導する、リーダーシッ
プがある
第一専門診療部
消化器科
Division of Gastroenterology
診療科概要
国立成育医療センター消化器科は、日本で唯一の小児消化器・肝臓疾患専門の診療科として、
この分野の疾患を患った子供たちに、質の高い医療を提供するとともに、消化器・肝臓病を専
門的に診療できる医師の育成を使命とする。
対象疾患としては、近年わが国でも若年発症が増えてきている炎症性腸疾患(潰瘍性大腸
炎、クローン病)をはじめ、乳幼児の難知性下痢症、アレルギー性胃腸症、便秘、過敏性腸
症候群、胃食道逆流症、腹痛症、ポリポーシス症候群、体重増加不良、ウイルス性肝炎、乳
児胆汁うったい性肝障害、自己免疫性肝炎、胆道閉鎖症、膵臓疾患等と幅広い。
必要に応じて、一般外科、移植免疫科、放射線科、病理科等との協力の下、これらの疾患
に対して適切な評価と治療を施している。
1. スペシャリストコース
採用条件
研修開始時、一般小児科経験を 2 年以上有するもの。
小児科専門医を取得している、または採用年度中に取得見込みのもの
(十分な小児一般臨床の経験があると考えられる場合にはその限りではない)
到達目標
消化器・肝臓疾患に関する十分な知識と、臨床的アプローチを行う能力と経験を身につける。
適応とリスクを理解したうえで、上下部消化管内視鏡検査、肝生検をはじめとする基本的
な検査手技を習得する。
毎年 1 回以上の学会での報告ならびに学会誌への投稿を行う。
採用可能人数
現状の定数では 2-3 年に 1 名の採用にとどまる。本来、毎年 1 名の採用が可能である定員
数が望ましい。
2. トレーナーコース
採用条件
卒後 7 年目以上で、小児科専門医を有するか、それと同等以上の海外での資格を持つ。
消化器・肝臓疾患の診療経験に富み、内視鏡をはじめとする、消化器系の検査手技に優れて
いる。
到達目標
指導医としてふさわしい、消化器・肝臓疾患に関する十分な知識身につけ、炎症性腸疾患、
反復性腹痛、肝機能異常、ウイルス性肝炎等の疾患について十分な臨床経験をつむ。
教育に対する熱意にあふれ、研修医・医学生に対して消化器・肝臓疾患に関する質の高い教
育を行う力を養う。
ポリープ切除術をはじめとする治療的内視鏡に熟達する。
毎年 2 回以上の学会での報告を行う。
消化器・肝臓病疾患にかかわる臨床的研究を計画し、遂行する。
採用可能人数
現状の定数では 2-3 年に 1 名の採用にとどまる。
25
2.短期研修コース
1 年未満の研修コースで、研修の内容と到達目標に関しては、該当者の経験・能力による
連絡先
〒157-8535
東京都世田谷区大蔵 2 丁目 10-1
国立成育医療センター第一専門診療部消化器科
新井勝大
E-mail:[email protected]
Tel:03-3416-0181, Fax:03-3416-2222
26
第一専門診療部
循環器科
Division of Cardiology
診療科概要
現在、先天性心疾患に対する積極的な手術介入が行われるようになってから 20 年余り経
過し、成人期に至った先天性心疾患の患者さんの抱える諸問題が浮き彫りにされつつありま
す。また、胎児エコーを始めとする胎児診断技術の向上により、胎児期からの心疾患の管理
が可能となりつつあります。一方、心カテーテル治療(不整脈治療を含む)が外科的要素を
持つ手法として、小児循環器疾患の内科的管理の中での重要さを増しつつあり、より積極的
な心疾患への治療介入が可能となっております。
当施設は小児心臓手術に対する長い歴史を持つことから、多くの成人年齢の患者さんを抱
えており、成人期先天性心疾患の諸問題に対する積極的な治療介入を模索しております。ま
た、周産期部門との連携により胎児循環器疾患の診断および管理についても積極的な治療参
加を行っております。心カテーテル治療については、従来から弁形成、血管形成、コイル留
置などのデバイス留置法を積極的に行っています。今年からは、従来以上に、新生児重症先
天性心疾患の診療に、体制を整備して、重点をおく予定です。
このように当科での研修においては、小児心疾患に対する胎児期から成人期に至るまでの
詳細な知識を習得し、それに基づき的確な診断を行い適切な治療方針を決定する過程を経験
することが可能です。また、平成20年4月からは、日本小児循環器学会認定研修施設とな
っています。研修のコースとしては一般小児科を経験した後に選択することができる
スペ
シャリストコース(循環器科レジデント) と、スペシャリストコース終了後、もしくはスペ
シャリストコースに相当する経験をお持ちの方が選択できる
トレーナーコース(循環器科
スーパーレジデント) があります。
主な症例:先天性心疾患、不整脈疾患、心筋症、心筋炎、上記の疾患にともなう慢性心不
全および急性心不全、胎児先天性心疾患、胎児不整脈、成人先天性心疾患
診療科体制(医長1名、医員2名、スーパーレジデント1名、レジデント2名)
A.スペシャリストコース(循環器科レジデント)
採用条件
1.医学部卒業5年目以上で一般小児科経験を2年以上有していること。
2.原則として小児科専門医を取得している、または採用年度中に取得見込みの方。
(十分な小児一般臨床の経験があると考えられる場合にはその限りではありません。個別
にご相談ください。)
研修カリキュラム
(1)到達目標
1.一般目標(General Instruction Objectives)
日本小児循環器学会専門医受験資格を得る内容の研修を目標とする。循環器科の研修は
2 年間の研修期間を基本としている。2 年間の研修でレジデントは、小児循環器専門医とし
ての基本的な知識、技術の習得を研修する。基本的な知識とは、視診/触診/聴診を基本
とする循環器診断学、心臓の解剖、循環生理、電気生理(不整脈)等の理解をさす。また、
技術とは、心臓超音波検査(胸壁、食道)、心臓カテーテル検査(診断カテーテル法および
治療カテーテル法)、基本的な電気生理学的検査をさす。
27
2.行動目標(Specified Behavioral Objectives)
循環器科レジデントはいくつかの循環器医としての仕事(サービス)を分担して行うこ
とにより、総合的な力を身につけていけると考えている。そのサービスとは、病棟(検査
手技である心カテーテル法の取得を含む)、外来、ICU 管理、NICU 管理、循環器疾患合
併患者についてのコンサルテーションに分かれている。レジデントのみでなく、各サービ
スには担当スタッフがいるので、二人一組で担当することになる。ICU・NICU・コンサ
ルテーションの3サービスはスーパーレジデントとともに3名で2ヶ月単位でローテーシ
ョンする。これにより、バランスよく総合的な力がつくことになる。
各サービスの概要については下記のとおりである。
①
入院患者管理(一般入院およびカテーテル入院)
(一般入院)各レジデントは、循環器の疾患で入院した患者を順番に受け持つことに
より、循環器のさまざまな病気を経験することになる。各レジデントはスタッフとペ
アになって入院患者の診療に当たる。受け持ち医として、病歴の聴取、理学的所見の
とり方、心臓超音波検査の施行法、レントゲンを初めとする画像診断諸検査、心電図、
血液検査の評価法を患者担当としてペアとなったスタッフおよびスーパーレジデント
の指導を受けながら学び、治療方針について決定していく。毎日の治療過程について
はスーパーレジデントのチェックを受け、ペアとなっているスタッフとの回診によっ
て方針を決定していく。
(心臓カテーテル検査)心臓カテーテル患者も、入院患者として受け持つことになる。
症例数として平均 2 人/週のカテーテルを受け持つことになる。カテーテルを施行す
る患者に関しては、受け持ち医が理学的所見の診察、心臓超音波検査の施行、レント
ゲンを初めとする画像診断諸検査、心電図、血液検査の評価を行う。患者の親に心臓
カテーテル検査前および後の説明も受け持ち医が行う。
カテーテルは週に3日行っており、一週につき総数5∼6症例である。その中1∼2
症例はカテーテル治療症例であり、バルーン拡張、コイル等のデバイス留置、ステン
ト留置などを行う。一年間の治療カテーテルの症例数は 50 例程度である。原則として、
診断カテーテルはレジデント 1 名とスタッフ 1 名もしくはレジデント1名とスーパー
レジデント 1 名のペアで行う(スーパーレジデント−レジデントのペアの場合にはス
タッフがスーパバイザーとなる)。レジデントが参加するカテーテル治療の際は、スタ
ッフ 2 名とレジデント 1 名もしくはレジデント−スーパーレジデント−スタッフで施
行する。レジデントは、研修開始後 1 ヶ月間の見学期間(手洗いを行い、術者および
助手に必要な手技を間近で見学する)の後に、カテーテル検査の受け持ちとして直接
手技に携わることになる。毎週木曜日には、循環器カンファランスが行われ、そこで
受け持ち医によるカテーテルの結果説明が行われる。カンファランスで循環器科全体
としての方針が決定される。そこで検討された手術適応例については、翌週水曜日の
心臓外科、ICU、NICU、循環器科の合同カンファランスに提示され手術方針が決定さ
れる。
(経食道エコー検査)開心術の術前後で経食道エコー法を行い、上級医の指導を受け
ながら心機能の評価、解剖学的問題の解決の程度についての評価法を学ぶ。
このようにレジデントは、自分の受け持ち患者の病態と治療方針を、入院時から一貫
して学ぶことになる。
②
外来
外来診察は、原則としてスタッフについて行う。外来では、診断がついていない紹
介患者のように、ゼロから診断を導くためのプロセスを学ぶことができる。理学的所
28
見、放射線、心電図検査より診断を導き、心臓超音波でその日のうちに確認し、どの
様な心臓疾患がどの様な理学的所見を示すのか、また同じ心疾患がその程度によりど
の様な理学的変化を示すのかを学び取ることができる。また、病棟で受け持ちであっ
た患者の退院後の経過も見ることができる。
③
ICU
集中治療科とともに、心疾患の術後患者および心疾患で集中治療が必要な重症患者
の管理を行う。心疾患患者のみでなく、当番の月に集中治療室に入っている全患者の
心機能等の循環動態の評価も行う。集中治療室で管理されている患者の心臓カテーテ
ルに関しては、その月の当番のレジデントが行う。
④
NICU
NICU の新患および入院中の患者の診断および評価を行う。特に新患の場合には、
循環器科の担当スタッフとともに、診断をつけ、方針を親に説明する。また NICU で
管理されている患者の心臓カテーテルに関しては、その月の当番のレジデントが行う。
⑤
コンサルテーション
循環器科、ICU, NICU 以外の科で管理されている患者(外来および病棟)の全ての
循環器的問題につきコンサルテーションを受ける。一度コンサルテーションを受けた
患者に関しては、循環器科的問題が解決するまでその経過を追う。またコンサルテー
ションされた患者が、心臓カテーテル検査を必要とする場合には、その月の当番のレ
ジデントが行う。
3.2年間のレジデント研修期間を終えた場合、3 年目以降に心カテーテル治療、心エコー
図検査などの臨床研究に重点をおいた形でより高度の研修に以降することができる。*トレ
ーナーコース(循環器科スーパーレジデント)参照。
(2)セミナー等
①
病棟カンファランス:火曜日午前、金曜日18時から
②
心カテーテルカンファランス:木曜日午前10時から13時
③
循環器合同カンファランス(循環器科、心臓血管外科、麻酔集中治療科、新生児科)
:
水曜日18時から
④
勉強会:毎週木曜日午前8時から
基礎的な知識をえるため、6月に1冊のペースで診断学、治療学についての教科書を輪
読いたします。
⑤ ジャーナルクラブ:各日業務終了後
各医師は週に一冊、分担を割り当てられた雑誌最新号(Circulation, JACC, The
American Journal of Cardiology, American Heart Journal, Heart, Pediatric
Cardiology, JTCS, Catheterization and Cardiovascular Interventions, The Annals of
Thoracic Surgery など)から、興味を持った文献、臨床研究に関連した文献の抄録を通
読し概説します。
この中で、意義の高い文献については通読し、抄読会で解説いたします。
⑥ 抄読会:火曜日午前8時から
上記のジャーナルクラブでピックアップした文献、入院中の症例に関連した文献につ
いてのサマリーを報告します。
(3)研究面
豊富な症例を元に、臨床研究、症例について主要国内学会(日本小児科学会、日本小児循
29
環器学会など)、分科会(日本 Pediatric Interventional Cardiology 研究会、日本胎児心臓
病研究会、日本成人先天性心疾患研究会、日本小児心電学研究会など)での発表を年間2回
は行うように指導します。
また、少なくとも年に1編の誌上発表を行うことが求められます。
B.トレーナーコース(循環器科スーパーレジデント)
採用条件
小児科専門医を取得しており、小児循環器専門医の経験のある(次項の A もしくは B に該当
する)方
A.当センターで少なくとも2年間のスペシャリストコースを終了し、小児循環器専門医と
して十分な力量を持っていると判断される方。
B.他施設で小児循環器専門医として2年以上の経験がある方で、当科スタッフによる面接
で小児循環器専門医として十分な力量があると判断された方。
(心カテーテル検査の経験につ
いては、術者として施行した症例数についての報告が求められます。
)
研修カリキュラム
(1)到達目標
1.一般目標(General Instruction Objectives)
日本小児循環器学会専門医試験受験資格を得て、合格することを目標とする。トレーナ
ーコースとしては 1 年以上の研修期間を設けている。この研修期間にスーパーレジデント
は、小児循環器専門医として自らの判断の下にすべての小児循環器疾患の診断を行い、治
療を行う力量を得る。つまり、上級医としてレジデントの指導が可能なレベルへ到達する。
一般心臓カテーテル検査法についてはレジデントに対して指導を行い、基本的な治療カテ
ーテル法は自ら器材を準備し行えるようになる。心臓超音波検査については経食道超音波
法を習得し、手術に際して麻酔科医、外科医に対して適切な情報を提供できるようになる。
電気生理学的検査については基本的な理解の上に、主要疾患について判読できるようにな
る。胎児超音波検査については基本的な診断技術を習得する。
2.行動目標(Specified Behavioral Objectives)
循環器科スーパーレジデントはレジデントと同様に病棟患者管理(心カテーテル入院を
含む)、外来、ICU 管理、NICU 管理、循環器疾患合併患者についてのコンサルテーショ
ンを分担して行う。各サービスについては担当スタッフの指示を受けながら担当すること
になる。また、レジデントに対して心臓カテーテル検査法および超音波検査法の基本的な
手技を指導する。これにより、下級医を指導するための総合的な力を得る。
①
入院患者管理
(一般入院)スーパーレジデントも循環器の疾患で入院した患者を順番に受け持つが、
レジデント1名に対してその担当患者数は約 50%となる。一方、レジデントの受け持
つ患者については、常にレジデントから情報を収集しその病態を把握する。レジデン
トとともに問題のある患者についてはスタッフに早急に報告する。これによって循環
器疾患への理解を深めるとともに、多数の患者を把握する能力、病棟運営の能力を身
につける。
(心臓カテーテル検査)一般心カテーテル検査ではレジデント1名が受け持つ症例の約
50%を直接の受け持ちとして担当する。また、レジデントの行う症例の約 50%につい
ては助手としてスタッフの監視の下にレジデントの指導を行う。つまり、自らが術者
として担当する症例と併せ、年間の一般診断心カテーテル検査症例の約 60%を担当す
30
ることになる。治療カテーテル症例については、1年あたりバルーン拡張 10 例、通常
のコイル塞栓法 10 例については第一術者として担当し、治療カテーテル法に際しての
治療計画および施行手順の作成に参画するとともに、必要な物品を自ら手配する。こ
れによって診断および治療カテーテル法について経験を積み、下級医を指導する力量
を得る。
(心エコー法)(1) 開心術の術前後で行う径食道エコー法に際して、スタッフの監視の
下に自ら心機能の評価、解剖学的問題の解決の程度についての評価を行うとともに、
その情報を的確に麻酔科医、外科医に伝達する。(2) 胎児心エコー図検査についてスタ
ッフの指導の下に基本的な断面の出し方、診断の流れを経験し、将来胎児心エコー図
検査を専門的に行うための素地を培う。
②
外来
外来診察に際してレジデント外来(週1コマ)を担当する。対象患者は中等症までと考
えられる初診患者および病棟で担当していた患者である。病歴および理学的所見から鑑別
診断を挙げ、放射線、心電図検査、心臓超音波などから総合的に診断を導く過程を自ら経
験する。診断、治療方針については併設されているスタッフ外来のスタッフによってチェ
ックを受ける。
以下の3つのサービスについてはレジデントとともに2か月ごとにローテーションを行う。
ICU
③
集中治療科とともに、心疾患の術後患者および心疾患で集中治療が必要な重症患者の管
理を行う。心疾患患者のみでなく、当番の月に集中治療室に入っている全患者の心機能等
の循環動態の評価も行う。
NICU
④
NICU の新患および入院中の患者の診断および評価を行う。特に新患の場合には、循環
器科の担当スタッフとともに、診断をつけ、方針を親に説明する。
⑤
コンサルテーション
循環器科、ICU, NICU 以外の科で管理されている患者(外来および病棟)の全ての循環
器的問題につきコンサルテーションを受ける。一度コンサルテーションを受けた患者に関
しては、循環器科的問題が解決するまでその経過を追う。
③∼⑤の担当患者が心臓カテーテル検査を必要とする場合にはこれを担当する。
(2)セミナー等
A. 循環器科全員が対象となるもの(レジデントの項も参照)
①
病棟カンファランス:火曜日午前、金曜日18時から
②
心カテーテルカンファランス:木曜日午前10時から13時
心カテーテルカンファランスに先立ちスタッフとともにレジデントに対して圧曲線の読み方、
血行動態指標の計算方法についての指導を行う。
③
循環器合同カンファランス(循環器科、心臓血管外科、麻酔集中治療科、新生児科)
:水
曜日18時から
④
勉強会:毎週木曜日午前8時から
基礎的な知識をえるため、6月に1冊のペースで診断学、治療学についての教科書を輪読い
たします。
⑤
ジャーナルクラブ:各日業務終了後
各医師は週に一冊、分担を割り当てられた雑誌最新号(Circulation, JACC, The American
Journal of Cardiology, American Heart Journal, Heart, Pediatric Cardiology, JTCS,
31
Catheterization and Cardiovascular Interventions, The Annals of Thoracic Surgery など)
から、興味を持った文献、臨床研究に関連した文献の抄録を通読し概説します。
この中で、意義の高い文献については通読し、抄読会で解説いたします。
⑥
抄読会:火曜日午前8時から
上記のジャーナルクラブでピックアップした文献、入院中の症例に関連した文献についての
サマリーを報告します。
B. スーパーレジデントおよびスタッフ対象
⑦
スタッフミーティング:月曜日午後7時(隔週)
循環器科として施行すべき研究、施行中の研究内容、執筆中の論文についてのミーティング
です。この中で個別に指導を受けるとともに、積極的に議論へ参加していただきます。
⑧
学会・研究会報告:火曜日午後7時から
前週に参加した学会について、自己の発表した演題についての議論内容について、および先
進的と考えられた話題について発表します。
(3)研究面
臨床研究、症例を主要国内学会(日本小児科学会、日本小児循環器学会など)に報告するこ
とが求められます。
また、小児循環器関連の分科会(日本Pediatric Interventional Cardiology 研究会、日本胎
児心臓病研究会、日本成人先天性心疾患研究会、日本小児心電学研究会、心筋疾患研究会、
心機能研究会、肺循環研究会)については、可能な限りすべてに参加し発表を行えるように指
導します。発表後は内容の誌上発表を行うように指導します(年に 2 編以上)。
その他
基本的な研修プログラムは上記のとおりですが、ご希望によってプログラムの変更を考慮し
ます。ご要望などを遠慮なくご連絡ください。
研修ご希望の方は下記に連絡いただければ幸いです。
循環器科医長
賀藤
均(かとう
ひとし
)
電話 03-3416-0181(代表)院内 PHS:7331
E-mail: [email protected]
32
第一専門診療部
呼吸器科
Division of Pulmonary Medicine
診療科概要
呼吸器科は、全国でも数少ない小児呼吸器専門の診療科として、診療、研究、小児呼吸器
専門医の育成を行っています。
対象とする疾患は、新生児領域を除くすべての小児呼吸器疾患です。上気道炎や気管支炎、
肺炎のような急性気道感染症については、重大な危険因子がなければ総合診療部が担当して
います。したがって、慢性、反復性、治療抵抗性の呼吸器疾患、原因不明の喘鳴や胸部X線
異常、上気道閉塞、気道異物、先天奇形、全国的にも稀な疾患などの症例が多く集まってい
ます。小児外科、血液腫瘍科、耳鼻科などの関連各科との連携は緊密で、より幅広い疾患を
経験することができます。症例相談は全国から寄せられています。
疾患例:先天性喘鳴、声門下狭窄、気管狭窄・軟化症、肺欠損、気管支閉鎖、
副鼻腔気管支症候群、気管支喘息、閉塞性細気管支炎、慢性気管支炎、
嚢胞性肺疾患(肺分画症、CCAM など)、無呼吸、間質性肺炎、気道異物など
診断においては、臨床症状や所見の正確な把握を重要視しており、それに基づいて適切な
診断的アプローチが組立てられるよう心がけています。とくに単純X線写真の読影と内視鏡
検査に力を入れています。
治療においては、国立小児病院時代からの豊富な経験に基づき、従来からの方法と新しく
報告された方法とを比較し、常に是々非々の立場で方針を決定しています。したがって、独
自の治療方針を持っている疾患が少なくありません。
診療科体制:医長,医員,レジデント
各1名
専門医制度:ありません。
1.スペシャリストコース
採用条件
卒業 5 年以降で小児科専門医またはそれに相当する臨床経験を有する。
到達目標
3 年間を原則とする。
○患者の呼吸状態や全身状態を正確に把握し、それを表現できる。
○どのような呼吸器症状でも、即座に何らかの方針を決定できる。
○乳幼児の喘鳴、遷延性咳嗽、反復性肺炎の診断的アプローチと治療方針の決定が適切に
行える。
○胸部レントゲン写真の読影が十分に行える。
正常と異常の区別ができる。鑑別診断名が上げられる。
○介助者がいれば一人でも喉頭ファイバースコピーが行える。
○気管支ファイバースコピーが安全に行える。指導医がいれば局麻下でも行える。
○頻度の高い疾患の治療と管理が十分に行える。
○難治性あるいは稀な疾患でも到達可能な治療目標が設定できる。
○指導医がいれば硬性気管支鏡下での気道異物除去が行える。
○学会や論文発表を毎年行える。
採用可能人数
現状の定数では 2-3 年に 1 名。
33
2.トレーナーコース
採用条件
小児呼吸器の研修 3 年終了あるいはそれに相当する臨床経験を有する。
到達目標
基本的に、スペシャルコースにいる医師を十分に指導できること、他院からの相談に適切
に応じられること、臨床研究を率先して行えることを目標とする。3 年以上を要する。
採用可能人数
現状の定数では 2-3 年に 1 名。
3.短期研修コース
期間
1 か月から 1 年未満
内視鏡検査(気管支・喉頭)の技術習得に有用である。
4.その他
呼吸器科カンファレンス:毎週木曜 19 時から放射線科医と一緒に行っています。
問題点のある症例、稀な症例、新しい知見の得られた症例などの検討が中心です。
症例の相談は院内だけでなく、院外からも持ち込まれます。
毎回順番で興味ある文献の紹介を行っています。
学会発表:必ず年 2 回以上行っています。できれば海外発表も。
論文発表:年 1 編以上の掲載を目標にしています。
レジデント採用条件
初期研修終了後、小児科専門医取得あるいは採用年度に取得予定であること。
34
第一専門診療部
血液腫瘍科/固形腫瘍科
Division of Hematology
and Oncology
診療科概要
成育医療センター血液腫瘍科/固形腫瘍科は、白血病、脳腫瘍、リンパ腫、神経芽細胞腫など
の悪性腫瘍(小児がん)、および再生不良性貧血、血球貪食症候群など重篤な血液疾患の専門診
療を行う部門です。血液腫瘍科と固形腫瘍科はひとつの診療ユニットを形成して診療、レジデント教
育を行っています。成育医療センターでは年間約 60 例の新規小児がん、あるいは重篤な血液疾患
の診療を行っています。診療体制と特徴を以下に記します。
(1) 集学的医療
成育医療センターにおける小児がん・重篤な血液疾患の診療においては、血液腫瘍科/固形腫
瘍科の医師を中心として関連専門診療科が診療チームを形成し、専門診療技術の集結による集学
的医療の提供を行っています。
腫瘍カンファレンス
成育医療センターでは関係診療科(血液腫瘍科, 固形腫瘍科, 外科, 脳神経外科, 放射線診断
科, 放射線治療科, 病理検査室など)により腫瘍カンファレンスを行っています(隔週)。腫瘍カンフ
ァレンスではセンター内の小児がん患者の情報の共有、診断・治療方針の決定、セカンドオピニオ
ンに受診された患者様への回答の検討などが行われます。
(2) 臨床試験の推進
成育医療センターは日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)、日本神経芽腫研究グルー
プ(JNBSG)、東京小児がん研究グループ(TCCSG)などの臨床研究グループに参加し臨床試験の
推進に努めています。
(3) 造血幹細胞移植
成育医療センターは骨髄移植推進財団(骨髄バンク)、日本さい帯血バンクネットワークの移植認
定施設です。非血縁ドナーからの造血幹細胞移植に対応可能です。
(4) スタッフ
成育医療センター血液腫瘍科、固形腫瘍科の医長、医員は、いずれも日本小児科学会専門医、
日本血液学会専門医の資格を有し、小児がん・重篤な血液疾患の診療に 10 年以上の経験を有し
ています。特にスタッフ各自の専門性、および施設におけるこれまでの経験から、神経芽細胞腫、
悪性リンパ腫、横紋筋肉腫、ランゲルハンス細胞組織球症(Langerhans Cell Histiocytosis; LCH)の
診療に重点をおいています。
(5) 診療実績
2002 年 3 月から 2007 年 6 月に小児腫瘍科・血液科が診療を行った腫瘍性疾患の内訳
(再発, 転院例を含む)
疾患名
件数
急性リンパ性白血病
40
急性骨髄性白血病
12
その他の白血病, 骨髄異形成症候群
13
悪性リンパ腫, 類縁疾患
20
ランゲルハンス細胞組織球症
23
脳腫瘍
51
35
神経芽腫
46
骨, 軟部組織の肉腫
24
網膜芽腫
17
胚細胞腫瘍
15
肝腫瘍
14
腎腫瘍
7
その他の悪性腫瘍
8
良性腫瘍
12
血球貪食症候群
6
合計
308
2002 年 3 月から 2007 年 6 月に小児腫瘍科・血液科が行った造血幹細胞移植治療
疾患名
件数
自家造血幹細胞移植
31
同種造血幹細胞移植
32
血縁者間同種造血幹細胞移植
(17)
非血縁者間同種骨髄移植
(9)
非血縁者間同種臍帯血移植
(6)
合計
63
(6) 取得可能な専門医資格
日本血液学会専門医:
成育医療センターは日本血液学会研修施設であり、血液腫瘍科、および固形腫瘍科医長は
日本血液学会指導医です。規定の研修を行うことにより日本血液学会専門医受験資格を得る
ことが可能です。
小児がん医療に関する専門医について:
2008 年 7 月現在、日本小児がん学会、および日本小児血液学会に専門医制度は整備されて
いません。
1. スペシャリストコース
日本血液学会専門医取得、および小児がん診療に関する専門医として必要と考えられる知識と診
療経験の獲得を目的とした研修コース
採用条件
卒後 5 年以上で小児科専門医取得またはそれに相当する臨床経験を有する医師
研修期間
2-3 年間
到達目標
小児血液学
- 日本血液学会専門医取得
小児腫瘍学
- 学会専門医制度が整備されれば取得
36
- 公開小児がん系統講義全 47 項目の受講と理解
- 60 例以上の小児がん患者の診療を主な担当医として経験
- 10 例以上の造血幹細胞移植患者の診療を主な担当医として経験
採用可能人数
血液腫瘍科、固形腫瘍科のレジデント定数、および欠員状況による
2. トレーナーコース
専門医取得、あるいは同等の臨床経験の後、小児血液学、および小児腫瘍学の指導医の養成を
目的とした研修コース
採用条件
- 日本血液学会専門医取得、またはそれに相当する臨床経験を有する医師
- 上記スペシャリストコースの到達目標に相当する小児がん臨床経験を有する医師
研修期間
3 年間
到達目標
小児血液学
- 日本血液学会指導医取得
- 臨床血液学に関連した筆頭者としての論文 5 編(指導医取得条件)
小児腫瘍学
- 学会指導医制度が整備されれば取得
- 指導医として小児がん、造血幹細胞移植患者の診療を 2 年以上経験
- 60 例以上の小児がん患者の診療を主な担当医として経験
採用可能人数
血液腫瘍科、固形腫瘍科のレジデント定数による
3. 短期研修コース
3 か月以上の短期間の研修で成育医療センターにおける小児がん、あるいは重篤な血液疾患の
診療、集学的医療体制、臨床研究支援体制などの経験を目的としたコース
採用条件
卒後 5 年以上で小児科専門医取得またはそれに相当する臨床経験を有する医師
研修期間
3 か月-1 年間
研修の概要
下記は研修内容の一部です。詳細はお問い合わせ下さい。
(1) 講義・セミナー
- 公開小児がん系統講義(プログラムを参照)
- 血液塗抹標本の見方
- 貧血・出血傾向の鑑別
(2) カンファレンス
- 腫瘍カンファレンス
- 脳腫瘍カンファレンス
- 血液標本カンファレンス
37
(3) 診療研修
- 年間新規患者数約 60 例
- 入院(在院)患者数 25-30 人 /日
- レジデント受け持ち患者数 8-10 人 /日
> 年間 20 例程度の受け持ちが可能
>> 3 年間で 50 例以上を受け持ち診療研修可能
- レジデントの診療指導
研修開始から 1 年程度までは原則として指導医とレジデントは 1 対 1 対応
指導医は小児がん診療経験 >10 年, 日本小児科学会専門医, 日本血液学会専門医
(4) 研究
成育医療センターは臨床研究センター、治験管理室、研究所を併設しています。
希望によりさまざまな研究活動の可能性が生じます。
(5) その他
ご質問などございましたら遠慮なくお問い合わせ下さい。
国立成育医療センター第一専門診療部血液腫瘍科
森 鉄也
[email protected]
国立成育医療センター第一専門診療部固形腫瘍科
熊谷 昌明
[email protected]
国立成育医療センター
電話:03-3416-0181(代表)
ファックス:03-3416-2222
38
国立成育医療センター公開小児がん系統講義 2008 プログラム
第 1 回 2008 年 5 月 21 日 水曜日
1. がんを疑う小児の評価と鑑別診断
2. 小児がん治療の安全管理
3. 小児がんの疫学
森 鉄也(小児腫瘍科)
森 鉄也(小児腫瘍科)
坂本 なほ子(成育疫学研究室)
第 2 回 2008 年 5 月 28 日 水曜日
4. 小児がんの化学療法 (1)
5. 急性リンパ性白血病 (1) 診断ほか
熊谷 昌明(血液科)
森 鉄也(小児腫瘍科)
第 3 回 2008 年 6 月 4 日 水曜日
6. 放射線腫瘍学
7. 神経芽腫
正木 英一(放射線診療部)
熊谷 昌明(血液科)
第 4 回 2008 年 6 月 11 日 水曜日
8. 細胞表面抗原解析による白血病の診断
9. 急性リンパ性白血病 (2) 予後因子, 治療
清河 信敬(発生分化研究部)
康 勝好(東京大学)
第 5 回 2008 年 6 月 18 日 水曜日
10. 中枢神経腫瘍 (1)
11. 中枢神経腫瘍 (2)
師田 信人(脳神経外科)
清谷 知賀子(小児腫瘍科)
第 6 回 2008 年 6 月 25 日 水曜日
12. 小児がんの化学療法 (2) 分子標的療法ほか
13. 非ホジキンリンパ腫
瀧本 哲也(RI 管理室)
森 鉄也(小児腫瘍科)
第 7 回 2008 年 7 月 2 日 水曜日
14. 小児がんの病理組織診断
15. 急性骨髄性白血病
中川 温子(病理診断科)
富澤 大輔(東京医科歯科大学)
第 8 回 2008 年 7 月 9 日 水曜日
16. ユーイングファミリー腫瘍
17. 骨肉腫
陳 基明(日本大学)
森岡 秀夫(慶應義塾大学)
第 9 回 2008 年 7 月 16 日 水曜日
18. 造血幹細胞移植
矢部 普正(東海大学)
第 10 回 2008 年 7 月 23 日 水曜日
21. 小児悪性疾患に対する画像検査:診断とマネジメント
20. 骨髄異形成症候群
宮嵜 治(放射線診断科)
真部 淳(聖路加国際病院)
第 11 回 2008 年 7 月 30 日 水曜日
19 小児がんの外科治療
22. 小児がん患者に対する輸血、造血刺激因子
黒田 達夫(外科)
小原 明(東邦大学)
第 12 回 2008 年 8 月 6 日 水曜日
23. 肝腫瘍 腎腫瘍
24. 小児がん領域における臓器移植、生体肝移植
黒田 達夫(外科)
笠原 群生(移植免疫診療科)
第 13 回 2008 年 8 月 20 日 水曜日
30. 組織球症
26. 横紋筋肉腫 未分化肉腫 その他の軟部組織腫瘍
第 14 回 2008 年 8 月 27 日 水曜日
27. 網膜芽腫
28. 小児がんと先天異常・遺伝疾患
第 15 回 2008 年 9 月 3 日 水曜日
29 リンパ増殖疾患・免疫疾患に関連する悪性腫瘍
25. 小児がん患者における栄養管理
31. 小児がん患者における感染症
第 16 回 2008 年 9 月 10 日 水曜日
32. 小児がんの分子遺伝学 染色体・遺伝子所見の読み方・考え方
33. 慢性骨髄性白血病
第 17 回 2008 年 9 月 17 日 水曜日
34. 小児がんの臨床試験
35. 小児がんに関わる倫理
第 18 回 2008 年 9 月 24 日 水曜日
36. 小児がんに関わる救急 Oncologic Emergency
37. ホジキンリンパ腫
第 19 回 2008 年 10 月 1 日 水曜日
38. 胚細胞腫瘍 内分泌腫瘍 小児に稀な腫瘍
39. 小児がん患者のリハビリテーション
第 20 回 2008 年 10 月 8 日 水曜日
40. 支持療法: 疼痛ほか, 対症療法
41. 小児がん患者に対する看護
塩田 曜子(血液科)
熊谷 昌明(血液科)
鈴木 茂伸
(国立がんセンター中央病院)
小崎 里華(遺伝診療科)
森 鉄也(小児腫瘍科)
森川 信行(外科)
斎藤 正博(順天堂大学)
林 泰秀
(群馬県立小児医療センター)
嶋田 博之(慶應義塾大学)
瀧本 哲也(RI 管理室)
掛江 直子
(成育保健政策科学研究室)
塩田 曜子(血液科)
熊谷 昌明(血液科)
黒田 達夫(外科)
清谷 知賀子(小児腫瘍科)
高橋 秀寿
(リハビリテーション科)
近藤 陽一(手術集中治療部)
森 鉄也(小児腫瘍科)
剣持 瞳 (看護部)
第 21 回 2008 年 10 月 15 日 水曜日
42. 小児がんの遺伝子診断
43. 支持療法:精神・こころの支援
大喜多 肇(機能分化研究室)
生田 憲正(思春期心理科)
第 22 回 2008 年 10 月 22 日 水曜日
44. 小児がん患者の晩期障害
45. 小児がん経験者(CCS)の内分泌晩期障害
前田 美穂(日本医科大学)
堀川 玲子(内分泌・代謝科)
第 23 回 2008 年 10 月 29 日 水曜日
46. 小児がん患者の長期フォローアップ
47. 終末期医療 こころの診療
石田 也寸志(聖路加国際病院)
奥山 眞紀子(こころの診療部)
第一専門診療部
アレルギー科
Division of Allergy
診療科概要
アレルギー科は気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、蕁麻疹をはじめとする
アレルギー疾患の Common disease の重症例とその周辺疾患および高 IgE 症候群、低 IgA 血症、
非 IgE 依存性食物アレルギーおよびその他数多くの希少アレルギー疾患を診療しています。
症例数はアトピー性皮膚炎、気管支喘息、食物アレルギーの順に多く、それぞれの月平均
初診患者数は 30 名∼40 名、20 名∼40 名、20 名∼30 名(複数疾患合併例あり)程度で、再
診患者数は全ての疾患を合わせると月平均 1500 名程度です。入院患者数は 5 名∼25 名程の
幅がありますが、年間で平均すると 12∼13 名/日程度です。
初診患者の約 2/3 が他施設からの紹介で、重症患者の占める割合が多いのが特徴です。治
療は原則としてガイドラインに準拠して行いますが、将来のガイドラインの改定を視野に入
れた診療を行っているので、臨床研究の対象となる患者に対しては倫理委員会の承認と患者
の同意を得た上で最先端の治療を行います。いずれの場合も、1.Evidence-based Medicine、
2.Narrative-based Medicine、3.Behavioral Medicine を基本にして患者本位で包括的
な医療を行います。
数々の臨床研究や新薬の治験の他にも、研究所とのトランスレーショナルリサーチや他施
設との共同研究も行っています。
診療科の体制は医長 1 名、医員 2 名、レジデント 4-5 名、他施設併任医員 4-5 名、無給の
臨床研究員(医師)2-3 名で、この他に心理療法士や患者教育に携わる看護師が数名ずつお
ります。
アレルギー科は日本アレルギー学会認定指導施設の指定を受けており、学会専門医・指導
医の資格取得が可能です。
研修カリキュラム
1.スペシャリストコースアレルギー学会専門医養成コース
採用条件
日本アレルギー学会の専門医を取得するためのコース。専門医試験の受験資格は小児科・
内科・皮膚科・耳鼻科・眼科など基本領域の専門医(認定医)資格を有し、基本領域の臨床
研修を含め通算6年以上の臨床研修歴を有すること、そのうち通算 3 年以上は日本アレルギ
ー学会認定教育施設での臨床研修を必須とする。となっており、当科への赴任前に日本アレ
ルギー学会認定教育施設での臨床研修歴がない者は原則として3年の研修を必要とします。
到達目標
(1)臨床研修
1年目:
A.知識の習得
日本アレルギー学会の認定専門医制度研修カリキュラムに準じて以下の項目を学習しま
す。総論としては、アレルギー反応の分類(Coombs)と病態、免疫異常、免疫不全、免疫
系の構成と機能、免疫遺伝学、局所的炎症変化、全身的炎症変化、急性炎症と慢性炎症、
感染と免疫アレルギー、感染に関する宿主側の要因、眼・鼻・耳・皮膚・気管支・肺・消
火器の構造と機能。各論としては、全身性アナフィラキシー、気管支喘息、過敏性肺臓炎、
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、花粉症、アレルギー性鼻炎・結膜炎、蕁麻疹、血
41
管神経性浮腫、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、食物アレルギー、薬物アレルギー、物
理的アレルギー、昆虫アレルギー、職業性アレルギー、ラテックスアレルギー等です。
実際の診療に必要となる知識として日本小児アレルギー学会喘息治療・管理ガイドライ
ンおよびアトピー性皮膚炎治療ガイドラインに記載してある内容を理解します。また、診
療に必要な行動科学の基礎的知識の習得を行います。Pubmed や Cochrane library を利用
して最新の治療に関する一次論文や二次情報を検索利用する技術を習得します。
B.診療技術の習得
日本アレルギー学会および日本小児アレルギー学会の治療・管理ガイドラインに準拠し
た治療ができることを目標とし、重症度に応じた薬物療法の決定と非薬物療法に関する知
識・技術を習得します。検査技法としては、食物負荷テスト(二重盲検法)、皮膚テスト(プ
リックテスト・皮内テスト・パッチテスト)、呼吸機能検査、気道過敏性検査(メサコリン
負荷試験・運動負荷試験)
、副腎機能検査の習得を行います。総合的な治療技法を養うため、
心理士と一緒に病棟患者の診察・評価を行い、行動分析と行動療法の実際、リラクセーショ
ン訓練の実際を習得します。病棟患者を常時3―6名受け持ち、その筆頭担当医となりま
す。また専門外来を週2単位以上担当します。
2年目:1年目で習得した知識に基づいて臨床と研究における応用を展開します。
A.知識の展開
日本のガイドラインと外国のガイドラインの違いを理解し将来の日本のガイドラインの
改定に必要な情報を整理します。ランダム化比較試験やコホート研究などエビデンス水準
の高い臨床研究論文を中心に専門知識の整理とアップデートに努め、現在の診療へのフィ
ードバックを考えます。また、トランスレーショナルリサーチに必要な基礎医学分野の知
識の習得も行います。
B.診療技術の応用と教育
1 年目に習得した診療技術を利用して、主体的な診療計画を立て実行する臨床力を養い
ます。1 年目の医師への教育および総合診療部レジデントへの教育を行います。病棟患者
を筆頭担当医として常時2−4名受け持ちます。外来は週4単位以上担当します。
3年目:アレルギー専門医の取得を目指して包括的に専門知識と臨床技術のまとめをします。
A.知識の整理
EBM に立脚した最新の医療情報を毎月アップデートし、講演会などでの質問に正確に答
えられるだけの知識と技法を習得します。
B.診療技術の発展と教育
2 年目までに習得した診療技術を磨くとともに、得意な分野を作り、新たな診療技法の
開発に取り組みます。病棟患者の筆頭担当医として常時1−3名の患者を受け持ち、外来
は週 4 単位以上担当します。2年目以下のレジデントおよび総合診療部のレジデントに対
する教育を行います。
(2)セミナー等
毎週火曜日朝にジャーナルクラブを開いています。当番で担当者を決め、最新の文献を紹
介します。また、自主的な輪読会や勉強会を適宜開催しています。
年 3 回、成育臨床アレルギー懇話会を開催し、当科の診療内容や研究内容の紹介および最
先端のアレルギー診療情報の提供などを行い、他科および近隣の市区の医療施設の医師との
情報交換を行っています。
(3)学会発表
1年目:
自験例に関する症例報告を年2回以上学会発表し、邦文誌もしくは欧文誌に最低1編は投
42
稿します。アレルギー科が行っている公的研究プロジェクトに最低1つ以上は研究協力者と
して参加し、研究方法論についても学習します。
2年目:
自験例に関する症例報告を年1回以上学会発表し、邦文誌もしくは欧文誌に投稿します。
倫理委員会の審査を経た臨床研究の中から自分の研究テーマを選び、その内容を年 1 回以上
学会発表します。論文の投稿は日本語でもよいが、2 年で研修を終了するものは英文誌への
投稿を完了します。公的研究プロジェクトへの参加を行い、研究協力者として臨床研究の実
際を学びます。
3 年目:
自験例に関する症例報告もしくは症例集積研究を行い年 1 回以上学会発表します。そのほ
かに国際学会もしくは英語圏の学会での発表を行います。研究成果をまとめて英文誌に1本
以上投稿します。公的研究プロジェクトの報告書の下書きをしたり、研究計画書を自分で書
いて倫理委員会に提出し研究プロジェクトを遂行する業務にも挑戦します。
コース終了後の主な進路
大学医局からの派遣で研修に来た場合は、それぞれのレジデントが所属する大学医局の人
事で関連施設に赴任します。大学医局とは独立して個人で研修に来た場合は本人と相談の上
でアレルギー専門医としての技術が生かせる職場を紹介します。いずれのケースも、特に優
秀な成績を示した場合は、スーパーレジデントやリサーチレジデントあるいは医員・他施設
併任医員等に昇格し、当科での勤務を継続する道を選ぶこともあります。
採用可能人数
コース卒業者の数に依存しますので一定しませんが、毎年2−3名を予定しています。
2.トレーナーコース
日本アレルギー学会指導医の資格を取得するコース。日本アレルギー学会では、指導医の
認定を受けるための条件として次の各号をあげています。
1. 申請時社団法人日本アレルギー学会認定の「専門医」であること
2. 15 年以上の臨床アレルギー学の経験を有すること
3. 社団法人日本アレルギー学会認定教育施設またはそれに準ずる診療施設に勤務しア
レルギー診療に従事していること
4. 最近の 5 年間にアレルギー関係の学術雑誌への論文発表 5 編以上(共著を含む)
5. 最近の 5 年間にアレルギー関係の学会発表 10 回以上(共演を含む)
採用条件
指導医の取得には卒後15年以上のキャリアを必要とするため、最年少でも40歳前後に
達しています。このコースで想定しているのは、他施設の小児科などでアレルギー専門医と
して5年から10年程度のキャリアがあり、新たに日本アレルギー学会認定教育施設の申請
をする施設のために指導医の資格取得をめざす医師、他施設で指導的立場にあるが指導医と
しての実績が足りないために当科での研修を希望する医師、などです。
到達目標
スペシャリストコースのレジデントなど若手医師の指導を行い、臨床上の疑問に対して自
分の経験だけでなく最新のエビデンスと病態生理に基づいた回答が与えられる能力を養成し
ます。また、様々な患者の疑問に的確に答え、信頼関係を樹立できるよう医師としてバラン
スのとれた人格を涵養します。また、自らの学会発表や論文執筆はもちろん、若手医師への
的確な指導が行える実力を身につけます。学術雑誌への論文発表と学会発表に関して最低で
も学会指導医の資格条件を満たす数を達成しなければなりませんが、国際学会や欧米の学会
43
での発表と英語論文の執筆を自らの実力で完成し、若手医師の指導を行うことができる実力
に到達することが必要です。
採用可能人数
医員のポストを想定しておりますので2−3年に 1 名程度の採用にとどまる予定です。
3.短期研修コース
基盤学会(日本小児科学会など)の専門医資格を有するかそれに匹敵する臨床研修歴を有
する医師が、特定の診療技術や研究技法を習得するために3ヶ月から1年以内の短期研修を
行うためのコースです。特に臨床研究によって開発したばかりで他施設には普及していない
技法についての習得を想定しています。
採用条件
小児科学会専門医など基盤学会専門医取得者で、一般的なアレルギー診療の経験とガイドラ
イン程度の基礎的知識があるもの
到達目標
研修を希望する内容によって異なる。
採用可能人数
応談
4.その他
不明の点がありましたら、何でも結構ですので、お気軽にお問い合わせください。
連絡先
〒157-8535
東京都世田谷区大蔵 2 丁目10−1
国立成育医療センター第一専門診療部アレルギー科
大矢幸弘
Email: [email protected]
Tel: (03) 3416-0181, Fax: (03) 3416-2222
44
週間スケジュール
外来
月曜
病棟
8:00-9:00
9:00-17:00
研究
入院患者カンファ
アレルギー外来
入院患者処置
気道過敏性検査
火曜
17:00-19:00
個別研究指導
8:00-9:00
抄読会
9:00-14:00
アレルギー外来
10:00-12:00
喘息教室
12:00-14:00
気道過敏性検査
14:00-17:00
思春期・学童外来
入院患者処置
17:00-19:00
水曜
9:00-13:30
プロジェクト会議
アレルギー外来
気道過敏性検査
18:00-20:00
木曜
勉強会
8:00-9:00
総回診
9:00-13:30
アレルギー外来
10:00-12:00
アトピー教室
14:00-16:00
皮膚テスト
減感作
ポリクリ
16:00-19:00
金曜
入院患者処置
英語カンファレンス
19:30-21:00
研究カンファレンス
8:00-9:00
グランドラウンド
9:00-13:30
アレルギー外来
合同カンファ
15:00-16:00
16:00-17:00
外来カンファレンス
17:00-19:00
個別研究指導
土曜
入院患者回診
日祝
入院患者回診
45
個別研究指導
第一専門診療部
膠原病・感染症科
Division of Infectious
Diseases and Rheumatology
診療科概要
膠原病・感染症科の主な診療対象は、大きく3つあり、免疫不全症、小児膠原病、そして小
児感染症疾患である。
先天性免疫不全症では細胞性・液性免疫あるいは好中球機能など障害のある生体防御機構の
違いにより特徴的な感染症に罹患し、また症状や経過も異なるが、豊富な臨床経験と研究実績
に基づいて、迅速な診断と適切な治療を行っている。特に食細胞機能障害の代表であり、また
免疫不全症として最も多い疾患である慢性肉芽腫症については、多くの診療科や機関と協力し
て根治療法を行ってきた。さらに日常の診療で遭遇する反復感染やまれな感染症など易感染性
を訴える患者について免役不全症との鑑別も大きな仕事である。
小児膠原病では小児医療施設としては数少ない日本リウマチ学会の教育認定病院でもある
ことから、多数の若年性関節リウマチをはじめとし、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎など
の古典的リウマチ性疾患に加え、分類不能の慢性炎症性疾患、あるいは診断のつかない不明熱
などを診療している。
小児感染症疾患では、院内のあらゆる小児感染症疾患の診断、治療に関するコンサルテーシ
ョンにあたり、各科の医師に感染症専門家としての助言を与えることをその業務とする。国内
では初めてとなる米国小児感染症専門医の指導の元で、院内のあらゆる部署からの感染症疾患
に対するコンサルテーションに対応する。同時に、付属の国立成育医療センター研究所、国立
感染症研究所との連携を図り、小児のウイルス感染症の診断、ワクチンの領域での研究を進め
ている。
当科のもう一つの特徴はインフェクションコントロールドクターと感染管理看護師を擁す
る院内感染対策チーム(ICT)での活動である。ICTの一員として敗血症や特定抗菌薬の
サーベイランスを実施しており、それに基づく感染予防策の立案と評価、あるいは感染症に関
するコンサルテーションを行っている。
研修プログラム
膠原病・感染症科として週に4日間の外来、入院患者の診療、ラウンドミーティング、およ
びICTとしてのラウンドとミーティングである。現在医長、医員、レジデント各1名と少人
数であることから、日常診療の中で1対1の対応となる。
到達目標
・ 病棟診療
・ 外来診療
・ 各種先天性免疫不全症の診断と基本的治療
・ 各種小児膠原病疾患の診断と基本的治療
・ 小児重症感染症疾患の診断と治療
・ 微生物学全般の習得
・ 小児感染症領域における研究面での活動
・ ICTとしての基本的知識と技術の獲得
46
研修コース
1.スペシャリストコース
専門医(日本リウマチ学会・日本感染症学会)指定研修施設である。
47
第一専門診療部
内分泌・代謝科
Division of Endocrinology and
Metabolism
診療科概要
国立成育医療センター内分泌・代謝科は、国立小児病院から引き続き小児期・思春期のみ
ならず、成人期に至るまでのすべての内分泌・代謝疾患を対象として診療しています。
小児内分泌疾患では、あらゆる分野において症例数の豊富さと診療経験の幅広さで国内他
施設の追随を許しません。多数の小児糖尿病症例や希少な代謝異常症例も診療しています。
また、併設の研究センター小児思春期発育研究部と共同研究を行い、分子生物学的な疾患原
因の解明を試みています。これらの経験の蓄積から、常に最新の診断・治療法の模索を行い、
国内のみならず国際的にもリーダーであることを目指しています。
最近では、近年増加し問題となっている小児生活習慣病や摂食障害、慢性疾患における骨
代謝異常、小児癌生存者の晩期障害などに積極的に取り組み、診療科の枠を越えた成育医療
センターならではの診療を行っています。
現在までに特に以下の分野で成果を上げています。
¾
成長障害の病因解明と治療、特に成長ホルモン治療
¾
性分化異常症・性成熟異常症(思春期早発症と遅発症)の診断と治療
¾
副腎疾患の病因・診断・治療、および新たな疾患概念の確立
¾
1型・2型糖尿病の治療
¾
視床下部下垂体疾患の診断と治療
¾
疾患をもった母体(特に甲状腺・副腎・下垂体疾患)と胎児・新生児の診断と治療
¾
摂食障害の診断と治療、特に内分泌学的アプローチ
¾
Transition”(小児期から思春期を経て成人への移行)の問題点と対処法の検討
¾
骨形成不全症・骨粗鬆症の内科的治療、Ca 代謝異常の治療
¾
低血糖症の診断と治療
国立成育医療センター内分泌・代謝科は、多くの疾患でいわゆるキャリーオーバーの診療
を行っています。これは他の小児病院や一般小児科ではなかなか出来ない診療であり、小児
慢性疾患の予後を実際に経験することで、小児期の診療を見直すというフィードバックを行
うことが可能です。また、院内の多くの科や、院外他施設との共同研究を行っており、広い
視野をもって診療に当たることができるという特色を有しています。
内分泌・代謝科では身体のみならず、患者のQOLを改善させることに力を注いでいます。
心理士やこころの診療部との連携でこれらの問題に当たっています。
主な症例・症例数(年間概数)
低身長症・成長ホルモン分泌不全症・間脳下垂体疾患:
外来 500 名・入院 130 名
副腎疾患:
外来 80 名 ・入院 10 名
性成熟異常症:
外来 200 名・入院 10 名
性分化異常症:
外来 50 名
甲状腺疾患
外来 100 名・入院 10 名
肥満症(症候群を含む)
外来 60 名
48
・入院 15 名
・入院 10 名
副甲状腺などその他の内分泌疾患:
外来 30 名
・入院 10 名
糖尿病:
外来 100 名・入院 10 名
低血糖症、代謝性疾患:
外来 30 名
・入院 10 名
骨系統疾患:
外来 50 名
・入院 5 名
診療科構成
医長1、スタッフ1、レジデント(非常勤も含む)5専門医取得:以下の取得が可能です。
日本内分泌学会内分泌代謝科(小児科)専門医日本糖尿病学会専門医
1.スペシャリストコース
採用条件
¾
研修開始時、一般小児科経験を 2 年以上有するもの。
¾
小児科専門医を取得している、または採用年度中に取得見込みのものが望ましい。
¾
レジデントは採用後2-3年間の研修カリキュラムを履修できること
¾
日本内分泌学会
¾
病院の実施する採用試験に合格していること
内分泌代謝科(小児科)専門医を取得する予定のもの
研修カリキュラム
¾
レジデントプログラム
日本内分泌学会内分泌代謝科専門医、および日本糖尿病学会糖尿病専門医取得のための
プログラムで、原則としてレジデントが対象です。
研修期間は3年間(他の研修施設で引き続き研修を行う場合には2年でも可)を原則とし
ます。それぞれの専門医制度に則し、疾患の診断と治療にあたります。臨床研究も同時に
行い、学会・論文発表を行います。
到達目標
1年目:病棟診療・外来デイケアでの診療が中心。内分泌疾患・糖尿病などについて、基礎
知識を学び、確立された治療法と最新の治療法を理解し修得します。診断のための
種々の負荷試験の実施と結果の解釈、画像診断の診療技能を修得します。
2年目:1年目と同様に病棟診療・外来デイケアでの診療が中心ですが、入院時担当患者の
外来フォローや1年目レジデントの教育を行いながら、知識と技術の修得をより深
めることを目標とします。2年間で基本的な内分泌疾患、糖尿病(新規例も含む)、
その他の代謝異常を経験することになります。臨床研究に積極的に参加し、データ
のまとめや国内外の学会・論文発表を行います。
3年目:指導医の指示だけでなく、自ら判断して診療に当たることが出来るようになること
を目標とします。病棟診療では1年目2年目レジデントや総合診療部レジデントの
指導を行い、外来診療にも参加して長期フォローについて学びます。基礎研究にも
積極的に参加することを勧めます。基礎・臨床の成果を国内外の学会・論文発表を
行い、内分泌代謝・糖尿病専門医の取得を目指します。
2.短期研修コース
内分泌・代謝疾患診療の基礎を学ぶ、或いは研究を主目的とする、などの場合は短期の研
修を受け入れます。臨床研究員(無給)として採用します。
3.トレーナーコース
内分泌代謝専門医・糖尿病専門医の各学会の規定要件に則した指導医を養成します。
採用条件
49
・
内分泌代謝専門医、糖尿病専門医を有する者、または各々の受験資格を有し専門医取得
の意思のあるもの。
・スーパーレジデント・医員として採用。採用人数:2 名。
研修期間
2年以上を原則としますが、個々の状況に応じ1年間の研修も受け入れます。
研修内容
専門医として従来研鑽してきた内容を深め、後進の指導に当たる能力を身につけることを
目標とします。
経験できる症例数:レジデント研修カリキュラム参照
1)3年目のレジデントを指導・相談しながら、病棟入院患者の診療方針の立案と履行、
診療内容のより深いアセスメントを行う。
2)レジデントの指導をスタッフと分担して行う。
3)従前の治療法にとらわれず、新規治療法の検討、臨床試験の立案、遂行、を行う。小
児内分泌代謝学で特に興味のある分野があれば、その分野の臨床研究を行うことも可
能。
4)外来診療への参加。初診から長期フォローまでを独立して行う。科内でのフォロー患
者アセスメントにて、他の指導医・専門医との意見交換を行い、より質の高い診療を
目指す。
5)レジデントの研究指導を、スタッフと協同で行う。
カンファランス・セミナー
内分泌代謝科では院内のセミナーの他、院外施設と共同でセミナーを行っています。
病棟カンファランス・病棟回診:毎週火曜日 9 時半・金曜日 9 時
外来カンファランス:毎週木曜日外来終了後 17 時半頃
Journal club/勉強会:毎週火曜日 14 時半
退院カンファランス/抄読会・Conundrum:毎週金曜日 12 時
* Journal Club では、内分泌/糖尿病/小児科などの主要英文誌約 20 誌のうち、新着雑誌
からトピックスを網羅して抄録を発表します。数多くの英文論文から必要な情報をピック
アップする力を養います。
* 金曜日の抄読会では一つの論文をじっくり読みこなし、伝達することを学びます。
* Conundrum は、クイズ形式の疾患検討です。実際の症例や架空の症例を質問形式に組み
立てて討論しながら理解を深めていきます。
合同カンファランス(群馬大学小児科/都立清瀬小児病院内分泌グループとの合同症例検討
会):年2回
こころと体の勉強会(東京女子医大、国立国際医療センター、聖路加国際病院、東京医大、
虎ノ門病院、慶応大との合同カンファランス)
:年3回
世田谷 ENDO フォーラム(国内の内分泌代謝学及びその周辺の専門家を招いておこなわれ
る公開講座、医師会や一般にもオープン):年2回(予定)
この他、国内外の著明な演者による講演会を年 4-5 回主催しています。これらの演者とは、
病棟回診などをともに行い、講演以外の discussion の場を設けています。
50
臨床研究・基礎研究
臨床研究は、豊富な症例数を元に、院内のみならず他施設との共同研究を行っています。
また、多くの治験や臨床試験に参加しています。
基礎研究は、併設の研究所と連携して、研修生の希望に対応することが可能です。
現在行われている研究は以下の通りです。
¾
成長障害の原因遺伝子の解明と遺伝子—表現型の関連、薬剤反応性の検討
¾
種々の成長障害における成長ホルモン・IGF-I 治療の効果と代謝に対する影響
¾
性分化異常症の診断・治療指針の作成・その啓蒙活動
¾
性分化異常症の原因遺伝子の同定と機能解析
¾
性成熟異常症における新規治療法の検討
¾
生活習慣病、特に2型糖尿病の診療:生活習慣病検診体制の確立、2型糖尿病の薬物療
法、摂食異常症としての肥満症の統括的診療
¾
摂食障害の内分泌異常と晩期障害
¾
小児癌生存者の晩期障害:診療指針の作成
¾
疾患を持った母体から生まれた児の予後に関する研究
¾
骨形成不全症のビスフォスフォネート治療
その他、興味のある分野について、自由に研究が行えるよう配慮しています。
後期研修終了後の進路
大学、地域機関病院勤務、研究所での研究など様々です。海外留学希望者で推薦資格を有
すると思われる方には、研修施設をご紹介します。
国立成育医療センター内分泌代謝科での研修に興味のある方は、遠慮なく下記までご連絡く
ださい。
内分泌代謝科医長
E-mail
電話
堀川玲子
[email protected]
03−3416−0181
FAX 03−5494−7136
51
第一専門診療部
腎臓科
Division of Nephrology
診療科概要
国立成育医療センター腎臓科は、平成 14 年3月の国立成育医療センター開設時に新たに
作られた診療科で、小児期から思春期、成人期に至るまでのすべての腎疾患を診療します。
なかでも以下の腎疾患に関しては、豊富な臨床経験と研究実績があり、世界の最新の研究
成果に基づいた最新の腎疾患医療・研究を行うことを目標としています。
„
学校検尿等で発見された血尿・蛋白尿の管理・治療
„
IgA 腎症、紫斑病性腎炎などの慢性腎炎および遺伝性腎疾患(アルポート症候群、家族
性血尿、先天性ネフローゼ症候群、先天性腎尿路奇形など)の診断・治療
„
ネフローゼ症候群の診断・治療
„
溶血性尿毒症症候群をはじめとする急性腎不全の診断・治療
„
慢性腎不全に対する血液透析・腹膜透析
„
代謝性疾患、肝疾患、免疫疾患合併妊娠などに対する血液浄化療法
„
腎移植(腎疾患、代謝疾患)(術後も腎臓科にて管理)
„
腎疾患、移植腎の病理診断
„
様々な病態が原因となって発症する腎障害 (Cyanotic nephropathy など)の診断・治療
„
腎疾患を持つ患者様の妊娠・周産期の管理なども行っています。
また、国立成育医療センター腎臓科は、ネフローゼ症候群、IgA 腎症、小児腎移植免疫抑
制療法などの全国多施設共同研究の中心的協力施設として、その治療プロトコール作成や臨
床試験実施に深く関与しており、これらの疾患の診療に関する最新の知見と臨床試験の重要
性を学ぶことができます。また、年間 60-70 例の腎生検を行っており、検査手技及び腎生検
組織診断についても系統的に学ぶことが可能です。
さらに、当科では、血液透析、腹膜透析(CAPD)、血漿交換療法など、当センター内のほ
ぼすべての血液浄化療法に関与しています。また、QOL 向上の観点から、腎不全患者様には
積極的に腎移植を行っており、外科、移植免疫診療科、麻酔科・ICU、放射線診療部、ここ
ろの診療部などと腎移植チームを作り、現在、年間4-5例の新規腎移植を行っています。今
後さらに症例数の増加が予想されています。このように、当センターにおける腎疾患診療は、
大変にバラエティー豊かであり、学校検尿、腎炎やネフローゼの治療、腹膜透析、血液浄化
療法、腎移植まで、小児腎疾患に関する幅広い知識を得ることが可能です。
1. スペシャリストコース
日本腎臓学会腎臓専門医取得のためのコース
採用条件
•
医学部卒業 5 年目以降で、一般小児科経験を 2 年以上有するもの
•
小児科専門医を取得している、または採用年度中に取得見込みのもの
•
採用後2-3年間の研修カリキュラムを履修できること
•
日本腎臓学会腎臓専門医を取得する予定のもの
52
到達目標
1年目:病棟診療・透析室での診療が中心。腎炎・ネフローゼ症候群などの診断法およびエ
ビデンスに基づいた治療法を理解し修得する。腎生検の診療技能を修得する。血液透
析・腹膜透析の理解と診療技能を修得する。腎移植の術前・術後管理を理解し修得す
る。
2年目:1年目と同様に病棟診療・透析室での診療が主であるが、1年目レジデントの教育
を行いながら、知識と技術の修得をより深める。腎病理の知識と診断技術を修得する。
また、臨床研究への参加をより積極的に行い、腎臓研究に関する基礎的知識の修得と
国内外での学会発表を行う。
3年目:病棟診療では1年目2年目レジデントや総合診療部レジデントの指導も行う。退院
後患者を中心に外来診療も担当する予定である。臨床研究だけでなく研究所と連携し
腎臓分野における基礎的な研究も行い、国内外での学会発表を行い国際誌に論文を掲
載する。
到達採用可能人数
現状では定員数の不足により 1−2 年に 1 名の採用にとどまるが、症例数は豊富でバライエテ
イーに富んでおり、計 2−3 名の受けいれは可能
2. トレーナーコース
専門医取得後、さらに指導者としての実力を備えることを目標としたコース。日本腎臓学会
指導医取得を目指す。
採用条件
• 卒後 7−8 年目以降で、日本腎臓学会腎臓専門医またはそれに相当する臨床経験を有す
る。
• 日本腎臓学会指導医の取得をめざすもの
到達目標
2 年間以上の診療、若手医師の教育及び臨床研究を行い、日本腎臓学会指導医のレベルに到
達することを目標とする。当科では下記のように多岐にわたる臨床研究や遺伝子解析研究を
行っており、これらの研究活動にも積極的に関与していただく。また、希望があれば、当院
研究所もしくは他施設での研究活動の援助も行っている。本コース終了後は、中核小児専門
医療機関や大学病院等で小児腎臓専門医として臨床・研究の中心的存在となり、後進の指導
を行う。
到達採用可能人数
現状では 1−2 年に 1 名程度だが、計 2−3 名の受け入れは可能。
3. 短期研修コース
期間は 1−2 年間
採用条件
•
研修開始時、医学部卒業 5 年目以降で、一般小児科経験を 2 年以上有するもの
•
小児科専門医を取得している、または採用年度中に取得見込みのもの
•
研修期間は相談の上決定する
到達目標
スペシャリストコースの 1−2 年目の到達目標と同様
4.セミナー等
53
腎臓科で行っているカンファレンス・セミナーは以下のとおりです。
入院患者カンファレンス・病棟回診:毎週火・金曜日午後 17 時から
腎疾患勉強会:毎週火曜日午後 19 時から
外来患者・透析患者カンファレンス:毎週月曜日午後 17 時から
腎生検病理カンファレンス:毎月1回
5.研究
現在進行中の臨床研究、基礎研究
1) 巣状メサンギウム増殖小児 IgA 腎症を対象としたリシノプリル単独療法とリシノプリル
+ロサルタンカリウム併用療法の有効性と安全性の多施設共同非盲検ランダム化比較試
験
2) 頻回再発型小児ネフローゼ症候群を対象としたシクロスポリン投与 2 時間後血中濃度値
による投与量調節法の多施設共同非盲検ランダム化比較試験
3) ステロイド抵抗性小児ネフローゼ症候群を対象としたシクロスポリン+プレドニゾロン
併用療法とコハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム+シクロスポリン+プレドニゾロ
ン併用療法の多施設共同非盲検ランダム化比較試験
4) 小児腎移植におけるミコフェノール酸モフェチルの有効性・安全性の確認、用法・用量
の検討・確立に関する研究
5) 初発小児特発性ネフローゼ症候群患者を対象としたプレドニゾロン国際法(2 ヶ月投与)
と長期投与法(6 ヶ月投与)の有効性と安全性の多施設共同オープンランダム化比較試験
6) 小児期発症の難治性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブの多施設共同二重盲検プラ
セボ対照ランダム化比較試験
7) 小児期発症の難治性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブの薬物動態試験
8) ステロイド反応性ネフローゼ症候群へのプロテオミクスを用いた研究
9) 難治性ネフローゼ症候群に対するリツキサン療法とその効果と機序についての研究
10)ネフローゼ症候群の発症機序における細胞極性の関与についての研究
11)ループス腎炎における自然免疫の関与についての研究
12)培養ポドサイトを用いた腎炎、ネフローゼにおけるポドサイトについての研究
13)先天性代謝性疾患における急性血液浄化療法に関する研究
その他にも多くの研究活動を行っていますので興味ある方の参加を希望します。
54
第一専門診療部
神経内科
Division of Neurology
診療科概要
当院の神経内科は、基本的に小児神経科で、日本小児神経学会の研修施設として指定され
ている。小児を中心に新生児期から思春期、成人期に至るまで幅広い年齢層を対象とし、脳・
脊髄の先天奇形、先天性代謝異常、発達遅滞、てんかん、神経変性疾患、脳炎・脳症、末梢
神経障害、発達障害と非常に多岐にわたった疾患を診療している。小児科第一線の医療現場
で経験しておかなければいけない一般的な疾患から、非常に稀な神経疾患の先端治療までを
含んでいる。
1.スペシャリストコース
日本小児神経学会の小児神経専門医を取得のためのコース
採用条件
卒後 5 年以降で小児科専門医またはそれに相当する臨床経験を有する
到達目標
学会選定の「小児神経科専門医のための到達目標・研修項目」を指標として行い、最低 2
年間の研修後、専門医試験を受験し小児神経専門医取得を目標とする。修了者は、地域病院
小児科などで独立して小児神経疾患の診療に当たることが可能になる。
採用可能人数
経験する症例数は充分にあるが、現状では当科の定員数より 2-3 年に 1 名の採用にとどま
る。本来毎年 1 名の採用が可能である定員数が望ましい。
2.トレーナーコース
専門医取得後、さらに指導医としての実力を備えることを目標としたコース。
採用条件
卒後 7 年目以上で、小児神経科専門医またはそれに相当する臨床経験を有する。
到達目標
2年間以上の臨床現場での診療および若手医師の教育を行い、臨床研究も含めた臨床能力
を有することを目標とする。最終的には日本小児神経学会が認定する小児神経指導医のレベ
ルに到達することを目標とする。本コース修了後は、中核小児専門医療機関にて小児神経の
専門医としてチームリーダーとして診療に当たる、障害者医療施設での専門診療の従事する、
大学病院などでの専門的な研究に進むなどの進路がある。
採用可能人数
現状の定数では、2-3 年に 1 名程度の採用にとどまる。
3.短期研修コース
期間
1 年間
採用条件
地域病院などの小児科専門医
到達目標
けいれんなどの一般小児科で頻度の高い小児神経疾患を中心に診療の基本技術を獲得する。
55
第二専門診療部
部長
概
川城信子 [email protected]
要
第二専門診療部は小児外科、脳神経外科、心臓血管外科、整形外科、形成外科、泌尿器科、
眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、婦人科、内視鏡科、リハビリテーション科、歯科の13科が所
属しております。
第二専門診療部での短期のローテーションを希望する時にはレジデントを募集していない
科もふくめ、すべての科がレジデントの短期研修には協力いたしたいと考えます。各科が多
くの興味ある症例に恵まれており、経験豊かな先生がおります。各専門分野の知識、診療を
経験することは医師として豊かな経験となると信じます。
56
第二専門診療部
外科
Division of General Surgery
診療科概要
1) 手術件数:年間約800件
2) 診療体制:医長2名、医員4名、レジデント3名
3) 専門医取得:日本小児外科学会
日本外科学会
専門医
専門医
研修プログラム
*当院での研修開始時期での卒業後の年数、小児外科に関する経験にはばらつきがあり、以
下のカリキュラム実施にあたっては必ずしも卒後年数、研修年数のみにとらわれるもので
はありません。
1.行動目標
研修年度
1年目
項目
3年目
4年目
問診ならびに診察技術の習得
B
静脈確保ならびに採血技術の習得
内
容
一般的外科的管理を指導の下に行う。指導者とともに患者担当医と
なる
A
体表の生検、切開、外鼠径ヘルニアなどの手術を指導の下に執刀。
B
小児外科疾患の診断計画を立て、臨床検査法の選択と解釈を行う。
C
重症患児の管理を指導の下に行う。基本的検査を指導の下に行う。
A
基本的検査を選択施行し、その結果の解釈を行う。
B
特殊検査を選択し、その結果の解釈を行う。その 1 部を施行する。
C
基本的手術やその他の治療を指導の下に行う。
D
症例検討会などで症例提示を行う。
A
諸検査の結果を総合し、小児外科疾患の診断を行う。
B
基本的治療は、その多くを自力で行う。
C
患者あるいはその関係者に状況(病状)の説明を行う。
D
5年目
修
A
C
2年目
研
学術集会で主として症例報告を演者として発表し、論文として作成
する。
A
患者管理を独力で行い、かつジュニア医師を日常的に指導する。
B
基本的治療を独力で行い、かつジュニア医師を指導する。
C
高度な手術療法のいずれかを経験させる。
D
症例検討会などで主たる討論者となり、研究論文を発表する。
57
2.研修方略
研修年度
1年目
項目
研
修
内
容
A、
外鼠径ヘルニア、虫垂炎、腸重積など一般的疾患の担当医として指
B、C
導者とともに患者ならびに関係者と面接し、診察する。
A
手術:外鼠径ヘルニア、虫垂炎、表在性腫瘤に対する手術
基本的検査:X 線検査(単純撮影、消化管造影、尿路造影など)、穿
2年目
刺検査(腹腔、胸腔、骨髄など)、生検(リンパ節、皮膚、
B
直腸など)
C
術前後管理:体液、呼吸、体温、栄養管理、感染対策
特殊検査:超音波検査、血管造影、CT,MRI 検査、RI 検査、内視鏡
検査、消化管内圧検査、食道 p H モニタリング、気管支造
A, B
3年目
影など
C
基本的手術:幽門筋切開術、胃瘻造設術、人工肛門造設及び閉鎖術、
腸重積観血的整復術、精巣固定術など
基本的外科治療:中心静脈カテ挿入、人工呼吸器操作、蘇生術,外
4年目
B
傷、熱傷の初期治療、鼠径ヘルニア嵌頓整復術、肛門、食
道拡張術など
手術治療(中等度なし高度):腸回転異常症手術、先生横隔膜ヘルニ
ア修復術肺葉切除術、腸閉鎖症手術、食道裂孔ヘルニア手
5年目
C
術、ヒルシュスプルング氏病手術、鎖肛根治術、悪性腫瘍
摘出術、食道狭窄症手術、食道閉鎖症手術、胆道拡張症手
術、胆道閉鎖症手術など
○短期研修コース
小児外科短期研修の受付
日本外科学会専門医資格に対応して、小児外科手術を経験するための短期研修(無給)
を受け入れます。
研修期間:1∼3ヶ月
研修内容:小児外科手術の経験(助手、小手術の術者として)
一般的な小児外科的管理技術の習得
短期研修を希望される場合は、現在所属する施設の指導責任者より、当院外科医長(本
名敏郎または黒田達夫)あて、連絡をとるようにして下さい。
外科(小児外科)に関連する資格認定は以下のようです。
日本外科学会専門医
卒後5年以上
症例申請、試験
日本小児外科学会専門医
卒後5年以上、研修指数、試験、論文など申請
日本小児外科学会指導医
卒後 15 年以上、症例申請・論文業績審査
58
第二専門診療部
概
脳神経外科
Division of Neurosurgery
要
脳神経外科では中枢神経系の先天異常、機能障害、腫瘍性病変に対して外科治療を行いま
す.対象となるのは脳から脊髄、一部末梢神経にまでおよび、またこれらの組織を保護する
頭蓋骨、脊椎の異常も手術対象となります.疾患としては腫瘍、水頭症・二分脊椎をはじめ
とする先天奇形、血管障害、外傷、機能的疾患(脳性麻痺などの痙縮、難治性てんかん、不
随意運動など)が主な手術対象です.また胎児診断科、特殊診療部とともに胎児診断・治療
にも積極的に取り組んでいます.
国立成育医療センターの発足とともに新設の科として 2002 年 4 月より活動を始めた脳神経
外科ですが、2006 年度の手術件数は 250 件を越し小児神経外科領域における国内有数の施設
となっています.又、手術数の増加に伴い、日本脳神経外科学会専門医訓練施設として 2005
年に認定されました.
研修プログラム
1.スペシャリストコース
小児神経外科専門医を目指す医師のコースです.原則として、小児神経外科に興味を持
つ卒後 4 年以上の臨床経験を有する脳神経外科医を対象とします.一般脳神経外科医として
の手術適応の判断、緊急時の処置などを的確に判断できる臨床能力を有していることが要求
されます.研修期間中は豊富な症例に支えられ多数の手術に参加してもらうと同時に,国内
外学会での口演発表を多数こなす機会があり論文作成も本人の意欲次第で可能です.又,希
望次第で後述するトレーナーコースに進むことも可能です.
到達目標:
小児神経外科疾患の理解、画像診断、治療方針の確定ができるようになることを目標とし
ます.特に水頭症・二分脊椎の各種病態の把握、合併症に対する対応、治療方針の判断が
できるようになること,病棟での術前検査・術後管理を安全確実にすすめられることに重
点をおきます.病棟における患者管理、スタッフの補佐も重要な仕事になります.水頭症
手術に伴う様々の合併症に対する的確な診断・治療方針の策定ができるようになることは
小児神経外科の基本として重視されます.
手術症例:
水頭症に対する各種手術および外傷例に対する開頭血腫除去術の術者、神経内視鏡手術及
び顕微鏡下手術の助手.どのレベルの手術まで行なうかは,各個人の技倆・能力に応じて指
導医が判断します.
研修期間:
原則 1 年です.
2.トレーナーコース
小児神経外科の指導医を養成するコースです.将来、大学病院などの所属機関・小児医
療専門施設などで指導的立場で働ける医師を目指します.小児神経外科にある程度の経験
があり、脳神経外科学会専門医の資格を有する卒後 7 年以上の臨床経験のある脳神経外科
医を原則として対象にします.一般脳神経外科手術の基本を一通りマスターしていること
が要求されます.脳動脈瘤、脳腫瘍などの顕微鏡手術の術者を経験していることが望まれ
59
ます.指導医として活躍できるよう,手術手技の習得だけでなく学会発表・論文作成にも
積極的に取り組んでいただき,学術活動の重要性を認識してもらうことも必要になります.
現在,日本では小児神経外科の専門医制度は存在しませんが,既存の神経内視鏡技術認
定医、脊髄外科学会認定医の資格取得に必要な手術症例を多数経験してもらうことが可能
です.
到達目標:
小児神経外科専門医を目指す立場から各疾患の正確な画像診断・病態把握、手術適応・
手術方法の判断が的確にできるようになることを目標とします.病棟における術前・術後
管理、スタッフのもとでレジデントの指導、関連各科との連絡を通して小児神経外科にお
けるチーム医療の重要性も理解してもらいます.手術に対しては,術式の選択、手術のゴ
ールを自主的に判断できるようになることが求められます.
手術症例:
手術体位の設定、主要な手術における開閉創の術者および助手、水頭症手術、神経内視鏡
手術、頭部外傷手術の術者.脳・脊髄病変における顕微鏡手術の術者は、臨床能力に応じ
てどこまで手術を任せるかを各個人毎に判断していきます.
研修期間:
原則 1 年、ただし希望があれば延長することも可能です.
3.短期研修コース
長期の研修が困難な場合,あるいは脳神経外科専門医トレーニング中の小児神経外科研
修として 3-6 ヶ月の短期研修も可能です.また、脳神経外科医以外でも脳神経外科疾患、
小児神経疾患の外科治療に興味のある他科医師でも短期間(原則 3 ヵ月)のローテーショ
ンとして脳神経外科研修が可能です.
到達目標:
小児神経外科における治療の流れを理解できるようになること、画像診断をもとに手術適
応の有無を判断できるようになることを目標とします.病棟における術後管理にも積極的
に関わってもらいます.
手術症例:
基本的な検査・外科手技の修得ができること.シャント機能不全の診断をはじめとする水
頭症患児の管理、各種手術における助手も行ってもらいます.
2007年度手術症例
Total number of surgery: 321 procedures
Hydrocephalus
水頭症
VP/SP シャント(新設)
VP/SP シャント(再建)
神経内視鏡手術
その他
先天奇形
Congenital anomaly
二分頭蓋
脊髄髄膜瘤
脊髄脂肪腫(脂肪脊髄髄膜瘤含む)
脊髄係留症候群
頭蓋骨縫合早期癒合症
頭蓋内嚢胞性病変
頭蓋頚椎移行部病変
90
VP/SP shunt, newly setup
26
VP/SP shunt, revision
20
Neuroendoscopic surgery
11
Others
33
111
Cranium bifida
10
MMC/Meningocele
7
Spinal lipoma
23
Tethered spinal cord syndrome 14
Craniosynostosis
23
Intracranial cystic lesion 11
CVJ lesion
14
60
9
30
脳腫瘍
Brain tumor
テント上
supra tentorial
18
テント下
infra tentorial
9
脊髄腫瘍
Spinal cord tumor
2
その他
Others
1
機能的疾患
Functional lesion
20
機能的脊髄後根切断術
Functional posterior rhizotomy18
バクロフェンポンプ埋め込み
ITB pump implantation2
てんかん
Epilepsy
5
焦点切除術
Focus resection
2
硬膜下電極設置術
Subdural electrode
3
血管障害
Vascular lesion
20
もやもや病/類もやもや病
Moyamoya disease
頭蓋内外血管間接吻合術
EDAS
2
頭蓋内外血管直接吻合術
STA-MCA anastomosis 1
頭蓋内出血
ICH
2
脳動静脈奇形
AVM
5
ガレン大静脈瘤
VGA
8
その他
Others
2
外傷
Trauma
12
急性硬膜外血腫
Acute epidural Hx.
2
急性硬膜下血腫
Acute subdural Hx.
2
硬膜下腔液貯留
Subdural fluid collection 1
頭蓋骨骨折・その他
Skull fx./Others
7
その他
Others
33
--------------------------------------------------------------------------------------------------------2007 年度
学会発表数
23
その他
腫瘍
Others
Tumor
講義・講演
論文
11
9
第 25 回こども病院神経外科医会主催
2007.11.23-24 於:国立成育医療センター研究所 2 階
61
セミナールーム
第二専門診療部
心臓血管外科
診療科概要
心臓血管外科は国立成育医療センターの前身である国立小児病院の時代から日本の先天性
心疾患の外科治療とともに歩んできた歴史と伝統があります。しかし新しい成育医療の概念
の中では、従来の先天性心疾患外科治療に加えて幅広い対応が求められます。小児期に治療
を受け、成人期にいたっても何らかの問題(続発症、遺残症)を残し、外科治療を必要とす
るいわゆるキャリーオーバー症例、あるいは胎児期に診断され、生後の高度なチーム医療が
必要となる新生児症例などがこの中に含まれてきます。こうした対象となる病態に対して、
循環器科、新生児科、麻酔・集中治療科などと協力しあいながら診療を行っています。純粋
に後天的な疾患(虚血性心疾患等)は現在のところ診療対象とは考えていません。
国立成育医療センターは、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会、日本血管外科学会
の三学会から構成される心臓血管外科専門医認定機構の修練関連施設に認定されています。
その修練カリキュラムを研修プログラムとして、別に記載しました。
心臓血管外科専門医は日本外科学会認定医(専門医)の認定を受けていることを前提とし
ているため、当科での研修を希望する場合は日本外科学会認定医(専門医)の資格を有する
か、申請可能な一般外科修練を積んでいることが条件となります。また前述したとおり主に
先天性心疾患を対象疾患としているため、後天性心疾患、大血管疾患等の修練をいずれかの
修練施設で受けることにより、幅広い知識と技術の習得を目指す意欲を持つことが重要と考
えています。
レジデントとして研修を希望される方には修練カリキュラムに沿った指導を行っていくこ
とは勿論ですが、少しでも心臓血管外科の臨床経験があれば、プログラムの消化は順調に行
くと思います。心臓血管外科の臨床経験が全く無い方でも、熱意があればそのことは全く支
障とはなりません。いずれにしても心臓血管外科のチームメートとして、一緒に先天性心疾
患と闘い、切磋琢磨していく仲間という意識で迎えられる人材を求めています。
研修プログラム
1.一般目標
心臓血管外科専門医認定機構による心臓血管外科専門医認定の目的に則り、本機構よる
心血管外科専門医認定基準をみたし、倫理観を持ち、医療事故防止対策、感染対策、医療
経済等にも十分配慮できる有能で、信頼される心臓血管外科専門医を育成する。当施設で
は主に先天性心疾患を有する患者の、合併症及び続発症、遺残病変をも含む治療を経験す
ることにより、後天性疾患の治療経験をも応用できる幅広い知識と経験を身につけさせる。
2.行動目標
A.心臓血管系の発生、構造と機能を理解し、疾患の特性、病型分類、血行動態、疫
学に関する知識を学ぶ。
B.各疾患の診断に必要な問診および身体診察を行い、必要な基本的検査方法、特殊
検査方法の選択と実施ならびにその結果を総合的に検討して診断と病態の評価が
できる。
C.診断に基づき、個々の症例の心身両面に対応して疾患の病態に応じた適切な手術
術式を選択し、安全に実施できるよう計画、遂行できる。
D.患者とその関係者に病状と外科治療に関する適応、合併症、予後について十分な
62
説明ができる。
E.心臓血管外科に関する論文執筆、学術集会における発表を通して、自分自身の考
え方をまとめ、分かりやすく表現する技術を習得する。
F.医療事故、アクシデント、インシデントの発生に際してはこれを迅速に遺漏なく
対処し、患者とその関係者に対しても誠意をもった対応ができる。
G.医療保険制度、診療報酬請求の仕組み、各種医療助成制度などの医療経済に関す
る基礎的知識を持つ。
H.心臓血管外科修練中の後進の外科医に自分の知識、技術を伝え、日常的に指導
し、その成果を評価することができる。
3.研修方略
研修の前には卒後初期研修(2 年間)、心臓血管外科専門医認定基準の要件となっている
日本外科学会認定医あるいは専門医に認定されるだけの一般外科的修練(2 年間)を受け
ていることが要求される。従って当カリキュラムは卒後 5 年から 7 年目を対象とした内容
となっている。また、当施設の症例の大半は先天性心疾患であるため
後天性疾患に関し
ては当施設の研修の前、または後で、心臓血管外科専門医認定機構が認定する修練施設に
おいてそのカリキュラムに従って研修を受け、心臓血管外科医としての経験の幅を広げる
ことが重要である。当施設での研修の前に後天性疾患に関しての研修を受けている者につ
いては、当然その修練実績によってカリキュラムの内容は勘案されるべきものと考える。
1 年次(卒後 5 年目相当):
A.疾患についての理解
①
疾患の種類、病型分類、それぞれの型における特徴と違いを知る。
②
疾患の種類、病型分類による症状、身体所見の特徴を理解する。
③
これらの違いによる諸検査データ、画像の特徴が読み取れる。
心電図、レントゲン、心臓カテーテル検査、心血管造影、心臓超音波検査(経胸壁、
経食道)、各種シンチグラム、CT,MRI 等
④
疾患の違いと成長、発達の過程における変化を理解する。
B.手術方法についての理解
①
各種疾患に対する手術術式とその選択根拠が理解できる。
②
根治手術と姑息手術の治療体系のなかでの意義を学ぶ。
③
各手術方法に関して必要な補助手段(人工心肺)、手術材料(パッチ、人工血
管、人工弁等)、輸血(自己血貯血を含む)準備量等がすぐに挙げられる。
④
手術方法に関連する解剖が理解できる(血管の位置関係、欠損孔との関係、刺激
伝導系等)。
難易度 A の手術の術者を経験する。難易度 B,C の手術の第 2 助手として手術の流
⑤
れを理解する。
C.合併症についての理解
①
それぞれの手術術式について可能性のある合併症を挙げることができる。
②
それぞれの合併症の対策、対処方法について学ぶ。
D.患者およびその関係者に対する説明の体得
①
A.,B.,C.で自分で理解した内容を患者およびその関係者に分かりやすい言葉を用
い、しかも正確に説明する方法を身につける。
②
質問に対してもその場ですぐに答えられるようにするために、疾患全般について
どれほど理解と知識が必要かを学ぶ。
63
③
つねに誠実な態度で患者および関係者と接することができる。
E.周術期管理に関しての理解と基本手技の習得
①
周術期の水分栄養管理、呼吸管理、循環管理に関する知識を習得する。
②
周術期管理に必要な薬剤の適応、用量、用法が理解できる。
③
血液データ(血液ガス分析を含む)からの状態の把握と、対応が分かる。
④
血行動態(動脈圧、中心静脈圧、肺動脈圧、左房圧)からの状態の把握ができ
る。
⑤
周術期に必要な基本手技(中心静脈ライン、動脈ライン、末梢ラインの確保、ド
レーンの挿入方法、気道確保、創傷管理等)を身につける。
⑥
体外式一時的ペーシングの理解、体外式ペースメーカの操作を知る。
⑦
術後管理に必要な様々な補助手段(ECMO、IABP、腹膜透析、一酸化窒素吸入
療法等)と小児症例における特殊性などを体験する。
F.体外循環に関しての理解と基本手技の習得
①
送脱血カニューレ選択、挿入ができる。
②
ベントの種類、要否の判断、挿入ができる。
③
体外循環必要な指示、伝達を理解する(開始、終了、大動脈の遮断、遮断解除、
体温コントロール、心筋保護液の注入、局所冷却を含む)
。
G.学術活動
①
関連主要学会に参加して話題と問題点などの知識を広げる。
②
症例報告を行い疾患に対する知識を深め、論文にまとめる。
H.保険医療制度、診療報酬請求、医療助成制度などについての知識を得る。
I.アクシデント、インシデントレポート、各種マニュアルなどのリスクマネージメント
システムについて理解する。
1 年次では認定のための臨床経験評価点数 50 点以上を目標とする。
※
2、3 年次(卒後 6 年目、7 年目相当):
A.疾患についての理解
①
疾患の種類、病型分類から手術治療の要否、手術計画が自ら判断できる。
②
手術治療のタイミングを自ら判断できる。
③
段階的手術が必要な場合、その治療計画を立てられる。
④
検査データから分析される個々の症例での問題点を把握し、それに対する対策を
立てられる。
⑤
合併疾患に関する周術期における管理を担当科と協議し、全身的管理に関する配
慮ができる。
B.手術方法についての理解
①
同じ術式でも、個々の症例における違いから必要になる対策が理解できる。
②
手術に必要な材料の選択が自らできる。
③
手術中助手に対して必要な指示が自らの判断で出せる。
④
病型分類により手術術式、手技上の違いが生じる解剖学的特徴が理解できる。
⑤
基本的手術手技に関して後進に適切な助言ができる。
⑥
手術に関連する外科解剖についての知識(刺激伝導系の保護、主要神経の保護、
変異と対処等)を深める。
⑦
再手術症例の癒着剥離操作ないし、その第 1 助手を経験する。
64
難易度 B の手術の術者を経験する。
難易度 B、C の手術の第 1 助手の経験を積む。
⑧
C.合併症についての理解
①
様々な合併症について、治療の要否を自ら判断し、適切な対応が取れる。
②
合併症に対する処置ができ、必要な指示が出せる。
③
患者およびその関係者に対して、合併症の発生、それに伴う状態、治療内容、治
療の選択理由、予後などを誠実な態度と、自らの言葉で説明できる。
D.周術期管理に関して
①
周術期に必要な基本手技、診療に関して後進に指導、助言できる。
②
術後管理に必要な様々な補助手段のための処置の介助ができる。
③
術後管理に必要な体外式一時ペーシング(心室ペーシング、心房ペーシング、心
房心室順次ペーシング、DDD ペーシング等)のペースメーカ設定ができる。
④
術後管理に関して ICU、病棟スタッフとのコーディネートができる。
E.体外循環に関しての理解
①
疾患、手術術式に応じた送脱血部位の判断、カニューレの選択が自らの判断でで
きる。
②
複雑心奇形における体外循環を経験する。
③
心筋保護、体外循環の詳細(回路充填液組成、体外循環中の希釈限外濾過法等)
についての知識を深める。
④
人工心肺操作担当者に対して必要な指示を行い体外循環を自らコーディネートで
きる。
F.学術活動
①
関係主要学会総会での発表が可能なようなテーマの選択と資料収集を行う。
②
症例検討会において主たる討論者となる。
G.診療報酬請求を通して、手術術式の位置づけ診療材料、薬剤の適切な使用方法に
ついての知識を深める。医療助成診断書が正しく記載できるようにする。
※2 年次では認定のための臨床経験評価点数 80 点以上を目標とする。
※3 年次では認定のための臨床経験評価点数 120 点以上を目標とする。
尚、上記中難易度 A, B, C とは、心臓血管外科専門医認定機構が定める心臓血管外科専門
医認定のための臨床経験評価方式に定められる手術術式の点数(表 1)に記載されている内
容である。
到達目標
到達目標は研修プログラムの中に示しました。
65
第二専門診療部
整形外科
Division of Orthopedics
診療科概要
(1)主な症例:小児整形外科全般にわたるが、特に上肢(手・肘)の先天異常、肘関節周
辺の外傷、先天性股関節脱臼、ペルテス病、内反足、種々の疾患に対する骨延長術などの症
例が多い。国内の小児施設の整形外科と比較して、特に上肢の手術症例が多いのが特徴的で
ある。入院患者数の平均は約 20 名、手術日は週 2 回で、年間の手術件数は約 300 件。
(2)診療体制:第二専門診療部長 1 名、医長 1 名、医員 1 名、レジデント 3 名(現在のレ
ジデントは卒後 4 年、7 年、8 年)
(3)専門医取得可能の有無:日本整形外科学会認定研修施設となっているので、当センタ
ーでの研修期間が整形外科専門医取得に有効。また日本手の外科学会専門医制度の研修基幹
病院として認定されている。
研修コース
1.スペシャリストコース
日本整形外科学会専門医取得のためのコースであるが、その中でも特に小児整形外科領域を
専門に研修する。
採用条件
整形外科研修 4 年以上が望ましく、日本整形外科学会専門医取得、あるいは 1−2 年以内に
取得予定であること、一般整形外科を十分に経験した上で、小児整形外科の研修を受けてい
ただきたい。
到達目標
学会選定の研修項目の中で、特に小児整形外科領域を中心とした研修を行う。研修期間は
1−3 年で。小児整形外科全般にわたり、診断と手術及び保存療法を含め治療方針を学ぶ。
(1)外来診療では、一般の診察以外にも特に小児整形外科で重要な要素を占める装具療法
と矯正ギプスに関して学ぶ。基本的にすべての病棟の患者さんを担当する。手術に関しては、
ほとんどの症例で助手として研修を積むことができ、さらに一般病院でも扱う可能性のある
疾患に関しては、数例の助手経験の後、指導医の元で術者となることができる。
(2)セミナーなど:すべての外来患者さんについて、検討会を週に一度行っている。側弯
症など特殊な脊椎疾患に関しては、数ヶ月に一度慶應義塾大学整形外科松本守雄助教授を招
いて、脊椎カンファレンスを行っている。また慶應義塾大学小児整形外科カンファレンスに
出席し、症例呈示を行う。
(3)小児整形外科関係、手・肘の外科関係、股関節関係の臨床発表テーマを設定し、主演
者として年に 2−3 回の発表と論文作成を行うことを目標とする。また基礎研究に関しては、
成育医療センター研究所移植外科研究部および生殖医療研究部との共同研究に参加すること
ができる。
採用可能人数
当科の定員数に依存するが、研修期間が 1 年の場合、毎年 1-2 名の採用が可能
66
2.トレーナーコース
すでに日本整形外科学会専門医取得し、さらに小児整形外科・手の外科領域の指導医として
の研鑽を行うコース
採用条件
卒後 7 年目以上で、日本整形外科学会専門医の資格を取得していること。
到達目標
小児整形外科領域に関し、外来・入院・手術の全般にわたりイニシアチブをもって診療に
当たれること、さらに若手医師の教育を行えることを目標とする。研修内容は上記のスペシ
ャリストコースの項目に加え、他のレジデントを指導しながら診療にあたることが要求され
る。研修後は小児整形外科領域での指導医となって、それぞれの医療機関で従事することを
目指す。さらに手の外科を専門領域としている医師の場合は、本邦随一の手の先天異常の手
術症例を経験することが可能で、日本手の外科学会専門医の取得を目標にする。
採用可能人数
当科の定員数に依存するが、2-3 年に 1 名
3.
短期研修コース
3 カ月以上 1 年以内
採用条件
小児専門医療施設以外に勤務する整形外科医
到達目標
先天性疾患や小児特有の外傷など、小児専門医療施設でないと経験を積むことが難しい疾
患について、知識および診療技術を獲得する。
採用可能人数
当科の定員数に依存するが、短期研修を希望される場合、直接整形外科医長まで連絡をい
ただきたい。
67
第二専門診療部
形成外科
Division of Plastic Reconstructive
Surgery
診療科概要
形成外科は,体表とそれに近い組織の先天性,後天性欠損の形態的,機能的再建を行い,
患者の社会復帰を助ける外科の一分野である.当院形成外科では国立の小児医療センターと
いう性格上ほとんどが先天異常である.
一般目標として,患児の身体的,精神発達を考慮した治療を行うこと,非侵襲的治療を推
進すること,そして標準的治療体系が無い疾患について,上記の基準に従った体系の確立を
推進することとしている.
重点をおいている疾患群としては,小耳症を含む耳介先天異常,唇顎口蓋裂,先天性鼻咽
腔閉鎖不全症,顔面神経麻痺,頭蓋縫合早期癒合症,その他の頭蓋顎顔面異常,四肢先天異
常,Vascu1ar
anomaly(血管腫,リンパ管腫)などである.これらについてチーム医療を行
い標準的治療体系の確立を推進することを目標としている.
年間の手術件数は約 250 件でその内訳等は年報に記載してある.
研修コース
1.スペシャリストコース
日本形成外科学会専門医を取得するためのコース
採用条件:卒後 5 年目以降で初期臨床研修(2 年)終了後 2 年以上の形成外科修練を終了し,
小児形成外科に対して興味と熱意があるもの
到達目標:日本形成外科学会の定めた到達目標,研修項目を指標に研修を行う.単に医療技
術に留まらず,医療における倫理,チームアプローチ,患者・家族とのコミュニケーション,
医療経済・保健に配慮した医療に主体的に参加する.実際に執刀できる手術の内容は本人の
医療技術に応じて決定する.
年間2∼3回学会,研究会での発表,最低 1 回の論文による紙状発表を行う.
研修期間:1∼2 年.2 年まで専門医試験受験資格に組み入れることができる.
採用可能人数:レジデントとして 1 名
2.トレーナーコース
専門医取得後に特に小児形成外科における専門的診療研究能力を高め,指導医(現在形成外
科学会には指導医や小児形成外科専門医は設定されていない)としての能力を備えることを
目標としたコース
採用条件:日本形成外科学会専門医で小児形成外科に対して興味と熱意があるもの
到達目標:臨床現場で診療及び若手医師の教育を行う.本コース終了後は基幹病院,大学,
小児センターなどで専門的な診療や研究に従事することが期待される.実際に執刀できる手
術の内容は本人の医療技術に応じて決定する.年間2∼3回学会,研究会での発表,最低 1
回の論文による紙状発表を行う.
研修期間:1年以上.
採用可能人数:医員として 1 名.
68
3.短期研修コース
一般病院の形成外科専門医が小児形成外科における専門的診療能力を高めることを目標とし
たコース
採用条件:日本形成外科学会専門医で小児形成外科に対して興味と熱意があるもの
到達目標:小児形成外科で比較的頻度の多い疾患や,チームアプローチを要する疾患を中心
に臨床に参加し,専門知識,臨床能力の収得を行う.実際に執刀できる手術の内容は本人の
医療技術に応じて決定する.
研修期間:1ヶ月以上.
採用可能人数:1名.随時可.
69
第二専門診療部
皮膚科
Division of Dermatology
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医研修目標および研修内容
専門医は
研修認定施設において、4年以上の継続的な皮膚科臨床に携わる職務にあったものが、学会
の専門医試験に合格し、規定数以上の論文数、学会発表数などをもつこと、およびその内容
を専門医認定委員会が認定した場合に、専門医として認定される。その後は5年毎に更新が
必要である。
研究目標
医師としての全般的基本能力の修練を基盤に、皮膚疾患の高度な専門的知識・診断・治療技
術を修得し、関連領域に関する広い視野をもって診療内容を高める。
研修内容
コース 1 医学一般
ユニット1
健康管理、予防医学
a) 家庭、職場における健康管理
b) 精神衛生
c) 防疫
d) 遺伝カウンセリング
ユニット 2 医療に関する法律、医療問題全般についての知識
ユニット 3 健康保険制度と保険診療についての知識
a) 日本における健康保険制度
b) 皮膚科領域における高額な治療に関する薬価、治療費用などについての知識
ユニット 4 Evidence-based Medicine (EBM)と治療ガイドライン
Quority of Life (QOL)
ユニット6
インフォームド・コンセントとカルテ開示、セカンドオピニオン
コース2
ユニット5
皮膚科学総論
ユニット1
構造と機能
a) 表皮
b) メラニン・メラノサイト
c) 真皮・皮下組織
d) 付属器
e) 粘膜
f)
年齢による皮膚機能の違い
ユニット 2 病態生理
a) 皮膚病態の細胞生物学、分子生物学
b) 皮膚免疫アレルギー学
c) 放射線生物学・光線生物学
d) 微生物学
ユニット3
診断・検査
70
a) 診断学
b) 掻痒
c) 発疹学
d) 皮膚病理組織学
e) 皮膚科検査法
ユニット4
治療
a) 治療ガイドライン
b) 全身療法
c) 外用療法
d) 光線療法、放射線療法
e) スキンケア
f)
皮膚外科
g) レーザー療法
コース 3 皮膚科学
各論
1)
皮膚炎・湿疹
2)
紅皮症
3)
蕁麻疹
4)
痒疹
5)
掻痒症
6)
薬疹
7)
血管・リンパ管の疾患
8)
紅斑症
9)
角化症
10) 炎症性角化症と膿疱症
11) 水疱症
12) 膠原病および類症
13) 代謝異常症
14) 軟部組織(皮下脂肪組織・筋肉)疾患
15) 肉芽腫症
16) 太陽光線による皮膚障害
17) 放射線皮膚障害
18) 熱傷
19) 皮膚潰瘍
20) 褥瘡
21) 色素異常症
22) 母斑と母斑症
23) 皮膚形成異常
24) 遺伝性結合織病
25) 上皮性腫瘍・神経性腫瘍
26) 間葉系腫瘍
27) リンパ腫と類症
28) メラノサイト系腫瘍
29) ウイルス感染症
30) 細菌感染症
71
31) 真菌感染症
32) 抗酸菌感染症
33) 性感染症(STD)
34) 動物性皮膚症・寄生虫症
35) 付属器疾患(汗器官・脂腺・毛器官・爪)
36) 粘膜疾患
37) 全身疾患と皮膚
72
第二専門診療部
眼科
Division of General Ophthalmology
診療科概要
小児眼科のすべての領域で診療を行い、ことに白内障、緑内障、網膜硝子体手術に関して
は全国から集中的に紹介を受けている。未熟児網膜症の超早期手術のような先端医療や、
リハビリテーションによる社会復帰支援も行っている。また、研究所との共同により、分
子細胞生物学、遺伝子治療、再生医療の研究を行っている。
1.スペシャリストコース
採用条件(卒後年数等)
:初期研修施設となっているので、後期研修1年目からの研修が可能
到達目標:以下の研修プログラムすべての修了
採用人員:1−2人
研修期間:3 年
どの専門医が取得できるのか:以下の研修を3年間受け、さらに1年眼科専門医制度施設で
研鑽を積めば、日本眼科学会専門医の受験資格が得られる。
研修プログラム
1.医の倫理、患者および家族との人間関係
2.チーム医療における他の医師、医療従事者との協調性、自己学習と自己評価
の確立、学会、症例検討会への出席
3.初期救急医療の知識・技術の習得
4.眼の解剖・組織学・発生・生理、眼光学、薬理、微生物学の知識の習得
初年度
5.診断技術(視力、視野、眼底、眼位、眼球運動、両眼視、瞳孔、色覚、光覚
、屈折、調節、隅角、眼圧、スリット検査、涙液分泌、細菌検査)の習得
6.治療技術(点眼、結膜下注射、球後注射、ブジー、涙のう洗浄)、眼鏡処方
とコンタクトレンズ、感染疾患の治療と予防、入院患者の処置
7.手術(麦粒腫・霰粒腫摘出、睫毛内反手術、白内障、斜視手術の助手と基本
技術の習得)
1.衛生学、医療統計、医療に関する法律、失明予防の知識習得
2.電気生理学的検査(ERG、EOG、VEP)、超音波、X線、CT、MR
I、蛍光眼圧造影の技術と診断
3.治療技術(眼外傷、急性眼疾患の救急処置)
2年度
4.手術(前房穿刺、虹彩切除、斜視、白内障、IOL、緑内障の濾過手術、光
凝固)
5.学会や症例検討会への出席、眼病理の検討、抄読会、学会への発表、少なく
とも筆頭演者として1題
73
1.病理、免疫、遺伝、生化学の詳しい知識の習得
2.手術(眼球摘出、眼球内容除去、眼瞼下垂、難治緑内障手術、網膜剥離、眼
外傷手術)、3年度までで手術は執刀者、助手をあわせて総数50件以上、そ
3年度
のうち内眼手術が執刀者として20件以上を達成
3.学会の発表
少なくとも筆頭演者として1題(2年度と合わせて2題以上)
眼科に関する論文を単独あるいわ筆頭著者として少なくとも1篇発表
2.トレーナーコース
採用条件(卒後年数等)
:眼科専門医取得あるいはこれに準ずるもの
到達目標:以下の研修プログラムすべての修了
採用人員:1人
研修期間:3 年
研修プログラム
1.小児検査一般
2.斜視・弱視の管理
3.斜視手術
初年度
4.眼瞼下垂などの外眼部、形成手術
5.白内障手術
6.未熟児網膜症の眼底検査と光凝固
7.臨床に関する学会発表と論文作成
1.緑内障手術
2.網膜剥離手術
2年度
3.眼窩手術
4.病理ないしは分子生物学等の基礎研究技術習得
5.臨床に関する学会発表と論文作成
1.硝子体手術
2.病理ないしは分子生物学等の基礎研究
3年度
3.臨床に関する学会発表と論文作成
4.基礎研究に関する学会発表と論文作成
所属学会
日本眼科学会
日本小児眼科学会
日本弱視斜視学会
日本網膜硝子体学会
日本眼科手術学会
American Academy of Ophthalmology
Association of Research for Vision and Ophthalmology
日本小児科学会
日本分子生物学会
74
第二専門診療部
耳鼻咽喉科
医長
泰地
秀信
医員
守本
倫子
医員
南
Division of Otolaryngology
修司郎
診療科概要
小児専門の耳鼻咽喉科として、新生児期からキャリーオーバーまでの、全ての耳鼻咽喉科
疾患の診療を担当しています。
一般の小児科疾患として最も多い中耳炎、鼻炎、咽喉頭炎といった一般的疾患から、声門下
狭窄、後鼻孔閉鎖症、舌根・喉頭嚢胞等の上部気道狭窄疾患の診断と治療、手術を行います。
さらに先天性の障害として一番発生頻度が高い難聴の診断と治療、療育を行います。当セン
ターでは新生児聴覚スクリーニングを周産期に行っております。難聴は周産期のハイリスク
児も多く、診断と療育の面からセンター的な役割をになっております。中耳疾患として多い
慢性中耳炎、中耳真珠腫、耳小骨奇形の手術を行います。現在、話題となっている睡眠時無
呼吸症候群について、検査、手術、術後評価を行います。当センターの小児疾患は合併症が
多く、単一な疾患で解決がつきません。各科との連携のもとにチーム医療を行います。
研修プログラム
国立成育医療センター耳鼻咽喉科は日本耳鼻咽喉科学会専門医の研修施設に認定されてお
ります。
したがって、学会の基準にそった研修プログラムで、研修が行われます。レジデントの研
修年数は専門医資格獲得のための年数にくみこまれます。
1)疾患の概念、診察方法
2)診断のための検査オーダー
3)画像診断
4)聴力検査などの生理検査の読み方
5)外来での処置の方法
6)手術の修得
7)合併疾患への対応
など。
到達目標
1.一般目標(GIO)
日常の耳鼻咽喉科診療(外来および入院)を適切に行えるような診療能力を習得する。
救急医療についてもプライマリーケア(基本的処置)が十分に行えるようにする。
2.行動目標(SBOs)
<1年度>
外来:耳鼻咽喉・頭頚部の視診・触診(耳鏡・鼻鏡・間接喉頭鏡・ファイバースコー
プの取り扱いなど)、鼻出血止血、耳垢栓塞除去、異物摘出(咽頭魚骨など)、
一般耳鼻咽喉科処置(耳処置、鼻処置など)、ネブライザー
75
検査:純音聴力検査、語音聴力検査、ティンパノメトリ、乳幼児聴覚検査、自発・頭
位眼振検査、ファイバー検査、細菌検査、アレルギー検査
入院:一般処置・投薬、術前術後の管理、難聴の治療、診療録の適正な記載
手術:外科基本手技、鼓膜切開術、鼓膜チューブ挿入、鼻腔粘膜焼灼術、組織生検
<2年度>
外来:外来救急処置(出血、呼吸困難、外傷など)、めまい・難聴疾患の診断・治療、
X線検査・CT・MRI・超音波検査の読影、言語障害・鼻咽腔閉鎖不全の診断、嚥
下訓練、病診連携
検査:聴力スクリーニング検査、耳小骨筋反射検査、耳音響放射検査、ABR、電気味覚
検査、嗅覚検査、顔面表情・NET、発声時間検査
入院:副鼻腔・中耳・頚部の術後処置、関連各科との連携(チーム医療)、各種診断書、
院内感染対策
手術:アデノイド切除、扁桃摘出、口唇のう腫切除、下甲介レーザー手術、耳瘻孔切
除、気管切開術、鼻骨骨折整復固定、異物摘出術(耳・鼻・咽頭)
<3年度>
外来:上顎洞穿刺、鼓膜チューブ挿入、耳管通気、気管切開患者の管理・在宅指導、
膿瘍穿刺・切開・ドレーン留置、ショックに対する救急処置、小児言語指導
検査:内耳機能検査、ASSR 検査、補聴器適合検査、睡眠時呼吸検査、言語発達の検査、
超音波検査、嚥下機能検査
入院:インフォームド・コンセントによる適切な患者・家族への説明、院内カンファ
レンスでの症例提示、重症感染症の管理、
手術:鼓膜穿孔閉鎖術、 唾石摘出術、異物摘出術(食道、喉頭)、頭頚部腫瘍手術お
よび喉頭気管形成術の介助
○スペシャリストコース
耳鼻咽喉科専門医を取得するコース
一般臨床研修(2年)の終了後、日本耳鼻咽喉科学会に入会+し、当院にて4年の研修を行
うことにより、耳鼻咽喉科専門医の認定審査を受けることができる。
76
第ニ専門診療部
リハビリテーション科
Division of
Rehabilitation Medicine
診療科概要
リハビリテーション科は、新生児期から思春期、成人期に至るまで幅広い年齢層を対象と
しています。対象疾患も、脳性麻痺、水頭症をはじめとする中枢神経疾患、二分脊椎などの
脊髄疾患、ダウン症などの遺伝子疾患、多関節拘縮症、先天性股関節脱臼、先天性前腕欠損
症などの整形外科疾患、難聴や顔面神経麻痺などの耳鼻咽喉科疾患、口蓋裂、鼻咽腔閉鎖不
全などの形成外科疾患、若年性関節リウマチなどの膠原病、白血病などの悪性腫瘍、自閉症
をはじめとする発達障害など多岐にわたります。したがって、成育医療センターのすべての
診療科から依頼があります。リハビリテーション科の特徴は、疾患をみるのではなく、その
患者様およびそのご家族に生じている障害に焦点をあてて、問題点を検討し、リハビリテー
ションとして、また社会制度的に何ができるかを治療手段と考えています。
スペシャリストコース
対象
卒業後 3 年目以降、
到達目標
小児分野でのリハビリテーション医療を行うことができる。
1.詳細な運動、精神、言語発達評価ができる。
2.疾患に応じたリハビリテーション処方、家族指導ができる。
3.適切な装具、靴、車いすを処方することができる。
4.身体障害者手帳、肢体不自由分野の判定ができる。
専門医
日本リハビリテーション医学会専門医を目指す方が対象
研修期間
6 ヶ月∼1 年
症例数
脳性麻痺 50 名、遺伝疾患 30 名、神経筋疾患 30 名、
骨関節疾患 30 名、発達障害(自閉症など)30 名、
難聴、口蓋裂など 30 名
リハビリテーション専門医取得のためのカリキュラム
日本リハビリテーション医学会の専門医研修施設として、当センターは平成 16 年1月に承
認されています。リハビリテーション科専門医を取得するためのプログラムとして1年間の
研修を行っています。専門医になるためには、指定を受けた研修施設で、5年間に、症例報
告(30 例)が必要です。以下の領域 1−領域 8 のうち,5 領域以上(うち領域 1・2 は必須)
について各 3 症例以上の要約が必要です。その領域とは、
領域1:脳卒中,その他の脳疾患(脳外傷など),領域2:脊髄損傷,その他の脊髄疾患(二分
脊椎など),領域3:関節リウマチ,その他の骨関節疾患(外傷を含む)
,領域4:脳性麻痺,そ
の他の小児疾患,領域5:神経及び筋疾患,領域6:切断,領域7:呼吸器・循環器疾患,領域8:
その他(悪性腫瘍,末梢循環障害,熱傷など)です。当センターでは、小児疾患についてほぼ
すべての疾患のリハビリテーションを経験することができます。
77
到達目標
1. 一般目標
リハビリテーション科で扱う疾患について、疾患概念、診断、検査、治療につき理解をし、
本人・家族族への説明も含めて自ら行うことができる。また、チーム医療のなかでの役割、
特に他科からのコンサルトに対して適切に応じられる。
日本リハビリテーション医学会から出されている到達目標・研修項目に沿って、専門医とし
て必要な研修目標の到達を目的とする。結果として専門医として十分な臨床経験を獲得できる
ようにする。
2. 診療技術
病歴を把握し、正しく理学所見をとり、発達段階に応じた神経学的所見をとり、社会的背景
を調査し、全体像を把握した上で患者様のもつ障害を、リハビリテーション医学の理念を基に
正しく評価する。その上で、リハビリテーション治療計画を立案し、リハビリスタッフとの共
通理解のもとにチーム医療を行う。さらに、定期的に診察を行って、その障害に応じてリハビ
リ処方の変更、追加,継続を指示することができる。
神経伝導検査、針筋電図検査を理解し、末梢神経障害、筋疾患の補助診断としての適切な手
技を取得する。
3. 治療技術
理学療法、作業療法、言語療法の評価法、治療の中から正しい選択肢を処方できる。
義肢、装具、車椅子、座位保持装置などの特徴を修得し、キネジオロジー、動作分析によっ
て、適合判定ができ、義肢・装具・車椅子意見書が正しく書ける。
摂食・嚥下機能を理解し、X線を用いたビデオ嚥下造影法を学習し、適切な評価により、作
業虜法、言語療法へ摂食・嚥下訓練の正しい処方ができる。
社会制度を理解し、区役所、市町村の福祉課、各地域療育センター、および教育機関との連
携をとり、協力してリハビリテーションがおこなえるようにコーディネートし、障害者手帳の
交付、児童福祉手当などの書類が適切に処理できる。
4.発表技術
日本リハビリテーション医学会総会および関東地方会、日本義肢装具学会などで発表をする
ことにより、学術的な報告の能力をつける。また、論文発表についても積極的に奨励している。
カンファレンス等
NICU回診:毎週水曜日午前中、リハビリスタッフ全員参加、その後カンファレンスを行ってい
る。
症例検討会:毎週水曜日12時∼13時、症例検討会、勉強会を開催している。
抄読会:毎週木曜日12時∼13時、分担でリハビリ関連文献の読書会。
発達心理科とのミーティング:月1回の症例検討会。
療育回診:毎週木曜日午後4時30分から総合診療部との症例検討会。
78
第ニ専門診療部
歯科
Division of Dentistry
教育カリキュラム
1.歯科ガイダンス
電子カルテ
歯科ユニット、小器械のとりあつかい
Winceph−資料の取り込み方
2.小児歯科
小児の取り扱い
基礎疾患のある小児の取り扱い
処置
充填処置
歯髄処置
根管処置
抜歯
口腔外傷の処置
口唇口蓋裂患児のホッツ床管理
全身麻酔下での歯科処置
保隙処置
小児義歯
3.歯科矯正(顎離断手術症例の管理、口唇口蓋裂患者の管理)
症例分析
模型分析
頭部X線写真分析
機能分析
診断
治療目標
治療計画
タイポドント実習
実際の患者の症例検討会
4.口腔外科
小手術
埋伏歯の抜歯
上唇小帯延長術
舌小帯延長術
下顎水平埋伏智歯の抜歯
歯牙腫の摘出
顎嚢胞の摘出
歯胚抜歯
専門医
小児歯科
専門医を取得するには指導医がおりますので、5年在職し学会員であれば専門医
の受験資格が得られます。
79
こころの診療部
Department of Psychosocial Medicine
診療科概要
当国立成育医療センターにおいては、患者さんを身体的に「治す」のみならず、全人的に、
また心理社会的な側面も含めて、真の健康を達成することも一つの大きな目的である。その
ためにはチーム医療が必要であり、こころの診療部はその中で重要な役割を果たさなければ
ならない。
その役割を果たす為には、これまでの小児科と精神科の知見を基礎として取り入れながら
も、その枠を超えた、新しい医療を提供しなければならない。それを遂行するために、ここ
ろの診療部には、発達心理科、育児心理科、思春期心理科の3科が置かれている。レジデン
ト教育に関しては、それらの科が一体となって行っており、以下は、その教育カリキュラム
である。
研修プログラム
<A>スペシャリストコース
子どもの精神的病態を治療することができる医師を養成するコースである。
研修目的は子どもおよびその家族への社会心理学的な医療をおこなうのに必要な基礎的な
知識と技能と態度を習得すること、各自の興味のある分野に関して、更に深い知識と技術を
習得すること、基礎的な研究デザインを学び、臨床研究を行うことである。
採用条件
卒後の初期臨床研修終了後、小児科、精神科、あるいはそれに準じる科の研修(スーパー
ローテートは含まない)を終了し、原則として 3 年間の研修を希望する者で、病院の採用試
験に合格した者。
さらに、以下の要件を満たすことが望ましい。
・小児科の場合には専門医の資格を有するか、または採用年度中に取得見込みの者。
・精神科の場合には指定医の資格を有するか取得見込みの者。
到達目標
基礎的知識の習得(基礎となる心理学的理論、子どもの心身の正常発達と発達理論、親子
関係・家族に関する基本的理論と知識、子どもの精神病理、精神医学の診断基準、心理検査、
チェックリストの意義、治療理論、小児の精神科薬物療法 )および基礎的診療技能の実践を
行い、小児の精神面の問題への診断・治療を行うことができるようになるとともに、さらに
小児の精神的問題と関わりの大きい心理社会的問題(一般小児科および周産期医療とのコン
サルテーションリエゾン、虐待、育児困難、教育・福祉など地域関係機関との連携)への見
立てと対応を習得する。
研修対象疾患ならびに状態
広汎性発達障害(主として高機能)、学習障害、注意欠陥および行動の問題 (ADHD、
CD、など)、トウレット障害、強迫行動、単純トラウマ(交通事故など)、複雑トラウマ(虐
待・いじめなどによる)
、愛着障害、適応障害(転校、病気、その他)、不登校、うつ状態、
解離・転換症状、食行動の問題(神経性食欲不振症など)
、その他の思春期の問題、育児不
安の家族、家族の問題(暴力、離婚、その他)
、など
80
<B>短期研修コース
小児科医あるいは精神科医として一般医療に携わる者、あるいは子どもの精神保健に携わ
ることを目標としている医師のための、子どもの精神的病態への認識を深め、母子関係への
介入を学ぶ研修コース。
採用条件
現在、小児科もしくは精神科において研修中で、1 ヶ月以上 1 年未満のこころの診療部での
研修、或いは 1 年以上週 1 回以上の研修をのぞむ者。研修内容は相談の上決定する。
こころの診療部 指導者リスト
名前
小児科専門医
精神保健指定医
専門領域
奥山 眞紀子
あり
なし
小児精神保健、C/L
宮尾 益知
あり
なし
発達障害、神経発達、小児神経学
生田 憲正
なし
あり
思春期精神医学
笠原 麻里
なし
あり
児童精神医学
中野 三津子
なし
なし
家族治療
佐藤 栄一
なし
なし
心理士
田辺 朋江
なし
なし
心理士
81
特殊診療部
移植免疫診療科
診療科概要
国立成育医療センター移植免疫診療科は、2005 年 6 月に始まった新しい診療科です。臓
器移植が必要な患者さん・臓器移植を受けた患者さんを診療する部門です。肺・肝臓・腎臓・
小腸・膵臓を移植対象臓器としておりますが、現時点では肝臓・腎臓の移植をおこなってお
ります。
肝移植の対象疾患は以下の通りです。
・先天性胆道閉鎖症
・進行性肝内胆汁うっ滞症(原発性胆汁性肝硬変/原発性硬化性胆管炎を含む)
・アラジール症候群、バイラー病
・バッドキアリ症候群
・先天性代謝性肝疾患(家族性アミロイドポリニューロパチー、ウイルソン病・α1アン
チトリプシン欠損症・ヘモクロマトーシス、シュウ酸血症・オルニチン・トランスカル
バミラーゼ欠損症(OTCD)・糖原病・有機酸代謝異常など)
・多発性嚢胞肝、肝線維症、門脈欠損症、VOD、慢性肝 GVHD、カロリ病
・肝硬変(非代償期)
・劇症肝炎(ウイルス性、自己免疫性、薬剤性、熱中症、原因不明を含む)
・肝芽腫
・肝細胞癌 (肝硬変に合併する場合で、遠隔転移と血管侵襲を認めず、径 5 cm 以下1個
または径 3 cm 以下3個以内)
2006 年 11 月から麻酔科、ICU、小児外科、放射線科、消化器科、内分泌代謝科、こころ
の診療科など各専門診療科と連携、協力して生体肝移植プログラムを開始しました。2008
年 7 月末で 64 例の肝移植を行っています(2006 年並びに 2007 年度小児肝移植症例数は国
内最多です)
。
現在は月3例程度ですが、院内外より紹介もしだいに増え、劇症肝炎等の緊急症例にも対応
できる体制も整っております。東京都内で小児肝移植を専門的に行っている施設はないため、
今後ますます症例数が増加していくものと思われます。今後、更に良い成績をあげ、少しで
も我が国の小児移植の発展に寄与する事を目指しています。また、希望により他科へのロー
テーションも可能です。
研究所と協力し肝細胞移植の臨床応用、小腸移植を実施する予定です。
<スタッフ>
笠原医長(前任地で約 1000 例の生体肝移植の経験があり、また海外での脳死移植の経験
も豊富)
医員
1名
レジデント 2 名
研修カリキュラム
移植症例のレシピエントおよびドナーの主治医として術前、術後管理はもとより、実際の
手術では助手および術者として外科手術手技の全て【癒着剥離、血管吻合、消化管吻合、胆管消
82
化管吻合】について学んでもらいます。 スケジュールとしては手術日以外は朝、夕の移植カ
ンファレンス。また、ICU、麻酔科、放射線科、病理部等、各科とのカンファレンスも随時
行なわれており、これらに参加することで、移植領域以外の専門知識も習得できます。
到達目標
当科では実際の肝移植症例を通して以下のことを中心に知識・技術の習得を目指します。
・小児例、特に乳児例の採血、点滴、中心静脈カテーテル確保の技術の習得
・移植の周術期管理
・適切な免疫抑制薬・抗菌薬・抗真菌薬の用い方を身に付ける
・ドプラー超音波診断装置による肝動脈、門脈、肝静脈の脈波形・血流速度、血流量の測定
方法の習得。
・実際の手術(レシピエント、ドナー)を通して外科手術手技の全て【癒着剥離、血管吻
合、消化管吻合、胆管消化管吻合】の習得。
セミナー等
日本移植学会、肝移植研究会、小腸移植研究会、外科学会、消化器外科学会、小児外科学
会などでの発表および論文投稿。
その他
研修希望の先生方の要望に適宜、対応可能ですので、遠慮なくご連絡下さい。
連絡先:笠原
群生
国立成育医療センター
移植免疫診療科
〒157-8535 東京都世田谷区大蔵 2-10-1
Tel.03-3416-0181(代)Fax.03-3416-2222
E-mail: [email protected]
研修コース
1.ジェネラリストコース
小児肝移植の周術期管理、適応・時期を学んでいただきます。日本国内に Pediatric
hepatologist を多く輩出できるよう、消化器内科とともに研修していただきます。
2.スペシャリストコース
日本外科学会認定医、消化器外科認定医取得が可能です。
3.トレーナーコース
4.短期研修コース
肝移植周術期管理ができる Pediatric transplant hepatologist 養成が目的です。
83
特殊診療部
遺伝診療科
概要
国立成育医療センターは、日本人類伝学会の定める臨床遺伝専門医制度の研修施設として認定
されている。
遺伝医療に携わる医師を養成するため、遺伝科専門研修カリキュラムにそって研修を行う。
研修目標は、臨床遺伝専門医の資格取得(日本人類遺伝学会)を目標とする。ただし、臨床遺
伝専門医制度(日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会)で定める施設での臨床遺伝
研修は 3 年であり、臨床遺伝専門医取得の際は、基本的領域の専門医である必要がある。具
体的には、遺伝カウンセリングの実践、チームとして行う遺伝医療のリーダーシップが取れる
こと、遺伝病の自然歴に基づいた医療管理ができること、基本的な細胞遺伝学的解析の理解と
実践、基本的な分子遺伝学的解析の理解と実践などがある。
研修プログラムは、臨床遺伝学に関連する項目に関する講義、実習、輪読会、症例検討会、
遺伝診療科外来実習等からなる。
指導責任医:遺伝診療科医長
小崎里華 (臨床遺伝専門医、指導医)
1.スペシャリストコース
採用条件:
基本領域の学会の専門医(認定医)取得後が望ましい。
到達目標:
臨床遺伝専門医到達目標に定められた事項を専門医取得までに研修する。
専門医の取得:臨床遺伝専門医
経験できる症例数:遺伝科症例
(2002.3-2008.3)
1300 例
遺伝相談
(2002.3-2008.3) 400 件
産科遺伝
(2006-2008.3)
550 件
研修期間:2−3 年
採用人数:1-2 名
研修概要
1)講義および輪読会:講義または輪読会を週 1 回のペースで開催する。Thompson and
Thompson Genetics in Medicine を一年間かけて輪読し、遺伝医学の基礎知識等を習得する。
2)診療概要:遺伝性疾患の診療、遺伝学的検査および遺伝カウセリングに関連した実習を
行なう。
遺伝性疾患等の診療:遺伝診療科で診療を受けている外来患者および各専門診療科で加
療されている外来および入院患者の実際の診療および遺伝カウンセリングに参加し、患
者および家族の診療上の問題を把握する能力を修得する。
場所:遺伝診療科外来および小児科・産科病棟
84
・遺伝性疾患、メンデル遺伝病、多因子遺伝病、免疫異常、
・生化学的異常
・遺伝性神経筋疾患、薬理遺伝学的異常形質
・染色体異常症、多発奇形症候群
・先天代謝異常症
・免疫不全疾患
・性分化異常症
・出生前診断
遺伝学的検査: PCRやシークエンシングなどの一般的なDNA解析および染色体解析技術を
修得させる。
場所:高度先進検査室
・DNA 抽出、PCR、RFLP、シークエンス
・染色体標本の作り方、FISH 解析等
遺伝カウンセリング:遺伝カウンセリング(GC :Genetic Couselimg)に必要な情報の収
集やロールプレーによる遺伝カウセリングのシュミレーションを行い、各自のスキルを
実習形式で向上できるように指導する。
・GC の目的、情報収集、遺伝情報の整理、評価、
・GC の理論と面接スキル、
・主な遺伝病の GC
・GC と生命倫理
2.トレーナーコース
臨床遺伝専門医制度規則に従い、臨床遺伝専門医指導医の資格取得を目的とする。
採用条件:
臨床遺伝専門医
到達目標:
到達目標に定められた事項を専門医指導医取得までに研修する。
専門医の取得:臨床遺伝専門医指導医
経験できる症例数: 遺伝科症例(2002.3-2008.3) 1300 例
遺伝相談(2002.3-2008.3)
400 件
産科遺伝 (2006-2008.3)
550 件
研修期間:2−3 年
採用人数:1-2 名
3.短期研修コース
上記研修を短期間に見学・実習し、臨床遺伝医療について学ぶ。
期間等につき、詳細は、個別相談に応じる。
学会・セミナー等
日本小児科学会、日本人類遺伝学会、小児遺伝学会、先天代謝異常学会、日本遺伝カウンセ
リング学会などでの発表及び論文投稿。
85
特殊診療部
血液腫瘍科/固形腫瘍科
and Oncology
第一専門診療部
血液腫瘍科を参照のこと。
86
Division of Hematology
手術・集中治療部
概
要
<背景>
総合診療体制をとる国立成育医療センターの中で、生命予後が直接の危機に晒されている
重症患者の総合医療を受け持つ手術・集中治療部は、麻酔科医、集中治療医を養成するカリ
キュラムを有します。
診療の中心は小児患者ですが、産科、婦人科、成人化した小児期に病気を煩った思春期や
成人患者など、全年齢層、あらゆる専門領域の麻酔、集中治療の研修が行えます。年間約3
500例の全身麻酔症例、年間約700例の ICU 入院患者の治療に加えて、救急診療科の応
援、疼痛管理、在宅医療、そして無痛分娩や胎児麻酔など、一般総合病院では研修できない
特有の麻酔集中治療領域の研修が行えます。
<基本姿勢、使命>
麻酔科医であること、すなわち患者を中心におき、患者を精神的、身体的のあらゆる苦痛
から、安全に守る急性期医療を中心とした総合診療医です。
我々の最優先事項は患者の安全であり、患者の代弁者として、危機管理を念頭に入れ、物
理的な接触を中心とした基本的な患者診療を行います。
基本的な救急蘇生、生命維持手段の理解の上に、外科手術に対する麻酔、検査や処置を苦
痛なく安全に施行できる麻酔や鎮静、様々な領域での疼痛管理、呼吸管理を中心とした集中
治療、そしてその延長上での高度在宅医療の実施およびそれらの研究開発が含まれ、救急医
療および高度先進医療を、国際標準レベルの医療で支えます。対象患者には産科患者、キャ
リードオーバ患者など成人患者、そして胎児も含まれます。
研修プログラム
手術・集中治療部の研修は、厚生労働省の麻酔科標榜医資格を得るための 2 年間の麻酔基
礎研修の後に、1 年間のハイリスク重症患者の麻酔研修に専従するプログラムと集中治療研
修に専従するプログラムに分かれますが、いずれの場合も2年間の基本的麻酔科研修(コア
プログラム)を行います。
手術集中治療部研修(3年)の概略
初期オリエンテーション期間
1ヶ月
麻酔基礎研修
5ヶ月
麻酔・集中治療・救急コア研修
1年半
小児麻酔
産科麻酔
集中治療
救急医療
1年
(麻酔科標榜医取得資格)
専門医研修
(日本麻酔科学会専門医
2年
日本集中治療医学会専門医受験資格)
87
毎日の基本スケジュール
朝7時半から8時半
カンファレンス、術前回診
朝8時半から
麻酔診療開始
午後5時から
麻酔科回診
午後6時から
ICU 回診
午後7時から
術前術後回診
毎週の基本スケジュール
月曜日
麻酔 今週の手術予定、ICU
今週の入室予定
火曜日
救急医療カンファレンス
水曜日
ジャーナルクラブ
木曜日
小児科プライマリーケア講義
金曜日
今週の症例
土曜日
(毎月1回)外部講師を招いての勉強会、長期患者検討
麻酔科講義
グランドラウンド
毎年の基本スケジュール
初期6ヶ月間は手術室配属
以後コア期間は3あるいは6ヶ月単位で手術室、ICU、救急ローテート
毎月のスタッフによるレジデント評価
6ヶ月ごとのレジデントからのスタッフ評価、研修成果の報告
6ヶ月ことのレジデントと部長の個別評価対応
初期オリエンテーション
国立成育医療センターでの庶務事項手続き
2日
手術集中治療部連絡事項、推薦書籍購入
2日
電子カルテ使用講習
3日
MighComp 使用研修
2日
BLS
3日
コアプログラム
第一週
オリエンテーション
PALS
第二週 麻酔、手術室領域での MightyComp の応用
第三週
麻酔機器、薬剤の理解
麻酔科の基本理念
基本的麻酔科学講義シリーズ
患者評価
2週
患者モニタ−
4週
麻酔機器の理解
4週
麻酔薬剤の理解
4週
小児科プライマリー
2週
小児期特有の疾患
2週
家族への対応
1週
88
麻酔、集中治療領域でのコンピュータ使用
小児科医に求められる病態生理学
1週
(英語)毎週30分
呼吸生理、循環生理、神経生理
栄養、水分体液管理、予防接種など
【研修内容とスケジュール】
1年目はオリエンテーションの後、手術室内の麻酔研修を中心とします。
初めの 1 週間は手術室の麻酔の実際を見学し、全身麻酔の流れを理解してもらうと共に、
当科の「麻酔マニュアル」を勉強してもらいます。コア研修は第2週からはじまります。2
週目よりは手術室での麻酔を通して全身管理の実際を経験します。毎日午後 5 時より、当日
の麻酔症例検討とともに翌日の症例検討をスタッフとともに行います。
研修医の症例には、必ずスタッフ研修指導医があてられ、その指示のもとに症例の決定が
行われます。基本的に症例決定は前の週の木曜日、研修のレベルに応じて決められます。
【研修評価法】
既述した方法、知識、技術の研修到達度目標に対して自己評価、指導医評価をそれぞれ別個
に実施し、最終的に研修指導責任者が総合的に研修結果を双方向評価します。
【研修到達目標】
・麻酔を前提とした術前診察、基本的診断技術を身につけ、小児医療、周産期医療を中心
とするものの、その中の専門領域にとらわれない総合医学的知識を得る。
・基本的救命救急処置を身につける
・病歴、身体所見、検査結果などを総合し、患者の術前評価を行う。
・予定術式、患者評価から適切な麻酔方法の選択、麻酔管理計画を立てる。
・麻酔前投薬を含む各種麻酔関連薬剤及び循環作動薬の薬理作用と投与方法について学ぶ。
・麻酔器の構造を理解し、点検整備の手順を覚える。
・医療ガスの基本知識、院内のリスクマネージメントを学ぶ
・マスクによる気道確保、さらに気管内挿管、用手人工呼吸に習熟し、陽圧換気が生体に
与える生理的変化を理解する。
・術中の出血や血圧の低下など状況の変化に応じて的確な対応が可能になるよう知識、技
術を身につける。
・硬膜外麻酔、脊椎麻酔及び各種の伝達麻酔について、その適応、短所、長所を理解する
と共に、その手技を修得し、全身麻酔との併用、無痛分娩など広く応用できるように努
める。
・中心静脈圧測定、観血的動脈圧測定、場合により肺動脈カテーテル、左房圧を使用して
の血行動態の分析について、その原理を理解し、臨床の場で応用できるようにする。
・末梢静脈路の確保が確実にでき、さらに安全に中心静脈の確保を行うため、基礎となる
局所解剖を理解する。
・術前から術後にわたり、必要な輸液量、その内容を理解し、電解質、酸塩基平衡の基礎
知識を得る。さらにそれをもとにした具体的な輸液、輸血、体液の補正など計画をたて
て実行できるようにする。
・院内総合診療の中心として高度医療に不可欠なチームワークの必要性、他科医師、看護
スタッフ、パラメディカルスタッフとの協調性を身につける。
89
【研修カリキュラムの到達度評価】
術前評価
□患者および家族に対する接し方を学ぶ
□視診。聴診。触診などで、小児期特有の基本的な理学診断技術を修得する
□心電図・胸部X線・その他の検査などを総合的に判断して術前評価ができる
□関連小児科医、産科医、外科医との連携のを理解し、チーム医療を実践する
□麻酔を前提とした術前評価をもとに麻酔法や麻酔薬の選択ができる
□術前評価をもとに術中管理の要点を予見する
□家族との関わり方を学ぶ
手術麻酔
(日本麻酔科学会ガイドラインより)
□使用する医療ガスおよびその配管の知識を有する
□麻酔器の構造・安全機構などを理解する
□麻酔器および麻酔回路の始業点検が正しく行える
□手術や症例に応じた適切な麻酔器具・薬品が準備できる
□吸入麻酔薬の作用副作用について理解する
□静脈麻酔薬の作用副作用について理解する
□筋弛緩薬の作用副作用について理解する
□局所麻酔薬の作用、副作用について理解する
□昇圧薬の作用副作用について理解する
□血管拡張薬の作用副作用について理解する
□末梢静脈確保、点滴を実施できる
□中心静脈確保、点滴を実施できる
□静脈血採血法を実施できる
□動脈血採血法を実施できる
□輸液ができる(その種類の特徴を理解し投与法が決定できる)
□輸血(成分輸血を含む)による効果と副作用について理解し、輸血が実施できる
□下顎挙上法による気道確保を実施できる
□バッグマスクによる人工呼吸を実施できる
□胃管の挿入と管理ができる
□経口的気管内挿管を実施できる
□経鼻的気管内挿管を実施できる
□ラリンゲアルマスクを挿入できる
□自然呼吸と人工呼吸の違いを理解する
□動脈血ガス分析を自ら実施し、結果を解釈できる
□アレンテストおよび観血的動脈圧測定が行える
□スワンガンツ・カテーテル挿入とモニタリングが行える
□きめ細かな患者観察から病態診断ができる
□モニター機器の異常値発生時に即座に患者を観察できる
□異常事態を早期発見し、迅速な対応で安全に管理できる
□鎮静検査の概要を理解し、実施できる。
□腰椎麻酔の長短を理解し適応・禁忌が判断できる
□腰椎麻酔が行える
□硬膜外麻酔の長短を理解し、適応・禁忌が判断できる
90
□腰部硬膜外麻酔およびカテーテル留置ができる
□胸部硬膜外麻酔およびカテーテル留置ができる
□頸部硬膜外麻酔およびカテーテル留置ができる
□上腕神経ブロックが行える
術後管理
□術後回復室における回復過程の観察ができる
□静脈内 PCA を理解、安全に実施できる
□硬膜外ブロックを中心とした術後鎮痛に参加できる
痛みの治療
□VASによる痛みの評価
□局所麻酔薬の使用法について理解する
□硬膜外麻酔の長短を理解し、適応・禁忌が判断できる
□WHO3 段階癌性疼痛治療ラダーを理解する
□麻薬の作用、相互作用について理解し、治療できる
小児麻酔研修
コアカリキュラム終了後、1年間主として新生児症例、乳児心臓外科症例、脳外科症例、
移植症例を中心に、気道異物、緊急症例への対応など困難な症例の研修すると同時に、初
期研修医の指導、学会発表を通じて専門性を高める。
産科麻酔研修
コアカリキュラム終了後、1年間主として産科症例、婦人科症例、無痛分娩症例を中心
に研修するとともに、初期研修医の指導、学会発表を通じて専門性を高める。
救急医療研修
当部での研修は、基本的には麻酔科医としての集中治療であることを理解し、共通のコ
アカリキュラム2年間を終了後、専門研修とする。実際には ICU 研修と並列として行い、
プライマリーケア領域に加え、特に患者搬送、航空機搬送などの手配、実施も研修する。
集中治療研修
当部での研修は、基本的には麻酔科医としての集中治療であることを理解し、共通のコ
アカリキュラム2年間を終了後、専門研修とする。ICU を中心としての研修となるが、在
宅人工呼吸管理、遠隔医療、病棟長期呼吸管理、疼痛管理、患者搬送、院内蘇生症例、ECMO,
HFO, NO,, CVVHD など、体外循環技術も習得し、また PALS インストラクタとしての機能を
持ち教育にも参加する。
到達目標
基本を麻酔科研修とし、毎朝上記4領域が共通で回診の機会を持つことで、日本の小児重
症患者の総合医療の芯となる医師を育てることです。
91
周産期診療部
研修プログラム
周産期診療部は不妊診療科、不育診療科、母性内科、胎児診療科、産科、新生児科、婦人科
の 7 つの専門診療科からなります。周産期に関連した各専門領域を中心とした研修プログラ
ムで、現在、以下の 4 つの研修プログラムがあります。
1.不妊科研修
(*)
2.母性内科研修
3.産科・胎児研修(**)
4.新生児科研修(***)
詳細は各診療科の項を参照。当センター周産期診療部研修プログラムの特色は、各専門診療
科の連携が良好で、他の専門診療科の研修も受けやすいことです。
*1.不妊科研修
不妊診療科レジデントコース(有給)
1 年目
2 年目
3 年目
不妊指導医コース
1年
不妊研修コース
不妊短期研修コース(無給)
不妊短期研修コー
6ヶ月
ス
3ヶ
連絡先:
国立成育医療センター不妊診療科
医長
齊藤
英和(さいとう
ひでかず)
Phone: 03-5494-7120 (Dial-in)、03-3416-0181(代表)
Fax:
03-3416-222
E-mail: [email protected]
**3.産科・胎児研修は 3 年を原則とする。ただし、スペシャリストコースにおいては、
1−2 年の短期研修も事情に応じて考慮する(その場合は、産科のみ、産科+胎児診療科など)
<原則ローテーション>
産科
18 ヶ月(6 ヶ月毎の 3 期)∼
胎児診療科
6 ヶ月
新生児科
6 ヶ月
不妊科
必
希望によりローテーション
不育科
婦人科
母性内科
92
修
その他の診療科
合
計
36 ヶ月(3 年)
連絡先:
国立成育医療センター周産期診療部長
左合
治彦(さごう
はるひこ)
Phone: 03-3416-0181(代表)
Fax:
03-3416-222
E-mail: [email protected]
***4.新生児科研修は 6 カ月から 3 年で、希望者個別に研修期間の相談に応じます。
<原則ローテーション>
新生児科
最低 6-30 ヶ月
必
3 ヶ月
胎児診療科、産
修
2 年目以降
の研修期間
科、母性内科のい
のうち 3 ヶ
ずれか
月
第一専門診療部、
3 ヶ月
2 年目以降
手術・集中治療
の研修期間
科、放射線科、遺
のうち 3 ヶ
伝診療科などの
月
いずれか
合
計
6 ヶ月から 36 ヶ月(3 年)
連絡先:
国立成育医療センター周産期診療部新生児科
医長
Phone: 03-3416-0181(代表)内線 7058
Fax:
03-3416-222
E-mail: [email protected]
93
伊藤
裕司(いとう
ゆうし)
周産期診療部
不妊診療科
Division of Reproductive Medicine
(Sterility)
概要
国立成育医療センター不妊診療科は、平成14年3月の開設より生殖医学の発進地となる
よう新たに作られた診療科です。不妊症患者の治療のみならず生殖医学全般を臨床的観点か
らダイナミックに追究しています。現在不妊診療科医長(齊藤英和)
、医員(齊藤隆和)をは
じめ、不妊診療科レジデント 4 名、不妊診療科無給研究員2名(研究員希望のかたは直接齊
藤のメールアドレスまでご連絡ください)、不妊ラボ・サイエンティフィックディレクター(胚
培養管理士)1 名・胚培養士 1 名で不妊治療・研究を行っています。
成育医療センター不妊診療科の特長としては、
・通常の不妊症患者のみならず、当院不育診療科、婦人科、母性内科などと連係しながら他
施設では対応できない合併症のある不妊症例などの治療を行っております。
・当院産科、胎児診療科のバックアップを受け、妊娠後の分娩に至るまでのフォローアップ
を行うことができます。
・成育医療センター研究所の協力のもと、不妊症の病態解明のための臨床研究、基礎研究を
行っています。
研修プログラム
プログラムは大きく分けて 2 コース、A.生殖医療指導医取得を目指すコース(産婦人科専
門医取得後)と B.短期研修コースで不妊医療を理解するための初心者コース(後期研修医)
と最近の不妊知識を短期間で学ぶ上級者コースがあります。
A.
指導医コース
対象は、一般の産婦人科業務や知識はすでに修得している産婦人科専門医または、来年ぐ
らいまでに産婦人科専門医の資格を取得できる方で、さらに不妊診療・研究の研修を志望し、
将来生殖医療指導医の資格を取得することを目指す医師です。研修期間は3年間を原則とし
て(研修の状況により延長することもあり)、この期間に、不妊症患者の診断・治療に必要な
専門知識、診療技能を得るための研修および不妊症の病因・病態の解明や治療法の開発を目
標とした研究活動を行います。このコース終了までには、日本生殖医学会が認定する、生殖
医療指導医の資格試験を受験するに値する条件が取得できるように研修を行ないます。
不妊診療科で行っているカンファレンス等は以下のとおりです。
新患カンファレンス:毎日外来終了後
来院された新患、および担当医がディスカッションを要すると判断した症例を提示し、以
降の治療方針を不妊診療科の全員で協議し、また情報を共有化します。
毎週金曜日 16 時から、術前、術後患者について毎回検討します。その他、外来や入院患者
でディスカッションが必要な症例を適宜提示します。
抄読会
不妊抄読会:金曜日の検討会終了後
94
到達目標
1年目
:不妊診療科の治療の中心は外来診療にあるため、指導医とともに外来で症例を
診療します。不妊診療科初診患者の問診方法を習得し、不妊原因検索に必要な
検査方法の理解を深めます。最新のエビデンスに基づいた不妊原因の診断法、
原因別の治療法を修得します。1 年目の後期には、指導医の指導のもとに自分
で、一般不妊患者の治療計画が建てられるように研修します。
2年目
:外来での診療を中心としながら、不妊診療上必要な手術(腹腔鏡下手術、子宮
鏡下手術、卵管鏡など)を指導医とともに取り扱っていきます。また生殖補助
医療を伴う不妊治療(体外受精や顕微授精など)の理解を深め、具体的な治療
方法を修得していきます。これらの診療業務と並行して、不妊症の病態につい
てより深い知識を得るため、生殖医学についての臨床研究に積極的に参加して
もらいます。この時期には国内外への学会発表を行えるよう指導します。
3年目
:外来での診療業務を担当します。2年間の研修で得た知識を活かし、自分自身
で考え診療をすすめることができるようにします。もちろん指導医その他のス
タッフが全面的に支援します。手術患者などの病棟診療では1年目2年目レジ
デントの指導も行います。生殖補助医療については顕微授精法、受精卵の凍結
法などを習得します。希望により、診療業務と並行し、研究所と連携し生殖医
学分野について、基礎的な研究も行います。この期間は国内外の学会発表はも
ちろん、国際誌に英文論文を発表できるよう指導します。また、日本生殖医学
会不妊治療指導医の取得に向けて準備も行ないます。
また、3年間の研修終了後も不妊診療科の臨床や研究にたずさわりたい方には、スーパー
レジデントとして当院で更なる研修を受ける道もあります。また生殖医学の基礎研究も積極
的に行って外国留学に備える道もあります。
研究面
不妊治療には生殖医学の基礎知識が必要です。不妊の原因を基礎的なアプローチから、解
明し不妊治療に役立てています。特に、配偶子の老化、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群な
どは、配偶子の質に大きな影響を及ぼすため、この原因解明・治療法の開発には、基礎的な
アプローチを用います。これらを行うための研究費として、成育委託研究費、厚生労働省科
学研究費、文部科学省科学研究費補助金事業に申請して、これらの研究・治療に力を注いで
います。
B.短期研修コース
このコースは、大きく分けて 2 種類の方を対照に考えられています。
a) 今まで、全く不妊治療に携わったことが、不妊治療、生殖医療とは、どういう診療
科であるのかを知り、今後、この診療科に進みたいか考えるために、短期研修したい
方。
b) すでに、不妊治療を積極的に行っており、短期研修にて、最近の治療の考え方を学び
たい方。
どちらの研修を希望の先生方も、原則一ヶ月(最高三ヶ月)の研修期間とし、研修希望内
95
容に応じて、フレキシブルに対応します。
連絡先:
国立成育医療センター不妊診療科
医長
齊藤
英和(さいとう
Phone: 03-5494-7120 (Dial-in)、03-3416-0181(代表)
Fax:
03-3416-222
E-mail: [email protected]
96
ひでかず)
周産期診療部
不育診療科
Division of Reproductive Medicine
(Infertility)
診療科概要
国立成育医療センター周産期診療部不育診療科は本センター開設当初より設立された診療
科ですが、全国でも不育症に対して独立した科を開設し集中的に診療を行っている病院施設
は数少ないと思われます。現在のところ、流産を来すメカニズム自体が一部を除いて不明で
あり不育症診療自体は発展途上の分野ですが、当センターでは妊娠が維持される仕組みを探
求していくと同時に、できるだけ最新の知見を取り入れて現段階で可能な限りの最善の治療
を行うことを目指しています。また当科では病院の特殊性から以下のような特長を有してい
ます。
・ 周産期診療部に属しており、他科との連携により妊娠の成立から出産までを専門的にフ
ォローアップすることが可能です。
・ 婦人科、不妊診療科、母性内科などと協力しながら診療を行っているため、合併症を有
する症例に対しても対応することが可能であり、症例数は豊富です。
・ 不育診療ではこころのケアが重要になってくることも多いですが、当センターのこころ
の診療部と提携しながら精神面にも配慮した診療を行っています。
・ 染色体異常などの遺伝的問題に関しては特にその取り扱いが重要ですが、遺伝診療科や
胎児診療科と協力しながら専門的な診療を行っています。
研修コース
1.ジェネラリストコース
周産期診療部全体としての産科医養成に協力しています。
2.スペシャリストコース
3.トレーナーコース
特に専門医や指導医を養成するプログラムはありません。
4.短期研修コース
特別なプログラムはありませんが、不育症に関する症例は多彩で豊富ですので短期間の研
修であっても、合併症妊娠や生殖遺伝などを中心に学ぶことが可能です。
研修プログラム
不育診療科単独の研修プログラムは特にありませんので、産科研修プログラムの枠内で不
育診療に関して研修することになります。
97
周産期診療部
母性内科
Division of Women’s Health
診療科概要
母性内科は約20数年前に大阪府立母子保健総合医療センターに開設されましたが、現在
でも全国で3つしかありません。当院の大きな柱でもある
母性医療
が女性を対象とした
リプロダクションに関する医療と定義するならば、母性内科はリプロダクションにおける内
科的医療を担う科ということになります。すなわち、慢性疾患を持つ女性の妊娠に関する内
科的管理(合併症妊娠)、妊娠糖尿病、妊娠中毒症などの妊娠合併症の内科的サポートです。
妊娠は負荷テスト・成人病の関所といわれるくらい、潜在している疾患体質が顕在化してき
ます。このようなチャンスを生かし、必要な女性に対しては産後も健康管理を行っています。
当院の母性内科は周産期診療部に属しており、緊密な関係を持ちながらの診療を行ってい
ます。産科医希望だが内科の一般を研修したい場合、内科医であるがとくに母性内科に興味
を持って研修したい場合、それぞれ研修内容、到達目標は変わってくるものと思います。
当院の特殊性から日本内科学会の教育病院、教育関連病院にはなっていませんが、現在の
当科常勤スタッフ3名はすべて内科専門医であり、一般内科医としての指導についても自信
を持っています。
1.スペシャリストコース(内科医対象)
採用条件
卒後3年以降で日本内科学会認定医を取得したもの、ないしは受験資格を有するもの
到達目標
妊娠中の母体の生理的な変化および、検体検査の変動を理解する。
妊娠糖尿病、妊娠高血圧など、妊娠中に出現した疾患(妊娠合併症)の管理ができるように
なる。
糖尿病、高血圧、甲状腺疾患、膠原病などの合併症妊娠の基本的管理ができるようになる。
妊娠・授乳中の薬剤使用に関する安全性の評価方法を理解し、情報提供の手法を取得する。
産後の生活指導を含めた健康管理の方法を取得する。
研修期間
3年
採用可能人数
2名
学会専門医
2.スペシャリストコース(産婦人科医対象)
採用条件
1年以上、産科研修を経験したもの
到達目標
妊娠中の母体の生理的な変化および、検体検査の変動を理解する。
妊娠糖尿病、妊娠高血圧など、妊娠中に出現した疾患(妊娠合併症)の管理ができるように
なる。
糖尿病、高血圧、甲状腺疾患、膠原病などの合併症妊娠のうち、主なものについて妊娠許
可(認容)条件を理解し、指導者のもとで妊娠中の管理ができるようになる。
98
妊娠・授乳中の薬剤使用に関する安全性の評価方法を理解する。
研修期間
1年
採用可能人数
1名
3.トレーナーコース
成育医療の現場で合併症妊娠、妊娠合併症管理の指導的立場になる医師を育てるコースで
す。
採用条件
日本内科学会認定内科専門医、日本産科婦人科学会専門医のいずれかを取得したもの。
到達目標
妊娠糖尿病、妊娠高血圧など、妊娠中に出現した疾患(妊娠合併症)の管理、糖尿病、高
血圧、甲状腺疾患、膠原病などの合併症妊娠の管理方法について自分で判断し、行うことが
できるようになる。
妊娠・授乳中の薬剤使用に関する安全性の情報提供、カウンセリングが可能となる。
経験できる症例数
合併症妊娠 300 例/年(SLE,抗リン脂質抗体症候群、バセドウ病、橋本病、高血圧症など)
妊娠合併症 300 例/年(妊娠糖尿病、妊娠高血圧症、偶発合併症)
採用可能人数
1名
99
周産期診療部
胎児診療科
Division of Fetal Medicine
診療科概要
胎児診療科は胎児医療を行う専門診療科で、国立成育医療センターの開設に伴い新たに設
けられました。胎児を母体に付属したものではなく、独立した個人として認め、
「Fetus as a
patient」として専門的に診療していくものです。診療の柱は「胎児診断」と「胎児治療」で
す。胎児疾患は年間約 250 例です。胎児治療は年間約 40 例で、「胎児鏡を用いた胎児手術」
に力を入れており、双胎間輸血症候群に対する胎盤血管レーザー凝固術など新しい胎児手術
に積極的に取り組んでおります。
当科の目的は、子宮内の胎児に対して最善の医療を提供することです。適切な方法で的確
な「胎児診断」を行い、産科、新生児科、小児外科、特殊診療部、放射線科、麻酔科・ICU、
循環器科、遺伝診療科など各専門診療科と連携・協力して「チーム医療」を行い、最善の出
生前の管理、出生後の管理・治療に繋げていくものです。また必要があれば積極的に「胎児
治療」(「胎児手術」)を行い、胎児の予後改善に努めます。
胎児診療科の研修は、
「胎児診断」と「胎児治療」を総合的に研修し、胎児医療に携わる「胎
児の総合診療医」の養成を目指すものです。
1.ジェネラリストコース(ジュニアレジデント)
周産期レジデント研修プログラムにおいて、産科研修の一部として胎児医療の研修を行うコ
ース。
<採用条件>
周産期レジデント(産科・胎児研修プログラム)
<到達目標>
胎児に対する基本的な考え方・取り組み方を身につける。胎児超音波検査(主にスクリー
ニング)、羊水検査を的確に行えるようにする。胎児疾患の知識を習得し、胎児医療に携わる
際の基礎を確立する。胎児疾患 50-100 例を経験する。
<研修期間>
6ヶ月間。
<採用人数>
2 名。
2.スペシャリストコース(スーパーレジデント)
産科医の中で特に胎児医療の専門家を目指す医師を養成するコース。
<採用条件>
日本産科婦人科学会専門医の資格を有する(卒後5年以上)臨床経験のある産婦人科医。
周産期レジデント(産科・胎児研修プログラム)。
<到達目標>
胎児異常例に対し、胎児超音波検査(主に精査)、羊水検査を的確に行い、正確な診断を下
すことができ、またジュニアレジデントの指導ができる。胎児治療に参加し、胎児治療の適
応と選択、生後治療法の選択が的確に判断できる。終了者は地域の周産母子センターで胎児
診療を担う人材となる。胎児疾患 100-200 例を経験する。
<研修期間>
100
6 ヶ月―1 年間。
<採用人数>
1-2 名。
3.トレーナーコース(指導医)
胎児医療の専門家を目指す医師で、さらに実力を備えた指導医を養成するコース。
<採用条件>
卒後 8 年以上で日本産科婦人科学会専門医の資格を有し、2 年以上の胎児診療の臨床経験
のある産婦人科医。
<到達目標>
胎児異常例に対し、正確な胎児診断が下すことができる。侵襲的出生前診断法を安全に施
行でき、また指導ができる。生後治療法の選択が的確に判断できるとともに、胎児治療の適
応を判断し、一部の胎児治療法を施行できる。終了者は地域の周産母子センターで胎児診療
のリーダーとして活躍する。胎児疾患 200-300 例を経験する。
<研修期間>
1-2 年間。
<採用人数>
要相談
4.短期研修コース
種々のレベルに応じた胎児診療の基礎と実際を短期間で研修するコース。
<採用条件>
卒後 3 年以上で胎児診療の臨床経験のある産婦人科医。
<到達目標>
胎児疾患の知識を習得し、各人のレベルに応じた胎児診断と胎児疾患に対する治療(生後
治療、胎児治療)に対する理解を深め、日常産科臨床に応用する。胎児疾患 50 例を経験す
る。
<研修期間>
3 ヶ月。
<採用人数>
要相談。
研修プログラム
1.レジデント制度
1)ジュニアレジデント
対象は、卒後初期臨床研修終了後に胎児医療の研修を希望する医師です。胎児医療を行う
には一般産科診療の研修は不可欠であり、周産期レジデント(産科・胎児研修プログラム:
ジェネラリストコース)において産科研修後にローテーションします。新生児コースなど他
の周産期レジデントでも希望があれば 3 ヶ月間の研修が可能です。
2)スーパーレジデント
対象は、日本産科婦人科学会専門医の資格を有する卒後5年以上の臨床経験のある産婦人
科医で、胎児医療の専門家を目指す医師です。周産期レジデント(産科・胎児研修プログラ
ム:スペシャリストコース)において産科研修後にローテーションします。日本臨床遺伝専
門医や日本超音波医学会超音波専門医取得に必要な症例の経験が可能です。
101
2.研修内容
1)胎児診断
超音波検査(スクリーニング)、MRI
超音波検査(精査)
羊水検査
絨毛生検、臍帯穿刺、胎児鏡
2)胎児治療
羊水吸引除去
胎児採血・輸血
胎児穿刺術(胸腔穿刺、膀胱穿刺、卵巣穿刺など)
胎児シャント術(胸腔・羊水腔シャント術、膀胱・羊水腔シャント術など)
胎児手術(双胎間輸血症候群に対する胎児鏡下レーザー手術、無心体に対するラジ
オ波凝固術、など)
上記研修内容を、病棟、胎児診療外来、超音波検査、手術を通して研修します。
3.カンファレンス
1)胎児カンファレンス:月曜日
午後6−7時
2)母体胎児サポートカンファレンス:木曜日
3)周産期カンファレンス:金曜日
午後 1 時 30 分―2 時
午後5−6時
到達目標
胎児に対する基本的な考え方・取り組み方を身につける。各胎児疾患に対して幅広い知識
と経験を習得することにより、胎児医療に携わる際の基礎を確立する。
1)ジュニアレジデント
一般産科医や新生児科医に必要な胎児診療の基礎を身に付ける。
胎児診断:超音波検査(スクリーニング・精査)、羊水検査を行う。絨毛生検、臍帯穿刺の
助手として参加する。
胎児治療:羊水吸引を術者として行う。胎児穿刺、胎児シャント術、胎児手術の助手とし
て参加する。
学術:学会発表、できれば論文発表を行う。
2)スーパーレジデント
胎児診療の専門家を目指す。胎児異常例に対し、正確な診断が下すことができる。また胎
児治療の適応と胎児治療法の選択が的確に判断できる。
胎児診断:超音波検査(スクリーニング)の指導を行う。超音波検査(精査)
、羊水検査を
検者として行う。絨毛生検、臍帯穿刺の助手として参加する。
胎児治療:羊水吸引、胎児穿刺を術者として行う。胎児シャント術、胎児手術の助手とし
て参加する。
学術:学会発表、論文発表を行う。
102
周産期診療部
産科
Division of Obstetrics
診療科概要
周産期診療部産科はハイリスク妊娠を中心に診療を行っている。当センターの年間分娩数
は 1500∼1600 でハイリスク妊娠を中心に診療を行っているため帝王切開率は 30∼40%程度
となっている。何らかの合併症を有する症例は約 50%であり、研修を行うのには十分な症例
数が確保されている。分娩に際しては、産科医、助産師に加え必ず新生児科医(無痛分娩症
例は麻酔科も立会い)が立ち会うことでより安全な分娩を目指している。合併症妊娠、胎児
疾患等他の診療科との連携が必要な場合は症例ごとに最適な管理法を検討しチーム医療を行
っている。その中でレジデントは主治医としてスタッフとともに診療の中心的役割を担う。
周産期管理においては最先端の検査、治療を積極的に取り入れるとともに臨床研究を通じて
情報発信を行う。
研修コース
●ジェネラリストコース
初期研修(2年)終了者を対象とした原則3年間の後期研修プログラム。産科および胎児
診療科、新生児科を中心に周産期診療部各科の研修を行い、周産期医療全般について研鑽を積
むことで一般周産期管理の習得を目指す。
3年間の産婦人科専攻医(後期研修)終了後、日本産科婦人科学会専門医認定審査の申請資
格を得ることが可能となる。
●スペシャリストコース
日本産科婦人科学会専門医を対象とした原則3年間の研修プログラム。産科および胎児診
療科、新生児科を中心に周産期診療部各科の研修を行い、周産期医療に関わる高度な医学知
識と技能を取得することで診療水準を高め、ハイリスク周産期管理を中心的立場で行うこと
ができる臨床能力の獲得を目指す。
本研修により、日本周産期・新生児医学会周産期専門医(母体・胎児専門医)の申請資格
を得ることが可能となる。
●一般産婦人科医向け研修コース
一般産婦人科医師を対象とした、産科を中心に周産期診療のレベルアップを目指すコース。
研修期間は研修内容等に応じて相談の上決定。
研修プログラム
①
EBM に基づいた産科診療をスタッフの指導のもとに行う(主として入院患者の担当医と
して診療に従事する)。分娩・手術・診療については必ずスタッフの指導があり安全に研
修できる。
②
関連他科へのローテーション(胎児診療科・新生児科・不育診療科・母性内科)を通
じ、より深い周産期管理の習得を目指す。
③
経験した症例を中心に積極的に学会発表・論文作成を行う。
④
各種カンファレンスを通じて他科との協力体制を築き、知識・管理を共有する。
(
⑤
月:胎児カンファレンス
水:分娩カンファレンス
金:周産期カンファレンス)
スタッフによるレクチャー、テーマごとの勉強会を随時行い、world standard な診療
の習得を行う。
103
⑥
当直業務については 4∼5 回/月を行うが、複数での当直のためレジデント単独で当直
を行うことはなく、当直業務中のハイリスク管理もスタッフとともに従事する。
到達目標
正常の管理、分娩介助、会陰縫合
胎児モニタリング(CTG)の読み方
異常分娩における急速遂娩法
帝王切開、他の産科手術における術者
超音波、MRI による胎児診断法
ハイリスク妊娠の管理
学会発表ならびに論文作成
104
周産期診療部
婦人科
Division of Gynecology
診療科概要
国立成育センター婦人科は、現在、藤井 絵里子 [医長]と医員の1名で対応している。
周産期診療部に属しており、産科、胎児診療科、不妊診療科、不育診療科、母性内科と緊
密な連携の下にいわゆる産婦人科診療の一翼を担っている。このため研修にあたっては婦人
科のみならず周産期医学、生殖医学についても学習し、日本産科婦人科学会専門医を取得で
きるようなプログラムを選択できる。
当科の特色としては、女性診療科としてのコンセプトの下、一般の婦人科診察・治療に加
え、特に以下のような点に重点をおいている。
(a)小児・思春期婦人科
小児から思春期までを対象とした婦人科、いわゆる小児・思春期婦人科として各種疾患
の診断と治療を行っている。膣炎や月経に関連する受診が多いが、性の低年齢化にともな
い、外陰部形態異常、避妊法の指導、STD 治療・予防の教育などカウンセリング的な医療
にも対応している。
また、先天異常などに対する診断・手術、小児悪性腫瘍治療後の卵巣機能・妊孕性精査
および治療を目的とする紹介受診も増加しつつある。
(b)妊娠・出産に向けての診断・治療
当科では妊孕性温存に十分配慮して、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣腫瘍、初期子宮癌な
どの婦人科疾患の診断と治療を行っている。 子宮鏡下手術、腹腔鏡下手術、レーザー手
術および進歩しつつある各種の診断法・治療法を積極的に取り入れるよう心がけている。
妊娠中に発見された婦人科腫瘍、例えば子宮頸部初期癌や卵巣腫瘍などの治療は、癌の
進行度と胎児成熟を検討しながら、母児ともに良好な予後を得られるような治療を行って
いる。
また、生殖年齢の高齢化に伴い、婦人科疾患を有しながら挙児希望を持つ患者の割合は
今後ますます増加すると考えられ、婦人科女性診療と生殖医療、周産期医療の連携医療は
重要であり、これに対応できる医療に取り組んでいる。
(c)メンタルヘルスケア
女性診療における愁訴の多くは、ホルモンバランスや月経周期により出現する種々の心
身症状である。女性の社会進出にともない、今後の婦人科女性診療においてはこれらの症
状の診療ニーズに対応することが重要である。
この分野の病態理論はいまだ明確に解明されておらず、臨床研究的な視点からも当セン
ター婦人科が担う使命は大きい。
(e)女性の生涯医療のために−予防医学的啓蒙−
生活の欧米化に伴って、生活習慣病の増加・低年齢化は次世代を担う「まだ見ぬ胎
児」にとっても重要な問題である。女性として健康な一生を送ることができるように、
若年から糖尿病・高脂血症・骨粗鬆症といった生活習慣病の予防や癌に対する検診指導を
行うことは重要である
105
ライフスタイル改善の指導、子宮癌検診や乳癌検診(マンモグラフィー)の実施、およ
び婦人科疾患の現況について若年者から閉経後の患者に至るまで、積極的に啓蒙している。
研修プログラムおよび到達目標
当科における研修対象者は、卒後初期臨床研修終了後に、女性診療に関する研修を志望す
る臨床研修3年目以降の医師である。特に、当科の診療内容は幅広い産婦人科領域の知識・
経験を必要とする症例が多いため、産科婦人科学会専門医を取得後の研修が有益である。研
修期間は原則として3年であり、この期間に婦人科女性医療に従事するために必要な専門知
識・技能・コミュニケーションの取り方などを学習指導するとともに、臨床研究や学会発表
などの活動にも参加してもらい、バランスのとれた医師育成を目指す。
1年次前期:
初期研修終了後、すぐには一般的な産婦人科診療を行うことは困難であると思われる。
特に、当センター婦人科では妊娠・分娩を視野に入れながらの診断・治療が要求される
ことが多く、一般産科知識・技能、妊娠および胎児の生理、さらには産科合併症・合併
症妊娠を理解することが必要となる。1年次前期は周産期診療部と連携して、妊娠・分
娩管理の基本的知識と技能などの習得に努める。
1年次後期:
日常診療で遭遇する一般的婦人科疾患に関して、診断・治療の知識と技能の取得に努め
る。また、婦人科診療に必要な検査法(腟鏡診、内診、経腟・経腹超音波、子宮鏡、
コルポスコープ&バイオプシー、子宮卵管造影、マンモグラフィーなど)の習得と臨床
検査、画像診断に関しても研修する。
2年次:
婦人科外来診療における研修を中心に、一人である程度の診療が可能になるように研修
する。また、開腹手術、膣式手術、腹腔鏡手術、レーザー手術の術式を学び、指導医と
ともに手術に参加して基本手術技法を習得するとともに、術前・術後の管理についても
学習する。
婦人科診療では不妊・不育・生殖医療などと関連する病態も多く、この分野における基
礎的知識・技能を各科と協力・提携して修得する。また、女性医療に関する臨床研究に
も参加し、学会発表なども行えるように指導する。
3年次:
指導教官の指導・監督のもとで、婦人科外来診療業務・病棟業務に従事し、患者さんや
スタッフとのコミュニケーションの取り方や医療倫理に関しても実際に経験しながら研
修する。患者の診察・診断・治療方針に関して、自分自身で理論的・計画的な診療行為
が可能になることを目標とする。
専門医取得後の研修希望者:
3年間の研修期間中は当院婦人科の女性診療において、特に興味のある分野を中心に研
修するとともに、研究・論文発表にも積極的に取り組んでもらう。また、希望により他
科へのローテーションにより医療の視野を広げる研修を行う。
106
週間予定
モーニングラウンド:毎朝
臨床カンファレンス:
8時00分より
毎週金曜日
16時より
不妊科・不育科と合同:症例・手術のカンファレンス
毎週金曜日
17時より
周産期カンファレンス
抄読会
婦人科抄読会:水曜日
午後
周産期診療部抄読会:
月曜日
朝8時より
婦人科レジデント問い合わせ先
藤井
絵里子
国立成育医療センター
婦人科医長
〒157-8535 東京都世田谷区大蔵 2-10-1
e-mail: [email protected]
107
周産期診療部
新生児科
Division of Neonatology
診療科概要
周産期診療部は、センターの診療体制の根幹をなす部の 1 つであり、そのなかで新生児科
は主に生後1ヶ月までの病的新生児と、正常新生児の診療を行っている。新生児のケアは周
産期診療部だけでなく多くの専門診療科と協力し患者、家族にとって最良の診療を提供し、
新生児とその家族が社会の重要な一員として成長できることを目指した診療を目指している。
新生児科には、医長2名、スタッフ 6 名、レジデント数名が配置され、4 階にある NICU15
床、GCU25 床の新生児集中治療室に留まらず、産科新生児室や PICU に入院している全て
の新生児に関して何らかの形で新生児科医が関わっている。具体的には、産科医師と協力し
て全ての分娩に立会い、出生直後の新生児の診療を行っている。出生時に問題のなかった新
生児に関しても生後 24 時間以内と、退院時だけでなく、入院中も診察を行い、正常児と思
われる新生児の中から病児を早期に発見し、必要な診療を提供している。退院後も総合診療
部と連携して退院後の発育・発達のフォロ−アップを行っている。また、胎児診断にて出生
後新生児科入院となることが強く疑われる症例では、出生前に、他科の医師と協力して、御
両親に対して病気と出生後の治療についての説明を行っている。
また、院内で開催する NCPR「専門」コース、院外でのインストラクタ−コ−ス、PALS
プロバイダ−コ−スを履修を行っている。
研修コース
1.ジェネラリストコース・短期研修コース
後期臨床研修医あるいは一般小児科医として最低限要求されるレベルの、正常新生児医
療・Intermediate
Care・新生児集中治療の研修を行う。
採用条件
できれば小児科での研修期間が 6 ヶ月以上終了している後期臨床研修医や、あるいは小児
科専門医取得前後のレベルの臨床経験を有する者。
到達目標
一般小児科医としての最低限の新生児医療に関する診療能力を取得する。周産期診療部(新
生児科)のレジデントとして応募していただき、最低6ヶ月から3年の研修を行い、正常新生
児管理・新生児蘇生法の習得、病的新生児(早産低出生体重児を含む)の管理方法を取得す
ることを目標とする。
採用可能人数
2-5 人程度。
2.スペシャリストコース
日本周産期・新生児医学会の周産期専門医(新生児)を取得するためのコース。
採用条件
卒後5年目以上で、小児科専門医を取得した方、またはそれに相当する臨床経験を有する
者。
到達目標
3 年以上の周産期医療現場での診療を行い、周産期専門医(新生児)として、知識と診療
能力を習得することを目標とする。最終的には、周産期専門医(新生児)に必須条件となっ
108
ている基幹施設(当センターは認定されている)での研修を行い、専門医研修に必要な症例
経験数と、診療能力、論文発表などの専門医試験の受験に必要な項目を習得することを目標
とする。本コース終了後は、周産期専門医(新生児)を取得し、周産期施設や大学病院など
での新生児医療に関する臨床や研究に進んでいただく。
採用可能人数
3-5 人程度。
3.トレーナーコース
周産期専門医(新生児)指導医を取得するためのコース。
採用条件
周産期専門医(新生児)を取得した方、またはそれに相当する臨床経験を有する。
到達目標
周産期医療現場での診療および、若手医師の指導を行い、周産期専門医(新生児)指導医
として、診療能力・指導力を習得することを目標とする。最終的には、周産期専門医(新生
児)指導医の指導医資格試験の受験に必要な項目を習得することを目標とする。本コース終
了後は、周産期専門医(新生児)指導医を取得し、当センター新生児科や他の周産期施設や
大学病院などでの新生児医療に関する臨床・研究・教育・指導を行う道に進んでいただく。
採用可能人数
3-5 人程度。
109
1年次
項目
3 月-4 月
病院システム、部門システム
日常業務に支障なく電子カルテが取り扱い可
新生児科
研修
能
分娩時における新生児への対応、NCPR「専門」
正常新生児の出生に伴う病態
コース履修
とその管理法の習得
新生児挿管法の習得
正常新生児の新生児早期の病 栄養法(哺乳・体重管理)の習得
態とその管理方法の習得
新生児の輸液管理
新生児の黄疸の管理
ハイリスク新生児の管理
ハイリスク新生児の分娩時における対応
病的成熟新生児の病態の理解 成熟新生児の呼吸障害の診断治療法の習得
とその管理法の習得
TTN、MAS、PPHN、感染症 など
先天性心疾患の病態の理解と診断治療法の習
得
先天性消化管異常の病態の理解と診断治療法
の習得
脳外科疾患の病態の理解と管理の習得
重症黄疸の管理法の習得
低出生体重児の病態の理解と 低出生体重児の輸液管理栄養管理法
管理方法の習得
早産児呼吸障害の診断治療法の習得
RDS、CLD、感染症 など
早産児循環病態の理解と管理方法の習得
極低出生体重児の病態の理解 低出生体重児の輸液管理栄養管理法
と管理方法の習得
早産児呼吸障害の診断治療法の習得
早産児循環病態の理解と管理方法の習得
救急新生児対応法の習得
院外で新生児を適切に評価、処置、搬送でき
る
110
2年次(他科のローテーションの一例))
項目
4 月-9 月
重症患者管理
タ−コ−ス履修
新生児科
10 月-12 月
重症新生児患者の管理、NCPR インストラク
小児循環器疾患の診断、治療 循環器疾患の病態理解と診察
一例として
胸部レントゲンの読影と生理検査の理解
循環器科
心エコ−、カテ−テル検査
(その他、
胎児エコ−診断
第一専門診
療部各科
や、放射線
循環器外科への病児の申し送りと術式の決定
科)
への情報提供
1 月−3 月
正常分娩の取り扱い
産科、
分娩経過中の CTG による胎児
胎児診療科
監視
正常分娩管理
reassurance/non-reassurance の判断
妊娠 35 週以降のロ−リスク
例の帝王切開
切迫流早産の管理
産科超音波検査の基礎
児の体重推定、羊水量計測、BPS 計測、胎児臓
器のスクリ−ニング
3 年次(他科のローテーションの一例))
項目
4 月−8 月
産科麻酔、外科症例などの集 小児、産科麻酔、PALS プロバイダ−コ−ス履
手術・集中
中治療
治療部
9月
修
外科症例、心疾患症例の術前、術後の管理
遺伝診療科
遺伝性疾患の診断、親への情報の伝え方を習得
する
遺伝診療科
10 月−3 月
総合的な新生児科医として マタニティ−クラスで両親に新生児のことを
新生児科
の知識、技術を持ち、家族と 話せる
接することができる
プレネ−タルビジットを行える
予後不良児の管理、親とのかかわりを持つこと
ができる
退院後の児のフォローを行う。
(1)地域医療機関との連携
近隣地域および他の医療施設からの患者の搬送、受入を通して地域の周産期医療の支
援が行なえる。
111
(2)医療および福祉関係社会資源の活用
総合診療部、麻酔集中治療科、心の診療部、母性内科、院内ケースワーカー、保健福
祉事務所センターなどと協力して家族、患児が退院後も可能なかぎり日常生活を享受す
るよう適切に管理指導が行える。
(3)国際的感覚
母子保健・成育医療フェローシップ事業において海外留学事業、海外の学会、外国人
招へい事業を実施しているので積極的に参加する。カンボジアをはじめ海外医療協力も
積極的に行っている。
(4)研究
日常の臨床からの疑問、EBM の確立のために積極的に臨床研究をおこなうことがで
きる。日本小児科学会、日本新生児学会、日本未熟児新生児学会を始め研究会・学会で
の発表・論文投稿をおこなう。
週間予定表
月
8:00
火
水
木
金
抄読会
勉強会
退院カンファレンス
輪読会
8:30
6階申し送り
6階申し送り
6階申し送り
6階申し送り
6階申し送り
8:40
NICU
NICU
NICU
NICU
NICU
9:30
ラウンド
ラウンド
ラウンド
ラウンド
ラウンド
遺伝科回診
リハビリ回診
院長回診
11:00
総合診回診
11:30
放射線
放射線
放射線
放射線
放射線
カンファレンス
カンファレンス
カンファレンス
カンファレンス
カンファレンス
14:00
GCU 回診
15:00
眼科回診(臨時)
16:00
発達外来
神経科回診
輪読会
(第 2、第 4)
眼科回診
NICU 回診
16:30
6階申し送り
6階申し送り
6階申し送り
6階申し送り
6階申し送り
17:00
NICU 回診
NICU 回診
NICU 回診
NICU 回診
周産期
カンファレンス
画像読影
(第 2)
18:00
周産期画像
総合診療部
症例
超音波
カンファレンス
新生児科合同
カンファレンス
カンファレンス
カンファレンス
112
放射線診療部
放射線診断科
Department of Radiology
診療科概要
国立成育医療センター放射線診療部は,新生児から思春期に至る小児,キャリーオーバー
した成人,さらには母性・父性に関わるまで幅広い年齢を対象としています。放射線診療部
放射線診断科では,これら幅広い年齢層の患者さんに対する画像診断を担当しています。
研修プログラム:総論
教育カリキュラムの中心は,1.日常の画像診断業務からの学習
のカンファレンス参加による学習
2.院内ならびに院外
3.各学会や研究会に参加することによる学習です。
1.日常の画像診断業務からの学習:
国立成育医療センター放射線診療部放射線診断科では,単純X線写真,超音波検査,CT,
MRI,核医学検査,血管造影(経カテーテル的治療を含む)を読影し,報告書を作成して
います。
放射線診断科では,完全フィルムレス・ペーパレス環境の利点を生かして,一部の検査(産
科超音波検査,循環器超音波検査ならびに心臓カテーテル検査)を除くすべての画像診断検
査に報告書を発行しています。この環境は,当然レジデント教育にもポジティヴな影響を与
えます。レジデントは,各モダリティ担当のスタッフの指導のもとに,検査の実施ならびに
読影に関わります。
このように,国立成育医療センターでは,画像診断を依頼した担当医師による各種画像所
見の解釈に加えて,これを専門業務とする放射線科医が読影するという,ダブルチェックシ
ステムにより,医療の質を保つよう努力がなされています。
単純X線写真:
外来および入院の単純写真ならびにICUやNICUのポータブル写真を読影します。さ
らに,単純写真所見を正確に解釈することは,続く画像診検査の適応を決定するうえで極め
て重要であり,その読影に関わることは教育的効果が大きいです。
検査の数は,平均で単純写真100件/日,ポータブル写真60件/日です。
超音波検査:
国立成育医療センターでは,超音波検査室は,臨床検査部生理検査室内にありますが,放
射線診断科では,産科および循環器科の超音波検査を除く全ての超音波検査を実施し,報告
書の発行を行っています。超音波検査は単純X線写真に次ぐ画像診断検査であり,特に小児
領域では重要な検査です。
検査の数は,平均で20件/日です。
CTならびにMRI:
近年増加傾向にある重要な画像診断検査ですが,前述のごとく単純X線写真ならびに超音
波検査に深く関与することで,不必要なCTやMRIを減らすことができるのみならず,こ
れらの検査を正しく行うことができます。特に,近年CT検査に伴う被曝が各方面で問題に
113
されていることからも,正しい検査方法を習得することは極めて意義深いものと思われます。
これらの検査実施から読影,さらには報告書の発行まで一貫して関与します。
検査の数は,平均でCT17件/日,MRI12件/日です。
核医学検査:
核医学検査は,CTやMRIなどの断層画像が多く行われるようになった今日において
も,各種疾患や病態における形態評価や機能評価を目的として行われることは少なくありま
せん。核医学検査は,放射線治療科のスタッフにより担当診療放射線技師とともに実施され,
全例に報告書が発行されます。希望に応じて,核医学検査に関する研修も実施可能です。
検査の数は,平均で3件/日です。
血管造影検査ならびに経カテーテル治療:
成人領域の放射線診療に比較すると頻度は多くありませんが,臨床各科から依頼があった
場合は,検査ならびに治療を担当します。その際,患児ならびに/あるいは両親に対するイン
フォームドコンセント取得も放射線診断科で行います(もちろん,担当医との密な検討の後
に)。
検査の数は,約50件/年ですが,その数は漸増しています。
以上の検査は,担当医,診療放射線技師,超音波検査士,看護師,ならびに受付クラーク
など多くの人々の協調のもとに成り立っていることを実際に経験することの重要性を個々
のレジデント自身が認識するよう教育しています。
レジデントは上記の各セクションを一定期間(レジデントプログラムの長さにより調整可
能)ローテイトすることになります。レジデントの要望に応じて,当直業務への参加も認め
ています。レジデントの当直参加にあたっては,別紙の「放射線診断科当直必須事項」に示
した到達目標を設定し,セルフチェックするようにしています。
2.院内ならびに院外のカンファレンス参加による学習:
院内には,ほぼ連日カンファレンスがあります。これらに参加あるいはプレゼンテイショ
ンすることにより,日常業務で習得した知識の整理や最新知見の習得が可能です。
院内カンファレンスでは,個々の症例において読影結果がどのように役立ったかなども含
めてその結果を知ることも可能で,そのような点からも教育的効果が大です。
院外のカンファレンスは,呈示された症例から学ぶことに加えて,他施設との交流を深め
るチャンスとなります。
<院内カンファレンス一覧>
月:総合診療部カンファレンス,胎児カンファレンス
火:外科カンファレンス
水:整形外科股関節 US カンファレンス(隔週)
木:神経カンファレンス,呼吸器カンファレンス,泌尿器科カンファレンス、
腫瘍カンファレンス(隔週),画像−病理カンファレンス(1回/月)
金:放射線診療部ジャーナルクラブ・M&Mカンファレンス
月-金 朝:救急診療科カンファレンス
月-金
昼:NICU・PICU デイリーカンファレンス
月-金 午後:総合診療部画像カンファレンス
114
3.各学会や研究会参加による学習:
各種の学会や研究会に積極的に参加することにより,日常業務で習得した知識の整理や最
新知見の取得ができます。
研修プログラム:各論(研修コース)
ジェネラリストコース
放射線診療部放射線診断科では,このコースに該当するカリキュラムはありません。
スペシャリストコース
【採用条件】
原則として,臨床研修後の卒後 3 年目以降の医師が採用の対象となります。以前に所属し
た科は問いません(放射線科,小児科,小児外科など)。
診療協力部門の一つである,放射線診療部に所属するにふさわしい,協調性のある人材で
あることはいうまでもありません。
【到達目標】
1年次:国立成育医療センター全体の業務形態を理解する。
センターの中での放射線診療部の役割を理解する。
放射線診療部内の役割分担を理解する。
放射線の利点・欠点を理解できる(被曝防護の観点から)。
各モダリティごとの検査の流れを理解する。
スタッフの監督のもと,予約検査のプロトコールを立案する。
放射線診療部内のレポーティングシステムを確実に操作できる。
スタッフの監督のもと,カンファレンスを担当する。
スタッフの監督指導のもと,学会に発表する。
2年次:別紙の放射線診断科当直必須事項に従って行動できる。
1年次のレジデントを指導できる。
3年次:日常の業務に加えて,当直業務が単独で実施できる(スタッフのバックアップの
もと)。
この時期の定められた期日に,日本医学放射線学会専門医制度規定に従って,認
定医試験を受けることができる。
認定医試験合格後は,ジュニアスタッフとして1年次,2年次のレジデントを指
導できる。
リサーチプロジェクトに参加する。
4年次:1−3年次のレジデントを指導できる。
スタッフの指導のもと,血管造影・インターベンショナルアンギオグラフィーを
担当する。
5年次:この時期の定められた期日に,日本医学放射線学会専門医制度規定に従って,放
射線科専門医試験を受けることができる。
115
【どの専門医が取得できるか】
日本医学放射線学会専門医制度規定に従い,認定医試験ならびに専門医試験を受験し,最
終的には,放射線診断専門医の認定を取得可能です(国立成育医療センター放射線診療部は,
専門医修練機関に認定されています)。
詳細は,http://www.radiology.jp/modules/senmoni/index.php?id=7 (平成 20 年 7 月 17
日現在)を参照ください。
【経験できる症例数】
研修プログラム:総論の項を参照ください。
<放射線診断科当直必須事項>
項
目
当直技師のPHSを知っていて協調して業務ができる
7190の役割を理解している
至急読影システムを理解している
外傷コードのシステムを理解している
コードブルーのシステムを理解している
システム
緊急時に検査依頼の入力ができる(受持医の代理)
超音波検査装置を操作できる(基本操作)
超音波検査室で検査の受付−実施ができる
ポータブル超音波検査の受付−実施ができる
透視装置の操作ができる
腸重積整復の適応・禁忌事項を理解し、整復の準備および実施に参加できる
USやCTの適応決定ならびに検査方法の指示ができる
USおよび透視ガイドの腸重積整復術の実施に参加できる
検査を中止・延期する場合に依頼もとの医師と連絡をとれる
一人で対応しきれなくなった時に迅速に応援を要請できる
頭部外傷における単純写真の読影ができる(頚椎も含む)
頭部
副鼻腔炎を疑った場合の単純写真の読影ができる
緊急CTの読影ができる
ポータブル頭部超音波検査ができる
患児の状態に応じて検査の中止・延期の判断ができる
単純写真の読影ができる(下気道炎症,肺炎,無気肺,気胸,異物など)
ポータブル写真の読影ができる(各種ラインのチェック)
胸部
NICUにおける代表的救急疾患の診断ができる(RDS,TTN,MAS,
PIEなど)
ICUにおける代表的な写真の読影ができる(各種ラインのチェック)
異物を疑った場合の対応ができる(気道異物,食道異物)
緊急CTの適応決定,検査実施,読影ができる
腹部
単純写真の読影ができる(腹痛,腹部腫瘤,嘔吐,血便など症状別に対応)
ポータブル写真の読影ができる
NICUにおける代表的な救急疾患の診断ができる(消化管閉塞性疾患)
116
チェック欄
USやCTの適応決定ならびに検査方法の指示ができる
腹痛のUSを実施できる(外科的疾患である虫垂炎の診断および除外)
肥厚性幽門狭窄症を疑った場合のUSを実施できる
腸回転異常・中腸軸捻転疑い例に対する検査ができる(US・上下部消化管
造影)
腸重積を疑った場合のUSを実施できる
精巣捻転をのUSを実施できる(精巣捻転に類似する疾患との鑑別ができる)
FASTスキャンを準備ならびに実施ができる
鈍的腹部外傷例,特に実質臓器損傷例に対する緊急TAEの適応を理解して
いる
腎移植後の移植腎のUS(ドプラ含む)を実施できる
肝移植術中ならびに術後のUS(ドプラ含む)を実施できる
EDチューブ挿入ができる
緊急CTの適応決定,検査実施,読影ができる
四肢
緊急の骨盤計測を計測できる
代表的な骨折の読影と診断ができる
緊急CTの適応決定,検査実施,読影ができる
平成 15 年 6 月 24 日 放射線診療部
平成 18 年 4 月 6 日 改定
※
少しでも多くの項目についてYESとなるよう,日ごろから努力してください
トレーナーコース
【採用条件】
原則として,日本医学放射線学会専門医制度規定に従って,放射線科専門医(放射線診断
専門医)と認定されている医師とします。
【到達目標】
スペシャリストコース に定める【到達目標】の項のうち,1年次を原則とし,3年次お
よび4年次に準じます。
【どのような指導医になれるか】
研修終了とともに,小児画像診断を中心として,幅広い年齢層の画像診断の実施ならびに
読影が可能となるのみならず,診療各科に役立つカンファレンスを担当できる能力を身につ
けることができます。
【経験できる症例数】
研修プログラム:総論の項を参照ください。
短期研修コース
放射線診断科では,個別の各モダリティーから画像診断全般に至るまで,各人の要望に応
じた短期研修プログラムを履修することができます。そのプログラムは,週半日,週1日,
1カ月,3カ月,半年,1年と,コース受講者の日常業務スタイルに応じて,オーダーメイ
ドが可能です(下記の表は,履修期間2カ月の超音波検査研修チェックシートの1例です)
。
117
また,日本医学放射線学会専門医制度規定では,明確に規定されていませんが,放射線科
専門医を取得しようとする放射線科医を対象に,認定医試験ならびに放射線科専門医試験の
受験に先立ち,希望に応じて(所属修練機関との調整を必要とします),それぞれ4週間(ま
たは2週間)
,計8週間(または4週間)の研修コースも履修することが可能です(国立成育
医療センター独自の企画です)。
本コースでは,通常は,見学,スタッフと一緒に検査実施・読影,スタッフ指導のもと検
査実施・読影という順に,段階的に履修することになります。
国立成育医療センター 放射線診療部 超音波研修 チェックシート
ID/exam date/confirmation
NCCHD体幹・表在超音波研修
部位・疾患
()は目標症例数
Case 1
Case 2
Case 3
頸部
頸部リンパ節炎(2)
肝胆道系
肝障害(1)
胆道閉鎖(2)
先天性胆道拡張症(1)
消化管
腸重積(3)
急性虫垂炎(3)
腸間膜リンパ節炎(3)
その他(SHP、HUS)
腎尿路
尿路感染症(2)
先天性水腎症(2)
生殖器
卵巣腫瘤(1)
精巣捻転(1)
精巣上体炎(1)
各症例ごとに、記録し、担当スタッフにチェックを受けください。各症例の詳細は各自でまとめ、経過観察し
てください。
2007年2月
作成
研修終了時、本用紙のコピーを担当スタッフに渡してください。
名前
所属
118
研修期間
∼
放射線診療部
放射線治療科
Department of Radiology
診療科概要
放射線診療部放射線治療科においては,小児がんを専門に扱っています。全国小児がん治
療研究における放射線治療データセンターとしての機能を持ち,セカンドオピニオンおよび
コンサルテーションを受け付けており,日本における小児がん放射線治療の主導的役割を担
っています。
研修プログラム:総論
教育カリキュラムの中心は,1.日常の小児画像診断および小児がん放射線治療業務から
の学習
2.院内ならびに院外のカンファレンス参加による学習 3.各学会や研究会に参
加することによる学習です。
【対象】
原則として,成人放射線治療の経験を5年以上有する医師を対象とする。
【研修期間】
1年から3年
A)小児画像診断について一定の経験がある場合は,1年または2年。
B)小児画像診断について未経験の場合は,2年または3年。
初年度1年間は,小児画像診断の研修を行う。
その内容は放射線診断科の研修内容に従う。
研修プログラム:各論(研修コース)
ジェネラリストコース
放射線診療部放射線診断科では,このコースに該当するカリキュラムはありません。
スペシャリストコース
【採用条件】
原則として,成人放射線治療の経験を5年以上有する医師を対象とする。
小児がん治療は集学的治療によって成り立っていますので,診療部門の一つである放射線
診療部に所属するにふさわしい,協調性のある人材であることはいうまでもありません。
【到達目標】
1年次: 放射線診断科の 1 年次に準ずる。
2年次: 1) 小児放射線治療の適応疾患や適応範囲についての知識と経験の習得。
2) 小児放射線治療における副作用,晩期障害についての知識と経験の習得。
3) 小児がん集学的治療、即ち小児腫瘍学,小児腫瘍外科学,小児腫瘍病理学
についての知識の習得。
4) 放射線防護および被曝低減についての知識と経験の習得。
5) 腫瘍カンファレンスへの参加。
119
6) 関連学会や研究会への参加。
3年次:
日常の業務に加えて,日本医学放射線学会専門医制度規定に従って,認定医お
よび専門医試験を受けることができる。
認定医,専門医試験合格後は,ジュニアスタッフとして1年次,2年次のレジデ
ントを指導できる。
リサーチプロジェクトに参加する。
【どの専門医が取得できるか】
日本医学放射線学会専門医制度規定に従い,認定医試験ならびに専門医試験を受験し,最
終的には,放射線治療専門医、さらに日本放射線腫瘍学会認定医が取得可能です(国立成育
医療センター放射線診療部は,日本医学放射線学会専門医修練機関および日本放射線腫瘍学
会認定機関です)。
詳細は,http://www.radiology.jp/modules/senmoni/index.php?id=7
(平成 19 年 2 月 21
日現在)を参照ください。
【経験できる症例】
小児がん治療施設としての専門性を生かした各種疾患を経験できます。
白血病,脳腫瘍,網膜芽腫,神経芽腫,横紋筋肉腫,ユーイング肉腫,ウイルムス腫瘍,胚
細胞腫瘍,その他稀な悪性疾患およびカサバッハ・メリット症候群などの良性疾患。
トレーナーコース
【採用条件】
原則として,日本医学放射線学会専門医制度規定に従って,放射線科専門医(放射線治療
専門医)と認定されている医師とします。
【到達目標】
スペシャリストコース に定める【到達目標】の項のうち,2年次を原則とし,3年次に
準じます。
【どのような指導医になれるか】
研修終了とともに,小児がん放射線治療を主体とした小児がん集学的治療全般を理解し,
さらに小児がん画像診断が可能となるのみならず,診療各科に役立つカンファレンスを担当
できる能力を身につけることができます。さらに日本放射線腫瘍学会認定医が取得可能です。
【経験できる症例】
スペシャリストコースの項を参照ください。
120
臨床検査部病理診断科
Division of Pathology, Department of
Clinical Laboratory
概
要
国立成育医療センターは胎児から始まって、新生児、小児、思春期を経て次世代を育成す
る成人世代、すなわちリプロダクションサイクルに生じる疾患に対する医療と研究を推進す
る目的でわが国5番目の高度専門医療機関(ナショナルセンター)として2002年3月に
発足しました。病理診断科では胎児・小児期の疾患をはじめとしたこれらの成育医療に関連
する疾患および産科・婦人科領域の疾患の病理診断を行っています。当院全科から送られた
病理検体を対象として病理診断を行うほか、他院や病理学会からの診断コンサルテーション
にも応じています。業務の柱としては組織診断(生検、手術)、細胞診断、病理解剖診断の3
つがあり、診断のためには、通常の HE 染色標本に加え、各種特殊染色、免疫組織化学、酵素
組織化学、in situ hybridization 法などの技術を駆使して、精度の高い診断をめざしてい
ます。また凍結切片を用いた手術中の迅速診断も行っています。必要に応じて電子顕微鏡を
用いた超微形態の観察を行い、糸球体腎炎や小児がん、皮膚疾患、血液疾患、気管支線毛異
常などの特殊な疾患の診断に役立てています。疾患によっては外科材料の肉眼的観察を臨床
医と病理医が討議しながら行い、放射線画像と対比しつつ病理所見を検討しています。組織
診断や細胞診に関する院内カンファレンスや CPC による剖検症例の検討会を開催し、院内の
医療スタッフの研修や教育にも貢献しています。
2005 年秋からは生体肝移植が始まり、2008 年 6 月には 60 例に達しました。小児肝移植で
は全国一の症例数で、胆道閉鎖症に比較し、劇症肝不全、代謝疾患に対する移植が多いのが
当センターの特徴です。原疾患、拒絶反応などの病理診断を通じて、移植医療においても病
理診断科は重要な役割を果たしています。
腎生検は年間 50 例程あり、豊富な小児腎疾患症例をもとに、日本腎病理協会においても
小児腎病理の情報発信を行っています。
対外的には関東・東海地域の小児病理専門医が参加する症例検討会を当院にて定期的に開
催し、小児病理専門医の情報交換の場になっています。また、リンパ腫、神経芽腫、横紋筋
肉腫、ウイルムス腫瘍などの小児がん臨床研究における中央病理診断センターとして、250
例にのぼる小児がんの病理診断、遺伝子診断も行っています。
病理診断科のスタッフは、隣接する高度先進検査室において病理検体を用いた遺伝子検索
にも関わっており、遺伝子診断、分子病理診断も実践しています。これらの病理診断を行う
ための知識や技術は併設されている研究所とも密接に関連して研修することができるのが本
センターの特徴です。
研修カリキュラム
1.スペシャリストコース
病理専門医取得のための研修を3年間行うコース。
原則としてレジデントとして採用
レジデント採用条件
医学部卒業 3 年目以上の者*
*平成 16 年 3 月以降に医学部を卒業した者については卒後臨床研修(2年間)を終了している者
死体解剖資格を有していることまたは3年間の研修中に取得予定であること
121
病理専門医を取得していることまたは取得予定で病理研修を開始していること
採用後3年間の研修カリキュラムを履修できること
病院の実施する採用試験に合格していること
病理専門医取得を目指す場合には、専門医取得のために必要な5年間の研修のうち3年間を当院
で研修する。当院で不可能な成人症例の研修は当院からの紹介をうけた研修協力施設で行なう。
病理専門医取得に必要な症例数は病理解剖 50 例、生検組織診断 5000 例(術中迅速診断 50 例を含
む)である。
2.トレーナーコース
病理専門医資格を取得している者がサブスペシャリティーとしての小児病理研修を3年間行うコ
ース。
原則としてスーパーレジデントとして採用。
<短期研修コース>
病理以外を専攻する者を対象とした研修
客員研究員として採用あるいは他科からのローテーション
客員研究員(無給)採用条件
医学部卒業 3 年目以上の者*
*平成 16 年 3 月以降に医学部を卒業した者については卒後臨床研修(2年間)
を終了している者
研究期間は相談の上決定する
到達目標
<スペシャリストコース>(本センターでの研修)
1. 病理検体の適切な処理(切り出し、固定、凍結など)、保存・利用方法を理解し実践でき
る。
2. 病理検体の肉眼所見を正しく判定し、適切な記載ができる。
3. 病理組織標本作製過程を把握し、特殊染色、組織化学染色、免疫染色などの各種染色法
の基本原理と利用目的を理解する。
4. 細胞診の標本作製の流れを理解し、細胞診断の基礎を修得する。
5. 電子顕微鏡の標本作製過程、電顕所見の読み方を理解し、病理診断へ応用することがで
きる。
6. 以上の方法論の取得を通じて成育医療に関わる疾患の臨床像,病態、病理像を総合的に
学習し、病理診断を実践するとともに、臨床における病理診断の意義について理解する
ことができる。
7. 各種先天異常や小児腫瘍の診断に欠かせない遺伝子診断の原理を理解できる。また、形
態学診断と密接に関連する FISH 法の原理を理解し、結果の判定を適切に行うことができ
る。また小児腫瘍の診断に必須なキメラ遺伝子の検索を RT-PCR 法を用いて実践すること
ができる。
8. 指導医とともに病理解剖を行い、臨床経過と病理所見を総合的に検討することによって、
病態を適切に把握し、剖検診断書を作成できる。
9. 症例検討会、CPCなどのカンファレンスにおいて、病理所見を提示し、討論できる能
力を養う。
10. 病理業務における関係法規を理解し、実践できる。
122
<トレーナーコース>
1.小児周産期における非腫瘍性疾患、腫瘍性疾患について、臨床像,病態、病理像を総合
的に学習し、病理診断を実践するとともに、臨床医と的確にコミュニケーションをとり、
病理医として診療現場に参加することができる。
2. 各種先天異常や小児腫瘍の診断に欠かせない遺伝子診断の原理を理解し、FISH 法、RT-PCR
法を用いた遺伝子検索を実施し、病理診断に反映することができる。
3. 日本病理学会総会、日本小児病理研究会などでの学会発表、論文発表を行う。
<短期研修コース>
1.病理検体の適切な処理(切り出し、固定、凍結など)、保存・利用方法を理解し実践でき
る。
2.病理検体の肉眼所見を正しく判定し、適切な記載ができる。
3.病理組織標本作製の行程を把握し、特殊染色、組織化学染色、免疫染色などの各種染色
法の基本原理と利用目的を理解する。
4.細胞診の標本作製の流れと細胞所見の取り方の基礎を理解する。
5.成育医療に関わる一般的な疾患の病理診断を指導医のもとで経験する。
6.電子顕微鏡の標本作製過程を理解し、電顕所見の読み方を理解する。
7.病理解剖を見学し、病理解剖診断にいたるプロセスを理解する。
セミナー・カンファレンス
1. 病理・集中治療科カンファレンス(主として病理解剖症例:毎月1回)
2. 腎病理カンファレンス(毎月1回)
3. 腫瘍カンファレンス(毎月2回)
4. 婦人科細胞診カンファレンス(毎月1回)
5. 病院 CPC(3ヶ月に1回)
6. 小児病理症例検討会(院内:毎週1回、関東・東海地区:4ヶ月に1回)
7. 日本病理学会小児腫瘍症例検討会・小児病理研究会(年1回)
研
究
z
日本小児白血病・リンパ腫研究グループ(JPLSG)のリンパ腫症例の病理中央診断を通
じて臨床研究をバックアップするとともに、小児悪性リンパ腫に関する病理学的研究を
行っている。
z
JPLSG が行っているヨーロッパとの共同研究(ALCL99)では国内だけでなく、ヨーロッ
パ各国の血液病理医と international review を年1回行い、中央診断の精度管理を行
っている。
z
一絨毛膜性二羊膜性胎盤における双胎間輸血症候群の発症機序についての研究を行っ
ている。
z
神経芽腫、ウイルムス腫瘍などの胎児性腫瘍のほか Ewing/PNET 腫瘍などの難治性小児
腫瘍に関する新しい診断法や生物学的特徴について研究所と関連して研究している。
その他、研究所の研究活動にも参加可能である。
123
<参考> 専門医制度関係一覧表
制度名
小児科専門医制度
日本産科婦人科学会専門医制度
日本皮膚科学会専門医制度
運営学会
日本小児科学会
日本産科婦人科学会
日本皮膚科学会
専門医名
小児科専門医
産婦人科専門医
皮膚科専門医
研修施設認定
専門医研修施設
専門医研修施設
指導責任医
赤澤 晃
新関 寛徳
基本領域/Subspecialty
基本領域
基本領域
1)試験当日に学会会員であり、学会会員歴
が引続き3年以上、もしくは通算して5年以上
であるもの。
2)2年間の卒後臨床研修を受け、その後さら
に小児科専門医制度規則第15条に規定する
小児科臨床研修を3年以上受けた者。もしく
は小児科臨床研修を5年以上受けた者。
基本領域
Ⅰ申請の資格
1.わが国の医師免許証を有する者。
2.申請期限の日を含めて5年以上継続して本会正
会員である者。
3.本会の指定する皮膚科専門医研修施設におい
て、5年以上皮膚科の臨床研修を行った者、ならびに
これと同等以上の研修をおこなったと認められる者。
4.別に定める認定前研修実績において所定単位を
取得したもの。
5.現在皮膚科の診療に携わっている者。
Ⅱ専門医資格審査委員会において専門医認定の書
類審査と試験に合格すると専門医として認定される
3年以上
なし
5年以上
なし
3年以上
5年以上
小児科医の到達目標
研修施設の指導医が作成する行動目標と学習方略
概要
資 会員期間
格
基本診療科の制限
認定施設での研修必要期間
研修カリキュラム
指定領域の症例50名
症例
業績
なし
学会発表、原著発表、講習会の総計150単位以上
総合診療部小児期診療科・思春期診療科・
救急診療科
阪井裕一、洲鎌盛一、赤澤晃、永井章、土田
尚、小穴愼二、辻聡、北岡照一郎、藤本慎一
郎、小原崇一郎
ほぼ可能
皮膚科
新生児、ICUは、ローテーションで専門科で
研修
3年間
成人皮膚疾患
一般小児疾患、川崎病(30例)、療育患者(7
0例)、一般小児科外来1日120名、救急外来
1日100-200名
新患者として小児アトピー性皮膚炎を含む湿疹・皮膚
炎群600例、母斑、血管腫200例、皮膚感染性疾患
300例、その他体表良性腫瘍、ウイルス性発疹症、
毛嚢脂腺系疾患、脱毛などの毛髪疾患、先天性疾
患、遺伝性疾患など
カンファランス週1回、研修医セミナー年1回、看護師
セミナー年2回、褥瘡セミナー1回、成育医療懇話会
年1回、地域の小児科医への講演活動など年20回
国立成育医療センターでの実施
状況
研修カリキュラムの実施診療科
指導医・専門医名
研修カリキュラムの実施可能範
囲
研修カリキュラムの実施不可能
項目
研修期間
主な症例と症例数(年間)
研修会等の実施
症例検討会(2−3回) 画像カンファレンス
(週1回) レジデントセミナー(週2回)
ジャーナルクラブ(週1回)、成育医療臨床懇
話会(年2回)
新関寛徳
小児皮膚疾患
5年
制度名
日本外科学会外科専門医制度 日本整形外科学会専門医制度
日本眼科学会専門医制度
運営学会
日本外科学会
日本整形外科学会
日本眼科学会
専門医名
外科専門医
整形外科専門医
眼科専門医
研修施設認定
修練施設
一般研修施設
指導責任医
基本領域/Subspecialty
関 敦仁
基本領域
基本領域
基本領域
(1) 申請時において6年以上引き続き正会員であること。
(2) 本規則に定めた研修期間、研修内容、研修施設の研修条件
を満たしていること。
概要
資 会員期間
格
6年以上
基本診療科の制限
認定施設での研修必要期間
全6年以上のうち3年間。ただし、3年間のうち6ヶ月間は、特定短
期研修施設での研修を認める。
別に定める「整形外科卒後研修ガイドライン」による。
研修カリキュラム
卒後研修ガイドラインに掲げられた研修内容に該当する症例で、1
0例の診療記録が必要。
症例
業績
全研修期間中に主発表者として1編以上論文を学術雑誌に掲載、
10例の診療記録が必要。
国立成育医療センターでの実施
状況
研修カリキュラムの実施診療科
整形外科
関敦仁・日下部宏
指導医・専門医名
研修カリキュラムの実施可能範
囲
研修カリキュラムの実施不可能
項目
研修期間
主な症例と症例数(年間)
研修会等の実施
可能
制度名
日本耳鼻咽喉科学会専門医制度
日本泌尿器科学会専門医制度
日本脳神経外科学会専門医認定制度
運営学会
日本耳鼻咽喉科学会
日本泌尿器科学会
日本脳神経外科学会
専門医名
耳鼻咽喉科専門医
泌尿器科専門医
脳神経外科専門医
研修施設認定
認定あり
指導責任医
泰地 秀信
基本領域/Subspecialty
基本領域
基本領域
1)連続して3年以上、日本耳鼻咽喉科学会の正会員
である者。
2)日本耳鼻咽喉科学会が基準に基づいて認可した
耳鼻咽喉科専門医研修施設において、研修カリキュ
ラムに従い臨床研修終了後4年以上の専門領域研修
(そのうち3年以上は耳鼻咽喉科専門医研修施設に
おける研修でなければならない。)を修了した者。
概要
資 会員期間
格
3年
なし
基本診療科の制限
認定施設での研修必要期間
3年以上
研修記録簿に従う
研修カリキュラム
研修記録簿に記載
症例
業績
学会発表・論文・著書を記載
国立成育医療センターでの実施
状況
研修カリキュラムの実施診療科
耳鼻咽喉科
泰地秀信、守本倫子
指導医・専門医名
研修カリキュラムの実施可能範
囲
研修カリキュラムの実施不可能
項目
研修期間
主な症例と症例数(年間)
研修会等の実施
小児耳鼻咽喉科領域が中心
赤外線CCDカメラによる眼振検査、重心動揺計、声
帯ポリープ手術、聴神経腫瘍手術、頚部廓清術
3年間
年間手術数596件(鼓室形成23例、鼓膜形成6例、喉
頭気管形成5例など)、年間外来延べ患者数10,312名
(2003年度)
成育医療臨床懇話会など、他に聴力測定技術講習会
を後援、カンファレンスは週2回
専門医訓練施設
基本領域
制度名
放射線科専門医制度
麻酔科専門医制度
病理専門医制度
運営学会
日本医学放射線学会
日本麻酔科学会
日本病理学会
専門医名
放射線科専門医
麻酔科専門医
病理専門医
研修施設認定
専門医研修施設
日本病理学会認定病院
指導責任医
正木 英一
中川 温子
基本領域/Subspecialty
基本領域
基本領域
1.学会の会員で、(1)日本国の医師免許を有す
ること。(2)医師法(昭和23年法律201号)第3条
および第4条の規定に該当しないこと。(3)イ.一
次試験は、医師免許取得後3年以上で本学会正
会員となって2年以上のものに受験資格を与え
る。但し、3年のうち少なくとも2年は学会が認定し
た修練機関において診断・核医学、治療を研修す
るものとする。
2.二次試験には一次試験合格後2年以上のもの
に受験資格を与える。但し、上記2年は学会が認
定した修練機関にいて、診断・核医学または治療
を研修するものとする。ただし、平成16年4月以降
に医師免許を修得した人については義務化され
た臨床研修期間は専門医の修練期間には含め
ない。従って最短で卒後7年目に専門医の修得
が可能となる。
基本領域(人体病理一般)
(イ)日本国の医師免許を取得していること。(ロ)死体解剖保存法
による死体解剖資格を取得していること。(ハ)出願時3年以上継続
して日本病理学会会員であること。(ニ)病理専門医受験申請時
に、厚生労働大臣の指定を受けた臨床研修病院における臨床研
修(医師法第16条の2第1項に規定)を終了していること。(ホ)日本
病理学会の認定する研修施設において5年以上人体病理学を実
践した経験をもち、その期間中に次の各項の研修を修了している
こと。ただし、5年の実践機関のうち最高1年までを、厚生労働大臣
の指定を受けた臨床研修病院における臨床研修(臨床検査医学
研修を含む)をもって充当すること、また、法医での研修期間は、2
年(法医学専攻の大学院修了者)までを充当することができる。
(a)いちじるしく片寄らない症例についてみずからの執刀による病
理解剖を行い、病理解剖学的診断を附したものを50例以上を経験
していること。(b)いちじるしく片寄らない症例についてみずから病
理組織学的診断を附した生検(外科切除標本を含む)5,000例(50
例の迅速診断を含む)以上を経験していること。(c)日本病理学
会、国際病理アカデミー日本支部、あるいは日本病理医協会(支
部を含む)等の主催する病理組織診断に関する講習を受講してい
ること。(d)日本病理学会あるいは日本病理医協会等の主催する
細胞診に関する講習を受講し、細胞検査士を指導し的確な診断を
するに十分な細胞診の知識と経験を有していること。
概要
資 会員期間
格
4年以上
なし
基本診療科の制限
認定施設での研修必要期間
4年以上
放射線科専門医認定委員会作成の修練項目
研修カリキュラム
症例
二次試験受験時に日本医学放射線学会雑誌投
稿論文(主著者)あるいは放射線科画像データ管
理システムに1例の症例登録が必要
業績
国立成育医療センターでの実施 放射線診断学・核医学・放射線治療
状況
放射線診療部
研修カリキュラムの実施診療科
臨床検査部病理検査室
正木英一、野坂俊介、岡田良行、堤義之、宮嵜
治、北村正幸、宮坂実木子
中川温子・松岡健太郎
指導医・専門医名
研修カリキュラムの実施可能範
囲
研修カリキュラムの実施不可能
項目
研修期間
主として小児および周産期領域の画像診断学・
核医学・放射線治療
病院の特殊性から放射線診断学・核医学・放射
線治療での対象疾患は限られています
5年間
30-50%
5年(うち1年は臨床研修で充当することができる)
心臓カテーテル心エコー・産婦人科超音波を除く
全ての画像診断(年間約6万件)
先天奇形、Hirschuprung病、小児腎疾患、白血病、小児固形腫瘍、
胎盤疾患など 生検1600例、剖検30例
症例検討会(週5回)他科とのカンファレンス(週1
6回)他院とのカンファレンス(月1回)
病理カンファレンス週1回、腎カンファレンス月1回、ICUカンファレ
ンス月1回、腫瘍カンファレンス月2回、関東東海小児病理症例検
討会年3回
成人症例を他の研修施設で補うことが必要
主な症例と症例数(年間)
研修会等の実施
制度名
救急科専門医制度
日本リハビリテーション医学会専門医制度
運営学会
日本救急医学会
日本リハビリテーション医学会
専門医名
救急科専門医
リハビリテーション科専門医
研修施設認定
専門医研修施設
指導責任医
基本領域/Subspecialty
髙橋 秀寿
基本領域
1. 日本国の医師免許を有すること。
2. 申請時において、継続して5年以上本学会の会員
であること。
3. 5年以上の臨床経験を有すること。
4. 専門医指定施設またはこれに準じる救急医療施
設において、救急部門の専従医として3年以上の臨床
修練を行った者であること。または、それと同等の学
識、技術を習得した者であること。
基本領域
日本リハビリテーション医学会の専門医研修施設として、当センターは平成16年1月
に承認されています。リハビリテーション科専門医を取得するためのプログラムとし
て1年間の研修を行っています。専門医になるためには、指定を受けた研修施設で、
5年間に、症例報告(30例)が必要です。当センターでは、小児疾患についてほぼす
べての疾患のリハビリテーションを経験することができます。
継続して5年以上
なし
5年以上
なし
救急部門の専従医として3年以上
5年以上
なし
http://aap-jpn.umin.jp/を参照してください。
http://www.jaam.jp/html/listofnames/sensaisoku.htm
に基づく
以下の領域1-領域8のうち、5領域以上(うち領域1・2は必須)について各3症例以上
の要約が必要です。その領域とは、
領域1:脳卒中、その他の脳疾患(脳外傷など)、領域2:脊髄損傷、その他の脊髄疾
患(二分脊椎など)、領域3:関節リウマチ、その他の骨関節疾患(外傷を含む)、領域
4:脳性麻痺、その他の小児疾患、領域5:神経及び筋疾患、領域6:切断、領域7:呼
吸器・循環器疾患、領域8:その他(悪性腫瘍、末梢循環障害、熱傷など)です。
リハビリ関連雑誌への原著論文1編が必要です。
概要
資 会員期間
格
基本診療科の制限
認定施設での研修必要期間
研修カリキュラム
症例
http://www.jaam.jp/html/listofnames/sensaisoku.htm
国立成育医療センターでの実施 救急センターとICUで実施している
状況
救急診療科、集中治療科
研修カリキュラムの実施診療科
業績
1名受け入れています。
リハビリテーション科
羽鳥文麿、中川聡、上村克徳
髙橋秀寿、小宗陽子
ほぼ可能
小児領域で可能
指導医・専門医名
研修カリキュラムの実施可能範
囲
研修カリキュラムの実施不可能
項目
研修期間
成人疾患は困難
3年間
原則1年
救急来院患者約4万例、ICU入院患者約800例
脳性麻痺60例、二分脊椎60例、各遺伝疾患120例、発達障害120例、ほか小児科領
域の症例は経験できます。
合同症例検討会(国際医療センター、東京医療セン
ター、聖路加国際病院)
月1回、勉強会(リハビリ全般)週1回症例検討会、週1回抄読会
主な症例と症例数(年間)
研修会等の実施
制度名
日本小児歯科学会専門医制度
日本血液学会専門医制度
運営学会
日本小児歯科学会
日本血液学会
専門医名
小児歯科専門医
血液専門医
研修施設認定
申請中
専門医研修施設
指導責任医
金田一 純子
熊谷 昌明
基本領域/Subspecialty
基本領域
専門医の申請は次の各号に該当する者に限られる。
1.日本国歯科医師の免許証を有すること。
2.学会認定医制度規則第3章第9条で、認定医委員会
の審査及び面接試験に合格した者。
3。専門医の認定申請時において、5年以上引き続いて
学会会員である者。
4.専門医申請時に教育研修単位(生涯研修単位を含
む)を150単位以上取得した学会会員である者。
5.原則として、日本歯科医師会会員である者(正会員、
準会員)
subspecialty
(1)日本内科学会または日本小児科学会の認定医である者。
(2)日本内科学会または日本小児科学会の認定医を取得後(上記(1)の認定
医取得後)、日本血液学会が認定した研修施設において臨床血液学の研修を
3年以上行った者。
(3)申請時に継続して3年以上日本血液学会の会員である者。
(4)臨床血液学に関係した内容で、筆頭者として学会発表または論文が2つ
以上ある者。
(5)「診療実施記録」を提出すること。①受け持ち入院患者のうち10名につい
て作成すること。②症例は3領域(赤血球系疾患、白血球系疾患、出血血栓性
疾患)のそれぞれにおいて少なくとも2症例を含むこと。
(6)日本血液学会研修施設における血液学に関する研修記録を提出するこ
と。「社団法人日本血液学会血液専門医カリキュラム」に自己評価及び指導医
による評価を記入の上、提出すること。
以上(1)−(6)のいずれもに該当する者が専門医認定試験の受験資格を得
ることができる。
5年以上
日本小児歯科学会専門医、認定医
3年以上
日本内科学会または日本小児科学会認定医
概要
資 会員期間
格
基本診療科の制限
認定施設での研修必要期間
単位制
3年以上
小児歯科領域が中心
研修カリキュラム
血液疾患10例
症例
150単位(施設における歯科診療、論文、学会発表、学会
参加)
国立成育医療センターでの実施 2名研修中
状況
小児歯科
研修カリキュラムの実施診療科
業績
金田一純子
熊谷昌明、清谷知賀子、塩田曜子
可能
一部可能
指導医・専門医名
研修カリキュラムの実施可能範
囲
研修カリキュラムの実施不可能
項目
研修期間
主な症例と症例数(年間)
単位制
う蝕、口腔外傷、口唇口蓋裂患児のホッツ床管理、口腔
外科(小手術:埋伏歯の抜歯、上唇小帯延長術、舌小帯
延長術、下顎水平埋伏智歯の抜歯、歯牙腫の摘出、顎
嚢胞の摘出、歯胚抜歯、等)
症例検討会(週1−2回)、カンファレンス
研修会等の実施
制度名
日本内分泌学会専門医制度
運営学会
日本内分泌学会
専門医名
内分泌代謝科専門医
研修施設認定
専門医研修施設
指導責任医
堀川 玲子
基本領域/Subspecialty
subspecialty
(1)申請時において、継続4年以上本学会の会員であること。
(留学等の理由により休会にしていた場合には、休会期間中の年数を継続年数に加算することはできません。当年度まで連続して年会
費の納入があった年数が継続年数となります。)
(2)申請時において、基幹学会の認定医(または専門医)として認められている者。
内科系にあっては、内科認定研修の課程を終了後、申請時まで3年以上、日本内分泌学会認定教育施設において内分泌代謝科指導医
の指導のもとで内分泌代謝疾患の診療に従事している者。
小児科系にあっても内科系の内分泌学会専門医資格の研修期間に準じるが、小児科専門医資格の研修期間を含めた研修期間を6年以
上とする。
(4)内分泌代謝疾患臨床に関する学会発表、又は論文発表が5編以上あり、少なくとも2編は筆頭者であること。
(5)内分泌代謝疾患相当例以上の入院および外来の診療経験を有する者。
概要
資 会員期間
格
4年以上
内科系にあっては日本内科学会認定医、小児科系にあっては日本小児科学会の専門医として認められている者。
基本診療科の制限
認定施設での研修必要期間
内科系にあっては、内科認定研修の課程を終了後、申請時まで3年以上、日本内分泌学会認定教育施設において内分泌代謝科指導医
の指導のもとで内分泌代謝疾患の診療に従事している者。
診療科ごとの所定のカリキュラム
研修カリキュラム
症例
業績
内分泌代謝疾患臨床に関する学会発表、又は論文発表が5編以上あり、少なくとも2編は筆頭者であること。
国立成育医療センターでの実施 レジデントとして研修
状況
内分泌代謝科
研修カリキュラムの実施診療科
堀川玲子・田中敏章・内木康博・荒田尚子
指導医・専門医名
研修カリキュラムの実施可能範
囲
研修カリキュラムの実施不可能
項目
研修期間
主な症例と症例数(年間)
可能
2−3年間
成長ホルモン分泌不全性低身長症、ターナー症候群、先天性副腎皮質過形成症、クレチン症、バセドウ病、思春期早発症、性腺機能低
下症など
入院 約250名、外来 約1,200名
入院症例カンファ(週1回)、外来症例カンファ(週1回)、抄読会・退院サマリー検討会(週2回)
研修会等の実施
制度名
糖尿病専門医制度
腎臓専門医制度
運営学会
日本糖尿病学会
日本腎臓学会
専門医名
糖尿病専門医
腎臓専門医
研修施設認定
専門医研修施設
専門医研修施設
指導責任医
田中 敏章
伊藤 秀一
基本領域/Subspecialty
subspecialty
1.日本国の医師免許を有し、医師としての人格および識見を備えている
こと。2.申請時において、連続3年以上本学会の会員であること。3.認
定内科医研修の課程を修了後、あるいは小児科認定医研修の課程を3
年以上修了後、この規則により認定された認定教育施設において3年以
上の期間にわたって常勤者として糖尿病臨床研修を行っていること。糖
尿病の研修開始時に研修同意書を提出し、その後研修カリキュラムの内
容に沿った糖尿病の研修を学会認定教育施設により行ったことを証明し
うること。4.申請時において、日本内科学会の認定内科医、または日本
小児科学会の認定医として認定されていること。5.糖尿病臨床に関す
る、筆頭者としての学会発表または論文が2編以上あること。なお、学
会、雑誌に関しては、施行細則に定める。なお同一学会或いは合同学会
において複数回発表を行っても1回のみの計算とする。6.入院糖尿病患
者40症例以上(但し、小児では10症例以上)の治療経験を有すること。
subspecialty
(1)本邦の医師免許を有し、医師としての人格及び見識を備え
ていること。
(2)会員歴が継続して5年以上であること。
(3)(社)日本内科学会認定医取得後3年以上、(社)日本小児
科学会専門医、(社)日本外科学会専門医及び(社)日本泌尿
器科学会専門医は取得後1年以上であること。
(4)本会が指定する研修施設において、別に定める研修カリ
キュラムに基づく研修を3年以上行っていること。上記の条件を
満たす適格者に対して毎年1回筆記試験が行われる。
3年以上
日本内科学会の認定内科医、または日本小児科学会の認定医
継続して5年以上
(社)日本内科学会認定医取得後3年以上、(社)日本小児科学
会専門医、(社)日本外科学会専門医及び(社)日本泌尿器科
学会専門医は取得後1年以上であること。
概要
資 会員期間
格
基本診療科の制限
認定施設での研修必要期間
3年以上
診療科ごとの所定のカリキュラム
3年以上
診療科ごとの所定のカリキュラム
研修カリキュラム
小児では、入院患者10症例以上
症例
業績
筆頭者としての学会発表または論文が2編以上あること。
国立成育医療センターでの実施
状況
研修カリキュラムの実施診療科
内分泌代謝科
腎臓科
田中敏章・荒田尚子
伊藤秀一、亀井宏一
可能
ほぼ可能
2−3年間
2-3年間
指導医・専門医名
研修カリキュラムの実施可能範
囲
研修カリキュラムの実施不可能
項目
研修期間
主な症例と症例数(年間)
研修会等の実施
1型糖尿病、2型糖尿病、ターナー症候群の糖尿病、プラダーウィリー症 腎炎、ネフローゼ症候群、腎不全(腹膜透析、血液透析)、腎移
候群の糖尿病
植、先天性腎尿路奇形、遺伝性腎疾患
入院患者 約20名、外来患者 約100名
入院症例カンファ(週1回)、外来症例カンファ(週1回)、抄読会・退院サ
マリー検討会(週2回)、糖尿病教室
入院症例カンファ(週1回)、外来症例カンファ(週1回)、抄読会
(週1回)、腎生検カンファ(月1回)
制度名
日本透析医学会専門医制度
アレルギー学会専門医制度
運営学会
日本透析医学会
日本アレルギー学会
専門医名
日本透析医学会専門医
アレルギー学会専門医
研修施設認定
教育関連施設
指導責任医
基本領域/Subspecialty
概要
資 会員期間
格
基本診療科の制限
認定施設での研修必要期間
小児科・アレルギー科
赤澤 晃・大矢 幸弘
subspecialty
subspecialty
専門医は次の各項の資格をすべて満たす者であること。
1)日本国の医師免許を持つ医師であること
1)日本国の医師免許証を有し、医師としての人格および識見を備えている 2)認定時に引き続き5年以上日本アレルギー学会の会員で
こと。
あること
2)日本内科学会および日本外科学会において定められたいずれかの認定 3)内科、小児科、耳鼻咽喉科、皮膚科、眼科、その他の基
医または、専門医、日本泌尿器科学会および日本小児科学会において定め 盤学会の専門医(認定医)資格の認定を受けていること
られたいずれかの専門医、もしくは日本麻酔学会において定められた指導医 4)基盤学会認定資格取得後、内科は3年以上、小児科・皮
の資格を有し、臨床経験5年以上を有すること。ただし、これに該当しない場 膚科・耳鼻咽喉科・眼科は1年以上、計6年以上の臨床研修
合においても、本会の専門医制度委員会の規定によって認定された認定施 歴を要する(他学会の専門医もこれに準ずる)。この研修歴6
設において5年以上の臨床経験を有する者については、同等の資格を有す 年の内、通算3年以上は日本アレルギー学会認定教育施設
る者とみなすことが出来る。
において、日本アレルギー学会指導医または専門医のもと
3)認定施設または教育関連施設において本会の専門医制度委員会の規定 での、所定のカリキュラムに従ったアレルギー学の臨床研修
によって編成された研修カリキュラムに従い通産5年以上、もしくは本会の専 を必須とする。
門医制度委員会が認める外部団体主催の研修期間も含めて計5年以上、主 5)a)日本アレルギー学会代議員歴保有者(評議員歴も含
として透析療法に関する臨床研修を行いかつ業績のあること。
める)であるか、またはb)自ら診療しているアレルギー疾患
4)学会出席ならびに業績について30単位を満たしていること。
患者40名分の名簿提出
5)専門医認定の試験および審査において適格と判定され、専門医として登 6)最近の5年間に別表1に示すアレルギー学の業績が50単
録を完了した者であること。
位以上であること
6)申請時において、本会の会員歴5年以上、もしくは本会会員歴3年以上で ただし、日本アレルギー学会秋季学術大会および春季臨床
かつ2)に記載されている他学会の会員歴を含めて5年以上であること。
大会への出席3回以上を含めるものとする。
7)日本アレルギー学会専門医試験に合格していること
5年以上
日本内科学会および日本外科学会において定められたいずれかの認定医 小児科・内科・耳鼻咽喉科・皮膚科・眼科・その他基本診療
または、専門医、日本泌尿器科学会および日本小児科学会において定めら 科で6年以上
れたいずれかの専門医、もしくは日本麻酔学会申請時において、本会の会
員歴5年以上、もしくは本会会員歴3年以上でかつ2)に記載されている他学
会の会員歴を含めて5年以上であること。
5年間
3年以上
診療科ごとの所定のカリキュラム
研修カリキュラム
アレルギー疾患患者40名
症例
50単位(論文、学会参加、発表など)
業績
国立成育医療センターでの実施
状況
研修カリキュラムの実施診療科
香坂隆夫
第1専門診療部アレルギー科、総合診療部小児期診療科・
思春期診療科
大矢幸弘、赤澤晃、野村伊知郎、成田雅美
指導医・専門医名
研修カリキュラムの実施可能範
囲
研修カリキュラムの実施不可能
項目
研修期間
アレルギー専門医(小児科)は可能
5年間
3年以上
喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性鼻
炎、薬剤アレルギー、ラテックスアレルギー
主な症例と症例数(年間)
研修会等の実施
症例検討会(週1回)、成育医療臨床アレルギー懇話会(年
3回)、患者向けアレルギー教室(毎週2回)、ラテックスアレ
ルギー研究会(年1回)、子どものこころ体環境を考える会
(年1回)
日本小児外科学会専門
小児神経科専門医制度
医制度
制度名
心臓血管外科専門医制度
運営学会
日本胸部外科学会・日本心臓血管外科学会・日本
日本小児外科学会
血管外科学会3学会構成心臓血管外科専
日本小児神経学会
専門医名
心臓血管外科専門医
小児神経科専門医
研修施設認定
基幹施設
指導責任医
関口昭彦
岡 明
基本領域/Subspecialty
subspecialty
subspecialty
日本国の医師免許証を有すること。日本外科学会
認定医あるいは外科専門医または外科専門医筆記
試験合格者であること
subspecialty
①基本領域(小児科)の専門医資格
②日本小児神経学会会員歴5年以上
③5年間自ら診療に従事し到達目標にかなった小児神経疾患
患者30例の症例要約
④論文発表、学会出席などの十分な実績(詳細省略)
⑤専門医試験に合格すること
3年以上
5年間
日本小児科学会専門医資格が必要
3年以上
特になし
小児外科専門医
研修施設認定有
概要
資 会員期間
格
基本診療科の制限
認定施設での研修必要期間
別に定める
研修カリキュラム
心臓血管外科専門医認定のための臨床経験評価
方式に則る
30例
症例
認定機構で別に定める一定の業績(学会発表、論
文発表)および研修実績(学会参加)を
国立成育医療センターでの実施 医員、レジデントが対象
状況
心臓血管外科
研修カリキュラムの実施診療科
業績
50単位(学会発表、論文執筆、学会出席など)
神経内科・発達心理科
関口昭彦
岡明、長澤哲郎、宮尾益知
主に先天性心疾患および遺残、続発症
すべての領域で可能
後天性疾患、成人症例は事実上不可能
特になし
レジデント3年、医員任意
2年程度で十分な経験が可能
指導医・専門医名
研修カリキュラムの実施可能範
囲
研修カリキュラムの実施不可能
項目
研修期間
開心術80例、非開心術40例
主な症例と症例数(年間)
症例検討会、抄読会
研修会等の実施
制度名
日本てんかん学会認定医(臨床専門
医)制度
日本リウマチ学会専門医制度
日本気管食道科専門医制度
運営学会
日本てんかん学会
日本リウマチ学会
日本気管食道科学会
専門医名
日本てんかん学会認定医(臨床専門医) リウマチ専門医
研修施設認定
認定教育施設
指導責任医
立澤 宰、村島 温子
基本領域/Subspecialty
概要
subspecialty
基本診療科の制限
5年間
研修カリキュラム
症例
業績
国立成育医療センターでの実施
状況
研修カリキュラムの実施診療科
感染症・リウマチ科、母性内科
立澤宰、小林信一、村島温子
指導医・専門医名
研修カリキュラムの実施可能範
囲
研修カリキュラムの実施不可能
項目
研修期間
一部可能
中高年発症の膠原病
小児リウマチ、SLE、関節リウマチ、シェーグレン症
候群、高安病
主な症例と症例数(年間)
研修会等の実施
研修施設(咽喉系)
subspecialty
subspecialty
資格申請するものは下記の条件を満たさなければな
らない。
1)日本国の医師免許証を有し、医師として人格及び
見識を備えていること。
2)申請時において引き続き5年以上学会の会員であ
ること。
3)日本リウマチ学会が認定した教育施設等におい
て、通産5年以上のリウマチ学の臨床研修を行ったこ
と。
4)日本リウマチ学会専門医資格維持施行細則によ
る研修単位を30単位以上取得していること。
5)関連基本領域学会の認定医或いは専門医の資格
を有すること。
資 会員期間
格
認定施設での研修必要期間
気管食道科専門医
制度名
周産期新生児専門医制度
運営学会
日本周産期・新生児医学会
専門医名
周産期新生児専門医
研修施設認定
基幹施設
指導責任医
伊藤 裕司
基本領域/Subspecialty
subspecialty
Ⅰ.目的: 本制度の目的は優れた知識と錬磨された技能を備えた周産期医療の臨床医を社会に送ることにより、我が国の妊産婦、胎児及
び新生児がより高い水準の医学・医療の恩恵を受けることが可能となり、それによって社会の福祉に貢献することである。本学会の認定す
る周産期専門医は周産期医療に従事する医師の水準を高め、高度な医学知識と技能によって他の医師に適切な指示を与えることのできる
臨床能力を有することが必要とされる。
Ⅱ.申請資格と認定方法: 周産期専門医の申請資格は以下の通りである。
(1)日本国医師免許証を有すること。
(2)日本産科婦人科学会、日本小児科学会、日本小児外科学会のいずれかの専門医であること。
(3)受験申込時、3年以上継続して本学会会員であり、会費を完納していること。
(4)所定の期間、本学会が認定する研修施設での臨床研修を修了していること。
(5)所定の学術研究業績を有すること。
(6)資格認定試験に合格していること。
概要
資 会員期間
格
日本産婦人科学会、日本小児科学会、日本小児外科学会のいずれかの専門医であること。
基本診療科の制限
認定施設での研修必要期間 3年間
(1)基本内容[A]知識: 1)ハイリスク妊娠・分娩の識別、母体搬送、ハイリスク胎児についての知識。 2)健常新生児の生理と成長、発達
の理解。 3)病的新生児の病態についての理解と診断、問題対処能力の体得。 4)母子相互作用および母乳保育の重要性についての理
解。 5)周産期医療の地域化などの社会医学の理解。 [B]診療技能: 6)重症新生児の全身管理及び集中治療。 7)分娩立会い(正常及
び異常分娩)と新生児の取り扱い。 8)新生児搬送。 9)健常児の乳児健診。 10)健全な母子関係の形成と確率についての支援。 11)ハ
研修カリキュラム
イリスク児のフォローアップ。 [C]診療態度、医療倫理: 12)家族への面接技術の体得。 13)疾患の説明技術の体得。 14)家族の心理
の理解と支援。 15)母体・胎児・新生児・家族についての生命倫理の理解。 [D]研究、教育、生涯教育: 16)研修医・看護師・医学生・看
護学生への教育体験。 17)臨床的もしくは実験的研究計画の作成と実施への参加。 18)学会発表及び学会参加。 19)研究論文の刊行
(2)研修症例数: 1)ハイリスク分娩立会い20例以上。 2)健常新生児管理例数50例以上。 3)超低出生体重児受け持ち数10例以上。 4)
極低出生体重児受け持ち数20例以上。 5)中枢神経疾患(新生児けいれんなど)5例以上。 6)重症感染症(敗血症、髄膜炎など)3例以上。
7)循環器疾患(PDA単独を除く)5例以上。 8)新生児黄疸の管理5例以上。 9)血液凝固異常(新生児DICなど)3例以上。 10)先天異常
症例
(染色体異常など)3例以上。 11)小児外科疾患5例以上。 (3)診断及び治療技能: 1)超音波を用いた診断技術20例以上。 2)気管内挿
管20例以上。 3)呼吸管理症例(経鼻持続陽圧呼吸は除く)20例以上。 (4)その他: 1)剖検数2例以上。 2)極低出生体重児のフォロー
アップ3例以上。 (5)経験することが望ましいもの: 1)ハイリスク新生児の施設間搬送。 2)交換輸血。 3)胸腔穿刺。
[D]研究、教育、生涯教育: 16)研修医・看護師・医学生・看護学生への教育体験。 17)臨床的もしくは実験的研究計画の作成と実施への
業績
参加。 18)学会発表及び学会参加。 19)研究論文の刊行。
国立成育医療センターでの実施 基幹病院として、研修実施可能
状況
周産期診療部 新生児科
研修カリキュラムの実施診療科
伊藤裕司
指導医・専門医名
研修カリキュラムの実施可能範
囲
研修カリキュラムの実施不可能
項目
研修期間
主な症例と症例数(年間)
全範囲
なし
3年間
[1]新生児特殊治療施設への年間入院数:290。
[2]年間症例数 ①超低出生体重児: 26。②極低出生体重児(①を含む): 61。③人工呼吸管理症例(NCAPを除く): 165。④健常新生
児: 1182。⑤新生児外科手術症例: 59。⑥新生児搬送: 25。
[3]周産期医療統計 ①妊娠満22週以後の分娩数: 1472。②新生児死亡数 11。
1)症例検討会:1回/月。 2)抄読会:1回/週。 3)講演会:5回/年。 4)勉強会1回/週。 放射線カンファ(特殊症例)1回/月。
研修会等の実施
制度名
周産期新生児専門医制度
臨床遺伝専門医制度
運営学会
日本周産期・新生児医学会
日本人類遺伝学会および日本遺伝カウンセ
日本生殖医学会
リン
専門医名
周産期専門医(産科)
臨床遺伝専門医
研修施設認定
基幹施設
指導責任医
基本領域/Subspecialty
subspecialty
日本生殖医学会生殖医療指導医
生殖医療指導医
遺伝診療科
奥山虎之
齊藤 英和
subspecialty
臨床遺伝学研究の飛躍的な発展に伴い、さ
まざまな疾病や病態に遺伝・遺伝子情報が
広範囲に関与することが明らかになった。遺
伝性疾患の患者・家族のみならず、国民の
ニーズに応じた臨床遺伝医療と情報を提供
し、臨床遺伝学の更なる発展を図るために、
必要な専門医の要請・認定を行う。
subspecialty
(1)会員歴が通算5年以上の会員
(2)産婦人科専門医(日本産科婦人科学会認定)あるい
は泌尿器科専門医(日本泌尿器科学会認定)で専門医
資格取得後3年以上の生殖医療の臨床経験があること
(3)生殖医療に関する論文が10編以上(うち筆頭2編以
上)および学会発表が10題以上(うち筆頭2題以上)ある
こと
(4)生殖医療指導医としての適切な知識、品位、高い倫
理性があること
3年
なし。
5年以上
産婦人科専門医(日本産科婦人科学会認定)あるいは
泌尿器科専門医(日本泌尿器科学会認定)
3年
特になし
あり。
あり
30症例の記載が必要。
産婦人科専門医(日本産科婦人科学会認定)あるいは
泌尿器科専門医(日本泌尿器科学会認定)で専門医資
格取得後3年以上の生殖医療の臨床経験があること
概要
資 会員期間
格
基本診療科の制限
認定施設での研修必要期間
研修カリキュラム
症例
業績
国立成育医療センターでの実施
状況
研修カリキュラムの実施診療科
指導医・専門医名
研修カリキュラムの実施可能範
囲
研修カリキュラムの実施不可能
項目
研修期間
論文発表、学会参加などで基本単位を必要 生殖医療に関する論文が10編以上(うち筆頭2編以上)
とする。
および学会発表が10題以上(うち筆頭2題以上)あること
10人程度が研修中
レジデントとして研修を開始している。
遺伝診療科
不妊診療科
奥山虎之、小崎里華、緒方勤、左合治彦、林 齊藤英和
聡
全領域
可能
なし
なし
3年
3年
染色体異常、奇形症候群、先天代謝異常症 一般不妊(300)、高度生殖補技術(200)、腹腔鏡下手
(とくに、ムコ多糖症)
術(100)
主な症例と症例数(年間)
研修会等の実施
症例カンファレンス(週1回)、成育医療研修 症例検討会(週5回) ジャーナルクラブ(週1回)
会など
制度名
日本放射線腫瘍学会認定制度
日本超音波医学会認定超音波専門医制度
日本集中治療医学会集中治療専門医制度
運営学会
日本放射線腫瘍学会
日本超音波医学会
日本集中治療医学会
専門医名
日本放射線腫瘍学会認定医
日本超音波医学会認定超音波専門医
集中治療専門医
研修施設認定
準認定施設
多領域横断
多領域横断
指導責任医
基本領域/Subspecialty
概要
資 会員期間
格
基本診療科の制限
認定施設での研修必要期間
研修カリキュラム
症例
業績
国立成育医療センターでの実施
状況
研修カリキュラムの実施診療科
指導医・専門医名
研修カリキュラムの実施可能範
囲
研修カリキュラムの実施不可能
項目
研修期間
主な症例と症例数(年間)
研修会等の実施
subspecialty
138
〒157-8535
東京都世田谷区大蔵 2-10-1
URL: http://www.ncchd.go.jp/
[email protected]
平成 21 年度
発行
国立成育医療センター
国立成育医療センター
レジデント研修案内
教育・研修委員会
住所
〒157-8535
東京都世田谷区大蔵 2-10-1
電話
03-3416-0181(代表)
ファックス
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電子メール
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version . 21-1
139