札幌大谷大学・札幌大谷大学短期大学部 平成24年度自己点検評価書

平成 24 年度
自
己
点
検
評
価
平成 25(2013)年 10 月
札 幌 大 谷 大 学
札幌大谷大学短期大学部
書
目
次
Ⅰ.建学の精神・大学の基本理念、使命・目的、大学の個性・特色等・・・・
1
Ⅱ.沿革と現況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
Ⅲ.評価機構が定める基準に基づく自己評価・・・・・・・・・・・・・・・・
5
基準 1 使命・目的等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5
基準 2 学修と教授・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
15
基準 3 経営・管理と財務・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
69
基準 4 自己点検・評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
86
Ⅳ.大学が使命・目的に基づいて独自に設定した基準による自己評価・・・・・
93
基準 A 社会連携・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
93
Ⅰ.建学の精神・大学の基本理念、使命・目的、大学の個性・特色等
札幌大谷大学・札幌大谷大学短期大学部(以下、「本学」という。)は、真宗大谷派(東
本願寺)第 23 代門首彰如上人によって、明治 39(1906)年に現・真宗大谷派札幌別院前に
創立された北海女学校に遡る。北海道の地に、仏教精神に基づく女子教育の学場を求める
地元の要望や、真宗大谷派関係者の強い使命感を背景に、この北海女学校は創立をみたの
である。
爾来 50 余年、永年にわたる地元での女子教育への信頼と実績を糧に、昭和 36(1961)年、
さらなる高度かつ専門的な女子教育を目指して札幌大谷短期大学(保育科単科)を開設し、
さらに昭和 39(1964)年には、音楽科・美術科を新たに設置したのである。
そして、北海道における札幌大谷短期大学音楽科への信頼を背景に、また卒業生の専攻
科進学者の増加もあり、四年制化を構想するに至り、大学は、平成 18(2006)年、短大の歴
史と実績を引き継ぎ、発展させるべく、北海道初の、唯一の音楽単科大学(共学)として、
開学をみたのである。その後、平成 24(2012)年 4 月に音楽学部を芸術学部に名称変更し、
美術学科を増設、また、社会学部地域社会学科を新設し、現在に至っている。
本学の建学の精神は京都「大谷」の地に埋葬された日本仏教の大成者、親鸞聖人
(1173-1262)の教えを建学の精神としている。これはまた、明治 39(1906)年、北海道初
の私立高等女学校を設立した札幌大谷学園の伝統に由来している。
親鸞聖人は、自らの凡夫性にいち早く目覚めて「悪人親鸞」と名乗り、無条件に我々す
べてに掛けられているおおいなる願いを拠所としない限り、生死の道を克服して意味ある
一生を生き切ることはできないことを発見された。
そのような願いに基づく我々の学園は、「生き切れない命は一つもない」という理念に
より、すべての人間に開かれた学園であり、同時にそこでは、一人も取りこぼさない教育、
選別をしない教育、裁かない教育が展開されることで、自発性・自律性に富んだ学生が育
まれることを願っている。そして教職員も共に学び、教育支援の誠を尽くすという教育観
に立脚して、音楽学科、美術学科では、内面からあふれ出る表現のエネルギーを様々な手
法において発揮し、すべての人々を幸せにする芸術家の育成、地域社会学科では地域社会
に貢献しうる心身豊かな社会人を、そして、保育科においては、未来を築く子どもたちの
ための保育者・教育者の養成に専心している。
このような建学の精神に基づきながら、本学は、その教育方針として、次の三項目を掲
げている。
①建学の精神に立脚し、明るく温かみのある自律的人間の育成を行う。
②「教育基本法」「学校教育法」の定めに則り、深く専門の学芸を教授研究し、幅広く
深い教養及び総合的な判断力を培い、豊かな人間性を涵養する。
③学問の自由を尊び、自発的精神の高揚につとめ、自他の敬愛と協力によって文化の創
造と発展に貢献する人材を養う。
本学の目的は、「教育基本法、学校教育法及び私立学校法の定めるところに従い、且つ
宗祖親鸞聖人が開顕された本願念仏の大道による仏法と人を重んずる宗教教育を基調とし、
情操教育をほどこし、豊かな教養と実際に即した専門の知識及び技能を修得させることを
目的とする。」と学則に定めているとおり、仏教精神に基づく人間教育を基盤とし、設置す
る各学部学科の専門知識及び技能を修得させることである。
1
Ⅱ.沿革と現況
1.本学の沿革
明治39年 4月
北海女学校創立。初代校長清川円誠。校地、現中央区南6条西7丁目。
明治43年 4月
北海高等女学校に組織変更。
大正11年 9月
現校地、東区北16条東9丁目(当時、札幌村仲通)に移転。
昭和23年 4月
学制改革により、北海高等女学校を札幌大谷高等学校、北海高等女学校併
置中学校を札幌大谷高等学校付設中学校と改称。
昭和26年 3月
学校法人札幌大谷学園に組織変更。
昭和30年 4月
札幌大谷高等学校附属幼稚園開設。
昭和36年 4月
札幌大谷短期大学(保育科、入学定員40人)開学。
昭和39年 4月
音楽科、美術科(入学定員各50人)を増設。
幼稚園を札幌大谷短期大学附属幼稚園とする。
昭和41年 4月
専攻科「音楽専攻」「美術専攻」を設置。
昭和51年 9月
札幌大谷短期大学開学15年祝典を挙行。
昭和54年 4月
専攻科「保育専攻」を増設。
昭和54年10月
札幌大谷短期大学南棟校舎増改築。
昭和55年 4月
入学定員を保育科80人、音楽科90人、美術科70人に改める。
昭和56年10月
札幌大谷短期大学開学20周年祝典を挙行。
昭和61年11月
附属幼稚園新園舎竣工。
平成 2年11月
札幌大谷短期大学開学30周年記念棟竣工。
平成 3年 4月
入学定員を保育科80人、音楽科130人、美術科90人に改める。
平成 3年10月
札幌大谷短期大学開学30年祝典を挙行。
平成 9年 3月
札幌大谷短期大学西棟校舎増築。
平成12年 4月
専攻科を2年制に改める。大学評価・学位授与機構より認定を受け、
「学士」の学位取得可能となる。
平成18年 4月
札幌大谷大学
開学。
(音楽学部音楽学科
入学定員80人、編入学定員10人)
平成18年10月
学校法人札幌大谷学園百周年記念式典を挙行。
平成19年 4月
札幌大谷短期大学を札幌大谷大学短期大学部へ名称変更。
平成20年 4月
札幌大谷大学短期大学部専攻科音楽専攻募集停止。
平成21年 3月
札幌大谷大学短期大学部専攻科音楽専攻廃止。
平成22年 4月
札幌大谷大学短期大学部保育科及び美術科を男女共学とする。
平成24年 4月
音楽学部を芸術学部に名称変更。
芸術学部美術学科(入学定員
70人、編入学定員10人)を増設。
社会学部地域社会学科(入学定員
70人)を増設。
札幌大谷大学短期大学部音楽科及び美術科並びに専攻科美術専攻募集停
止。
平成 25 年 3 月
短期大学部音楽科・美術科・専攻科美術専攻廃止。
2
2.本学の現況
・大学名
札幌大谷大学
・所在地
北海道札幌市東区北 16 条東 9 丁目 1 番 1 号
・学部の構成
芸術学部
音楽学科(平成 18 年 4 月開設)
美術学科(平成 24 年 4 月開設)
地域社会学科(平成 24 年 4 月開設)
社会学部
・短期大学名
札幌大谷大学短期大学部
・所在地
北海道札幌市東区北 16 条東 9 丁目 1 番 1 号
・学科の構成
保育科(昭和 36 年開設)
専攻科保育専攻(昭和 54 年開設)
※平成 25 年 3 月音楽科・美術科・専攻科美術専攻廃止
・学生数、教員数、職員数(平成 25 年 5 月 1 日現在)
1) 学生数
札幌大谷大学
芸術学部
音楽学科
社会学部
美術学科
学年
男
女
計
1年
18
51
69
2年
17
69
3年
13
4年
計
男
計
女
計
男
女
計
男
女
計
11
49
60
26
18
44
55
118
173
86
7
72
79
24
20
44
48
161
209
73
86
3
39
42
0
0
0
16
112
128
16
89
105
4
48
52
0
0
0
20
137
157
64
282
346
25
208
233
50
38
88
139
528
667
学部生以外
種別
男
女
計
研究生
1
10
11
科目等履修生
0
1
1
1
11
12
計
札幌大谷大学短期大学部
保育科
学年
合
地域社会学科
男
女
計
1年
1
115
116
2年
1
108
109
計
2
223
225
3
本科生以外
種別
男
女
計
専攻科保育専攻
1
12
13
研究生
0
0
0
科目等履修生
0
1
1
1
13
14
計
2) 教員数
札幌大谷大学
芸術学部
音楽学科
男
女
社会学部
美術学科
計
男
女
合
地域社会学科
計
男
女
計
男
計
女
計
授
※9
6
15
6
3
9
5
3
8
20
12
32
准教授
3
0
3
3
0
3
6
1
7
12
1
13
講
師
3
0
3
3
1
4
3
0
3
9
1
10
助
教
0
1
1
0
0
0
0
0
0
0
1
1
助
手
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
15
7
22
12
4
16
14
4
18
41
15
56
教
計
※学長含む
札幌大谷大学短期大学部
保育科
男
女
合
学科に所属しない教員
計
男
女
計
男
計
女
計
授
3
2
5
※1
0
1
4
2
6
准教授
0
0
0
0
0
0
0
0
0
講
師
1
6
7
0
0
0
1
6
7
助
教
0
0
0
0
0
0
0
0
0
助
手
0
0
0
0
0
0
0
0
0
4
8
12
1
0
1
5
8
13
教
計
※副学長
3) 職員数
札幌大谷大学・札幌大谷大学短期大学部
職名
男
女
計
22
13
35
嘱託職員(フルタイム)
5
15
20
嘱託職員(パートタイム)
0
13
13
計
27
41
68
正規雇用職員
※法人本部を含む
4
Ⅲ.評価機構が定める基準に基づく自己評価
基準 1.使命・目的等
1-1
使命・目的及び教育目的の明確性
≪1-1 の視点≫
1-1-①
意味・内容の具体性と明確性
1-1-②
簡潔な文章化
(1)1-1 の自己判定
基準項目 1-1 を満たしている。
(2)1-1 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
1-1-①
意味・内容の具体性と明確性
本学園は、浄土真宗の開祖親鸞聖人のみ教えを建学の精神にしており、それは明治
39(1906)年に、北海道初の私立高等女学校を設立した際の創設者の願いが受け継がれて
いるものである。この建学の精神の下、本学の目的を「教育基本法、学校教育法及び私
立学校法の定めるところに従い、且つ親鸞聖人が開顕された本願念仏の大道による仏法
と人を重んずる宗教教育を基調とし、情操教育をほどこし、豊かな教養と実際に即した
専門の知識及び技能を修得させることを目的とする。」と学則で規定している。
本学園は、「生き切れない命は一つもない」という理念により、すべての人間に開か
れた学園であり、「一人も取りこぼさない教育、選別をしない教育、裁かない教育が展
開されて、自発性・自律性に富んだ学生が育まれる」という教育観に立脚して、芸術学
部音楽学科・美術学科では、内面からあふれ出る表現のエネルギーを様々な手法におい
て発揮し、すべての人々を幸せにする芸術家を育成すること、社会学部地域社会学科で
は、地域社会に貢献しうる心身豊かな社会人を育成すること、短期大学保育科では未来
を築く人間を育てる保育者・教育者の養成に専心し、また同音楽科・美術科では、内面
からあふれ出る表現のエネルギーを、様々な手法において発揮し、「芸術」の名のもと
にすべての人々を幸せにするアーティストを育成することを使命と考えている。
このような社会的使命に基づき、音楽学科は、「正統的演奏技能教育と歴史学的音楽
学的教養教育を通して、音楽文化の普遍的価値に対する深い造詣を修得し、我が国そし
て北海道音楽文化の次代の担い手を養成すること」、美術学科は、「美術における専門
的な知識や表現技術に関する教育を通して、美術文化の普遍的価値に関する造詣を修得
し、北海道美術文化の次代の担い手を養成すること」、社会学部地域社会学科は、「地域
社会に貢献できる心身豊かな人材育成を理念としつつ、地域を愛し、地域を学び、地域
を支える意識を醸成しながら、地域で活躍する人材の基盤づくり」を教育研究上の目的
に掲げ、学則に明記している。
短期大学保育科は、「乳幼児の発達と教育に関わる知識と技能を習得し、実習を通じ
て実践力を養うことにより、成長期の子どもと子どもを取り巻く今日的な問題に対して
適切に対処できる高い知性や社会性を備えた幼稚園教諭及び保育士の養成を目的とす
ること」、音楽科は、
「音楽の基礎知識・堅実な演奏技能・幅広い表現力の修得を通して、
5
現代社会の多様な音楽分野で貢献できる豊かな感性を持った演奏家、音楽教育者を育成
することを目的とすること」、美術科は、「豊かな創造力と確かな表現力に基礎を置く造
形芸術の追求を目指して、美術の諸領域に共通する基礎造形力の修得に力を注ぎ、現代
社会と多様な関わり方をもつ美術の諸領域において活躍できる人材の育成を目的とす
ること」、専攻科保育専攻は、「本科の教育課程で習得した知識と技能を基礎として、さ
らに障害児教育・教科教育・実践教育に特色を置いた高度な資質や力量の涵養を図り、
現代社会に即応できる人材の育成を目的とすること」、専攻科美術専攻は、
「本科 2 年間
の一般教育と美術に関する専門的な学識と技術及び基礎造形力の習得の上に立ち、少人
数制の指導体制によって、より高度な専門教育と研究を実践し、多彩な造形活動を通じ
て、より豊かな人間性と独創性ある専門性を備えた人材の育成を目的とする」ことを教
育研究上の目的に掲げ、学則に明記している。
以上のとおり、本学の掲げる使命・目的及び教育目的の意味・内容は具体的で明確に
示されている。
1-1-②
簡潔な文章化
本学の使命・目的及び教育目的は、「Ⅰ.建学の精神・大学/短期大学の基本理念、
使命・目的、大学/短期大学の個性・特色」及び「基準 1.1-1-①」で述べたとおり、
「学則」に「簡潔な文章」で明文化している。
(3)1-1 の改善・向上方策(将来計画)
大学では、平成 24(2012)年度の音楽学部からの名称変更及び美術学科の増設に伴い、
学則に定める各学科の教育研究上の目的のほかに、学部ごとに「教育理念と人材育成の
目的」を定め、学生便覧で示し、さらに、各学科の学則に定める教育研究上の目的を達
成するための「教育目標」を設定し、これを学生に分かり易い平易な文章で記述し、学
生便覧や本学ホームページ等に掲載することの改善を図った。
改善後間もないため、今後の方策は、平成 24(2012)年度以降の自己点検・評価活動に
おいて検討する。
短期大学では、建学の精神は、古今万人に通じる普遍的な倫理・道徳に基づいている
ので、大幅な見直しが行われていることはない。しかし、時代の趨勢や社会情勢に応じ
て、解釈や文言に修正を加える必要性はあると認識し、毎年発行する学生便覧の編集作
業において、学長自らが点検・見直しを行っている。また、短期大学の運営全般につい
て、自己点検・評価活動を行い、報告書を作成している。自己点検・評価活動は、平成
21(2009)年度より自己点検・評価委員会が中心となって行っている。
また、各学科の教育目的については、保育・音楽・美術という独自の教育分野の性格上、
主として各学科会議で点検・見直しを行う。学科長の主導の下、教員・学生が直接関わ
る教育現場の声を尊重した上で提議・審議を行う。学科全体に関わる見直し案は直接カ
リキュラムに反映させる場合には教務委員会で検討の後、教授会審議、さらに、学園常
務会を経て、最終的に理事会において決定される。
6
1-2
使命・目的及び教育目的の適切性
≪1-2 の視点≫
1-2-①
個性・特色の明示
1-2-②
法令への適合
1-2-③
変化への対応
(1)1-2 の自己判定
基準項目 1-2 を満たしている。
(2)1-2 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
1-2-①
個性・特色の明示
本学の個性・特色は、建学の精神に述べられた親鸞聖人の教えに基づく宗教教育に
あり、これは学則に定められ、学生便覧や入学案内・本学ホームページ等で明示され
ている。
芸術学部音楽学科及び短期大学音楽科の個性・特色は、北海道唯一の音楽学科とし
て、多様な専門実技を網羅しつつ、それらの正統的な実技教育を行うこと、及び西洋音
楽文化についての教養教育を通じて、技術教育のみに偏らない全人的な音楽教育を行う
ことにあり、教育研究上の目的では、それを「正統的演奏技能教育」と「歴史学的音楽
学的教養教育」を通して、「音楽文化の普遍的価値に対する深い造詣を修得」すること
と表現している。さらに演奏家のみならず、音楽指導者や音楽療法士等を含めた、社会
や地域に貢献する人材の育成が特色であり、「我が国と北海道音楽文化の次代の担い手
を養成すること」という目的に反映されている。
芸術学部美術学科及び短期大学美術科の個性・特色は、絵画・立体・メディアアート・
メディアデザインの幅広いコースを網羅し、各々の「専門的な知識」と「表現技術」の
確実な修得を重視すること、及び創造的な思考と芸術的な感性を磨くことで、創作・社
会・教育の幅広い分野で活躍できる人材を育成することにある。これが、「美術におけ
る専門的な知識」や「表現技術に関する教育」を通して、「美術文化の普遍的価値に関
する造詣を修得し、北海道美術文化の次代の担い手を養成すること」という教育研究上
の目的に反映されている。
社会学部地域社会学科は、地域社会の発展に貢献する人材の育成に特化した学科であ
り、特に民間部門及び公共部門で地域発展を担う人材の育成を最重要課題とする点に個
性・特色がある。教育研究上の目的に掲げた「地域を愛し、地域を学び、地域を支える
意識の醸成」にこの点が強く反映されている。
短期大学保育科の個性・特色は、今日の社会における保育のニーズに合わせた教育内
容と環境の充実にある。保育は専門的な知識技術はもとより、保育者の豊かな人間性に
より支えられるものである。自分を見つめ他者と関わる人間関係の大切さや必要な心構
えを身につけるため多くの集団活動を取り入れている。附属幼稚園でのグループ実習や
共同制作によるミュージカル発表、子育て支援センターの行事の共同企画などのほか、
多くの授業でグループ単位の研究や集団討論などがある。また学生の個性を伸ばすため
の選択授業「特別研究」も特長で、自然・運動・音楽・美術といった専門分野の知識を
7
深め感性を高めている。そのほか実践的な学びを重視し、附属幼稚園や学内の子育て支
援センターでの多くの実習を取り入れている。
以上、大学/短期大学の使命・目的及び各学科の教育研究上の目的に、本学の個性・
特色が十分に反映されている。
1-2-②
法令への適合
本学の目的は、札幌大谷大学学則第 1 条に「札幌大谷大学は、教育基本法、学校教育
法及び私立学校法の定めるところに従い、且つ親鸞聖人が開顕された本願念仏の大道に
よる仏法と人を重んずる宗教教育を基調とし、情操教育をほどこし、豊かな教養と実際
に即した専門の知識及び技能を修得させることを目的とする。」と定めており、短期大学
においても札幌大谷大学短期大学部学則第1条として上記と同様に定めている。これは
学校教育法第 83 条に規定される大学の目的に適合している。
また、各学部学科の教育研究上の目的は、大学では大学設置基準第 2 条に則り、学則
第 1 条第 2 項の各号、短期大学では短期大学設置基準第 2 条に則り、学則第 1 条第 2 項
~第 6 項に各々定めており、いずれも 1-①に記述のとおりである。
大学及び短期大学の名称については、学則第 1 条に定める本学の目的として掲げてい
る宗教教育に基づき、「親鸞聖人」の埋葬された京都「大谷」の地を名称に用いており、
各学部学科の名称については、教育研究上の目的及び教育課程と照合し、最もふさわし
いものとして定めていることから、いずれの名称も大学設置基準第 40 条の 4 及び短期
大学設置基準第 33 条の 3 に適合している。
以上のことから、本学の目的等については法令に適合している。
1-2-③
変化への対応
芸術学部音楽学科に関しては、平成 24(2012)年度における音楽学部から芸術学部への
名称変更と美術学科の増設に伴い、教育研究上の目的を達成するため、従来から制定さ
れていた教育目標とアドミッションポリシーを見直し、加えて、カリキュラムポリシー、
ディプロマポリシーを新たに制定した。教育目標においては、平成 21(2009)年度に音楽
指導コース内に〈器楽合奏系〉と〈合唱系〉を加えたこと及び平成 22(2010)年度に従来
の音楽療法課程をコース化したことに鑑みて、従来の教育目標では区別されていなかっ
た本学における音楽教育の多様性を、「演奏・創作・教育・研究の多様な分野」と表現
し、育成する人材についても「音楽家、教育者、研究者」と明確化した。
以上を平成 24(2012)年度より学生便覧や本学ホームページで公表することで、変化
に対して適切に対応していると判断する。
芸術学部美術学科及び社会学部地域社会学科に関しては、平成 24(2012)年度に新設さ
れたため、現段階では変化への対応を検討していない。
短期大学保育科は、平成 23(2011)年度に専攻科カリキュラムの充実を検討し、従来専
攻科 2 年生で行われていた修了研究を 1、2 年生 2 年間のものとし、平成 24(2012)年度
より実施することを決めた。これを平成 23(2011)年度に作成する次年度向けの入学案内
に反映させた。
音楽科及び美術科は平成 24(2012)年度をもって廃止し、併設の札幌大谷大学芸術学部
8
にこれまでの教育内容を継承し、さらに発展させることとした。このことを入学案内、
本学ホームページによる広報、また高等学校やその他の関係教育機関へ直接文書による
伝達を行った。
(3)1-2 の改善・向上方策(将来計画)
使命・目的及び教育目的の適切性については、教育課程との整合性や社会情勢等に対
する対応の必要性を確認するなど、自己点検・評価活動において検討していくこととす
る。
1-3
使命・目的及び教育目的の有効性
≪1-3 の視点≫
1-3-①
役員、教職員の理解と支持
1-3-②
学内外への周知
1-3-③
中長期的な計画及び 3 つの方針等への使命・目的及び教育目的の反映
1-3-④
使命・目的及び教育目的と教育研究組織の構成との整合性
(1)1-3 の自己判定
基準項目 1-3 を満たしている。
(2)1-3 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
1-3-①
役員、教職員の理解と支持
大学の学則第 1 条に定める大学の目的及び第 2 条に定める教育研究上の目的並びに短
期大学の学則第 1 条に定める短期大学の目的及び第 2 条に定める教育研究上の目的の決
定にあたっては、これまで、大学/短期大学各々の最高意思決定機関である教授会の審
議を経て、常務会、理事会へと上程され、最終的に理事会にて決定してきた。
平成 24(2012)年度より、学部学科増設に伴い、教授会を各学部に置くことと改め、各
学部に共通する重要な事項を審議するため、
「 大学協議会」を設置した。このことにより、
今後は、各学部教授会の審議を経て、大学協議会、常務会及び理事会へと上程され、審
議することとなった。
役員については、前述のとおり常務会及び理事会においての審議事項であり、両会議
にて学長より報告することにより、理解と支持は得られている。
教員については、教授会構成員が専任の教授及び准教授、講師及び助教となっており、
実質的に全専任教員が構成員であることから、教員の理解と支持は得られている。
職員については、改正案等の作成段階において、教授会の下に設置されている関係委
員会等の構成員として関わることや、課内ミーティングでの教授会報告のほか、担当業
務を通じ理解されている。
以上のことから、本学の使命・目的及び教育研究上の目的に対する役員と教職員の理
解と支持は十分に得られている。
9
1-3-②
学内外への周知
本学の使命・目的は、建学の精神と共に、毎年学生に配布される「学生便覧」にて説
明されているほか、入学案内、ホームページにおいても同様に周知している。
さらに年度当初には、新入生を対象とした学長講話において、建学の精神の周知徹底
を図っているほか、「花まつり」、「報恩講」、「仏教講演会」といった建学の精神に
基づく行事を毎年開催して、親鸞聖人の教えをより深く理解するための機会を設けてい
る。また本学の教育目的については、毎年新入学生を対象に行われる新入生オリエンテ
ーションや新入学生と保護者の合同オリエンテーションにおいて、説明の場を設けてい
る。教職員に対しては、毎年度当初に行う FD 研修会内で本学の使命・目的及び教育研
究上の目的について説明を行っている。
1-3-③
中長期的な計画及び 3 つの方針等への使命・目的及び教育目的の反映
本学の中長期的計画においては、平成 24(2012)年度の大学 1 学部 1 学科から 2 学部 3
学科への改組計画が最も大きなものであった。
この改組計画は、音楽学部を芸術学部に名称変更し、併設短期大学の美術科を改組転
換し同学部に美術学科を増設することと、新たに社会学部地域社会学科を開設するもの
である。
音楽学部を芸術学部へ名称変更し美術学科を増設する計画については、豊かな人間形
成を目指すべく、柔軟な感性と多様な表現力を養うために音楽分野及び美術分野の共通
基盤を構築し、各々の実践的教育をさらに充実・強化していくこと、また、北海道にお
ける次世代の芸術文化の担い手として、その発信と指導に積極的に関わっていく人材を
音楽・美術両分野から育成していくことを目的として計画された。
社会学部地域社会学科の設置計画については、地域の時代、地域分権社会の到来が叫
ばれている現在、地域が主体となって持続可能な地域的自立に挑戦していくことが時代
の潮流であり、地域社会や地元企業で能力を発揮する人材の育成が不可欠であると考え、
地域社会を研究・教育の対象として、社会科学分野の基礎知識及び社会人基礎力を有す
る汎用性の高い卒業生を北海道に送り出すことを目的として計画された。
これらの計画は、本学の使命・目的が十分に反映されているものである。
短期大学は上記のことにより平成 24(2012)年度に音楽科と美術科及び専攻科美術専
攻を廃止した。これにより平成 25(2013)年度より短期大学は保育科単科となる。保育
科は今日の保育に対する多様なニーズに対応できるより高度で実践的な知識や技術が
修得できるよう、なお一層のカリキュラムの充実が求められている。このことから将
来的には四年制大学化も見据え、中長期計画を考えるものとする。新たな受験者層の
開拓のために指定校推薦校の見直しを行い、特待生制度を計画し平成 25(2013)年度よ
り実施することとした。また専攻科におけるより専門性のある学修効果を考え、平成
24(2012)年度よりゼミナール制を導入し、修了研究の授業を 2 年間のカリキュラムとし
た。専攻科の新たな取得資格として音楽療法士資格を検討している。これからの保育者
養成校として求められる資格や教育内容について、保育現場や高校教員からの情報収
集に努めるようにする。
「入学者受け入れ方針」、
「教育課程編成・実施方針」、「学位授与方針」の 3 つの方針
10
については、本学の教育研究上の目的を達成するために設定した各学科の「教育目標」
を上位概念とし、この教育目標を達成するための具体策として定めていることから、本
学の使命・目的が十分に反映されているものである。表 1-3-1 に各学科の教育目標を示
す(「入学者受け入れ方針」は 2-1、
「教育課程編成・実施方針」は 2-2、
「学位授与方針」
は 2-4 にて説明)。
【表 1-3-1
各学科の教育目標】
学部学科
教育目標
芸術学部音楽学科は、本学学則第1条第2項第1号に定める目的を
達成するため、以下を教育目標とする。
芸術学部
音楽学科
①西洋音楽に関わる演奏・創作・教育・研究の多様な分野において、
北海道ひいては我が国の音楽文化の発展を担う人材を育成する。
②演奏技能教育のみならず専門教養教育を重視し、音楽文化の普遍
的価値に対する深い造詣をもった音楽家、教育者、研究者を育成
する。
芸術学部美術学科は、本学学則第1条第2項第2号に定める目的を
達成するため、以下を教育目標とする。
①美術・デザインの学習を通し、豊かな知識と表現技術を身につけ
芸術学部
美術学科
た人材を育成する。
②美術・デザインの学習を通し、創造的な思考と美的感性を身につ
けた人材を育成する。
③地域の美術・文化の向上と発展に貢献できる能力を身につけた人
材を育成する。
社会学部地域社会学科は、本学学則第1条第2項第3号に定める目
的を達成するため、以下を教育目標とする。
社会学部
地域社会学科
①地域社会の内発的な発展を担う人材を育成する。
②民間部門及び公共部門において、地域発展の中核を担うための行
動力と実践力を備えた人材を育成する。
③「地域を愛し、地域を学び、地域を支える」という意識を基本に、
キャリア教育を内包した実践的な教育を行う。
保育科は、本学学則第1条第2項に定める目的を達成するため、以
下を教育目標とする。
①心の豊かさを大切にして子どもと接することのできる保育者を
養成する。
短期大学
保育科
②子どもの個性を尊重し、自発性を引き出すことのできる保育者を
養成する。
③子どもの健康や安全を守るための知識と実践力を持ち、臨機応変
に対応できる保育者を養成する。
④子どもがのびのびと発想し表現を楽しめるように、様々な表現活
動の技能や感覚を備えた保育者を養成する。
11
学部学科
教育目標
⑤保育者としての社会的使命と責任を自覚し、子どもと家族の多様
な育ちに共感し支えることのできる保育者を養成する。
①現代の多様な音楽活動に求められる堅固な技術と豊かな感性を
短期大学
音楽科
もった人材を育成する。
②演奏技能教育のみならず基礎的教養教育を重視し、西洋音楽文化
と伝統への深い理解を有する演奏家・教育者を育成する。
①芸術文化の普遍的価値に対する深い造詣をもった人材を育成す
短期大学
美術科
る。
②広い視野と実力を備えたアーティストあるいは美術教育者を育
成する。
専攻科保育専攻は、本学学則第1条第5項に定める目的を達成する
ため、以下を教育目標とする。
①保育に関わる高度で専門的な知識・技能・実践力を備えた保育者
専攻科
保育専攻
を養成する。
②保育に関する諸問題を自ら研究し、現代社会の保育現場に即応で
きる保育者を養成する。
③学生の自己実現を支援し、幅広い人間性を持った保育者を養成す
る。
①本科2年間における美術の専門的な知識と技術を基盤とし、より
専攻科
美術専攻
豊かな人間性と独創性ある専門性を備えた人材を育成する。
②美術の専門教育を通し、現代社会と多様な関わり方をもつ美術の
諸領域において活躍できる人材の育成をする。
1-3-④
使命・目的及び教育目的と教育研究組織の構成との整合性
本学は昭和 36(1961)年に 2 年制の保育科を、昭和 39(1964)年に同じく音楽科、美術科
を開設した。さらに 1 年制で設置されていた専攻科が、平成 12(2000)年度に大学評価・
学位授与機構認定の専攻科(2 年制)に改組され学士の学位が取得可能となり、学生の
学習意欲や社会のニーズに応えてきた。平成 12(2000)年に各学科に学士の学位が取得可
能な 2 年制の専攻科を設置し、学生の学習意欲や社会のニーズに応えてきた。平成
18(2006)年の札幌大谷大学音楽学部開設に伴い、平成 21(2009)年に専攻科音楽専攻を廃
止した。平成 22(2010)年度より保育科・美術科を男女共学とした。
保育科は、2 年間の学習で幼稚園教諭二種免許状と保育士資格が取得でき、実践的な
能力が身につくように附属幼稚園や子育て支援センターを備え、理論と実践の効率的な
学習を実現している。これにより就職率 100%を毎年達成している。校舎内に設置した
子育て支援センターは、地域での子育て支援活動に貢献すると共に、センターを活用し
て保育科での子育て支援者の育成に努めている。さらに専攻科保育専攻では、所定の単
位を修得し大学評価・学位授与機構の審査を受けることにより学士(教育学)の学位及
び幼稚園教諭一種免許状が取得できる。今後さらに現場での要望が高まる、より高度な
知識や技術を備えた保育者の養成を行っている。
12
音楽科は、平成 12(2000)年度の専攻科 2 年制化ののち、ピアノと声楽以外に管弦打楽
器・電子オルガンを加え、指導の幅を充実させた。平成 19(2007)年度から従来のコース
制(ピアノ、声楽、器楽、音楽教育)を廃止し、実技の必修科目を主科実技 1 科目のみ
とするとともに、副科実技の選択にコースごとの制限をかけていたものを外し、2 科目
まで自由に履修できるように変更し、学生の負担軽減と履修の利便性の向上を図った。
美術科及び専攻科美術専攻は、油彩コース・総合造形コース・デザインコースの 3 コ
ース制を備え、専門的な知識と技術を効果的に修得できるカリキュラムを編成している。
以上のようにそれぞれの学科において専門的な技術・知識が高められるように教育研
究組織が構成され、また、子ども・芸術といった人間性を重んじる教育内容は、本学の
使命・目的との整合性はとれていると判断される。
大学は平成 18(2006)年に音楽学部音楽学科として、当初は、ピアノ・声楽・管弦打楽・
音楽指導・作曲の 5 コースで開学した。その後、音楽指導コースは、地域からの要望に
応えるため、平成 21(2009)年度から〈器楽合奏系〉(オーケストラ・吹奏楽)及び〈合
唱系〉を設置し、従来のピアノ・声楽の指導者養成課程を新たに〈実技指導系〉とした。
また平成 22(2010)年度より、社会的需要の高まりに応えるため、従来の音楽療法課程を
基に音楽療法コースを新設した。以上の教育課程の改正の結果、平成 24(2012)年度現在、
芸術学部音楽学科では、ピアノ・声楽・管弦打楽・音楽指導〈実技指導系・器楽合奏系・
合唱系〉・作曲〈作曲系・電子オルガン系〉・音楽療法の 6 コース制をとっている。この
ほか、本学では卒業生や大学卒業と同程度の学力を有すると認められた者を対象に、特
定の研究課題について研究する機会を与えるための研究生制度を設けている。
平成 24(2012)年度には、4 年制の芸術学部美術学科を開設したことにより、専攻分野
が併設の短期大学の油彩・総合造形・デザインの 3 コース制から、絵画・立体・メディ
アアート・メディアデザインの 4 コースに拡大され、時代の要請に対応した幅広い美術
領域の専門知識や表現技術を網羅すると同時に、4 年制ならではのより充実した学修が
可能になった。さらには音楽・美術両学科の様々な学部共通専門科目が設置され、両学
科が教育目的として掲げる「音楽文化」、「美術文化」の「普遍的価値に対する深い造詣
の修得」に向けて、より総合的な実技・教養教育が可能になった。また、美術学科は開
設 2 年目において、編入学による 3 年生及び 4 年生を含め、4 学年体制の教育内容を展
開している。
一方、平成 24(2012)年度に新設された社会学部地域社会学科は、本学の理念「生き切
れない命は一つもない」を、地域社会に貢献する人材育成という観点から実践する学科
であり、本学の使命・目的との整合性はとれている。
(3)1-3 の改善・向上方策(将来計画)
本学の使命・目的及び教育目的の有効性についての長期にわたる検討の結果、芸術学
部への改組及び美術学科の増設、社会学部地域社会学科の新設が実現した。今後は新し
い教育研究組織における教育展開の検討と連動しながら、引き続き本学の教育理念や教
育目的の有効性を点検し、学部教授会や大学協議会を中心に、新たな将来計画の策定を
進める。
13
[基準 1 の自己評価]
本学の使命・目的及び教育目的は、「学校基本法」を基本として、学則において明確
に定められており、その内容は、建学の精神で述べられた理念と使命に基づきながら、
学科の特性にしたがって具体的かつ簡潔な文章で示したものと評価できる。
本学の個性や特色は、建学の理念に基づく宗教教育と、その理念を芸術と地域社会の
多様な分野で実践するカリキュラム編成、それによる社会に貢献できる人材の育成にあ
り、それは法令の定めるところに適合するものである。またこのことは 3 ポリシーの内
容にも明確に反映されており、学生便覧や本学ホームページ、その他の広報媒体により
学内外へ明示されている。
本学の使命・目的及び教育目的の有効性については、教授会等を通じて継続的に検討
した結果、完成年度以降のコースの新設や充実、学部の名称変更等の中長期計画の策定
とその実現に至ったことからも、有効性についての検討の努力が具体的な成果を上げた
と評価できる。今後は、新しい学部体制における教育目的の整合性や有効性を図りなが
ら、新たな中長期計画の策定に取組む。
14
基準 2.学修と教授
2-1
学生の受入れ
≪2-1 の視点≫
2-1-①
入学者受入れの方針の明確化と周知
2-1-②
入学者受入れの方針に沿った学生受入れ方法の工夫
2-1-③
入学定員に沿った適切な学生受入れ数の維持
(1)2-1 の自己判定
基準項目 2-1 を満たしている。
(2)2-1 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
2-1-①
入学者受入れの方針の明確化と周知
本学の入学者受入れの方針(アドミッションポリシー)については、下に掲げるとお
りである。本学では、各学科が教育研究上の目的に基づいて教育目標を設定し、それに
応じたアドミッションポリシーを明示している。芸術学部音楽学科に関しては、平成
24(2012)年度からの学部名称変更及び美術学科の増設に際して、従来までのアドミッシ
ョンポリシーの内容の整理と明確化を学科会議及び教授会で検討し、変更することとな
った。
このアドミッションポリシーは、大学案内、学生便覧、本学ホームページ等に明示し、
その趣旨については、大学主催のオープンキャンパスや進学準備講習会、また学外で行
われる進学ガイダンスや高校への出張講義等を通して説明している。従来、アドミッシ
ョンポリシーは学外向けの広報しか行ってこなかったが、平成24(2012)年度からの内容
変更に合わせて、3つの方針として、「教育課程編成・実施方針(カリキュラムポリシ
ー)」、「学位授与方針(ディプロマポリシー)」と共に学内にも周知を図るため広報
を行うこととし、学生便覧にも掲載することとした。
【表2-1-1
入学者受入れ方針(アドミッションポリシー)】
学部学科
アドミッションポリシー
芸術学部音楽学科は、教育目標を達成するため、以下のような
人材を広く求める。
芸術学部
音楽学科
①心身が健康で、将来は音楽を通じて社会に貢献しようとする
人。
②十分な基礎的学力と技能をもち、本学音楽学科の学習に強い学
習意欲をもって取り組む人。
芸術学部美術学科は、教育目標を達成するため、以下のような
人材を広く求める。
芸術学部
美術学科
①一般教育としての基本的な教養と専門分野における基礎的な
知識・技能の習得を目指す人。
②①を基盤とし、更に美術・デザインの専門的な学習を通じて創
造的な思考と感性を磨こうとする人。
15
学部学科
アドミッションポリシー
③創作活動や社会活動、教育活動など幅広く地域の美術・文化に
貢献する意欲のある人。
社会学部地域社会学科は、教育目標を達成するため、以下のよ
うな人材を広く求める。
①高等学校の教育課程において、一定の基礎知識や思考力を身に
つけた人。
社会学部
地域社会学科
②地域社会の問題を複眼的に考え、その現在及び将来について強
い関心をもった人。
③探究心や学習意欲に優れ、主体的に行動する人。
④他者を尊重しつつ、共に生きていく社会について積極的に考え
る人。
⑤地域を愛し、地域を学び、地域を支えるという意識を持った人。
保育科は、教育目標を達成するため、以下のような人材を広く
求める。
①子どもに強い関心を持ち、子どもと関わることに喜びを感じる
短期大学
保育科
人。
②日々の生活の中で子どもに寄り添い、子どもと共に感じ、考え
ようとする人。
③いつも前向きな姿勢で、自分を高めようと努力する人。
④相手の立場を考える心を持ち、社会に目を向けることのできる
広い視野を持った人。
短期大学
音楽科
短期大学
美術科
(四年制改組のため募集停止)
(四年制改組のため募集停止)
専攻科保育専攻は、教育目標を達成するため、以下のような人
材を広く求める。
専攻科
保育専攻
①短期大学の教育課程での学びを通して、保育者としての基本的
素養を身につけた人。
②保育者としての自己の課題を真摯に探究し、ただ一筋に学ぶ意
欲のある人。
専攻科
美術専攻
2-1-②
(四年制改組のため募集停止)
入学者受入れの方針に沿った学生受入れ方法の工夫
入学者受入れ方針の内容とそれに沿った選抜方法及び実施方針については、「札幌大
16
谷大学・札幌大谷大学短期大学部入学者選抜規程」に基づき、「入試委員会」において
審議され、「学部教授会」及び「大学協議会」の議を経て決定される。
入学試験の際にはその都度実施本部を設置し、実施要領を作成して事前に教職員で入
試の実施方法を確認することで、公正かつ厳正な入学試験の実施に努めている。入学試
験は、学長、学長補佐、各学部長、各学科長及び各学科から選出された入試委員と事務
局長及び進路支援課長のほか、学長の指名する教員によって組織される入試委員会(大
学・短期大学との合同委員会)の管理運営によって実施されている。
【図2-1-1
基本的な入試の流れ】
出願受付
入学試験
出願資格・書類の確認
データ入力・確認
受験票返送
入試委員会
合否原案検討
各学科で合否原案作成
筆記
実技
面接
教授会
データ入力
データ確認
合否通知発送
判定会議
通知書類一式確認
複数人での作業
本学では、アドミッションポリシーに沿って、多様な個性をもった入学志願者を受
け入れるべく、様々な入学要件を設定し複数の機会を設けた上で入学試験を実施して
いる。平成25(2013)年度入学試験の概要は下記に示すとおりである。なお、選考方法
等については「表2-1-2
平成25(2013)年度入学試験区分別選考方法・出題科目」に示
す。
1)指導者推薦(AO型)入学試験(芸術学部音楽学科)
芸術学部音楽学科では、平成21(2009)年度より、本学の建学の精神や教育方針への
理解や本学で学ぶ意欲・適性・目的意識等を重視した選抜を行う指導者推薦(AO型)
入試制度を設けた。音楽の指導者からの推薦を受けた者について、2回の面接と音楽
の基礎科目の講義及び実技レッスン等を通して、受験生の資質や個性、学ぶ意欲等を
観察し、総合的に選抜を行う。
2)自己推薦(AO型)入学試験(芸術学部美術学科)
芸術学部美術学科では、平成25(2013)年度より、本学の建学の精神や教育方針を理
解し、美術の分野を多面的に学びたいという高校生を対象に、本学で学ぶ意欲・適性・
目的意識等を重視した選抜を行う自己推薦(AO型)入試制度を設けた。エントリーフ
ァイルを中心に自己表現について発表を含めた2回の面談を行い、受験生の資質や個
性、学ぶ意欲等を観察し、総合的に選抜を行う。
3)特別推薦入学試験(全学科)
併設の札幌大谷高等学校及び北海道内の真宗大谷派関係学校である函館大谷、帯広
大谷、室蘭大谷(現校名:北海道大谷室蘭)、登別大谷、稚内大谷の各高等学校、計
6校を対象とした指定校推薦入学試験である。出願資格は、当該年度に指定校を卒業
見込みであり各学科の定める評定平均値以上の本学を専願とする者で、人物・生活態
17
度に関し、高等学校長が特に推薦した者としている。
4)学校推薦入学試験(全学科)
学校推薦入学試験は公募制と指定校制に区分され、公募制は全学科で実施し、指定
校制は美術学科・保育科のみ実施している。
公募制の出願資格は、本学を専願とし、高等学校等長の推薦を受けた者で、各学科
の定める評定平均値以上であることとしており、現役生のみではなく、高校卒業後2
年以内であれば出願可能としている。
公募制における各学科の定める評定平均値は、芸術学部音楽学科では3.3以上、芸術
学部美術学科では3.2以上、社会学部地域社会学科では3.8以上、保育科では3.5以上と
している。
指定校制については、本学が定める指定校を卒業見込みの者で、本学を専願とし、
各学科の定める評定平均値以上であり、人物・生活態度に関し、高等学校長が特に推
薦する者としている。
5)芸術特待生入学試験(芸術学部)
芸術学部音楽学科では、音楽学部時代の平成20(2008)年度より、芸術面において特
に優れた資質をもつ人材を発掘することを目的として、芸術特待生入学試験を設けた。
選抜方法は一般入学試験に準じており、学校推薦の入学試験制度との併願も可能であ
る。ただし演奏家の育成を目的としていない音楽指導コース、音楽療法コースはこの
制度の対象としていない。
芸術学部美術学科では、平成24(2012)年度入学試験より同様の趣旨により全コース
対象に実施している。
6)特別入学試験(音楽学科・美術学科・保育科)
社会人・海外帰国子女・外国人留学生を対象とした入学試験制度であり、学校推薦
入学試験と同日に実施している。
7)一般入学試験(全学科)
学校教育法第90条及び学校教育法施行規則第150条で定められた大学入学資格を有
する者を対象にし、学力検査又は小論文を課し、一般的な学力(芸術学部は学力に加
え、実技等の専門的能力)を審査する入学試験制度として位置づけ、Ⅰ期(2月)と
Ⅱ期(3月)の2回を実施している。
18
【表2-1-2
平成25(2013)年度入学試験区分別選考方法・出題科目】
学部・学科
指
A導
O者
型推
薦
入
試
芸術学部
音楽学科
(
区分
)
(
自
A己
O推
型薦
)
入
試
特
別
推
薦
入
試
学
校
推
薦
入
試
(
公
募
制
芸術学部
美術学科
芸術学部
音楽学科
芸術学部
美術学科
社会学部
地域社会学科
芸術学部
音楽学科
芸術学部
美術学科
)
社会学部
地域社会学科
(
芸術学部
美術学科
)
学
指
校
定
推
校
薦
制
入
試
芸術学部
音楽学科
芸
術
特
待
生
入
試
芸術学部
美術学科
選考方法・出題科目
受験診断
1次診断 面談
2次診断 面談・実技
入学者選考
診断結果をふまえ書類審査
※入学前課題 合格者は原則として第 2 回進学準備講習会〈冬期〉に参加するものとする。
指定された入学前課題の学習。
受験診断
1次診断 面談
2次診断 面談
入学者選考
診断結果をふまえ書類審査
※入学前課題 合格者は原則として第 2 回進学準備講習会〈冬期〉に参加するものとする。
指定された入学前課題の学習。
[札幌大谷]
1)音楽科卒業見込みの者
提出書類及び面接による審査
2)上記以外の卒業見込みの者 実技,提出書類及び面接による審査
[北海道内各大谷]
実技,提出書類及び面接による審査
提出作品,提出書類及び面接による審査
小論文,提出書類及び面接による審査
楽典
聴音(ピアノコース,声楽コース,音楽指導コース〈実技指導系のみ〉,作曲コース受験者)
実技(専攻コースによる実技課題)
作文(音楽療法コース受験者)
面接
提出作品(次の作品を試験当日持参する)
造形表現領域(絵画コース・立体コース)
鉛筆デッサン
メディア表現領域(メディアアートコース・メディアデザインコース)
イメージ表現
面接
小論文
面接
その他(評定平均値×10)
提出作品(次の作品を試験当日持参する)
造形表現領域(絵画コース・立体コース)
鉛筆デッサン
メディア表現領域(メディアアートコース・メディアデザインコース)
イメージ表現
面接
楽典
聴音(ピアノコース,声楽コース,作曲コース受験者)
実技(専攻コースによる実技課題)
面接
提出作品(次の作品を試験当日持参する)
造形表現領域(絵画コース・立体コース)
鉛筆デッサン
絵画または立体作品
作品写真集(ポートフォリオ)
メディア表現領域(メディアアートコース・メディアデザインコース)
イメージ表現
平面または写真または映像作品
作品写真集(ポートフォリオ)
面接
19
国
子
女
・
外
国
人
留
学
生
)
特
別
入
学
試
験
(
社
会
人
・
海
外
帰
区分
芸術学部
音楽学科
芸術学部
美術学科
学部・学科
芸術学部
音楽学科
一
般
入
学
試
験
芸術学部
美術学科
Ⅰ
期
社会学部
地域社会学科
芸術学部
音楽学科
一
般
入
学
試
験
Ⅱ
芸術学部
美術学科
期
社会学部
地域社会学科
作文
楽典
聴音(ピアノコース,声楽コース,音楽指導コース〈実技指導系のみ〉,作曲コース受験者)
実技(専攻コースによる実技課題)
面接
小論文
提出作品(次の作品を試験当日持参する)
造形表現領域(絵画コース・立体コース)
鉛筆デッサン
メディア表現領域(メディアアートコース・メディアデザインコース)
イメージ表現
面接
選考方法・出題科目
小論文(ピアノコース,声楽コース,管弦打楽コース,音楽指導コース,作曲コース受験者)
楽典
聴音(ピアノコース,声楽コース,音楽指導コース〈実技指導系のみ〉,作曲コース受験者)
実技(専攻コースによる実技課題)
作文(音楽療法コース受験者)
面接
国語総合(古文・漢文をのぞく)
実技
造形表現領域(絵画コース・立体コース)
鉛筆デッサン
メディア表現領域(メディアアートコース・メディアデザインコース)
鉛筆デッサン
面接
必須科目
国語(国語総合(近代以降の文章),現代文)
英語(英語Ⅰ・Ⅱ,リーディング,ライティング,リスニングテストは除く)
選択科目
(日本史B,世界史B,地理B,政治・経済,倫理,数学Ⅰ・数学Aの6科目から出願
時に1科目選択)
その他(評定平均値×10)
小論文(ピアノコース,声楽コース,管弦打楽コース,音楽指導コース,作曲コース受験者)
楽典
聴音(ピアノコース,声楽コース,音楽指導コース〈実技指導系のみ〉,作曲コース受験者)
実技(専攻コースによる実技課題)
作文(音楽療法コース受験者)
面接
国語総合(古文・漢文をのぞく)
実技
造形表現領域(絵画コース・立体コース)
鉛筆デッサン
メディア表現領域(メディアアートコース・メディアデザインコース)
鉛筆デッサン
面接
国語(国語総合(近代以降の文章),現代文)
英語(英語Ⅰ・Ⅱ,リーディング,ライティング,リスニングテストは除く)
その他(評定平均値×10)
20
区分
学部・学科
選考方法・出題科目
特別推薦入試
提出書類及び面接による審査
学校推薦入試
(公募制)
小論文
面接
表現(歌唱・器楽・絵画のいずれか 1 科目を出願時に選択)
学校推薦入試
(指定校制)
提出書類及び面接による審査
保育科
特別入学試験(社会
人・海外帰国子女・外
国人留学生・再入学)
小論文
面接
一般入学試験
Ⅰ期
必須科目
国語総合(古文,漢文を除く)
選択科目
(日本史B,政治・経済,生物Ⅰ,英語Ⅰ・Ⅱの 4 科目から出願時に 1
科目選択)
一般入学試験
Ⅱ期
必須科目
国語総合(古文,漢文を除く)
面接
区分
学部・学科
専攻科入学試験
Ⅰ期
専攻科
保育専攻
専攻科入学試験
Ⅱ期
2-1-③
選考方法・出題科目
小論文
面接
実技(ピアノ)
※本学出身以外の受験者のみ
小論文
面接
実技(ピアノ)
※本学出身以外の受験者のみ
入学定員に沿った適切な学生受入れ数の維持
大学の過去5年間の入学定員及び収容定員、学生在籍数は「表2-1-3
入学定員・入学
者及び収容定員・在籍者数一覧(過去5年間)」に示すとおりであり、ほぼ適正な入学
者数を確保してきた。
芸術学部音楽学科においては、平成23(2011)年度の入学者数が85人で定員充足率は
106.3%、平成24(2012)年度の入学者数は90人で定員充足率は112.5%、平成25(2013)年
度の入学者数は69人で定員充足率は86.3%あり、平成25(2013)年度は未充足となったが、
この3年間はほぼ適切な受入れ数を維持しているといえる。
平成24(2012)年度より募集を行った2学科は、芸術学部美術学科においては平成24
(2012)年度の入学者数は79人で定員充足率は112.8%、平成25(2013)年度の入学者数は
60人で定員充足率は85.7%であり、年度により増減があるものの、平均するとこの2年
間はほぼ適正な入学者数を確保できた。社会学部地域社会学科は入学定員を充足するこ
とができなかった。
21
【表2-1-3
入学定員・入学者及び収容定員・在籍者数一覧(過去5年間)】
平成21(2009)年度
学
部
音楽学部
合
学
科
入学
定員
入学
者数
収容
定員
平成22(2010)年度
在籍
者数
入学
定員
入学
者数
収容
在籍
定員
者数
音楽学科
80
82
340
359
80
95
340
350
計
80
82
340
359
80
95
340
350
平成23(2011)年度
学
部
音楽学部
合
学
科
入学
定員
入学
者数
収容
定員
在籍
者数
音楽学科
80
85
340
344
計
80
85
340
344
平成24(2012)年度
学
部
芸術学部
社会学部
合
学
科
入学
定員
入学
者数
収容
定員
平成25(2013)年度
在籍
者数
入学
定員
入学
者数
収容
定員
在籍
者数
音楽学科
80
90
340
362
80
69
340
346
美術学科
70
79
300
133
70
60
300
233
70
44
280
44
70
44
280
88
220
213
920
539
220
173
920
667
地域社会
学
科
計
※1)音楽学部音楽学科
※2)平成24年度
平成18(2006)年度開設〔完成年度
平成21(2009)年度〕
音楽学部を芸術学部に名称変更
※3)芸術学部美術学科
平成24(2012)年度開設
※4)社会学部地域社会学科
平成24(2012)年度開設
短期大学の過去5年間の入学定員及び収容定員、学生在籍数は「表2-1-4
入学定員・
入学者及び収容定員・在籍者数一覧(過去5年間)」に示すとおりであり、ほぼ適正な
入学者数を確保してきた。
保育科に関して、3年間の受入れ数は、平成23(2011)年度の入学者数が105人で入学定
員100人に対しての定員充足率は105.0%、平成24(2012)年度の入学者数が109人で定員
充足率は109.0%、平成25(2013)年度の入学者数は116人で定員充足率は116.0%であり、
適切な受入れ数を維持しているといえる。
また、平成25(2013)年度入学生を対象に特待生制度を創設した。学校推薦入学試験(公
募制・指定校制)、特別推薦入学試験、特別入学試験(社会人等)の合格者で特待生を
希望する者及び一般入学試験(Ⅰ期)受験者で特待生を希望する者がそれぞれ特待生試
験に申し込みを行い、将来、保育者として地域社会で貢献できる人材と思われる者を採
用している。
専攻科保育専攻については、平成23(2011)年度の入学者数が5人で入学定員10人に対
しての定員充足率は50.0%、平成24(2012)年度の入学者数が5人で定員充足率は50.0%、
平成25(2013)年度の入学者数は5人で定員充足率は50.0%であり、入学定員を充足する
ことができなかった。
注:平成24(2012)年度より音楽科、美術科、専攻科美術専攻の募集を停止した。
22
【表2-1-4
入学定員・入学者及び収容定員・在籍者数一覧(過去5年間)】
平成21(2009)年度
学
科
平成22(2010)年度
入学
入学
収容
在籍
入学
入学
収容
在籍
定員
者数
定員
者数
定員
者数
定員
者数
保育科
100
116
200
224
100
112
200
227
音楽科
50
24
100
63
50
23
100
52
美術科
90
73
180
161
90
97
180
174
専攻科保育専攻
10
9
20
26
10
11
20
20
専攻科美術専攻
20
40
40
78
20
45
40
85
270
262
540
552
270
288
540
558
合
計
平成23(2011)年度
学
科
平成24(2012)年度
入学
入学
収容
在籍
入学
入学
収容
在籍
定員
者数
定員
者数
定員
者数
定員
者数
保育科
100
105
200
218
100
109
200
214
音楽科
50
24
100
46
[募集停止]
-
50
23
美術科
90
73
180
173
[募集停止]
-
90
74
専攻科保育専攻
10
5
20
16
10
5
20
10
専攻科美術専攻
20
42
40
87
[募集停止]
-
20
40
270
249
540
540
110
114
540
361
合
計
平成25(2013)年度
学
科
入学
入学
収容
在籍
定員
者数
定員
者数
保育科
100
116
200
225
専攻科保育専攻
10
8
20
13
110
124
220
238
合
計
(3)2-1 の改善・向上方策(将来計画)
入学者の受入れ方針については、今後もオープンキャンパスや進学準備講習会及び大
学案内や入学試験要項、本学ホームページ等を利用して学外への広報を行い、周知に努
める。また入学試験制度や内容については、芸術学部独自の芸術特待生制度の一層の広
報に努め、優秀な人材の受入れと育成に努める。社会学部地域社会学科においては、大
学入試センター試験利用入試の導入を推進するとともに、教育内容が多くの受験生に理
解されるよう、進学相談会及び高校訪問等による学生募集活動をより一層強化し、定員
充足に努める。
2-2
教育課程及び教授方法
≪2-2 の視点≫
2-2-①
教育目的を踏まえた教育課程編成方針の明確化
23
2-2-②
教育課程編成方針に沿った教育課程の体系的編成及び教授方法の工夫・開発
(1)2-2 の自己判定
基準項目 2-2 を満たしている。
(2)2-2 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
2-2-①
教育目的を踏まえた教育課程編成方針の明確化
本学の教育課程編成方針(カリキュラムポリシー)については、下に掲げるとおりで
ある。本学では、各学科が教育研究上の目的に基づいて教育目標を設定し、それに応じ
たカリキュラムポリシーを明示している。
このカリキュラムポリシーは、学生便覧、入学案内、本学ホームページ等に明示して
いる。
【表2-2-1
教育課程編成方針(カリキュラムポリシー)】
学部学科
カリキュラムポリシー
芸術学部音楽学科は、教育目標を達成するため、以下の方針のも
と教育課程を編成、実施する。
①正統的な演奏技能の教授を実現するため、原則として個人レッス
ンまたは少人数の実技教育を行なう。
②学生の演奏技術の進度や資質に対応して、各年次や学期別の課題
を設定する。
③1、2 年次においては「音楽概論」、
「音楽史」、
「ソルフェージュ」、
「和声法」、
「合唱」、
「副科ピアノ」等の必修科目を通して音楽の
基礎能力と基礎教養の定着を図る。
芸術学部
④2~4 年次には「室内楽」、3 年次には「研修旅行(ヨーロッパ)」
音楽学科
や各コースの特色ある選択科目、また「音楽史研究 A(鍵盤音楽
史含む)、B(オペラ史含む)、C(管弦楽史含む)」をコース別の
選択必修科目として設定し、専攻分野に関する専門的教養の充実
を図る。
⑤4 年次の「卒業演奏」及び「卒業研究」において 4 年間の学習成
果を統合し、音楽家、教育者、研究者としての自律を図る。
⑥芸術学部の特色を生かした音楽・美術の両領域にまたがる共通科
目「芸術文化論Ⅰ・Ⅱ」や「共同制作演習 A(舞台)」、「共同制
作演習 B(映像)」、
「美学 A・B」を設定し、西洋芸術に対する総
合的な感性や知識を養成する。
24
学部学科
カリキュラムポリシー
芸術学部美術学科は、教育目標を達成するため、以下の方針のも
と教育課程を編成、実施する。
①建学の精神を学ぶための「大谷科目」の設置
親鸞聖人の教えに基づく本学の建学の精神を学ぶため、「建学の
精神と大谷学」と「仏教人間学」の講義を開講する。
②音楽学科との連携による「学部共通専門科目」の開講
美術の背景にある文化や歴史、社会についての見識を深め、より
広い視野をもつために、専門科目の中に「学部共通専門科目」の
区分を設け、音楽学科と連携して共同の授業を行なう。具体的に
芸術学部
は、講義形式として「芸術文化論Ⅰ、Ⅱ」「美学A、B」などの
美術学科
授業、あるいは演習形式として「共同制作演習A(舞台)」「共
同制作演習B(映像)」の授業を行う。
③専門分野における学習の幅広さと深さの両立
専門科目においては、美術に関する知識や興味、技術の習得の幅
広さと専門分野の学習を深めていくことを両立させるために、
「学部共通科目」の他に「Ⅰ類」~「Ⅲ類」の区分を設ける。「Ⅰ
類」「Ⅱ類」においては、美術に関する知識と表現技術・技法を、
学生の興味関心に従って選択でき、「Ⅲ類」においては、各学生
が所属するコース・分野に分かれ、段階的に専門的な知識と表現
技術・技法を習得できる構成にしている。
25
学部学科
カリキュラムポリシー
社会学部地域社会学科は、教育目標を達成するため、以下の方針
のもと教育課程を編成、実施する。
①社会学部地域社会学科では、学生の質保証の観点から、一定の基
礎学力の定着を図るために、一般教育のカリキュラムを充実強化
させる。
②専門教育の教育効果を高めるために、一般教育を土台とした学習
基盤を固める。
③表現能力の育成、情報処理能力の育成、日本語・英語におけるコ
ミュニケーション能力の育成を行うために、一般教育科目におい
ては、「表現法科目」、「社会人基礎科目」、「外国語科目」、
社会学部
地域社会学科
「情報処理科目」の科目数を充実させる。
④専門科目においては、広く現代社会を理解するために必要な科目
を配置するとともに、「社会学基礎」、「統計指標Ⅰ」、「統計
指標Ⅱ」の各科目と「体験学習科目」を必修科目と位置づける。
⑤専門応用科目においては、地域社会を企業と公共サービスの観点
から理解するための科目を配置している。「地域社会と企業」科
目では、エリアマーケティングの視点から地元企業や地場産業の
企業行動について学ぶ「マーケティング論Ⅰ」、「マーケティン
グ論Ⅱ」を「地域社会と公共サービス」科目では、現代生活の視
点から基礎自治体及びその内部の諸空間における構造と機能や
まちづくりについて学ぶ「地域社会論Ⅰ」、「地域社会論Ⅱ」、
それぞれを必修科目と位置づける。
保育科は、教育目標を達成するため、以下の方針のもと教育課程
を編成、実施する。
①子どもをとりまくすべての生命とそれを育む大地に対し、慈し
みの心をもてる豊かな人間性を築く。
②乳幼児の心や身体の発達を支えるために必要な保育の専門知識
を習得する。
短期大学
保育科
③保育の場に直接関わり、子どもとのふれあいを通して実践に即
した保育観を築く。
④音楽・美術・言葉・身体による「表現」を総合的に学ぶなかで、
その技術や感覚を高める。
⑤子どもが育つ環境の今日的な課題に目を向け、自然のよさを生か
し自分で工夫した遊びや生活の価値について実践的に学ぶ。
⑥子育て支援や社会福祉について学び、保育者の社会的な立場を理
解する。
26
2-2-②
教育課程編成方針に沿った教育課程の体系的編成及び教授方法の工夫・開発
教育課程及びそれに基づく運用計画を策定する組織として教務委員会を設置してい
る。教務委員会は、
「教務委員会規程」において任務等が定められており、教務委員長、
各学科より選出された教員各 2~3 人、学務課長で構成されている。
また、全学的な授業改善(ファカルティ・ディベロップメント(以下「FD」という。))
を推進するための組織として、FD 委員会を設置している。FD 委員会は、「ファカルテ
ィ・ディベロップメント(FD)委員会規程」により任務等が定められており、FD 委員
長、各学科選出の教員各 1 人、学務課長、学長が指名する教育職員及び事務職員で構成
されている。
これらの委員会は定期的に開催され、委員会での審議事項等は各学部教授会で報告さ
れており、授業方法の工夫・開発等の組織的な取組みがなされている。
次に学部学科ごとの教育課程の編成等について、以下に記述する。
〈芸術学部音楽学科〉
音楽学科の教育課程は、大きく「共通科目」と「専門科目」から編成されている。
「共通科目」、「専門科目」ともに履修基準年次を設定することにより学習が段階的に
進展する形で編成されている。一般教育科目では社会人として基本的に求められる幅
広い教養と総合的な判断力の育成、また、建学の精神に応える科目を配置しており、
教育課程の編成方針に即した授業科目と内容が適切に設定されている。専門科目にお
いては、各コースの課程の中心となる実技系又は演習系科目とそれを支えるために必
要かつ十分な教養科目が、実技の進度と並行して配置されており、各コースの教育課
程が体系的に編成されているといえる。
「共通科目」は、これまで「一般教育科目・体育科目」、「外国語科目」によって編
成され、卒業要件単位は 28 単位以上の修得を必修と定めていたが、平成 22(2010)年
度からは、これらの下位分類を撤廃して「共通科目」と区分し、その必修単位数を 20
単位以上に変更した。また「共通科目」の履修においては、従来、「〈人間と宗教・倫
理〉類」、「〈人間と文化〉類」、「〈人間と社会〉類」、「〈人間と健康〉類」、「〈外国語・
コミュニケーション〉類」ごとに必修単位数を定めてきたが、そのしばりが強く科目
選択の制約となったため、平成 22(2010)年度からこれらの「類」を撤廃した。また、
一般教育科目において、学生の基礎学力の低下が様々な場面で問題視される状況とな
ったため、平成 22(2010)年度から、これまで選択科目であった「日本語口語表現法」、
「日本語文章表現法」を必修とし、さらに平成 24(2012)年度からはこれらの科目を「日
本語表現法Ⅰ(文書作成)」、
「日本語表現法Ⅱ(口語表現法)」として 1 年次に配当す
る等の工夫を行った。
外国語では「英語」、「ドイツ語」、「イタリア語」、「フランス語」で基礎と応用を開
講しており、
「総合英語基礎」と「総合英語応用」は全コース必修である。さらに各国
語の基礎と応用の継続として「コミュニケーション基礎」、
「同 応用」を選択科目とし
て開講している。
「専門科目」は「学科必修科目」、
「選択科目」から編成される。
「学科必修科目」は
音楽家全てにとって基礎となる科目であり、これに各コースの特性に応じた「選択科
目」を設置して専門性の充実を図っている。
「選択科目」のうち、各コースの専門的教
27
養の修得にとって履修することが特に必要とされる科目については、学則上の必修科
目とは別に、履修上の指導方針としてコースごとに選択すべき科目を設定し、履修上
の必修科目としている。本学ではこれを「コース必修科目」と称し、コースごとの専
門性を重視した履修指導を行っている。
従来、専門科目の中心となる実技レッスンをはじめ、実技・演習系科目を「通年」
で実施していたが、本学学生の海外への留学、他大学との単位互換、再履修者への配
慮等様々な利点を考慮し、平成 22(2010)年度より一部科目を除き「半期」で完結する
よう改めた。
「学科必修科目」は「音楽史Ⅰ・Ⅱ」、
「和声法Ⅰ」、
「ソルフェージュⅠ~Ⅳ」、
「合唱
Ⅰ・Ⅱ」、「卒業研究」からなり、計 22 単位を卒業要件単位として修得しなければな
らない。
「コース必修科目」は各コースの専門性に応じた実技系科目と講義系科目から編成
されており、それぞれに異なる必修科目が設定されているため、コース必修の単位数
はコースによって異なる。ただし、音楽の基礎能力の向上を目的として、ピアノコー
ス以外のうち、声楽・管弦打楽・作曲〈電子オルガン系〉は、「ピアノⅠ~Ⅳ」を、音
楽療法コースは「ピアノⅠ~Ⅵ」を、音楽指導・作曲〈作曲系〉は「ピアノⅠ~Ⅷ」
を必修として学ぶ。従来、作曲コース以外は、同様に音楽の基礎教養の修得を目的と
して、
「音楽概論Ⅰ・Ⅱ」をコース必修としていたが、近年、作曲コースの学生にも音
楽の基礎知識の不足が認められることから、平成 22(2010)年度からは作曲コースもコ
ース必修とした。次にコースごとの「コース必修科目」の概要を記す。
ピアノコースは、コース必修単位が 26 単位であるのに対し、選択単位が 44 単位以
上であり、各自の興味関心に応じて幅広い教養科目が選択できる教育課程の編成とな
っている。最も重要な科目は専攻実技である「ピアノ実技演奏法Ⅰ~Ⅷ」であり 4 年
間の必修科目である。コース必修科目としては、「ピアノ構造論」、「音楽史研究ⅠA・
ⅡA」を履修し、各々楽器学的基礎教養と鍵盤音楽史についての専門教養を修得し、4
年次の「演奏解釈」は演奏家に必要な作品解釈を演習形式で実践的に学ぶなど、実技
と教養の両面に配慮した教育課程が編成されている。また、近年の入試制度の多様化
とともに学生間に基礎的な技術能力の差が見られるようになったことから、平成
22(2010)年度から 1 年次学生のコース必修として「ピアノ基礎」を通年科目として新
設した。
声楽コースは、コース必修単位が 40 単位、選択単位が 30 単位以上、計 70 単位以
上が卒業要件単位である。最も重要な科目は「声楽実技演奏法Ⅰ~Ⅷ」であり、4 年
間で専攻実技を修得する。コース必修科目では、発声や発音原理について学ぶ「音声
学Ⅰ・Ⅱ」、オペラ史を学ぶ「音楽史研究ⅠB・ⅡB」等のほかに、
「合唱Ⅰ~Ⅳ」、
「合
唱指導法」、「重唱」等で独唱以外の声楽ジャンルを広く学ぶことが特色である。選択
科目でも声楽レパートリーの多様性に対応するため、
「日本歌曲研究」、
「フランス歌曲
研究」、
「リート研究」等を開講することで専門性の高い教育課程の編成を行っている。
管弦打楽コースは、コース必修単位が 28 単位、選択単位が 42 単位以上であり、選
択単位に余裕を持たせた教育課程の編成となっているが、実際には吹奏楽やオーケス
トラを学ぶ「器楽合奏」を 4 年間履修する学生が大半である。最も重要な科目は専攻
28
実技を 4 年間学ぶ「器楽実技演奏法Ⅰ~Ⅷ」で、基本的な独奏レパートリーを修得す
るほか、上記「器楽合奏」と合わせて、管弦楽史を中心とする「音楽史研究ⅠC・ⅡC」
をコース必修として履修することで、管弦打楽器奏者に要求される合奏レパートリー
の実技と専門教養の両面を学ぶことのできる課程編成となっている。
音楽指導コースは、コース必修単位が 28 単位、選択単位が 42 単位以上であり、選
択科目の占める割合が比較的高くなっている。これは音楽の指導者に求められる実技
経験や専門教養を、それぞれの関心に応じて自由に選択できるように配慮した結果で
ある。コース必修科目では「ピアノⅠ~Ⅷ」と「声楽Ⅰ~Ⅷ」で音楽指導の基礎技能
を身に付けると共に、3 年次からの「実技教材研究Ⅰ・Ⅱ」で指導教材について音楽
学的並びに教授法的な学習を行い、4 年次の「音楽実技教授法」で実際に指導を行い
ながら、4 年間で身に付けた指導法の知識と技能の統括を目指す教育編成となってい
る。
作曲コース・作曲系は、コース必修単位が 44 単位、選択単位が 26 単位以上であり、
コース必修科目が極めて多いが、これは作曲家に要求される専門科目を網羅したため
である。具体的には作曲の実技指導に相当する「作曲実技Ⅰ~Ⅷ」に加え、
「楽曲分析
Ⅰ・Ⅱ」、「和声法Ⅰ・Ⅱ」、「対位法Ⅰ・Ⅱ」等の理論科目で作曲技能を修得する。従
来は、これらに加えて「芸術文化論Ⅰ・Ⅱ」(平成 24(2012)年度より学部共通専門科
目の必修科目)、「民族音楽Ⅰ・Ⅱ」をコース必修科目としていたが、必修単位数の過
多により科目選択が制限されることから、平成 22(2010)年度よりこれを選択科目とし
た。
作曲コース・電子オルガン系は、コース必修単位が 48 単位、選択単位が 22 単位以
上となっている。本学では現在進歩著しい電子オルガンという新しい楽器を演奏と作
曲の両面で学ぶことで、この楽器に要求される多様な技能を身につけ、将来性のある
演奏家を育成することを目指している。これを達成するために、コース必修の「器楽
実技演奏法Ⅰ~Ⅷ」、「作曲法Ⅰ・Ⅱ」、「電子オルガン作曲法Ⅰ~Ⅳ」を中心に、作曲
コース・作曲系と同様の理論科目が加わった専門性の高い編成となっている。
音楽療法コースは、日本音楽療法学会が定める音楽療法士(補)の資格取得に必要
な科目設定になっており、コース必修単位が 64 単位、選択単位が 6 単位以上である。
コース必修科目の中心となるのは、1 年次からの積み上げ科目として設定されている
「音楽療法の理論」、
「音楽療法の技法」、
「音楽療法各論Ⅰ~Ⅲ」の講義科目、
「音楽療
法技能Ⅰ~Ⅵ」及び「音楽療法演習Ⅰ・Ⅱ」等の演習科目、それに 2 年次からの積み
上げ科目である「施設実習Ⅰ・Ⅱ」、「音楽療法実習」等の実習科目である。さらに音
楽療法に関連する知識を補う科目として「音楽療法概論」、
「音楽療法論」、医学・心理
学・教育学に関する諸科目及び「原著講読」がある。またコース概要に掲げた「幅広
い音楽性」の取得や「療法対象と一緒に音楽を楽しむ音楽療法の実践」という目標を
実現すべく、
「ピアノⅠ~Ⅵ」、
「声楽Ⅰ~Ⅳ」、
「器楽Ⅰ~Ⅳ」、
「日本の伝統歌唱」、
「和
楽器」等の幅広い実技科目をコース必修として履修することで、専門知識と技能だけ
に偏らない総合的な音楽療法士の育成を目指す科目編成となっている。
音楽学科の教授方法の最も特色ある工夫は、学生と教員間のコミュニケーションを
重視した少人数教育である。個人レッスンや「室内楽」等は、基本的にマンツーマン
29
や小グループで対応する実技科目であり、専任教員に加え多くの非常勤講師を確保し
ている。また、外国語科目や「ソルフェージュ」、「器楽合奏」などでは、各学生の習
熟度や専攻分野、受講生数に配慮して、複数の教員配置とクラス編成を行っている。
音楽学科の教育内容と教育方法の両面での工夫のひとつは、実技科目での学習成果
を社会的な場で発表し、本学科での教育内容の成果を世に問うと共に、学生に音楽家
としての自覚を促すことにある。主なものは、「定期演奏会」、「吹奏楽定期演奏会」、
「音の輪コンサート」等である。毎年 1 回行われる「定期演奏会」では、ほぼ全学生
が「合唱」
「器楽合奏」等の授業で演奏曲目を学習した成果を外部の音楽ホールで発表
し、本学の教育成果を世に問う重要な機会である。同様に「吹奏楽定期演奏会」は管
弦打楽コース及び副科管弦打楽専攻学生が「器楽合奏」で学習した成果を公共ホール
で発表する。
「定期演奏会」、
「吹奏楽定期演奏会」のソリストはオーディションに合格
した学生が演奏するもので、それに選ばれることが目標となり、学生の学習意欲の向
上につながっている。また、教育課程上で設置されているコースとは別に、3 年次と
4 年次(ピアノコースは 2 年次から)には各コースの専門実技で特に優秀な成績を収
めた学生を選抜して「演奏クラス」を設け、1 年に一度行われる「音の輪コンサート」
のほか、学内外でのコンサートや特別講義等に参加させて、将来を担う演奏家として
の自覚を促している。
音楽学科の教育方法のもうひとつの工夫として、実践を重視した演習科目の充実が
挙げられる。具体的には、音楽指導コース〈実技指導系〉における 4 年次配当科目「音
楽実技教授法」で、幼稚園年長から小学校 3 年生までの児童に対し、担当教員の指導
のもと、学生がピアノ導入教育を実践しながら教授法を学ぶ、全国的にも珍しい音楽
指導者の育成教育を行っている。また音楽療法コースでは、北海道内の福祉施設や養
護施設で履修学生が自主研修を行い、音楽療法を実際的に体験する研修旅行が実施さ
れている。
平成 24(2012)年度の美術学科の設置によって、芸術学部の両学科にまたがる「学部
共通専門科目」が導入されたことは、本学科の教育目的を実現するための独自の教育
方法の開発として評価できる。例えば、
「芸術文化論Ⅰ」では、我々を取り巻く日常生
活や環境と芸術との関わりを中心に、多様な芸術分野の専門家がオムニバス形式で講
義を行いながら、現代社会における芸術の意義や役割についての理解を深める。
「芸術
文化論Ⅱ」では、同時代の音楽と美術の歴史に関する講義を交互に実施しながら、音
楽と美術を総合的に捉える芸術的感性や知識を養成する。また、
「共同制作演習 A(舞
台)」と「共同制作演習 B(映像)」では、音楽学科と美術学科の 3 年次学生の共同に
よるオペラやアニメーション等の制作体験を通して、演奏技能教育の一層の充実が図
られる。
本学科では、履修登録単位数の上限の設定は行っていないが、年度当初のオリエン
テーションにおいて、各学年に配当された履修科目や適切な履修方法の説明を行って
おり、単位制度を無効化するような過度な履修例はなく、授業の質は保証されており、
単位制の趣旨と有効性は保たれている。
〈芸術学部美術学科〉
美術学科の教育課程は、
「学部共通科目」、
「学部共通専門科目」、
「専門科目Ⅰ類~Ⅲ
30
類」から編成されている。いずれの科目区分も履修基準年次を設定することにより、
学習が段階的に進展する形で編成されている。
「学部共通科目」は、さらに「大谷科目」、
「リテラシー科目」、
「一般教育科目」、
「外
国語科目」、「体育科目」の 5 つの分野からなり、卒業要件単位数として 20 単位を定
めている。建学の精神を学ぶ「大谷科目」では、
「建学の精神と大谷学」を必修科目と
し、学長が担当している。
「リテラシー科目」では、「社会人基礎」を第 1 年次の必修
科目とし、大学での学び方の一般的な特色や履修上の注意事項から、美術学科各コー
スの学びの特徴、さらに社会人に求められる協調性や自主性などを養うための宿泊研
修等を含む内容となっている。
「外国語科目」は「英語」、
「フランス語」、
「イタリア語」、
「ドイツ語」の 4 ヶ国語を含み、それぞれ「基礎」、「応用」、「コミュニケーション基
礎」、「同応用」の 4 段階の積み上げ科目として設定している。
「学部共通専門科目」は、併設する音楽学科との共通専門科目であり、12 単位を必
修と定めている。内容については〈芸術学部音楽学科〉の欄で記述したとおりである。
「専門科目」は、美術に関する幅広い知識や興味を深めると共に、専門的な表現技
術を磨いてゆく科目であり、コース別に設定された「コース別必修科目」と「選択科
目」からなる。
「専門科目Ⅰ類」と「専門科目Ⅱ類」は、美術に関する知識と表現技術
の基礎を学ぶ科目区分であり、
「専門科目Ⅰ類」は、全コースの必修科目である「西洋
美術史Ⅰ、Ⅱ」、
「日本美術史Ⅰ、Ⅱ」と、造形表現領域の必修科目「図学」、メディア
表現領域の必修科目「デザイン概論」を含み、その他、
「美術概論」、
「色彩学」、
「マス・
メディア論Ⅰ・Ⅱ」、「写真論」、「広告論」等、幅広く美術と表現に関する科目を開講
し、学生各自の創作活動を支えるための知識を教授している。また「北海道の美術」
では、本学の位置する北海道における美術を紹介し、地域と文化についての理解と興
味を促している。「専門科目Ⅰ類」では卒業要件単位数として 24 単位を定めている。
「専門科目Ⅱ類」は、様々な美術の表現技術を学ぶ科目区分であり、「デッサンⅠ」、
「コンピュータ造形Ⅰ」を必修科目とし、すべての学生にとって必要な基礎的な技能
を習得させることを目指している。また、学生各自が専門分野における学びを深めて
いくうえでの基礎力を身につけさせるため「立体造形」、「絵画表現技法」、「フォトグ
ラフィ」、「ヴィジュアル・ランゲージ」を選択必修科目としている。その他、選択科
目として「デッサンⅡ・Ⅲ」、「コンピュータ造形Ⅱ」によってより高度な技能へと展
開させていく他、
「日本画」、
「版画(木版・銅板)」、
「版画(シルクスクリーン)」、
「版
画(リトグラフ)」や、「Web デザイン」、「アニメーション」、「イラストレーション」
など、学生各自の興味・関心と創作意欲に基づいて必要な技能を習得させるための科
目を配しており、卒業要件単位数として 20 単位を設定している。「専門科目Ⅲ」は、
さらに 1、2 年次必修の「基礎領域」と、3、4 年次必修の「専門領域」からなり、各
学生が所属するコース・分野に分かれ、4 年間を通して段階的に各コースの専門的な
表現技術を学ぶように構成されている。例えば、絵画コースの学生には、1、2 年次に
「絵画基礎Ⅰ~Ⅳ」を履修させることで、絵画表現の基礎となる用具の使用方法から
形の見方、捉え方、構図、色彩の調和と変化等を修得させる。その後、3 年進級時に
より専門的な分野を選択させ、例えば油彩を選んだ場合には、3、4 年次に「油彩研究
Ⅰ~Ⅳ」を履修することで、より専門的な知識や表現技術に対する理解を深め、自己
31
表現の追究、多様な表現の研究、色彩・形態・空間の研究を深めさせる。
「専門科目Ⅲ
類(基礎領域)」は 16 単位、「専門領域Ⅲ類(専門領域)」は 32 単位を卒業要件単位
と定めている。
〈社会学部地域社会学科〉
地域社会学科の教育課程は、大きく「一般教育科目」「専門科目」「専門応用科目」
から編成されている。いずれの科目区分も履修基準年次を設定することにより、学習
が段階的に進展する形で編成されている。
「一般教育科目」は、
「大谷科目」
「北海道科目」
「国際科目」
「現代教養科目」
「表現
法科目」
「社会人基礎科目」
「健康科目」
「演習科目」
「外国語科目」
「情報処理科目」
「体
験学習科目」という分野から構成されている。建学の精神を学ぶ「大谷科目」では、
「建学の精神と大谷学」を必修科目とし、芸術学部同様学長が担当している。
「表現法
科目」には「表現法Ⅰ~Ⅵ」、「社会人基礎科目」には「社会人基礎Ⅰ~Ⅶ」、「外国語
科目」には「英語Ⅰ~Ⅷ」、
「実践英語Ⅰ~Ⅳ」、
「情報処理科目」に「情報処理Ⅰ~Ⅶ」、
「体験学習科目」として「ボランティアⅠ、Ⅱ」、「インターンシップⅠ~Ⅴ」が配置
され、一般教育科目が 4 年間にわたって手厚く配置された教育課程となっている。ま
た、1、2 年次に必修科目「基礎演習Ⅰ、Ⅱ」が配置され、ゼミナール担任が通年で履
修・修学指導に当たる。
「専門科目」は「現代社会理解科目」と「体験学習科目」からなり、
「体験学習科目」
では「社会調査Ⅰ、Ⅱ」、
「フィールドワークⅠ、Ⅱ」を 2 年次の必修科目として配置
して、社会調査リテラシーの基礎を体験的に学ぶ。
「専門応用科目」には「地域社会と企業科目」、「地域社会と公共サービス科目」と
いう、地域社会を企業と公共サービスの観点から理解するための科目群が配置されて
いる。また 3、4 年次配当の必修演習科目である「専門演習Ⅰ、Ⅱ」、「課題研究Ⅰ、
Ⅱ」がそれぞれ通年科目として展開され、少人数教育の環境で 4 年間の学習の集大成
をまとめるように編成されている。
社会学部地域社会学科では、高等教育機関としての教育の質を担保する上から、大
学 4 年間のうち勉学に費やす時間を十分に確保するために、必修科目の単位数を 60
単位としている。必修科目は共通して平常点(授業内レポート、出席状況、授業内の
Q&A、受講態度等)を重視し(成績評価の 50%)、学生自らが授業を大切にすること
を意識させ、授業に集中できるようにした。また、1 年次から 4 年次にわたってゼミ
ナール担任制度を導入し、学生への履修指導、修学指導を徹底するとともに、地域の
企業や施設及び機関と連携し、ボランティア、インターンシップ、フィールドワーク
の体験学習系科目を充実させ、学生本人が学びの手応えを実感できる少人数制授業を
展開できるようにしている。以上が、教育方法上の工夫・開発である。
卒業要件単位数としては、必修科目の他に専門科目から選択 4 単位、専門応用科目
からは 16 単位以上を修得して、総計 134 単位を修得しなければならない。履修科目
の登録の上限としては 1 年次及び 2 年次では 50 単位まで、3 年次及び 4 年次では 40
単位までと定めている。
〈短期大学〉
短期大学では、親鸞聖人の教えを建学の精神としていることから、共通科目のうち
32
「宗教学」を必修科目とし、仏教関連の選択科目を 2 科目(「仏教音楽」及び「仏教
美術」)開講している。また、最近問題になっている基礎学力、特に国語力が低下して
いる入学生に対する初年次教育の取組みとして、平成 20(2008)年度より共通科目に
「日本語コミュニケーション演習Ⅰ・Ⅱ」を必修科目として設置した。30~40 人のク
ラス編成で授業を展開し、Ⅰでは文章表現、Ⅱでは音声言語による表現について学習
できるようにしている。
保育科は保育者(幼稚園教諭及び保育士)を養成することを目的としているため関
連法規に従って科目を開設しているが、芸術学部を併設している本学の特徴として、
「保育内容(表現)」の中で音楽及び美術をそれぞれ他の科目の 2 倍である 2 単位と
しているほか、それらを総合した「保育内容(表現Ⅲ「文化 1・2」)」計 2 単位も開設
している。
専攻科保育専攻においては、本科での学習を深めるよう 32 科目を開講し、さらに
実践力を高めるために幼稚園・保育所・施設等での実習科目を配置している。大学評
価・学位授与機構認定の専攻科であり、学士(教育学)
・幼稚園教諭一種免許状の取得
が可能である。
短期大学の共通科目では、開設している 27 科目のうち講義科目は 17 科目、演習科
目は 9 科目、実技科目は 1 科目である。保育科専門科目は、その大部分が関連法規に
従った開設であり、講義科目は 17 科目、演習科目は 28 科目、実習科目は 8 科目であ
る。専攻科保育専攻では、開設している 32 科目のうち、講義科目は 14 科目、演習科
目は 15 科目、実習科目は 3 科目である。
共通科目では開設している 27 科目のうち、必修科目は 3 科目(4 単位)のみで、学
生の所属学科、学習意欲に従って自由に履修できるようにしている。保育科は、専門
科目の必修科目は 7 科目のみであるが、幼稚園教諭二種免許状及び保育士資格を取得
するために大部分の科目が必修となり、選択科目は(選択必修科目を含めて)5 科目
のみであり、学生の選択の幅は非常に狭い。専攻科保育専攻では、開設している 32
科目のうち、必修科目は 3 科目(8 単位)のみで、残りの 29 科目は自由選択科目であ
る。
保育科、音楽科、美術科及び専攻科保育専攻・美術専攻の各課程を履修し、所定の
単位を取得することによって取得可能な免許・資格は以下のとおりである。
保育科
幼稚園教諭二種免許状・保育士資格
音楽科
中学校教諭二種免許状(音楽)
美術科
中学校教諭二種免許状(美術)
専攻科保育専攻
幼稚園教諭一種免許状
専攻科美術専攻
中学校教諭一種免許状(美術)
(3)2-2 の改善・向上方策(将来計画)
芸術学部音楽学科では、平成 22(2010)年度におけるコースの新設や充実及びカリキ
ュラムの改善、さらに平成 24(2012)年度における芸術学部への名称変更をきっかけ
にした新たな共通科目の導入により、本学の教育課程及び教授方法は一層の充実が図
られた。今後はこれらの改善の意義や効果を確実な成果に結実させるべく、定期的に
33
カリキュラムの見直しと強化を図っていく。
芸術学部美術学科及び社会学部地域社会学科は、開設後まもないため、現在のとこ
ろ記述すべき事項はない。
短期大学は平成 25(2013)年度より保育科のみの単科となるため(同年度より音楽科
と美術科を廃止)、共通科目のカリキュラムの整理統合が必要である。
2-3
学修及び授業の支援
≪2-3 の視点≫
2-3-①
教員と職員の協働並びに TA(Teaching Assistant)等の活用による学修支援及
び授業支援の充実
(1)2-3 の自己判定
基準項目 2-3 を満たしている。
(2)2-3 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
2-3-①
教員と職員の協働並びに TA(Teaching Assistant)等の活用による学修支援及び
授業支援の充実
学生への学修支援及び授業支援は、各コース主任やゼミナール担任の個別対応を中心
に、教務委員、各専門分野の担当講師が情報を共有し連携しながら指導を行っている。
また教務委員会は事務職員も構成員となっており、学生についての情報を共有するなど、
教員と職員が協働で運営している。
入学時及び新学期時には、教務委員と事務職員が教務ガイダンスを行い、卒業要件、
免許・資格取得要件、必修・選択科目の配分、選択科目の選択方法について説明を行う。
特に免許・資格取得要件(教職・音楽療法)については、教務委員又は教職委員が念入
りに説明する。また、芸術学部においては、新入学生を対象に、コース主任が各コース
の教育課程の特徴、演習科目・実技レッスン等の授業形態や履修方法等について、コー
ス別に説明を行う。平成 24(2012)年度からは、芸術学部 1 年次学生対象の必修科目「社
会人基礎」を設け、上記の教務ガイダンスやコース説明、それに学内施設見学や授業の
受け方、講義ノートのまとめ方等の指導をすべて授業内で実施することとした。これも
教務委員と学務課職員の協働による。社会学部地域社会学科においては、各年次に担任
が担当する通年の必修科目「基礎演習Ⅰ・Ⅱ」、「専門演習Ⅰ・Ⅱ」を配置し、ⅠとⅡの
クラスを持ち上がりとすることで日常的、継続的な履修指導を行っている。
学生の学習上の相談や悩みには、全学的に全ての専任教員が毎週1コマ分以上のオフ
ィスアワーを設定して対応している。芸術学部音楽学科では、学生への指導体制をさら
に充実させるために、平成 24(2012)年度から、従来のコース主任制に加え、クラス担任
制を導入して、様々な面で学生支援に当たっている。芸術学部美術学科では開設時から
クラス担任制を実施し、さらに両学科とも、本学の卒業生でもある事務職員の教務補佐
員が、学生に近い立場から授業や実技レッスンについての細かなサポートを行っている。
社会学部地域社会学科は、1 年次からゼミナール担任制を導入している。学生に対す
34
る教員の側からの地道で積極的な接触努力によって、長期休学などの学生は一人も現れ
ていない。ただ、新しい課程であるため、留意すべき問題も顕在化した。必修に準ずる
形で履修を指導している選択科目の履修を不用意に取り消す学生が現れたことである。
この社会学部での問題から、全学的に履修取り消し手続きを見直す必要が出てきた。
なお、本学では全学的に TA(Teaching Assistant)制度は採っていないので、これにつ
いては点検・評価から除くこととする。
学生の退学に関しては、芸術学部音楽学科では、毎年 10 人前後の退学者を出してお
り、中でも経済的な理由による学費未納による除籍者が大半を占めている。留年学生に
ついては、平成 24(2012)年度では 11 人に上ったため、年度初めのオリエンテーション
時に、教務委員が 2、3、4 年次学生の履修指導を個別に行うことで対処している。社会
学部地域社会学科では、開学 1 年を経過して、一人の退学者も出していない。留学生に
ついても、在籍者がおらず、問題がない。
学生の学修支援に対する意見・要望を汲み上げるために、平成 19(2007)年度より「学
生投書箱」を設置したほか、平成 21(2009)年度からは、各学期の授業開始後第 4、5 週
目と各期末に実施している授業評価アンケートに自由記述欄を設けて対応している。ま
た、社会学部地域社会学科では、学生の質保証の観点から充実強化を目指している 1、2
年次の英語科目で,全学授業評価とは別に独自の期末アンケートをウェブ上で実施し、
即時性の高い授業改善を実現している。
短期大学保育科では、2 年間という短い期間で幼稚園教諭二種免許状及び保育士資格
を取得するため、取得単位数が非常に多く、学外実習も 4 回行うということで学生にと
っては時間的にも精神的にもかなり過密な印象がある。そのなかでほぼ全員の学生が保
育者を志望し、目的意識を持って学業に意欲的に取り組んでいる。また、1 年次から通
年の実習をカリキュラムに組み込んでいることにより、各科目の連携や位置づけを学生
が意識するようになり、授業の関心度、理解度の向上に役立っている。
少数ではあるが、履修態度及び学業への意欲に問題をもつ学生に対しては、クラス担
任、授業担当教員、少人数授業担当者等で連携をとり、適切な対処ができるように配慮
している。また、本学卒業生が業務についている教務補佐員は、より身近な存在として
履修相談などにもよく対応しているが、平成 24(2012)年度より 1 人増員して 3 人体制と
し、よりきめ細かな配慮が可能となった。
専攻科保育専攻については、学習への意欲の高い学生が入学している上、定員が 10
名と少人数で個別の対応が行き届いており、問題はほとんどない。
(3)2-3 の改善・向上方策(将来計画)
芸術学部音楽学科では、学生の学修の基礎となる履修指導は、少人数制の支援体制と
教務委員のきめ細かな指導により登録ミスが無いように努め、効果を上げている。入試
制度の多様化等により、学生の基礎学力は二極化の傾向にあり、従来の基礎科目の習熟
度別クラス編成による対応でも不十分になってきていることから、今後は、従来の入学
前課題に加え補習等の導入を検討する。
オフィスアワーについては、学生への周知を図り、十分に活用されるよう、入学時の
オリエンテーションや学内掲示等により周知を徹底している。
35
本学では、学期半ばで履修を放棄する学生や、少ないながら休学者や退学者が後を絶
たない現状を踏まえ、平成 20(2008)年度からは学期途中で出席調査を行い、欠席数の多
い学生には、教務委員を通じて各コース主任と授業担当教員が指導を行うようになった
結果、状況が改善されつつある。それでも毎年、単位不足等による留年学生が後を絶た
ないことから、さらなる履修指導の徹底が必要であり、その具体的方策を検討する。ま
た、社会学部で問題となった不用意な履修取り消しに対して、履修取り消し手続きを見
直し、学務課と教務委員更には担任が連携して、これを未然に防止するための対策を講
じた。
美術学科では、近年の少子化及び高校における美術の授業あるいは専任教員の削減等
の影響もあり、美術学科受験のための学習が充分ではなかった学生も増えてきている。
このような状況を受け、美術学科では、授業担当教員とクラス担任及びコース担当教員
とが密な連携をとり、迅速かつ適切な対処と指導ができるように努力している。具体的
には、必修となっている「デッサン」では今年から造形表現領域の学生に対しては 2 展
開の授業に増やし、個別に指導できる時間を増やしている。1 授業あたりの学生数を減
らしたことで、細かな指導が行き届くようになり効果を上げている。さらに、造形表現
領域では今春から試験的に学生の各授業作品を担当教員が撮影記録し、各学生が他の授
業でどの様な作品を制作しているのかをサーバーを通じて各教員がデータ閲覧できる
ようにしている。このことにより、担当学生に対して気付けなかった能力や長所、共通
する欠点などを把握し、今後の指導方針に役立てている。
社会学部地域社会学科では、すでに述べたクラス担任によるゼミ授業を通して日常的、
継続的履修指導を行うことで休退学者ゼロを実現している。それでも、新しい学科であ
るが故に、上で述べた履修取り消し問題のような不測の事態が生じた。これを契機に潜
在的な履修指導上の問題点を洗い出し、学科として、同様の問題の再発に努めている。
短期大学保育科では、学期半ばで履修を放棄する学生や休学者及び退学者が非常に少
ない。その理由の一つは、修学期間が 2 年間と短いことであるが、大多数の学生が具体
的な目的を持って入学してきていることが最も大きな理由であると考えられる。ただ、
近年、経済的理由による退学や休学が増加傾向にあるため、奨学金等の学費支援に関す
る対応等の見直しを行うべく、規程の改訂を進めているところである。
2-4
単位認定、卒業・修了認定等
≪2-4 の視点≫
2-4-①
単位認定、進級及び卒業・修了認定等の基準の明確化とその厳正な適用
(1)2-4 の自己判定
基準項目 2-4 を満たしている。
(2)2-4 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
2-4-①
単位認定、進級及び卒業・修了認定等の基準の明確化とその厳正な適用
単位認定、卒業要件単位等については、学則に定められ、厳正に運用されている。
36
単位認定に必要な評価基準については、従来は、80~100 点を「優」、70~79 点を「良」、
50~69 点を「可」、49 点以下を「不可」とする 4 段階評価を採っていたが、学生の学修
成果をより厳密かつ公平に評価するため、平成 24(2012)年度より、90~100 点を「秀」、
80~89 点を「優」、70~79 点を「良」、60~69 点を「可」、59 点以下を「不可」とする
5 段階の評価を採用した。シラバスには「成績評価方法」欄を設けて評価方法を明示し
ているほか、評価基準については学生便覧に明示している。出席率が授業回数の 3 分の
2 に満たない場合は評価の対象とはしない。忌引等により、やむを得ず学期末試験を受
験できなかった者には追試験を、試験の不合格者並びに試験欠席者には再試験を認めて
いる。学修結果は年に 2 回、学生と保護者に通知される。進級基準については特に定め
てはいないが、卒業要件については、4 年以上在学し、かつ所定の授業科目を履修し、
芸術学部音楽学科及び美術学科においては 124 単位以上、社会学部地域社会学科におい
ては 134 単位以上を修得することを卒業要件としている。短期大学保育科においては 2
年以上在学し、62 単位以上修得することを卒業要件としている。また専攻科保育専攻に
おいては 2 年以上在学し、46 単位以上修得することを修了要件としている。単位認定及
び卒業判定は教務委員会を経て教授会において厳正に審議を行っている。このほか、卒
業認定及び学位授与の方針については、本学のディプロマポリシーとして学生便覧及び
ホームページに公表している。
社会学部地域社会学科では、学士教育の質保証及び出口管理の観点から、進級におい
ては GPA 制度及び到達度テストに基づく一定の要件を満たすことを義務付けている。1
年次から 2 年次への進級及び 2 年次から 3 年次、3 年次から 4 年次への進級においては、
一定の GPA を要求する。さらに 1 年次から 2 年次への進級及び 2 年次から 3 年次への
進級においては、英語力・日本語力の熟達度テストを実施し、基礎学力が一定基準を満
たしていない学生については、リメディアル教育を実施する。GPA 制度については、学
生便覧の「学修の評定について」欄で詳細に説明している。
【表2-4-1
学位授与方針(ディプロマポリシー)】
学部学科
ディプロマポリシー
芸術学部音楽学科は、以下の能力を修得し、本学学則に定める卒
業要件を満たした者に学士(音楽)の学位を授与する。
芸術学部
音楽学科
①自律した音楽家、教育者、研究者として活動するために必要な技
術力。
②西洋音楽文化や伝統の普遍的価値を理解でき、人々に伝えられる
教養力。
③音楽活動の現場の多様な要求に応えて行動できる実践力。
芸術学部美術学科は、以下の能力を修得し、本学学則に定める卒
業要件を満たした者に学士(美術)の学位を授与する。
芸術学部
美術学科
①美術表現における基本的な技術と、それに基づいた専門的な技
術。
②美術における基本的な知識と、それに基づいた専門的な知識。
③美的価値を生み出す豊かな感性。
37
学部学科
ディプロマポリシー
④学士課程にふさわしい一般的な教養。
社会学部地域社会学科は、以下の能力を修得し、本学学則に定め
社会学部
地域社会学科
る卒業要件を満たした者に学士(社会学)の学位を授与する。
①社会人として必要な基礎力。
②知識・情報を獲得して分析する力。
③地域社会の課題を発見して解決する力
保育科は、以下の能力を修得し、本学学則に定める卒業要件を満
たした者に短期大学士(保育)の学位を授与する。①子どもの個性
や自主性を重んじ、思いやりを持って接することのできる温かい人
短期大学
保育科
間性。
②一般教育で学ぶ多面的な教養。
③保育に関する専門的な知識。
④保育専門職にふさわしい実践的な技能と表現力。
⑤広い視野を持ち、保育者としての役割を理解して地域社会に貢
献できる力。
(3)2-4 の改善・向上方策(将来計画)
現在、芸術学部音楽学科では GPA 制度は採用していない。GPA では、算出対象科
目に講義系の科目が多いため、専攻実技での成績や学外でのコンクール等での成績が
反映されにくいという問題がある。今後は学科の教育目標やディプロマポリシーにふ
さわしい成績評価方法を検討する。また、進級に関する基準や条件は設けていないが、
1、2 年次配当の必修単位を修得しないまま卒業学年まで持ち上がる学生が、毎年一
定の数にのぼるため、今後は教務委員会を中心に進級の条件設定等について検討を進
める。
芸術学部美術学科では、進級に関する基準や条件は設けていないが、特性を鑑みる
と、学年ごとの必修単位を修得し積み上げる形での履修が望ましいことから、今後、
進級の条件設定について、学科の完成年度を迎えてからの導入に向け検討を進める。
社会学部地域社会学科においては、一般教育の必修科目(英語)で単位を取得し損
ねる学生の存在が問題になった。教室サイズの制約をはじめとする諸要因から、単位
取得に失敗した必修科目を翌年度に再履修することが困難な事態が生じ得る。そこで、
大教室を欠くというマイナス要因を、小教室のプラス要因(少人数の習熟度別クラス
編成)によって克服し、そもそも落伍者を一人も出さないような科目指導を行うには
どうすればよいか、単位認定の厳格さを担保しつつ実現及び持続可能な方法論の確立
に向け、現在鋭意努力を行っている。
短期大学は修学期間が短く、ほとんどの科目が資格要件となっているため、進級要
件を検討する予定はない。また、より厳格な単位認定を行うために、非常勤講師を含
めての FD 研修会等で単位認定についての共通認識を深めていくよう努める。
38
2-5
キャリアガイダンス
≪2-5 の視点≫
2-5-①
教育課程内外を通じての社会的・職業的自立に関する指導のための体制の整備
(1)2-5 の自己判定
基準項目 2-5 を満たしている。
(2)2-5 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
2-5-①
教育課程内外を通じての社会的・職業的自立に関する指導のための体制の整備
ここでは、完成年度を経過し卒業生を送り出した実績のある、芸術学部音楽学科及び
短期大学保育科、音楽科、美術科についてのみ記述する。
〈芸術学部音楽学科〉
音楽学科の学生の卒業後の進路は様々である。演奏家を目指し音楽指導者のもとで引
き続き音楽の修練を積みながら個人として演奏活動を続けていく者もおり、このような
経験を重ねながら希望する職種に進むという場合もある。すなわち就職に限らず、卒業
生がそれぞれ目的を持ち、自分の希望する進路に進むことができるよう支援することが
重要である。
そのような観点から本学の過去 3 年間の「進路決定率」をみると平成 22(2010)年度
89.0%、平成 23(2011)年度 89.6%、平成 24(2012)年度 88.3%であり、なかでも就職率
は、平成 22(2010)年度 81.5%、平成 23(2011)年度 84.0%、平成 24(2012)年度 83.3%で
あり、高い率での推移を示している。
これらの実績維持については、個別指導の成果と考えている。「音楽活動を続ける」、
「音楽系専門職に就く」、「民間企業で働く」等、自己の学んだ音楽をどのように継続し
ていくのか話し合い、一人ひとりの状況にあわせた進路選択を勧めている。
平成 22(2010)年度入学生より履修科目の中にキャリア教育系科目として「キャリアプ
ラン基礎」、「キャリアプラン応用Ⅰ」、「キャリアプラン応用Ⅱ」を新たに開設し、2 年
次後期・3 年次前期・3 年次後期に配当した。これまでキャリア支援に関するプログラ
ムの大部分を課外講座(6 講目・土曜日・日曜日)に頼っていたが、これを正規のカリキュ
ラムに組み込んだことでキャリア支援のプログラムがさらに整備でき、科目として単位
化したため学生参加の増加が期待できる。このような支援体制の充実が、就職における
学生満足度の高さにつながっている。
音楽療法課程において音楽療法士一種の称号(全国音楽療法士養成協議会)を取得する
学生には、介護職員初任者研修講座の取得を推奨しており、社会福祉施設等への就職に
役立っている。平成 22(2010)年度より新設された音楽療法コースの学生の場合には、日
本音楽療法学会が認定する「音楽療法士」のための受験資格が取得できるが、あわせて
介護職員初任者研修講座の取得も推奨している。
音楽学科の進路は、音楽芸術をさらに深めていく「演奏家」、「留学」、「大学院進学」
や音楽系専門職としての「教員」、「音楽教室講師」、「音楽関連企業での販売・インスト
ラクター」といった音楽と密接に関係した進路から、「民間企業」、「公務員」に就職し
て音楽は生涯学習として続けていくといった進路がある。このような多様な学生の進路
39
に対応するために、支援体制を整えている。
〈短期大学保育科〉
保育科は、長い伝統と社会で活躍する卒業生の実績に基づいて、幼稚園・保育所等の
専門就職先から安定した求人を得て良好な就職状況にある。例年就職希望者のほぼ
100%が就職しているが、専門就職の割合は非常に高く、一般企業への就職は例年数名
のみである。また、専門就職者の内訳としては、障害者支援施設、児童養護施設、知的
障害児施設、児童会館などへの就職が数名で、大半が幼稚園又は保育所への就職である。
また、 近年は、札幌市内において保育所の新設などの影響により保育士不足の傾向が見
られるようになってきており、近隣の地域や幼稚園も含めて、求人がより早期化してお
り、今後の動向にさらに留意する必要があると考えている。
専攻科保育専攻の修了生については、幼稚園への就職者が多く、幼稚園教諭一種免許
状を活かした形となっている。
〈短期大学音楽科〉
音楽科は、在籍者数の人数に対し併設大学への進学希望者が多いことから就職希望者
は全体の 60%弱と低い(平成 22(2010)年度は 15 名、平成 23(2011)年度は 11 名、平成
24(2012)年度は 13 名)。特に専門職を希望する学生数が年度によって異なるため、実績
割合についても大きく変動する(平成 22(2010)年度は 10%、平成 23(2011)年度は 40%、
平成 24(2012)年度は 10%)。
近年では、音楽教室講師だけでなく金融、販売、事務等と、就職先の選択は幅が広が
ってきており、個々の学生に応じた支援を継続している。
〈短期大学美術科〉
美術科では、毎年卒業生のうち約 60%が専攻科へ進学(平成 22(2010)年度)したり、
併設大学に編入学(平成 23(2011)年度、平成 24(2012)年度)するため、就職希望者はあ
まり多くはない(平成 22(2010)年度は 12 名、平成 23(2011)年度は 30 名、平成 24(2012)
年度は 16 名)。そのうち、専門職に就くのは数名程度で、専門就職の割合は約 10%であ
る。
従来、芸術文化を学ぶ学科の特徴として進学が多く、就職に対する取組みが消極的で
あったが、美術系専門職への就職だけでなく一般企業への就職も視野に入れ支援をした
結果、販売、事務などの就職実績が大きく増えた。芸術家から美術業界と幅広い意味で
の専門系就職支援と、本学で学んだ感性や表現力を活かした就職支援を両立させてい
る。
その他、教員免許等の採用試験合格に関する支援として、「教員採用試験支援講座」
や「公務員試験支援講座」を行っており、採用試験合格に向けての支援に努めている。
以下に具体的な取組みについて記述する。
①就職支援体制
本学では学生の多面的な就職・進学に対応するために、就職委員会を組織するとと
もに、事務局に進路支援課を設置し専任職員が中心となりその支援に当たっている。
就職委員会は、
「就職委員会規程」においてその目的を「委員会は、学生の就職及び
進路支援について、調査・相談・斡旋並びに就職先の開拓等に関して円滑な運営を図
40
り、必要な活動を行うものとする。」と規定されており、就職委員長、各学科より選出
された教員 1 人、進路支援課長を構成員として活動している。
②就職支援への取組み
大学 3 年次及び短期大学 1 年次の 10 月に学生全員から「進路登録カード」を提出
させ、それを基に進路支援課職員が就職希望の学生全員を対象に面談を行っている。
面談ではキャリアカウンセラー資格を有する専任職員を中心に、個々にあわせた就職
に関する情報や取組み方などを指導している。また、学生からの就職相談、履歴書添
削、模擬面接等には随時対応しており、学生一人ひとりに合わせた相談・助言体制が
整備されている。
また、就職活動における授業等の欠席について、科目担当教員に就職活動届を提出
するよう指導している。これは就職活動を理由に、学生の学習が遅れないようにする
もので、科目担当教員は授業を欠席した学生にレポート等の課題を課して学習させて
いる。
学生の職業観の涵養を図るため、全学的に行う就職イベントをはじめ様々な分野、
職種の就職に対応できる就職支援講座を開講している。それらを段階的に受講してい
くことで、民間企業への就職はもとより、音楽系専門職や美術系専門職への就職にも
役立っている。就職活動全般に関わる取組み方や就職活動における本学のきまりを示
した就職活動サポートファイル「Let's 就活!」を毎年刷新し、大学 3 年生及び短期大
学 1 年生全員に配布し、志気高揚を促している。
就職支援講座では、特に採用試験において大切な自己分析と自己PRに重点をおき、
しっかりと表現できるように講座をプログラムし、履歴書の作成に役立つよう支援体
制を強化した。また専門職を視野に入れた学内企業説明会も実施している。
面接試験の支援では、進路支援課職員が模擬面接の要望に応え、個別又は集団面接
に対して「模擬面接」の形式で支援を行っている。特に模擬面接をビデオで撮影し観
察することにより、学生自身がふりかえり自己分析できるようにしたことで、効果を
上げている。さらに、外部講師を招いての模擬面接・ビジネスマナー指導も実施して
いる。
また、インターンシップも実施しており、学生は販売・営業・金融といった民間企
業を中心に、主に夏休み期間に積極的に参加している。
③就職支援の環境整備
就職支援の環境整備として「就職相談室」を設けており、様々な就職に関する情報
を得られる。就職相談室は平成 23(2011)年 8 月の校舎改修に伴い移転し、室内に新た
に個別相談室を 2 室設けるなどのリニューアルを行った。リニューアルに際し、就職
相談室を学生がなじみやすく利用しやすいイメージとなるよう「S:LABO(エス:ラ
ボ)」と称することとした。「S:LABO」の「S」は、「就職、進路、仕事、将来、調べ
る、潜在、成長、進学、探す、スタート、進む、思考、相談、視野、創造」など学生
が進路や就職にかかわるキーワードの連想で、学生たちに積極的に自分の進路に向き
合ってもらいたいとの思いを表す言葉の頭文字である。
「 LABO」は、進路に関わる様々
な情報収集ができるという意味で「laboratory(研究室)」を略語で表したものである。
この「S:LABO」には、企業からの求人ファイル、就職試験問題集、過去の就職受験
41
報告書、就職関係書籍、就職情報雑誌、ビデオ、DVD 等があり、個々に合った就職
情報が閲覧できる。
「S:LABO」内の資料等は順次新しい物へ更新し、最新の情報提供
に努めている。
④就職に関する手続
就職試験を受験する学生は、進路支援課へ「就職受験申込書」を提出し、証明書等
の発行手続きを行い、履歴書を含め企業へ提出する。就職試験を終えた学生は、すみ
やかに「受験報告書」を作成し進路支援課へ提出する。就職内定者は「就職内定届」
を提出し、卒業後の進路決定の登録を行う。
(3)2-5 の改善・向上方策(将来計画)
本学では主に民間企業及び音楽系企業でのインターンシップを行ってきたが、美術学
科の卒業生を送り出す平成 25(2013)年度は美術系の企業や団体でのインターンシップ
先の開拓を行い、就職委員会及び進路支援課を中心に受入れ企業の更なる拡大を図る。
なお、社会学部地域社会学科ではインターンシップは事前・事後の指導も含めて「イン
ターンシップⅠ~Ⅴ」としてカリキュラムに組み込まれ、受入れ企業も十分に確保され
ている。学生が企業での就業体験に参加することで職業観が醸成され、就業力の育成に
つながると考える。事前・事後の指導強化とあわせて参加学生の増加に努める。
美術系専門職への就職支援として、
「illustrator・photoshop クリエイター能力認定試
験」などの資格取得に向けた講座を行う。
42
2-6
教育目的の達成状況の評価とフィードバック
≪2-6 の視点≫
2-6-①
教育目的の達成状況の点検・評価方法の工夫・開発
2-6-②
教育内容・方法及び学修指導等の改善へ向けての評価結果のフィードバック
(1)2-6 の自己判定
基準項目 2-6 を満たしている。
(2)2-6 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
2-6-①
教育目的の達成状況の点検・評価方法の工夫・開発
大学が開学した平成 18(2006)年度から 3 年間は、教育目的の達成状況の点検項目全体
の統括は行わず、各項目を個別に点検してきた。
学修状況の把握や教育目的の達成状況については、毎年 2 回、各学期末に授業評価ア
ンケートを実施し、アンケートの結果を授業担当者に通知している。平成 20(2008)年度
からは、各学期の授業開始後第 4、5 週目にも出席状況調査を実施し、その結果明らか
になった欠席の多い学生については、教務委員が担任、当該コースの主任や実技レッス
ン担当教員に連絡し、それらの教員が学生の学習面や生活面での相談にのり、学習意欲
を向上させるよう指導を行っている。
また、平成 21(2009)年度からは授業開始後第 4、5 週目に実施する「授業開始後のア
ンケート」について様式を作成し、利用を希望する教員に配布するとともに、平成
22(2010)年度からは全教員に対し、学生からの意見聴取方法の報告を求めている。
学生の就職状況の調査については、就職委員会及び進路支援課が調査を取りまとめて、
卒業学年のほぼ全員の希望進路を把握し、進路先、実数、傾向などについて教授会で報
告し、教員への周知を図っている。免許・資格取得状況については、毎年度末に、最終
学年の教員免許状の取得状況を調査し、学生・進路担当の部署で把握している。
音楽学部が完成年度を向かえた平成 21(2009)年度を機に、これまで個別に行ってきた
点検評価活動を総括した結果、様々な問題点が指摘された。これに基づいて平成
22(2010)年度におけるカリキュラムの変更やコースの新設・増設等、様々な側面で改善
がなされたことは、本学の全体的な自己点検・評価作業の最初の成果として評価できる。
平成 23(2011)年度には、これまで実施してこなかった学生の満足度調査を行った。
2-6-②
教育内容・方法及び学修指導等の改善へ向けての評価結果のフィードバック
本学全体の教育内容・方法及び学修指導等の点検結果のフィードバックについては、
「自己点検・評価委員会」が中心となって、 平成 18(2006)年度の大学開学から平成
21(2009)年度の完成年度までの点検内容を総括した自己点検・評価報告書を作成し、
教職員へ配布したことを始め、平成 22(2010)年度版の自己点検・評価報告書からは、
教職員への配布に加えてホームページで社会に公表することで、評価結果のフィード
バックの第一歩とした。
個別の授業・レッスン等については、「FD 委員会」と事務局学務課の主導で授業評
43
価アンケートが実施されてきた。従来は授業評価アンケートの集計結果と学生からの
自由記述が授業を担当する教員本人に返却されるだけで、その内容に基づく授業改善
については教員本人の自発的努力に委ねられてきたが、平成 23(2011)年度からは、授
業評価アンケートの結果に基づく授業改善計画書の提出を義務付け、これを取りまと
めたものを図書館で閲覧できるよう公表している。
教育内容・方法及び学修指導等の改善へ向けては、非常勤講師を含め、全教員を対象
として、
「全学 FD 研修会」及び学科別の分科会を実施している。分科会では、学科の特
性や学生の現状を踏まえた上で、教育内容・方法及びその改善案等に関して具体的な検
討を行っている。
(3)2-6 の改善・向上方策(将来計画)
本学の教育目的の達成状況の調査は、これまで授業評価アンケートが中心であった
が、これからは、平成 23(2011)年度に行った学生満足度調査を定期的に実施するとと
もに、他の調査方法(卒業生や保護者へのアンケート調査等)を加えながら、学内外か
らの総合的な達成状況の評価の把握に努める必要がある。さらに、教育法や学習指導
の改善を推進するために授業公開や教員相互の授業検討会などの開催に向けて検討を
行う必要がある。
2-7
学生サービス
≪2-7 の視点≫
2-7-①
学生生活の安定のための支援
2-7-②
学生生活全般に関する学生の意見・要望の把握と分析・検討結果の活用
(1)2-7 の自己判定
基準項目 2-7 を満たしている。
(2)2-7 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
2-7-①
学生生活の安定のための支援
学生生活安定のための支援組織として、本学では、学生委員会及び事務局に学務課学
生係を設置し、両者が連携して学生サービス等の向上に努めている。
学生委員会は、
「学生委員会規程」においてその目的を「委員会は、本学学生の厚生補
導等、学生支援に関する事項について充実と発展を図ることを目的とする。」と規定さ
れており、学生委員長、各学科より選出された教員 1~2 名、学務課長及び施設課長を
構成員として活動している。
学生委員会では、学生生活のあらゆる事柄について協議しているほか、各クラブ、大
学祭等についての学生自治会活動への支援を行っている。学務課学生係は、日常の学生
生活に関する業務(学生生活の相談及び指導、課外活動のサポート、福利厚生及び健康
管理、奨学金、その他学生生活全般に係る業務)を行っている。
また、
「学生相談室」を設置しており、学生の様々な心理的問題への対応を行っている。
平成 20(2008)年度からは、学生や教職員のプライバシーへの配慮から、「学生相談室」
44
を学生委員会の管轄から「学長直属」の組織とした。
学内の福利厚生施設としては、学生食堂があり、外部業者により運営されている。学
生食堂は、授業開講期間の午前 11 時~午後 2 時まで営業しており、座席数は 92 席であ
る。さらに、食堂の混雑に対応し、食堂前ロビーに座席を 49 席設け、併せて 141 席と
した。食堂は営業時間外も開放されており、給湯・飲料自動販売機を設置し、自由な語
らいと食事の場を提供している。また、平成 20(2008)年度より、学生からの要望に応え
て弁当、パン等や文房具、日用品等を扱う売店をオープンした。
経済支援としては、奨学金制度及び芸術特待生制度が挙げられる。
本学が扱っている奨学金は、日本学生支援機構奨学金、札幌市奨学金、交通遺児育英
会奨学金、あしなが育英会奨学金、真宗大谷育英財団奨学金(平成 24(2012)年度募集停
止)及び本学独自の奨学金である「札幌大谷大学・札幌大谷大学短期大学部学生奨学金」
である。
本学独自の奨学金は、本学学生で人物・学業の特に優れた学生、又は学費の支弁に特
に困難な事情にある学生に対して、前期又は後期あるいは通年の授業料相当額を支給し
ている。募集は原則各学年 1 名を限度としている。奨学生の申請は、担任教員が資料と
ともに申請書を学長に提出した者を、学生委員会が審査し、大学協議会の議を経て学長
が決定する。審査基準は内規で定めており、「人物・学業の特に優れた学生」について
は、学業成績が抜群であり、その行動が本学学生の規範となる対象年次の学生(1~3 年
生・短期大学については 1 年生)に対して、次年度の年間授業料に相当する額を支給す
ることとし、「学費の支弁に特に困難な事情にある学生」については、学業・人物が優
秀であって、不慮の災難等に由る経済的事情のため、在学が困難な学生に対し勉学続行
を目的として、当該年度の前期又は後期、あるいは通年の授業料相当額を支給すること
としている。
各奨学金の利用状況は「表 2-7-1
【表 2-7-1
奨学金利用状況」に示す。
奨学金利用状況】
年度
奨学金種類
平成 24(2012)年度
大学
短期大学
268 名
142 名
札幌市
2名
0名
交通遺児育英会
1名
0名
あしなが育英会
0名
0名
札幌大谷大学・札幌大谷大学短期大学部奨学金
0名
0名
日本学生支援機構
芸術特待生制度は、芸術学部音楽学科(音楽指導コース及び音楽療法コースを除く)
と、芸術学部美術学科の学生を対象として、学費の支弁が困難な学生への支援を目的と
した奨学金とは異なり、学業成績の優秀な学生を対象とした制度として設けている。こ
の制度は平成 18(2006)年度の音楽学科開学時より実施しており、平成 24(2012)年度か
らは美術学科が加わった。成績評価段階は年度により順次改善していき、学生の芸術的
45
技能に応じて平成 21(2009)年度以降は SA・AA・A・B・C の 5 段階にて評価している。
短期大学の芸術特待生制度も同様に、音楽科と美術科、専攻科美術専攻の学生を対象
とした制度として設けている。平成 21(2009)年度以降は AA・A・B・C の 4 段階で評価
している。大学・短期大学ともに申請者の中から給付対象者を決定し、授業料等の一部
を免除するものである。
過去 5 年間の実績は「表 2-7-2
芸術特待生制度採用実績(過去 5 年間)」、「表 2-7-3
芸術特待生制度採用実績(過去 5 年間)」のとおりである。
【表 2-7-2
芸術特待生制度採用実績(過去 5 年間)】
大学
年度 区分
平
成
22
年
度
平
成
23
年
度
平
成
24
年
度
音
楽
平
成
24
年
度
美
術
入学時
優遇措置(免除)
人数
編入学時
優遇措置(免除)
SA 全額
0 人 全額
AA 入学料+授業料
0人
人数
在学時
優遇措置(免除)
0 人 全額
-
0人
人数
0人
-
①授業料 50%
②授業料全額
①授業料 25%
2人
②授業料 50%
0人
-人
A
入学料+授業料 50%
0 人 入学料+授業料
B
入学料+授業料 25%
2 人 入学料+授業料 50%
C
入学料
1 人 入学料
0人
SA 全額
0 人 全額
0 人 全額
0人
AA 入学料+授業料
0 人 入学料+授業料
0 人 授業料
-人
0人
-
①授業料
②授業料
①授業料
0人
②授業料
25%
50%
25%
50%
0人
9人
-人
A
入学料+授業料 50%
0 人 入学料+授業料 50%
B
入学料+授業料 25%
1 人 入学料+授業料 25%
C
入学料
3 人 入学料
0人
SA 全額
0 人 全額
0 人 全額
0人
AA 入学料+授業料
0 人 入学料+授業料
0 人 授業料
0人
0人
-
0人
9人
-人
A
入学料+授業料 50%
0 人 入学料+授業料 50%
0 人 授業料 50%
B
入学料+授業料 25%
0 人 入学料+授業料 25%
0人
C
入学料
3 人 入学料
0人
SA 全額
0 人 全額
0 人 全額
0人
AA 入学料+授業料
0 人 入学料+授業料
0 人 授業料
0人
①授業料 25%
②授業料 50%
-
9人
-人
A
入学料+授業料 50%
0 人 入学料+授業料 50%
0 人 授業料 50%
0人
B
入学料+授業料 25%
1 人 入学料+授業料 25%
3 人 授業料 25%
0人
C
入学料
4 人 入学料
0人
-人
46
-
年度 区分
平
成
25
年
度
音
楽
平
成
25
年
度
美
術
入学時
優遇措置(免除)
人数
編入学時
優遇措置(免除)
人数
在学時
優遇措置(免除)
人数
SA 全額
0 人 全額
0 人 全額
0人
AA 入学料+授業料
0 人 入学料+授業料
0 人 授業料
0人
A
入学料+授業料 50%
0 人 入学料+授業料 50%
0 人 授業料 50%
0人
B
入学料+授業料 25%
0 人 入学料+授業料 25%
0 人 授業料 25%
7人
C
入学料
1 人 入学料
0人
-人
SA 全額
0 人 全額
0 人 全額
0人
AA 入学料+授業料
0 人 入学料+授業料
0 人 授業料
0人
-
A
入学料+授業料 50%
0 人 入学料+授業料 50%
0 人 授業料 50%
0人
B
入学料+授業料 25%
2 人 入学料+授業料 25%
2 人 授業料 25%
6人
C
入学料
2 人 入学料
0人
-人
-
※平成 21 年度の授業料の改正に伴い、優遇措置(在学時)欄の A・B 特待生の①平成 21 年度
以降の入学生、②平成 20 年度以前の入学生で優遇制度が異なる。
47
【表 2-7-3
芸術特待生制度採用実績(過去 5 年間)】
短期大学
本科 2 年次
本科入学時
年度 区分
優遇措置(免除)
平
成
21
年
度
音
楽
科
平
成
21
年
度
美
術
科
AA 入学料+授業料
平
成
22
年
度
美
術
科
AA 入学料+授業料
平
成
23
年
度
美
術
科
平
成
24
年
度
美
術
科
AA 入学料+授業料
人数
優遇措置(免除)
人数
0 人 授業料
0人
A
入学料+授業料 50%
0 人 授業料 50%
0人
B
入学料+授業料 25%
0 人 授業料 25%
1人
C
入学料
0人
AA 入学料+授業料
-
-
0 人 授業料
0人
A
入学料+授業料 50%
0 人 授業料 50%
0人
B
入学料+授業料 25%
1 人 授業料 25%
0人
C
入学料
1人
-
-
0 人 授業料
-人
A
入学料+授業料 50%
0 人 授業料 50%
0人
B
入学料+授業料 25%
3 人 授業料 25%
0人
C
入学料
1人
-
-
0 人 授業料
0人
A
入学料+授業料 50%
2 人 授業料 50%
0人
B
入学料+授業料 25%
2 人 授業料 25%
0人
C
入学料
0人
AA 入学料+授業料
-
-
0 人 授業料
0人
A
入学料+授業料 50%
0 人 授業料 50%
0人
B
入学料+授業料 25%
2 人 授業料 25%
0人
C
入学料
0人
48
-
-
専攻科 2 年次
専攻科入学時
年度 区分
優遇措置(免除)
平
成
21
年
度
美
術
AA 入学料+授業料
平
成
22
年
度
美
術
AA 入学料+授業料
平
成
23
年
度
美
術
AA 入学料+授業料
平
成
24
年
度
美
術
AA 入学料+授業料
人数
優遇措置(免除)
人数
0 人 授業料
0人
A
入学料+授業料 50%
0 人 授業料 50%
0人
B
入学料+授業料 25%
0 人 授業料 25%
0人
C
入学料
0人
-
-
0 人 授業料
1人
A
入学料+授業料 50%
0 人 授業料 50%
3人
B
入学料+授業料 25%
2 人 授業料 25%
0人
C
入学料
0人
-
-
0 人 授業料
0人
A
入学料+授業料 50%
1 人 授業料 50%
0人
B
入学料+授業料 25%
1 人 授業料 25%
2人
C
入学料
0人
-
-
0 人 授業料
0人
A
入学料+授業料 50%
0 人 授業料 50%
0人
B
入学料+授業料 25%
0 人 授業料 25%
4人
C
入学料
0人
49
-
-
学生の課外活動の支援については、主に学生自治会への助言及び指導により行っている。
この学生自治会は、大学と短期大学との合同の学生自治会である。大学祭、新入生歓迎会
等学生主体の学校行事は、企画立案から実行に至るまで自治会の主導のもとに行っている。
自治会は毎年 5 月に役員改選が行われる。大学行事の内容に関しては、自治会の意見を学
生委員会にて承認する形式をとっている。この自治会の運営システムは、大学が開学した
平成 18(2006)年度から平成 24(2012)年度まで同様であった。学生委員会の指導のもとに
学生自治会の主催で行われる学校行事には、大学祭(毎年 10 月末の 2 日間開催)、新入生
歓迎会(毎年 4 月初めに開催)等があるが、学生のクラブ活動としては、大学開学以前の
札幌大谷短期大学時代からのクラブが継続して活動しており、大学生もそれらのクラブ活
動に積極的に参加している。クラブ活動については、校地・校舎の関係上の制限があるが、
それぞれの学科(保育・音楽・美術の各分野)の特長を生かした人形劇・合唱・写真など
の活動がみられる。各クラブは、顧問の指導の下に活動すること、また、部長・会計を選
出し、年度始めに名簿及び年間活動計画書、年度末には、年間活動報告書、予算書、決算
書を提出することとしている。また、クラブ活動のためにロッカーを割り当てられ、部費
等の現金を除く備品を収納し活動に役立てることができる。また新たなクラブを設立する
場合、
「学内団体結成願」を提出し、1 年間の同好会活動ののち昇格申請し、その活動実績
が認められれば部への昇格が認められる。クラブ活動の管理については、学生委員会及び
学務課学生係が担当し、クラブの結成や廃止等については最終的に教授会での承認を受け
ることになっている。クラブ活動については、学生便覧や学内掲示等で周知している。
学生に対する健康相談及び心的支援等は、学生委員会と学務課が担当し、学務課の管理
の下、健康相談については「保健室」、心的支援等については「学生相談室」を設置してお
り、日常の学生生活での身体的・精神的問題に対処している。
「保健室」には午前・午後の交代制で嘱託職員(看護師)2 名を配置し、1 名が常駐す
るよう運営している。開室時間は 9 時から 17 時までであり、特に診断・治療を要しない
程度の疾病に対して対応し、医療機関の受診が必要と判断される場合においては、学校医
及び近隣の医療機関への受診勧奨を行っている。休日及び時間外は事務局又は警備室に申
し出ることにより、最寄りの医療機関等で受診させるなど、適宜対応する仕組みができて
いる。
「学生相談室」は週 4 回(火曜日・水曜日・木曜日・金曜日)3~5 時間(曜日により異
なる)開室し、非常勤相談員(臨床心理士及び保健師)が相談に応じている。医療機関受
診の必要性がある場合は、専門医療機関との連絡も取れ、受診勧奨も行っている。
なお、学生相談室には、専門相談員のほかに学生相談室の管理運営に当たる、室長及び
運営委員を置くこととしており、室長及び運営委員は学長が指名する。
「学生相談室運営委
員会」は、学生相談及び援助業務、学生相談に関する事業の企画及び立案、学生相談に関
する資料収集及び調査研究等に関する業務、その他学生相談室の管理運営に関する業務を
行っている。また、毎月の学生相談室利用状況報告と年間の学生相談室事業報告を作成し
ている。
平成 19(2007)年度には、教職員を対象とした「メンタルヘルス講習会」が開催され、学
生のメンタルヘルスの現状や対応についての講演が行われた(講師は本学前学長、臨床心
理士)。また平成 21(2009)年度及び平成 22(2010)年度の全学 FD 研修会では、外部講師に
50
よる現代学生の心の問題に関する講演会を行った。
ハラスメントへの対応については、「学校法人札幌大谷学園ハラスメントの防止等に関
する規程」により定めている。平成 24(2012)年に従来の「セクシュアル・ハラスメント」
に対応した規程から「アカデミック・ハラスメント」及び「パワー・ハラスメント」にも
対応した規程に改正し、各種ハラスメント防止対策に取組んでいる。
上記のとおり、学生生活の安定に関する支援組織は、学生委員会及び学務課を中心にお
おむね整っており、支障なく運営されていると評価できる。課外活動や大学行事の充実に
関しては、学生自治会と担当教職員との連携をさらに密にすることで、より充実したもの
となるように努めている。学生自治会は、大学生と短大生の双方から役員が選出されたこ
とにより、自治会活動も若干ではあるが活性化した感がある。また、クラブ活動に関して
は、既存の部・サークルに関する支援は充実しているものと考えられる。大学の特質や設
備面の問題から文化系サークルに偏っている現状があるが、平成 24(2012)年度より女子バ
レーボール部、男子サッカー部、硬式野球部が強化クラブとして認められ、活動を活発化
させている。
経済面の支援に関しては、芸術特待生制度を設けるなど、可能な限りの支援を行ってい
るが、退学あるいは休学の理由として、経済的理由の占める割合は依然として高い。
学生の心理面を含む健康相談は、適切に行われているものと考える。
2-7-②
学生生活全般に関する学生の意見・要望の把握と分析・検討結果の活用
学生サービスに対する学生の意見を汲み上げるシステムに関しては、学生からの要
望・意見が各専任教員及び学生委員会を通じて、それぞれの関係部署で精査・検討され、
必要に応じて各委員会に諮られる。学生委員会は、学生自治会を中心とした学生組織と
の情報交換を密に行い、また、必要に応じて個々の学生と面談を行うことにより、学生
のニーズの把握に努めている。
平成 19(2007)年度からは「学生投書箱」を設置したことによって、学生サービスに
関しても、より細かく身近に学生の真の意見を汲み上げることが可能となり、徐々に学
生からの不満や要望は減少する傾向にある。投書内容については、大学協議会、事務局
及び学部学科を通じて、掲示にて回答している。
学生生活全般に関する学生の意見や要望を把握するため、平成 19(2007)年度以降行
われていなかった「学生満足度調査」を平成 23(2011)年度に実施した。平成 19(2007)
年度に実施した調査は、主に事務局の学生対応に関する事項に限定されていたのに対し、
平成 23(2011)年度に実施した調査は本学では初めての大学生活全般に関するものであ
り、ここでは後者の調査の分析結果について記述する。
この学生満足度調査は平成 23(2011)年度大学の全学年と研究生全員を対象として実
施したものである。調査時点では大学は音楽学部音楽学科のみの単科大学であったが、
全体で 262 人(在籍学生総数の 85.3%)の回収率であり、比較的高い回収結果といえる。
調査項目は、「Ⅰ.本学に対する評価について」、「Ⅱ.本学に対する満足度について」、
「Ⅲ.自由記述」の 3 つの大項目からなり、各々が更に複数の下位項目に分かれている。
以下、それぞれの項目の分析結果について概要を記述していく。
「Ⅰ.本学に対する評価について」は、
「A.本学での授業について」、
「B.本学のカリキ
51
ュラムや履修システムについて」、
「C.本学の教員について」、
「D.学生支援システムや各
種サポート体制について」、「E.本学の教育施設・設備・福利厚生施設・設備などについ
て」の 5 項目について、先ず「1.全体評価」として、「満足」から「不満足」までの 5
段階で評価を行い、次に A から E までの下位項目ごとに、さらに 5 つの選択肢から評価
できる項目を選ぶ形式になっている(5 番目は自由記述式)。
「Ⅰ.本学に対する評価」の「1.全体評価」では、「C.本学の教員について」の評価
において、評価の 4 と 5 の評価が 65.3%であり、学生の高い満足度を示している点が評
価できる。その一方で、「E.本学の教育施設・設備・福利厚生施設・設備などについて」
では、評価の 1 と 2 の合計で 29.4%であり、やや気になる結果である。評価 3 が 34.0%、
評価 4 と 5 の合計が 37.0%であり、この項目では全体に満足度のバラつきが見られるが、
これについては後の「Ⅲ.自由記述」の内容からも伺えるとおり、本学の練習室及び学
生のための福利施設の不足に対する不満の多さが原因と考えられる。
A から E までの項目を個別に見ると、
「A.本学での授業について」では「興味を持て
る授業が多い」、「視野が広がったり、新しい発見をしたりする授業が多い」が全体の
86.7%を占め、「B.本学のカリキュラムについて」でも、「専門分野での講義科目が充実
している」、
「専門分野での実技・演習科目が充実している」の評価が 68.7%を占めるこ
とから、音楽学科独自の専門科目に対する学生の満足度が高いことが読み取れる。「C.
本学の教員について」でも、「専門実技・学問分野の専門家として優れた教員が多い」
に 65.6%の評価が集中していることからも、このことは裏付けられる。一方、「内容を
よく理解できる授業が多い」が 16.4%、「授業評価アンケートを授業改善に役立ててい
る」は 3.8%であり、FD 面での改善課題の大きさが示されている。
「E.本学の教育施設・設備、福利厚生施設・設備などについて」は、
「図書館」、
「マル
チメディア室(現コンピュータ教室)」、
「食堂」の 3 項目について調査したが、
「図書館」
の「蔵書の種類や冊数は充分である」が 13.4%、
「レファレンスが充実している」と「食
堂」の「座席数は充分である」についても 5%であり、全体に本学の施設・設備面に対
する満足度の低さが浮き彫りになっている。このことは、上述した練習室の不足と合わ
せて、本学の深刻な課題である。
次に、「Ⅱ.本学に対する満足度について」であるが、まず「1.入学後の気持ちにつ
いて
あなたは本学に入学してよかったと思いますか」という問に 5 段階評価で答える
形式になっている。学年別の満足度では、「1.よかった」と「2.どちらかといえばよ
かった」と答えた割合が、1 年生で 72.3%、2 年生で 59.6%、3 年生で 80.3%、4 年生
で 76.6%であり、全体平均では 72.9%で比較的高い値を示しているといえるが、2 年生
の値が他の学年よりも低いことが懸念される。「2.所属コースの満足度」においても、
1 年生が 78.9%、2 年生が 52.6%、3 年生が 84.8%、4 年生が 73.3%であり、2 年生の
満足度だけが低い。「良かった」の評価だけを見ても、他の学年がいずれも 50%以上な
のに対して、2 年生は 35.1%である。その反面、「よくなかった」、「あまりよくなかっ
た」の評価では、「1.入学後満足度」では 3.6%で 4 年生の 0%についで少なく、「2.所
属コースの満足度」でも 7.1%で、全学年中、最多ではあるが懸念すべき数値だとは言
えない。むしろ、「どちらともいえない」の評価が全学年中最高であり、入学後の満足
度においても、所属コースへの満足度においても、慎重な意見が多いことがこの学年の
52
特徴である。「Ⅲ.自由記述」を見る限りでは特定の原因を示唆する内容は見られず、
この調査では 2 年生の満足度の低さを解明するには至らなかった。
最後に、「Ⅲ.自由記述」項目であるが、「1.本学に入学してよかった点、満足して
いる点」では、教員に対する満足を指摘している記述が全体の 43.7%を占めている。一
方、「2.本学に充実させてほしい点、改善してほしい点」では、練習室数や食堂の座席
数の不足に対する不満が 37.2%、事務的な対応の仕方や処理の遅さ等への不満が 30.2%
を占めており、施設・設備面での不足感と事務対応に対する不満の 2 点が本学の抱える
主要課題である点が、ここでもはっきりと現れている。
(3)2-7 の改善・向上方策(将来計画)
経済的な理由により、継続的な就学が困難になる学生が年々増加しており、それに対
する経済的施策について改善策の検討を行う。
平成 23(2011)年度に実施した学生満足度調査の分析結果とそれに対する本学の対応
については、その内容の公表を行うと共に改善に向けての努力を進めている。
具体的には、音楽学科 3 年生(現 4 年生)の満足度の相対的な低さに関して、授業面
は、平成 23(2011)年度末に実施した授業評価アンケートの結果に対する各担当教員の
「授業改善計画書」の作成と公表によって対処する。また平成 24(2012)年度からは音楽
学科にクラス担任制度を導入(短期大学は導入済)し、従来のオフィスアワーやコース
主任制と合わせて、学生からの意見や要望、不満等を直接教員が受け付ける機会を増や
した。練習室数や食堂の座席数の不足等、本学の施設・設備については、現段階で直ぐ
に解決することは難しいが、練習室数については、現在の練習室の利用方法を見直し、
練習室利用時間がより公平に配分されるような改善策を音楽学科で検討した。また利用
率の少ない始業前の時間帯や空き室の多い土曜日・日曜日の利用を学生に促していく。
食堂の座席数不足については、食堂以外の飲食可能な場所を周知する掲示や既存の休憩
スペースのテーブル等の増設やレイアウト変更 により、今後も拡充に努める。平成
24(2012)年度からホームページを利用した休講・補講掲示や諸連絡のシステムを導入し、
事務対応を迅速に進めている。学内の連絡方法については、基本的に掲示連絡を原則と
しているが、掲示スペースを拡大して連絡内容別に掲示場所を分け、重要事項には学生
の注意を喚起するようなマークを付けることで改善を図っている。
2-8
教員の配置・職能開発等
≪2-8 の視点≫
2-8-①
教育目的及び教育課程に即した教員の確保と配置
2-8-②
教員の採用・昇任等、教員評価、研修、FD(Faculty Development)をはじめと
する教員の資質・能力向上への取組み
2-8-③
教養教育実施のための体制の整備
(1)2-8 の自己判定
基準項目 2-8 を満たしている。
53
(2)2-8 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
2-8-①
教育目的及び教育課程に即した教員の確保と配置
平成 24(2012)年度現在の学部学科ごとの専任教員の構成は、「エビデンス集(データ
編)表 F-6」に示すとおりである。各学科とも設置基準で定められた専任教員数を満た
しており、教育目的及び教育課程に即応している。
大学の各学部学科ではそれぞれの専門性に応じて過不足なく教員が確保され、適切に
配置されている。兼任教員数では、音楽学科が 121 人と多数に上っているが、これは音
楽学科の授業形態が、マンツーマンを基本とした実技・演習中心であることによるやむ
を得ない結果である。また音楽学科では、北海道という大学所在地の特性上、国内外の
第一線で活躍する音楽家・研究者を招聘するための処置として、リスト・フェレンツ音
楽芸術大学と国際交流協定を結び、客員教授・講師が毎年 3 度にわたり来日するほか、
各コースが毎年特別講師を招聘している。
短期大学保育科は、幼稚園教育要領及び保育所保育指針に示された各領域に対応する
専門知識・技術及び一般教育科目をあまねく学生に修得させるためにそれぞれの領域の
教員が過不足なく確保されている。また実技面においては、さらに現場に直結した実践
的な学習ができるように特別講師、ゲストスピーカーによる特別講義を行っている。
音楽科・美術科は、平成 24(2012)年度より募集を停止しており、平成 25(2013)年 3
月をもって閉科した。そのため、専任教員が既定の人数を満たすとともに、芸術学部の
教員が兼任担当を行うことですべての領域において不足なく教員配置がなされてきた。
専任教員の年齢構成に関しては、「エビデンス集(データ編)表 2-15」に示すとおり
である。芸術学部の場合、66 歳以上の教員が 8 人であり全体の約 23%にあたるが、こ
れは各コースの専門教員の実績や教育歴を重視したためと、一般教育科目、特に語学科
目担当教員の確保において、教育課程の十分な遂行を実現する上でやむを得ない教員構
成である。また、社会学部の年齢構成の偏りについては、既に完成年度以降の人事計画
が定められており、適正な年齢構成となる予定である。
2-8-②
教員の採用・昇任等、教員評価、研修、FD(Faculty Development)をはじめと
する教員の資質・能力向上への取組み
教員の採用・昇任については、大学設置基準「第 4 章
教員の資格」に基づき、研究
上の業績及び経歴、知識や経験等を総合的に判断して審査を行っている。
これまでは、学長、学部長及び学科長、事務局長で構成される人事委員会が審査を行
い、教授会審議を経て、理事会が採用、昇任の決定を行ってきたが、平成 24(2012)年度
の組織改編に伴い、今後は、大学協議会が人事委員会の役割を担うこととなる。募集に
関してはインターネットを通じた公募を行い、選考は書類審査(経歴、研究業績等)及
び面接を行っている。その際、本学の建学の精神への理解を得られているかも踏まえて
いる。
平成 24(2012)年度の本学の FD の取り組みは主に以下の 3 点である。
①
原則として専任教員と非常勤講師全員に出席を求める全学 FD 研修会を開催した。
今年度は新学部・学科の設置に伴い、新任教員の数が大変多かったため、第一部と
54
して新任者対象説明会を行い、学長による建学の精神の説明、各種ハラスメントに
ついての注意、事務的な手続きについての説明を行った。新任者対象説明会の後、
全教員が各学科・コースに分かれて分科会を実施し、教育課程や教授方法、課題内
容の改善について討議した。
②
学生による授業評価アンケートを実施した。本学では、2-6-①でも記述したよう
に、各期末に行われる総合評価を目的としたアンケートに加え、平成 20(2008)年度
から、授業開始後第 4、5 週目に全教員を対象とした学生からの意見聴取方法を確
認するアンケートを実施し、当該学期の授業内でも学生の意見に基づいた授業改善
を行うよう努めている。今年度は、そのアンケート結果を受け、教員から希望のあ
った科目(全授業数の 48.4%の科目)を対象として、学生による中間アンケートの
書式を配布した。さらに、平成 23(2011)年度から、一部の教員を対象として、授業
評価アンケート結果のフィードバックを目指した「授業改善計画書」の作成・公表
を開始したが、平成 24(2012)年からは、これを学生による授業評価アンケートを実
施した全ての科目を対象として実施するよう改めた。
各学科独自の FD 活動を実施した。今年度より 3 学部 4 学科体制(短期大学部を
③
学部とみなす)となり、学部ごとの教育内容・学生の特徴が大きく異なることにな
るため、全学 FD 研修会での全体講演を取りやめ、学科ごとに独自の FD 活動に取
り組むこととした。今年度の各学科の活動内容は以下の通りである。
・芸術学部音楽学科:各コースで招聘する外部講師による指導法などの研修会
・芸術学部美術学科:学内の映像関係機器の取り扱いについての研修会及び外部講
師による創作活動や造形表現に関する用具・用法の研修会
・社会学部地域社会学科:来年度学科全体で取り組む基礎演習の教材に関する外部
講師による研修会及びキャリア教育の研修会
・短期大学保育科:学科カリキュラムマップの作成
その他に、非常勤講師からの意見や要望を直接受け付けることを目的として設置され、
学長が直接管理し対応している「提案 BOX」は、事務局の移動に伴って設置場所を事務
局内に変更したが、今年度も投書による意見・要望はなかった。
教員評価に関しては、平成 21(2009)年度と 22(2010)年度に、教員による自己点検評価
アンケートを実施し、評価結果に基づき学長からの指導を行ったが、平成 24(2012)年度
は実施していない。
2-8-③
教養教育実施のための体制の整備
本学の一般教養科目は、建学の精神を生かした宗教科目(科目区分は「大谷科目」と
している)をはじめ、人文社会と外国語の幅広い分野を網羅している。
一般教養科目としては、
「建学の精神と大谷学」
(平成 23(2011)年度までは「宗教と人
間」)、「仏教人間学」(平成 23(2011)年度までは「仏教と人間」)を設置して、本学の建
学の精神に基づく特色ある教養教育を行っている。このうち、「建学の精神と大谷学」
は学長が担当し、建学の精神を浸透させるべく責任をもって教育を行っている。さらに
年間行事である「報恩講」及び「仏教講演会」を、前述の授業科目の一貫として実施し
55
ている。
外国語においては、専門分野に応じて様々な外国語の知識と能力を要求される芸術学
部では、英語・ドイツ語・イタリア語・フランス語(芸術学部美術学科のみ)を開設し、
各々「基礎」と「応用」を設置し、幅広い語学力への知識と教養を学習する道を開いた。
さらに国際化の進む現代社会への適応力を養うため、それぞれの外国語にネイティヴ・
スピーカーによるコミュニケーション科目の基礎と応用科目を設置した。一方、実践的
なコミュニケーション能力を重視する社会学部では英語のみを開設し、「英語Ⅰ~Ⅷ」
と「実践英語Ⅰ~Ⅳ」を 1 年次から 4 年次まで配置している。
芸術学部では平成 24(2012)年度からは、初年次導入科目として「社会人基礎」を設置
し、大学での学びの特徴や学修の方法から、社会人としての自覚を高めるための合宿に
よるグループ学修・発表等を行うこととした。また、これまでの共通科目の整理を行い、
全体を「大谷科目」、「リテラシー科目」、「一般教育科目」、「外国語科目」、「体育科目」
の 5 つに分類した。さらに「一般教育科目」では、従来の「倫理と人間」を「倫理学」、
「思想とことば」を「哲学」、
「東アジア文化論」を「文化人類学」、
「ヨーロッパ文化史」
を「歴史学」等に変更し、他大学からの編入学生の単位読み替えを容易にした。さらに、
音楽学科と美術学科に共通する教育目的に「北海道における次世代の芸術文化の担い手
の育成」を掲げていることから、一般教育科目として新たに「アイヌ文化論」を設置し
た。
社会学部地域社会学科では、学部学科の特性にしたがって、一般教養科目を、
「大谷科
目」と「健康科目」のほかに、「北海道科目」、「国際科目」、「現代教養科目」、「表現法
科目」、「社会人基礎科目」等の幅広い分野から編成し、基礎学力の定着を図るための極
めて充実した一般教育のカリキュラムを設定している。
教養科目の運営については、専任教員のうち教務・教職委員に配置された者が、教養
科目の担当教員と共同でカリキュラム・単位取得状況等をチェックし、各クラス担任・
コース主任やゼミナール担任と、専門科目の担当教員とが緊密に連絡を取りながら管
理・運営にあたることで、運営上の責任体制が確立されている。
(3)2-8 の改善・向上方策(将来計画)
教育課程を遂行するために必要な教員は確保されており、おおむね適切に配置されて
いるが、芸術学部の教員の年齢別構成については 66 歳以上の教員に偏りがみられるほ
か、音楽学科の専攻実技・分野によっては、専任教員が配置されず非常勤講師に依存し
ている状況が見られる。今後は、開学以来改善を重ねてきた教育内容が引き続き継承・
発展されるように、専門分野と年齢・職位のバランスを取りながら、中長期的な計画に
基づいた、教員の補充・昇格を行う。専任教員の採用・昇任は、上述のとおり「大学設
置基準」に則り行っている。短期大学については「教員の資格認定及び昇格に関する規
程」(昭和 53(1978)年制定)があるが、大学としての規程を早急に制定する。
全学実施の FD 研修会及び学生による授業評価アンケートの実施は、定着してきてい
ると考えられるが、非常勤講師を含む多数の新任教員から理解を得られるよう今後も努
力が必要である。また、授業評価アンケートについては、様々な授業形態への対応が十
分とはいえないため、改善に取り組む。今年度より開始した学科ごとの FD 活動に関し
56
ては、特に、多くの大学で実施されている教員相互の評価や授業公開などの実施に向け、
来年度からの各学科での FD 活動に、授業公開もしくは授業検討会のいずれかを必ず含
めるよう依頼し、全学科で了承されている。教員評価の取り組みは不十分であり、今後
の実施に向けて検討を行う。
総じてどの学科でも一般教育科目は兼担教員や非常勤教員に依存する割合が高いため、
学科のねらいをよく理解してもらい、担当教員からの要望や学生の状況などの情報交換
と FD 研修を中心に深めていく。また、地域社会学科は必修科目が多いために下位学年
に配当された選択の一般教育科目を上位学年になってから改めて選択することが時間
割上難しく、保育科も専門科目の必修科目が多く、余裕をもって一般教育科目を自由に
選択できる状況とは言えない。入学時のオリエンテーションで学生にシラバス理解を十
分に図るとともに、再履修が生じないよう指導教員と担任、学務課の連携により学生へ
の履修態度についても十分指導していく。
2-9
教育環境の整備
≪2-9 の視点≫
2-9-①
校地、校舎、設備、実習施設、図書館等の教育環境の整備と適切な運営・管理
2-9-②
授業を行う学生数の適切な管理
(1)2-9 の自己判定
基準項目 2-9 を満たしている。
(2)2-9 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
2-9-①
校地、校舎、設備、実習施設、図書館等の教育環境の整備と適切な運営・管
理
〈 校舎・校地〉
本学は北海道札幌市東区に所在し、大学と短期大学が同一キャンパス内に設置されて
いる。校地・校舎の現況は「表 2-9-1
校地・校舎一覧表」のとおりであるが、これは
設置基準上必要とされている校地面積を十分に満たしている。
【表 2-9-1
校地・校舎一覧表】
区分
校
収容
定員
基準面積
920人
9,200㎡
札幌大谷大学短期大学部 340人
3,400㎡
札幌大谷大学
合計
12,600㎡
地
現有面積
校
基準面積
63,733㎡
51,133㎡
63,733㎡
51,133㎡
57
基準面積
8,509㎡
4,900㎡
舎
現有面積
差異
18,080.0㎡ 4,671.0㎡
13,409㎡ 18,080.0㎡ 4,671.0㎡
①基準校舎面積
学部
収容定員
芸術学部
640人
社会学部
280人
校舎基準面積 根拠規定
大学設置基準第37条の2 別表第3 イ 美術関係 音楽関係
美術学科 (640-400)×3,140÷400+4,793=6,677
6,677×300÷640=3,129.8 → 3,130
6,361㎡
音楽学科 (640-400)×2,975÷400+4,297=6,082
6,082×340÷640=3,231.0 → 3,231
美術学科+音楽学科=6,361
大学設置基準第37条の2 別表第3 ハ 社会学・社会福祉学関係
2,148㎡
2,148
8,509㎡
合計
学科
収容定員
校舎基準面積 根拠規定
保育科
200人
2,350㎡ 短期大学設置基準第31条
別表第2
イ
教育学・保育学関係
音楽科
50人
1,250㎡ 短期大学設置基準第31条
別表第2
ロ
音楽関係
美術科
90人
1,300㎡ 短期大学設置基準第31条
別表第2
ロ
美術関係
合計
4,900㎡
②基準校地面積
札幌大谷大学
収容定員920人×10㎡=9,200㎡(大学設置基準第37条)
札幌大谷大学短期大学部
収容定員340人×10㎡= 3,400㎡(短期大学設置基準第30条)
〈芸術学部音楽学科〉
学内には併設短期大学と共有する「大谷記念ホール」(定員 352 人)と、中央棟 4
階に位置する「響流ホール」
(客席なし、ひな壇常設教室)、分奏用の「弦楽器室」、
「管
楽器室」、「打楽器庫・打楽器室」等を有し、合奏・合唱等の実技指導及び学修成果の
発表用に十分なスペースを確保している。
講義室については、中央棟にそれぞれ約 50 人収容の講義室 1、2(83.8×2=167.6
㎡)、併設短期大学との共用で約 100 人収容の講義室 3、4(150×2=300 ㎡)、約 40
人収容の講義室 5(82.5 ㎡)、及び約 100 人収容の視聴覚室(164 ㎡)等を有してい
る。各室ともグランドピアノを設置しているほか、講義室 1~4 にはスクリーン・プ
ロジェクター・教材提示装置及び CD・DVD・カセット・ビデオ等のプレーヤーを有
し、さまざまな講義に対応できる設備を備えている。なお、遮音性の低い講義室につ
いては、平成 25(2013)年度中に改修する予定である。
レッスン室・練習室については、中央棟にレッスン室 21、練習室 32、南棟にレッ
スン室 15、練習室 6 を有するほか、同じく南棟にある「演奏室」、
「器楽室」、
「電子オ
ルガン室」、「アンサンブル室 1、2」も必要に応じて使用している。
研究施設としては、個人研究室、共同研究室があり各室にパソコン、AV 機器、ピ
アノ等を設置している。
〈芸術学部美術学科〉
併設短期大学との共用で美術科講義室(154 ㎡)、コンピュータ室(126.7 ㎡)のほ
58
か、実技演習室 2 室(196.5 ㎡)があり、工芸室として写真室(55.5 ㎡)、スタジオ・
編集室(103.5 ㎡)、版画室 2 室(127.4 ㎡)、木工室(34 ㎡)、金属室(64.8 ㎡)、立
体造形室 5 室(293.1 ㎡)、デザイン教室 3 室(307.6 ㎡)、アトリエ 3 室(407.3 ㎡)、
モチーフ室(42.2 ㎡)、日本画室 2 室(100.6 ㎡)等を備えている。ただ、デザイン
室などの排水設備に老朽化で支障が出ており改修を検討中である。
研究施設としては、個人研究室、共同研究室、美術科研究室にパソコン、AV 機器
等を設置している。
〈社会学部地域社会学科〉
講義室については、中央棟にそれぞれ約 50 人収容の講義室 1~4
(80×4=320 ㎡)、
併設短期大学、芸術学部との共用で約 50 人収容の講義室(126.7 ㎡)及び約 100 人
収容の視聴覚室(163.9 ㎡)等を有している。講義室 1~4 にはスクリーン・プロジェ
クター・教材提示装置及び CD・DVD・カセット・ビデオ等のプレーヤーを有し、さ
まざまな講義に対応できる設備を備えている。
特別教室については、情報処理室 2 室(140 ㎡)、LL 教室(71.2 ㎡)、演習室 1~8
室(48×8=384 ㎡)を備え、対応した授業で使用している。
研究施設としては、個人研究室又は共同研究室にパソコン、AV 機器等を設置して
いる。
〈短期大学保育科〉
学内には約 100 人収容の講義室 3 室(126.78 ㎡、138.17 ㎡、129.6 ㎡)、コンピュー
タ室(126.78 ㎡)、多目的教室(126.8 ㎡)、実習室として、実習室(3 室計 36 ㎡)、演
習室(6 室計 73.08 ㎡)、絵画工作室(101.99 ㎡)、図工機械室(20.82 ㎡)、演奏室(206.52
㎡)、栄養実習室(102 ㎡)などがあり、実験室は環境実習室(66.96 ㎡)がある。各学
科共用の視聴覚室(164 ㎡)、ピアノレッスン室(15 室計 222.56 ㎡)、また、毎週開催
される子育て支援センター(126.78 ㎡)、学外に隣接している札幌大谷大学附属幼稚園
も学生の実習の場となっている。ただ、絵画工作室の排水設備が老朽化で支障が出てお
り改修を検討中である。
研究施設としては、個人研究室又は共同研究室、保育科研究室があり各室にパソコン、
AV 機器等を設置している。
〈短期大学音楽科〉
併設大学との共用で約 100 人収容の講義室 3、4(150×2=300 ㎡)、約 40 人収容の
講義室 5(82.5 ㎡)、及び約 100 人収容の視聴覚室(164 ㎡)等を有している。各室と
もグランドピアノを設置しているほか、講義室 1~4 にはスクリーン・プロジェクター・
教材提示装置及び CD・DVD・カセット・ビデオ等のプレーヤーを有し、さまざまな講
義に対応できる設備を備えている。併設大学と共有する「大谷記念ホール」(定員 352
人)と、打楽器室(45 ㎡)、電子オルガン室(37.6 ㎡)等を有し、合奏・合唱等の実技
指導及び学修成果の発表用に十分なスペースを確保している。ピアノレッスン室等は 21
室(計 270.5 ㎡)を常設している。
研究施設としては、個人研究室又は共同研究室があり各室にパソコン、AV 機器、ピ
アノ等を設置している。
59
〈短期大学美術科〉
併設大学との共用で美術講義室(154 ㎡)、コンピュータ室(126.7 ㎡)のほか、実技
演習室 2 室(196.5 ㎡)があり、工芸室として写真暗室(55.5 ㎡)、スタジオ・編集室
(103.5 ㎡)、版画室 2 室(127.4 ㎡)、木工室(34 ㎡)、金属室(64.8 ㎡)、立体造形室
6 室(329.1 ㎡)、デザイン教室 3 室(307.6 ㎡)、アトリエ 3 室(407.3 ㎡)、モチーフ
室(42.2 ㎡)、日本画室 2 室(100.6 ㎡)等を備えている。
研究施設としては、個人研究室、共同研究室、美術科研究室にパソコン、AV 機器等
を設置している。
〈図書館〉
本学図書館は、平成 18(2006)年度から大学・短期大学の共用図書館となり、平成
23(2011)年 10 月には第 2 図書館を開設した。平成 2(1990)年に新設された図書館本館
は記念棟の 1・2 階に位置し、閲覧スペースが 942 ㎡、視聴覚スペース 48 ㎡、情報端末
スペースが 17 ㎡、集密書庫 220 ㎡、事務室部分が 120 ㎡を占める。一方、音楽資料を
中心に構成された第 2 図書館は、校舎北棟の元短大事務室を改装した施設で、閲覧スペ
ース 206 ㎡、書庫 40 ㎡、事務スペース 32 ㎡からなる。
第 2 図書館開設によって閲覧座席も増え、本館は、従来の座席の他に新たに増設した
4 人用と 6 人用キャレルデスクに対応した 42 席に 1 人用のキャレルも加わり、計 112
席となった。これに第 2 図書館の 55 席を加えると合計で 167 席となり、年来の懸案事
項であった座席数の不足が解消された。
機器等の設備について述べると、図書館本館には蔵書検索(OPAC)用のパソコンが
3 台設置され、カウンター横に複写機が 2 台設置されている。第 2 図書館カウンターに
は蔵書検索用パソコン 1 台、複写機を 2 台設置している。また、第 2 図書館に新設した
視聴覚コーナーには CD・DVD プレーヤー14 台が 2 人掛けの 3 ブースと 4 人掛け 1 ブ
ースを含む 14 ブースに設置され、ゆったりとした環境の中で AV 資料を視聴することが
できる。一方、本館には CD と DVD が視聴できる 4 ブースのほかに LD プレーヤー、
レコードプレーヤーを各 2 台設置している。視聴覚スペースは学外の一般利用者も視聴
可能である。このほか、情報端末スペースに、学生用のインターネット検索専用パソコ
ン 6 台(Windows 4 台、Mac 2 台)がある。
本学図書館は平成 18(2006)年度の大学開学以降、大学図書館として備えるべき一般教
養、教職関係の資料収集に力を入れる一方、各学科で必要とする専門資料の収集に努め
ている。すなわち、平成 24(2012)年度開設の社会学部関係の資料として、平成 23(2011)
年度に図書約 5,200 冊、平成 24(2012)年度に 4,200 冊あまりの図書を収集。芸術学部美
術学科関係の美術図書も両年度で約 500 冊の図書を新たに収集し、美術関係の全図書は
11,000 冊以上となった。また、本学の蔵書の特色の一つである建学の精神を集約した「見
真文庫」は、親鸞聖人に関する資料や仏教一般に関する資料を多数集め、共通科目の宗
教関連科目の参考書としてよく利用されている。なお、図書、資料の所蔵数は「エビデ
ンス集(データ編)表 2-24(大学)・表 2-23(短期大学)」に示したとおりである。
全蔵書(AV 資料含む)はデータベース化され、OPAC による検索が可能である。書
誌データは、国立情報学研究所 NACSIS-CAT と連携し、NACSIS-CAT と結びつかな
60
い資料については、ローカル入力で目録作成を行っている。
本学図書館は北海道地区大学図書館相互利用サービスに加盟し、大学・短大生ともに
道内の国公私立大学図書館の加盟館での利用が可能である。また、音楽図書館協議会
(MLAJ)に加盟しており、協議会加盟の各館において、閲覧・複写・相互貸借などの
サービスを受けることができる。
広報活動としては、平成 24(2012)年度から図書館の利用促進をはかるため、「図書館
ポスター展」を学内で開催することとした。応募数は少ないながら、図書館への興味・
関心を喚起する役目を果たしつつある。
最後に地域開放に関して述べると、本学子育て支援センターの開催日(毎週木曜日)、
利用者に図書館を開放し、閲覧のほか貸出も行っている。また、本学の公開講座では図
書館主催の公開講座を毎年 1 コマ担当し、さまざまなテーマで文化的な交流の広がりに
努めている。
61
【図 2-9-1
本館
1階
本館
2階
図書館配置図】
第 2 図書館
62
〈体育施設〉
本学の体育施設として、キャンパスから車で約 20 分の場所に大学と短期大学共有の
グラウンドを所有している(37,369 ㎡)。
〈情報教育施設〉
本学の情報教育関連の教育施設で全学的に利用している主な施設は次の 3 箇所である。
①コンピュータ教室 1
(開設年度:平成 9(1997)年 4 月、機器更新:平成 23(2011)年 9 月)
②コンピュータ教室 2
(開設年度:平成 13(2001)年 9 月、機器更新:平成 23(2011)年 9 月)
③コンピュータ教室 3
(開設年度:平成 19(2007)年 4 月、機器更新:平成 24(2012)年 4 月)
④情報処理室 1・2
(開設年度:平成 24(2012)年 4 月)
コンピュータ教室の使用状況に関しては、コンピュータ教室 1 が 1 週間に前期 15
コマ/後期 19 コマ、コンピュータ教室 2 が 1 週間に前期 21 コマ/後期 20 コマ、コ
ンピュータ教室 3 が 1 週間に前期 7 コマ/後期 7 コマ、情報処理室 1 が前期 7 コマ/
後期 7 コマ、情報処理室 2 が前期 8 コマ/後期 2 コマ使用している。平日の授業時間
帯以外での使用は(休日も含めて)、使用希望学生が使用願い書を提出し、午後 9 時
まで使用できる。授業以外でのレポートあるいは課題制作での使用頻度が非常に高い。
施設の管理・運営には、大学及び短期大学の専任教員 5 人と事務職員から構成される
「情報システム委員会」が対応している。
以下に各教室の仕様概要を説明する。
①コンピュータ教室 1
a)システムの特徴 ―リストレイション型マルチメディア情報教育システム
本システムは Windows サーバー3 台(ファイルサーバー、セキュリティ用サーバ
ー、ドメインコントローラ)、Linux サーバー1 台(プロキシサーバー)、クライ
アント 41 台( Apple iMac 21.5inch 2.7GHz)、及び周辺機器(カラーレーザプリンタ、
インクジェットプリンタ、イメージスキャナ)で構成されている。特徴としては、
各クライアントが MAC OS と Windows7 のデュアル環境で使用できること、そ
してそのすべてがドメインコントローラで管理されていることにある。
b)ソフトウェア
リストレイション型マルチメディア情報教育システム用ソフトウェアは、本学の
マルチメディア情報教育の中核を占める総合的ソフトウェア群である。それらは
以下の 4 部分によって構成されている。
1.LAN 制御用ソフトウェア
Windows Server2008R2 サーバー用ソフトウェアを中核とし、ネットワーク
63
全体の管理及びパワープロテクトなどを司る。
2.アプリケーションソフト制御用ソフトウェア
MAC OS 及び Windows7 上に Excel、Word、Photoshop、Illustrator など
のアプリケーションソフトを展開し、クライアント機にサービスを行う。主
に、芸術学部及び短期大学保育科の情報処理科目と、美術・デザイン教育な
どの授業科目に使用する。
3.デスクトップパブリッシング用ソフトウェア
Adobe Photoshop、Illustrator などのソフトウェアを使い、画像の加工、編
集等ができる。主に芸術学部美術学科の授業科目で使用する。
4.コンピュータリテラシー教育用ソフトウェア
インターネット接続による教育情報の利用やワープロや表計算など各種検定
試験に使用する。
②コンピュータ教室 2
a)システムの特徴―リストレイション型マルチメディア情報教育システム
コンピュータ教室 1 とサーバー類を共用し、リストレイション型マルチメディア
情報教育システムを構築している。クライアント 41 台(Apple iMac 27inch 3.1GHz)、
及び周辺機器(カラーレーザプリンタ 2 台、インクジェットプリンタ 5 台、イメ
ージスキャナ 10 台、大判プリンタ 1 台)で構成されており、MIDI キーボード、
ペンタブレットを接続して使用することができる。特徴は、コンピュータ教室 1
と同様に、各クライアントが MAC OS と Windows7 のデュアル環境で使用でき
ること、そしてそのすべてがドメインコントローラで管理されていることにある。
b)ソフトウェア
以下の 4 部分によって構成されている。
1.LAN 制御用ソフトウェア
コンピュータ教室1と共用の Windows Server2008R2 サーバ用ソフトウェ
アを中核とし、ネットワーク全体の管理及びパワープロテクトなどを司る。
2.アプリケーションソフト制御用ソフトウェア
MAC OS 及び Windows7 上に Excel、 Word、 Adobe CreativeSuite5.5
MasterCollection、RETAS STUDIO、Live、Max6 などのアプリケーション
ソフトを展開し、クライアント機にサービスを行う。主に、美術学科の科目
「コンピュータ造形Ⅰ・Ⅱ」「メディアデザイン基礎ⅡB・Ⅲ」「グラフィッ
クデザイン研究Ⅰ」
「サウンドデザイン」
「アニメーション」
「卒業制作」等で
使用する。
3.アプリケーションソフトウェア
Adobe CreativeSuite5.5 MasterCollection、RETAS STUDIO、Live、Max6
などのソフトウェアを使い、映像及び音声データの加工、編集等ができる。
主に芸術学部美術学科の授業科目で使用する。
4.コンピュータリテラシー教育用ソフトウェア
64
インターネット接続による教育情報の利用やワープロや表計算など各種検定
試験に使用する。
③コンピュータ教室 3
a)コンピュータ教室 3 は、特に芸術学部音楽学科のカリキュラムに対応して設置
された。教育環境のポイントは以下のとおりである。
1.音響処理に優れた(ソフトウェアの供給も含む)コンピュータであること。
2.回線速度が速く、大量の情報が即時に扱えること。
本システムではこれを踏まえ Macintosh のみによる高速LANシステムを構成
する。サーバーとして Macintosh OS Ⅹ server
1 台、クライアント 41 台( Apple
iMac 21.5inch 2.7GHz)、 及び周辺機器(ヘッドフォン、MIDI
キーボード、モニタ
スピーカ、中間モニタ、カラーレーザプリンタ)で構成される。
b)アプリケーションソフトウェア ―実践的マルチメディア教育用ソフトウェア
実践的マルチメディア教育用ソフトウェアは、本学の新しいマルチメディア教育
の中心である「マルチメディア情報教育支援高速 LAN システム」による情報教
育の主要部分を構成する統合的ソフトウェア群である。それらは、以下から構成
されている。
1.デスクトップミュージック用ソフトウェア
LOGIC PRO、Finale、Sibelius:
作曲、楽譜作成、シンセサイザー演奏が可能で、キーボードを用いることで鍵
盤演奏の手法で作品制作ができる。
2.映像・音楽統合用ソフトウェア
Max:画像と音楽を同期させてアニメーションなどの制作及びビデオの編集、
CG の制作技術を学修する。
コンピュータ教室 3 は、主に音楽学科の科目「マルチメディア論Ⅰ・Ⅱ」、「コンピ
ュータ音楽編曲法演習Ⅰ・Ⅱ」、
「映像と音楽Ⅰ・Ⅱ」、
「音響デザイン」、
「作曲法Ⅱ」、
「即興演奏Ⅰ・Ⅱ」、「共同制作演習 B(映像)」で使用している。
④情報処理室 1・2
a)システムの特徴
本システムは、社会学部地域社会学科のカリキュラムに対応して設置された。情
報処理室1・2はそれぞれ、教員用 1 台(Windows7 17inch 3.3GHz)、学生用
25 台(Windows7 17inch 3.3GHz)、及び周辺機器(カラーレーザプリンタ 1 台、
インクジェットプリンタ 2 台)で構成されている。教員用は天井に設置のプロジ
ェクタと繋がり、教員の手元画面を学生に示しながらの講義が展開される。
b)アプリケーションソフトウェア
Windows7 上に Excel、Word、Access、PowerPoint などのアプリケーションソ
フトを展開する。学生専用の個人フォルダにファイルを保存し、各教員用フォル
65
ダ内の課題フォルダに学生が課題を保存・提出することができる。情報処理室1・
2は、主に社会学部地域社会学科の「表現法Ⅰ~Ⅴ」、「情報処理Ⅰ~Ⅶ」、「社会
調査Ⅰ・Ⅱ」の科目で使用され、
「社会人基礎Ⅲ~Ⅶ」、
「基礎演習Ⅰ・Ⅱ」のレポ
ート課題、プレゼンテーション資料作成に使用している。
2-9-②
授業を行う学生数の適切な管理
芸術学部音楽学科は、学科としての特性上、実技技能教育は教員と学生のマンツーマ
ンが基本である。「室内楽」等のグループレッスンにおいても、2 人から 10 人までのク
ラスがほとんどであり、授業を行う学生数としては適切な環境を維持している。1、2 年
次の必修授業である演習系の「ソルフェージュ」の場合には、1 学年を 6 人の教員が習
熟度別にクラス分けして担当しており、1 クラスは平均して 15 人前後であり、これも適
切な環境といえる。講義系の授業では、外国語科目のうち必修の「英語」のみ、レベル
別に 3 クラスに分けて授業を実施している。また専門科目の「音楽概論Ⅰ・Ⅱ」も平成
24(2012)年度からは習熟度別に 2 クラス展開を実施している。
芸術学部美術学科では、基本的にはコース別授業を展開しており、適切な人数による
授業を行っている。ただし、1 年次の全コース対象である「デッサンⅠ」においては、
造形表現領域とメディア表現領域とでクラス分けをおこない、さらに造形表現領域で経
験枚数の差異に対応した 2 クラス展開をおこない授業を実施することで、きめ細やかな
指導をおこなえるよう工夫を行っている。
社会学部地域社会学科は、担任が担当する基礎演習Ⅰ・Ⅱのクラスサイズは 5、6 人
である。社会人基礎Ⅰ・Ⅱ及び英語科目については、オリエンテーション時に数学と英
語のプレイスメントテストを行い、習熟度別クラスを編成している。また、講義系科目
においても 2 クラス展開することで徹底した少人数教育を実施し充実した教育成果を上
げている。
短期大学保育科では、ほとんどの科目でクラス分けをしており、授業理解の向上に努
めている。また専攻科保育専攻は定員が 10 名となっており、授業を行う人数としては
適切である。
音楽科は特性上、実技技能教育は教員と学生のマンツーマンが基本である。「アンサ
ンブル」等のグループレッスンにおいても、少人数でのクラスがほとんどであり、授業
を行う学生数としては適切な環境を維持している。1、2 年次の必修授業である演習系の
「ソルフェージュ」の場合には、1 学年を 2 人の教員が習熟度別にクラス分けして担当
しており、1 クラスは平均して 11 人前後であり、これも適切な環境といえる。
美術科はコース制を採用しており、コースごとにきめ細やかな教育を実施している。
また、共通科目においても必修科目である「宗教学」
「日本語コミュニケーションⅠ」
「日
本語コミュニケーションⅡ」についてはクラス分けを行っており授業理解の向上に努め
ている。また専攻科美術専攻についてもコース制を採用しており、コースごとにきめ細
やかな教育を実施している。
(3)2-9 の改善・向上方策(将来計画)
校地面積及び校舎面積は、大学設置基準を十分に満たしている。学生食堂・休憩室等
66
のスペースが十分確保できていない現状であるが、近年改善を進めている。また講義
室・練習室等の教育環境については、設置基準を満たしているものの、教室環境に制約
されて授業コマ数を複数展開せざるをえなくなるなど実用面で不足していることが課
題であり、サテライト・キャンパスも含めて対策を検討中である。自習用のスペースに
関しては、第 2 図書館内に 39 席の自習ブースを設置したことで、大幅に改善された。
芸術学部への改組転換、社会学部の新設により、男子学生も増え学生の課外活動は一
層活発化してきており、大谷記念ホールや響流ホール、管楽器室等の利用率も高まって
いるが、反面、学生の施設利用のマナーの低下も目立ってきており、学生指導の徹底も
課題である。築 35 年を超える校舎については、段階的に建替え等について検討中であ
る。
[基準 2 の自己評価]
学生の受入れに関しては、各学部学科ともアドミッションポリシーを明示し、ホーム
ページや大学案内等で周知している。また入学者の選抜についても、入試委員会を中心
とする体制のもとで、アドミッションポリシーに沿いながら、公正な方法で行っている。
入学者の選抜方法については、本学の求める幅広い人材の確保のために、AO 型入試制
度の導入等多様な選抜方法をとった結果、芸術学部音楽学科・美術学科の定員充足率は、
平成 24(2012)年度はともに 112%を超えた。ただし、多様な学生が入学することで、新
入生の学力にバラつきが見られるようになってきたため、今後は入学後の補習教育等に
ついて検討する必要がある。社会学部地域社会学科は、開設年度は入学定員の充足率が
約 62.9%にとどまっているため、大学入試センター試験利用入試の導入を推進するとと
もに、ホームページの充実や学生募集活動の強化に一層の努力を行う。
保育科の定員充足率は、平成 24(2012)年度 109%と適切な受入れ数を維持できており、
高い就職率の実績に支えられた結果と言える。教育内容の充実が何よりの募集活動であ
るため、保育科の求める学生像や入試内容を広報媒体のみならず高校訪問等で更に周知
し・理解を深めてもらうよう努力していく。専攻科保育専攻の定員充足率は、好調な就
職状況の影響を受けた形で、平成 23(2011)年度から 2 年間連続して 50%にとどまって
いる。しかし、今日の保育現場では幼稚園教諭一種免許状取得者に対する要望も増加し
ていることから、専攻科設置の主旨とより専門的な学習内容について、今まで以上に学
生への周知を徹底したい。
各学部学科の教育課程は、それぞれの教育目的の個性や特徴を踏まえて適切に編成さ
れており、編成方針はカリキュラムポリシーとして学内外に明示されている。また各学
科の授業科目は、音楽・美術・地域社会・保育という学科の特色に相応しい充実した内
容であり、それぞれの専門分野で十分な実績を有する教員が確保され、適切に配置され
ている。大学ではいずれの学科にも「社会人基礎」を必修科目として設置し、学修支援
を充実させている。ただし、学則上の必修科目や資格取得のための必修要件科目が多い
学科では、更にきめ細かな履修指導や学修支援を行う必要がある。授業内容・方法の工
夫や開発については、社会学部では少人数教育と体験学習の充実により、学びの手応え
が感じられるような工夫をしている。芸術学部では、学部共通専門科目を新設し、音楽・
67
美術両学科の協働により、幅広く多様な芸術教育や研究を展開する独自の教育方法を開
発してきている。今後とも芸術系学部に相応しい実技・演習系の授業方法のあり方や改
善方法についての検討や他大学との情報交換を進めていく。保育科は、入学学生確保、
就職面では良い状況といえるが、今日の保育現場では子育て支援や特別支援など、より
高度で多様な保育者としての能力が求められていることから、更なる教育内容の充実と、
その効果の検証が必要である。
単位認定、卒業判定について、また FD への取組みについては、各学科の取組みを対
象として自己点検・評価を行った。単位認定と卒業判定は、学則にしたがって厳正に実
施されてきた。教育目的の達成状況については、学生の満足度調査や授業評価アンケー
ト、教職履修カルテによって確認されており、その結果を踏まえた授業改善を効率的に
行うことが望まれる。ただし、就職先の企業アンケート等の実施が不十分であり、今後
は定期的に実施しながら、社会のニーズに応えられているかどうか点検・評価を進めて
いく。
教育環境については、授業に必要な施設・設備は確保されているが、健康スポーツや
体育の科目では設備が不十分な講堂を使用している現状に改善が望まれる。学生の福利
厚生のための環境整備として、自習室や休憩スペース等の拡充について検討を進める。
芸術学部美術学科及び社会学部地域社会学科が開設されて 1 年が経過したが、公正か
つ適正な方法による学生の受入れ、教育研究体制の確立と運営等、学修と教授の根幹的
な部分については、問題なく管理運営されているといえる。一方、自己点検・評価活動
や FD 活動の実施体制や実績等においては未熟さ、不十分さを残しており、大学の使命・
目的及び各学部学科の教育目的を持続的に展開するための中長期的な将来計画や、それ
に基づいた本学全体としての組織的な PDCA サイクル体制の確立とその運用などが今
後の検討課題である。
音楽科と美術科は平成 24(2012)年度をもって閉科となったが、最終年度も学生の利益
最優先で十分な教育内容を行ったことが評価できる。50 年弱の間、社会の要請に応えて
来たその功績と共に、音楽科、美術科において行われた自己点検評価の結果が音楽学科、
美術学科へ継承されることを期待したい。
68
基準 3.経営・管理と財務
3-1
経営の規律と誠実性
≪3-1 の視点≫
3-1-①
経営の規律と誠実性の維持の表明
3-1-②
使命・目的の実現への継続的努力
3-1-③
学校教育法、私立学校法、大学設置基準をはじめとする大学の設置、運営に関
連する法令の遵守
3-1-④
環境保全、人権、安全への配慮
3-1-⑤
教育情報・財務情報の公表
(1)3-1 の自己判定
基準項目 3-1 を満たしている。
(2)3-1 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
3-1-①
経営の規律と誠実性の維持の表明
本学の経営は「学校法人札幌大谷学園寄附行為(以下「寄附行為」という。)」、「学
校法人札幌大谷学園寄附行為施行細則(以下「寄附行為施行細則」という。)」、「学
校法人札幌大谷学園寄附行為実施規則(以下「寄附行為実施規則」という。)」に基づ
き、適正に運営されている。
さらに「学校法人札幌大谷学園理事会会議規則」、「学校法人札幌大谷学園監事監査
規則」、「学校法人札幌大谷学園常務理事設置規則」及び「学校法人札幌大谷学園常務
会設置規則」の各規則を定め、高等教育機関としての社会的責務を果たすべく経営の規
律を保持している。
3-1-②
使命・目的の実現への継続的努力
本学園の目的は「寄附行為」第 3 条に「この法人は、教育基本法、学校教育法並びに
私立学校法に従い、且つ宗祖親鸞聖人が開顕された本願念仏の大道による仏法と人を
重んずる宗教々育を基調とし、自他尊重の社会人、国際人の養成及び幼児保育を行い
心身豊かな人材を育成することを目的とする。」としており、「建学の精神」の具現化
と目的を果たすべく、経営・管理組織機能の充実を図っている。
経営・管理組織は「理事会」、理事会の諮問機関としての「評議員会」、理事長、常
務理事、学長、高校長、中学校長、法人本部長及び学長補佐で構成される常勤理事に
よる理事会付託事項等の審議機関である「常務会」、理事長の諮問機関である「札幌大
谷大学及び札幌大谷大学短期大学部運営・諮問会議(以下、「運営・諮問会議」とい
う。)」を設置しており、毎年度の「事業計画」及び「中長期資金計画」はこれらの会
議において協議を重ね策定され、計画に基づく業務遂行により目的実現に向け継続的
に努力している。
また、本学園設立に至った関係団体である「真宗大谷派」、「真宗大谷派北海道教区
大谷学園委員会」及び「北海道大谷学園連合会」との緊密な連携を保持し、「法人理事
の要件」、「法人理事の選任」、「常勤理事の選任」、「理事長の資格要件」、「監事
69
の選任」、「学長の資格要件」及び「学長の任免」について「寄附行為施行細則」に詳
細に規定されていることは、学園創設の意思である「建学の精神」を堅持するための本
学園の特色である。
3-1-③
学校教育法、私立学校法、大学設置基準をはじめとする大学の設置、運営に
関連する法令の遵守
学校教育法等の関係諸法令の遵守については、本学園の監事及び内部監査室による
監査機能と併せて自己点検・評価活動において、コンプライアンスの精神に基づき運
営されている。
本学園監事の業務監査は概ね週 1 回定期的に行われているほか、常務会への陪席によ
り監査機能の充実を図っており、内部監査室においては、「公益通報保護法」に基づく
不正防止の機能を設けているほか、年 1 回の業務監査により業務の適正化を図ってい
る。
また、自己点検・評価活動においても、認証評価機関が定める評価基準に則った自
己点検・評価を実施することで、各法令を遵守した適正な大学運営が行われるよう努
めている。
3-1-④
環境保全、人権、安全への配慮
1) 環境保全への配慮
本学は、環境保全に配慮したクリーンで快適な学習・研究環境の整備・充実を図
ることをめざして、キャンパスの利用のマナーやルールを明確にし、学内の美化に
努め、ごみの分別の徹底・エネルギーの節約などに取組むこととして「クリーン・
エコキャンパス」を宣言し、パンフレットの配布及びポスターの掲示にて周知して
いる。
具体的には、次の 8 項目を重点項目として「クリーン・エコキャンパス」を推進
している。
①ごみは極力出さないこと。持ち込まないこと。
②ごみは放置せず、分別して指定の場所に捨てること。
③備品等は大切に扱い、使用後は元に戻すこと。
④冷房は 28℃、暖房は 20℃に設定すること(エアコン等で温度調整可能な教室)。
⑤冷暖房時はドア・窓を閉めること。
⑥照明やパソコン等の電気機器の電源をこまめに消すこと。
⑦エレベーターの利用を控え、階段を利用すること。
⑧トイレや手洗いの水の使用は、必要最小限にすること。
このほか、事務局においては「クールビズ」の実施により省エネルギー対策への
対応に取組んでいる。
2) 人権への配慮
人権への配慮についての取組みは、関係法令に則り各種ハラスメントの防止及び
個人情報の保護、労働関係の諸規程の整備により行われている。
特にハラスメント対策においては、これまで FD 活動の一環として兼任教員を含
70
む全教員を対象として実施している「FD 研修会」に於いて、外部講師による講演
をプログラムに組込み注意喚起を行ってきた。平成 24(2012)年度においては、同
研修会において、新任教員を対象に学生委員長より本学園のハラスメント防止規程
の解説及び注意喚起を行った。
3) 安全への配慮
安全への配慮については、火災等の災害対策として「消防計画」
(非常時マニュア
ル)を策定している。防災対策は施設課が担当し、課長以下 3 人が札幌市消防局の
発行する防火管理者講習会修了証「防火管理者の証」の交付を受けており、札幌東
区防火管理者協議会が定期的に開催する講習会・研修会等に参加している。
防犯対策としては、出入口に防犯カメラを設置しているほか、正面玄関からの外
来者は警備室窓口で警備員が対応し、外来者は来校証を付けることとし、不審者の
侵入を防いでいる。警備は外部派遣会社に委託しており、派遣されている警備員は
派遣会社が実施する警備に関する講習を受講済みである。通学時の変質者等への防
犯対策としては、所轄警察署と連絡を取りながら学内掲示・放送等を通じ学生に対
する警告・周知に努めていると共に、本学園の管理人が定期的に巡回警備に当たっ
ている。
また、AED は 5 箇所に設置しており、これまで所轄の消防署である札幌市東消
防署との連携事業として、防災の日にちなみ、9 月に本学教職員及び学生と地域住
民を対象として普通救命講習を平成 22(2010)年度まで開催してきた。平成 23(2011)
年度は札幌市が実施する防災訓練の担当が東区であったため、普通救命講習は開催
できず、札幌市が実施する防災訓練に 8 人の職員が参加し、訓練を通じて災害時の
対応等について学んだ。平成 24(2012)年度は、
「消防計画」に基づいた消防訓練(消
火器訓練並びに初期消火及び避難誘導の実地訓練)を事務局員にて実施した。
3-1-⑤
教育情報・財務情報の公表
教育情報の公開については、学校教育法施行規則第 172 条の 2 の規定に則り、主にホ
ームページの「情報公開」ページにて公開している。
財務情報の公開については、私立学校法第 47 条の規定に則り、教育情報と同様にホ
ームページの「情報公開」のページにて公開しているほか、法人本部財務課に備え置き、
対象者の閲覧請求に対応している。
また、平成 24(2012)年度の学部学科増設の「設置認可に係る履行状況調査報告書」に
ついても、同様にホームページの「情報公開」のページにて公開することとしている。
(3)3-1 の改善・向上方策(将来計画)
公共性の高い学校法人としての社会的使命を果たすべく、経営の規律は保持している
が、少子化が進む中、高等教育機関としての役割は変化を遂げなければならず、今後は
より一層社会的ニーズを迅速に捉え、対応していく必要がある。私立学校として「建学
の精神」や教育の理念等の不変的要素と時代の変化や社会的ニーズに対応していかなけ
ればならない可変的要素を十分に認識し、目的達成に向け、さらなる発展を遂げるよう
努める。
71
3-2
理事会の機能
≪3-2 の視点≫
3-2-①
使命・目的の達成に向けて戦略的意思決定ができる体制の整備とその機能性
(1)3-2 の自己判定
基準項目 3-2 を満たしている。
(2)3-2 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
3-2-①
使命・目的の達成に向けて戦略的意思決定ができる体制の整備とその機能性
本学園の理事会は 3-1-①で述べたとおり「寄附行為」及び関係各規程、諸規則により
最高意思決定機関としての体制整備がなされている。理事会の開催状況は平成
24(2012)年度の実績で年 5 回開催、過去 3 年間の平均開催回数は 8 回(平成 22(2010)
年度 8 回、平成 23(2011)年度 11 回、平成 24(2012)年度 5 回の 3 年度計 24 回)であり、
意思決定機関として十分な機能を果たしている。
理事の選任にあたっては、「寄附行為」第 6 条に規定されており、理事の要件及び選
任の詳細については「学校法人札幌大谷学園寄附行為施行細則」の「第 2 章
学校法人
の理事及び理事長の選任」に則り、適切に選考している。
また、法人の日常的業務を決定するため「常務会」を設置しており、月 2 回(8 月を
除く)定例として開催され、理事会から付託された事項等について審議し、決定事項は
理事会に報告されている。
【表 3-2-1
理事会開催及び出席状況】
現員(人)
出席者数
監事の出席
※定員11人
(人)
状況(人)
平成24年 5月29日
11
11
2
第 2回
平成24年 9月20日
11
11
2
第 3回
平成24年11月30日
11
11
2
第 4回
平成24年12月25日
11
11
2
第 5回
平成25年 3月26日
11
11
2
開催回数
開催年月日
第 1回
(3)3-2 の改善・向上方策(将来計画)
戦略的意思決定においては、最高意思決定機関である理事会の機能が必要不可欠であ
り、本学園の理事会開催状況からも、上程される案件について速やかに審議され、その
機動性は高いと考える。加えて、大学のトップである学長及び学長補佐が構成員となっ
ている常務会は、月 2 回を原則として開催されていることから、迅速な意思決定がなさ
れており、日常業務についても滞りなく実施の決定ができる体制であり、その機動力も
有効に機能していると言える。この組織は、戦略的意思決定を行う組織形態として、現
場との乖離現象を防止する体制が構築されていることから、引き続きこの体制を維持し
ていくことで、使命・目的の達成に努める。
72
3-3
大学の意思決定の仕組み及び学長のリーダーシップ
≪3-3 の視点≫
3-3-①
大学の意思決定組織の整備、権限と責任の明確性及びその機能性
3-3-②
大学の意思決定と業務執行における学長の適切なリーダーシップの発揮
(1)3-3 の自己判定
基準項目 3-3 を満たしている。
(2)3-3 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
3-3-①
大学の意思決定組織の整備、権限と責任の明確性及びその機能性
大学の意思決定機関は、各学部に関する事項の決定機関である「学部教授会(短期大
学においては「教授会」。以下同じ。)」と全学的基本事項についての意思決定機関であ
る「大学協議会」を設置し、大学運営に当たっている。それぞれ「学部教授会規程」、
「大学協議会規程」により審議事項等その権限と責任を定めている。
学部教授会は、当該学部に所属する教授、准教授、講師、助教、助手を構成員とし、
学部長が議長となり、「学部教授会規程」で定められた事項を審議するほか、教授会の
下に設置された各種委員会での協議事項等についての報告がなされる。また、学部教
授会に先立ち、「学部運営会議」を設け、学部長及び学科長、事務局長又は事務局長が
指名する事務職員を構成員として、学部教授会の議案等の確認及び事前協議を行って
いる。
大学協議会は、教学に関する最高意思決定機関と位置づけ、学長、学長補佐、学部
長、短期大学部長、学科長、事務局長、企画総務課長で構成され、各学部教授会で審
議された全学的な基本事項について最終審議、各学部教授会での審議事項等の報告が
なされる。
本学の意思決定の組織は「図 3-3-1
教学意思決定組織図」に示すとおりであり、現
在の組織は平成 24(2012)年 4 月の学部学科増に伴い組織改編を行ったものである。スタ
ートして間もないため、今後運営していくなかで見直す必要も想定されるが、各組織
の権限と責任は規程により明確化されており、機能性についても現時点では大きな問
題がないと判断する。
73
【図 3-3-1
教学意思決定組織図】
教学組織表
学生相談室
学部運営会議
芸
術
学
部
学生相談室運営委員会
音楽学科
美術学科
教
授
会
自己点検・評価委員会
FD 委員会
学部運営会議
札
幌
大
谷
大
学
・
札
幌
大
谷
大
学
短
期
大
学
部
社
会
学
部
入試委員会
地域社会学科
教務委員会
教
授
会
教職委員会
大
学
協
議
会
学
長
学生委員会
図書委員会
合
同
教
授
会
情報システム委員会
学部運営会議
保育科
短
期
大
学
専攻科保育専攻
音楽科
教
授
会
美術科
専攻科美術専攻
74
就職委員会
広報委員会
3-3-②
大学の意思決定と業務執行における学長の適切なリーダーシップの発揮
大学の意思決定における学長のリーダーシップについては、大学における最高意識
決定機関である「大学協議会」において発揮されているほか、教授会の下に設置される
委員会のうち、極めて重要と位置づけされる「自己点検・評価委員会」、「入試委員会」
については、学長自らが委員長を務め、リーダーシップを発揮している。
また、学長への支援体制として、教育においては学長補佐、管理運営においては事
務局長が担当し、三者での連携を密に業務が執行されている。
日常的な事務処理の決裁においても、多くの処理が学長の決裁事項となっており、
大学全体を掌握する責任体制が取られ、適切なリーダーシップが発揮されている。
(3)3-3 の改善・向上方策(将来計画)
大学の意思決定組織である「学部教授会」及び「大学協議会」については、本年度か
ら組織改編されたものであるため、今後は経過をみながら機能性についての検証を行い、
本学の意志決定が適切かつ円滑になされるよう善処していく。
3-4
コミュニケーションとガバナンス
≪3-4 の視点≫
3-4-①
法人及び大学の各管理運営機関並びに各部門の間のコミュニケーションによ
る意思決定の円滑化
3-4-②
法人及び大学の各管理運営機関の相互チェックによるガバナンスの機能性
3-4-③
リーダーシップとボトムアップのバランスのとれた運営
(1)3-4 の自己判定
基準項目 3-4 を満たしている。
(2)3-4 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
3-4-①
法人及び大学の各管理運営機関並びに各部門の間のコミュニケーションによ
る意思決定の円滑化
管理運営部門と教学部門との連携は、理事長の諮問機関である「運営・諮問会議」が
その役割を果たしている。構成員は理事長、常務理事、理事 2 人、学長、学長補佐、各
学部長、短期大学部長、各学科長、法人本部長、事務局長で、月 1 回(8 月を除く)定
例開催し、主に大学運営の課題や将来構想についての協議、中長期資金計画案の策定、
及び学生募集状況、就職状況、予算執行状況の報告がなされており、管理運営部門と
教学部門でのコミュニケーションを図りながら、円滑な意思決定が行われている。
また、事務職員間では、管理運営部門である法人本部と本学園が設置する各設置校
の事務局との連携を図るため、法人本部長、大学・短期大学事務局長(兼 法人本部次
長)、高等学校事務局長(兼 法人本部次長)、各課長で構成される「学園連携会議」
を月 1 回定例として開催しているほか、法人本部と大学事務局の課長職の連絡会議とし
て「課長連絡会」を月 2 回定例開催している。
75
これらの会議において理事会及び教授会等の意思決定機関における審議事項等につ
いて、事前に協議される機会が設けられていることから、意思決定のプロセスにおい
て各管理運営機関と各部門とのコミュニケーションが図られている。
3-4-②
法人及び大学の各管理運営機関の相互チェックによるガバナンスの機能性
本学園のガバナンス機能としては、まず監事の監査業務が挙げられる。監事の選任
にあたっては、私立学校法に則り本学園「寄附行為」第 7 条において規定され、加えて
「寄附行為施行細則」第 8 条に選任要件を定めている。監事による監査業務は「学校法
人札幌大谷学園監事監査規則」によって詳細に定められており、本規則に則り適性に実
施されている。また、監査業務の充実を図るため、原則週1回の監査業務における常
勤理事及び所属長との面談や、理事会及び評議員会、常務会への出席等、監事が学園
の業務状況を把握できる体制が守られているほか、監査業務を支援する環境整備とし
て、専用の監事室を設けている。監事の理事会への出席状況は、
「3-2 理事会の機能」の
「表 3-2-1
理事会開催及び出席状況」、評議員会への出席状況は以下の「表 3-4-1
評
議員会開催及び出席状況」に示すとおりであり、適切な監査機能を果たしている。
評議員会においても私立学校法に則り、本学園「寄附行為
第4章
評議員会及び評
議員」によって定めている。評議員会の開催及び出席状況は、
「表 3-4-1
評議員会開催
及び出席状況」に示すとおり、適切に運営されている。
また、学園の業務全般について、誤謬、脱漏を防止するとともに業務の適正化及び
効率化並びに教職員の意識向上を図ることを目的とし、平成 23(2011)年度より法人本
部に内部監査室を設置している。内部監査の実施については「学校法人札幌大谷学園内
部監査規程」によって定めており、平成 24(2012)年度の定期監査は、大学・短大事務局
学務課及び進路支援課の業務監査及び会計監査を対象として実施した。監査員は法人
本部職員のみが担当するのではなく、各所属より理事長の指名により選出されるため、
この内部監査機能により法人と大学の相互チェック機能が果たされる。
【表 3-4-1
評議員会開催及び出席状況】
現員(人)
出席者数
監事の出席
※定員23人
(人)
状況(人)
平成24年 5月14日
19(欠員4)
19
2
第 2回
平成24年 5月31日
23
19
2
第 3回
平成24年 9月18日
23
20
2
第 4回
平成24年12月20日
23
21
1
第 5回
平成25年 3月25日
23
20
2
開催回数
開催年月日
第 1回
3-4-③
リーダーシップとボトムアップのバランスのとれた運営
理事長のリーダーシップについては、新採用者を対象とした「理事長懇談会」を始め、
年の初めに執り行われる「修正会法要(新年を迎えご本尊及び宗祖親鸞聖人を初めとし
てお念仏の教えを伝えられた多くの方々に報恩感謝の心をもって新年のご挨拶を申し
あげ、新たにこの一年を歩むべくお勤めをする会)」、3-4-①で述べた「運営・諮問会議」、
76
事務職員を対象とした毎月 2 回行われる「朝礼」にて、理事長より学園の運営方針や課
題等が示されており、適切なリーダーシップが発揮されている。また、理事長室の他
に事務局内に理事長席を設けており、毎日の理事長の決裁業務は事務局内で行われ、
教職員の業務状況の把握とコミュニケーションを図る一方策となっている。
学長のリーダーシップについては、3-3-②で述べたほか、大学を代表しての理事会、
常務会への参加において、教学部門と管理運営部門との連携においても発揮されている。
ボトムアップについては、先に述べた理事長の学園運営方針等を受け、関係各署に
より様々な施策が立案され、日常的業務レベルの案件については書面決議にて行われ
ており、規程の改正を要する等の重要案件については関係諸会議の協議を経て、学部
教授会、大学協議会、常務会、理事会へと上申される。
以上のことから、リーダーシップとボトムアップは本学園の運営において、適度な
バランスの相互作用となっている。
(3)3-4 の改善・向上方策(将来計画)
本学の組織構造については、理事会等の管理運営組織は、職務権限や統制の階層構造
が厳格に定められ、規則に則り、上からの命令・指示系統による垂直的なピラミッド型
の伝達構造をもつ機械的組織(官僚制組織)であり、一方、教授会等の教学運営組織は
職務権限や統制の階層構造や規則が少なく、情報は組織内に均等に分布される水平的な
ネットワーク型の伝達構造をもつ有機的組織の色合いが強い。
今後の大学運営において、この 2 つの組織構造のバランスを保つことが重要であると
考えることから、理事長及び学長のリーダーシップの下、全教職員が情報を共有し、目
的達成に向け機能的な組織運営を目指す。
3-5
業務執行体制の機能性
≪3-5 の視点≫
3-5-①
権限の適切な分散と責任の明確化に配慮した組織編制及び職員の配置による
業務の効果的な執行体制の確保
3-5-②
業務執行の管理体制の構築とその機能性
3-5-③
職員の資質・能力向上の機会の用意
(1)3-5 の自己判定
基準項目 3-5 を満たしている。
(2)3-5 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
3-5-①
権限の適切な分散と責任の明確化に配慮した組織編制及び職員の配置による
業務の効果的な執行体制の確保
事務組織の編成は、
「図 3-5-1
学校法人札幌大谷学園
事務組織図」に示すとおりで
ある。職員に関する職制及び所掌は、「学校法人札幌大谷学園事務組織及び職制規程」
に定めている。また、就業に関する基本的事項については、「学校法人札幌大谷学園就
77
業規則(以下「就業規則」という。)」に定めている。
職員の採用・異動の方針については、「就業規則
第 4 章
人事」において、明確に
定めている。また、昇任については、
「学校法人札幌大谷学園職員昇任規程」において、
明確に定めている。
採用にあたっては、当該年度に必要とする職員の数、期待する能力、人員不足をきた
している課の現状を調査把握し、更に資格、経歴、人物及び人件費予算等を考慮した採
用枠を設定し、建学の精神の理解と本学の果たすべき使命・目的の達成に貢献できる人
物を採用するよう努めている。
採用・昇任・異動は、所属長(大学・短期大学所属職員においては学長)の推薦に基
づき、法人本部長及び本部次長、企画総務課長による審査を行い、常務会を経て理事会
審議により決定し、理事長が発令している。
78
【図 3-5-1
学校法人札幌大谷学園
事務組織図】
評議員会
企画総務課長(課員 4 名)
法人本部
理事会
監
常務会
))
本部長
事
1
本部次長
2
(大・短事務局長 兼務) 3
(高・中事務局長 兼務) 4
5
法規整備室(室員 1 名)
学園の経営、振興、発展に関する企画、調査に関する事項
諸規程の制定及び改廃に関する事項
教職員の人事、服務及び福利厚生に関する事項
文書の収受、発送及び保管に関する事項
その他、他係に属しない事項
財務課長(課員 4 名)
1
2
3
4
5
短期大学部開学 50 周年
事業期成会
予算編成に関する事項
補助金事務に関する事項
予算の執行に関する事項
学生納付金、その他収入に関する事項
その他財務に関する事項
施設課長(課員 18 名)
1
2
3
4
5
学長補佐
大学
学
長
施設、設備、その他財産の保守、並びに管理に関する事項
校内外清掃、美化等に関する事項
学内の警備及び防災に関する事項
建物、施設、付属設備の保守管理及び修繕に関する事項
その他施設・設備に関する事項
学務課長(課員 18 名)
1
2
3
4
5
事務局長
授業計画及び授業時間に関する事項
学籍、卒業生台帳の整理及び保管に関する事項
学生の入学、退学、復学及び卒業に関する事項
学生の福利厚生及び健康管理に関する事項
その他学生生活の支援、福利厚生に関する事項
進路支援課長(課員 6 名)
1
2
3
就職の指導及びあっせんに関する事項
就職に関する各種統計及び調査資料の作成に関する事項
入学試験の企画、実施、広報、調査、統計、その他入学
試験に関する事項
4 卒業後の進路(就職・進学・その他)全般に関する支援、
情報提供に関する事項
5 その他進路支援及び学生募集に関する事項
学術情報課長(課員 5 名)
短期大学
学
1
2
3
4
5
長
(大学学長 兼務)
高等学校
校
長
事務局長
庶務課長
中学校
校
長
大学附属幼稚 園
園
図書の購入、整理、貸出及び点検に関する事項
図書館の管理・運営に関する事項
大学紀要に関する事項
図書館情報システム及びネットワークに関する事項
その他図書館に関する事項
長
附属幼稚園事務室
79
3-5-②
業務執行の管理体制の構築とその機能性
業務執行の管理体制は、法人本部及び各設置の所属長( 大学・短期大学所属職員は
学長)が管理責任者となり、業務を執行している。予算執行においては、「経理規程施
行細則」により執行権限が定められており、規定に基づき適切に行われ、文書の取扱い
については「学校法人札幌大谷学園文書取扱規則」により、文書の処理、事務能率の向
上を図るとともに「学校法人札幌大谷学園文書保存規程」によって文書の保存及び管理
がなされている。また、公印の取扱いについては、「札幌大谷学園公印取扱規程」によ
り定められ、理事長印については、法人本部長又は法人本部次長、学長印については、
事務局長又は企画総務課長の管理下で執り行っている。
3-5-③
職員の資質・能力向上の機会の用意
本学では、事務職員全員を対象にした SD 研修会を年 1 回開催している。本学は宗祖
親鸞聖人(真宗大谷派の開祖)のみ教えを「建学の精神」に掲げる学園であることから、
これまで宗派関係者を招聘しての研修や大学の基本理念、事務職員としての心構えや
教員との連携、時代状況に即応した学生募集の在り方など幅広い視点に立った研修を
実施してきた。また、本学の歴史についても職員一人ひとりが十分理解し、歴史と伝
統を顕彰してきた。
平成 19(2007)年度には、事務職員研修の在り方を事務局課長中心に検討協議し、ワ
ークショップを取り入れた研修会を実施した。ここで出された課題改善企画書をもと
に、学内施設の改善を協議した結果、学生休憩室の充実、売店開設、学食設備の充実
がなされ、併せて学生満足度調査の実施に至った。また、法人本部の主催により、「学
生募集及び財務に関する研修会」を開催し、学園財務の基礎と財務現況の把握を行っ
た。
平成 20(2008)年度には、ワークショップに加えて、他学の実情を参考とするため他
大学の事務管理職者を講師に招聘し、本学との事務処理の相違を把握して、課題改善
に取組む研修会を実施した。また、担当者発表の時間を設け他部署の現状と課題を共
有することとした。さらに、研修会アンケートを事務局課長会で取りまとめ、課題の
抽出と改善策の立案を行った。
平成 21(2009)年度には、一般社会における組織論について、学外講師を招聘し研修
会を開催した。また、他大学の充実している点や本学の改善に向けてのヒントになる
点などを実際に感じ取るために「他大学視察研修会」を計画し、北海道内 3 大学の視察
研修を実施した。
平成 22(2010)年度は、経済産業省が提唱する「社会人基礎力」を講演のテーマに設定
し、学生のキャリア支援だけでなく、大学で勤務する職員自身にも求められる要素で
あることを再確認した。
平成 23(2011)年度は、業務効率向上方策の一つとして、「タイムマネジメント研修」
をテーマに外部講師によるワークと講演を行った。
平成 24(2012)年度は、本学園評議員で教育後援会長(新聞社編集委員)を講師に招聘
し「夢を持つこと、諦めないことの大切さ」の講題のもと講演会を開催し、併せて「担
当業務の現状と課題」と題して 2 課の係長が発表を行った。また、ワークショップでは
80
課を超えてのグループで「目標達成演習」を行い、職員間の情報交換・交流会の場も設
定した。
さらに、本学の建学の精神に基づき、日々の教育活動・学園運営に従事する事務職
員の意識向上と自己研鑽のため、自らが日々の職務に対する点検を行い、所属部署の
上席者の考課を基に、担当業務を完遂し、よりよい業務実績をあげることができるよ
う、1 項目 3 着眼点の 5 段階自己評価を 10 項目にわたり行う目標管理制度である「自
己点検評価」を実施している。
上記のほか、「私立大学協会北海道支部」によって企画される初任者研修や中堅実
務・指導者研修に参加している。また、真宗大谷派及び真宗大谷派北海道教区との連
携から、「北海道大谷学園連合会」の企画による研修会への参加も行っている。
【表 3-5-1 過去 5 年間の SD の取組実績】
年度
研修区分
内容
平成 20
事務職員
Ⅰ.講演「学園を取り巻く状況とこれからの職員像」
(2008)年度 実務研修会
講師:他大学管理職員
Ⅱ.講義「オールド新人からみた札幌大谷学園」
講師:法人本部長
Ⅲ.担当者発表
①「教務の現状と課題」 発表者 教務係長
②「学生募集の現状と課題」 発表者 進路推進係長
Ⅳ.ワークショップ(テーマはグループ別に設定)
第1グループ「教育支援と卒業後の進路支援」
第2グループ「教育環境・施設の充実」
第3グループ「財務・経理業務の一元化」
第4グループ「学園広報と学生募集」
第5グループ「学科対応における諸問題」
平成 21
事務職員
Ⅰ.講演「組織と職場」 講師 外部講師
(2009)年度 実務研修会
Ⅱ.講義「建学の精神と学園事務」 講師 事務局長
Ⅲ.ワークショップ(テーマはグループ別に自由設定)
視察研修
実施日数
2日
視察学校数 3法人(3大学・1高校)
平成 22
事務職員
Ⅰ.講演「社会人基礎力養成講座」 講師 外部講師
(2010)年度 実務研修会
Ⅱ.担当者発表
①「学生募集の現状と課題」 進路支援課員
②「担当業務の現状と課題」 庶務課長(中学・高校)
Ⅲ.ワークショップ(コンセンサス実習)
視察研修
実施日数
1日
視察学校数 1法人(2大学・1高校)
81
年度
研修区分
平成 23
事務職員
(2011)年度 実務研修会
内容
Ⅰ.講演「タイムマネジメント研修」 講師 外部講師
Ⅱ.講義「本学園事務の諸課題と改善への模索」
講師
学務課長
Ⅱ.担当者発表
①「『消防計画書』における職員の役割」 施設係長
②「学生サービスにおける現状の課題と対策」
学生係長
Ⅲ.ワークショップ(コンセンサス実習 part.2)
平成 24
事務職員
(2012)年度 実務研修会
Ⅰ.講演「夢を持つこと、諦めないことの大切さ 」
講師 外部講師
Ⅱ.担当者発表
①「認証評価制度と自己点検・評価活動の在り方」
企画総務課 係長
②「進路支援の現状と課題」
進路支援課 進路開発係長
Ⅲ.ワークショップ(目標達成演習)
(3)3-5 の改善・向上方策(将来計画)
業務執行における機能性の向上については、職員一人ひとりの資質向上が不可欠であ
る。今後は、これまで実施してきた研修会を更に充実したものにするため、建学の精神
についての基本的理解はもとより、激変する時代社会に即応できる職員の養成を基本
にした研修会を開催し、更なる向上を目指す。また、人材育成において、研修会と OJT
の組み合わせが重要であることから、管理職員(課長職など)を対象とした研修会の実
施を検討している。目標管理制度である「自己点検評価」は継続して実施することとし、
項目や着眼点の見直しにより更なる充実を図る。
3-6
財務基盤と収支
≪3-6 の視点≫
3-6-①
中長期的な計画に基づく適切な財務運営の確立
3-6-②
安定した財務基盤の確立と収支バランスの確保
(1)3-6 の自己判定
基準項目 3-6 を満たしている。
(2)3-6 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
3-6-①
中長期的な計画に基づく適切な財務運営の確立
大学・短大合同の中長期資金計画を作成し、理事会に提出して将来計画の見通しを立
82
てている。将来計画達成のため、原則として、その計画に基づいた予算となるよう各学
科等に周知して、予算を作成している。
決算及び収支変動に伴い中長期資金計画の見直しを掛けて、理事会の承認を得て計画
変更等を行い、現状に即した財務運営の方策を立てている。
3-6-②
安定した財務基盤の確立と収支バランスの確保
大学開設(開設当初は音楽学部音楽学科の1学部1学科)の完成年度であった平成
21(2009)年度末の決算では、帰属収支差額比率2.2% ((帰属収入-消費支出)/帰属
収入)と安定した。但し、平成23(2011)年度決算では、入学生の減員等に伴う帰属収入
の減により1.9%とやや落ち込んだが、同年度の全国平均は△1.2%なので安定している。
また、平成24(2012)年度決算では、音楽学部を芸術学部に名称変更して、美術学科を新
設、更に社会学部地域社会学科を新設した。このことにより△1.1%と消費支出が超過し
た。
消費収支の収入構成を財務比率の観点から考えた場合、現在全国平均が出ている平成
23(2011)年度で比較した場合、学生生徒等納付金比率は85.7%(学生生徒等納付金/帰
属収入)となり全国平均値よりも6.1%高く、寄付金比率は0.5%(寄付金/帰属収入)で
0.6%低い、補助金比率は9.8%(補助金/帰属収入)で0.8%低く下回っている。
また、平成23(2011)年度で比較した支出構成では、人件費比率が58.7%(人件費/帰
属収入)となり、全国平均値を1.4%上回る。
なお、改革年の平成24(2012)年度決算では、人件費比率が77.6%ととなったが、完成
年度の平成27(2015)年度まではこの状況が続き、支出を圧迫すると思われる。
また、教育研究費比率が16.9%(教育研究経費/帰属収入)となり、全国平均より16.7%
低い状況にあるが、完成年度までには改善する計画である。
これらの数値には本学が個人指導や少人数教育に重点を置いていること、収益事業が
無いこと等が反映されていると考えられるが、財政計画・財政試算との誤差も小さく、
教育研究目的を達成する上で収支バランスは良いと考える。
ただし、収入のほとんどが学生納付金に依存していることから、財政基盤の確立のた
めには、学生定員の確保が条件である。
(3)3-6 の改善・向上方策(将来計画)
今後の展望を考え、財務基盤の安定化を図るため、人件費比率を全国平均値程度まで
抑えることを目標とする。具体的には、給与規程を見直し、諸手当の一部廃止及び期末
手当の減額等を検討する。その他の支出については、旅費の支給額の見直しや、光熱水
費等の節減により支出抑制に努める。
本学の使命・目的実現のため、中長期資金計画をより厳しく設定し、教職員一人ひと
りがコスト意識を持ちながら大学運営がなされるよう、財務情報の周知を徹底する。
83
3-7
会計
≪3-7 の視点≫
3-7-①
会計処理の適正な実施
3-7-②
会計監査の体制整備と厳正な実施
(1)3-7 の自己判定
基準項目 3-7 を満たしている。
(2)3-7 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
3-7-①
会計処理の適正な実施
本学の会計は「学校法人札幌大谷学園経理規程」、「学校法人札幌大谷学園経理規程
施行細則」、「学校法人札幌大谷学園資産運用規程」及び「学校法人札幌大谷学園物件
調達・管理規程」に従って処理されている。
予算執行の実務はすべてシステム化されており、予算成立とともに予算枠など新年度
のデータ入力作業を行い、年度の更新とともに各事務部門の端末から予算執行伺書の起
票が可能な状態としている。
物品の購入や報酬の支払いの際は、各部門の担当者がシステム上から、勘定科目等を
入力することでまず予算執行伺書を起票する。次に各部門の承認を受け、納品等の完了
後証拠書類を添付して、法人本部財務課へ提出し、同部門の担当者が会計伝票を作成し
て業者への支払い手続等を行う流れとなっている。
このシステムの導入に伴い、予算化されていない項目の支出はできないため、予算主
導の会計処理となっており、適切に処理されている。
3-7-②
会計監査の体制整備と厳正な実施
本学は監査法人と契約を結び、通年的に会計監査を受けている。期中の会計処理、決
算、帳簿と現金の照合などが主な監査の対象であるが、これ以外にも業務に関する具体
的な提案を受ける場合がある。
毎年、決算監査終了後に行われる監査報告提出時に行う監査の講評の際には、理事
長・監事・法人本部長・事務局長及び財務課長が報告を受けることとしている。指導事
項については、速やかに改善し、以後は同様の指摘を受けることのないよう対応してい
る。
学園監事の監査は、業務及び会計処理について通年で行われる。改善指導事項等につ
いては、監査報告と併せ付帯意見として出され、理事会にも上程される。
また、平成23(2011)年度からは、内部監査室を設置したことで、更に監査体制が強化
された。
(3)3-7 の改善・向上方策(将来計画)
今後は、コスト削減に向けた取組みとして、物品調達を一元化する等の業務改善を行
い、業務の効率化及びより適正な会計処理が行われるような方策の検討を進める。
また、備品等の管理に関する規程を整備し、共有できる物品等の有効活用を可能に
84
するなど、物品の保管場所等を含め物品調達について適切に管理する体制を整えるこ
とで、購入物品の節減へとつなげていく。
[基準 3 の自己評価]
本学の経営・管理は、寄附行為に基づき高等教育機関としての社会的使命を果たすべく、
建学の精神の具現化と本学の目的達成に向け、継続的に努力を続けている。また、学校教
育法、私立学校法、大学・短期大学設置基準をはじめ、各種法令を遵守し、法人運営に係
る各業務が適切に遂行されており、これらをチェックするガバナンス機能の役割を担う監
事及び内部監査室も適切に機能している。
理事会の機能については、開催回数及び理事の出席状況も適切であることに加え、理事
会からの付託事項及び日常業務を決定する常務会の機動性も高いことから、経営・管理上
の意思決定が迅速に行われている。
理事長及び学長はそれぞれの分限においてリーダーシップを適切に発揮し、管理運営部
門と教学部門との連携も十分に図られる体制を組織している。また、事務局組織の体制も
企画総務課、財務課、施設課といった管理運営部門は法人本部に一元化することで、スリ
ム化が図られており、業務執行における管理体制及び連携体制、執行体制は機能的に構築
されている。
財務基盤については、引き続き中・長期資金計画に基づき運営することで、将来計画を
実現するよう努めていく。
会計については、学校会計基準及び本学園が定める「経理規程」、
「経理規程施行細則」、
「資産運用規程」及び「物件調達・管理規程」に則り厳正に実施しているが、各規程等の
遵守のみにとどまらず、授業料収入と補助金を主な収入として運営する学校法人としての
社会的立場を認識し、不必要な支出が無いよう適正な会計処理に努めていく。
85
基準 4.自己点検・評価
4-1
自己点検・評価の適切
≪4-1 の視点≫
4-1-①
大学の使命・目的に即した自主的・自律的な自己点検・評価
4-1-②
自己点検・評価体制の適切性
4-1-③
自己点検・評価の周期等の適切性
(1)4-1 の自己判定
基準項目 4-1 を満たしている。
(2)4-1 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
4-1-①
大学の使命・目的に即した自主的・自律的な自己点検・評価
本学の目的は、
「教育基本法、学校教育法及び私立学校法の定めるところに従い、且つ
宗祖親鸞聖人が開顕された本願念仏の大道による仏法と人を重んずる宗教教育を基調と
し、情操教育をほどこし、豊かな教養と実際に即した専門の知識及び技能を修得させる
ことを目的とする。」と学則に定めているとおり、仏教精神に基づく人間教育を基盤とし、
設置する各学部学科の専門知識及び技能を修得させることである。
本学では、これまで大学は「日本高等教育評価機構」の評価基準を準用し、短期大学
では平成 22(2010)年度まで「短期大学基準協会」の評価基準、平成 23(2011)年度より「日
本高等教育評価機構」の評価基準を準用し、自己点検・評価活動を実施してきた。平成
24(2012)年度までの評価基準においても、各評価基準及び評価の視点は大学の使命・目
的との整合性を確認する項目が設定されており、大学・短期大学の使命・目的を再認識
しながら自己点検・評価活動を実施してきたことから、大学・短期大学の使命・目的に
即した自己点検・評価活動であったと言える。
大学・短期大学が独自に設定した基準項目による自己点検・評価として、以下のとお
り 3 項目の評価基準を設定し、自主的・自律的な自己点検・評価活動を行った。
A-1
大学・短期大学が持っている物的・人的資源の社会への提供
A-1-①
大学・短期大学施設の開放、公開講座など、大学・短期大学が持って
いる物的・人的資源の社会への提供
A-2
教育研究上における、他大学や他法人との適切な関係の構築
A-2-①
A-3
大学・短期大学と地域社会との協力関係が構築されていること
A-3-①
4-1-②
教育研究上において、他大学や他法人との適切な関係
大学・短期大学と地域社会との協力関係が構築されているか
自己点検・評価体制の適切性
本学では、大学運営における自己点検・評価活動の重要性を認識し、活動に取り組ん
できており、学則第 2 条第 1 項に則り、本学の教育研究活動等の状況について、企画及
び自己点検・評価を行うことを目的とする企画点検委員会を設置してきた。この委員会
は、学長、学部長、学科長、入試委員長補佐、教務委員長、学生委員長、新学部設置準
86
備室長、事務局長、企画総務課長、及び学長が指名する委員 2 人(自己点検・評価担当
者)で構成され、各委員は自己点検・評価報告書編集委員を兼ねていた。平成 21(2009)
年度には、点検・評価活動を独立して実施する小委員会である自己点検・評価委員会を
企画点検委員会内に設置し、自己点検・評価活動の実施体制を見直し、新たに「自己点
検・評価規程」を制定した。
「自己点検・評価規程」は、建学の精神を実践し、教育水準の向上を図り、社会的使
命を達成するために、教育研究及び管理運営等に関する自己点検・評価の実施について
定めることを目的とし、この目的達成のために「企画点検委員会」の下に自己点検・評
価活動の実施委員会として、「自己点検・評価委員会」を設置することを規定した。ま
た、自己点検・評価を円滑に推進するために「作業部会」を設置することができること
とし、「作業部会」は関係各委員会の委員と事務局各課長で構成されたことで、自己点
検・評価活動をより機動的に実施する体制整備がなされた。
平成 24(2012)年度の学部学科増設及び大学・短期大学の運営組織の改組に伴い、従来
の「自己点検・評価規程」を廃止し、新たに「自己点検・評価委員会規程」を制定した。
この規程の改正では、今後の大学運営における自己点検・評価活動の重要性とこれまで
の活動においての反省点を踏まえ、委員会の構成を見直し、学長を委員長とし、学長補
佐、大学 LO・短大 ALO(自己点検・評価担当教員)、各学部長、各学科長、各種委員
会委員長及び委員長補佐、事務局長を構成員とした。これは、学長のリーダーシップの
下、管理職をはじめ、本学が設置する各種委員会の全委員長が本学の現状及び今後の課
題等について共通認識を持ち、本学の使命・目的達成に向けて活動できる体制を構築し
たものである。
自己点検・評価の実施体制は、以上のような変遷を遂げ現在に至っており、大学運営
の改善・向上を図るための点検・評価体制として適切であると認識している。
4-1-③
自己点検・評価の周期等の適切性
大学のこれまでの自己点検・評価活動は、平成 18(2006)年度に開学してからは、設置
計画履行状況等調査(以下「アフターケア」という。)による点検活動を実施し、平成
21(2009)年度より、完成年度以降の平成 22(2010)年度に「開学から完成年度まで」の 4
年間を総括した自己点検・評価報告書を発行すべく、自己点検・評価活動の実施体制等、
規程を整備し、自己点検・評価活動を開始した。
開学してからの 4 年の期間は、単年度ごとの自己点検・評価報告書の発行には至らな
かったが、アフターケアにおいて設置計画を着実に履行する一方、学生のニーズ等を踏
まえた専任教員の増員や入学試験制度の見直しを図るなどの向上的な計画変更を行っ
てきた。完成年度からの 4 年間の自己点検・評価報告書は、「日本高等教育評価機構」
の評価基準に準じ、点検・評価を実施したが、4 年間分のデータ収集及び事実確認に予
想以上の時間を要し、発行時期が遅れたため、学外への公表はせずに学内資料としての
配布にとどまった。平成 22(2010)年度の自己点検・評価報告書についての評価基準も同
様に「日本高等教育評価機構」の評価基準に準じ、翌平成 23(2011)年度末に公表するに
至った。
87
以上のことから、大学開学から7年目ということもあり、完成年度までは毎年の報告
書発行には至らなかったが、自己点検・評価活動は継続的に実施してきており、自己点
検評価の周期及び自己点検・評価活動において確認された改善・向上方策への取組みは
適切であると認識している。
短期大学では平成 22(2010)年度に短期大学基準協会による第三者評価を受審し、「適
格」との認定を受けた。特に学生の状況に合わせた教育課程の工夫、保育科の教育目標
の達成度の高さ、また幅広い社会的活動に関して、高い評価をいただいた。一方、事
務体制の拡充、財務体質の改善、防災計画の内容、諸規程の整備などに関して厳しい
ご指摘もいただいている。これらのご指摘に関し、防災計画の策定、諸規程の整備の
推進など、対応できるところから随時改善を図っている。平成 23(2011)年度より「日本
高等教育評価機構」の評価基準に準じることとし、大学組織全体の視点を持って短期大
学の自己点検が行えるようになった。
(3)4-1 の改善・向上方策(将来計画)
大学の自己点検・評価活動は、芸術学部音楽学科の完成年度の自己点検・評価活動が
総括されて以来、平成 23(2011)年度までに、徐々に点検・評価項目やデータの充実、実
施体制の整備が進められてきた。短期大学における自己点検・評価活動は、これまで準
用する評価基準や学内委員会組織の体制を、自己点検・評価活動の重要性の認識から見
直し、整備しつつ継続して行ってきた。今後は、これまでの自己点検・評価結果の蓄積
に基づきながら、大学 2 学部 3 学科、短期大学1学科として再スタートを切った本学の
新たな可能性を開拓し、社会的使命をより十全に果たすために、本学の将来を見据えた
中長期的な計画のなかに自己点検・評価活動の成果を反映させていく。
そのために今後は、自己点検・評価活動にできるだけ多くの教職員が関わることで、
本学の現状と課題について問題意識を共有し、課題に向かって日常的及び組織的な改善
努力への取組みにつながるよう努める。
4-2
自己点検・評価の誠実性
≪4-2 の視点≫
4-2-①
エビデンスに基づいた透明性の高い自己点検・評価
4-2-②
現状把握のための十分な調査・データの収集と分析
4-2-③
自己点検・評価の結果の学内共有と社会への公表
(1)4-2 の自己判定
基準項目 4-2 を満たしている。
(2)4-2 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
4-2-①
エビデンスに基づいた透明性の高い自己点検・評価
本学の「自己点検・評価報告書」は 4-1 で述べたとおり、これまで「日本高等教育評
88
価機構」の評価基準を準用して作成してきた。本編と併せデータ編においても同様に準
用しているため、各種データ及び根拠資料に基づいて報告書の記述をしている。
本学の「自己点検・評価報告書」は、「自己点検・評価委員会」を構成する各委員及
び事務局長と関係部署の課長が執筆を担当している。全体の編集は LO と企画総務課長
及び企画総務課の担当係長が担当し、各種データや規程等の根拠資料と照合をしながら
編集作業を行った。
発行における最終的な確認は、執筆者の校正確認だけでなく、学長をはじめ「自己点
検・評価委員会」委員及び同委員会の委員以外の各種委員会委員長及び全専任教員に学
内のネットワーク上で一定の確認期間を設け、記述内容が事実と相違ないかを確認し、
発行した。
以上のことから、本学の自己点検・評価の根拠、作業の主体、手続きにおいて、客
観性や透明性が確保されていると考える。
4-2-②
現状把握のための十分な調査・データの収集と分析
自己点検・評価活動に限らず、現状把握のための必要な調査とデータ収集及びその分
析は、教務、入試、学生生活、進路支援、財務等、様々な業務を担当する各委員会や
事務局の各部署がそれぞれ必要に応じて実施している。
本学のアドミッションポリシーに相応しい入学生の受入れ状況や志願状況、選抜方
法等については、入試委員会と進路支援課が中心となってデータを収集し、現状を分
析して教授会で報告している。授業やレッスンの実施状況や授業内容・方法について
は、FD 委員会と学務課が半期ごとに学生に対して「授業・レッスン評価アンケート」
を実施し、その分析結果を担当教員に通知している。また学生生活の実態把握につい
ては、学生相談室運営委員会において「学生相談室」の利用状況や相談内容等を定期的
にまとめ、教授会で報告を行っている。卒業学生の進路決定状況については、就職委
員会と進路支援課が現状調査を行い、その結果を教授会に報告している。
4-2-③
自己点検・評価の結果の学内共有と社会への公表
学内外への自己点検・評価の公表を適切に行う観点から、報告書の発行が必要である
と認識している。大学では、平成 18(2006)年度の開学から完成年度までの 4 年間を総括
した報告書を作成し、これを教職員に配布することにより学内で自己点検・評価結果を
共有した。ただし、本学最初の報告書として、将来的な改善への方途を示したに過ぎず、
4-1 で述べたとおり学外への公表は行わなかったが、大学は平成 22(2010)年度の報告書
から、短期大学は平成 21(2009)年度の報告書から本学ホームページを通じて公表した。
大学は平成 18(2006)年度に開学し、本年度が最初の認証評価受審であり、適合認定を
受けた自己点検評価書を認証評価の評価報告書と併せて本学ホームページにて公表し
た。
また、平成 22(2010)年度から授業評価アンケート結果に対する改善計画書を教員が作
成し、本学図書館で公開している。
(3)4-2 の改善・向上方策(将来計画)
89
本学の自己点検・評価結果の学内共有を継続的に実施していくことで、教育研究活動
の成果についての現状把握に一層努めることとする。
自己点検・評価のための調査やアンケート等のデータ分析とその活用については、
個々の担当部署での検討や改善が中心となっているが、これを総括して全学的な点検・
評価活動に結びつけるために「自己点検・評価委員会」がより積極的な役割を果たすよ
うに努める。今後さらに具体的な授業改善に結びつくように「授業公開」
「相互評価」な
どを計画している。
90
4-3
自己点検・評価の有効性
≪4-3 の視点≫
4-3-①
自己点検・評価の結果の活用のための PDCA サイクルの仕組みの確立と機能性
(1)4-3 の自己判定
基準項目 4-3 を満たしている。
(2)4-3 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
4-3-①
自己点検・評価の結果の活用のための PDCA サイクルの仕組みの確立と機能性
本学の自己点検・評価活動を管理運営するのは、大学と短期大学の合同による「自己
点検・評価委員会」であるが、「自己点検・評価報告書」の作成にあたって「自己点検・
評価委員会」の下部組織として「作業部会」を設置して具体的な作業にあたってきた。
大学 LO・短期大学ALOを作業部会長とし、各学部長、各学科長、各種委員会委員
長と事務局長及び事務局各課長により「作業部会」を構成し、本学における自己点検・
評価活動計画の立案、自己点検・評価の実施、及びその結果を「自己点検・評価委員会」
へ報告し、「自己点検・評価委員会」の委員長が取りまとめ「企画点検委員会(平 成
23(2011)年度をもって廃止)」に報告し、企画点検委員会が結果を公表することとされて
いた。
当該年度の課題に対する次年度への改善計画については、大学が音楽学部音楽学科の
1 学部 1 学科であったことから、主に学科会議にて具体的な検討がなされてきた。報告
された内容のうち、併設短期大学を含む課題については、各委員会において改善策の検
討がなされるほか、毎年度当初に開催される「全学 FD 研修会」における音楽学科の分
科会において、コースごとに全教員によって検討され、その内容は「FD 分科会報告書」
にまとめられた。
平成 24(2012)年度の組織改編に伴う自己点検・評価に係る規程改正により、今後は従
来の「企画点検委員会」に代わり「大学協議会」がその役割を担うことになる。
また、当該年度の「自己点検評価書」の作成からは「作業部会」を廃止し、「自己点
検・評価委員会」が中心となり作業を行った。これは「作業部会」の構成員は実質「自
己点検・評価委員会」の構成員であったため、組織の簡素化を図ったものである。
大学 2 学部 3 学科、短期大学単科となったことに伴い、4-1 で述べたように自己点検・
評価の体制が強化されたことで、より一層、評価結果が活用される組織となると考える。
(3)4-3 の改善・向上方策(将来計画)
大学では平成 24(2012)年度に日本高等教育評価機構による認証評価を受審し、「大学
評価基準に適合している」という評価結果を得た。しかし、評価員からの参考意見とし
ていくつか指摘いただいた事項もあり、今後更なる改善に向けて取り組むべき課題が確
認されたことから、課題解決に向けて取り組んでいくこととする。
短期大学では平成 22(2010)年度に短期大学基準協会による第三者評価を受審し、「適
格」との認定を受けた。この際の改善点、防災計画の策定、諸規程の整備の推進につい
91
ては平成 23(2011)年度にそれぞれ学内防災設備の点検、避難誘導体制の確認が行われ、
諸規程の整備も教務・教職・入試の各委員会で行われた。
PDCA サイクルの仕組みは体制として確立されていると言えるが、これまでの自己点
検・評価活動は、開学時に設置された大学組織や教育研究体制の整備や安定を目的とし
た活動が中心であった。今後は、本学の発展・向上を中長期的な視点から検討し積極的
に提言する体制を整備することで、より大学の自主・自律性を重視した PDCA サイク
ルの確立に努める。
[基準 4 の自己評価]
大学の自己点検・評価が本格的に開始した平成 21(2009)年度以降、「自己点検・評価
委員会」と「作業部会」を中心に、平成 22(2010)年度におけるコースの新設やカリキュ
ラムの改善など、本学の自己点検・評価活動は、着実に成果を上げてきたといえる。
短期大学は平成 23(2011)年度より「日本高等教育評価機構」の評価基準に準じること
とし、札幌大谷大学の組織全体の視点を持って短期大学の自己点検が行えるようにな
った。今後は、本学の現状と課題を総体的に把握し、現代社会の激しい変化や本学へ
の要求に対応していくための全学的な将来構想の立上げが必要であり、「大学協議会」
や「学部教授会」を中心として体制整備を進めていく。また、「自己点検・評価委員会」
での自己点検・評価活動においては、関係部署の教員と事務職員の連携が行われた一
方、多くの教職員が全体に対する問題意識を持てる状況には至っていない。この点を
今後の評価活動の改善点としたい。
92
Ⅳ.大学が使命・目的に基づいて独自に設定した基準による自己評価
基準 A.社会連携
A-1
大学が持っている物的・人的資源の社会への提供
≪A-1 の視点≫
A-1-①
大学施設の開放、公開講座など、大学が持っている物的・人的資源の社会へ
の提供
(1)A-1 の自己判定
基準項目 A-1 を満たしている。
(2)A-1 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
A-1-①
大学施設の開放、公開講座など、大学が持っている物的・人的資源の社会への
提供
<人的資源の提供及び大学施設の開放>
芸術学部音楽学科は、北海道唯一の音楽学科として、北海道の音楽文化の向上と発展
に貢献することを教育目的の一つに掲げ、国内外第一線の演奏家・講師を招聘して行わ
れる特別講義やレッスンの一般公開、大谷記念ホール等の演奏施設の開放、また本学施
設を活用しての専任教員・非常勤講師による中学生や高校生などへの実技指導などを通
して、本学のもつ物的・人的資源の社会への貢献を十分に果たしてきた。主なものは次
のとおりである。
1)「吹奏楽コンクール課題曲講習会」(平成 19(2007)年度~21(2009)年度)
全日本吹奏楽コンクールの課題曲について、本学作曲コース教員や特別講師が、
本学管弦打楽コース学生の選抜メンバーによる合奏を指揮しながら、楽曲分析や演
奏法・指導法についての講義を行う。他の外部団体による同様の催し物との競合を
さけるため、平成 21(2009)年度を最後に廃止された。
2)「吹奏楽クリニック」(平成 20(2008)年度~)
北海道内で吹奏楽を学ぶ高校生を対象に、本学の教員・講師が、平成 20(2008)
年度から毎年 1 度ずつ、管楽器・打楽器の実技レッスンを行う。新学期で楽器を始
めたばかりの生徒が、プロの演奏家から実技の基礎を指導される貴重な機会を提供
する点で好評を得ている。
3)「弦楽セミナー」・「響流セミナー」(平成 20(2008)年度~)
北海道内で弦楽器(ヴァイオリン、チェロ)を学ぶ、小学生から社会人までの幅
広い年齢層の音楽愛好者向けに、毎年 1 度ずつ実施している。外国からの客員教授
や特別講師も含めた優れた教授陣による水準の高いレッスン内容や、講師と受講生
との交流会は大きな反響を得ている。平成 22(2010)年度からは、道内指導者(ピア
ノレスナー)向けのリスト・フェレンツ音楽芸術大学からの客員教授による、ピア
ノコースも併設し、「響流セミナー」と改称した。
4)「札幌大谷音楽コンクール」(平成 18(2006)年度~ )
札幌大谷学園創立 100 周年を記念して創設された音楽コンクールであり、平成
18(2006)年度から 2 年に 1 度の間隔で実施されている。部門はピアノ、声楽、管弦
93
打楽、電子オルガン、作曲(第 2 回から)の 5 部門であり、対象は小学校高学年(ピ
アノのみ)、中学校・高等学校(全部門)である。審査は録音による予選と、大谷記
念ホールにおける本選からなり、主に本学園の高等学校、短期大学、大学の教員が
審査にあたる。平成 24(2012)年で第 4 回を数え、本選では毎回約 40 人の参加者が
出場している。最も優秀な成績を収めた参加者には、本学における特別講義の受講
資格や、本学主催の演奏会に出演する機会が与えられる。
5)「図書館」
西洋音楽や民族音楽に関する専門図書や楽譜、AV 資料を豊富に備えた蔵書は、
北海道でも独自の意義を有し、一般利用者も閲覧や試聴ができる。平成 23(2011)
年度からは、音楽資料に特化した第 2 図書館が開設され、蔵書や視聴覚設備等の点
でより一層充実したサービス提供が可能となった。
6)「大谷記念ホール」「百周年記念館同窓会ホール」「響流ホール」
音楽芸術に特化した教育施設としての本学には、座席数 352 を有し、道内でも有
数の音響を誇る「大谷記念ホール」から、室内楽から合唱、小オーケストラまでの
様々なアンサンブルの演奏会や練習場に適した「百周年記念館同窓会ホール」と「響
流ホール」の 2 つを有し、学生による学習成果を学外に向けて発表するだけでなく、
卒業生を中心とし、外部団体にも施設の貸出しを行っている。
芸術学部美術学科は、北海道の美術文化の向上と発展に貢献することを教育目的の一
つに揚げ、道内美術文化施設における講演会・公募展などに対し専任教員・非常勤講師
の派遣・運営協力を行い、高校生などへの実技指導を通して、本学の人的資源の社会へ
の貢献に努めている。具体的な事例を次のとおり記述する。
1)「カルチャーナイト」における北海道立三岸好太郎美術館への協力。
カルチャーナイトとは、文化施設や民間施設等の夜間開放と文化活動の発信を通じて、
市民の地域文化への関心を高め、新しい地域文化の創造と発展に寄与することを目的
として行われている北海道行政全体の取組みである。
2)北海道高等学校文化連盟(高文連)への協力、美術展・研究大会への講師派遣及び
指導。
社会学部地域社会学科は、地域に貢献する汎用性の高い自律型人材の育成の基盤づく
りを行うことを教育目標の一つに掲げており、教育資源を活用して高等学校への出前授
業等を積極的に行っている。平成 24(2012)年度に実施した主なものは次のとおりである。
1)インターンシップの受け入れ
インターンシップは、職業生活に必要な知識を習得し、職業観の育成にとって重要な
活動であることから、札幌市内の高等学校からの要請によりインターン生を受け入れ、
本学図書館やFM局でのインターンシップを行った。
2)出前授業・進路講話
北海道内各高等学校からの依頼により、キャリア教育、小論文・実用日本語教育、
英語教育、専門教育(社会学)に関わる出前授業及び進路講話に講師派遣を行った。
94
短期大学保育科は、「保育者としての社会的使命と責任を自覚し、子どもと家族の多
様な育ちに共感し支えることのできる保育者を養成する」を教育目標に掲げており、学
内に子育て支援センターを設置し、「つどいのひろば」を開催し地域の子育て中の母親
の交流の場となっている。また高校生に保育の魅力を伝えるための出前授業を積極的に
行っている。
1)子育て支援センター
毎週木曜日につどいのひろば「んぐまーま」を開催し毎週多くの親子が本学内の子育
て支援センタ―を訪れている。またイベントとして 7 月に夏祭り、1 月に冬祭りをオ
ープンキャンパスに合わせて開催している。とくに冬祭りでは特別研究Ⅱの授業と連
携し学生が地域とつながる場となっている。
2)出前授業
北海道内の高校からの出前授業の養成に積極的に応えて高校生に保育の魅力を伝え
ている。
<公開講座>
本学の公開講座は、大学・短期大学との合同で、毎年度概ね 9 月~12 月にかけて開催し
ている。講座のテーマは、本学の特色を活かして、仏教・保育・音楽・美術・社会の 5 分
野と平成 20(2008)年度から図書館企画の公開講座を開講している。開催にあたっては、
「道
民カレッジ」の連携講座として実施しており、受講料は、材料費等が発生する場合には実
費程度を徴収しているが、それ以外は無料である。
「道民カレッジ」とは、産学官が連携して道民に学習情報と学習機会を提供し、その成
果が地域社会で活用されることを目的に北海道教育委員会が主催している生涯学習の学園
であり、北海道知事が学長となっている。本学の公開講座を受講することにより、
「道民カ
レッジ」の称号取得に必要な単位が認定されるシステムとなっており、本学公開講座の受
講者は、この「道民カレッジ」の受講生も多数受講している。
95
【表 A-1-1
公開講座開催状況】
平成22年度
開催日
題名
講師名
1 10/ 9(土) 真宗大谷派における更生保護事業
2 10/16(土) 「陰影礼賛」銀塩写真の世界
日本仏教教育学会連携講座
3 10/30(土) 近代北海道開拓と仏教教育
~キリスト教教の対比において~
4 11/ 6(土) オペラの楽しみ
5 11/18(木) 詩と音楽のDuo・デュオ
6 11/20(土) 子どもを取り巻く食環境の問題点
短期大学開学50周年記念シンポジウム
7 12/ 4(土) 芸術 教育 大谷の願い
~ここに ひるがえる わたし~
8 12/11(土) 子どもの本と私
合
開催日
1 10/8(土)
計
平成23年度
題名
講師名
「建学の精神」
札幌大谷学園と真宗大谷派(東本願寺)
2 10/15(土) 読むこと・書くこと・生きること
3 10/22(土) 琳派にふれる
4 11/5(土) 保育者にとって歌うこと、弾くこと
5 1/14(土) 音は生きている
合
計
平成24年度
開催日
1
2
3
4
5
更生保護法人「大谷染香苑」
施設長 小熊 雄顯 氏
美術科 准教授 今 義典
北海道教育大学函館校
教授 佐々木 馨 氏
藤女子大学人間生活学部長
教授 阿部
包 氏
音楽学部音楽学科
教授 則竹 正人
特別顧問 日野原 重明 氏
保育科 准教授 柘植 純一
絵本作家 元旭山動物園飼育係
あべ 弘士 氏
多摩美術大学教授 写真家
港
千尋 氏
北海道立近代美術館副館長
佐藤 友哉 氏
音楽学部音楽学科
教授 小林
仁
学長 太田 清史
児童文学作家 高楼 方子 氏
題名
真宗大谷派北海道教務所長
北海道大谷学園連合会理事長
藤岡 巧 氏
作家 東
直己 氏
作家 小路 幸也 氏
美術科 准教授 平向 功一
保育科 講師 松井 亜樹
作曲家 池辺 晋一郎 氏
講師名
「近代フランスの美術と音楽」(全2回 連続講座)
芸術学部美術学科
10/6(土) 第1回「近代フランスの美術‐印象派の魅力」
教授 下濱 晶子
第2回「近代フランスの音楽‐ドビュッシーとそ 芸術学部音楽学科
10/13
(土)
の周辺」
准教授 千葉 潤
社会学部地域社会学科非常勤講師
(北海道ブックシェアリング代
10/20(土) 震災、そのとき図書館は
表)
荒井 宏明 氏
真宗大谷派(東本願寺)の儀式を参拝しよう! 札幌別院報恩講法話講師
10/28(日)
-「札幌別院報恩講:ご満座」参拝-
本多 雅人 師
社会学部地域社会学科
11/23 ( 祝 ・ インターンシップの現場から見た仕事論
金)
教授 平岡 祥孝
短期大学部保育科
12/1(土) 幼児が身近な自然と触れ合える保育環境
教授 柘植 純一
合
計
96
受講
者数
35
13
42
71
206
21
84
54
526
受講
者数
36
82
21
7
88
234
受講
者数
60
48
30
49
101
11
299
【表 A-1-2
札幌大谷大学短期大学部開学 50 周年記念特別公開講座「人生と芸術」(平成 23 年度開講)】
開催日
題名
クライシス・オブ・ジャパン
-災害/アート/政治的激動をむかえ
て
いろ・かたち・こころ
-世界を識る・私を識る-
1
5/7(土)
2
5/14(土)
3
5/21(土)
北海道の美術
~出会いと創造をめぐって
4
5
6/4(土)
6/11(土)
トンコリLIVE
どうぶつと絵本
6
6/25(土)
越境の方法
7
7/2(土)
関係のかたち
-メディアとデザイン
8
7/9(土)
人の生き方と芸術
9
7/16(土)
復活《人生と芸術》
10
7/30(土)
今日の美術
-時代と社会と表現と
11
8/6(土)
札幌大谷における「宗教学」の学び
-その使命と可能性
合
受講
者数
講師名
映像作家 宮岡 秀行氏
美術科 教授 岡部 昌生
元本学保育科教授
美術家
42
杉山
留美子氏
北海道立近代美術館学芸副館長 佐藤 友哉氏
美術科 教授 岡部 昌生
美術家 アートディレクター 端 聡氏
アイヌ音楽 トンコリ奏者 OKI氏
絵本作家 元旭山動物園飼育係 あべ 引士氏
多摩美術大学教授 写真家 港 千尋氏
美術科 教授 岡部 昌生
美術科 講師 宮田 雅子
東海大学文学部広報メディア学科教授 水島 久光
氏
音楽科 教授 木村 雅信
保育科 講師 松井 亜樹
学長 巌城 孝憲
元本学保育科教授 中嶋 義明氏
音楽科 教授 木村 雅信
美術科 教授 岡部 昌生
北海道立近代美術館学芸副館長 佐藤 友哉氏
元本学保育科教授 美術家 杉山 留美子氏
美術科 教授 岡部 昌生
大谷大学文学部歴史学科 准教授 福島 栄寿氏
美術科 教授 岡部 昌生
計
38
31
64
70
65
38
50
48
69
31
546
(3)A-1 の改善・向上方策(将来計画)
本学が有する物的資源の提供に関しては、各種講習会やコンクールの実施及び演奏
ホールの貸出し等を通じて十分に実施している。また、人的資源についても公開講座
や各種文化施設における講演会・公募展などへの講師派遣や運営協力、また高等学校
への出張講義や高等学校からのインターンシップの受け入れを通じて社会的提供に努
めている。特に子育て支援センターの活動はイベントのような単発型ではなく、日常
的に定着した資源提供となっている。第 2 図書館に関しては、一層の外部利用の促進を
図るための広報に努める。公開講座に関しては、美術学科や地域社会学科の開設によ
り、より多様な講座を企画実施していけるものと期待できる。
A-2
教育研究上における、他大学や他法人との適切な関係の構築
≪A-2 の視点≫
A-2-①
教育研究上において、他大学や他法人との適切な関係
(1)A-2 の自己判定
基準項目 A-2 を満たしている。
97
(2)A-2 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
A-2-①教育研究上において、企業や他大学との適切な関係が構築されているか。
これまで北海道唯一の音楽大学としての本学の特性から、教育研究における企業や他
大学との関係構築は、学外向けの演奏会や実技系の特別講義等における連携事業の実施
等を中心としたものである。本学とリスト・フェレンツ音楽芸術大学との国際交流事業、
また北海道において本学と並ぶ音楽教育機関である北海道教育大学、及び北海道におけ
る音楽・芸術文化発信の中心である札幌コンサートホールや三岸好太郎美術館との連携
事業を通して、教育研究上の適切な関係が構築されているといえる。次に主なものにつ
いて説明する。
<リスト・フェレンツ音楽芸術大学との国際交流協定>
本学では、札幌大谷短期大学音楽科時代から 25 年にわたり、毎年、海外研修旅行を
行ってきた。研修先として、ハンガリーの首都ブダペストにあり、ヨーロッパの伝統あ
る音楽教育機関として名高いリスト・フェレンツ音楽芸術大学が、本学の学生研修団の
受け入れ先となっている。この交流で培われた関係を通じて、平成 18(2006)年の札幌大
谷大学音楽学部の新設に合わせて、平成 18(2006)年 10 月、改めて本学とリスト・フェ
レンツ音楽芸術大学との間で「教育研究の国際交流に関する協定」が結ばれ、現在に至
っている。具体的には、同大学教授であり本学客員教授のラントシュ・イシュトヴァー
ン氏(ピアノ)が、毎年 2 週間ずつ 2 度(合計 4 週間)来校して公開のものを含むレッ
スンを行うほか、他の専攻楽器についても毎年 2 人の講師が本学で特別レッスンを実施
している。
<北海道教育大学及び札幌コンサートホールとの連携事業>
本学と札幌コンサートホールとの連携事業として、
「リスト音楽院セミナー」及び「サ
マーコンサート」が挙げられる。
前者は、本学が国際交流協定を結んでいるリスト・フェレンツ音楽芸術大学(通称リ
スト音楽院)から、毎年(2 月又は 3 月)、ラントシュ・イシュトヴァーン教授とファル
ヴァイ・シャーンドル教授を招聘して行われるピアノコースと、隔年でペレーニ・ミク
ローシュ教授を招聘して行われる弦楽コースの札幌コンサートホールを会場とするセ
ミナーである。受講生は北海道のみならず、全国各地からオーディションを受けにくる
参加者である。セミナーの中で本学のホールを会場に、本学と北海道教育大学の学生を
受講生にした、セミナーの教授陣による「公開レクチャーレッスン」が設定され、広く
一般市民にも公開されている。両大学の学生は無料で聴講できる。「リスト音楽院セミ
ナー」の最終日には、選抜された受講生による「受講生コンサート」が開催され、その
中から最優秀受講生に選ばれた出演者には、翌年開催されるブダペストに於ける「ブダ
ペストの春音楽祭」でのリサイタル出演の機会が与えられる。
後者は、札幌コンサートホールと地元の音楽学科のある大学との連携事業である。本
学と北海道教育大学から推薦された学生による演奏会で(毎年 6 月)、地元への新人紹
介の役割を担う。
<北海道三岸好太郎美術館との連携事業>
北海道三岸好太郎美術館との連携事業として、毎年 4 月に「ミニ・リサイタル」を行
っている。本学の卒業演奏会で優秀な成績を収めた学生の中から、2 組を選抜し、約 1
98
時間のリサイタルを同美術館にて行うものであり、前述の「サマーコンサート」と並び、
若手演奏家の紹介に寄与している。
<札幌交響楽団へのパトロネージュ>
本学は、北海道の音楽文化の向上に寄与するため、北海道唯一のプロフェッショナル
なオーケストラである「公益財団法人札幌交響楽団」のパトロネージュ会員(維持会員)
として、楽団の運営活動を支援している。一方、同楽団からは多数の楽団員が本学の非
常勤講師として教育研究活動に参加している。
<PMF との交流事業>
本学は、毎年 7 月に札幌で開催される国際教育音楽祭「パシフィック・ミュージック・
フェスティヴァル(PMF)」との交流事業として、平成 19(2007)年には PMF 芸術主幹
でクラリネット奏者のペーター・シュミードル氏の公開レクチャー・コンサート及び
PMF オーケストラのリハーサル見学を実施し、平成 22(2010)年度と平成 23(2011)年度
には、PMF 受講生と本学学生との交流会を実施した。
(3)A-2 の改善・向上方策(将来計画)
芸術学部を中心に本学は北海道内及び海外の音楽系・芸術系団体や他大学との間に、
安定して相互に有意義な関係を構築してきている。今後もそれらの維持に努めるととも
に、美術学科の人的・物的資源を活かした新たな連携事業の可能性を検討する。
社会学部地域社会学科は札幌市東区や区内のショッピングセンターや商店街との連
携関係を構築中であるが、中核的に活動する学生たちが卒業しても、連携事業を継続で
きるような体制を整えることが必要である。
保育科としては、札幌市私立幼稚園連合会との懇談会に参加しているが、そうした会
合で情報交換がなされていない幼稚園・保育園も多数あることから、実習訪問や就職園
訪問などで現場の声を多く取り入れるよう心がける。また他大学との情報交換・連携と
いう点では全国に視野を広げ今後の保育科の目指すべき方向や新しい視点を開拓した
いと考える。
A-3
大学と地域社会との協力関係が構築されていること
≪A-3 の視点≫
A-3-①
大学と地域社会との協力関係が構築されているか。
(1)A-3 の自己判定
基準項目 A-2 を満たしている。
(2)A-3 の自己判定の理由(事実の説明及び自己評価)
A-3-①大学と地域社会との協力関係が構築されているか。
芸術学部音楽学科の特性を活かした地域社会との協力関係は、主として、音楽療法活
動を通じた連携事業と、教員・学生による演奏活動による連携事業を中心に構築され
ている。平成 24(2012)年度からは、新たに開設した芸術学部美術学科及び社会学部
99
地域社会学科の知的資源を生かして、大学の所在地である札幌市東区及び東区内の他
大学との連携事業、及び北海道美唄市と本学との連携事業に関する協定が結ばれた。
また、美術学科は札幌駅前地区活性化委員会と、地域社会学科は東区の光星ショッピ
ングセンターと、それぞれ連携してイベントの企画・運営を実施した。
保育科の特性を活かした地域社会との協力関係としては、札幌市東区のあかしあ学園
のなつまつりで、保育科学生が出店の手伝い・器楽演奏・よさこいステージを毎年行っ
ている。さらに同じく近隣の美香保小学校で行われる東区子育て支援協議会による北光
ぴかぴかフェアに学生が協力し、子どもに向けた音楽会と遊びのコーナーの手伝いを行
っている。
このように、本学の地域社会との協力関係はますます緊密になりつつあり、本学の社
会的使命を果たす上で有意義な関係が構築されているといえる。これらの連携事業につ
いて、以下に記述する。
<音楽療法活動を通じた地域貢献>
本学音楽学科の特色ある地域貢献活動として、音楽療法課程(平成 22(2010)年度以降
は音楽療法コース)の教員・学生と「NPO 法人 Music Therapy サポートセンター ド
ルチェ」との音楽療法による連携事業が挙げられる。この音楽療法連携事業は、本学の
特色を生かした地域貢献事業として学外からも高い評価を得ており、音楽療法を学ぶ学
生にとっても有意義な経験の機会を提供している。以下にその概要を記す。
「NPO 法人 Music Therapy サポートセンター ドルチェ」は、音楽療法又は音楽に
関心のある会員相互の連携と協力によって、音楽療法士の担い手を育てることにより、
心身に失調や障害のある人々や高齢者の心身の改善・回復を支援し Quality of Life(生
活の質)向上のために寄与することを目的として設立され、平成 19(2007)年 5 月 23 日
より活動を開始した。本学との主な連携事業は次のとおりである。
①音楽療法の研究に関する事業
年 2 回から 3 回、一般市民・卒業生・学生などを対象に本学を会場として研修会を
開催している。
②音楽療法の実践に関する事業
平成 19(2007)年から町内会・東区まちづくりセンターの協力で音楽療法実践教室を
開催している。平成 21(2009)年度からは音楽療法実践教室を母体としたドルチェ合唱
団を結成した。また同年 10 月から「おんがくるーむ」を開設した。これは、本学の
教員・学生と「ドルチェ」との協働により運営され、発達に躓きのある幼児を対象に
音楽の要素を用いて支援する音楽療法の実践教室であり、本学が会場を提供している。
現在は就学前の 7 人の幼児を対象としている。「おんがくるーむ」は、平成 22(2010)
年度に開設された音楽療法コースの実習の場としても連携する予定である。
③音楽療法の普及に関する事業
平成 19(2007)年度には音楽と健康に関する講習会を開催。平成 20(2007)年度以降は
「ドルチェ音楽療法講習会」を開催している。
<黒松内音楽療法・吹奏楽研修>
上記の「NPO 法人 Music Therapy サポートセンター ドルチェ」との連携事業のほ
100
かに、本学の地域貢献の一環として、北海道黒松内町の協力により「黒松内音楽療法・
吹奏楽研修」(平成 19(2007)年度~)を実施している。これは音楽を通して地域に住む
多くの人々とコミュニケーションをはかり、地域とのふれ合いの中、音楽の技能を高め、
豊かな感性と文化を尊重する態度を育てることを目的とする。平成 19(2007)年度は本学
の音楽療法課程履修生 25 人のみによる老人保護施設での音楽療法実践研修であったが、
平成 20(2008)年度から音楽療法班と吹奏楽班に分かれて活動し、前者は複数の養護施設
での研修を行い、後者は黒松内道の駅「トワ・ヴェールⅡ」での演奏会のほか、地域の
小中学生を対象とした吹奏楽指導を行った。音楽療法コースが設置された平成 22(2010)
年度以降はコースに在籍する学生が中心となって実施している。
<札幌市東区・本学・天使大学・吉田学園専門学校北海道体育大学校との連携事業>
札幌大谷大学及び札幌大谷大学短期大学部は、札幌市東区及び東区内に設置されてい
る他の教育機関との間で、それぞれの教育研究上の特色や機能を活かし、東区のまちづ
くりに推進することを目的として、平成 24(2012)年 3 月に地域連携に関する年間協定を
締結した。これは、これまで個別に行われてきた本学と東区との連携事業を、改めて東
区と他の教育機関との連携事業の一環として統合・整備したものである。連携内容は、
(1)健康づくりの推進、(2)芸術文化及びスポーツの振興、(3)子育て支援、(4)地域連携事
業を通した実践能力の育成、(5)その他、を含んでいる。本学では、(1)に関して、「東区
健康づくりフェスティバル」に音楽療法コースの教員・学生が参加し、美術学科は学生
の作品を併設展示することで協力する。(2)に関して、芸術学部音楽学科の教員・学生が
「東区民センターロビーコンサート」、「丘珠文化祭」に出演する。また、美術学科の学
生が、前年度からの継続事業として、東区のラジオ局「タッピー通信」のポスター制作
を担当し、さらに新規事業として「札幌黄(ブランド玉ねぎ)のロゴマーク制作を担当し
た。(3)に関して、短期大学保育科学生による「にこにこおんがくたい」が「北光ピカピ
カ子育てフェア」にて演奏している。
<本学と美唄市との連携事業>
札幌大谷大学及び札幌大谷大学短期大学部は、北海道美唄市との間で、地域の活性化
とともに、次代を担う優れた人材の育成や学術振興に寄与することを目的として、平成
24(2012)年 3 月に連携に関する協定を締結した。連携内容としては、(1)美唄市の地域資
源を活かした、新たな地域づくりを進める実践的人材の育成を目的とする「美唄サテラ
イト・キャンパス」等、美唄市が取組んでいる多様な交流事業の展開に対して、本学が
指導・助言などの協力を行う、(2)実社会で通用する有為な人材の育成に資するため、美
唄市が本学に対してインターンシップやフィールド調査等の教育の場を提供する、及び
特別講義の実施などで本学の教育カリキュラムに協力する、(3)その他、地域活性化や人
材育成に関する連携事業に取組む、というものである。本学では、社会学部地域社会学
科が「産業系人材養成講座」、
「まちづくりを担う人材養成講座」等の特別講義を実施し、
芸術学部美術学科は、「市民教養講座」として「日本画の魅力を探る」、「地域と大学の
連携による協働事業」として「みんなでつくる『美唄50音かるた』」の制作とワーク
ショップを実施した。
<美術学科と札幌駅前地区活性化検討委員会との連携事業>
美術学科は、札幌駅前地区活性化検討委員会からの要請により、北海道庁前の道路を
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対象に、「エキマエドオリ HANA CAFE 札幌駅前通地区活性化実験」への参加として、
市民参加型のロードアートの企画・制作を担当した。
(3)A-3 の改善・向上方策(将来計画)
新学部学科の開設によって、本学独自の地域貢献事業を展開する可能性が広がった
と言える。今後は、各学部学科が主体的にその特色を活かした連携事業を計画し、地
域に向けて積極的に提案していく。その際に、連携事業を持続的に実施できるような
体制を、学内的にも対外的にも整えることが必要である。保育科は、今後関心・需要
が更に高まると予想される子育て支援に関する活動を重要な地域連携事業として位置
づけ、例年どおりの内容の継続に終始することなく、どのようなものが求められてい
るのかその内容を検討していきたい。
[基準 A の自己評価]
現在までのところ、本学が行ってきた社会連携活動は、芸術学部音楽学科による実績
と保育科の子育て支援センターによる実績が中心である。
音楽学科の社会連携には学科の特色が活かされており、北海道における唯一の音楽大
学として出発した本学の社会的な使命を果たしてきた。特に音楽療法活動を通じた地域
貢献は独自性の高いものと言える。企業や他大学との連携については、札幌コンサート
ホールや三岸好太郎美術館、北海道教育大学との連携による、若手演奏家の紹介を目的
とした演奏会の実施、また本学とリスト・フェレンツ音楽芸術大学との国際交流協定を
活かした講師派遣と公開レッスンの実施、さらには札幌交響楽団へのパトロネージュ事
業と同オーケストラ楽団員による本学教育活動への講師派遣等、多面的で充実した事業
が展開されており、有意義な協力関係が構築・維持されていると評価できる。今後は音
楽学科のもつ知的・文化的資源の多様性を一層アピールすべく公開講座の内容を充実さ
せ、連携事業の試みについての検討を進める。
子育て支援センターによる社会連携活動は、道内各地や道外からも見学者がよく訪れ、
その評価も高い。他大学との連携は全国に目を向けるなど視野を広げることが保育科の
将来のためにも有効である。人的資源の点では保育科の多様な人材をまだまだ社会貢献
に役立てる余地があるため、子育て支援センターでの簡単な講座などは実現可能であろ
う。地域社会との連携は地域の大学や東区など関係機関との連携が期待される。
芸術学部美術学科は、道内美術文化施設における講演会・公募展などへの教員の派
遣・運営協力を活発に行い、北海道の美術文化の向上と発展に貢献している。また、札
幌駅前地区活性化検討委員会との連携事業であるロードアートの企画・制作など学生の
技術を生かした地域貢献は、人材育成という将来にもつながる活動として評価できる。
社会学部地域社会学科は美唄サテライト・キャンパスへの講師派遣や高等学校への出
張講義など、人的資源の貢献に取り組んできている。今後は札幌市東区やその他の道内
自治体との連携を一歩一歩具体的に進めていくことで、地域貢献と学生教育との間での
相乗的効果が生まれ、地域社会の発展に貢献する人材を育成するという教育目標の具現
化が期待される。
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また、地域社会への貢献をしていくなかで、従来は単一の学科と地域との連携であっ
たものが、学内での他学科との連携が生まれてきていることも特筆すべき点である。シ
ョッピングセンター光星でのクリスマスイベントでは、地域社会学科の学生団体「まち
研!」を中心として、ポスターやフリーペーパー、小物の制作における美術学科学生の
協力、ミニコンサートへの音楽学科・保育科の学生の出演などの、学科を横断した協力・
連携が行われた。決して大規模ではないが特色ある学部学科を有する大学・短期大学と
して、学部学科間での対抗的な相補性を発揮することで、地域社会に貢献していく大学
の社会的使命を十分に果たしていけるものと期待できる。
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平成 24 年度 自己点検評価書
平成 25(2013)年 10 月
編
集
札幌大谷大学・札幌大谷大学短期大学部
発
行
札幌大谷大学・札幌大谷大学短期大学部
〒065-8567
自己点検・評価委員会
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TEL
011-742-1651(代)
FAX
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URL
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