「第22回プログラム」 期 会 日 場 平成21年2月28日(土) 桃太郎アリーナ 【知的能力開発プログラム】 今回は、武田守弘氏(スポーツメンタルトレーニング指導士補)に イメージ「暗示」をテーマに指導いただきました。 ○講義を始める前にちょっと質問 「みんなはスポーツの試合をよく見ますか?」 ○イメージトレーニングの現状は? ・多くの選手が利用し、メンタルトレーニングの中でも広く実施されています。 ・他にも「イメージリハーサル 」「メンタルリハーサル 」「メンタルプラクティス」という 言葉でも使われていますが、総称して「イメージトレーニング」として取り扱われていま す。 ・少し古いデータですが、バルセロナオリンピック(1992)において日本選手に調査しまし た。 (1)メンタルトレーニングを実施した人は全体の70% (2)そのうち、イメージトレーニングを実施した人は90% ○「イメージする」とはどういうことか? ・実際の感覚刺激はない 五感ほか(におい、気持ち、動きの感じなどいろいろな刺激)の 統合 頭の中で像(絵)を描くことです。 ○「イメージする」とどうなるか? ・頭の中で絵を描くと、体の中でいろいろな変化が起きる 。(イメージに伴った生理的な反 応が起こる) (例1)サッカーのヘディングパスを対面で行う練習をイメージすると、座っている状態で も眼の動きが上下に動くようになる。 (例2)100m平泳ぎをイメージすると、呼吸が乱れてくる。 ・多くのオリンピック選手がイメージトレーニングをするのは、このような体の変化を期待 しているからです。 ○それでは筋肉はどうなるか? ・田村先生のトレーニングでも行いましたが、5円玉で集中力を高める練習をもう1回やっ てみましょう。 〔Activity(楽しみましょう )〕 「シュプリルの振り子」実験を行います。 ・左右に振れるイメージを持つ 時計回りに回るイメージを持つ イメージすると回るようになる 目を閉じてもできるようになる この実験をとおして、イメージすることによって筋肉が反応することを知りましょう。 よい筋肉の反応(動き)を求めるならば、よいイメージを持つことが重要となります。 ○「よいイメージ」とは? ・あざやかで(鮮明性)動かせる(統御可能性)イメージです。これは写真を見る感覚では - 111 - なく、ビデオを見る感覚です。 ・競技レベルの上級者ほど、イメージする能力は高くなっています。 ○どういうときにイメージを使うのか? (1)トッププロやうまい人たちの映像を利用して、新しい技術や動作を覚えるときに使いま す。 ・ここで、イメージビデオを見ました。 バドミントン、バレーボール、サッカー、テニスの順番です。 (2)試合の前にリハーサルするときに使います。 (3)自信を持つために暗示をかけるときに使います。試合に勝っている、うまく行っている 状況を描きます。 ○イメージトレーニング ビデオを見ながら 逆境を跳ね返す キーワード(言葉)を書き加えるとより効果的である 勝利の場面を 最高の場面を ○「自分のベストプレイをイメージしてみよう」 ・今までやってきたどのスポーツでもいいので、うまく行ったプレ イや良かったプレイを絵に描いてみましょう。うまく行ったこと がない人は 、「うまく行く自分」を作ってみましょう。 絵がうまいとか、下手だとかは関係ありません。 ・絵が描けたら次のことをしてみましょう。 (1)キーワードを書き加えましょう。そうすると、より印象深く なります。 例-ボールが止まって見えた/集中できた (2)自分への励ましの言葉を書きましょう。これはイメージを自信につなげる方法です。 例-ぼくならできる/必ず強い選手になれる ・よいプレイヤーになるためには、よいイメージを持つことが秘訣です。そのためにも、ビ デオなどたくさんのプロの映像をみてください。 ○まとめ ・イメージを使うのは… (1)新しい技術や動作を覚えるとき (2)試合の前のリハーサル (3)自信を持つために→暗示 ・このようなことを続けていくと、よい結果につながります。 【競技体験プログラム(バドミントン )】 後半はバドミントンの競技体験プログラムとして、PEACEジュニアの若林邦任氏、岡山 県バドミントン協会の平島秀典氏、松本哲也氏、中原修二氏、田中良治氏、中須賀祥雅氏そし て夢サポートスタッフの小田真澄氏に指導いただき、第2回プログラムを行いました。 ○ウォーミングアップ ・体育館を全員5周ジョギングします。次第にスピードを上げてい きましょう。 ・次 に「 変化走」で す。 横一 列に なり 、「 ダッ シュ 」→「 後ろ 向き ダッシュ」→「スキップ」→「サイドステップ」…等々、いろい ろなメニューで走ります。半分の辺りで、動きのスピード(遅→ 速 )・種類(大きく→小さく )・方向(前向き→後ろ向き)等を変 えます。 - 112 - ポイントは、①しっかり声(元気)を出すこと ②動きの変化を明確にすること ○フットワーク ・男子と女子に別れて 、なおかつ5人程度のグループに分かれます 。 その後、各コートに分かれてフットワークの練習をします。 ・一番後ろのラインにラケットを持つ側の足を置きます。ドライブ を打つことを想定しながらラケットを振り、1、2、3、4と掛 け声を掛けてステップします。(下図は右利きの場合) 1 右足ライン上 でラケットを 振る 2 左足で同じ ライン上に 着地 3 右足を前に一 歩踏み出す 左 右 4 次に左足を出 す 左 右 ネ ッ ト 右 ・次に、先ほどの1、2のステップをして前(ネット方向)に出て、ロビングの動きをしま す。 続いて、サイドステップで後ろのラインに下がります。実際の試合に近いフットワークに なってきました。 → ・前に出た時の足は、ラケットを持っている方の足が前になります。 ・コーチが打つシャトルを打ち返しながら、ステップ練習をします。 ・後ろのラインから始まって、前→後→前…と3往復します。ドライブ→ロビング→ドライ ブ…の繰り返しです。 ○まとめ 前に出た時はラケットを持っている側の足が前、後ろに下がって大きく打つ時はラケット を持っている側の足が後ろ。これがポイントです。この形をしっかりと覚えましょう。 - 113 - 【保護者・指導者プログラム】 後半のプログラムと同時進行で、溝井利和氏( JOC オリンピック強 化コーチ / 社団法人日本アーチェリー連盟普及部長)に「ナショナル での取組」というテーマで講義いただきました。 ・10年ほど前から JOC の強化コーチを務めており、10回以上海外遠 征も経験したが、その中で5~6回はメダルを獲得することができ た。アーチェリー競技では、全日本選手権上位24人から選考して国 際大会に出場しているが、それらの選手の中で、小学生の時期からこの夢アスリート事業の ような能力開発プログラムを受けているような選手はいない。逆に言えば、このようなプロ グラムを受けている子どもたちは「オリンピックでメダルを取れる可能性が高い」と、はっ きり言える。 ・私が関わった選手で、全日本選手権に出場できていないが、世界学生選手権で金メダルを取 った選手がいる。この選手はフォームに欠点があり、指導者からは常に欠点を指摘され、フ ォームを直すよう指導されていたが、私が預かってからは、その欠点を逆手にとって、フォ ームを固める指導を行った結果 、メダルに結びついた 。コーチとの相性はとても大切である 。 ・岡山県から「オリンピックのメダル」なんて出せないと思われているかもしれないが、そん なことは決して無い。大切なことは、その子どもにどのような適性があるかを見極めること である。適性がないのにこだわっても決して大成はしない。 ・また、その競技の競技人口(競争相手)がどのくらいいるのかも考慮することが大切。メジ ャー競技で競争することは大変である。北京オリンピックにおける開催国中国は、女子種目 でメダルの取りやすいものに特化した強化を行った結果、メダル量産に繋がっている。皆さ んのお子さんは、ひょっとしたらプロ野球選手になるより、オリンピックでメダルを獲得す るほうが易しいかもしれない。 ・『 北京オリンピック』の写真を紹介 空港→入村→北京の風景→選手村→競技会場→インタビューの様子→入村式→食堂→食事の 様子→トレーニングルーム→部屋の様子・・・ ・子どもに対して気を遣うのは止めたほうがよい。また、多くを期待してもいけない。さらに 親が道を作ることは絶対してはいけない。自分で考えて行動する習慣がなければ、競技で勝 つことは出来ない。親は普通に接することが大切。 ・みんなの憧れるような、また、みんなに応援してもらえるような選手になって欲しい。この ことは強く思う。 ・北京オリンピックでは北朝鮮の美女軍団の応援を見た。みんな綺麗で、満面の笑顔で応援を していたが、彼女たちの笑顔は全く記憶に残っていない。開会式の際、北朝鮮の女子選手と 韓国の男子選手が統一旗を持って行進したが 、その時の二人の笑顔は強く記憶に残っている 。 笑顔にも「本物」と「偽物」があるんだなと思った。 ・アーチェリー競技に必要な身体特性は「握力 」「持久力 」「バランス能力 」、この3つが高い 選手はアーチェリー競技にむいている。また「上肢長」の長い選手も有利である。 ・競技転向をすることは、決して悪いことではない。競技・種目適性を是非考えて欲しい。 ・いかに「勝ちたい」と思わせるかが大切。技術2割、メンタル8割だと感じている。 - 114 - ・『 世界学生選手権銅メダル』を披露 講義の後 、「保護者情報交換会」を行いました。第15回プログラムの時の講師であった和久 貴洋氏(国立スポーツ科学センター)から 、「『 夢アスリートが育つためには○○が必要 』、今 度会うときまでに○○を考えておいてください 。」という宿題が出されていました。今回はそ れぞれが「○○」を考え、4つのグループに分かれて互いに発表し合い、その後ディスカッシ ョンを行いました。 短い時間でしたが、有意義な情報交換ができていたようです。 - 115 -
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